ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 僕たちの求めた絶望色〜white story start〜
- 日時: 2012/01/04 16:39
- 名前: 色茱萸 (ID: lkF9UhzL)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id=901
素敵表紙絵は朔様に書いていただいたものです。
只今連載しているものは(白編)です、赤編は無事完結しました!
初めまして&お久しぶりです!元、愛鬼茱萸だった色茱萸です!!
今回は『色』をテーマにした小説を書こうと思います。
それでは!注意書きに…
・荒らし、チェンメに来たよん♪
・色茱萸(の小説)嫌い〜…
・死ネタ・グロは無理だぁ!!
ていう以上のどれか一つに当てはまる人はバックしたほうがよろしいかと…
では始まります!
物語は大きく分けて三つです☆ややこしくなってしまったら気軽に聞いてくださいね♪
コメよろしくお願いします!
>>1 *赤編*プロローグ 翡翠様の素敵詩 >>70
>>7 *第一話* 山下愁様の素敵宣伝 >>100
>>31 *第二話* 朔様の素敵絵 >>121
>>34 *第三話*
>>39 *第四話*
>>44 *第五話*
>>48 *第六話*(挿し絵有:sky様)
>>53 *第七話*
>>60 *第八話*
>>61 *第九話*
>>63 *第十話*
>>65 *第十一話* (挿絵依頼中♪)
>>67 *第十二話*
>>68 *第十三話*
>>69 *第十四話*
>>71 *第十五話* (挿絵依頼中♪)
>>74 *第十六話*
>>83 *第十七話*
>>88 *第十八話*
>>89 *第十九話*
>>97 *第二十話*(挿し絵有:sky様)
>>98 *第二十一話*
>>101 *第二十二話*
>>102 *第二十三話*
>>103 *第二十四話*
>>105 *第二十五話*
>>106 *第二十六話*
>>108 *第二十七話*
>>114 *第二十八話*
>>119 *第二十九話*
>>120 *第三十話*
>>122 *第三十一話* (挿し絵有:めこ様)
>>123 *第三十一.五話*
>>124 *第三十二話&エピローグ*(挿し絵有:ひまり様)
-fin-
*白編*
>>126 *プロローグ*
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- Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜 ( No.102 )
- 日時: 2011/04/27 20:37
- 名前: 色茱萸 (ID: wJNgr93.)
第二十三話
春には償い終わった。
次はディアーブルのところへ償いに行かないと…
私は霊化した自分の身体をふわふわと漂わせながら
春とは別居しているディアーブルのもとへ向かおうとした。
(あ、そういえば私、ディアーブルの家知らないんだったわ…)
未だに濡れている頬に手を当て、
私は首を傾げる。
(あれ?私、どうして泣いているのかしら———…)
どうやら何かの記憶を失っているらしい。
———なにを、忘れたんだろう…
思い出せずに暫く空中を漂っていると
いきなり強い力で身体を引っ張られ、
ものすごい速さで前へ進んでいった。
「え!?な、によォ!」
引っ張られるというより引き摺られるといった方が正しい。
私は多少気持ち悪くなりながら
必死に抵抗した。
もっとも、慣れない霊体のせいで
抵抗らしい抵抗など出来はしなかったが。
引き摺られながら着いた場所は、
小奇麗なレンガ造りの一軒家だった。
家の壁には緑の美しい つたが、
広い庭には綺麗な花が所狭しと生えている。
まるで西洋の世界に来たようなその佇まいに
私は一瞬見とれてしまった。
「綺麗…でもここって、どこなの?」
見えない力に訊ねてみたが、返事は返ってこないだろうと
自分で呆れてしまった。
「…こは、…アーブル…家」
「……へッ?」
すっかり脱力し切っていた私は
かすかに聞こえてくる声の話の内容を
きちんと聞き取ることが出来なかった。
「ちょっと、もう一度言ってもらえる?よく聞こえなかったわ」
「ここは、ディアーブルの家って言ったの」
聞き覚えのある声。
この声は…
「歩武さん!?」
「うん。気になったから様子見てる。あの部屋からだけどね」
「そうなの…良かった〜…」
意外な声の正体に、私は驚いたのと同時に
強い安心感を覚えた。
ふうっと溜息をつく私に向かって
歩武は声を発した。
「…頑張ってね。本当の本当に、私とはもうお別れだね」
少し寂しげに呟く歩武に、私はニコッと微笑んで見せた。
