ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

消失病 Disappearance【人気投票】
日時: 2011/11/11 22:02
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: TtH9.zpr)
参照: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%B3

URL……自己紹介((

 改めて考えると、親子が出てくる話ははじめて書きます
コーヒーやミルクティーが手放せない今日この頃
カフェインに激しく依存している……
暮来月 夜道に改名しました
12月の夜道はネオンの明かりだらけということで
リア充のお祭りは好きではありませんが(苦笑)
読みは、くらづき よみち・やどう どちらでも
判別はトリップでお願いします

毎度の事ですが、引くほどグロテスクな表現が多いです

11/11:しばらく、更新を停止して読む側に回りたいと思います

>>32  人気投票用紙

 序章
>>1

 第一章『不死鳥の雛』
>>4§>>6§>>8-10§>>14-22

 第二章『嘘吐きな道化の肖像』
>>24-31

Page:1 2 3 4 5 6 7



Re: 消失病 Disappearance  ( No.28 )
日時: 2011/11/04 13:11
名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: I69Bg0jY)

 「いや、アリソンには頼るべきじゃない。 アリスの力が覚醒を開始する後数時間を待つとしよう。 もう、日が沈んだ。 一晩で……アリスは力にめざめるんだ」

 2人の会話に、【道化】が戸口から口を挟む。
 確かに、その通りの言葉なのだ。
 アリスの能力は、アリソン同様。 いや、鬼の血を引くだけで既に底知れぬものだろう。
 つまり、フィオとファウストの言うアリソン以上の力をもう数時間で手に入れるのであれば。
 死のリスクを背負ってアリソンを生き返らせる必要は無い。 一晩起きていて、アリスを守ればそれで事足りる。

 「アリスにはもう寝るように言ってきたからさ、キミタチはボクの手伝いをしてほしいところだけど。 手伝ってはくれないかな? もしかしたら今夜から既に、攻撃が始まるかもしれない」

 「何をッ……!? 」


 クロアの言葉の直後、船外での爆発音。
 そして、眩いばかりの閃光と、無数の足音。 水の逆巻く音に、雷が地面を駆け抜ける突き刺すような振動。
 陸地から。 窓を開けると、それは丘の真上から船へと迫り来る!
 黒い、月明かりに照らされ輝く液体。 恐らくは、莫大な量の水を丘からこの船へ落とすつもりなのだろう。
 能力者兵か……。
 この騒動に、クロアは真っ先に。 【道化】として動く。

 「後衛は頼んだよ」

 仮面を片手に、甲板へと姿を見せると地を這う雷の餌食!
 が、彼にそれが触れるか触れないか。 そこで、雷はおそれをなしたかのように消え去った。
 【道化】はその手から、黒い雷電を吐き出すと水を焼き焦がす!
 一瞬の出来事。 丘の上から迫る水が蒸発し、姿を消した。 それと同時に、【道化】も甲板から姿を消す。
 危険なターゲットが、視界から外れたことで相手は慌てたのだろう。 周囲を確認しようと船を見下ろしたのがいけなかった。

 「やあ、こんな夜遅くにここで何をしているの?」

 背後から、迫り来るその声。 優しげな当たりの反面、裏では何を考えているか分からない。
 そんな【道化】が、そこに居た。 

 「安心しなよ、殺しまではしないからさ」

 それの意識は、道化の片腕に奪い去られる!
 そこの隙を狙い、雷電が再び道化を襲う。 が、やはり彼の前では、雷は無効化されるらしい。
 再びその雷電は掻き消され、その雷電の辿った進路を彼自身が電撃となって迫り来る!

 「遅いね、逃げられないよ」

 彼の進路を阻むように。 そこに元々立っていたかの如く道化は、その手に握ったダガーを振るう。
 そして、周囲を見回した。

 「成るほど、カークスの国家兵士達か。 総出かな? だとすれば、締めて4000人くらいかい?」

 その数を相手に、【道化】は道化らしく。 怯むことなく楽しげに喋りかける。

 「悪いけれど、キミタチに構っている暇は無いんだ。 早速だけど、奥の手を使わせてもらうよ?」

 クロアは、仮面を取るとその瞳に歯車を宿す。
 どういうわけか、それを見た途端。 周囲への意識が消え去り、その瞳を警戒してしまう。
 目が……離せない?

