ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Black Crow —黒い鳥たち— 完結しました! 
日時: 2011/06/19 10:13
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)

—時代は3000年、
       第三次世界大戦の終わりと共に
世界は闇に満ちた、それでも光がぼんやりと見える月夜の世界になった

—その時代から100年後の世界
         『黒い鳥』と『白い鳥』が戦っていた世界—

—そんな世界を変えるためには
          誰かが立ち上がらなければならなかったのだ

こんばんは、はじめまして・・・ヴィオラと申します。
今回は『Red MoonNight』の続編のようなものです、能力者の戦いということを書こうと思ってます
掲示板の基本的は守ってください!
よろしくお願いします^^

★訪問者リスト★



★有難う御座います★

『黒い鳥(能力者たちのことを言う)』

「はぁ?俺は俺、お前はお前だろーがっ」
★烏丸 紅条(からすまる くじょう) ♂ 17歳
能力『最大限の力の発揮』、性格は怒るとき以外は怖くない人間だが自分の能力が怖いということについて悩んでいることもあったりする・・・能力を使わなくても運動神経はある。
『黒い鳥』では戦闘部にいることが多いようだ、ちなみに顔は結構いいほうだからかモテる・・・かもしれないけれども性格のこともあって友達も元々少ない
コードネームは『黒鴉』

「おはよう・・・ん?あぁ、眠いけど仕事ですよ〜。」
★八犬 舞鶴(やけん まいつる) ♀ 15歳
能力『影を操る』、性格は温厚で優しいけれどもあまり感情を出すことはないようだし人と触れ合うこともあまりないようだ・・・これには過去のことも色々とあるらしい。
『黒い鳥』では戦闘好きなところもあるからか戦闘部に居ることも多いが医療部で色々と知識を持っているわけではないのだが手伝っていることもある。顔は小動物系
コードネームは『妖影』

「俺ぁ、そんなことでお陀仏になるつもりねえんだ^^」
★天橋 黒鷲(てんきょう くろわし) ♂ 不明
能力『シールドを貼る』、性格はオッサンッぽいところもあるけれど隠れサディストで江戸っ子口調を話している謎の多い男性だが顔は結構美形であったりする。
『黒い鳥』ではシールド能力ということで医療部とか情報部を行ったりきたりしていることが多いのだが戦闘部にいたりすることもある。戦闘時は顔を見せないようにと仮面を被っている
コードネームは『神樹』

「仲間のため・・・ていうのもありだよね?」
★白鳥 日向(しらとり ひゅうが) ♀ 15歳
能力は『電気の操作』。普段は大人しくて冷静だが本当はちょっと不器用で隠れサディストだったりするところがある、ちなみに電気製品とパソコンにはつかいなれていたりするので機械音痴ではないところから情報部にいることが多くて情報屋のよな活動をしている。
コードネームは『冬将軍』

「・・・我輩に何か用でもあるか?」
★吉野 黒狼(よしの くろおおかみ) ♂ 15歳
能力は『能力のコピー』、ちなみにコピーということで無能力であったりすることもあるが体力も一応あったりするし能力を使うよりかは銃を使うことのほうが多かったりする。
普段は無口で冷静な奴だが銃を持たせたらなんか人格が変わったりする
コードネームは『月狼』

*神居 秋冬(かみい しゅうとう) ♀ 不明。
能力は『不死身』、爆破能力は前作のアレでなくなっちゃったらしい。ちなみに詳しくは前作『Red moonNight』を読んで((爆破
3100年前よりは性格は明るく人にも優しく自分を守ることも出来るようになった、色々と狙われている。
コードネームは『火鳥』

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Re: Black Crow —黒い鳥たち—   ( No.41 )
日時: 2011/06/15 22:46
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)
参照: 何か憑かれてる!?