「大丈夫よ!きっと新しいお気に入りが来るわ。すぐに…。…さよなら、歩武さん…」
「うん。ま、死んでたらまた会えるからさ。生まれ変われなかったら…」
「…そうね」
「そういえばひとつ言い忘れてたんだけど、美紗ちゃん記憶が無くなってるでしょ?それはね、死者からも生きている人同様に記憶が失われてしまうからなんだ」
困ったような声の歩武に私は問う。
「え?じゃあ私、誰かの記憶がないってこと?」
「うん…別に思い出してみたいっていうなら記憶返してあげるけど?」
「…そんなに軽いモノなの?」
「うん。じゃ、戻してあげるね〜」
それだけ言うと歩武は何をしたのか、
私の身体が光り始めてしまった。
とりあえず目を瞑り、歩武が声をかけてくれるのを待った。
「もういいよ、おしまい」
「ひッ!!ぅぁあああ゛あぁッ!!!」
どうしたんだろう…
いきなり色んな記憶が戻ってきた。
そっか…
私、春に償った後だったんだ…
「ありがとう、歩武さん。思い出したわ」
「いいよ、じゃあね…」
歩武の声が聞こえる方に向かって
私は大きく手を振った。
彼女の声が聞こえなくなるまで、ずっと…
「ありがとう、歩武さん。貴女も私の友達よ…」
そう言うと、クスクスと歌うような声が
風に乗って聞こえたような気がした。
「さぁ、ディアーブル。待ってなさいよ…私が今から懺悔しに行ってあげるんだから…直々に」
- Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜 ( No.103 )
- 日時: 2011/04/27 20:38
- 名前: 色茱萸 (ID: wJNgr93.)
第二十四話
(ど〜して私がアイツに謝らないといけないのよ。)
ディアーブルの家に入って早々、
私はそんな気持ちになってきた。
家の中はどこがどうなっているのかさっぱり分からないほど広かった。
当然そんな状態なのだから、
ディアーブルなど見つかるはずもなく…
「無理!無ぅぅ理ぃぃい!!」
早々に断念してしまったのだ。
思わず大声を出してしまい、
咄嗟に両手で口を覆う。
———まあ今のでディアーブルも気づいてるんじゃないのかしら?
案の定、二階のほうから足音が聞こえてきた。
ゆったりとしたものだったが、足取りはとても重いように感じられた。
「…誰だ?」
降りてきたディアーブルは
長い黒髪の隙間から目を出して
周りの様子を伺っていた。
(ッホラー…!)
生気の失ったその表情に
思わずゾッとした私はそう思ってしまった。
「…いないんですか?」
再度確かめるように訊ねるディアーブルに
私は怯えながらも近づいていった。
立ち尽くしたままのディアーブルの前に立つと
私はスーッと自身の姿を現していった。
途端に顔面蒼白になっていくディアーブル。
私を見下ろしたまま何かを言いたげに
口をパクパクさせていた。
「久しぶり、ディアーブル」
「ッみ、さ…?」
「フフ、春と反応が同じね。さすが親子だわ…」
皮肉ではなく、素直に微笑みながらそう言うと
ディアーブルは目を見開いて私を見つめた。
そして私の肩に手を置こうと手を伸ばすが
当然触れることなどできない。
「…美紗は、死んだ…んです、か?」
「うん、そうみたい。触れないでしょ?」
無言で頷くディアーブル。
俯き加減の彼の目の端が、うっすらと光っている。
「…美紗…ッ!あの時は、本当に悪かっ…ッぅ、くッ…」
それ以上は嗚咽で言葉にならないらしい。
片手で目を覆いながら、次々と溢れ出る涙を拭う。
「私はね、正直あなたを殺してしまいたいわ。この手でね…謝って欲しくもないの。私が欲しいのは、春の笑顔よ。それ以外、もう望む気にもなれないわ…」
これは、本当のこと…
「大っ嫌いよ、あんたなんて。死んでしまえ…」
これは、嘘。
泣きながら私の顔を覗き込むディアーブル。
どうやら春の癖は、このディアーブルの仕草からきているらしい。
私は少しぼやけてきた視界を不快に思いながら、
静かに言った。
「自分だけ泣くなんて、ズルイ…」
「……なら美紗も、泣けばいい。気が済むまで…春のところでは、上手く泣けなかったんでしょう?」
頬を濡らしている割には、ハッキリとものを言うディアーブルに
少しだけ、なんだか安心した。
力を抜くと、涙腺も緩んでしまって
気づくと大声を上げて泣いていた。
「…ふッ…ぅぇえ゛!うあ゛ぁぁぁああ゛ッ!」
「……大丈夫、美紗のために…春を笑顔にするから…」
触れられないけれど、ディアーブルは私を抱きしめる。
そこから伝わってきた体温は、
父親の子を想う温かいものだった。
「…私のためじゃなく…ッひっく、春のために…頑張るのよッ!春を想ってあげて…!」
これだけ言えば
もう満足…
ディアーブルと春。
仲良くなってくれるかな?