 「道化の狂想曲【カプリチオ・ピエロ】。 奥の手って言いつつ、実際は最初から使ってたんだけどね」

 彼の瞳に映る歯車が回転し、砕け散ると同時。
 彼の姿が、何重にも重なり、辺り一面をそれが駆け抜ける!
 見れば目の前、後ろ。 上下左右。 縦横無尽に6人の【道化】が暴れ回っている?

 「さっそく行くよ? 狂想曲第一番“退屈”」
「ボクは第六番“狂乱”」 「じゃあ、ボクは4番にしようかな? 第四番“無邪気”」 「そうだな、ボクも第四番“無邪気”にしよう」 「オイオイ、4番二人も要らないだろう? んー……ボクは……狂騒は遠慮するよ」 「じゃあ、ボクは第二番“天邪鬼”」

Re: 消失病 Disappearance  ( No.29 )
日時: 2011/11/08 21:48
名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: TtH9.zpr)

 文字通り、狂想曲。 彼の動きは、変幻自在、気まぐれに不規則。
 空中に飛び上がったかと思えば空を駆け回り、胸を突き刺したはずの刃が背から突き刺さり胸を突き抜ける。
 視界から消えたと思えば視界を覆うようにそこに居る。
 神出鬼没、予測不能も良いところ。 見えているのに、その手に捉えることができない! 
 袖を掴んだと思えば、それはそこに既にない。 手ごたえも、布が砂に。 そして、霧となって消えていくよう。
 触れても、掴めない。 実体を伴った幻のように。 ただ、目の前の道化は「ククク」と笑う。
 ただ、それは長くは続かなかった。
 六人の道化が、狂騒を突如止めたのだ。
 彼の視線の先は、船の甲板へ。 そして、それに気付いた兵士が船へと視線を移そうとした直前に。
 その息苦しい空気が、彼らを襲った。
 
 その根源は、明らかに彼らの視線の先にあった。

 「まさか……早過ぎる」

 思わずクロアは、思ったことをそのまま。 そして、いつもの笑顔を忘れて。
 口から、吐き出した。
 まさか、もう? アリスが、覚醒した?
 まさか、あり得ない。 あと、少なくとも9時間は必要なはずだ。 それとも、ボクが一日数え間違えていたか?
 いや、まさか! アリソンの封印が耐え切れなかったか?

 「クロアさん、いつもごめんなさい」

 アリスの一言目に、クロアは呆気に取られた。
 まさか、アリスの口からそんな言葉が? 力に、呑まれていないのか?
 あり得ない! アリソンですら、手にしたばかりの不死鳥の力に呑まれていた時期があったのに? アリスには、それが一切無いって?
 あり得ない!

 「……いーや、気にする事は無いよ。 ボクが好きでやってることだからさ」

 クロアは、いつもどおり。 思考を言葉に出すことなく。
 正三面体のように。 裏の無い。 裏の裏に表の無い嘘を吐き出す。 だが、アリスはそれを知っているかのようにクロアを見つめる。

 「嘘でしょ? 私に優しくしてくれるのも、守ってくれたのも全部。 私が嫌いだったからこそでしょ?」

 アリスが、静かにクロアに言い放つその言葉は。 クロアが今まで効いた中で、最も重みのある言葉だった。
 人の己が関与した言葉は、誰が言おうとも重みを持つわけではない。 全ては、言葉を操る人間によって。 クロアのように軽いものから。
 アリスのように、ただの言葉が重々しくも感じられることもある。 クロアが同じ事を不死鳥に言っていれば。 重みを持ったか?
 いいや、一切の重みなど持って居ない。 何故なら、クロアには不死鳥を好く理由など無かった。
 クロアの顔から、完全に笑が消え去った。 笑が消えた彼の表情は、冷え切っていて。 それで居て、どこか寂しげだ。
 クロアは目の前の怪物を、畏れている。 今までに見たことの無い相手を、敵意を向けられているわけでもないのに畏れている。

 「ああ、そうだ。 ボクは、君のような怪物が大嫌いだよ」

 クロアの言葉の直後、彼の心臓を貫くように。 決死の思いで動いた兵士の剣が。 その切っ先が、彼の胸を貫いた。
 6人居た道化も、一人のダメージを共有して、胸から鮮やかな漆黒の鮮血を噴出す。 月明かりに照らされて、それは元より。 より一層、君が悪い。

 「ボクは、ただの人間だからね」

 彼の嘘は、そこで喉に溜まった血液に阻まれ、詰まった。

Re: 消失病 Disappearance  ( No.30 )
日時: 2011/11/06 19:57
名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: qwEBDKA9)

 悲鳴が、辺りを騒がせる。
 アリスの声だ。 そして、その原因は見れば恐らく。 クロア・ディナイアルの死だろう。
 彼女を嫌う人間であろうとも、彼女は一切嫌ってなど居ない。
 不死鳥の娘でありながら、未だに人間の死を見なかった経験が、彼女の力の安定を図っていた。
 そのバランスが今、崩壊する。

 “許さないよ?”

