ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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 パラノイア  Ep3 1-1更新 5/11 コメ求む!
日時: 2012/05/11 11:28
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: 9hX401bZ)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5508

Prologue  「現実を超えていけよ」

             もし、ゲームの世界が実現したら?
          楽しいだろうか……否、そんな生易しい物では無いのではないだろうか?
         是は、夢の終着駅。 夢の終わりの始まり……暗闇がその先にはポッカリと穴を開けている。
            そこに、ダイブする事がゲームの世界へと入って行くと言うこと。
                  それが彼らの中の現実————

                        その世界は、決して華やかではない。 血に塗れている。
                            さぁさ、おいでませ!
                          そんな、イカれた世界を愛するパラノイア達よ!
                           普通の世の中は飽きただろ?     


                                                   ————End


お早う御座います。 こんにちは。 こんばんわ♪
初めまして。 お久し振りです。 何時もお世話になってます♪
今までに書いてきた小説は星の数。 しかし、完結まで漕ぎ着けた小説は無い。 それどころか完結近くまで行った事も無い。
そんな無能な駄小説量産機である風が本当の本気で書こうと言う覚悟の下、始めました本小説です。
応援して下さると真に嬉しいです。

この小説は、小説カキコの住人さん達をキャラクタとして使うと言う夜兎様等の何番煎じです……
嫌な方は、この地点で戻るを……

この企画に参戦してくれると言う優しいお方は、参照の場所へ♪

皆様のお陰で四千も見えてきたんだぜ!

〜=〜=〜=〜=〜お客様〜=〜=〜=〜=〜

葵様(常連のお客様。 大好きだよ葵! 小説のネタ探し頑張れ^^)
凡様(素敵絵師様で有ると同時に素敵小説家さんと言う妬ましいお方です!)
トレモロ様(一に女性! 二に女性!! 三四も女性!! 五に女性!! と言う紳士)
ryuka様(小説カイコ……あれは、革命だと思うんだ?)
月読愛様(私の愛しの……きゃあぁぁぁっ★ 恥ずかしくて言えないよぉ)
玖龍様(ハイスペックってさ……使える言葉だよね? ロリに兄好きに小さい…更にはツンデレ)
ゆn様(実は、男の子だったんだぜ! 驚きだぜ!)
朔様(素敵絵師様です! 繊細なタッチの絵が女の子らしいのです^^)
翡翠様(素敵な詩などを書くお方です。 感性の塊なんでしょうねぇ^^)
焔錠様(性転換に挑戦してくれた有り難いお方)
朝倉疾風様(包帯戦争と言う素敵小説はご存知でしょうか? 凄いお方です!)
神楽妖様(妖艶な雰囲気を持ったキャラに仕立て上げて生きたいです★)
夜兎様(Tha Bookと厨二は至極! 我が同士!!)
仁都様(優しい子です♪ 受験ガンバです!)
(朱雀*@).゜. 様(コメディの実力者だと思うです。)
秋桜様(仁都様のイベントで顔合わせしました★)
色茱萸様(HN何て読むの??僭越ながら分らぬ!!)
紫雨((元:右左様(あだるどちるどれんは、素晴らしい作品でした!)
天翔(元:聖夜)様(オリキャラ募集中? なら、僕も出すよ? 祝すべき二十人目のお客様!)
世移様(なりきりとかで勢力的に活躍しているみたい!)
霧月 蓮様(シリアス・ダークで神文小説を書いています!)
グレイ様(色々知りたいな^^)
Neon様(男の子か女の子か分らない謎の美少女←女確定やん!? 違います! 中性です!)
野宮詩織様(僕と君は、似ていると……言いたい!)
雷燕様(私はね? 実は、六つくらい今までにポケモン作品を書いていたのですよ?)
紅蓮の流星様(ブラッドエッジ……紫電スパイダー……即ち神!)
山下愁様(2−2クエスト……コメディ・ライトにて大好評!)
レッド様(懐かしいお名前です♪ 二次でお世話になりました^^)
秋原かざや様(えっと、数少ない僕より年上のお方です♪ お茶目で楽しいです^^)
フェイト様(二次時代からのお付き合いです♪)
凛様(この小説の鑑定をして下さった方です!)
菫様(小説内の菫様とは全然違うんだぜ?)
P.H様(最初は冷かしだと思ったです。ごめんなさい! 祝福有難うございました^^)
夢姫様(元気の出るエールを有難うございます!今後も声援頂けると嬉しいな!)
浅葱様(感想書いてくださって有難うございます!)
日向様(ファジーで軍事物の小説を執筆しています★)

