ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- パラノイア Ep3 1-1更新 5/11 コメ求む!
- 日時: 2012/05/11 11:28
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: 9hX401bZ)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5508
Prologue 「現実を超えていけよ」
もし、ゲームの世界が実現したら?
楽しいだろうか……否、そんな生易しい物では無いのではないだろうか?
是は、夢の終着駅。 夢の終わりの始まり……暗闇がその先にはポッカリと穴を開けている。
そこに、ダイブする事がゲームの世界へと入って行くと言うこと。
それが彼らの中の現実————
その世界は、決して華やかではない。 血に塗れている。
さぁさ、おいでませ!
そんな、イカれた世界を愛するパラノイア達よ!
普通の世の中は飽きただろ?
————End
お早う御座います。 こんにちは。 こんばんわ♪
初めまして。 お久し振りです。 何時もお世話になってます♪
今までに書いてきた小説は星の数。 しかし、完結まで漕ぎ着けた小説は無い。 それどころか完結近くまで行った事も無い。
そんな無能な駄小説量産機である風が本当の本気で書こうと言う覚悟の下、始めました本小説です。
応援して下さると真に嬉しいです。
この小説は、小説カキコの住人さん達をキャラクタとして使うと言う夜兎様等の何番煎じです……
嫌な方は、この地点で戻るを……
この企画に参戦してくれると言う優しいお方は、参照の場所へ♪
皆様のお陰で四千も見えてきたんだぜ!
〜=〜=〜=〜=〜お客様〜=〜=〜=〜=〜
葵様(常連のお客様。 大好きだよ葵! 小説のネタ探し頑張れ^^)
凡様(素敵絵師様で有ると同時に素敵小説家さんと言う妬ましいお方です!)
トレモロ様(一に女性! 二に女性!! 三四も女性!! 五に女性!! と言う紳士)
ryuka様(小説カイコ……あれは、革命だと思うんだ?)
月読愛様(私の愛しの……きゃあぁぁぁっ★ 恥ずかしくて言えないよぉ)
玖龍様(ハイスペックってさ……使える言葉だよね? ロリに兄好きに小さい…更にはツンデレ)
ゆn様(実は、男の子だったんだぜ! 驚きだぜ!)
朔様(素敵絵師様です! 繊細なタッチの絵が女の子らしいのです^^)
翡翠様(素敵な詩などを書くお方です。 感性の塊なんでしょうねぇ^^)
焔錠様(性転換に挑戦してくれた有り難いお方)
朝倉疾風様(包帯戦争と言う素敵小説はご存知でしょうか? 凄いお方です!)
神楽妖様(妖艶な雰囲気を持ったキャラに仕立て上げて生きたいです★)
夜兎様(Tha Bookと厨二は至極! 我が同士!!)
仁都様(優しい子です♪ 受験ガンバです!)
(朱雀*@).゜. 様(コメディの実力者だと思うです。)
秋桜様(仁都様のイベントで顔合わせしました★)
色茱萸様(HN何て読むの??僭越ながら分らぬ!!)
紫雨((元:右左様(あだるどちるどれんは、素晴らしい作品でした!)
天翔(元:聖夜)様(オリキャラ募集中? なら、僕も出すよ? 祝すべき二十人目のお客様!)
世移様(なりきりとかで勢力的に活躍しているみたい!)
霧月 蓮様(シリアス・ダークで神文小説を書いています!)
グレイ様(色々知りたいな^^)
Neon様(男の子か女の子か分らない謎の美少女←女確定やん!? 違います! 中性です!)
野宮詩織様(僕と君は、似ていると……言いたい!)
雷燕様(私はね? 実は、六つくらい今までにポケモン作品を書いていたのですよ?)
紅蓮の流星様(ブラッドエッジ……紫電スパイダー……即ち神!)
山下愁様(2−2クエスト……コメディ・ライトにて大好評!)
レッド様(懐かしいお名前です♪ 二次でお世話になりました^^)
秋原かざや様(えっと、数少ない僕より年上のお方です♪ お茶目で楽しいです^^)
フェイト様(二次時代からのお付き合いです♪)
凛様(この小説の鑑定をして下さった方です!)
菫様(小説内の菫様とは全然違うんだぜ?)