 声に出さずとも。 彼女の瞳は、そう告げていた。
 彼女の四肢が、空を舞う。 空中で腕を兵士に対して突き出した。 型など一切ない、出鱈目な動き。 それが、一人の兵士を捉えると、兵士の体が空を舞った。
 その間、アリスの指先が掠った者は、そこから大量の血液を噴出する!

 「止めろよアリス、ボクはまだ……生きてるぜ?」

 クロアは血液を吐ききると、平然と立ち上がってみせる。
 それには、クロアを突き刺した兵士も驚いたように。そして、化け物を見るような顔でクロアを見ながら、後ずさる。
 それにクロアは追い討ちをかけることも無く、アリスへと向かう。

 「ボクは、ただの人間だからさ。 人間は……殺さないんだ」

 道化が、アリスの両腕を握る。
 クロアの顔を見てか、アリスの放つ禍々しいまでの殺意は、より一層強さを増した。 皮膚を突き刺すような、この感覚……。

 「アリソン以来の殺気……懐かしいぜ」

 アリスの手を似意義って居たクロアの手が、僅かに震えている。
 アリスの力が、強すぎる。 このままだと……折られるな。
 クロアは思わず手を離すと同時。 アリスの姿が……

 「消えた? ……後ろか!」

 刹那の差で、指だけでなく手首が吹っ飛ぶところだった。 鬼の力は……恐ろしいな。
 クロアの左手首から先が、消えた。 一瞬でも気付くのが遅ければ、クロアであろうとも腕一本が粉々だっただろう威力。

 「冷や汗が止まらないね」

 獣のように唸るアリスに、クロアは平然と話しかける。
 額には脂汗をにじませ、右腕で地面を掴むと身体を反らせ、アリスの顔面を蹴り上げる!
 鬼の力に、不死鳥の力を有している。 蹴り一撃で死ぬ事などない。
 
 「マジか」

 ノーダメージ。
 アリスに傷など一切無く、それとは逆にクロアは既にこれだけのやり取りで満身創痍。
 アリスの指先が掠るだけで深々とその肉体は切り裂かれ、握られれば握られた部位が砕け散る。
 恐ろしいパワーと、スピード。 そしてこの、出鱈目な防御力。

 「恐ろしい化け物だね、君は。 けれど、ボクはここで死んじゃ駄目なんだ」

 ポケットからスカーフを取り出すと、クロアは左手を覆った。
 その隙にアリスはクロアに飛び掛るが、アリスを阻むように。 黒い影のような何かが、アリスの動きを封じる。
 右手で指を鳴らし、スカーフを取るとそこには左手が再生していた。

 「流石に、左手使えないだけで凄く不利だ。 少し回復させてもらうよ。 怪物と、しばらく遊んでてよ」
 

Re: 消失病 Disappearance  ( No.31 )
日時: 2011/11/07 20:49
名前: 暮来月 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: TtH9.zpr)

 満月を背にたたずむクロアの足元から。 まるで湧き出るかのように黒い怪物が次々と吐き出される。 
 その数は、優に周囲を包囲する能力者たちを軽く覆いつくせるのではないかと思えるほど。 圧倒的な数。
 そして、その強さ。 単体では一切脅威には感じないであろうそれは、集団で敵を襲う事でその手強さを発揮する!
 圧倒的な速さを持つ怪物が、圧倒的パワーを宿す怪物をアリスめがけて投げ飛ばし、投げ飛ばされた怪物にアリスがカウンターをあわせると、投げ飛ばした側の怪物が再び投げ飛ばした怪物の腕を掴むと軌道を変える。
 不規則で、変則。 変幻自在に軌道を変えるそれが、少なく見積もって1万という莫大な数でアリスを襲うのだ。
 だが、いかに力があろうと、アリスの圧倒的な魔力には、怪物も敵いそうも無い。
 殴られた怪物は、ダメージの許容を超えるとその場から消えてしまう。 アリスの恐ろしく早い駆逐速度を見れば全滅するのは時間の問題。
 だが、10分はこれでしのいで回復できるだろう。
 そんなクロアの読みを、アリスはたやすく踏み潰して見せた。
 前兆15メートルはあろうかという巨大な不死鳥が、咆哮とともにその場に出現したのだ。
 美しくも、禍々しい。 漆黒の炎の翼をはためかせ、その圧倒的な存在感たるや、神というに相応しい。
 通常、不死鳥というのは真紅の炎によって形作られるはずだ。 恐らく、この炎の色はアリスの魔力が関与した結果だろう。

