ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- パラノイア Ep3 1-1更新 5/11 コメ求む!
- 日時: 2012/05/11 11:28
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: 9hX401bZ)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=5508
Prologue 「現実を超えていけよ」
もし、ゲームの世界が実現したら?
楽しいだろうか……否、そんな生易しい物では無いのではないだろうか?
是は、夢の終着駅。 夢の終わりの始まり……暗闇がその先にはポッカリと穴を開けている。
そこに、ダイブする事がゲームの世界へと入って行くと言うこと。
それが彼らの中の現実————
その世界は、決して華やかではない。 血に塗れている。
さぁさ、おいでませ!
そんな、イカれた世界を愛するパラノイア達よ!
普通の世の中は飽きただろ?
————End
お早う御座います。 こんにちは。 こんばんわ♪
初めまして。 お久し振りです。 何時もお世話になってます♪
今までに書いてきた小説は星の数。 しかし、完結まで漕ぎ着けた小説は無い。 それどころか完結近くまで行った事も無い。
そんな無能な駄小説量産機である風が本当の本気で書こうと言う覚悟の下、始めました本小説です。
応援して下さると真に嬉しいです。
この小説は、小説カキコの住人さん達をキャラクタとして使うと言う夜兎様等の何番煎じです……
嫌な方は、この地点で戻るを……
この企画に参戦してくれると言う優しいお方は、参照の場所へ♪
皆様のお陰で四千も見えてきたんだぜ!
〜=〜=〜=〜=〜お客様〜=〜=〜=〜=〜
葵様(常連のお客様。 大好きだよ葵! 小説のネタ探し頑張れ^^)
凡様(素敵絵師様で有ると同時に素敵小説家さんと言う妬ましいお方です!)
トレモロ様(一に女性! 二に女性!! 三四も女性!! 五に女性!! と言う紳士)
ryuka様(小説カイコ……あれは、革命だと思うんだ?)
月読愛様(私の愛しの……きゃあぁぁぁっ★ 恥ずかしくて言えないよぉ)
玖龍様(ハイスペックってさ……使える言葉だよね? ロリに兄好きに小さい…更にはツンデレ)
ゆn様(実は、男の子だったんだぜ! 驚きだぜ!)
朔様(素敵絵師様です! 繊細なタッチの絵が女の子らしいのです^^)
翡翠様(素敵な詩などを書くお方です。 感性の塊なんでしょうねぇ^^)
焔錠様(性転換に挑戦してくれた有り難いお方)
朝倉疾風様(包帯戦争と言う素敵小説はご存知でしょうか? 凄いお方です!)
神楽妖様(妖艶な雰囲気を持ったキャラに仕立て上げて生きたいです★)
夜兎様(Tha Bookと厨二は至極! 我が同士!!)
仁都様(優しい子です♪ 受験ガンバです!)
(朱雀*@).゜. 様(コメディの実力者だと思うです。)
秋桜様(仁都様のイベントで顔合わせしました★)
色茱萸様(HN何て読むの??僭越ながら分らぬ!!)
紫雨((元:右左様(あだるどちるどれんは、素晴らしい作品でした!)
天翔(元:聖夜)様(オリキャラ募集中? なら、僕も出すよ? 祝すべき二十人目のお客様!)
世移様(なりきりとかで勢力的に活躍しているみたい!)
霧月 蓮様(シリアス・ダークで神文小説を書いています!)
グレイ様(色々知りたいな^^)
Neon様(男の子か女の子か分らない謎の美少女←女確定やん!? 違います! 中性です!)
野宮詩織様(僕と君は、似ていると……言いたい!)
雷燕様(私はね? 実は、六つくらい今までにポケモン作品を書いていたのですよ?)
紅蓮の流星様(ブラッドエッジ……紫電スパイダー……即ち神!)
山下愁様(2−2クエスト……コメディ・ライトにて大好評!)
