ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- パラノイア Ep3 1-1更新 5/11 コメ求む!
- 日時: 2012/05/11 11:28
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: 9hX401bZ)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5508
Prologue 「現実を超えていけよ」
もし、ゲームの世界が実現したら?
楽しいだろうか……否、そんな生易しい物では無いのではないだろうか?
是は、夢の終着駅。 夢の終わりの始まり……暗闇がその先にはポッカリと穴を開けている。
そこに、ダイブする事がゲームの世界へと入って行くと言うこと。
それが彼らの中の現実————
その世界は、決して華やかではない。 血に塗れている。
さぁさ、おいでませ!
そんな、イカれた世界を愛するパラノイア達よ!
普通の世の中は飽きただろ?
————End
お早う御座います。 こんにちは。 こんばんわ♪
初めまして。 お久し振りです。 何時もお世話になってます♪
今までに書いてきた小説は星の数。 しかし、完結まで漕ぎ着けた小説は無い。 それどころか完結近くまで行った事も無い。
そんな無能な駄小説量産機である風が本当の本気で書こうと言う覚悟の下、始めました本小説です。
応援して下さると真に嬉しいです。
この小説は、小説カキコの住人さん達をキャラクタとして使うと言う夜兎様等の何番煎じです……
嫌な方は、この地点で戻るを……
この企画に参戦してくれると言う優しいお方は、参照の場所へ♪
皆様のお陰で四千も見えてきたんだぜ!
〜=〜=〜=〜=〜お客様〜=〜=〜=〜=〜
葵様(常連のお客様。 大好きだよ葵! 小説のネタ探し頑張れ^^)
凡様(素敵絵師様で有ると同時に素敵小説家さんと言う妬ましいお方です!)
トレモロ様(一に女性! 二に女性!! 三四も女性!! 五に女性!! と言う紳士)
ryuka様(小説カイコ……あれは、革命だと思うんだ?)
月読愛様(私の愛しの……きゃあぁぁぁっ★ 恥ずかしくて言えないよぉ)
玖龍様(ハイスペックってさ……使える言葉だよね? ロリに兄好きに小さい…更にはツンデレ)
ゆn様(実は、男の子だったんだぜ! 驚きだぜ!)
朔様(素敵絵師様です! 繊細なタッチの絵が女の子らしいのです^^)
翡翠様(素敵な詩などを書くお方です。 感性の塊なんでしょうねぇ^^)
焔錠様(性転換に挑戦してくれた有り難いお方)
朝倉疾風様(包帯戦争と言う素敵小説はご存知でしょうか? 凄いお方です!)
神楽妖様(妖艶な雰囲気を持ったキャラに仕立て上げて生きたいです★)
夜兎様(Tha Bookと厨二は至極! 我が同士!!)
仁都様(優しい子です♪ 受験ガンバです!)
(朱雀*@).゜. 様(コメディの実力者だと思うです。)
秋桜様(仁都様のイベントで顔合わせしました★)
色茱萸様(HN何て読むの??僭越ながら分らぬ!!)
紫雨((元:右左様(あだるどちるどれんは、素晴らしい作品でした!)
天翔(元:聖夜)様(オリキャラ募集中? なら、僕も出すよ? 祝すべき二十人目のお客様!)
世移様(なりきりとかで勢力的に活躍しているみたい!)
霧月 蓮様(シリアス・ダークで神文小説を書いています!)
グレイ様(色々知りたいな^^)
Neon様(男の子か女の子か分らない謎の美少女←女確定やん!? 違います! 中性です!)
野宮詩織様(僕と君は、似ていると……言いたい!)
雷燕様(私はね? 実は、六つくらい今までにポケモン作品を書いていたのですよ?)
紅蓮の流星様(ブラッドエッジ……紫電スパイダー……即ち神!)
山下愁様(2−2クエスト……コメディ・ライトにて大好評!)
レッド様(懐かしいお名前です♪ 二次でお世話になりました^^)
秋原かざや様(えっと、数少ない僕より年上のお方です♪ お茶目で楽しいです^^)
フェイト様(二次時代からのお付き合いです♪)
凛様(この小説の鑑定をして下さった方です!)
菫様(小説内の菫様とは全然違うんだぜ?)
P.H様(最初は冷かしだと思ったです。ごめんなさい! 祝福有難うございました^^)
夢姫様(元気の出るエールを有難うございます!今後も声援頂けると嬉しいな!)
浅葱様(感想書いてくださって有難うございます!)
