ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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『 Turns 』 〜小説掲示板物語〜
日時: 2009/08/21 22:46
名前: НΙММЁL ◆MEER.m/asI (ID: EpPczols)
参照: http://himmel.rakurakuhp.net/

支援小説〜('A`)
http://www.kakiko.cc/novel/novel4/index.php?mode=view&no=12355


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                答えの出ない未来抱いて——                   

       

                     『 Turns 』
                  〜小説掲示板物語〜
                  —my last message—
                  
                   ==SUPPORTER==
                      (お客様)
                       >>373

              ・奈緒様 ・夜兎__〆様 ・ライト様
              ・緋那様 ・来夏様
  
                  ==PRODUCE&PRESENTS==
                   *c 2008 НΙММЁL*
       
              
                     ==創設者==
                    *里香(美咲)*


この小説は、僕が思ったこと、そして皆にもう一度考えて欲しいことを題材に、物語を構成しています。
時折々、この小説☆カキコではさまざまな事件、争い、そして話し合いが巻き起こる。
そのひとつひとつを、考えてみたことはありますか?
過去にどんなことが起こったか知っていますか?
もし、この小説を読んで、自分はこう思った、などのことがあるならば、書き込んでくださっても結構です。
出来るだけ切実に対応させてもらいます。

※ >>374 【 目次 】

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               +++注意事項(3/8更新)+++

1,この小説は実話を元に作成しています。
  部類で言えばサブノンフィクションです。
  なので、この小説☆カキコにも実際にいる人物・スレの題名・コメントを多少引用しております。

2,不適切と思われる部分があるとは思いますが、そこはご了承ください。

3,許可を申し出ずに引用している部分があります。
  もし、それがお気に召さないようなら遠慮なくお申し付けください。
  変更、または削除を行います。

4,おもしろい、すごい などたったひと言のコメは正直がっかりします。
  この人はちゃんと読んでくれているのだろうか、と疑ってしまいますので……

5,あきらかな宣伝文は極力お控え下さい。
  読んで欲しいのなら、ちゃんと言葉で伝えてくださいね。

6,撮影(パクリ)は禁止
   

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Re: 『 Turns 』 〜小説掲示板物語〜 第Ⅲ章 ( No.294 )
日時: 2008/05/18 23:39
名前: НΙММЁL ◆MEER.m/asI (ID: Wl8kRSYB)
参照: http://himmel.rakurakuhp.net/

     4,『プロセス』


      +67日目+


その日、その掲示板の一部は騒然としていた。
ただ、一部と言ってもΜЕЕЯのスレでだが。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   マジでありえないから!
   どんな理由があれとも、あれは許せないでしょ!

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:千両箱◆SEE7n9Y/L2

   ちょっと落ち着いたほうがいいです
   このままだといろいろと引き起こしそうで……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   ネオン、気持ちはわかるけど、もう少し気を静めて。
   ここで騒いでも、何も変わらないよ

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まったく何のことやら理解出来なかった。
レスを読み返すも、イマイチよくわからない。
ここは直接聞く方が手っ取り早いだろう。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   えらく騒がしいな。
   何かあったのか(というかあったんだな?

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:煌桃 ◆Tina/Wv/y2

   ネオン殿の小説がパクられたのさ

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   そうなのか
   そりゃ大変だな

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   >>GЁSТΙЯЙ
   なんかものすご〜く、素っ気なくない?

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   いや、気のせいだろ

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とは言ったものの……
対して何も思っていないというのが本音である。
実際、パクられたとは言っても本人に成りきったわけではないようだし、まわりが勘違いした様子もない。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   でも、逆にこうだと思うよ。
   パクられるほど、上手だってこと
   要するに、認められたということだと思う。
   だから、まあそこまで……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   やられた本人しかわからないよ
   
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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:千両箱◆SEE7n9Y/L2

   まあ確かにパクられたのは痛いと思うけど
   それだけ名が知れるんじゃないかな

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs
  
   そうだよな
   あんまり後ろ向きに考えるのもどうかと思うぞ
   実際パクられるお前がうらやましいわ

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   もういいよぉ
   本人しかこの気持ちわからないだろうし
   文句言ってくる!

