ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ——となりの駄菓子屋さん—— お休みします
- 日時: 2011/01/17 20:35
- 名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
すいません、諸事情によりお休みします。
どうも、こんにちは!(目次からお読みになられた方がいいと思われます。)
電脳探偵部を書いていた空でございます!
今は改名をして黒という名前にしていますが、その時のお客様にももう一度、来て頂けたらいいなという思いがあります!
どうぞ、またごひいきにしてくだされば、幸いです!
初見様の方も、お久しぶりの方も、皆さんどうもお久しぶりです!
もうすぐで受験生になり、PC没収されてしまうという危機に立たされながらも頑張って執筆しております!
今回、またまた小説カキコに戻って参りました!
となりの駄菓子屋さんは、これぞダーク小説!という感じですw
これ以上は本編を見て確認してくださると宜しいかとb
それでは、どうぞお楽しみ下さい!(目次からお読みになられた方がいいと思われます。)
>>目次
序章 出会った場所>>1>>2
第一章 新聞部は今日も騒がしい>>3>>4>>5>>7>>8
第二章 霊感>>11>>12>>17>>18>>20>>21
第三章 トップ記事の行方は>>23>>24
第四章 ネタは突然に>>25
第五章 カーテンの先に>>26>>27>>28>>30>>35
〜お客様案内〜
※あなたが愛するあの小説を書いているあの人が、この「となりの駄菓子屋さん」を見ているかもしれませんよ!?※
Nekopanchi様
メイ様
献身様
ハチミツ様
黒猫様
星都様
〜Thanks for you〜
<2011.1.10.>
- Re: となりの駄菓子屋さん(復活) ( No.7 )
- 日時: 2011/01/12 22:08
- 名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
「あれ、帰るんですか先輩?」
彼女は新島加奈子。部長が見つけてきた優秀な新入部員だ。昨年の私のようにかなり期待の目をみんなから注がれている。「第二の始祖部愛華」などとも言われる始末であり、部長が新入部員発表の号外の記事のとき、トップを飾ったのはこの加奈子ちゃんだ。
普段はとても温厚で優しく、温かい笑顔が魅力的な人だ。
赤い眼鏡をかけていて、二つくくり。時々おさげにしている姿は全然昭和っぽくない。断じて違う。
隣どうしの席であり、話も合うことから結構親しくしている可愛い後輩だ。
「ちょっと部長と対決してて」
「対決!? 一体何があったんですか? まぁ、それなりに大声とか聞えてましたけど……」
やっぱり聞えてたのか……この間、私はゆっくりと壁に添って扉へと移動する。
「中身は聞えてないよね?」
「えぇ、全然。それにしてもどうして?」
「説明は後。すぐ出掛けなくちゃいけないし」
「ついていきましょうか? 取材ならお供がいるでしょうし」
加奈子ちゃんは立ち上がり、出口にいる私を心配そうに見つめる。
本当に偉い子だねぇ〜……。
「いや、いいよ。ありがとう。心だけ貰っとく。それじゃぁ!」
私は高々と右手を上げ可愛い後輩に対してかっこいい先輩を演じた。背後からいってらっしゃいという声を聞き流しながら(それと共に男子から「何かっこつけてんだ」という呟きに関してはしっかり理由を聞いておしおきしないとね)。
- Re: となりの駄菓子屋さん(復活) ( No.8 )
- 日時: 2011/01/12 22:09
- 名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
「ついに来ちゃったよ……」
私は肩に掛けてあるカバンを持ちなおす。
春の暖かい風が私の頬を撫でる。裏山の木々達がざわざわと囁くように揺れている。
これからこの意味ありげな建物に入るのか……もう二、三歩歩けば家なのに……。
私はこんなものを題材にしてしまったことを今頃後悔する。でも、たんか切っちゃったし……しょうがない。
その時、ガラガラと滑りよくスリガラスの扉が開いた。
そこからにゅう、とろくろくびのように出てきたのは、あの男の人だった。その途端、首筋が逆立つ。
「お待ちしておりましたよ。そろそろ来る頃かなと思っていたので」
男の人はにんまりと口の端を最大限にまで伸ばした。
それが「笑う」という動作に気付いたのは、丁度ベッドに入ろうとしている頃だった。
私はろくろくび——じゃなくて男の人に案内され、中に入る。
完璧な記事を書きあげるための取材方法、その一。中に入ったその背景などもしっかりとこの時点で手帳に書く。
中は私が子供の頃に入った幽霊屋敷とあんまり変わっていなかった。柱の隅には相変わらずの蜘蛛の巣、床はコンクリートで中央には駄菓子がずらり。端の壁にも棚がありそこにも懐かしい駄菓子やおもちゃなどが陳列されていた。
そうか、ここよく考えれば駄菓子屋さんだったんだ……すっかり忘れてた……。
けん玉とか懐かしいなぁ〜……よく子供の頃おばあちゃんに教えて貰ったっけ……。
でも、あの頃と少し変わってることがある。駄菓子を並べるための陳列棚が出てきたっていうのも変わったことだけど、それとはまた別。匂いが違う。
いつも子供の頃の幽霊屋敷の匂いと違っていて、全然カビ臭くない。この匂いは……。
あの男の人の煙管の匂いだ……。
私はゆっくりと目を細めて、男の人の背中を見つめた。
「そろそろ温かい春の風が吹いてくるようになりましたね」