日向様(ファジーで軍事物の小説を執筆しています★)
今の所、三十四名の方々が着て下さりました!
有難う御座います! そして、是々非々、常連となって貰えると嬉しいです^^
======登場予定の皆様========
風(本人) トレモロ様 月読愛様 朱雀様 ゆn様 仁都様 野宮詩織様 翡翠様 玖龍様
山下愁様 秋桜様 焔錠様 神楽 妖様 朔様 涼儀様 葵様 モノクロ様
Neuron様 雷燕様 世移様 sui様 白雪様 紅蓮の流星様 秋原かざや様
夜兎_〆様 るりぃ様 梓静様 菫ーsumireー様 明石様 霧月 蓮様
だいこん大魔法様 神様の懺悔様 ryuka様
以上、33名の方々が応募に乗って下さいました^^
有難う! そして、有難う♪
>>>>>>>>物語本編目次<<<<<<<
Epsode1
Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」
Part1 >>3 Part2 >>6 Part3 >>12 Part4 >>13 Part5 >>21 The end
Stage2「物語の歯車が動き出す……アストラルと言う名の檻へようこそ」
Part1 >>25 Part2 >>31 Part3 >>38 Part4 >>46
Part5 >>51 Part6『暗転Pat1』 >>55 Patt7『暗転Part2』 >>64 The end
Stage3「楽しもうぜ? 基本なんて良いじゃない適当で? 基本疎かにすると死にますヨ?」
Part1 >>77 Part2 >>90 Part3『冬音とストレンジア』 >>100 Part4『憎悪の鬼神』 >>117
Part5『血反吐の夜』 >>130The end
Epsode2
Prologue> >>164
Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」
Part1 >>171 Part2>>187 Part3>>200 Part4『無知』>>202 Part5『護るための代価』>>208
Part6『過去を断つ覚悟』>>214T Part7副題『暗転 Part3』>>342 The end
Stage2「現実も非現実も分らないんだ……だから、赦してくれよ」
Part1 >>230 Part2 >>235 Part3『裏側 1』 >>242 Part4『砕ける音』>>251
Part5『砕ける音Part1』>>263 Part6副題『狂乱双頭 序幕』 >>269
Part7副題『孤独輪廻 Part1」>>275The end
Stage3「エンドレス・バトル・オブ・パラノイア」
Part1 >>286 Part2副題『汚濁賛歌』 >>291 Part3 >>303 Part4副題『別次元 Part1』 >>314 Part5副題『狂愛者 Part1』 >>324 Part6副題『狂愛者 Part2』 >>335
Epsode3
Stage1「キラーズ・ワンダーランド」Par1 >>350
物語更新毎に追加します。
<<<<<<<番外編(企画)及び貰い物>>>>>
素敵絵師様提供の絵Part1 凡様作 >>40
素敵絵師様提供の絵Part2 朔様作 >>45
素敵絵師様提供の絵Part3 朔様作 >>50
素敵絵師様提供の絵Part4 朔様作 >>54
素敵絵師様提供の絵Part5 朔様作 >>62
素敵絵師様提供の絵Part6 凡様作 >>68
素敵絵師様提供の絵Part7 仁都様作>>116
参照数3500目前記念!第二回アンケート用紙掲載! >>272
素敵絵師様様提供の絵 猫飼あや様作 >>312
番外編【Ⅰ】 受付嬢たちの駄弁り >>329
番外編や貰い物の更新毎に追加します。
%&$#!★注意事項7$♯!=*
Ⅰ.更新は普通の方々から見れば亀更新以下です。 ご了承を。
Ⅱ.グロ表現や死ネタが多々、入ると思います。 更に微エロも… 苦手なお方は、リターンを。
Ⅲ.荒しや宣伝・無意味な連続投稿や中傷などはご法度です。 ネットマナーを護って楽しく付き合いましょう♪
Ⅳ.最後に、アドバイスや感想は大歓迎です^^
Ⅴ.時々、一人称視点の描写が入ると思います。 ご了承ください。
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- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2 1-3更新 9/19 コメ求む ( No.202 )
