ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 私と清田くんとあとひとつ【目次かいたよっ!よっ!】
- 日時: 2012/12/19 22:19
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: w1J4g9Hd)
※この小説はいつ更新するか分かりません。僕と戸口さんともうひとつの番外編で更新率は揶揄菟唖の小説の中で一番低い物と考えてください。
+目次+
『そして音が消える。』>>1⇔
『確かにそこにいた。』>>4⇔
『酷く脆いその花。』>>7⇔
『世界を閉じ込め包むそれ。』>>12⇔
『物を語ること。』>>14⇔>>43
『それを巻く手はもう痺れているけれど。』>>16⇔>>40
『もう誰もいない。』>>19⇔>>39
『一方通行の話。』>>26⇔>>38
『夜明けを飲み込む。』>>32⇔>>37
『二人が重なる時。』>>34⇔
途中までの題名解説(更新予定無し)>>20
- Re: 私と清田くんとあとひとつ【目次かいたよっ!よっ!】 ( No.39 )
- 日時: 2012/01/15 14:32
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: S15uwbP1)
- 参照: テスト終わったーーーーー!!
私と清田くんと隣のキミ
その日は雨が降っていた。
それも豪雨ではなく耳に優しく入り込むような音を奏でる、雨。
私はそんなことはどうでも良かった。
私はただもう、何も考えないんだ。
私は決めた。
アイツのために生きる。
アイツはもう戻ってこない。
そんなことは知っている。
でもやっぱり。
「………」
さっきから隣の視線が五月蝿い。
視線が五月蝿い、何て表現あるのかな、なんて考えてみた。
仕方なくノートをとる手を休めて隣へと視線を送り返す。
するといつものようにそこには清田くんが居た。
当然だけれど。
清田くんは腕枕を作り私を見上げるように見つめていた。
「………何?」
少し冷たく言う。
だって私は悪いけど清田くんなんかに構っている余裕は無い。
私はやらなくてはいけないことがある。
「………いやぁ、がんばってるなぁ、とおもって」
清田くんはと惑う様子も微笑む様子も見せずに呟いた。
このくらいの声量なら教師に聞こえる心配もなさそうだ。
それに教師は今、ずっとしゃべっていた女子生徒に嫌味を言っているからこちらを気にする素振りは見せていないし。
「………おかしい?」
私は清田くんにそう問いかけた。
自分でもわからない。
コレは可笑しいの?
アイツのためにこうすることは変なの?
なんで清田くんに聞いたのかはわからない。
どうしてだか、清田くんなら正しい答えをくれそうだった。
私を助けてくれそうだった。
ただ、それだけ。
清田くんを利用しただけ。
「………そうかもね、どうしたの?」
清田くんの表情は普段からあまり変わらない。
でもなんでか今は分かった。
バカにしている。
私を。
アイツをも。
それに怒りを覚える権利は果たして私にあるのだろうか。
「………」
ない。
きっとない。
そんなものアイツが生きていた頃だって、今なら尚更、ない。
「あ、のね………アイツが死んじゃったから………」
私は今にも泣きそうだった。
そう。
アイツはもういない。
私の隣の席にはもう誰もいない。
誰を責めていいかわからない。
ないないない。
何も無い。
私には、何も。
アイツだけが私の『何か』だったのに。
アイツがいれば私はそれでよかったのに。
「後悔してるの?」
容赦ない清田くんに私は眉間に皺を寄せる。
優しくないね。
アイツと違って。
そうやって私はもう無い影を探す。
清田くんがカワイソウだよね。
私の脳内でもういない人と比べられているんだから。
「………どうして………アイツなんだろう………」
私の胸に変なものが込み上げてきた。
コレはなに?
なにも無い私の中から何が込み上げてきているの?