今の所、三十四名の方々が着て下さりました!
有難う御座います! そして、是々非々、常連となって貰えると嬉しいです^^




======登場予定の皆様========

風(本人) トレモロ様 月読愛様 朱雀様 ゆn様 仁都様 野宮詩織様 翡翠様 玖龍様
山下愁様 秋桜様 焔錠様 神楽 妖様 朔様 涼儀様 葵様 モノクロ様 
Neuron様 雷燕様 世移様 sui様 白雪様 紅蓮の流星様 秋原かざや様
夜兎_〆様 るりぃ様 梓静様 菫ーsumireー様 明石様 霧月 蓮様
だいこん大魔法様 神様の懺悔様 ryuka様
 
以上、33名の方々が応募に乗って下さいました^^
有難う! そして、有難う♪


>>>>>>>>物語本編目次<<<<<<<

Epsode1

Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」
Part1 >>3 Part2 >>6 Part3 >>12 Part4 >>13 Part5 >>21 The end

Stage2「物語の歯車が動き出す……アストラルと言う名の檻へようこそ」
Part1 >>25 Part2 >>31 Part3 >>38 Part4 >>46 
Part5 >>51 Part6『暗転Pat1』 >>55 Patt7『暗転Part2』 >>64 The end

Stage3「楽しもうぜ? 基本なんて良いじゃない適当で? 基本疎かにすると死にますヨ?」
Part1 >>77 Part2 >>90 Part3『冬音とストレンジア』 >>100 Part4『憎悪の鬼神』 >>117 
Part5『血反吐の夜』 >>130The end

Epsode2

Prologue> >>164

Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」
Part1 >>171 Part2>>187 Part3>>200 Part4『無知』>>202 Part5『護るための代価』>>208
Part6『過去を断つ覚悟』>>214T Part7副題『暗転 Part3』>>342 The end

Stage2「現実も非現実も分らないんだ……だから、赦してくれよ」
Part1 >>230 Part2 >>235 Part3『裏側 1』 >>242 Part4『砕ける音』>>251
Part5『砕ける音Part1』>>263 Part6副題『狂乱双頭 序幕』 >>269 
Part7副題『孤独輪廻 Part1」>>275The end

Stage3「エンドレス・バトル・オブ・パラノイア」
Part1 >>286 Part2副題『汚濁賛歌』 >>291 Part3 >>303 Part4副題『別次元 Part1』 >>314 Part5副題『狂愛者 Part1』 >>324 Part6副題『狂愛者 Part2』 >>335

Epsode3

Stage1「キラーズ・ワンダーランド」Par1 >>350



物語更新毎に追加します。


<<<<<<<番外編(企画)及び貰い物>>>>>

素敵絵師様提供の絵Part1 凡様作 >>40
素敵絵師様提供の絵Part2 朔様作 >>45
素敵絵師様提供の絵Part3 朔様作 >>50
素敵絵師様提供の絵Part4 朔様作 >>54
素敵絵師様提供の絵Part5 朔様作 >>62
素敵絵師様提供の絵Part6 凡様作 >>68
素敵絵師様提供の絵Part7 仁都様作>>116
参照数3500目前記念!第二回アンケート用紙掲載! >>272
素敵絵師様様提供の絵 猫飼あや様作 >>312
番外編【Ⅰ】 受付嬢たちの駄弁り >>329

番外編や貰い物の更新毎に追加します。



%&$#!★注意事項7$♯!=*

Ⅰ.更新は普通の方々から見れば亀更新以下です。 ご了承を。
Ⅱ.グロ表現や死ネタが多々、入ると思います。 更に微エロも… 苦手なお方は、リターンを。
Ⅲ.荒しや宣伝・無意味な連続投稿や中傷などはご法度です。 ネットマナーを護って楽しく付き合いましょう♪
Ⅳ.最後に、アドバイスや感想は大歓迎です^^
Ⅴ.時々、一人称視点の描写が入ると思います。 ご了承ください。

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Re: 風sプロジェクト パラノイア 〜Ep1〜 1ー1執筆中 ( No.3 )
日時: 2011/07/21 21:59
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)