もう消えないといけないけれど、
思い出してくれるかな?
結局、ディアーブルに謝らなかったなぁ…
これって償い、失敗なのかな?
また、ふたりに…
春に
会えるのかな…?
忘れないでね?
私のこと…
思い出してね?
さようなら、春。
大好きよ…
また、色んなところへ
連れて行ってね?
さようなら、ディアーブル。
生まれ変わったら
また殺しに来るからね…?
だから
思い出してね…?
私をきっと
思い出してね……—————
- Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜 ( No.104 )
- 日時: 2011/04/27 20:42
- 名前: 色茱萸 (ID: wJNgr93.)
文字数オーバーになってしまったので
二つに分けましたww
続けて読んでも、分けて読んでも
支障はないと思います♪
でゎ☆
- Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜 ( No.105 )
- 日時: 2011/05/17 21:58
- 名前: 色茱萸 (ID: QSUq1i9f)
第二十五話
あの後、春とディアーブルの記憶から
私の存在が消え去った。
その後の春は、
私のことなんて初めからいなかったみたいに
あの落ち込んでいた様子が嘘だったかのように
笑いながら学校に通っていた。
ディアーブルは結局、自分から警察に行って
全てを話し、今は刑務所で暮らしている。
相変わらず紳士的だったけど。
私は、春にもディアーブルにも思い出してもらえないで
未だにフラフラ彷徨っている。
歩武さんのところへ行けばいいんだろうけど
それは思い出してもらうのを
諦めてしまうみたいだからやめた。
* * * * *
〜ディアーブル改め、ディア視点〜
「おいディア、どうしたんだよボーっとして。次の当番、お前だろ?」
「あ、あぁ…なんだかさっきから思い出せなくて…」
なにを?と聞いてくる刑務所仲間の直哉に
僕は頭を抑えながら答える。
「忘れてしまったんだ。すごく、大事な人のことを…」
「は?何で大事な人なのに忘れるんだ?」
「それが分からないから困ってるんですよ」
多少睨みつけながら言うと直哉は
「へぇ〜…ミステリアスだな〜」
と呑気な口調で返してきた。
「おい!そこの二人、サボってないで働け!」
突然遠くから看守の怒鳴り声が聞こえてきて、
僕らの話はそこで一時中断してしまった。
「じゃ、また後でな〜」
直哉とは同じ部屋の仲間(?)同士で、
いつも何かあるごとに絡んでくる。
飽きないのだけれど少しうるさい彼は
暗い過去を持っているらしい。
彼の過去、全く興味がないといえば嘘になるが、
僕の過去を直哉が聞いて来ないのなら、
僕も彼に聞くわけにはいかないだろう。
僕の罪は殺人罪。
この刑務所から、もう一生出る事ができないらしい。
春はどうしているだろうか。
元気でやっているかな?
