ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

人生ゲームはデスゲーム 【四章目開始っすな】
日時: 2011/12/28 09:35
名前: No315 (ID: D71pwe7j)

どもども〜、No315です。

とりあえず、小説描くのは初めてではないんですが、久しぶりにも程があるのでおそらく駄文です。
よろしくお願いしま〜す。
あ、荒らしはするなよ〜





ある日の彼は思いました。
  なぜ、自分だけがこんな目に遭うのかと。

ある日の彼は思いました。
  なぜ、他の人はみんな幸せなのだろうかと。

ある日の彼は思いました。
  他の人は人生をどう感じてるのだろうと。。

ある日の彼は考えました。
  どうすればそんなことを知ることができるのだろうと。

ある日の彼は気づきました。
  そんな方法などないと。

ある日の彼は思い出しました。
  自分の今までの最悪な人生を。

ある日の彼は思いつきました。
  人生が変わった時、人はその人生をどう見直すのだろうと。

ある日の彼は始めました。
  狂ったような、人生のデスゲームを。




 第一章「始まりの日 Geme Start」
>>1 >>2 >>7 >>8 >>9

 第二章「世界のルール Game Rule」
>>13 >>14 >>15 >>16

 第三章「真実は裏側に Darkness Truth」
>>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23

 第四章「プレイヤーと日常 Everyday Battle」
>>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9



Re: 人生ゲームはデスゲーム 【なんか一章終了した】 ( No.14 )
日時: 2011/09/30 20:56
名前: No315 (ID: vBUPhhME)

俺は呆けた声を上げながら、そのまま集中する。すると遠くからズシーン、ズシーン、とまるで、アニメなどで出てくる巨大な化物が出る前兆のような音が聞こえる。
だんだんその音は大きくなり、もう集中しなくても聞こえるほど大きくなっていた。
俺はこの時点でなにか『嫌な感じ』を感じていた。いままではカーレルが言っていた『危険な世界』と言う言葉を裏切るように笑顔で溢れる人達でいっぱいな平和な世界が出来上がっていた。しかし今は平和な世界と思えるような要素、すなわち人がいない。
つまり、今は全く平和な世界などではないと言うことだ。
そして、俺がそこまで結論を出したとほぼ同時に、『ソレ』は現れた。
三メートルほどはあるだろう巨体に灰色に光る体。狐のような顔。そして、体色よりも鋭くギラギラとした長い爪。明らかに化物と言っていいような姿だろう。
俺はそれを見た時、うわぁ、と引きつった。化物はそんな俺のことを意にかさず、ゆっくりとこちらにせまってくる。俺はた試しに化物の狐顔にある、赤く光る目を見る。その瞳は当然、俺を凝視している。
なるほど、俺、餌として狙われてる。

「たぁぁぁぁぁすけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

俺、全力疾走。
俺がくるりと化物に背を向け、走り出すと同時に、化物もいままでのゆっくりとした歩みから打って変わってものすごいスピードで走りだし、俺=餌を追いかける。
当然俺は足の速さには自信があるのだが、三メートルほどの巨体の歩幅は半端ではない。
俺の予想通り、化物はいとも簡単に俺に追いつき、手を伸ばしてくる。

「こういう事だったらさっさと言えよあのクソピエロォォォォォオォォォ!!」

俺は今もどこかをほつき歩いてるだろうピエロのことを罵りながら、鬼気迫る勢いで走る。
そして、今にも化物の手が届きそうな距離になったその刹那。
どこからか轟音、いや銃声が聞こえた。
と思った時には、俺をつかもうとしていた化物の手になにかが深く刺さり、肉を抉る。
化物はあまりもの激痛に走るのを止め、もがいている。
と、いきなり、なにかが刺さっていた化物の腕が爆発した。爆発の威力は物凄いもので、化物の片腕は跡形もなく無くなっている。

「徹甲榴弾……」

俺は激痛にもがく化物をぼんやりと見つめながら、今の弾の名前を呟いた。
たしか、太い針などの中に火薬を詰め込み、敵に食い込む弾を用意し、発射すると火薬が詰まった弾が敵へと突き刺さり、数秒後にその火薬が爆発するという弾種だ。
もっとも、銃に詳しいわけではないので、どうして火薬が爆発するかはしらないが。