Episode1

Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」Part1

「田舎……嫌い」

  平成二十三年七月十一日月曜日 福島県 

  外を見回せば畑や田んぼ。 ド田舎なのが良く分る。
  そんな山間地の農家の家系で国枝円は、生まれ育った。 
  黒髪で肩に掛かる程度のセミロング。 長身痩躯で色白。 優しげな顔立ち。 
  どちらかと言えば、美人の部類だろう。 
  寡黙で男嫌いで人見知りな性で友人は少ないし男女の仲になった事は極端に少ないが。
  そんな彼女は。農家嫌いで田舎で農業を継ぐのはゴメンだと千葉県の大学に入学した。
  平成二十三年三月上旬頃、血の滲む努力の元、何とか試験に合格したが。
  悲しいかな、大震災で職場に行く前に内定は取り消しとなった。 それからと言うもの彼女は、職安に通いながら家の仕事、即ち農業をしながら暮らしていた。
  四ヶ月近くが過ぎたが、新しい職業に有り付くのはまだまだ、厳しそうだ。
  そんな、真夏の昼下がり…

「眠い……ダルイ。 気持ち悪い。 暑い。 筋肉痛い。 肌荒れる。 暑い。 暑い。 気持ち悪い。 ダルイ。 お腹減った。
寂しい。 眠い。 詰らない。 詰らない。 詰らない……あの頃が、懐かしい。 ゲームしたい……ゲーム」

  彼女は、何時もの様に、お腹を出して自室で寝そべっていた。
  周りには、漫画や小説が煩雑としていて机も無い。 
  PCは、地震の影響で倒れた箪笥に潰されて壊れた。 
  其れゆえ、彼女は、日中は、仕事を手伝ったり職安に通ったりするからと言い、夜は、少しの楽しみと職業検索のためにネットをさせてくれと父に頼んでいた。 彼女は、ネットゲームが好きだ。
  特に、最近は、最新のネットゲーム、アストラルに嵌っている。 夜が恋しい。 
  暑い時間が辛い。ゴロゴロと寝苦しそうに体勢を変えながら明日、職安に行くかなだとと思い立ち履歴書を書く。 履歴書を書きながら時計を見る。 時計の針は三時半をさしている。 まだ、長い。
  悶々とする。 ネトゲの魔力に魅了されている事が分る。小説投稿サイト、小説カキコと言うサイトも彼女は好きだが、今は、それより遥かにアストラルに夢中だ。
  履歴書を書きながら無意識に今の感想が漏れる。
  身体中がジリジリと暑い。 汗がべた付く。 午前中の仕事で筋肉が疲労している。 
  履歴書を書くのは面倒くさい。 毎回似たような事の繰り返しだ。 やりたい。 ゲームを。
  そして、月読愛や野宮詩織と言ったゲーム仲間に速く会いたい。
  この現実が、嫌だ。
  
  彼女は、思い立ったように立ち上がり服を着始める。 
  まだ、書き終わっていない履歴書用紙を乱暴に畳み布団の下に隠し二階へと歩き出す。
  父の部屋は二階だ。 父のPCの二つの内、一つを彼女は、使わせて貰っている。
  父は、教は丁度、職安に通っていて部屋を留守にして居た。 
  彼女は、約束などどうでも良いと目を爛々と輝かせて電源を居れネットゲームを開始した。

「はははっ、ははは……知ってる人居るかな? この時間は、居ないだろうなぁ……」

  彼女のネトゲ仲間は、皆、学生で日中は退屈な授業と言う苦行に耐え忍んでいる。
  小説カキコの場合もそうだ。 日中など土曜や日曜、祝日でなければ会えない。
  だが、一人でもゲームは出来る。 それに、このゲームをやっているのは学生ばかりではない。
  十代の少年少女から五十代まで実に雑多だ。
  廃人に陥り、毎日アストラルの世界に入り浸っている者も多い。
  彼女がゲーム内で知り合った者にもそう言う存在は、多数居た。
  彼女もそうなるかも知れない存在の一人なのかも知れない。 いや、確実に予備軍だろう。

「あぁ、何時も思うんだけどこのゲームの中に入るときの感覚が最高に気持ち良い! 病み付きっ」

  この時、彼女は知らない。 これから先、起こる事を————


⇒Part2へ

Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー2 執筆中 ( No.6 )
日時: 2011/07/21 22:24
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)