男の人がゆったりとした口調で喋る。
「そうですね。つい最近まで身をちぢこませて学校に行っていたんですけど」
私が言うと、男の人はクスリと優しげに笑った。
「となりの駄菓子屋さん」というお店の内部は、初め見えるのは普通のコンクリートむき出しのお店、奥に進めば畳になっていてそこから靴を抜いであがるという形になっていた。
靴を丁寧に揃えて中にあがる。
「おじゃましま〜す」
「そこに座って下さい。今お茶を用意しますので」
男の人はそう言うと奥にある台所へと消えて行った。
畳の上にとても高級そうなソファとテーブルがある……二つセットになっているみたい。だけど、これどこかで見たことがあるような……。
「あの、すいません」
何か気になったらすぐに聞く。これ取材の鉄則。
- Re: となりの駄菓子屋さん(霊的) ( No.9 )
- 日時: 2011/01/12 22:32
- 名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
「何ですか?」
「このソファとテーブル、もしかしてここにあったものをそのまま使ってるんですか?」
男の人はニカッと笑った。
「よく解りましたね。そうです、そのまま使ってるんです」
こう言いながらゆっくりと湯のみをテーブルに置く。
ありがとうございます。
私はそう言うとゆっくりとソファに座った。
「このソファとテーブルがわかるということは、一度ここに来たことがあるんですか?」
「あ、はい。昔、よくここで近所の友達と遊んでいたんです。でも、その子達は校区がギリギリ違いましたので、中学校は別でしたが」
「それでは中学生ですか?」
「いいえ、私は高校生です。あ、申し訳ございません。紹介が遅れてしまいました」
私は警察手帳のようにブレザーの内ポケットから、学生手帳をだす。こんなことをするのは新聞部部員くらいしかいない。
「双葉学園高等部、新聞部部員二年、始祖部愛華と言います。今日、ここに来たのは取材を許可して貰うためなのですがよろしいでしょうか?」
すると、男の人は静かに目を細めた。
「なるほど……学生らしくていいですね。取材なんて全然構いませんよ。私の名前は猫又志郎と言います。ここの駄菓子屋店長でございます」
猫又志郎——か……。
完璧な記事を書きあげるための取材方法、その二。取材先とその方のお名前はしっかりと手帳に記入。
「どうぞよろしくお願いします」
猫又さんが手を差し出してきたので、私は慌てて握手をした。
冷たくて、空気を掴んでいる感じだった。
完璧な記事を書きあげるための取材方法、その三。ここからが新聞部部員の腕の見せ所。ここからの質疑応答の会話を一言も漏らさずにすばやく手帳に記入する。自分だけが読めるように主語、述語などは書く、その他のものは適当だ。だてにトップ記事常連じゃない。
私は胸の高鳴りを抑える様にペンを握り込んだ。これからどんな答えが返ってくるのか楽しみだ。
「それでは質問をしますが、大丈夫ですか?」
「ええ、いいですよ。いや、その前に」
猫又さんがゆっくりとソファに座ったまま後ろへ体を持っていく。少し脱力。出鼻をくじかれたみたい……でも、熱を冷ましてくれたのは幸いかな。
猫又さんは前へ向き直り、羽織りの着崩れを正した。彼の手には煙管が持たれていた。
「どうぞ、始めて下さい」
- Re: となりの駄菓子屋さん(霊的) ( No.10 )
- 日時: 2011/01/13 16:59
- 名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
作者あげ。
- Re: となりの駄菓子屋さん(霊的) ( No.11 )
- 日時: 2011/01/13 17:03
- 名前: 黒 ◆IZUTPCz4Po (ID: Aw5kQYTw)
- 参照: 第二章 霊感
そういうと煙草盆の炭火に雁首を近づけて火をつけた。そしてゆっくりと吸い、上に向かって吐き出す。
煙が上に向かってゆらゆらと舞い上がる。昨日と変わらない鼻をくすぐる匂い……。
「この煙はとてもいい匂いでしょう……煙草が嫌いな方もこの煙管の匂いなら、と思われる方もいらっしゃると思います。あなたは煙草の煙、好きですか?」
猫又さんは、視線を下に落として尋ねた。
「大嫌いです。でも、この煙管の匂いなら好きになれますね」
私は笑顔でいうと、猫又さんも笑顔を返した。
なんかいい人っぽいな……でも、気味悪いのは変わらないかも……。
「僕も現代の煙草は嫌ですね……下品で仕方ありません」
また上に向かってゆっくりと吐く。一応マナーは守ってくれているみたいで、煙が私達間を充満することはなかった。
おっとりと煙を見つめ、匂いを堪能する……おっと、こんなことをしている場合じゃない。長居は無用だ。
遅くなってしまいました、それでは始めます。
「あ、すいません。急に話を途切れさせてしまって」
「いえいえ、何も問題はありませんよ。いつごろここにお引っ越しなされたんですか?」
私は手帳にあらかじめ書き記してある質問事項を読んだ。
「昨日ですかね。お昼ぐらいにこの三毛市についたんだと思いますよ。それでそのまま荷ほどきをしていたんです」
なるほどね。
猫又さんの応答を手帳に書き写していく。
「なぜ、この三毛市に駄菓子屋を開業しようと思ったのでしょうか? もっと人口が多いところに行けば子供もたくさん来るでしょうに」
「とても自然が身近にありのどかで……こんないい所はありませんよ。それにここが空き家だったっていうのも要因ですかね」
猫又さんは煙管を指先で器用に回しながら、湯のみに手を伸ばした。