15.右手には大切だった人


「・・・嬢ちゃん・・・アンタは裏切り者れ・・・すっ!」

「・・・負けるつもり・・・ないわよ・・・・っ!」

「・・・アンタが・・・負けるのっ・・・!」


剣と刀が重なり合い、金属同士が重なる音が静かな森に木霊した

そのまま後ろにさがりはじめるツヴァメにニヤリと軽蔑するように笑った妖影はそのまま影を少しずつ伸ばし始めた、そのままだんだんと油断をしないように避けながら影は真っ黒く妖影の動く場所から広がっていくといつのまにやらツヴァメの刀は妖影の腕を掠っていたことに気がついてすぐにツヴァメに向かって影を振り掛けるようにする。

そのままツヴァメは見えなくなってから妖影は自分の影で自分を持ち上げてから上から縛られていくツヴァメを見ていた、そしてそのまま力強く動けなくなっているツヴァメを締め付けていくとツヴァメの意識はなくなりはじめていた

そして妖影はとある記憶を思い出していた・・・


『ずっと、一緒だよね?』

           『あったりまえよ。』

『・・・よかった』

         『急にどうかしたの?』

『約束だよ!』

       『うん、絶対に友達だって約束っ^^』


『舞鶴、私と友達になってくれて有難う。』

              『嬢ちゃん、大好きだよ!』

妖影はそのまま自分の影に埋め込まれるように沈みこんだ、感情によって影が操りにくくなってきたことに気がついたがすでにツヴァメの意識は闇の中だった


—何で、こんなことしちゃったんだろ。

           約束・・・破っちゃった・・・

 ごめんね・・・ごめんね・・・

           さようなら・・・嬢ちゃん。

 大好きだった
        嬢ちゃん—


「・・・ごめんらさいっ・・・!」

そのまま闇が融けるように妖影の中にほとんどの影が入り込んでからもうすでに意識のないであろうツヴァメの髪の毛に触れていた、砂が少し付いているが藍色のあのずっと前のツヴァメと同じだということに懐かしいおもいを抱えていたがそのまま罪悪感に頭の中がぐるぐると駆け巡ることに耐え切れずにポケットから新品のナイフを取り出して妖影の心臓を突き刺そうとした途端に揺れを感じた。

それはすぐ近くから聞こえていることに気がついてから崩れるような音がしたのですぐに身動きを止めて安全な場所へとツヴァメを移動させてから座り込んだ、いつのまにやらツヴァメの意識も回復していたがもう戦うつもりはないようだった


「・・・やべぇ・・・すぐ近くらよ。」

「大丈夫よ、きっとすぐにおさま・・・今、崩れた音がしなかった?
しかも・・爆発音みたいなのも・・・」

そしてそのまま木が揺れて砂埃が吹き荒れて周りが見えなくなっていたことに気がついてからは急に記憶が飛んだように二人ともすでに意識はなかった

隣には大好きだった人—

      隣には大切だった人—

隣には・・・
      もう、裏切らないと誓う人—


『絶対に・・・守るから。』

          『もう・・・裏切らないよ』


—砂嵐がおさまったころ。


「・・・嬢ちゃん・・・?」

「心配・・・心配したのよっ!生きてないかと思ったじゃない、絶対にもう裏切らないわ・・・ごめんなさい。」

「・・・いいれす。もう、戦いは終わったから。
                私も・・・ごめん。」


二人は微笑み会ってから緑が鮮やかに輝いている昼間であろう時に崩れた城へと走っていった・・・

黒鴉がすでに隊員を救助に当たらせていたようで妖影も敵であった憎んでいたはずの敵であったツヴァメと共に敵味方関係なく崩れた瓦礫の中で倒れている人間を探し始めた、そして瓦礫の中からは・・・

倒れて意識をなくしたままの人間が見えたが瓦礫を退かすとそこにはオレンジ色の羽に包まれている火鳥がいたのだ。

怪我もなくてただ意識をなくしているだけなのでそのまま羽が風に飛ばされながらも小さな体の火鳥を持ち上げてからツヴァメと共に騒がしい雰囲気が漂っている医療部へと急いで歩いていった


「おぅ。けが人は・・・ひ、火鳥じゃないか!
 い、急げっ!早く安全な場所に寝かせろ!ヒマワリ、頼む。」

「はいっ!・・・・あ、ツヴァメだっ。
 久しぶりだね〜、私無事だったみたいっ!ツヴァメも助かってよかった。」

そしてまた瓦礫の間を見ながら歩いていくと

妖影は異変を感じた・・・、自分の陰で出来た腕がそろそろ限界を感じ出したことに戦っていたときに感じられなかった痛みが狂ったようにめぐりいくことに座り込んでしまっていた。