レッド様(懐かしいお名前です♪ 二次でお世話になりました^^)
秋原かざや様(えっと、数少ない僕より年上のお方です♪ お茶目で楽しいです^^)
フェイト様(二次時代からのお付き合いです♪)
凛様(この小説の鑑定をして下さった方です!)
菫様(小説内の菫様とは全然違うんだぜ?)
P.H様(最初は冷かしだと思ったです。ごめんなさい! 祝福有難うございました^^)
夢姫様(元気の出るエールを有難うございます!今後も声援頂けると嬉しいな!)
浅葱様(感想書いてくださって有難うございます!)
日向様(ファジーで軍事物の小説を執筆しています★)
今の所、三十四名の方々が着て下さりました!
有難う御座います! そして、是々非々、常連となって貰えると嬉しいです^^
======登場予定の皆様========
風(本人) トレモロ様 月読愛様 朱雀様 ゆn様 仁都様 野宮詩織様 翡翠様 玖龍様
山下愁様 秋桜様 焔錠様 神楽 妖様 朔様 涼儀様 葵様 モノクロ様
Neuron様 雷燕様 世移様 sui様 白雪様 紅蓮の流星様 秋原かざや様
夜兎_〆様 るりぃ様 梓静様 菫ーsumireー様 明石様 霧月 蓮様
だいこん大魔法様 神様の懺悔様 ryuka様
以上、33名の方々が応募に乗って下さいました^^
有難う! そして、有難う♪
>>>>>>>>物語本編目次<<<<<<<
Epsode1
Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」
Part1 >>3 Part2 >>6 Part3 >>12 Part4 >>13 Part5 >>21 The end
Stage2「物語の歯車が動き出す……アストラルと言う名の檻へようこそ」
Part1 >>25 Part2 >>31 Part3 >>38 Part4 >>46
Part5 >>51 Part6『暗転Pat1』 >>55 Patt7『暗転Part2』 >>64 The end
Stage3「楽しもうぜ? 基本なんて良いじゃない適当で? 基本疎かにすると死にますヨ?」
Part1 >>77 Part2 >>90 Part3『冬音とストレンジア』 >>100 Part4『憎悪の鬼神』 >>117
Part5『血反吐の夜』 >>130The end
Epsode2
Prologue> >>164
Stage1「慟哭が心の空を貫くがゆえに……」
Part1 >>171 Part2>>187 Part3>>200 Part4『無知』>>202 Part5『護るための代価』>>208
Part6『過去を断つ覚悟』>>214T Part7副題『暗転 Part3』>>342 The end
Stage2「現実も非現実も分らないんだ……だから、赦してくれよ」
Part1 >>230 Part2 >>235 Part3『裏側 1』 >>242 Part4『砕ける音』>>251
Part5『砕ける音Part1』>>263 Part6副題『狂乱双頭 序幕』 >>269
Part7副題『孤独輪廻 Part1」>>275The end
Stage3「エンドレス・バトル・オブ・パラノイア」
Part1 >>286 Part2副題『汚濁賛歌』 >>291 Part3 >>303 Part4副題『別次元 Part1』 >>314 Part5副題『狂愛者 Part1』 >>324 Part6副題『狂愛者 Part2』 >>335
Epsode3
Stage1「キラーズ・ワンダーランド」Par1 >>350
物語更新毎に追加します。
<<<<<<<番外編(企画)及び貰い物>>>>>
素敵絵師様提供の絵Part1 凡様作 >>40
素敵絵師様提供の絵Part2 朔様作 >>45
素敵絵師様提供の絵Part3 朔様作 >>50
素敵絵師様提供の絵Part4 朔様作 >>54