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「まだ注意してなかったのかよ……」

それもそれで問題だと思う……

何を意地を張っているのか。
逆に、ネットの世界でパクリじゃない物を見つけるほうが難しい。
オリジナル小説とは言っても、必ずどこかで他の物語とかぶるのは当然。
何とかは人の数だけ、というように、物語も人の数だけあるが、それを分解して各話ごとに解析すると……
と、難しいことは抜きにしても、必ずかぶるものである。
意識し過ぎれば、ネットのどこでも活動出来なくなるだろう。
匿名の世界とは、そんなものである

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   なんだかなぁ……

   僕も過去に何度か真似されたことあるけど
   まあ確かにそのときは激怒したから、人のこと言えないんだよね……
   今は、そこまで熱くはならないんだけど。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   俺もΜЕЕЯと同じ考えだが、真似されりゃそれだけ認められてるってことだろうな。
   だれも下手なやつなんか真似したくねぇもんな

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正直、難しいところではある。
まず、ここで騒いだところで意味はない。
その真似した本人に直接訴えかけなければただの空回りだ。

「はあ……」

とにかく、まずはネオンが落ち着くまで待つべきだろうか。

Re: 『 Turns 』 〜小説掲示板物語〜 Ⅲ4話〔プロセス〕 ( No.295 )
日時: 2008/05/19 15:58
名前: НΙММЁL ◆MEER.m/asI (ID: Wl8kRSYB)
参照: http://himmel.rakurakuhp.net/

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   ロックした……

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どうやら、相手側が引いたようだ。
ネオンの小説を真似したスレッドは先程ロックされた。
一応、一件落着だと思ったが……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   謝ってもらってないんだけど……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   別にそこまでこだわらなくても……
   ロックしてくれたんだからいいじゃないか
   もう追求する必要は無いだろう?
   ネットはそういうものだよ

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   まだグダグダしてるのかよ
   もういいじゃないか。これ以上被害が出るわけじゃないから

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これ以上何かを追求したところで、答えが出るわけはない。
こだわればこだわるほど、後々自分が哀れじみて思えるだけだ。
憤りを感じるのは理解出来るが、それは度を超せばただの自分への憐れみである。
自分で自分を憐れむのは、正直見ていて痛いだけ。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   他人が真似して書いたところで、作者が物語に込めた思いまでコピー出来るわけではない。
   コピー者は、原作者がいなければその続きを書くことは出来ない。
   自分で発想してないからね、今までの物語をすべて理解出来はしないし、結末もわからないから、
   最初の話にどんな意味があるのかさえわからない。
   もしそこから書ける人ならある意味すごい人だけれど。
   原作者の思いは、その作者が書いた文にしか込められない。
   そして、それを伝えられるのも作者。
   だから気にする必要はないよ。
   物語に込めた思いは、ネオンからしか伝わらないから。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:千両箱◆SEE7n9Y/L2

   なるほど、込めた思いは本人しかわからないって感じかな
   俺がミアさんの小説を真似して書いたって、俺は別に荒らしとかもめ事とかに関心がないから
   何も伝わらないわけだ

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俺も同じことを思っていた。
コピって貼り付けてるやつからは、努力している雰囲気は感じられない。
ネット越しでもなんとなくそういうのはわかる。
それに、コメント返しのときの口調や態度などで、その文との矛盾があったりするから何となく怪しいとわかってしまう。
何だとしても、パクリだと比較的すぐにばれたりする。なぜかはわからないが。

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   ああ、そっか。
   でも、やっぱりなんか釈然としないんだよねぇ
   素直に謝ってくれればそれでいいのに、誤魔化たりしてさ

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   人間ってそんなもんだろ
   完璧なら、そもそもパクリなんてしないしな
   平等でもないし、同じでもない。