「たく、まためんどいのがいるぜ」

不意に後ろから声がした、振り向くと、銃口から煙を吐き出している赤い装飾が施された大型の銃を片手に構え、赤いトレンチコートを羽織った赤髪の男がそこにいた。
俺がその男をまじまじと見つめていると、後ろから化物の怒りのような咆哮が聞こえた。
振り向くと、化物は完全に標的を男に変えており、俺のことを素通りして男の元に走る。
そして、なくなってないもう片方の腕を振り上げ、鋭い爪で男を串刺しにしようとする。
男は、そのまま動かず、大型の銃を盾にする。普通あんな物で巨大な爪の攻撃を防げるはずが無い。だが男は銃でまともに攻撃を受けることはせず、ただ、火花を散らしながら、爪の軌道をわずかにずらす。爪は男に一本も当たらず、大振りの攻撃をかわされた怪物は一瞬動きが止まってしまう。その隙をついて男は銃をすばやく構え、轟音とともに化物の顔に弾丸が炸裂する。そして、腕を破壊したように数秒後、化物の顔が爆発し、断末魔の叫び声を上げる暇もなく、化物は無数のポリゴンと化して消えていった。

「た、助かった……」

その一部始終を見ていた俺は、とりあえず危険が去ったことを悟り、安堵の息を漏らす。
男の方を見ると、銃はどこかに消えており、ただそこに突っ立っている。
俺はとりあえずお礼を言おうと男に近づく。男は俺が近寄って来るのに気づくと、なんだか面倒くさそうに頭を掻き、いつのまにか現れた銃を俺に向けた。

「いっ!?」

俺は驚きながら、咄嗟に銃口の射線上から離脱する。それが幸いだったようで、さっきまで俺がいた所を徹甲榴弾ではないが、無数の弾丸が貫く。

「た、タンマー!ストップ!射撃中止!」

俺は叫ぶが、男は全く無視し、俺に向けて弾丸を飛ばしまくってくる。

「だから……」

俺は、弾丸をなんとか避けながら、そこらへんの石を二つ拾い、一つ、そして時間差でもう一つを投げる。男は迫ってくる石を正確に捉え、二つの石を撃ち落とした。
だが俺はもう男の目の前まで来ていた。

「はぁ!?」

男は素っ頓狂な声を上げながら、俺に銃口を向けるが、

「……待てって言ってるだろうが!」

俺の拳が男に届くほうが速く、男は殴り飛ばされ、少し離れた所でドゥ、と倒れた。
やがて、ムクリと起き上がり、俺のことを睨み付ける。
そんなに痛かったかな、と思い、俺はなんと声を掛けようかと考えを巡らせていたが、そんな俺に対して、男は緊迫した声で、言う。

「どうした、早く殺せよ」

「へ?」

俺はその言葉に呆けた声を出してしまい、しばし硬直する。男は俺のそんな様子を不思議に思ったのか、まじまじと俺を見つめ、やがて何か思いあたったようにあぁ、と声を上げ、立ち上がる。

「……ひょっとして、お前って初心者?」

男のその言葉に俺はぴくり、と反応し、この人なら何か知っているのかと思い、とりあえず返事をする。

「あぁ、初心者っていうのか分からないけど、なんかこんな所に飛ばされてなにがなんだか……」

俺のその言葉に男はふむふむ、と頷く。

「俺の名は勝井正影(かついまさかげ)。あんたは?」

「……篠崎紅架」

さっきまで思いっきり銃で撃ってきたくせに、何いまさら仲良しみたいに名前教えあってんだよ。
そんな俺の心境を知ってか知らずか、正影は薄く笑いながら、くるりと背を向け、俺に向かって言う。

「ついてきな。この世界のこともまったく知らないんだろ?ある程度は教えてやる」

そういいながら、正影はそのまま歩き出す、俺はやっと信頼できそうな奴を見つけたと、心の中で喜びながら、正影の後を追った。

Re: 人生ゲームはデスゲーム 【いまんとこ二章目だよー】 ( No.15 )
日時: 2011/10/01 12:42
名前: No315 (ID: vBUPhhME)


「まぁ入れ!綺麗ではないがな」

そう言いながらぼろ臭いアパートの一室へと誘うのは、涼しい顔をした正影。
中は、廊下は何かが入ったゴミ袋でいっぱいになっており、部屋を覗くと、タバコやビールの缶が部屋に散乱している。
綺麗ではないけど汚すぎだろ……
心の中で呟きながら、とりあえずそこらへんにあった座布団をひっぱり出し、適当な所に座る。
しばらくすると、正影が、同じく座布団を持って来て、そこらへんに座る。