- 日時: 2011/10/16 22:52
- 名前: 風猫(元:風 ◆jU80AwU6/. (ID: rR8PsEnv)
Episode2
Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」Part4副題『無知』
知らないことが罪なのなら……世界のほとんど人間は咎人なのだろう。 人間は、余りにも無知だから……————
「余裕だなぁ、ノーヴァさんよ! 俺は、吹っ切れたぜ! さっきとは、違うんだよッッッ!」
空をつんざく様な奇声を上げトレモロは、最初から配布されていた投げナイフを三つ夫々、違う位置に投擲する。
ノーヴァは、それを槍を回転させえの部分で弾く。 その瞬間に、槍の回転により一瞬視界が遮断される。
その隙を彼は逃さない。 容赦なく距離を詰め盗賊の初期装備である標準的なダガーを死角から振り翳す。
「甘い!」
「甘いのはあんただ……俺達は、一人じゃない!」
しかし、彼の行動は、彼女に読まれていた。 すぐさま、彼の攻撃を払いのけ胴に柄の先端部分を叩き込む。
ガハッと咳き込み彼は、倒れこむがその表情には、絶望感は無かった。
むしろ、上手く行ったと言う自信に溢れた意思表示が有った。 彼女は、忘れていたのだ。
本来、後方支援を専門とする盗賊である彼が、真正面から突っ込んできたせいで感覚がズレたのだろう。
本来のアタッカーである彼の幼馴染である凡の存在を視野から外していたのだ。
しかし、すぐさま悶絶するトレモロから目を外し彼女の方へと目を向ける。
そして、彼女の攻撃を易々と盾で防ぎ突きを放とうと構える。
しかし、トレモロが全力でノーヴァの肩に飛び掛りそれを阻止した。
その瞬間だった。 盾を縫って振上げられた凡の剣戟によりノーヴァの手から盾が放された。
グルングルンと回転しながら盾は、空へと舞う。 ノーヴァの中の時間が止る。
まさか、たった二人の初心者にここまでやられるとはと油断しすぎていた自分を叱責する。
しかし、そのような反省をしている間に勝負は決していた。 二人の武器がノーヴァの喉元に添えられている。
彼女は、ごくりと唾を飲み込み負けを認めた。
「手を抜いていたとは言え大した物です。 はぁ、私の危惧は杞憂に終りそうな気分ですわ」
最後の何時もと違う彼女の口調、二人は微苦笑した。
こうして、二人のチュートリアルは一端の幕引きを迎える。
風、野宮詩織、月読愛の三人は、トレモロ達がチュートリアルを終えた頃、クエストの目的の近くの門前へと到着していた。
「覚悟は宜しいですの風? 今まで以上に注意が必要ですわよ?」
釘を刺すように棘っぽい声で風に月読が問う。
それにたいして風は一度、瞑目し「行こう」と、合図する。
三人は、ひとしきり自分たちの用意してきた道具を調べ合い門をくぐった。
その先には、見渡す限りの草原。 所々に丘陵が有りそこに上がる道が幾つか存在している。
空は、今にも泣き出しそうな曇天。 彼女達が、フィールドに足を踏み入れた瞬間に、ポツリポツリと雨が降り出す。
彼女達の髪の毛を濡らし雨粒は頬を伝う。
「雨か……初めての天候だな」
「不安ですわね。 天候云々で生物の営みは随分と変るものですし……何より、媚薬……効果半減以下ですわ」
三人は、同時に同質の不安を感じるのだった。
天候の変化により地形も変更するしモンスターの行動パターンも変化するのだ。
更に、同じモンスターでもフィールドによって行動パターンが変更する。
つまり、何度もこの任務を達成している彼女たちにとってもこの天候でのクエストは、未体験なのだ。
初心者のような不安に晒されるのは当然のことだ。
三人は、神妙な表情をして歩き出す。
しばらく草丈の高い所に身を隠しながら歩いていると眼前に敵影が現れる。
三人はそれを見た瞬間に、「装備」を唱え武器を顕現させる。
風の武器は、昨日新調した長い柄を中心に、巨大な円形を描いて作られた大鎌、円陣鎌の一種。
緑色の刀身を持つブルスヴェイブ。 攻撃力は、二百二十と言うし彼女級の戦士が持つには最高威力の武器だ。
そして、愛が、持つのは、長剣ほどの長さがある六本の刃を何本もの長いワイヤーで装備者の体に巻きつけて、繋がった刃を操る武器、ABYSS。 魔法使い様に作られた武器による後方支援をするための武器だ。