腕から影はなくなって妖影の腕からはボタボタと赤い液体が流れ出していたことに気がついた途端に妖影は苦しい痛みに襲われていた・・・

ツヴァメはそれに気がつくと自分が悪かったと涙を流しながらも必死に肩を持ち上げてから医療部へと運び込んだ


「けが人だよっ!急いで手術室へ運んでっ!」

「あああぁぁぁぁぁぁぁあああああぁあぁぁぁっ!
 ぎゃああああああああぁぁぁあぁぁああぁああっ!」

「私が・・・悪かったのよ・・・
               あんなことしちゃったから。」

「落ち着け。もう大丈夫だからな・・・」


—そのころの火鳥


「・・・ん・・・此処は・・・」

「手前・・・無理すんなっつただろ・・・大丈夫か?」

「・・・平気。」

黒鴉と月狼とともに火鳥は病室に居た

そして月狼は戦場跡の絵を描くといってスケッチブックを抱えて外へと走り去っていった、あまりにも残酷な光景に黒鴉でも何もいえないような感じだった


「お前・・・何があったのか、説明してくれないか。」

「うん・・・」

火鳥はあの炎を思い出しながら最後の戦場を語り始めた。


                              続く

Re: Black Crow —黒い鳥たち—   ( No.42 )
日時: 2011/06/16 23:40
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)
参照: 何か憑かれてる!?



16.左手には不死鳥


「・・・そのかわり・・・驚かないでよ・・・?」

「分かってるさ、俺の姉さんは・・・」

「・・・・受け止めているのね。ショックにならないようにね・・・」


—数時間前の実験室


「さて・・・貴方と私、はっきりと・・・白黒付けましょう・・・」

「・・・伝説をつぶすのはこの、私よ・・・火鳥」

「これは・・・伝説じゃないのよ・・・呪怨の如来。」

「・・・分かってないのね。」

焔を片手に私はそのままナイフを守るように盾のようにしたがすでにナイフが冬将軍がいなくなった瞬間に突き刺さっていたので流れる真っ赤な液体と訳の分からぬ痛みを感じながらもナイフが飛んでくるとそこに焔を飛ばした、そして融けたナイフとともにポタリという音を響かせて床へと落ちるのですぐに焦げ臭いようなにおいがした・・・

そして情報屋さんはそのまま盾が一瞬弱まったことに隙を感じたのかすぐにもう一本ナイフを突き刺した。

しかも・・・それにはどうやら毒が入り込んでいるらしく小さく幼い体のままの自分の体には抗うことの出来ない程度のものだったことに気がついてから急に左手の焔が揺れて見えるようになった、どうやら自分の体はそろそろ限界に近づいていっているらしいということを感じてスベテが真っ暗になりそうになっていることにその場に座り込んだ。


—もう・・・消える・・・

      あぁ・・・私は・・・

         伝説で・・・終わるのかしら・・・

そんなときに一筋の光が辺りをだんだんと明るくさせる日の出のようにまぶしく光っていた・・・どうやら自分の体にはナイフと共に幽霊が入り込んでしまっていたらしくすぐに霊は光と共にすぅっと消えていった、そして誰かと思えばそれは重要なあの顔合わせに出られなかった『欠席者』


『操り人形』—

隣にはイタリアで出会って何度か関わりがあった風無しがいた


「助けに来たわよ。炎は光とよく絡み合うの。」

「能力が無ければ無のも良い所ね?