それを吐き出していいんだろうか。
ダメだろうな。
きっとそれをアイツは望んでいない。
「別に、アイツじゃなくて………」
ダメだろうから。
私はそれを飲み込もうと机にシャーペンを突き刺した。
何度も、何度も、繰り返す。
「………私でも………別に………よかったのに………何の取り柄のない私でも………」
苦しかった。
このことは誰にも言わないようにしようって思っていた。
でも私はまた救われたい。
誰かに救って欲しい。
だらだらと口から私の弱みがあふれ出す。
「だから、私………アイツがしたくてもできなかったこと………やろうって思ったの」
それが何か、知らないくせに。
清田くんの目線は私にしっかりと向いていた。
ねぇ、よかったよ。
清田くんの席が左隣で。
だって私の右側には嫌な物しかない。
そっちを見なくていいから。
向き合わなくていいから。
「じゃあ、」
清田くんは何かを言いかけて飲み込んだ。
偉いな、清田くん。
私はこんなにだらしないっていうのに。
でもその続きは聞かなくて良かった。
まだ知らないフリを続けていられるから。
〜end〜
- Re: 私と清田くんとあとひとつ【目次かいたよっ!よっ!】 ( No.40 )
- 日時: 2012/07/27 19:07
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
- 参照: http://スカイプやってますよー興味あったらお気軽に
私と清田くんと約束された日常
『我輩は、猫である』
この言葉から始まる小説を、私はこの間読んだ。
読書は好きじゃないけれど、猫は好きだから。
違う。私は、猫は好きじゃない。あの子が、好きなだけ。
今日も暑いな。汗をぬぐいながら、道を走る。あの子を探して、走り回る。
蝉がうるさい。ときどき振り返りながら、走る。
汗がひどい。帰ったらシャワーを浴びよう。
「清田くんっ!」
彼の名前を呼ぶ。彼の名前は、私が付けた。変な名前だけど、子供のころにつけた名前だから、特に由来は無い。
昔から私は変な子供だったから。
私の声に応えるように、日陰から彼が現れた。
「あ! いた!」
彼は歩いて、のんびりと私に近づく。私も同じように彼に近づいた。
「ただいま!」
私が言うと、清田くんも鳴き声を漏らした。私を迎えてくれているようで、嬉しくなる。
清田君は私の足に寄り添う。野良猫は汚いっていうけど、清田君ならいいや。汚くないよ、きっと。
「今日はね〜」
清田君は、私の話を聞いているかのように、じっとしている。話が終わるまで、居てくれる。興味無いだろうけど、聞いているフリをしてくれる。
優しいなあ。
そんな日が、ずっとずっと何年も続いてきた。私が赤ん坊の時から、ずっと。
「あ、そうだ」
喋るのを止めて、彼に顔を近づける。
「最近ね、よく野良猫が殺されちゃってるんだって」
ここの近くで。原因は不明。何かで引き裂かれたように、無残に。誰にも気づかれず。
私は彼の鼻を指でつついた。
「だから、キミも気を付けてね。……キミが死んじゃったら、淋しいよ」
彼は、しっぽを揺らす。嬉しいの。
私と一緒に居るの、嬉しいの。
私も、嬉しいよ。
「……そろそろ帰るね。また明日」
また明日も、ずっとずっと君は私の前に現れるんでしょう。ずっとずっと、一緒に居るんでしょう。
しばらく歩いて、振り返る。
彼はまだ、私に尻尾を振っていた。
+ + + +
「ただいま!」
暑いね、今日も風がない。
清田くんはまたここにいる。
「昨日、また野良猫が殺されちゃったんだって……」
淋しい話だよね。
本当に、悲しい話だ。
こんなに哀しい話ことをするのは、誰?
ねえ、清田くん。
「……キミも、仲間がいなくなっちゃって、淋しい?」
キミは笑うの。
幸せだなぁ。
私も、幸せだよ。
キミが生きていてくれて嬉しいよ。
〜end〜
- Re: 私と清田くんとあとひとつ【目次かいたよっ!よっ!】 ( No.41 )
- 日時: 2012/09/17 20:08
- 名前: ほろ ◆HmHRcIcnVg (ID: kOmP6qDh)
久しぶりに来てみたらタイトルが新しくなった戸口さんを見つけて、
しかも戸口さん視点の話が更新されていて、すごく驚きました。
この名前では本当にお久しぶりです、ほろです。
もう4話分も書いておられたのですね…!更新お疲れ様です。
この4話の中では特に私と清田くんと24の記憶が好きです。
記憶は無くても、やっぱりどこかで憶えてるんでしょうね…
二人とも報われないなぁ。読んでいる自分も少し胸が痛くなります。
他の話も更新されるのかなー…そうであってもなくても、また読みに来よう。
スペースお借りしました。
これからも応援してます。
- Re: 私と清田くんとあとひとつ【目次かいたよっ!よっ!】 ( No.42 )
- 日時: 2012/12/19 22:03
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
いらっしゃいませ、返信が遅くなってしまい申し訳ありませんでした
はい、ちまちま進めておりましたw
そうですね、24の奴は私も結構好きです!
胸を痛ませたいです!
だらだら続けていくんで、生暖かい目で見てくれると嬉しいです!!
ありがとうございます!!
本当に力になります!
- Re: 私と清田くんとあとひとつ【目次かいたよっ!よっ!】 ( No.43 )
- 日時: 2012/12/19 22:18
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)
私と清田くんと決められた結末
主人公になった。この物語の主人公になったのだ。
私はそれを知った時、真っ先に伝えたい人が居た。
私の大切な人。私だけをいつも見てくれる人。
『自分はいつも物語の主人公なのだ』。
よく大人に言われたこと。
街で起きる連続殺人犯の被害者。それが今の主人公。
だから私は。
「ねぇ、きいてよ」
いつもの清田くん。もう清田くんは私のことを見てくれないんだな。
そう思うと寂しい。
涙をこらえて、わざと笑ってみせる。
私は知っているんだ。私の運命を。
「あのね、『主人公』になったんだー!」
ぽかんとする清田くん。
きっと悲しんでくれるだろう。
私が主人公になったことを彼は悲しんでくれるだろう。
とっても優しい。私の大好きな清田くん。
そんな清田くんに殺されるために、私は主人公になった。
そう言ったら彼は怒るだろうか。
〜end〜
一応、解説。
連続殺人犯は清田くんでした。
主人公が決まるこの町の決まりを崩そうとやけになっている感じです。
あれですね。
この解説がいらないような文を書けと。
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