Episode1

Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」Part2

              アストラル……そこにあるは、想像の限界——————……


  ザザァッと言う波が押しよせては引いていく音。
  そして、吹き抜けていく適度に、涼しい風。 商人達や通行人の活気に溢れた声。
  自らの体を優しく包み込む太陽の光。 ゲームとは思えない圧倒的な感覚が有る。 しかし、それは現実ではない。 
  ユーザーの意思がゲームの世界の中に入り込んだのだ。 多くの人間が一度や二度、夢に見たことが有るだろう。
  だが、今まで夢で終ってきた。 画面からは、人の温もりや香り、手を触れ合う感触は、感じられなかった。
  このゲームは違う。 そう、オンラインゲームは進化し続けてきた。 
  リアルタイムで人々と付き合い言葉を重ねあうことが出来る。 しかし、今だ、リアルな表情を感じる事やその世界の物の香りや感触を確かめるには至れなかった。 人間は、巨大な欲求の塊だ。 有る一定以上に至り満足しても何れ次を求める。
  多くの今迄のゲームの限界に空腹を覚えていた人間たちが、アストラルの魅力の虜となった。

  痛み……本当の人間の様な筋の動き。 どんな台詞を言っても全てに肉声が加えられる驚き。 
  地に足を付けて歩いているという実感。 
  物の感触や温もり、そして、匂いを感じられるこの世界。
  それは、今までになかった現実と遜色のない圧倒的リアル。
  皆が、酔い痴れるのも頷ける。

「それにしても、我ながら此方の世界の私は格好良いなぁー」
  
  彼女は、気楽な口調で目を開けて周りを見回してから言う。 まるで、現実の世界の歴史の教科書に出てくる海賊の様な風貌だ。 
  身長も十数センチ縮み目の色は青となり勝気な表情だ。 現実とゲームの中では、姿が変化するのだ。  
  この世界はユーザー達の意思は投影されるが姿や声、身長や体重は変更する事が出来る。
  現実世界の性ではない性になり、その性差を実感する事すらできる。
  アルカトラズには、職業がありプレーヤー達は、夫々、最初に好きな職業を選ぶ。
  忍者・武士・騎士・魔法使い・陰陽師・暗殺者・ガンマン……そして、今、正に目の前に居る女、国枝円が、選んだ職業、海賊である。 尚、開発者の話によれば、今後のアップデートにより新たなる職業の登場も有るとのことだ。 
  まだ、若い作品だ。 ファン達の間では、是からの進化も注目点とされている。
    
  一方でこの現在化科学の限界を軽々と超えた技術の粋に、今、世界は、多くの危惧を見せている。
  当然だ。 現在科学の何十年いや、或いは何百年先を行った技術なのだから。 
  このアルカトラズと言うオンラインゲームは、東日本大震災二週間後に開設された。
  世界の関係者達の間では、その大震災が、ゲームの開発に関連しているのではないかと言う推測が絶えない。
  しかし、どの様に関連しているのかは、今の所、皆目見当がついていないのが現実だ。 
  当然といえるだろう。 今の技術の限界を突出した技術なのだから。
  
「あっ、風さんじゃ無いですか? こんな時間に珍しいね?」
「あっ、リノウェイさん! 何時もお世話になっています。 今日は、非番ですか?」

  しばらくの間、ログインしたは良いが、何をすれば良いかと問答していると後ろから男性の声が聞こえてきた。
  風と呼ばれ国枝は、自分の事だと理解し振り向く。 ゲーム内では、無論、本名を使っている者は少ない。
  大概が、他のネットゲームや掲示板などのようにハンドルネームと言う偽名だ。 リノウェイもHNなのは言うまでもない。
そして、目の前に居るポンチョを羽織りテンガロンハットを被った、焦げ茶色の癖毛の長身痩躯の美青年に挨拶をする。
  リノウェイと呼ばれた男は、彼女の言葉に何やら後ろめたそうな表情を浮べ帽子の上から頭を掻いた。 
  その様子を見て「やれやれ」と察したように彼女はぼやく。 青年もそれに釣られてケラケラと笑う。

「ご一緒しませんか?」
「あぁ……君を誘いたいから声を掛けたんだから……喜んで!」

  彼とは、何度か一緒した事が有る。 それなりに優しくて適度に頼りになる良い男だと認識している。
  彼女は、自分から誘う振りをして彼の勧誘に乗るという意思表示をする。
  すると彼は、茶色のグローブを嵌めた右手を彼女にむけ悪手を求めてくる。
  風は、少し照れ臭そうに彼の手を握った。



     感触が伝わる……握られている感触が……温度が、まるでリアルのように————……


⇒Part3へ


Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー3 執筆中 ( No.12 )
日時: 2011/07/08 18:40
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: L0.s5zak)
参照: 葵へ こっちでOKです。 予約もOKです! でも、書き終わるまで待って(汗