            呪怨の・・・如来。」

どうせ能力なんて自分より高能力である人間にはかなわないだろうと風無しは思ったのか珍しくイタリアにいたときのように刀を構えていた、操り人形は右手に光の塊のようなものを持ちながらも大きく飛びながら情報屋さんの前へと立ってすぐにその光の塊を投げ捨てるように上へと投げた。

そして風無しはそのまま瞬間移動したように飛んで光の塊を斬った・・・

どうなるかと思いきや光の塊はすぐに星屑のようになったがそこから大きく一生懸命を表現するように光を叫ぶようなキリキリとした音とともに光を生み出した、そしてその光は情報屋さんの前へと広がっていった・・・攻撃が出来ないままそのまま情報屋さんはまぶしいと叫んでいたが風無しによって彼女は金属音と共に斬られていった


「・・・良かったわね、火鳥。これで平和が戻ってくるの、きっと。」

安心したような笑みを抱えていた操り人形に私もニコリと不器用に少し笑ったが・・・そこで安心なんていうのは終わりだった

操り人形は私の血を飲んだから不死身になったけれどその後に能力も出てしまった、能力者は二つも能力があるということならどちらかの力を弱くして上手く調節する人がだいたいなのだが操り人形は元々無能力者として生きてきた人だったからそういうことは出来なかった。

操り人形はその場に座り込んでからそのまま私の体に突き刺さっているナイフの先のように赤い液体を吐き出した、あまりにも残酷だったけれども今はそういう状況ではないと思ったので私は・・・操り人形は自分の能力を使うことについては『不適合』ということになったといえると思えた

そしてそのまま操り人形を抱きしめてだんだんと光が小さくなったことに気がついた途端に向こうで自分たちの事を見ていた風無しにそのまま小さな銀色に光よりも強く輝くナイフが腕に突き刺さってその場に倒れこんだ


「か・・・風無し・・・操り人形・・・・!」

「あなたには……私が創った運命を変えられるかしら……?」

「・・・」

もう駄目かも思ったときに百年前にもこんなことがあったと思った

あの時も自分があまりにも弱くて駄目かと思ってしまった・・・そんなときに私はとある勇者といわれた真っ赤な『狼』の言葉を思い出していた


—大丈夫だ、お前は・・・きっと革命でも何でも起こせるよ。

そのときに私から大きなパワーがみなぎったように出てきて炎が小さくなっていたはずなのに急に炎は大きくなって私の体は急にグニャグニャと歪んだようになってから手から肩までオレンジ色の翼に包まれたようになっていた、それに情報屋さんは少し驚いたような気まずいような顔をしていたが何も言わずに言った


「必ず後に影がある……。背筋が凍ればそれは……人間にはどうすることも出来ない、死の道が広がってるかもね……?」

「・・・私は・・・伝説じゃない、『火鳥』

          ・・・死と生を憾まない『不死鳥』よ!」

その時、私の手にあった炎は大きく天井まで燃え上がってから自分の元々持っていた・・・失っていたはずの『爆破能力』を出そうとしたことに気がついたが私はどうしても許せなかった、だから

全てを自分だけで終わらせようとしたがそのときに情報屋さんは実験室から逃げ出そうとしたが急に動けないと感じたので後ろを見るとどうやら風無しが軽い怪我だったからかそのまま押さえつけて十秒間体に触れ続けたのだ。


「さて、もう逃げられないよ」

「あら……、あなた天国に行こうとしてないかしら……。でも仏はあなたを拒絶している……。閻魔は大歓迎らしいけど?
これで貴方が火鳥の爆破に巻き込まれたら・・・最後よ?」

そのことに少し怖がったような顔をしたが何か決意をするように風無しは頷いてからそのまま動けなくなった情報屋さんを置いてから倒れこんでしまった操り人形をおぶって実験室から出て行こうとしたが最後にこんなことを言った


「私たちは平気だから・・・自分の心配、しなさい。」

そして私はそれに頷いてから少しの沈黙を流してから炎を大きくしながら手に抱えていた焔を爆破させた、大きな音が響くと共に爆風によって出てきた揺れを感じてそのまま動けずに嘆くように叫びながら情報屋さんは焔の世界へと去っていった。

そして私はそのまま疲れのようなものが溢れかえるようになって倒れ込んだ

                              続く

Re: Black Crow —黒い鳥たち—   ( No.43 )
日時: 2011/06/17 21:29
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)
参照: 何か憑かれてる!?