魔法より武器の方が効き目が良い相手が、居る事にたいする対策と言う意味で作られた武器。
魔法使いの武器としては最高威力を有する。 その中でも彼女達のクラスで持てる最高の威力を有する武器。
九つ全ての刀身に爆発の魔法の呪譜が貼られた爆撃孔雀だ。 刀身が、孔雀の羽に似ている事から付けられた名前である。
そして、チームの最大のアタッカーである野宮詩織の武器は、巨大な太刀、大振りの太刀と言う名の青龍刀に似た反りのある形だ。
極限まで斬る性能を高めた殺傷能力に優れた武器で威力は、風の有するブルスヴェリブと同等である。
三者が三者、現時点での自分達が装備できる最大威力の武器を大枚を叩いて買ってきたと言うことだ。
決して、今の状況を楽観視していないことは分るだろう。
彼女達は、身を屈め陰影の主へと慎重に最大級の警戒を払い近付いていく。
既に、雨は土砂降りに近くバチバチと肌を叩きつける大粒の雨が痛い。 伝い体を濡らす雨が鬱陶しい。
しかし、彼女達は、体温を奪われて死ぬような愚は冒さない。 そして、声を上げて敵に警戒心を与えるような愚も。
距離が徐々に詰る。 遠距離攻撃の可能な愛の射程圏へと到達する。
音も無く魔力を開放し愛が相手の姿を確認する。
魔法より武器に弱いモンスター、頭の天辺が剥げている紫色のダチョウを退化させたような化物カルクオットゥアだ。
彼女は、弱点部分である頚椎の部分を正確に爆撃孔雀で狙い打つ。
瞬間、血飛沫が上がり続き魔力による爆発が発生する。
突然の襲撃に一瞬にして一匹のカルクオットゥアが命を落とす。 しかし、相手は一匹ではなかった。
他に三匹。 彼等は、既に爆発の音で敵襲を察知し警戒態勢に入っている。
だが、相手は、所詮は、主賓を相手をするには邪魔と言う程度の雑魚である。
敵襲に気付いたとは言え浮き足立っている状況にある程度では、彼女達の相手になるはずも無い。
何の危なげも無く彼女達は、三匹を蹂躙した。
「はぁっくしょん! うぅ、さびぃ……どっかで雨宿りしようぜ? 流石に、少しヒットポイント減ってるしよ?」
「そうですわね……お手頃な洞窟が近くに有りましたわね?」
血の鉄錆びた臭いが充満する。 雨により臭いはすぐにかき消されるが三人は、そんな血の香りを全くなんとも感じず会話をする。
この世界に来て先ずなれるのは痛み。 そして、次に慣れるのが血。 三番目に死、最後に腐臭と言う言葉がある。
彼女達は、それら全てに既に慣れている状態にあった。 これが何を示唆するかは、分らない。
「よし! 周りには何も居ねぇみたいだし競争だ! 一番乗りが、夕食おごりな!」
「は——、餓鬼ですわねぇ……まぁ、やるからには、負けられませんけどね!」
野宮の提案により三人は、雨宿りするために近くに有る洞窟地帯へと駆け込む。
一番、遅かったのは、風で一番速く到着したのは、愛だった。 風は、罰ゲームの内容を聞いていなかったのか愛の肩を揉みだす。
それを見た詩織は、態と最後になったなと苦笑した。
「えっ? 罰ゲ違った!? って言うか愛、相変わらず肩柔らかっぐぁ!?」
「セクハラは……めっですわ?」
愛は、彼女に向かって頭突きを食らわせ小指を立て彼女の唇に押し当てて小悪魔的な笑みを浮かべる。
そんな二人の仲睦まじい様子を見て詩織は一人疎外感を感じながら呟いた。
「あたしだけ距離を感じるんだよなぁ……」
二人には聞こえない声で。 それでも自分が此処にいるのは、彼女たちと居るのが心地良いからだと知って。
二人のじゃれあいを見詰ながら彼女は、しけって居ない草木を集め火をつける。
愛と風のじゃれあいが終ったころには、紅蓮の炎が燃え上がり此処地良い暖かさが骨身に染み渡り始めていた。
パチパチと言う火花の音が胸に響く。 三人は、寄り添い合い夫々の思いを語る。
「あたし達さ。 まだまだ、これからだよな。 こんな所で死ねないよな!」
「当然だよ……この洞窟の中に潜んでいる可能性も有るし油断はしないでよ詩織?」
夫々の思い、夫々の将来の夢を語り合う。 生延びるためのエンジンを充足させる。
茶々を入れる風に「お前らがじゃれ合ってる間、あたしがずっと気をはってたんだぜ?」と、胡乱げな目で詩織は答えた。
十数分が過ぎた。 ある程度以上、服も乾き三人は、移動を開始する。
その瞬間だった。 聞き覚えのある咆哮が、洞窟内を乱反射する。
それは、今回の攻略対象の泣き声。
近くに居る。
三人は臨戦態勢に入る。 反響音のせいでどこから声が聞こえてくるのか良く分らない。