素敵絵師様提供の絵Part5 朔様作 >>62
素敵絵師様提供の絵Part6 凡様作 >>68
素敵絵師様提供の絵Part7 仁都様作>>116
参照数3500目前記念!第二回アンケート用紙掲載! >>272
素敵絵師様様提供の絵 猫飼あや様作 >>312
番外編【Ⅰ】 受付嬢たちの駄弁り >>329
番外編や貰い物の更新毎に追加します。
%&$#!★注意事項7$♯!=*
Ⅰ.更新は普通の方々から見れば亀更新以下です。 ご了承を。
Ⅱ.グロ表現や死ネタが多々、入ると思います。 更に微エロも… 苦手なお方は、リターンを。
Ⅲ.荒しや宣伝・無意味な連続投稿や中傷などはご法度です。 ネットマナーを護って楽しく付き合いましょう♪
Ⅳ.最後に、アドバイスや感想は大歓迎です^^
Ⅴ.時々、一人称視点の描写が入ると思います。 ご了承ください。
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- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー5執筆中 ( No.21 )
- 日時: 2011/07/12 16:34
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: L0.s5zak)
Episode1
Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」Part5
「おいちぃっ」
風は、ゲーム内の店舗で買ったチューハイに口を付ける。
ゴクリと音を立て飲み込むと炭酸飲料の様な感覚が喉を通り踊る様に弾けた。
彼女は、最初の一口を堪能し一気にグビグビと呑み始める。
まるでリノウェイが自分に行った悪行を忘れようとするかの様に。 一気に、酒を流し込み派手に音を立てて呑み出した。
「プハァッ! はぁ、今は、現実では三時半くらいかぁ……愛達が来るのは八時位からかなぁ?」
空になるまで飲み干し彼女は、無造作に缶を握り潰す。 そして、外を見やる。
外の人間達は皆、一様に彼女とは、時間が隔絶されたかのような速度で動き回っている。
今、彼女が居る場所は、アストラルの中の宿屋だ。
基本的には、此方の世界の一日は、現実世界の一時間だが、宿屋などの幾つかの場所では、現実と同等の時間の流れになるのだ。
彼女は、何時も付き合っている仲間達を待つ事にした。 仲間でる月読愛や野宮詩織は現実世界での八時頃に主に此処に来ている。
それまで、アストラル内での時間間隔の中で居たら感覚的には、五日分の時間を孤独で過ごすと言う事になる。
親しい仲間が来るのを待つ為に宿は、良く使われる。
宿主に、相手の名前を伝えて置くと対象が来ると同時に、個室に電話が掛かってきて知らせる仕組みになっている。
彼女は、まだ、当分有るなと一人ゴチながら仮眠を取ろうとベッドへと向かう。
『ふかふかだ……こんな寝心地の良さそうなベッドは初めて』
アストラルにログインする時間が大体決まっていて、基本的には何時も仲間達と一緒に居る事の出来る彼女は、宿を使ったことが実は、今まで無い。
入室した瞬間は、畳み十五畳分は有ろう広い間合いと高い天井、控え目ながら絢爛とした内装に愕然とした物だ。
見た雰囲気だけではなくて使われている素材も最高の物の様だと肌で感じる。
彼女は、しばらくの間、ベッドを愛撫する様にして触り心地に感嘆する。
そして、十秒以上が経過し彼女は、はっとなる。 何故、ベッドに近付いたのかを思い出し彼女は、ベッドへと横たわる。
目を瞑っていると頭がボーっとしてくる。 部屋は、冷房が効いて寝心地が良い。
だが、あの男との忌わしい時間が消える訳ではない。 あの短絡的で身勝手な発現。 獣の様な行動。
全てが、鮮明に思い出される。 彼女は、眠りながら渋面造る。 しかし、そんな中で最も嫌だった事が有る。