17.天秤に賭けられた天使


「・・・そうだったわ、みんな無事なのかしら?」

「神樹はどうにもならなかったけどな、それ以外はどうにか無事だ。
俺・・・ちょっと、行ってくる。」

「何処に・・・?」

「べ、便所だ!当たり前だろーがっ。」

そのまま急いで個室から去っていった黒鴉に火鳥は久しぶりにクスクスと笑っていた、きっとお姉さんの所にでも行くのだろうという予測はとりあえずついていたので次のお客が来るまで少しの間眠りの世界へと堕ちていこうと思った

いつのまにかまた100年前の戦いの終焉のときのように火鳥は急に背が伸びていた・・・

平和が訪れたときくらいしか自分が大人になった姿や若者といえるような姿になれない火鳥はそれにも何故だか喜んでいた


『この世界にも平和ってあるんだね。白い鳩が飛び立ったような幸せな世界が、あるんだね。』


—操り人形の小部屋。


「・・・誰・・・誰なの・・・?」

「姉さん・・・。」

「・・・紅条・・・!?」

黒鴉は姉の部屋へと入り込んでからそのままそうっと扉を閉めた・・・
少し顔は白くなってしまっているけれども黒鴉が地下世界へと連れ去られたときと顔立ちもあまり変わっていなかったのですぐに姉だということに気がついた、姉は横になっていた体を起こしてから黒鴉のほうを見た。

その目には再会を喜んでいるかのように涙の粒が浮かべられていたがすぐに毛布でぬぐってからそうっと近づいてくる黒鴉のほうを見てベッドから降りた、そのまま歩けなかったはずの足を動けなかったはずの体を動かして黒鴉を抱きしめた

黒鴉は何もいえなかった・・・

むしろこんなに愛されるようなことはなかっただろうと思ったからか不意に黒鴉の目からも涙がこぼれた


「・・・会いたかったわよ・・・紅条。」

「ま、全く・・・俺のことなんか心配しなくても良かったんだよ・・・
なのに・・・
こんなことまでして、俺、不安だったんだよ・・・っ」

腕から離れた黒鴉は操り人形と一緒にまた家族と共にやり直そうということを話すと姉は大賛成してくれたからか久しぶりに幸福感に包まれた、自分にはこんなに愛してくれた人が居たのに・・・なんで受け入れられなかったのだろうかという疑問が出てくるけれどもニッコリ笑ってからそのまま病室を出て行った。


「黒鴉・・・あれ、泣いたのであるか?」

「な、泣いてなんかねーよ。気にすんな・・・」

「ほらほら、我輩と一緒に菫と創聖のところへ行くのでありますよ^^
それに・・・夢見せも心配してたのである、後で行くといいのである。」

「・・・ああ。そうだな・・・」

マドには青い空がいつのまにやら広がっていた


『かぞくって、あったかいね。』


—妖影の小部屋。


「・・・ごめんね・・・ごめんね・・・ッ」

「なによ、こんなの平気。腕が人工皮膚で出来たメカになっただけらよ?

たとえ、嬢ちゃんが斬ったものだからって私は気にしないから!」

「でも・・・痛かったんだよね?」

「痛いよ、人間だもの。でも・・・ちゃんと生きている証れもあるんだから、別に嬢ちゃんは気にしなくていいんらよ^^」

まだ色々と反省しているツヴァメに片方の腕を斬られたことによって腕がメカのようなものになった妖影はニコリと笑ってツヴァメを励まそうとしていたがツヴァメは自分の友達を斬ったことを本当に後悔していた、いつまでも泣いてばかりなので妖影は別にビンタとかをするわけでもなく一言言った


「斬ったのは嬢ちゃんじゃない、別の子らよ。
たとえ嬢ちゃんだとしてもきっと別の嬢ちゃんだって。」

それにハッとしたのかツヴァメはうじうじ泣くことをやめてから頷いてニコリと安心したように笑った、妖影も無表情だった顔を久しぶりに動かしたこともあって笑うのにも筋肉がいることが分かって正直そっちのほうが痛かったというのが本音だということであんまり気にしていなかった。