「よっと、では本題といきますか。あんたはここがなんなのか分かるか?」

「……擬似世界だろ?」

俺がそう答えると正影はくっくっ、と笑ながら俺のことを見る。

「そこまでは知ってんだな、まぁここはお前の言うとおり、あいつらが作り出した擬似世界ってやつだ」

「あいつら?医者達のことか?」

俺が言うと正影は少々目を見開き、少し真剣な声でたずねる。

「できれば聞かせてほしいな。あんたがどうやってここに来たのか」

俺は別に話しても損はしないわけだし、とりあえずどうしてここに来ることになったのかは全て話した。あのカーレルのことは話さなかったが。
正影は俺の話を全て聞き終わると、何かを思い出すように上を見上げ、やがて、すぐ元にもどった。

「なるほど、医療の麻酔ね、俺もそんな感じでここに来たかな……」

正影は独り言のように呟くが、俺はそれに構っていられず、いいだした。

「そんなことはどうでもいいんだ、俺が一番今知りたいのはここはなんなのかってだけだ」

俺はとりあえず速く現状だけを理解してこの世界から出て行こうと思っていた。ここがどういうところなのかを理解できればなにか対策があるかもしれないと思ったからだ。
正影は俺の言葉に笑いながらここは、ねぇ、と呟いた。

「ここは、簡単なとこさ。そう、ここはただの『人生ゲーム』さ」

「人生ゲーム?」

俺はその言葉に眉を顰めた。その言葉には聞き覚えがあったからだ。

「そう、ここはね、ある人生ゲームの特殊なルールで出来上がってる、いわばゲームの中なのさ。ルールは簡単。一マス一マスに世界がランダムで選ばれる。その選ばれた世界、いわばステージのなかで、人生を歩んで行き、ある一定の条件を満たすと次のマスに進める。そしてゴールすれば現実に帰れる。そんな簡単なルールさ。それに余計なものも混じってるけどね」

「余計なもの?」

「あんたも見ただろ?あの化物。あれは怪といってね、俺達にしか見えず、俺達にしか危害を加えない、面倒な生き物でね。さらに、面倒なのが次のマスに進むための条件がその世界の怪のボスを倒すことだからな」

「そんなの、人生ゲームでもなんでもなく、ただのホラーじゃねぇか……」

俺は呆れたように呟く。正影にもそれはしっかり聞こえてたらしく、肩をすくめながらそうだな、と肯定する。

「それでも、人生ゲームなのがこの世界なんだよ、たとえ、化物が混じってようが、誰かと殺し合いしようが、これは人生ゲームなんだ。だいぶふざけてるがな」

「ふざけている?」

俺は正影の言葉に、ぴくりと反応する。ふざけているとはどういうことか。
正影は俺のその様子を見、立ち上がるとどこからかカッターを取り出した。
キリリ、という音と共に、刃が姿を現す。
そして、そのままこちらに近づいて来るので、俺は咄嗟に身構える。

「まぁ、落ち着け。ちょっと見せる物があるだけだ」

そう言いながら正影は俺の腕を掴み、カッターを少し押し当てる。
いとも簡単に俺の皮膚は切られ、腕から切り裂くような痛みを感じ、俺は顔を歪める。
いったいこんなことをしてなんのつもりなのか、俺はそのまま正影を睨みつけるが、正影はニヤニヤと笑いながら、腕の切り口を見せる。
俺はそれを見て、驚愕した。
俺の腕には一滴の血も存在していなかった。ただ、切り口が見えるだけで、そこにあるだろう赤い液体が見当たらない。

「血がでるという細かな処理が設定されていない……いや、設定する時間がなかった?」

俺が無意識に呟いた考察に、正影はさすが、と口笛を吹く。

「だけど、重要なのはそこじゃない。腕、痛いだろ?」

「あったりめーだバーロー」

俺は切り口をさすりながら、正影を睨みつける。

「皮膚を切る、ってのは凄く痛いんだぞ。確かに漫画やアニメの登場人物は何度剣で切られようが倒れないけど、すげぇ痛いぞ。いくらここがゲームの中だって言ったって、現実と同じくらいの……痛みに……かん……じる……」

俺はそこで、自分の言葉に違和感を覚えた。昔、物語を書いていた友人に相談され、俺が珍しく質問したことがあった。

『なぁ、思うんだけど、どうして漫画やアニメの奴らってあんなに斬られたり撃たれたりしてんのに、倒れないのかな』

俺のそんな質問に友人はこう答えた。

『それはね、戦闘漫画やアニメになると、自分が撃たれたり、斬られたりする時がよくあるじゃない。そこで主人公達が簡単に倒れちゃつまらないだろ。だから主人公達にとってはそんなに痛くないっていう設定にしているのだと思うよ』