しかし、彼女たちとて馬鹿ではなく、どこから相手が来ても対応できる場所で暖を取っていた。
前方、後方、左右、四箇所。 上空は警戒対象として有り得ない。 どこから来る。
緊迫感が伝染する。 心臓が早鐘を打つ。 妙な冷や汗が、体を覆う。
「どちらから来るか賭けません? 四箇所……良い数字ですわ! 私は、正面!」
「面白いね! あたしは、左側だな! 風は?」
彼女達は、良く賭け事をする。 彼女達なりの緊張の解し方だ。 賭け事の勝利金は、大した物ではなく仲の良さが伺える。
野宮の質問に、風は、「じゃぁ、後ろ」と答え、罰ゲームは何? と、言い出した愛に促す。
そんな事をしている間にも大音響の泣き声とずんずんと言う胸に響く足音が、耳朶を付く。
容易い言葉を掛け合っていなければ正気を保っていられないのだ。
愛は、少し逡巡した後、口を開く。
「負けた二人は、勝者にマッサージしろっ! ですわ!」
「何て嬉しい罰ゲー…………真正面ですね。 負けました。 有難う御座いました!」
風にとっては、愛が勝者であれば有る意味嬉しいゲームである罰ゲーム。
風は、是非、愛が当りますようにと祈りを捧げる。 願いは届いたのかその祈りは叶い真正面から小赤竜は現れた。
紅い外殻に覆われた尖鋭的なフォルムで尾の側面にも棘がびっしりとついている。
口からは、日をチロチロと出している。 間違えなく小赤竜エルティグマだった。
「グガアアァァァァァアああああああアアアァァァァァァァアあっアァッッアァァァああアアああアァアアああぁぁあアアッッッッ!」
見慣れぬ生物を見つけ興奮したのか彼は、大きく息を吸い威嚇のために精一杯の咆哮を発した。
ビリビリと大地が揺れる。 先ほどの小物とは違う強者と呼べる存在だ。
一瞬の油断が、死を招くだろうと彼女達は察し武器を構える。
「詩織! 正面は任せますわよ!」
「了解!」
重装備の詩織が、モンスターにとって一番目に付きやすい場所で動き回り比較的軽装で機動力に優れた風が、死角へと接近する。
一番、防御力に劣る愛は、常に相手の後ろを付くように動き、援護射撃や回復を行う。
騎士、海賊、魔法使いと言ったバランスの取れたパーティの基本的な戦術を彼女等は、忠実に再現する。
あっと言う間に、エルティグマは痛苦に悲鳴をあげ逃走した。
逃げ足が速いこともこの小赤竜の特徴である。
「思った以上に簡単に遭遇できましたわね。 幸先が良さそうですわ」
「あぁ、次の遭遇で倒せそうだしな! そもそも、直ぐに追い付けそうだし!」
エルティグマを追いながら小さく安堵の溜息をつくように愛は言った。
それが、甘かったことを直ぐに三人は知ることになる。
⇒Part5
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2 1-4更新 9/22 コメ求む ( No.204 )
- 日時: 2011/09/24 22:58
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: AidydSdZ)
- 参照: 今更ながら自分が小学生だと言うことが本気でヤダ(;ω;` )
初上げではないか風猫の。俺始めて見た、嬉しいw
戦闘シーンが凄いと思います。
俺が戦闘シーン読むときにもう早く読みたいからすげぇスピードで読んでるんですよね。
書くときにもう早く進めたくて、読むときと同じようなスピードになってしまうので、描写が浅くなるんですよ。
冷静とか待つとかいう言葉を知らない奴です、俺。すっごい雷で雨ジャンジャンの日に自転車で家に帰る奴です。
冷静に長く、細かく描写出来るのは凄いっすね、流石。
俺ももう少し戦闘シーンをゆっくり読むようにしますw
>>202の最後の台詞の閉じカッコが無いですぜ。
また来ます ノシシ
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2 1-4更新 9/22 コメ求む ( No.205 )
- 日時: 2011/09/25 21:46
- 名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: 6MOWHKAk)
- 参照: 自爆するぞー、おー。
お久しぶりっす風。
最近めっきりパソコンイン率が低下しておりました葵です。
学校も始まったし、バイトも忙しいわで……
冬休みとか入らないと暇な時間無さそうだな……
付き合いが長い割にはお互い全く知らないんだよね?