そしてツヴァメは蛾や百足がたくさん付いているさびてしまった窓をどうにか開かせて空気を入れ替えるようにした、妖影はツヴァメにそのまま抱きしめられた

何だと思って腕を振りほどこうと思ったがその腕は幼い頃のように弱弱しいわけではなかった


「ツヴァメ・・・いや、嬢ちゃん・・・

大好きだよ!」

「妖影・・・ありがとう。

私と友達になってくれてありがとう。」

「・・・そういえば、息苦しい・・・」

「あー、ごめんごめん。今放すよ^^」

二人は改めてまた友達になることが出来た、そして世界は『平和』という名の鳥たちが飛び始めていた。


『友達は、心の中にある小さな平和の象徴なんだ。』


—深い森


「・・・神樹はいなくなった、けれども僕はちゃんと生きていなくちゃいけない。」

急な揺れもおさまってから冬将軍は泣いたあとが残った顔をぬぐってから神樹を小さな壁画のある神聖な場所へと連れて行った、どうやら通りかかった軍の人がもうすでに戦いは終わっていてみんなは城のところで休んでいるといっていたが冬将軍は仲間の一人として神樹を見送るために城から逆のほうへと遠ざかった。

あの黒い鳥の人間達が収容されていた地下の世界は大きな岩によって埋められたようになっていたがそこには小さな文字でこんなことが書かれていた


—これが、最後の英雄でありますように。

        もうこんな悲しい戦いがありませんように。

そして壁画にはマリア様が彫られていてその周りには涙を流している人間達がうじゃうじゃと囲んでいるという一見気味の悪そうな絵だがこれがこの前の自分達だと思えばあまり気味の悪いとはいえなくなりそうだ、そしてそのままマリア様の前の土を地下の世界への入り口の近くにあったスコップで掘りはじめた。

そしてそのままもう青ざめたような顔になっていて周りには涙を流している人間達・・・ではなく小さく羽音を立てているハエが飛んでいたのですぐに神樹を穴に入れ込んでから埋めた、あたりにいたハエはすぐに飛び去って行って私は壁画に小さく文字を埋め込むように書いた


—最後の英雄、神樹。

          平和を祈る。

もう冬将軍は泣かなかった、小さな花を供えてから彼女はすぐにみんなの待っている城跡へと走り始めた。


                              続く

お久しぶりです、ヴィオラです。
そろそろというか次で最終回です。
短いです・・・あっというまでした
番外編更新は無いです、ありがとうございました^^

Re: Black Crow —黒い鳥たち—   ( No.44 )
日時: 2011/06/18 21:41
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)
参照: 何か憑かれてる!?



18.黒い烏たちの物語


「嬢ちゃん、もう私は平気だって

ちゃんと一人で暮らせるんだからね」

「そんなことより、やっぱりいっつもドジかましてたりする妖影が心配よ。」

「なぁんだ。それでついてきてくれたの?もしかして寂しいのかと思ったよ^^」

「そ、そんなことないわよ。妖影みたいにドジじゃないもの

でも、ついていくわよ。」


ニコリと笑った妖影にまぁいいかと思ったツヴァメも一緒に笑って城跡だったはずの小さな教会から出て行った、そこにはこの『ゲーム』といわれた『戦い』で最後の英雄になった人々が何人も埋められたこともあって慰霊場のようになっていて愛するものがいた人間は泣いて戦友が冥友になってしまった軍人達はただ無表情で床を撫でたりしていた。

妖影の腕はもう細胞が受け入れてくれたらしくくっついたようになったのですぐに退院することが出来た、そこでこの戦で家族を亡くしてしまったツヴァメと能力者として毒ガスの被害にあってしまった家族を失ってしまった妖影が二人で暮らすことにした