彼に手を引かれ抵抗しながらも彼女は、ある種、恍惚とした感情に襲われていた。
男が嫌いだ。 身勝手で下品で女を性欲の捌け口としてしか見ていない気がして。
彼女は起き上がり、電話を取り更に、チューハイを二本ほど注文する。 それを直ぐに飲み干しまどろみの中、眠りにつく。
兎に角、忘れたかった。 リノウェイという男の事を……
数時間が過ぎた。
テレホンの音が、部屋に響き渡る。 彼女は目を覚ます。 そして、眠たそうに眼を擦る。
そして、覚束ない足取りで電話を取りに向かい、受話器を取り耳に当てる。
「月読愛様と野宮詩織様、両名が到着しました。 ギルド五十七番テーブルにてお待ちです」
淡々とした口調で従業員らしき女性が、仲間の到着ち居場所を知らせる。
風は、眼を輝かせ、外していたヘアピンを着け顔を洗って部屋を出た。
そして、彼女は、月読達の居る場所へと足を進めた。
現実では、夜の筈だが、ゲーム内での時間は、夕方の様だ。 彼女が寝てから、五度目の夕方だろう。
やっと、安心してこの世界を楽しめると彼女は、少しスキップするような感じで二人の下へと進む。
「よっ、災難だったみたいだな姉貴? つーか、リノウェイの野郎、ザマァだぜ! 野郎の分際でよ!」
五十七番テーブルへと向かう彼女を見つけて、小柄で細身な姿には不釣合いな甲冑と大太刀を背負った、肩につく程度の長さの髪の人物が話しかけてくる。 仲間の野宮詩織だ。 現実の彼女は、河倉 美子と言うらしく貧乳なのだが、巨乳願望が有りゲーム内では巨乳である。
既に、二人とも今日、彼女が何をされたのかは、リノアから聞き及んでいるらしい。
開口一番に、女性優先主義の詩織が、彼女の代弁をする。 実に、彼女らしい言葉だなと風は、微苦笑を浮かべる。
「詩織……愛」
感極まり風は、涙を浮かべながら二人のHNを呼ぶ。
「なっ……何ですの? 改まって!?」
いつもと明らかに違う雰囲気の彼女に驚き、もう一方の仲間、月読愛が、口を開く。
緑色を基調とした魔女姿の前髪は整えられた紫掛かった黒の腰まである髪が特徴的な女性だ。
実は、現実世界では目と髪の色が赤と言う珍しい容姿だそうだ。 本名は、志摩 桜子と言うらしい。
三人は、夫々の本名を知る程度には、親しい。何しろ、彼女たちの交流は、このオンラインゲームだけではない。
小説投稿を主とした大型サイトである小説カキコと言うサイトでこのゲームが出来る以前から付き合っていた。
「んっ……何か、こんなに愛達に会って嬉しいと思ったの初めてで……是からも友達で居てくれるよね!?」
大きく腕を広げて抱きついてくる彼女を二人は拒まなかった。
そして、二人は苦しそうにしながらも夫々の顔を見回して言う。
「当たり前じゃねぇかよ? そんなこと聞くなんてよっぽど怖かったんだな!」
「当然ですわ! 風は、月読のお姉さんですもの?」
その当然の言葉に、彼女は思わず涙ぐんだ。
余程、嫌な経験だったのだなと二人は、涙する仲間を見て察し彼女が落ち着くまで彼女に抱き付かれたままで居た。
「ふぅ……ゴメン、そろそろ、クエスト依頼してスリリングなゲームをしようか?」
落ち着きを取り戻して周りを見回し彼女は、二人から手を放す。 苦しかったと言う様子を二人は、態とらしく顔に出す。
風は、二人に謝り、落ち着いたからゲームの本懐を始めようと促す。
月読と野宮は、目を見合わせて呆れた風情の顔を見せると風の言葉に賛成した。
————温かい友、その存在が、どれだけ大事か、彼女達は、この後、知る事となる————……
〜Epsode1 Stage1「痛みを感じ感触が有り涙が本当に出ている感覚になるのが、このゲームだ」 The end〜
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー5更新 コメ求む ( No.22 )
- 日時: 2011/07/11 22:51
- 名前: 葵 (ID: w731Gq1j)
アク禁?