P.H様(最初は冷かしだと思ったです。ごめんなさい! 祝福有難うございました^^)
夢姫様(元気の出るエールを有難うございます!今後も声援頂けると嬉しいな!)
浅葱様(感想書いてくださって有難うございます!)
日向様(ファジーで軍事物の小説を執筆しています★)
今の所、三十四名の方々が着て下さりました!
有難う御座います! そして、是々非々、常連となって貰えると嬉しいです^^
======登場予定の皆様========
風(本人) トレモロ様 月読愛様 朱雀様 ゆn様 仁都様 野宮詩織様 翡翠様 玖龍様
山下愁様 秋桜様 焔錠様 神楽 妖様 朔様 涼儀様 葵様 モノクロ様
Neuron様 雷燕様 世移様 sui様 白雪様 紅蓮の流星様 秋原かざや様
夜兎_〆様 るりぃ様 梓静様 菫ーsumireー様 明石様 霧月 蓮様
だいこん大魔法様 神様の懺悔様 ryuka様
以上、33名の方々が応募に乗って下さいました^^
有難う! そして、有難う♪
>>>>>>>>物語本編目次<<<<<<<
Epsode1
Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」
Part1 >>3 Part2 >>6 Part3 >>12 Part4 >>13 Part5 >>21 The end
Stage2「物語の歯車が動き出す……アストラルと言う名の檻へようこそ」
Part1 >>25 Part2 >>31 Part3 >>38 Part4 >>46
Part5 >>51 Part6『暗転Pat1』 >>55 Patt7『暗転Part2』 >>64 The end
Stage3「楽しもうぜ? 基本なんて良いじゃない適当で? 基本疎かにすると死にますヨ?」
Part1 >>77 Part2 >>90 Part3『冬音とストレンジア』 >>100 Part4『憎悪の鬼神』 >>117
Part5『血反吐の夜』 >>130The end
Epsode2
Prologue> >>164
Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」
Part1 >>171 Part2>>187 Part3>>200 Part4『無知』>>202 Part5『護るための代価』>>208
Part6『過去を断つ覚悟』>>214T Part7副題『暗転 Part3』>>342 The end
Stage2「現実も非現実も分らないんだ……だから、赦してくれよ」
Part1 >>230 Part2 >>235 Part3『裏側 1』 >>242 Part4『砕ける音』>>251
Part5『砕ける音Part1』>>263 Part6副題『狂乱双頭 序幕』 >>269
Part7副題『孤独輪廻 Part1」>>275The end
Stage3「エンドレス・バトル・オブ・パラノイア」
Part1 >>286 Part2副題『汚濁賛歌』 >>291 Part3 >>303 Part4副題『別次元 Part1』 >>314 Part5副題『狂愛者 Part1』 >>324 Part6副題『狂愛者 Part2』 >>335
Epsode3
Stage1「キラーズ・ワンダーランド」Par1 >>350
物語更新毎に追加します。
<<<<<<<番外編(企画)及び貰い物>>>>>
素敵絵師様提供の絵Part1 凡様作 >>40
素敵絵師様提供の絵Part2 朔様作 >>45
素敵絵師様提供の絵Part3 朔様作 >>50
素敵絵師様提供の絵Part4 朔様作 >>54
素敵絵師様提供の絵Part5 朔様作 >>62
素敵絵師様提供の絵Part6 凡様作 >>68
素敵絵師様提供の絵Part7 仁都様作>>116
参照数3500目前記念!第二回アンケート用紙掲載! >>272
素敵絵師様様提供の絵 猫飼あや様作 >>312
番外編【Ⅰ】 受付嬢たちの駄弁り >>329
番外編や貰い物の更新毎に追加します。
%&$#!★注意事項7$♯!=*
Ⅰ.更新は普通の方々から見れば亀更新以下です。 ご了承を。
Ⅱ.グロ表現や死ネタが多々、入ると思います。 更に微エロも… 苦手なお方は、リターンを。
Ⅲ.荒しや宣伝・無意味な連続投稿や中傷などはご法度です。 ネットマナーを護って楽しく付き合いましょう♪
Ⅳ.最後に、アドバイスや感想は大歓迎です^^
Ⅴ.時々、一人称視点の描写が入ると思います。 ご了承ください。
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- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2へ移行 アンケ実施中 ( No.168 )
- 日時: 2011/08/26 23:51
- 名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: 6MOWHKAk)
- 参照: 自爆するぞー、おー。
あれ、やけにハイスペックだな私www
ハイスペックとは玖龍にだけ使える言葉じゃなかったのかwwww
焔綻さん……哀れ……?((知るか
愛する人に殺されるんだ、本望だろうよ、私←え
ヤバイ事になりつつも生き延びるというwww
しかも媚薬をどう扱うんだ私w
風猫、私は言っておくけれど現実世界で媚薬を使った事は一度も無いぞ!?←当たり前だ
わぉ、珍しく風猫が本気……←黙ろうか
良いねぇ……そういうの♪
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2へ移行 アンケ実施中 ( No.169 )
- 日時: 2011/08/27 00:38
- 名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)
お久しぶりです……!