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誰しも人は、他人よりも優位な立場を望む。
謙遜するのは、より自分が他人より上だと感じているからである。
自分より下がいるとわかっているから、安心して謙遜出来る。
もし自分が本当に下だとわかっていたら、そんなことはせずに素直に褒め言葉を受け入れるのだ。

だから人は、他人を真似して自分を磨く。
ときには蔑んだり、け落としたりもする。
その対象は、意外と自分が尊敬している人だったり、目標としている人に対しての場合が多い。
自分とその人の立場を逆にしようとするのだ。
それを繰り返しながら、人はより優位な立場へと上がっていく。
だから、こういう摩擦は仕方のないことなのだ。
それをいかに気にせずに、自分のやりたいことを優先でやれるか。
これが、自分の行き方を左右するものだと俺は思う。

Re: 『 Turns 』 〜小説掲示板物語〜 Ⅲ4話〔プロセス〕 ( No.296 )
日時: 2008/05/19 17:19
名前: НΙММЁL_〆 ◆MEER.m/asI (ID: Wl8kRSYB)
参照: http://himmel.rakurakuhp.net/

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   うーん
   わかった、じゃあもう気にしないね
   さーて小説の続きでも書いてきますか!
   なのでオチ

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   ようやく終わりましたね
   しかし……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:煌桃 ◆Tina/Wv/y2

   ぽいぽーいするまえに終わっちまったか
   まあいいけど
   とりあえず、まあ真似された人は気の毒だなー
   
   しかし?

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   いや、あれだけで終わるのかなって……
   あんな感じで人の真似する人って、何度も繰り返すと思う
   だから、またやらないかなって心配で……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:詩穂◆SLootE8BKs

   心配性だなぁ
   たぶん一度注意されたからもうやらないと思うよ?

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俺もΜЕЕЯと同じく、何か漠然とした不安を抱えていた。
今まで意識していなかったことだが、もし自分の書いた小説や絵などが他の場所で違う人のものとして公開されていたらどんな気持ちだろうか。
それを知らない自分は一体どんな気持ちなのだろうか……
この掲示板でなくとも、もっと他の場所でコピーされた作品が公開されている可能性だってある。
それを考えると、どうしても居ても立っても居られなくなるのは俺だけだろうか……

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:ΜЕЕЯ◆himmel.asI

   どうだろう……
   気にしても仕方ないってことはわかってるんだけど、どうしてもね

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:GЁSТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

   俺も考えたら、ちょっと怖くなった
   まあ、気にするなよ
   そんときはそんときだ

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   Re:『伝説のラーメン家—2—』 雑談しようb
  名前:煌桃 ◆Tina/Wv/y2

   ぽいぽーいシ☆
  
   ミアさん、小説のネタ尽きたからなんかくれ^^

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俺はまとまらない、漠然とした不安を抱きながらも、必死にそれを頭から振り払った。
このとき、もう少し早く物事に気づいていれば、この先の出来事はもっと軽く収まったはずである……

Re: 『 Turns 』 〜小説掲示板物語〜 Ⅲ4話〔プロセス〕 ( No.297 )
日時: 2008/05/19 17:52
名前: НΙММЁL_〆 ◆MEER.m/asI (ID: Wl8kRSYB)
参照: http://himmel.rakurakuhp.net/

何か、下手になった気がしませんか?
イマイチ文章がまとまっていないような……
限界なのでしょうかねぇ……

Re: 『 Turns 』 〜小説掲示板物語〜 Ⅲ4話〔プロセス〕 ( No.300 )
日時: 2008/05/20 18:27
名前: НΙММЁL ◆MEER.m/asI (ID: Wl8kRSYB)

  +68日目+


「ふああ……っと」

大きな欠伸を一つして、目を擦る。
今は退屈な授業の真っ最中。俺は先程まで寝かけていた……いや、完全に寝ていた。
教室を見渡すと、大半の生徒が机につっぷしているか、またはボンヤリとしている。
そもそもこの授業がいけないのではないか。
本当に先生は冗談抜きでマジメ過ぎる。笑いの一つをとることもない。
まあ、そんなことは一番最初の授業のときからわかりきっていたことだが。
黒板に溜まった板書を、ペンをゆっくりと動かしながら書き写していく。
そんなこんなのうちに、授業は終了した。