まだたまに腕から痛みが感じられることもあって妖影はそれごとにちょっと苦しそうな顔をしていたのでツヴァメは苦しい顔をしないために安心させたいために腕を優しく掴んだ

そして二人はまた『友達』という糸を結ぶために—

再び新しい物語へと進んでいくのだった—


「家はちゃんと残っているんだよね?」

「残ってない」

「え?じゃあ、何処で住むの?私の家も地下だからもうないよ。」


今日は野宿になってしまうようだったが二人はそれでもクスクスと笑っていた


『もう、裏切らないのれすよ?』

『何だか明日が楽しみで仕方が無いの。

あの戦いの時とは違う

違うものを感じているの』


—深い森


「夢見せ、お前・・・どこに連れて行く気であるか?」

「教えない」

「手まで掴むなんて、何か夢見せらしくないのである」

不安そうな顔をした月狼に夢見せは手を掴んで森から抜けようとしていた

奥深いあの戦いの大地になっていた森はだんだん明るく森を抜けようとしていたことが分かった、そのままマリア様の描いてある壁画のところまで来ると夢見せは小さな花が供えてある場所まで歩いてきてからそのまま壁画に彫られていた文字をなぞった。

それに彼女が自分の戦友の墓まで連れて行ってくれたのかと思った月狼はすぐに夢見せの隣に座り込んだ

アイツはもういなくなってしまったのかと黒鴉も言っていたがすぐに居なくなったかと思えば静かな場所で一人で泣いていた、そして夢見せはまた立ち上がるかと思えば急にそんな戦友に語りかけるようにこんなことを言い出した


「お久しぶりです、神樹さん。

私は貴方が最後の英雄になるとは思っていなくて仲間の皆も驚いています。

でも、あんなに仲の悪かった黒鴉もみんな喜んでなんかいません。安心してください。

でも、皆はもうこんなことはしたくないということで平和の道へと歩んでいます

そうそう、私は好きな人が居ます。
すぐそばに

今から気持ちを伝えたいから、神樹さんも聞いてください」

そしてやっとそこから立ち上がった夢見せはそのまま月狼のほうを見てから少し沈黙を流してから墓のほうを見て頷くと月狼に言った、ちなみに月狼はアガリ症であったりもするので顔の一部がすでに真っ赤になってしまっている


「私は・・・君が好きだ・・・その

一緒に居てくれないか?」

「も、もちろん・・・我輩も少し気になっていたのであ、ある。

我輩でよければ一緒にいるのでありますっ^^」

そのまま月狼は夢見せに笑いかけるとドキドキした感情から開放されたように夢見せの中の何かがプツンと切れてから月狼に抱きついて涙を流していた、安心感と何故か急に久しぶりに『嬉しい』という感情が流れ出てきたことに受け止めることが出来なかったこともあったが月狼はそのまま夢見せの綺麗な茶色い髪の毛を撫でた。

—幸福というものを知った二人は

          —辛い事も幸せなことも

—二人で受け止めようと誓った


「さて、もう泣かないのであります。」

「うん・・・ごめん・・・冷静じゃなかったみたいで」

「それにしても髪の毛がサラサラなのでありますな」

「へんたいくさい」


二人はそれでも並んで光のある場所へと歩いていった


『受け入れてくれたことに感謝する』

『光のある場所を探しに行くのである、明るい幸せな場所へと』


—教会の中


「弟さん・・・残念だったな。」

「もう、分かっているわ。ちゃんと受け入れているもの

もう、あの子は生きていない。自分を支えていたあの子はもう・・・」

「あー、もう暗いこと言っていると弟さんも悲しむぜ。」


自分と一緒に戦っていた仲間をなくしてしまった創聖と双子の弟を失ってしまった菫は二人で教会へと花を捧げに行っていた、菫はこの後に教会を出てから一人で自由気ままに旅をすることにした創聖をこの今日から少し先の場所から見送ることにしていたのですぐに妖影たちのあとに出て行った。


「ヴィオレット、お前は一人じゃないからな。

アタシが一人じゃないように、お前も絶対に一人じゃない^^」

「うん、またねっ」

見えなくなるまで創聖に向かって手を振ってから菫は創聖の歩く逆の道へと泣かずにただ新しい仲間のところへと歩いていった、新しい希望を探し出すために


『お前はもう一人じゃないよ。』

『さよならじゃないよっ』

そして白鳩が見えたのでいつものように菫は抱きしめてあげると白鳩が何か変だということに気がついた、何処か真剣なまなざしに年下なのだが菫は少しドキリとしていたがすぐにいつもの笑顔に戻った。