Episode1

Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」Part3

「なぁにー? 見ない顔ねぇ?」
「大した実力じゃねぇな……初心者よりはマシだがよ」

  レンガ造りの家々の間に有るこじんまりとした木造の建築物。 
  扉には、カエルゴギルドと書かれている。 カエルゴとは、この港町の名前だ。
  そこは、プレーヤー達からプレーヤーズギルドと総称される場所だ。
  プレイヤーズギルドには、基本的には、このアストラルをプレイする者達のクエストの依頼所の役割が有る。 
  他には、メンバーの指南や基本情報の開示と言ったバックアップなどもしている。
  詰り、プレーヤー達が、ゲームの主目的である任務を進めるには、此処に来てクエストを選び、契約を結ばなければいけない。 カエルゴギルドと言えばギルドのカエルゴ支部と言う意味だ。

  二人は、慣れた様子で颯爽とギルドの扉を開く。 其処には、多くのこのゲームに魅せられた者達が居た。
  何人かは、呼び鈴の音に新客の登場を察知し彼らを見詰る。 装備品で大体の実力が分る。
  何故なら、任務をこなした数の証明になるからだ。
  基本的に、クエストをクリアすれば軍資金や生活費となる、金が手に入る。
  当然ながら、普通は、更なる任務成功率の上昇のために金を使う。
  生き残り有意義に過ごすためには、自身の戦闘力の上昇と装備の上質化を図るのが、常識的だ。 

  彼らは、二人の装飾品の程度を見て、大した実力は有していないと判断し、大概が鼻で笑った。
  当然だろう。 此処に居る者達は、基本的には、日中は来れない風やリノウェイ等とは違い、昼夜を問わずこのゲームに明け暮れる者がほとんどなのだ。 

  彼らは、二人を品定めして小さな声で仲間内と話をして居た。 恐らくは、評価は芳しくない。
  何だか視線が、気分の良い物ではないので風は、目を下にやり何とか彼等と目を合せないようにする。
  そんな彼女を見て「可愛い反応だねぇ」などと冷やかす者が居たが、其れは同胞の女性に、殴られていた。
  恐らくは、彼女を庇ったと言う訳ではなく他の女に目移りするのは赦さないと言う所だろう。
  昼間と深夜一時以降は、群雄割拠だ。
  一般社会人や学生達が帰宅する夕方四時ごろから明日の仕事や学校が、有る者達の大半が、眠りに就く十二時位までの間が、一番、雑多な人間が交じり合う時間だ。 その時間では、流石に人が多すぎて実力者達も弱者にまで目を向けない。
  リノウェイ達のような普段、夕方からしか来れない者達は、そう言う昼夜問わず着ている者達からは、弱者として軽蔑されるのだ。
  しかし、彼は、そんな視線を物ともせず風をエスコートする様に優雅に歩き出す。

「へぇ、中々、肝の据わった良い男じゃないか?」
「…………其処の子、可愛いね? そんな弱そうな奴じゃなくて俺と付き合わない?」

  野卑た顔つきの明らかに上段者の雰囲気を漂わせた武士姿の男の誘いも、赤の野生的な髪型の闊達な盗賊姿の女の言葉も無視して、黙然と彼等の座るテーブルの横を通り抜けていく。    

  彼の眼前には、木造りのカウンター。 ランク、総合五段階に分割されていて夫々、五人の受付け嬢が居る。
  彼等は、ランク二。 初心者から脱却した程度の者達だ。 基本的には、下級者と呼ばれる。
  そんな、彼等の向かうカウンターには、紫を基調とした青のツインテールの笑顔の似合う美女が待っていた。
  彼女の名前は、リノア。 無論、プレイヤーでは無く、RPGなどで言うモブだ。 
  彼女から任務の依頼書を見せて貰い確認し選択し受注する。 そうすれば、この汚い目からも解放する事が出来る。
  男の足は、無意識に速まっていく。 無言のプレッシャーを感じ風は、目を細めた。

「依頼を受けたい」

  カウンターに着くや否や彼は、用紙を見せるように促す。 すると、彼女は、用紙を出しながら、彼に話しかける。

「珍しいですねぇ? お二人が、こんな現実世界では、明るい筈の時間に、此処に訪れるなんて?
さてはさては、リノゥエイさんは、サボりだったりしますな? サボってまで来て貰えるのは嬉しいんですがぁー
仕事を辞めて毎日、朝から晩まで嵌っちゃって貰えるとあたしとしては、もっと、嬉しいかなあぁー!」