俺は眠気を覚ますために、トイレへと向かう。
まだ目が完全に覚めきっていないらしく、何かぼんやりとした雰囲気の廊下をゆっくりと歩く。
やがてたどりついたトイレで、手洗いの蛇口をひねり、何度か顔に水を浴びせた。
次の授業は、学年でもっともかったるい英語の授業。
寝たら最後、その授業が終わるまでずっと立ったまま授業を受けさせられるハメになるのだ。

ふと視界の隅に入った光景が気になって、そちらに顔をそらす。

「ちょ、マジで返せって!」
「え、なんで?」
「それ俺のだからだよ!」

数人の男子がトイレの中央で小競り合いをしている。
上履きに入ったラインの色から言って、どうやら同じ2年生のようだ。
どうもあまりいい雰囲気とは言えない。
男子のひとりが必死で取り返そうとするが、まわりにいる他の男子たちに阻まれてなかなか取り戻すことができないらしい。
男子の険しい表情からして、どうもイジメらしい。
——ったく、何をごちゃごちゃと……
何にしろ騒がしいのは気にくわなかった。
格別、助けようという気は起こらなかったし、次の授業開始まで間もない。
俺はそのまま去ろうとして、水を流しっぱなしだった蛇口に手をかけた。

「あっ!」


誰かが声を上げたと同時に、またもや俺の視界に何かが入った。
入ったばかりでなく、急速に接近してきているのだ!
俺はとっさに後ろに避ける。
目の前を何かの物体が通り過ぎていき、未だ水の流しっぱなしの水道台に突っ込んだ。

「あ」

俺はなんとなく声を上げてその飛んできた物体を見た。どうやら教科書のようである。どうも、この男子たちの次の授業は移動教室らしい。

「やべ、遅れるぞ!」
「俺じゃないからな。お前頼んだ」
「はあ、俺かよ」

男子たちが次々に駆け去っていく。最後に駆け去る男子は「ごめんごめん」と何とも思っていなさそうな声で謝りながら、やはり同様に去っていった。

その場に残った男子と俺……いや、正確には俺は関わっていないため、ただ傍観しているだけなのだが。
ひとまず、目の前でずぶ濡れになっている教科書をそっと拾い上げる。今にも破けそうで怖かったが、どうやら表紙のカバーが比較的丈夫らしく、なんとか原型を保っていた。
——でも、これじゃあ使い物にならねぇな……。
俺はそのまま後ろを振り返った。
男子は気まずそうに視線を逸らす。俺はこの教科書を一体どうすればいいのだろうか。

俺はとりあえず、男子に教科書を突きだした。

「ほら」
「えっ?」
「えっ、ってお前……自分のもんだろうが」
「ああ、うん」

男子は俺と同じく、そっと教科書の淵を掴んだ。水が滴る教科書はなんとも言い難い雰囲気を示すかのように、今の状況をよく表していた。
男子はその場に突っ立ったまま、じっと教科書を見ている。
このままだと、一日中ここに立っていそうである。

「仕方ねぇな……ちょっと待ってろよ」

男子をその場に残し、俺は教室へと走った。

すでにチャイムは鳴ってしまい、授業は始まっていた。
気まずい雰囲気の中、俺は先程男子がびちょびちょにされた教科書と同様のものをもって、なんとか誤魔化しながら再びトイレに向かう。

「ほら」

再び俺は教科書を突き出す。ただし、今度は俺の、びしょびしょではない教科書だが。

「……」
「さっさと取れや!」
「あ、うん」

俺は半ば無理矢理押しつけるようにして、男子の手にそれを握らせた。

「俺は5組だから、終わったらちゃんと返しにこいよ」

それだけ言うと、男子の返答も聞かずに教室へ引き返した。


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