これからまだまだ知っていく必要があると思———げふぉっ……
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2 1-4更新 9/22 コメ求む ( No.206 )
- 日時: 2011/09/26 14:42
- 名前: 風猫(元:風 ◆jU80AwU6/. (ID: z8eW1f9u)
コメント有難う御座いました。
玖龍へ
お久し振りです。 実は、何度か上げているんだぜ?
そうですか? 私としては、もっともっと……もっと、丁寧にグロく……ゲフンゲフン!!
淑女の私が何を(黙れ
うむ、行け行けゴーゴーな感じなんですね。 私は、ノロノロ亀亀ですので(オイ
ご指摘有難う御座います!
葵へ
あぁ、君もバイトしてるんだ。 初めて知った。 一日何時間くらい? 毎日通ってるの?
知りたいの? 私は、知りたいので宜しく^^
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2 1-4更新 9/22 コメ求む ( No.208 )
- 日時: 2011/09/26 20:19
- 名前: 風猫(元:風 ◆jU80AwU6/. (ID: z8eW1f9u)
Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」Part5副題『護るための代価』
————世界は、何事にも平等である。 人々がそれを感じぬのは。
世界の求める平等が万人が求める平等ではないからだ————……
エルティグマの動きには普段の戦いなれた天候と比べ、別段の変化は無かった。
何度も闘い行動パターン、どのような行動が出来るか。 どんな状況でどう思考するか、手に取るように分る。
驚くほど順調に戦闘は、進む。 相手の攻撃を確実に回避し痛打をくらわせていく。
竜と呼ばれる強固な肉体の持ち主の中では体が出来ておらず脆弱な部類に入るエルティグマ。
彼は易々と消耗し既に、眼に見えるほどに憔悴していた。 踵を返しまた、逃走を図る。
おそらくは、次に彼に追いついたときに勝敗は決するだろう。 彼女達は、そう、踏んでいた。
「逃しませんわよ! ポイズンティル!」
しかし、なるべくなら早く倒せた方が良い。 何しろ雨天は手探りのようなものだ。
モンスターは大概、状況により居住するテリトリーを決めているが、その基本的な雨天時の生息エリアが分らない。
つまり、一寸先は、見たい券の闇のようなものなのだ。
できれば、戦い易いことを確認できた空間で長く戦いとどめをさすのが望ましい。
遠距離攻撃に優れた愛が、爆撃孔雀より更に攻撃力の高い魔法による攻撃を試みる。
今、彼女が使用可能な最強の魔法。 毒々しい色の酸性の大量の液体を放出する呪文。
うねりを上げて放たれるそれは、エルティグマへと吸い込まれるようにして向かって行き命中する。
ジュワァッと音を立て鱗を焦がす臭いが充満する。
血抜きされていない肉が焼けるような一般人にはキツイ異臭が立ち込めるが、彼女達は慣れているのか物怖じ一つしない。
「ギガギャアァァァァァァッッッッ!」
痛みに体を脈動させ慟哭するエルティグマ。 動きを止めた瞬間に風と野宮詩織が近付き力の乗った強力な一撃を急所へと叩き込む。
頭蓋が軋む音が響く。 メキメキと言う音を立てる。 何度も打ち込まれる攻撃の衝撃に耐え切れず頭部が砕けたのだ。
それが致命傷となり竜の子供は、白目をむき小さく断末魔を上げ地面へと四つん這いになった。
少し脈動した後、それきり動かなくなった。 絶命したのだ。 狩りは終了した。
「やったな! 楽な部類の奴だったとは言えちゃんと生延びられたぜ!」
「そこっ! 当たり前のことで喜ぶな!ですわ粗忽者!」
対象の死滅が確認されると同時に風たちの脳内にクエストクリアの報告音が響き渡る。
生延びたという証明のものだ。 これがなった後は、敵の攻撃を受けてもダメージにならない。
筈だった。 長い間、このゲームに慣れ親しんできたゆえに彼女達の中にはその常識が根付いていた。
だが、否、だからこそというべきか。 悲劇は起こった。
完全に油断していた愛は直ぐ近くで地面が掘られている音を聞き逃していた。
それは、集中していなければ分らないような小さな音だが、普段の緊迫した任務の最中では聞き逃さない音。
勢い良くその穴から回転しながら突進してきたモグラのような魔物が、彼女の腹部、子宮の辺りをえぐる。
以前までのゲームならそれほどの損傷にならないはずのそのモンスターの攻撃。
本来のゲーム設定上でのダメージとしてなら千ヒットポイントあるうちの十程度の痛撃。