まさかあれアク禁だったの?←
よく分かんないんだけど、入れなかったんだよ;
でも解決したから良かったw
てかまじごめんありがとう!
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー5更新 コメ求む ( No.23 )
- 日時: 2011/07/11 22:52
- 名前: 月読 愛 ◆o9WCM38pVQ (ID: akJ4B8EN)
>>21
風!
はぁ……はぁ……思わず走ってきちゃいましたわ(え
構いませんわ!むしろ、こちらのほうが可愛(黙ッ
来るのが遅くなってしまって、ごめんなさいですの;
月読でてますわ!野宮様と、風とでてますわ!
嬉しいですのぉ☆
ありがとうですわ、風姉様ぁ▼←
更新頑張ってくださいですの!
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 1ー5更新 コメ求む ( No.24 )
- 日時: 2011/07/12 22:27
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: L0.s5zak)
コメント有難う御座います。
葵へ
入れないって言うか別の場所に飛ばされるんでしょ?
違うかな?
何日か過ぎれば解除されるよ……僕は、アク禁8回位経験しているから^^
此方こそ有難うです!
月読へ
えっ、何、可愛い★
来てくれて有難うなのです! 可愛いのは分っていますよ。 月読は、やっぱり可愛いもん(オイ
頑張りますよ! 何だか、この小説は頑張れる気がするんだ♪
- Re: 風プロ パラノイア 〜Ep1〜 2−1執筆中 ( No.25 )
- 日時: 2011/07/13 21:49
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: L0.s5zak)
Episode1
Stage2「物語の歯車が動き出す……アストラルと言う名の檻へようこそ」Part1
——世界は、檻だ……常識と言う都合の良い言葉で塗り固められた異常者を収監する檻だ。
アストラルもまた、檻だ。 異常者を捕らえて離さず異常者の中に僅かに有った常識を鎖す————
七時十五分。 風が、野宮達と会う一時間程度前の話。
何処かの居住区。 バスが止る音がする。 一人は男で一人は女。
一時間以上隣の席に座りバスに揺られながら家から最も近いこのバス停で降りる。
何時もの事だ。 二人は、まだ、残っている友人に会釈して並んで歩き出す。
適度に涼しい風が吹いていて日中と比べて心地良い。
バスが停車をやめ動き出し少しして女性の方が話し出す。
男の方より頭一つ分くらい小さい黒髪黒目のボーイッシュな娘。
「ねぇ、アストラル、面白そうでしょう? 一緒にやらない!?
風さん達もやってるみたいだしさぁ?」
慣れた様子で話しかける彼女。
どうやら、話の内容は最近、噂のあの痛みを感じるゲームだ。
其れに対して男の方は、全くと言って良いほど表情を動かさず仏頂面に面倒そうな口調で答える。
「うーん、そうだな不知火。 お前を含むハーレム王国を創造できるって言う確証があれば俺は迷わず!」
生憎な事にそのオンラインゲームに嵌っている者達でネット上での知り合いは、女性だけだ。
風も月読愛も野宮詩織も小説カキコというサイトでの知り合いだが皆、女だ。
不知火と呼ばれた女は、男の言葉に草臥れた様に首を振って立ち止まる。 そして、上目遣いで彼に訴えかける。
「あーぁっ! もう! アンタってばそんなだから何時まで経っても持てないのよ! ったく、馬鹿みたい!