そんなに痛くないという設定。確かにそれなら、相手がいくら化物だろうと、殴られたり蹴られたりして、一撃で死ぬことはまずない。
だが、俺は今なんと言った?化物達が徘徊するこの世界で今なんと言った?
現実と同じ痛み、つまりそれは、たった一撃で気絶するような、人間のか弱さを表している。

「もしそれで、自分が死にそうなぐらいの一撃を食らったら、そりゃ物凄い激痛のゲームオーバーでコンテニューだな、確かにふざけてる」

「まぁ頭の回転が速いな、理解が良くて話やすい。だが一つ違うな」

正影は、カッターの刃をしまい、そこらへんに放り投げながら、座布団に座り直す。

「違う?何がだ?」

俺は、眉を顰めながら正影に問い返す。
そして、正影の口から放たれたその言葉はだいぶ不可解なもので、どこか、残酷な現実を突きつけているようにも思えた。

「たしかにこの世界にはゲームオーバーはあるが……コンテニューなんてものはないぞ」

「……は?」

Re: 人生ゲームはデスゲーム 【いまんとこ二章目だよー】 ( No.16 )
日時: 2011/10/01 22:58
名前: No315 (ID: vBUPhhME)

俺は正影の言葉にしばし呆然とする。ゆっくりその言葉を噛み締めるが、それでも出てきた結論は生易しいものだった。

「それって、死んだら現実に帰るっての?」

「そんなのだったら俺はここにいない。とっくに自殺して現実に帰ってる」

俺のやっと出した結論を、正影はきっぱりと否定する。

「んじゃあ、死んだら現実に戻れずに、そしてゲームにも復帰できない?」

「いや、それはそれで最悪だが、死んだ人々を保護する必要と処理ソフトはどこにあるんだ?」


「……じゃあなんなんだ?」

ことごとく意見を否定されて、俺は自分で考えるのが面倒くさくなり、正影に答えを求める。正影は少々間を取りながらもその答えを口にする。

「……死ぬんだよ」

「え?」

「……だから、ゲーム内で死んだ奴らはみんな現実でも死ぬんだ」

「……マジ?」

俺はしばし、愕然としていた。ゲーム内での死は現実の死。俺は無意識にその様子を想像してしまう。
今まで必死に戦ってきたプレイヤーの姿を何者かがどこかで監視していき、そのプレイヤーが死んだ瞬間、現実でのプレイヤーの体の生命活動をなんのためらいもなく停止させる非情な姿。
正直、吐き気がした。自分だけ安全なところで、俺達を見せ物として見物し、使えなくなったらすぐさま捨てる、そんな奴らに憎悪を抱いた。
だがそんな事をしたところで今の状況が変わるわけでもない。俺は正影に悟られないように、ゆっくりと怒りを静めていく。

「ま、俺も他人に聞いただけだから半信半疑だな。でも、死に関わる実験なんてしたくもないしな。それに、死んで現実に帰るなら、そいつらがすぐさま訴えるだろうし」

正影は自分の仮説をペラペラと喋る。俺はその言葉で少し落ち着き、少々気になったことがあるので、聞いてみた。

「そういえば、俺はいまのところ、そのプレイヤーはお前しか見たことないけど、そんなにいるのか?そのプレイヤーは」

「あぁ、たぶん最初の頃と減ってないだろうな。だって、ここで死ぬやつもいれば、現実からやってくるやつもいるしな。意外とNPCに混じって普通に暮らしてんだぞ」

「NPC?あぁあのプレイヤー以外の人間のことか」

俺は納得する。たしかにあんなあまりにも普通な暮らしに混ざることなど簡単なことだ。
日々、プレイヤー達は、どこかで暮らし、戦ってる。

「まぁいい。んで、どうやってその怪を倒すんだ?っていうか、お前あの銃どっから仕入れてきた?銃刀法違反というものを知らないのか?」

俺の言葉に正影はあぁ、と言い、右手を出す。まずそこにはなにもないが、正影が手を銃を持った時のような形にすると、そこに高速で光が収束し、大型の銃が現れた。

「あぁこれはな。製作者が怪に対抗できるように作りあげたものでな。人気のない路地裏とかに俺達しか見えない店があって、そこで売ってる。普通に日本円で大丈夫だ。」

俺はそんなことかと、正影の話を聞いていたのだが、不意に自分にお金があるのか気になり、ポケットを探る。
うん、ない。

「おーい、正影くーん。お金がありません」

「え?まじか?……まぁ普通に生活してりゃバイトして稼げるし、怪と戦うなら自然にたまるだろうし、一応武器だけ渡しとくか」

そう言うと正影は立ち上がり、奥にある木箱のようなものをあさり始めた。
あっけなく武器とか渡すんだなぁ。
っていうか何?怪と戦うなら自然に貯まるって、経験値みたいにバトル後に貰えるの?