アストラル領土に生息するモンスターのうちでも最も攻撃力の劣る貧弱なモンスター。 ヒャラルの攻撃、
しかし、今の彼女には、否、彼女たちには、唯のそんな取るに足らないはずの雑魚の一撃が致命傷となった。
その一撃は、軽々と彼女の薄い肉体を貫通し。
「ぅっ!?」
愛は、激痛に表情を曇らせ小さく呻く。 それ以上は、傷が深すぎて声が出ない。
文字通り腹部に巨大な穴が開き大量の血が流れ出す。 えぐられた筋肉や内臓が散乱する。
頚椎と思しき部分が、露出している。 彼女は、口内から血を流し音も無く倒れこむ。
「愛? そろそろ帰ろうぜぇ……って? おい……何、やってんだよ?」
「あれ? 愛の腹部見て? 何か……おっきな穴が……あっああぁぁぁああっあっ穴……がっ!?」
程なくして風たちが異変に気付く。 野宮詩織の出発の合図に返事が無い。
普段なら「言われなくてもこんな湿気の強い所、長居は無用ですわ!」などと愚痴ているところなのに。
あのキーの高めの声が、返ってこない。 小さな恐怖が巡る。 それは、確実に大きくなっていき鼓動が高鳴っていく。
ドクンドクン。 このスリリングなゲームで感じる恐怖の脈動を遥かに上回る絶大な緊迫感。
振り返るまでのコンマ数秒が長い。 永遠のように。
その永遠のように長い時間。 二人の感情は同調していただろう。 チームとして結成はされていなくても長い間、気が会うからと言う理由で支えあった仲間同士だ。
愛が、何か不慮の事故で自分たちの知らない何かのせいで倒れこんでいると言う予感。 恐怖。
確認していない彼女たちにとっては死んだと決まったわけでも無いのに、喪失感すら鬱積する。
「愛……なんだよこれ……なんなんだよ!?」
言葉が出ない。 目に映る光景が理解できない。 なぜ、仲間が腹部に風穴を上げているのか。
血が、絨毯のように大量に流れているのか。 生気の無い土気色をしているのか。
そして、逡巡する。 ゲームクリアの報告後の話なのだ。
つまり、彼女らの常識の中では、何が起こっても傷はつかないはずなのだ。
彼女達は知らない。 ストレンジアに冬音が殺されたのはゲームクリア後であることを。
多くのプレイヤー達がゲームクリア後に命を落としたという事実を。
「とにかく、とにかく、速く町に戻って……愛! まだ、生きてる! 息微かにしてるからッッッッ!」
状況を理解できず戸惑う風。 務めて冷静に彼女は、愛の脈を取り呼吸を確かめる。
しかし、その冷静な行動も彼女が、愛に情を持っていてこそのものだった。 口調に冷静さは無い。
彼女の悲痛な叫び声にハッとなり詩織が、顔を上げる。
右手を握り拳で翳す。 すると三人が、光源に包まれてその場から消えた。
ゲーム中断やリタイアの時の動作でありフィールドから町の所定の場所に移動する事ができる手段だ。
本来は、クエストをクリアすることが困難と見たときのリタイアに用いられる。
本来ならゲームクリアすれば仕様として五分後にその事象が起こるのだがその時間が勿体無いと判断した詩織は、それを行ったのだ。
飛ばされる場所は、契約を受けたギルド。 三人は、数秒の明滅の濁流の中をさまよい目的地に到着した。
「…………愛を、愛を助けてッッッッ————!」
恫喝にも似た絶叫。 一人横たわる白い肌の腹部を大きく損傷した若い女。 一瞬で、周りの面々は状況を把握する。
それを見て、大体は、可愛そうにやもう助からないと言った悲観的な言葉を投げかけた。
彼女たちを曲がりなりにも知るトレモロや玖龍と言った面子は、絶句している。
「見世物じゃないんだ! てめぇら消えろ!」
涙を浮かべながら詩織が周りのしみったれた面々を糾弾する。
それを聞いたほとんどの面々は、ギルドを後にした。
「これは、私達じゃ……」
損傷状況をつぶさに観察してリノアが、無力を悔やむように言った。
「あたしの命を使っても良い! 出来るんでしょ!? このゲームでもあるじゃん! 犠牲呪文みたいなの!」
「正気!? それやったらアンタ、今のアストラルだったら確実に死んじゃうよ!?」
絶望的な状況なのは最初から知っている。
そう、風は、自分の心に言い聞かせ宣言する。 自分の命を使えと。
それを聞いたリノア達、受付嬢達は瞠目する。
当然、野宮詩織も絶句した。
リノアが、それはさせまいと全力で自分に許された範囲の提言と言う反論を口にする。
口調は冷静だが表情は、命を安く使うなと激怒しているようだ。
「あたしは死んでも良いって言ってるのよ! あたしは、元々、この世界に絶望してた! 愛が居たから生きたいと思えたくらいなんだ!