そしてもう一人…
誰だったんだろう。
春と同じくらい、それ以上大事だったあの彼女。
名前どころか、その容姿さえ全く思い出せないでいる。
けれどなにかが引っかかるのだ。
彼女はそう、
もういない。
死んでいるのだ、あの子は…
そこまでは分かっているのに、他のことが思い出せない。
「お〜い、もう終わったぞ?いつまでここにいるつもりなんだ〜?」
「…直哉、いつの間に…」
「お前が、こうやって考え込んでいる間に、看守たちも、呆れて帰ったぞ」
大げさに動き回りながら途切れ途切れに直哉は言った。
「そうか、とりあえず部屋へ帰ろう」
直哉の這うような動きを無視しながら
僕は寮へと歩いていった。
* * * * *
「んで?その女の子が誰か分からずに悩んでたのか?」
くつろぎながら聞いてくる直哉に
僕は小さく頷いた。
「名前が思い出せたらいいんだけど…」
「じゃあ順番に言っていけば?あいちゃんあうちゃんあえちゃん…」
「終わるのか、それ…」
バカみたいな提案をしてくる直哉を睨みつけるけれど
それに気づかずに彼は必死で念仏のように名前を言い続ける。
そしてある場所で、僕は違和感を覚えた。
「みき、みく、みけ、みこ…みさ」
「ッ!止まれ直哉!!」
「え?」
「お前今、最後の名前…なんて言った?」
聞き覚えのある名前。
尋常じゃないほどの懐かしさを覚える。
「み、みさ…?」
「それ、だ…美紗…美紗だよ!」
僕があの時動かなければ
美紗は死なずに済んだのだ。
僕が…
殺した。
「…ディア?どうした?」
「思い出した、何もかも…でも、今更だよな…ここからはもう…出られないんだから」
* * * * * * *
私のことを思い出したのは
一生涯憎み続けた
父親でした。
あの子じゃなかった…
楽しみにしていた
私の第二の人生は
一気に奈落へと落とされてしまったように
ショックなものでした……————
- Re: 僕たちの求めた絶望色〜赤・白・黒〜 ( No.106 )
- 日時: 2011/06/12 20:23
- 名前: 色茱萸 (ID: ncyYlurw)
第二十六話
「良かったじゃん、思い出してもらえて」
私と同じように霊化してしまった彼女たちが
周りでケラケラと楽しそうに笑った。
私が今いるここは、黄泉の国と言って、
死後ほとんどの善良な人たちが
連れてこられる場所だ。
重罪を犯してしまった私は、死んでからすぐには
ここに来られなかったのだけど。
先程ディアーブルが私のことを思い出してくれたようで、
新たに生まれ変わるために私はここへ連れてこられた。
春が思い出してくれれば、きっと飛び上がって喜んだのに…
「まぁそんなに暗い顔しないでよ。もう一回、貴女は生きるチャンスをもらったの。彼に感謝しないと」
「そうよ、私たちなんてもう一生、生き返ることなんて出来ないんだから。…あ、此処でお別れみたいよ。じゃあ、楽しんで生きるのよ」
血にまみれた彼女たち。
一体何があって、あんな姿になったのだろう。
消えていく彼女たちを見届けながら、ボーっとそんなことを思う。
私…
生まれ変わったらどうなるのかな。
自分じゃなくなるのに、
春もきっと分からないかもしれないのに、
生きる意味なんて、ないんじゃないの?
どうして私は生きるの?
ただ普通の、いつも通りの日常が
退屈に過ぎていくだけ。
そしてまた、年をとって死んでいく。
そんなくり返しの人生なんて、
誰が欲しい?
私はいらない。
春以外、生きていく意味を知らない私には
そんなものいらない。
どうだっていいのよ、もう…
『次の者、自身の成り行きを申してみよ』
何やら得体の知れない人型の様なものが
私に話しかけてきた。
少し経ってその言葉の意味を理解した私は
その生前の事と、今の状態を口早に言った。
『そうか、御主は悪人なのじゃな。…ふむ、歩武の紹介で生まれ変わるのか。よし、御主に新たな人生をくれてやる。閻魔の間へ行くがよい』
「…はい」
閻魔の間ってどこだろう。
そう思い周りを見渡してみると、
すぐ隣に閻魔の間と書かれた大きな扉があった。
遠慮がちに扉を開くと、
私の身体は一瞬光に包まれ、その後すぐに消え去った。
魂だけになったのだ。
ふわふわと浮いている私の前に
一人の可愛らしい少女が現れた。
『その身体が今日から御主の本体じゃ。移るがいい』
先ほどの得体の知れない物体の声が、閻魔の間に響く。
———これが、私の新しい姿…
以前の自分とは似ても似つかぬその可愛らしい姿に
少々乗り移るのを戸惑ってしまった。
だがその戸惑いも時間にしてみれば3秒もないものだった。
私はスッとその身体へと入っていった。
* * * * * *
気がつくと私は
見慣れた建物の前へ立っていた。
「ここって…」
生前、ずっとお世話になっていた施設だった。
中からはワイワイと子供のはしゃぐ声が聞こえてくる。
「懐かしい…。私、生まれ変わっちゃったの…?」
あの時と、何も変わっていなかった。
少し錆び付いた窓枠と、
小さな木造りのベンチ。
真っ白な壁に伝う、鮮やかな緑の蔦。
全てが変わっていないのに、
私だけが変わってしまった。
私はもう、『美紗』じゃない。
誰?
じゃあ、私は誰なの?
これからどう名乗ればいいの?
知らない。
なにも分からない。
私はこれから
どう生けていけばいいの?
…どうしろっていうのよ…
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