「いいのか、武器って高いんじゃないのか?」

「ダイジョブダイジョブー。どうせ俺はこの銃一丁しか使わないし。ほら、持ってみろ」

そういって正影がとりだしたのは、赤色に染められた太い金属の塊。よく見ると何かを通す穴があり、それが腕にぴったりはまるのでおそらくガンドレッドのようなものだろう。それが二つ。 
さらに出てきたのは。一目で靴と分かるような形をした、またもや赤く染められた金属の塊。それも二つ。おそらく両足、両腕につける物だろう。

「なんだこれ?」

「まぁまぁ持ってみろって」

そう言われてとりあえず両足、両腕、あわせて四つの武器を両手に抱える。
ん?少し軽い?

「そんで、その武器に意識を集中しろ」

俺は正影に言われた通りにその武具を凝視して、集中する。
すると、いままで両手に抱えていた武具が光を散らして消えた。

「は?消えたぞ?」

「まぁまぁ。んで、次はその武器のことを強く感じてみろ」

「感じるか……」

いわれるがままにいままで手元にあった武具のことを頭に思い浮かべる。
どちらも赤く染められていて、それはまるで全てを焼き尽くす紅蓮の炎のようだ。
俺はその姿を思い浮かべながら、咄嗟に呟いた。

「……来い」

それと同時に俺の両腕と両足を光が包みこむ。そして光がそれぞれの形をとると、今度は勢いよく燃え出した。
その炎は俺を燃やしてるはずなのだがまったく熱くもないし、火傷をしている様子も無い。
やがて、炎は収まり、そこに現れたのはいままで手元にあった赤い武具達がそれぞれの部分に装着されており、それだけでなく、いままではなかったはずなのに、全ての武具に、刃が装着されている。

「それがこれからのお前の武器。『イフリート・フレイム』だ」

「『イフリート・フレイム』……」

正影が呼んだその武器の名。俺はその名前を噛み締めながら、これから共に戦い抜く相棒をまじまじと見つめた。
不意に、肩にポンと手を置かれた。振り返ると正影はなにかを思い出すように虚空を見つめ、ある思い出を語った。

「お前はこれから、この狂った人生ゲームの道を歩むことになる。昔はお前みたいなのが何人かいてな、俺はそいつらに向かって決まってこう言ったんだ」



「ようこそ。狂った狂った人生ゲームへ、ってな」



これからどうなるのか、この世界の仕組みもだいたいのことしか分かっていない俺には見当もつかない。だが、俺はどんな困難があろうともこの戦いを生き抜き、現実に帰ることを俺は心に誓った。



二章終了

Re: 人生ゲームはデスゲーム 【二章が終了しやした】 ( No.17 )
日時: 2011/10/02 21:09
名前: No315 (ID: vBUPhhME)

はいはーい、
なんか二章も終了してしまいましたー

たった数週間とはいえ(そんなに経ってたっけ?)ここまで描けた自分に驚きです。

これからも三章、四章とやっていくつもりですが、
三章は予定的に結構シリアスになりすぎるかもしれませんね。

なんかカタコトおじさんでも入れたいぐらいのシリアスっぷりになります。

まぁその分四章で面白みもいれていきますや。

それでは、ばいばいびー

Re: 人生ゲームはデスゲーム 【二章が終了しやした】 ( No.18 )
日時: 2011/10/08 22:53
名前: No315 (ID: vBUPhhME)

第三章「真実は裏側に Darkness Truth」


二〇三四年 六月七日
東京都 新宿 西新宿総合病院

「……雨原君!」

「……え? あ、はい!」

二つの声が、病院のロビー内で、『病院内では静かにする』という一般常識ルールをいとも簡単に破る。
一人は奏神高校そうじんこうこうの制服を着、髪を短めに整えた学生、雨原翔あめはらしょう
もう一人は、翔の親友、篠崎紅架しのざきこうかの母親である篠崎稔しのざきみのり

「どうしたの? 雨原君。なんかぼ〜っとしていたけど」

「あ、いや、なんでもないです。少し考え事をしていただけです」

翔は弱弱しく笑いながら稔に答える。だがその顔は少し青くなっており、なんでもないというふうには見えない。稔はそれに気づいていたがあえて追及することはなく「そう」とだけ言い、翔の向かいの席に座る。
翔がどうしてこんなに弱弱しい表情になっているかと言うと、一人考え事をしている内に『あの光景』が浮かんできたからだ。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9



この掲示板は過去ログ化されています。