あたしは、弱くて無能で無学で……このネットの世界じゃないと人と交流も出来ないような社会不適合者だ!
愛は違う! 彼女は、若くて才色兼備で優しくて真面目で……少し小さくてオタクだけど……夢に溢れてる!」
風は、熱の篭った声で言葉を募り続ける。
彼女の人生は、失敗に満ちていた。 自分自身に親切にしてくれる人物に対する裏切りの連続だった。
結果、二十過ぎになってもまともな友人すらリアルには存在しない有様。
せめてネット上では、仲間を裏切らない。 彼女は、そう心に言い聞かせながらカキコやアストラルをプレイし続けていた。
誠心誠意つくし友達になれた存在にはお節介なほどに五月蝿い。 絶対、もう、裏切らない。
彼女は、言ったのだ。 昨日の夜。 愛や詩織に。 命に代えても年長者として年下の二人を護ると言うことを。
死なせて詩織だけ護るでは、許されないのだ。
鬼気迫る表情で彼女は、リノアを睥睨する。
「本気? 言っておくけどあたしは、現実の貴方を知らないけど十分貴方に魅力を感じてるんだけど……
それこそさ。 失いたくない! って、程度にはね」
「ゴメン……でも、あたしを尊重するなら……お願いだよ」
そんな風に対して下級者受付嬢であるリノアは、テーブルを強く叩いた後、思いの丈を語る。
その彼女の言葉を聞いても風の信念は揺るがない。 その目には、強い炎がギラついていた。
詩織が、何かを言おうとかぜに近付くが、思いとどまり立ち尽くす。
「では……此方へ。 儀式を開始します。 最後に、愛様に何かお言葉は?」
「死んじゃってゴメンって言ってたって……」
覆る可能性は低いだろうことを理解して居たノーヴァは、既にその儀式の準備を開始していた。
風の細胞を愛の細胞と変換して移植すると言う儀式。 つまり、欠損している体の部分が大きいほど移植する側もリスクが高くなる。
そして、当然、対象が傷付いた部分と同じ部分を移植しなくてはならない。
愛が、即死しなかったのだから彼女も即死しないのだろう。 しかし、これ以外に助ける方法が無いのなら堂々巡りになる。
風の体は、愛が復活する数秒のタイムラグの間に、移動させられ火葬されることとなった。
最後の、風の言葉がどこまでも自分を考えていなくて野宮詩織には苛立たしい。 詩織は、怨嗟の声をあげていた。
何も出来ず苦しい思いばかりが彼女の体を駆け巡る。
儀式が開始される。
虹色の明滅が、不規則に発生する。 それが、数十秒続く。
光が霧散し消えて行く。 それは、まるで朝焼けのような神々しいさまだった。
光が消滅した儀式の魔方陣の中。 二人の女。
愛の傷は、まるで無かった事になり、その代わり風の腹部に大きな穴が開いていた。
儀式は成功したのだ。
「成功した……んだよな? 何でだよ……全然、嬉しくねぇよ」
「……野宮様、風様の焼却処分を開始します。 愛様が目覚める前に……」
まるで魂の抜け殻のようになって倒れこんだ野宮詩織には、ノーヴァの言葉は届かなかった。
彼女の震える背中を見詰めノーヴァは、唇を噛締めながら手から焔を発し風の死体を焼却した。
勢い良く一瞬で燃え尽きた彼女の遺灰を旋風の呪文で吹き飛ばし事後処理を終了させる。
淡々としているようだが彼女の表情には、嫌悪感と罪悪感が滲み出ていた。
「あれ……私? 生きてますの—————ー——?」
程なく立って愛が目を覚ます。
野宮詩織がいるのに風が居ない事に訝り彼女は問う。
「あの、風は? お姉様は……どこに?」
>>Part6
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