小説は読ませていただいたのですが、時間の関係でざっとなので、またゆっくりよませていただきます^^
とりあえず、素敵なアンケートを書かせていただきますw
〜1000突破企画 アンケート!!〜
No1:君のHN(読み方も)「仁都/にと」
No2:当小説に参加していますか?「Yes」(どちらか)
No3:好きなキャラクタ「え、皆さん大好……あ、はい、絞ります、風様&愛様&リノア様」(複数OK!寧ろ複数で)
No4:好きな話「Ep1 1-3 , 3-2」(Ep1 1-1みたいに記入 複数OK)
No5:当小説の評価「勿論一です!」(五段階評価で一が一番良くて五が一番悪いで)
No6:当小説の改善点「改善……素晴らし過ぎる事で←」
No7:当小説の台詞で格好いいと思う台詞「そうさ、俺は、辞めたよ……このアストラルは最高だ。 是から俺は、先駆者になる!」小説内でのことの大きさが凄く伝わってきました!
No8:番外編を書きたいと思います。どんなのが良いかな?「え、風猫様の文章が拝めるならどんなものでも…!←」
No9:番外編で誰が目立って欲しい?「できれば全員…!…なんか解答になってなくてごめんなさい;」(複数OK)
〜此処からは、私の君達に対しての興味です〜
No1:貴方が、アストラルに入ったら何をしたい?「現実に居ない動物と……って変です、すみません;;」
No2:もしアストラルが本編と違う世界だったらどんな世界を想像する?「前述通り、現実に居ない動物がいるような…哺乳類限定で!←」
No3:チームを組むんだったら誰と組みたい?「お話しした事のない方と組んでみたいですw」
No4:そのチームでどんなことをしたい?「自己しょうか((」
…ごめんなさい、半分、回答になっていない気が…!;
でも、楽しく答えさせていただきました^^
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2へ移行 アンケ実施中 ( No.170 )
- 日時: 2011/08/28 11:02
- 名前: 風猫(元;風 ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)
- 参照:
コメント下さった方々有難う御座います。
葵へ
ハイスペック……それは、確かに過去まで彼女のものだった。
しかし……私は、神に打勝った(厨二全開である
哀れと言うか……焔錠さんみたいな立ち居地のキャラは結構出るかなとか(笑
憐れな人大好き^^
でしょうね!
媚薬はねぇ? えへへへへ★(黙れ
有難う!
仁都様へ
お久し振りです!
愛が入ってる! 泣けるほど嬉しい♪
リノウェイさんの台詞がまさか、入ってくるとは(汗
現実には居ない動物、アストラル内には、沢山居るのですよ^^ 可愛いのは少ないかもだけど(苦笑
有難う御座いました!
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2へ移行 アンケ実施中 ( No.171 )
- 日時: 2011/08/30 18:19
- 名前: 風猫(元:風 ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)
- 参照: Ep2本格始動!
