ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 流れる涙は罪色で
- 日時: 2010/12/27 15:29
- 名前: ルリ (ID: yL5wamFf)
初めまして。ルリと言います。
別のサイトでも同じ題名の小説を書いていますが、たくさんの人の感想が聞きたいのでここにも書こうと思います。
宜しくお願いいたします。
- Re: 流れる涙は罪色で ( No.31 )
- 日時: 2011/01/03 19:13
- 名前: 楓 ◆RQfQFvS/WE (ID: uWyu1tga)
あれ?
思ったよりやさしい子ですねー。
- Re: 流れる涙は罪色で ( No.32 )
- 日時: 2011/01/09 18:40
- 名前: ルリ ◆qQ6wK6czCM (ID: yL5wamFf)
楓さん
返事遅れてごめんなさい。
ですよね。優しいですよねー。
- Re: 流れる涙は罪色で ( No.33 )
- 日時: 2011/01/09 18:42
- 名前: ルリ ◆qQ6wK6czCM (ID: yL5wamFf)
「えー。居残りは絶対に嫌! 後生!」
「嫌だじゃない。前から散々未提出者は居残りと言っていただろう?」
「そんなこと知らない! 独裁者! 分からずや!」
未提出者の三人の中でただ一人、しぶとく教師と一方的な口論を繰り広げている明音。
教師は律義に答えながら、けれど確実に聞き流している。
それを分かったのか分からないのか。明音は一度むうとうなり、そして。
「とにかく居残りなんて絶対嫌だからね! 人権なんて知らない」
「おい、吉川」
心持口調を厳しくした教師から明音はあからさまに顔をそらす。そして、作文を出し終わり、席についている生徒の視線を受け流し、若奈のひとつ後ろの席に着く。
「あらら、まただよ。明音の我が儘」
ひとつ前の席の由紀の呆れと慣れが入り混じった複雑な声。
誰に対して言ったわけではない独り言。けれど若奈は同感だなと心の中で思っていた。
明音はクラスの中心人物で、それに加えてリーダーシップを発揮することに長けていた。どこのクラスにもいるであろう種類の人間だ。けれど、クラスメイト達全員に言わせてみれば、明音はそれに加えて理屈の通っていない我が儘を言うため、頼りになるけれど同時に多少面倒くさい人間だった。
一言でいえば、リーダーシップに長けた、けれど少し我が儘な子。
誰もが——担任教師を含めたクラスメイト達全員がそう思っているであろう。けれど、それをあからさまに本人に言わないのは明音がクラスメイトに信頼されているからだった。
明音の行為は、頼りになるリーダーが時折見せる可愛い我が儘だと思われているのだ。
ただ一人、若奈を除いては。
四年前に開校された若奈と明音が通う中高一貫校。クラスの中でただ一人、明音と同じ小学校だった若奈を除いては。
- Re: 流れる涙は罪色で ( No.34 )
- 日時: 2011/01/09 18:43
- 名前: ルリ ◆qQ6wK6czCM (ID: yL5wamFf)
「ったく……。明日の朝には出せよ、絶対だ」
「はーいっ!」
ふざけた口調でピシッと真面目に手を挙げて返事をする明音。
席が後ろだから顔は見えないけど、ほぼ百パーセントの確率でしてやったりと言いたげな顔をしているのだろう。
あの時と同じように。
授業の開始を宣言し、教師は生徒たちから背を向け、真新しい白いチョークを手に取る。
そんな教師の背中をいつものように教科書とノートを生真面目に広げながら、若奈は見ていた。
授業が始まる数分の間で思い出したあの時の記憶を、必死に頭から追い出そうとしながら。
- Re: 流れる涙は罪色で ( No.35 )
- 日時: 2011/01/10 22:50
- 名前: ルリ ◆qQ6wK6czCM (ID: yL5wamFf)
「若奈もやるよね? わたし達、親友だもんね。……それとも——」
聞き覚えのある声が遠くから聞こえる。自分がよく知っている声。けれど、思い出せない。この声が誰なのか、何と言っているのか……。
「おい……」
ぼそぼそした霞がかった声が、先ほどより幾分まともに聞こえる。
「おい、起きろ!」
……起きろ?
「宮野、授業中だぞ」
「ふえ……?」
返事になっていない言葉が口からもれ、声のする、自分のすぐ横を見上げる。そこにいたのは社会科担当の初老の男性教師。
つまり、自分は授業中に寝ていたことになる。
若奈は覚醒した意識の中、怒られるのではないかと、思わずノートに目を落とす。丁寧かつカラフルな見やすい、若奈のノート。並んだ文字が途中からプツリと途切れている。黒板に視線を送ると、若奈がノートに写していない文字が黒板の大半を占めている。
「すみません……」
教師の視線とクラスメイトの視線を体中に感じながら、若奈は一回りも二回りも小さくなり、顔どころか体中が恥ずかしさで真っ赤になった。
「体調でも悪いのか?」
怒られるか、小言の一つでも言われるか。
そう考え、身構えていた若奈だった。しかし若奈にかけられたのは、そのどちらでもなかった。
「いいえ。普通です……」
心配されてしまったらしい。
今まで授業中に居眠りをしたことがないから、珍しいとでも思ったのだろうか。多分、十中八九そうだ。
「すみません」
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