  真剣な面持ちで配布された用紙を見詰る彼に、退屈させないために彼女は、話し掛ける。
  モブだが、何ともリアリティが有るものだ。 彼女等は、笑い泣き理論を持ち成長し記憶し忘れ嫉妬し愛する。
  現実世界で生活する人間では無いと言うだけでそれはもう、リアルの人間の如くだ。
  
  心底、珍しそうな表情で風とリノウェイを見詰ながら彼女は話す。  リノウェイは職場勤めで風は、家の仕事で朝は、基本的に来れないと言う事を把握した上で彼女は、話を続ける。 彼女にサボりかと問われた瞬間、彼は、薄ら笑いした。
  そんな、彼の表情に怪訝に眉根を潜めながら彼女は、話を続ける。 サボりなんかじゃなくて、どうせなら仕事を辞めて永遠に、アストラルを楽しんで貰えれば良いのにと彼女は、冗談めかして言う。 無論、実生活が掛かっているのだからそのような事は出来ないだろうと理解した上でだ。 しかし、その言葉に、彼は、更に口角を上げて凄絶に笑う。 何が可笑しいのだろうと、リノアは呆然とする。
  隣に居た風も狂気染みた彼の表情に恐怖を感じ眉根を潜める。

「はははははっ! 勘が良いなぁリノア! そうさ、俺は、辞めたよ……このアストラルは最高だ。 是から俺は、先駆者になる!」
 
  笑いながら彼は、言った。
  ゲームのために辞職したのだと。 
  其れを聞いたリノアは、愕然とした表情をして居た。 
  現実での生活はどうするのだろうと言う疑問が鬱積しているのだろう。
  憐憫にも似た表情だ。 現実とゲームの区別がつかなくなった人間の末路を知っているからこそだろう。
  仕事を忘れ稼ぐ事を忘れ辞職金で暫くはゲーム三昧の生活も出来るだろう。
  しかし、その後はどうだ。 何れ金は底を尽き住む場所は追われやがて、食事も取れなくなる。
  結果、命を失いアストラルに二度と訪れる事は出来ない。 
  現実的な未来を予測しながらも風は、彼のことが理解できる気がした。
  現実などより耽美で刺激的で余程楽しいこの世界、永遠に居られるものなら居てみたい————……


   心の底から……そう、思えた。 現実が嫌いな彼女には、此処は、天国だった——————   


⇒Part4へ

Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー4執筆中 ( No.13 )
日時: 2011/07/08 22:58
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: L0.s5zak)

Episode1

Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」Part4

「俺が、囮になる。 風は、後ろをついてターゲットを倒してくれ」
「分った。 無茶はしないでね?」

  リノウェイの爆弾発言の直後、クエストが決まり彼は、クエストを受注した。 
  内容は、このカエルゴに巣食う悪党のリーダー格の暗殺だ。 
  今回は、この町の外れの裏通りで同業者同士での情報交換が、行われるらしい。 
  そこで、情報交換を阻止するとともにターゲットを暗殺すると言う内容だ。
  無論、任務依頼の内容には、他にも種類が有る。 要人の護衛や屋敷や会社の警護。
  他には、町の外で跋扈する怪物の討伐や怪物たちの生態調査や捕獲。 危険地帯での情報の収集及び情報の伝達。 そして、他国からの攻撃の防衛。
  唯一つ、共通しているのは全ての任務が、戦闘力を必要とする傷つく危険性の高い物だと言うことだろう。
  
   指定の通りへと到着した二人は、懐中時計の時間を確認する。 対象の待ち合わせ時間までは、まだ暫く有る。
   二人は、夫々役割分担を決める。 
  先ずは、銃による遠距離攻撃が出来る後方支援型のリノウェイが、相手の注意を惹きつける。
  そして、それに敵が、気を取られている隙に、海賊と盗賊の特技である忍び足で相手側の背後へ回りこみ殺害対象を殺す。
  尚、任務は、護衛の部下達を倒さずともクリアとなる。 最も、部下を倒したほうが高得点なので倒すのが常識だが。