 「……完全に力に呑まれたな。 アレを戻すのは……容易じゃないぞ」

 思わずクロアが吐き出した言葉に、周囲にいた兵士達はアリスから少しでも離れようと後ずさる。 だが、その戦闘を始めたのはこいつらだ。
 戦闘可能なのは500人って所か。 さーて、こいつらもだけど、アリスをどうするかな。
 クロアは面白そうに微笑むと、ポケットから黄色い液体で満たされた小さな薬ビンを取り出しビンもろともその中の液体を飲み込んだ。

 「キミタチが始めた戦争だ、逃げるなら殺すよ?」

 薬の影響か、クロアの瞳が金色に変異する。
 そして、体中から紅い煙を噴出し炎を纏ったかと思うと次の瞬間。 漆黒の不死鳥に、真紅の炎をその身に纏う火の鳥が襲い掛かる!
 薬の効果は3分だけ。 それも、抗体が出来てしまうために使用限界数はこの一回! 体力の消費も、魔力の消費も今までの能力の比ではない。
 不死鳥に対抗するのであれば、ただの人間で居るわけにも行くまい。

 “化け物としての自分はとうに捨てたが、今回はもう一度それを拾うよ”

 真紅の不死鳥は、飛び上がった黒い不死鳥の背をその足で掴むと凄まじい勢いで飛び上がり、今度はそこから急降下。 音をも置き去りに、それを地面へと叩きつける!
 爆発音の後、周囲を揺るがす衝撃波が兵士を襲う!
 地面に降り立つと、翼の先を見てクロアは焦りを感じていた。 うっすらと、希薄な変化ではあるが……炎が薄くなってきている。
 もう、タイムオーバーか? まだ、10秒も経ってないぞ?

 「あー、クソ。 解けちゃったか」

 その言葉と同時、真紅の不死鳥はその場から姿を消した。
 不死鳥の居たそこには、赤毛の道化が。 一切生気を失い、横たわっていた。
 
 「クロア……さん?」

 黒い不死鳥も時を同じくして、その場から姿を眩ました。
 【道化】に、アリスが駆け寄るが、もう道化は元には戻らない。

 「ハハハ……子供相手にこの様だ」

 道化は仮面を脱ぎ捨てると、クロア・ディナイアルとして。 アリスの方を向いた。
 指先が、透けてきている。
 まさか、この症状は……。

 「消失病が……。 消えちゃうの?」

 あの、クロアが?
 恐ろしく強い、彼が?

 「ああ、もう症状は抑えられないよ。 多分、後何秒かすればボクは消える」

 動じる様子も無く、クロアは平然とアリスと話す。
 いつも通りの笑顔で、これが消えるとは思えないくらいに。 いつも通り、作られた笑顔をアリスに向けている。
 死ぬ間際の、消える間際の人間が取れる態度ではない。
 この人は……こんな時も【道化】を脱ぎ捨てない。 根っからの、強がりで、嘘吐きで……。
 涙が、一切出てこない。 この人なら、本当に消えるだけ。 時間が経てばまた。 何処からか戻ってきて私に笑顔を向けてくれそうな。
 そんな気持ちに、してくれる。

 「さーて、ボクは戦線離脱だ。 アリス、まあ、頑張って」

 その言葉が最後。 
 彼の顔に一筋の闇が走ったかと思うと、そこから広がった闇が、彼を飲み込んだ。
 余りにもあっさりと、クロア・ディナイアルという男は、この世界から姿を消した。
 存在そのものが、まるで嘘だったかのように。

Re: 消失病 Disappearance【人気投票】 ( No.32 )
日時: 2011/11/08 22:05
名前: 夜道 ◆kaIJiHXrg2 (ID: TtH9.zpr)

 えー、このたびは初めてとなります
キャラクターの人気投票をしてみたいと思います

一人での多数投票の禁止以外にルールはありません
キャラクター一覧は>>5にあります
ぶっちゃけ、理由は好きだからとかそんなんで良いです


       用紙


・キャラ名

・理由


              ありがとうございました


Page:1 2 3 4 5 6 7



この掲示板は過去ログ化されています。