Episode2
Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」Part1
意気揚々、夢に溢れて……軽い足取りで、そう、前へ進めるのは何も知らないから?——
意気揚々と彼等は、夢を見て足を運んだ。
此処は、昨日も通った場所。 そう、磯の香り漂うカエルゴの街のギルド。
先頭に立つ金髪碧眼の青年、トレモロがギルドの扉を開く。
その先に有った光景は、彼等の夢と希望、昨日の夜の間に立てた即席の覚悟を崩すには十分なものだった。
宿泊施設から此処までの道中でも昨日と比べて重い空気が、流れていたのは気付いていた。
しかし、通行量自体が多くモブの人間も存在した道中と比べ其処は、遥かにその湿度が明確なのだ。
昨日、初めて入ったときにあったあの陽気な雰囲気は、其処には微かにも残っていない。
「もう、駄目だ……たった、一日でこうなるか!?」
「畜生! 何で、ゲームでこんな思いしてんだよ!?」
幾つもの悲嘆の念の滲んだ言葉。 慟哭するように絶叫する者。 双眸に大粒の涙を潤ませる者。 不のスパイラルが満ち溢れているのが手にとる様に分る。
昨日から行動を共にする彼等は、尻込みし後ずさりした。
しかし、そんな彼等の動きを初心者専門の受付嬢であるノーヴァは見逃さない。
「逃げるのですか? 逃げて……生延びられるとお思いですか? 貴方達人間は、生きていくために衣食住が必要でしょう?
お金も無しにそれを成せますか? 立場を状況を弁えるのなら逃げる事は出来ないのはお分かりでは?」
冷淡な口調で淡々と事実を警告する。
それは、全て紛れもない事実。 昨日より定められた事実だ。 外の世界の事はどうなるのか。 危険な任務を行わずに、物作りなどして凌ぐ事も出来るのではないかなど、色々と疑念は湧くが、恐らくは、不可能なのだろう。
何を造るにも自分が集めた物を材料にしなければ製造権は、発生しないと明記されている。
少なくとも危険の有る場所に赴かなくてはならないのは確実。
「あぁ、お前らが来なければ……」
何をする気力も無いようにくたびれた表情の四十台程度の忍の男が、トレモロたちを睥睨してくる。
しかし、殴りかかるでも何するでもなく直ぐに俯き、「あぁ、あんた等が悪いわけじゃないのはわかってるんだ」と反省するように、消え入るような声で誰に言うでもなく言う。 そして、木造りのテーブルに置かれたジョッキの柄を握り一気に酒を口内に流し込んだ。
大切な人を失ったりしたのだろうか。 悲痛にくれる人々の姿を見てそう悟る。
痛みを感じ、死を実感するゲームへとレートを上げ、アストラルはパラノイアへと名前を変貌させた。
「何人、死ん……だ?」
カウンターの近くまでいきトレモロは、消え入るような声で目の前の女性に問う。
彼女は、色の無い双眸に僅かに剣呑な気配を滲ませる。 そして、肩を震わせながら重い口を動かす。
「二百人です。 単純計算では二年で十四万が死ぬ計算になりますね。 否、昨日は一夜しかなかったので……更に」
淡々と述べている。 声音は淡々としてると言った方が正確か。
しかし、彼女の表情と本来では、口にしなそうな予想の範疇の情報。 それが、彼女の焦燥感と心境を語る。
顔色が蒼白としている。 直ぐ横に居るリノアが、心配そうに顔を覗く。
「もう、良いよ……無理するなって」
その様子を自分が質問した手前だと言い聞かせ静観していたトレモロが、制止する。
予想以上の人間が一夜にして死んだ事への絶望と憤慨は確かにあった。
しかし、それ以上に目の前で震える女を彼は、容易く許してしまった。
それ程の人数が死んだのは、彼女たちのサポートの不届きが原因なのだろうと罵倒したい人間は多いだろう。
だが、直接、仲間や友を失っていない彼は、其処までに鬼畜には成れなかった。
「所で……あの今、このゲームをプレイしているユーザーさんって何人居るの?」
薄紅色の綺麗な双眸をキラキラと輝かせながらトレモロと凡の間から少女が顔を出す。
妖だ。 彼女は、知的好奇心が強く興味の有る事を直ぐ聞きたがる人間らしい。
「今、現在、十五万名が当オンラインゲーム パラノイアのユーザーIDを所有しています」