  カチカチと言う時計の秒針が進む音が、緊張感を煽る。 定時の時間を時計が告げる。
  しかし、暗殺対象である男も取引相手も来ない。 焦燥感が、襲う。 良く有る事だ。 
  より、現実性を出す為に必ず待ち合わせ時間通りに現れない様に調整されている。
  プレイヤーの焦燥感を掻き立てると言う二段構えだ。 
  無論、この世界にも組織間での信頼関係は有る。
  故にほとんどは、待ち合わせ時間通りに来るが。
  十分ほどして風達の正面の方から対照の男が現れる。 護衛は二人。 黒いスーツに身を包んだサングラスの巨漢だ。
  なお、彼女らの姿は、彼らには見えない。 当然ながら相手にばれない資格に隠れている。 
  程なくして、大きなバックを持った女が現れる。 ワインレッドのジャケットが似合う背の高い美女だ。 
  どうやら、暗殺対象の男の交渉相手だろう。 
  役者は、揃ったと言う事だ。

「すまないね……少し、遠回りしていた」
「いえ、此方こそ。 約束の時間に遅れましたのでおあいこです。 此方が例の物です」

    男は、女に優しげな口調で語りかける。 恐らくは、尾行に注意して遠回りして居たということだろう。
  其れに対しあらかじめ了承していた風情で女は頷き、例の鞄をアスファルトの通路に鞄を置く。

「少々、お待ち……」

  女性は、鍵を開ける素振りをしながら鍵を開けるまでの間、辛抱するように頼もうとする。 
  しかし、その瞬間、銃声が響き渡り女の後頭部に銃弾が命中する。 女は、ドサリと音を立てて倒れ込み痙攣し息絶える。
  突然の襲撃に、男の部下達は浮き足立ち荒い声を上げる。 部下達が、うろたえている間に、銃撃が更に放たれる。
  しかし、その銃弾は、男に容易く防がれてしまった。

「……そこ、敵は、あの建物の最上階に居るようだ」

  うろたえる部下達を牽制する男。 流石は、リーダー格という風格だ。 しかし、彼らは、風と言う伏兵を知らない。
  早足に、遮蔽物を利用しながらリノウェイの居る場所へと近付いていく。
  しかし、幾つかの十字路を進んだ後だった。 突然、暗殺対象の男は、背中から血を噴出し倒れこむ。
  巨大な何かにより骨が叩き砕かれる音が、遅れて響き渡る。 部下達が振り向くと其処には、青い目の勝気な海賊姿の女。
  ギルドの手の者として男達は、座り込み「見逃してくれ」と降伏する。
  だが、降伏する男の脳漿を容赦なく、弾丸が襲う。 一人の男が、倒れこむ。

「ヒイィ!」

  今や、唯の肉塊となった仲間を見詰め男は、怯えた声を上げる。 彼女は、そんな男を見詰め渋面を造りながらも大斧を振るう。
  グシャッ……肉に刃物食い込む嫌な感触手が手に伝わる。 そして、その重量で骨を容易く砕く武器は、不快な音を奏でる。
  夥しい血の量。 獣相手なら気分も爽快になれるが、人間相手だと本当に悲しくなる。
  しかし、そんな現実では味わえないリアリティが好きなのだから笑うしかない。
  しばらくの間、立ち尽くしていた彼女は、リノウェイが来るとケタケタと狂人の様に笑い出した。

  任務の成功をギルドに伝え二人は、新しく手にした報酬で道具を買おうと店へと足を運ぶ。
  ゲームの中では、既に八時間が経過しているが、現実世界では二十分しか経っていない。
  二人は、先ずは、武器や回復道具の店へと行きワイワイとショッピングを楽しんだ。
  そして、その店を後にして直ぐ、事件は起こった。

「はぁぁ、一杯、買えましたね! 何だか気分が良いです!」
 
  良い買い物を出来たと満足げな表情で風は言う。

「そうだろう? 一杯、物を持つと裕福な感じになって満たされる……なぁ、風? 俺が、気分を良くしてやっているよな?」

  彼の理屈に成程と相槌を打っていると彼は、突然、表情を湾曲させた。 凶器に歪んだ顔だ。
  言葉は疑問系だが、確実に答えの内容は狭められている感じだ。 彼女は少し後退りする。 しかし、男は、見逃さない。

「俺は、お前の事、前から可愛いなと思ってたんだ。 興味が有って調べてたら俺と同じ福島県の中通の出身じゃないか?
運命を感じたね……そして、俺は、本当の君を見た。 このゲームでの普通位の大きさの普通位の体格の可愛い君じゃない。
それは、スラッとした痩せ型の長身の美人だった。 憧憬を感じたね。 こんな綺麗な女の子と一緒できたらって夢が膨らんだ!
なぁ、風? 男と一緒に遊びたいだろう……はは、良いだろう? お前みたいな女、男が放って置くわけ無いって!
初めてじゃないだろう? ほら、いつまでも女友達と生温い馴れ合いしてないで欲望を……」