博樹! 先に言っておくわね! あたしは、ゲーム内では絶対、男役だからそこんとこ宜しく!」
博樹と呼ばれた黒髪の青年は、彼女の言葉に立ち止まる。 善ジュの通り彼女も無論、彼のハーレム計画の中に入っているのだ。
彼女が、ゲーム内で男の姿では満たされないではないか。 普段、仏頂面の彼の顔が、渋面を造る様が街頭の灯りに照らされる。
「マジかよ! そんな……いや、男の娘!? それはそれで……燃えるぜ!」
ハーレムを体験したいなどと言う不順な動機でゲームに参加されても嫌だと言う思いにより、彼女の口から出た言葉は、博樹に意外な勘定を芽生えさせる。 彼女は、彼の多少ポジティブ気味な発現に失言だったと反省しながらも思う。
長年付き合ってきて分っていた。 彼の行動原理はあくまで女性なのだと。
「はぁ……アンタらしいよ」
「大丈夫! 人は簡単に変れないから」
知り合いが居るとは言え、一人でログインすれば風達と合流するまでの最初の間は、一人になってしまう。
不知火は、それに大きな恐怖を感じていた。 だから、有る程度提携を組むことが出来る近場の友人である彼を誘ったのだ。
本当は、女性と付き合うことが目当て等と言う不純な動機ではなく、ゲームを楽しむと言う気にさせたかったが面倒になった。 彼もアストラルの中を体験しているうちに嵌っていくだろう、彼女は、そう心に言い聞かせた。
呆れた口調で返答する彼女に彼は、軽い口調で流すように答えた。
了承のサインだ。 取り合えず、一人でログインしないで済みそうだと、彼女は安堵する。
その時だ。 彼が、不知火の肩に手を置く。
「なぁ……お前さ? そのゲーム痛みとか感じるんだろう? 人助けだ……とか無茶するなよ?」
先程までの適当な様子とは違う真剣な口調。
彼と彼女は昔からの知り合いだ。 二人は、大事な友を失ったことが有る。
親友だった。 素敵な女性だった。 だが、虐められていた。 必死で二人は、助けようとした。
しかし、彼女を救うことが出来なかった。
結果、彼女はマンションの屋上から飛び降り自害した。
そんな過去のトラウマが鬱積して博樹の女性擁護と不知火の人助け精神が、形成されたと言える。
この二人の夫々のトラウマが、ゲームの中で強い波紋を造るのはしばらく後の話だ。
「何よ? 改まって……」
さっきまでの軽い口調はどうしたのだ。 突然の変化に彼女は最初、動揺と気持ち悪さを感じた。
「無茶はするな……きっと、体の傷は残らなくても心の傷は残る!
本当ならそんな危険そうなゲーム、俺はお前に推奨しない。
でも、お前、強情だから一回、やると決めたら行っちまうからなぁ」
しかし、直ぐにそれ以上に違う感情が込上げてくる。
幼馴染の腐れ縁の自分を良く観察し理解している優しい言葉。
大事な親友を失って心にぽっかりと穴が開いてしまったのは自分だけじゃ無かったのだと理解する。 友達からの誘いと好奇心と言う面白半分な自分に、彼は、本気だった。
本気でストッパーになろうとしている。 思わず涙が出る。
前情報として分っている事が有る。 傷つくと現実的な痛みが体を襲うと言う事実。
浅はかだったと反省してゲームに参加するのを止めようかと彼女は自問自答する。
「止めるなよ? 友達との約束なんだろ?
俺がケアするから……本当にヤバイと分ったら皆を説得しようぜ?」
立ち止まる。 街頭の下。 ジジジッと言う街頭から発せられる音が虚しく響く。
時が止ったような感覚。 彼女は、しばらく俯き意を決したように、上目遣いで博樹を見詰る。
何を言わんとしているのか理解し彼は、不知火を制止する。
そして、彼は、ネット上のつながりを今は、優先しようと言った。
優しく……そして、絶対護ると言う強い意志を篭めて————
「ありがとう、今までで最高に格好いいよ今のアンタ」
彼女は、博樹に心の其処からの感謝の念を篭めて言った。
——強い意志は美しい、しかし、其れは思い込みと近しい
特に、護ると言う意思は時に厄介だ……彼等は、後に悲劇を見るのだろう————
⇒Part2へ
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