「ふーん、ってことはこのままのペースで行くとほぼ全員死ぬのですね。 嫌だなぁ……死ぬのは」
質問した彼女は、静かにノーヴァの言葉を聞く。
それを聞いて死者数の予想をして居た時のノーヴァの表情が、相当に逼迫していた理由を察し胡乱げに目を潜める。
そして、素直に感想を述べどうすれば死なないだろうかと言外に問う。
「恐らくは、安全を第一に行動する事が前提に置かれるようになると思います。
皆様、どれだけ慎重になればいいのか掴みあぐねていたのでしょう。 是からは……」
今回の失敗を糧にし今後は、死者の数も減衰して行くだろうと言う見立てをノーヴァは、言う。
その言葉に希望的観測の様な物が有るのは、感の鋭い妖等は、直ぐに理解できた。
しかし、何を理解できた所でこのゲーム内から逃れる事は出来ないと考えその希望的観測を受け入れる事を妖は、決める。
「そうですか。 じゃぁ、次に……私達の体は、今一体どうなっているんですかね? 昏睡状態だとヤバイのでは?」
思案気に口元に手をあて先鋭的と言っても良いほどに目を背けながら彼女は、更に受付嬢に問い掛ける。
それは、昨日も出てきた問い。 昨日は、有耶無耶にされたがどうしても気になるのが彼女の中の実情だ。
何せ、もし、此処で二年生延びても帰るべき肉体が無ければ何の意味も無いのだから。
「それは、ご心配無いと……」
「言葉だけじゃ信用できないよ。 せめてどのような対処をしているか……聞かないと」
はぐらかす様に言うノーヴァに、彼女は、冷たく警告する。
其れに対し当然の反応だとノーヴァは、嘆息し説明を開始する。
どうやら、ゲームの中で精製された人間の脳を解析するシステムを利用しているらしい。
それは、その人物の記憶を解読し通常のその人物の思考や感情、思考をそのまま肉体や言葉に投影させる事できるとのことだ。
詰り、仕草や行動、信念など通常のその人物を完全に演じきる。 他人には分らないほどに精巧に操作する。
俄かには信じ難い話に騒然とする。 そんな技術は、明らかに現在科学の領域を超えているのではないか。
そう、疑念を感じたときふと思う。 あぁ、この痛みを感じるゲーム自体が完璧に浮世を逸脱しているのだ。
このゲームを造ったものが何を出来ても可笑しくない。
そう、心に言い聞かせることが出来るほどにこの世界観は、精緻でオーバーテクノロジーの祭典と言えた。
「凄いな……肉体の方は安心だ」
少し皮肉を篭めて妖は、色気の有る伏目を造りお辞儀をする。
お辞儀された彼女は、剣呑とした表情を解かない。 どうやら、昨日の発現に対する多くの反省があるのだろう。
彼女は、この事を話していないし普通にプレイすれば先ず死ぬ事は無いだろうと楽観的に言ってしまったのだ。
「まぁ、兎に角、余り悲しい顔しないでよ? 是から死地へ向かう夫を見送るような目って言うの?
正直、不安に成るだけなんだよね? ほら、アンタさ……美人なんだし受付さんなんだし……笑いなよ? 気が滅入る」
ひたすら暗い表情の彼女を見続けていた妖は、ついに渋面を造る。
そして、彼女の事を笑顔であるべき立場なのだからと笑う事を促す。
其れを聞いた彼女は、小さく浮き出る涙を拭う。
そして、容姿的に自分より明らかに若輩であろう妖に諭された事を恥ずかしく思いながら微笑む。
「ありがとう」
「んっ、良い顔してる! やっぱ、美人じゃんアンタ!」
素直に感謝の念を口にする彼女に妖は、お世辞の欠片もない声音で褒め称えた。
唯単純に、異性からみても美しい彼女の美貌を。 此処に、ノーヴァと妖の奇妙な関係が生まれる事は誰も知らない。
そんな事は露知れず聞きたい事を一応全て質問した妖は、カウンターから立ち去る。
「じゃぁ、兎に角……えっと、焔錠さんどこ?」
「はっ?」
他に質問が有る者が居るかを一しきり確認したトレモロが、口を動かす。
その彼の口から発された質問の余りの突拍子の無さに一同は、瞠目し異口同音に声を上げた。
ノーヴァなど声を上げる事もできず普段は、冷静そのものなクリスタルの様な瞳を大きく見開き驚愕するばかりだ。
「トレモロ……お前、其処まで本性は女な男の子に興味が有るのか!?」