「菫、お願いだ。俺が王様になるから、お前は姫君になってくれ」

「え・・・あ、うんっ!もちろんだよ^^」

ふんわりした笑顔の菫に白鳩はそのまま手を取って二人並んで歩いていった、そして姫君は王様に誓いの口付けを交わした


『姫君よ、お前は美しい』


—小さな港


「またイタリアにでも行くの?」

「何で分かるのさ。あと、一人にしてくれればよかったのに」

「寂しいことを言わないの」

スタイルが良い美少女といえるような体になった火鳥と小さなかばんを背負った風無しの二人は小さな船の境目で別れようとしていた、そして風無しが手を振って船の中に入り込んでからそのまま火鳥もそっとクスクス笑いながら船の中に入り込んだ。

『何で一人になれないのかしら。』

『人は絶対に一人になんかならないのよ』


                              続く

Re: Black Crow —黒い鳥たち—   ( No.45 )
日時: 2011/06/18 23:19
名前: ヴィオラ (ID: 6PSxBKjg)
参照: 何か憑かれてる!?



19.白い鳥の伝説


「彼女は・・・歴史が変わるときに、やってくるんだ・・・」

語り継がれる・・・

         『伝説』と『歴史』たち

全てを犠牲にしてしまった『英雄』達・・・

世界が闇に包まれたときに・・・

人はいつでも何処かで光を見つけた

月夜の時代と呼ばれる『戦い』の時代は・・・

歴史を変えるためには避けられぬものである・・・

そして『戦い』の象徴になった

火鳥という少女は—

平和と共に日常というものに紛れ込んでいく


「私は・・・歴史を変えるために生まれてきた・・・」

少女は100年のときを超えて様々なことを知った

様々な大地へ行っては戦い、笑い、嘆き・・・

少女は全ての真実を知っている

そう・・・

     この『物語』の真実も・・・


「                」


そして・・・

      『物語』は語り紡がれていく・・・

何処にでも・・・

        全てがなくなってしまうまで・・・



「姫君、あぁ・・・愛しているよ。」

「アタイは王様を信じるからっ。」

「イタリアまでついていく気なの!?」

「さて、道に迷ってしまったようだね・・・」

「姉さん・・・」

「・・・紅条、大好きよ」

「悪いけど、今日は・・・そんなことはしない。」

「そうであるか、とりあえず我輩はお前から離れないのである」

「とりあえず泥棒でもする〜?」

「何言ってるんだよ、嬢ちゃん。この近くに建物があるわけじゃ・・・

あった・・・。」

「急患が来ましたっ!早く運んで!!」

「我はもう、そんなことは言わないアル」

「今回の任務を教えてくれるかな?」

「・・・さて、イタリアには何があるのかしら・・・」


そしてこの『物語』は一つの分岐点

それぞれの人間達は人生という一つの『物語』を紡ぎ続ける

その終わりが不幸なものだとしても幸福なものだとしても

それは誰かの『物語』にやがてはつながることになる



それぞれの人間達の『物語』—

そして、これは・・・

              幻想という平和を求め続けた


黒い烏たちの小さな『物語』—


              二つが一つになることを願い続けた


白い鳥たちの小さな『伝説』—


そしてこの分岐点である『物語』は

希望に満ちた日の出の時代へと流れていく・・・

『賢者』と『英雄』によって

月夜の時代であった戦いの時代を

日の出の時代である希望の時代へと『物語』は動かされた

そう、結局『物語』を動かすのは神なのかも知れないが・・・

人が動かなければ神をも動かない

人は全てを変える力がある・・・

人は何かを起こる力を使うことが出来る・・・


「この物語は・・・全ての人間達の物語・・・」

「僕達のような『英雄』といわれる人間だった
         
          ・・・冥友達の物語・・でもある・・・」

「・・・これ、本当なのかぃ?」

「・・・そんなのは・・・

            貴方次第なのよ・・・。」


                    物語は・・・紡がれ続ける


最終回更新です、色々とみなさんありがとうございました。
一応数ヶ月ほどここまでくるまで掛かってしまいましたが、次の小説も楽しみにしてくだされば幸いであります。
本当に有難うございました


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