  彼は、彼女の手を握り捲し立てるように話し出す。 彼女の中のリノウェイと言う男の姿が崩れていく。
  自分を裏でストーカーする変態男。 そして、今まで、何度か一緒して語り合ったのは唯、体が目的だったからと言う事実。
  更には、心底、楽しんで信頼して付き合っている野宮詩織と月読愛を強く否定する言葉。
  ゲームのために仕事を捨てたと聞いた時は、哀れみを感じた物だが今は、そんな物は無い。
  巨大な憤怒の炎が、彼女の中には燃え上がっていた。

「お言葉ですが、私は、彼女達との関係を心の底から楽しんでいるし彼女たちに深く感謝しています!
そもそも、体が……顔が目当て!? 女を馬鹿にするっ……」

  精一杯、対抗するために彼女は、声を張上げ手振り身振りをして反論する。
  しかし、男は、聞く耳持たず彼女の手を強引に握りラブホテルと書かれた看板の有る方へと歩き出す。
  男の力には敵わない。 ゲーム内の設定では、ガンマンは海賊より基本的に、腕力は劣る。 しかし、それは、クエスト中での話だ。
  そんなゲームの設定に苛立ちを感じる。 何故なら、素での腕力では男である彼には、彼女は全く敵わないのだから。
  抵抗虚しく、男の目的地へと彼女は、ズルズルと連れて行かれる。 涙が、自然に湧き上がって来る。

「誰か……助けて」

  幾ら、助けを求めても誰一人助けようとしない。 それどころか、その状況を楽しんでいるようでさえある。

「誰も助けないさ……男なんて精々、お前の泣き叫ぶ顔を見て欲情しているだけだぜ?」

  絶句する彼女に彼は振り返り、凄絶な笑みを見せ無情なる真実を告げる。
  風は、絶望に嗚咽するしかなかった。 
  しかし、其処に、突然、一人の女が現れる。 ツインテールの紫を基調としたメイド服。
  リノアだった。 彼女は、ギルドの下級者のクエスト受付で有ると同時に下級者の取り締まり役だ。
  それは、全ての暴力行為やルール違反を取り締まることは出来ないが今回は、運良く来てくれた様だ。
  彼女は、リノウェイの腕に手刀を入れる。 痛みに呻き彼は、風の腕を放す。

「リノア……さん?」

  風は、彼女を認め安堵した様子で肩を下ろした。 
  其れに対してリノウェイは、歯軋りをして追い詰められた表情だ。
  間違いなく取り締まられ最悪、ゲームへのアクセス権を永久に失う。 
  彼は、逃亡を図る。 捕まらずペナルティを押されなければ大丈夫なのだ。 ルール違反者とゲームのシステムが認識しない。
  だが、彼女から逃げられると思ったのが彼の間違えだった。
  逃げる彼に彼女は疾風のように追いつく。

「女相手に力付くですか? はあーぁ、なっさけなっ! モテない男の真骨頂ですね?」

  追いついた彼女は、ゲームのシステムが違反者だと区別できるように識別コードを彼に刻み付けようと彼の胸部に手を当てる。
  仕事を辞退してまで、このゲームに集中しようとした男にとっては何としても避けたいシナリオだ。
  彼は、手を振り翳し必死に対抗する。

「くっ……くそおぉぉぉ!」

  しかし、彼の拳など彼女には、静止しているようにしか見えず容易く止められる。 そして、棟に×の形の紋章が刻まれる。
  瞬間、彼の体が透けていく。 このマークを彼女達受付兼取締官付けられると現実世界に強制送還されるのだ。  
  
「…………有難う御座います」

  彼が、消え去ったのを確認して風は、彼女に駆け寄りお詫びをする。
  其れに対して、彼女は、自分の仕事をしただけだよと少し嬉しそうに答えてくれた。
  安堵と共に風の心の中には、彼への憐憫の情が流れていた。 
  彼女自身に対する仕打ちは許す気にはなれないが、あれ程、ゲームにのめり込んでいたのに……と。


            ————しかし、強制送還された彼は、幸せだったのかも知れない


                              是からの未来を考えうると——————……


⇒Part5へ

Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー4更新 コメ求む! ( No.14 )
日時: 2011/07/08 22:03
名前: 葵 (ID: w731Gq1j)

えーと……出来れば此処にあのやつ貼って貰いたいです;


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