トレモロとチームを組む凡が、凄絶な笑みを浮かべながら容赦ない拳を顔面に浴びせる。
彼は、何か少し嬉しそうな表情でそれを受け倒れこむ。
「喜んでましたね?」
「天性のドMなんですよトレモロは! ノーヴァさんも溜ってる時は、殴ってやってください!」
一切の手加減無い痛打に彼は、満面の笑みを浮かべた瞬間に昏倒。 そして、数秒の間、床に臥しビクビクと痙攣した後、立ち上がる。 そんな様子を見てノーヴァが、引き攣った表情で凡に問う。
凡は、苦笑いを浮かべながら辛い時は、目の前の男でストレス解消すると良いでしょうと推奨した。
それを聞いた彼女は、「仲が良いのですね?」と、微笑ましげに頬緩めて笑う。
「グッドスマイルです姉さっ……ベバッ!」
「五月蝿い。 黙れ」
立ち上がり透かさずノーヴァを抱かかえようと猛進する変態。
それからかよわき女性を護ろうと凡は、遠慮の欠片も無い蹴りを幼馴染の胸板にヒットさせた。
其れを見た彼女は、これ以上やると此方の日常部分で死にかねないと危惧し仲の良い夫婦喧嘩を制止する。
「はぁはぁ、違くて、本当に……純粋に気になったから聞いてるだけで」
ほとぼりも冷めた所で荒い呼吸を整えながらトレモロは質問を繰り返した。
本当に、あの人物を気に掛けているのだと言う事が、心配そうな表情からも分る。
一時的とは言え一緒に組んで行動して居たのだから動向が気になるのは、当然の事なのだろう。
そう、ノーヴァは、推察し焔錠の昨日の動向の一部始終と今の精神状況を伝える。
精神状況については、昨日ストレンジアに連れられてきた意気消沈した彼女を目撃した程度だから実は、分りかねるのだが。
「成程! 癒しが必要ってことだな!」
そう、早合点してトレモロは、走り出す。 何処に彼女が居るのかも分らないと言うのに。
愚かな行動を幼馴染が、叱咤する。 そして、此処に来た本来の目的は何かを問い質す。
其れに対し彼は、絶望感漂う酒を漁るユーザー達の表情を一瞥する。 其れを見ると恐怖心が沸々と湧き上がるのだ。
本当は、チュートリアルとて痛みを感じるのならやりたくない。 そんな、臆病な心が、彼を踏み止まらせる。
切り立った崖に突進していくのは愚かと言うものだ。
「無力な者が、何を言っても言葉に力は宿らない物です。
彼は、今回の過ちで自分の無力を呪い仲間を失う恐怖を味わっているでしょう。
ならば、発言に力を持つ程度の実績と実力を有さなければ」
「…………チュートリアル頼むわ」
何もしないで逃げているだけでは前には進まない。
ノーヴァの言葉は、其れを示唆しているように彼には感じられた。
思いがけない鼓舞に彼は、立ち止まり彼女を見詰る。 彼女が照れ臭そうに顔を赤らめる。
立ち止まっていても仕方ない。 閉じ込められた。 此処でしばらく生延びなければ成らない。
その為のノウハウを習得するのは速い方が良い。
彼は、額に手をあて眼光を輝かせて務めて自信満々な声でチュートリアルの許可を取る。
「承諾しました」
其れに対し受付嬢は、快く承諾する。 鬱屈として居た何かが、少し霧散した気がした。
甘い幻想は、打ち砕かれる為にあると天邪鬼が嗤う————
⇒Part2へ
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep2 1-1更新 コメ求む!!! ( No.173 )
- 日時: 2011/08/29 18:47
- 名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: 6MOWHKAk)
- 参照: 自爆するぞー、おー。
夏の大会は本当に……野宮詩織さんのとか、夜兎さんのとか、本当凄いなと思ったよ……
私にはまだまだ技術力が足りないんだなとも思いました(作文←
あれ、ハイスペックは彼女の物じゃなくなったの?((汗
厨二全開……素晴らしいじゃないか、厨二の何処が悪い?
否、厨二とは最早神なのだ!((厨二が
哀れな人私も大好きw
だからトレモロさんも必然的に好き←何だそれは
媚薬……
それは単語的にエロいと思う←
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