ダーク・ファンタジー小説
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- 【更新停止】
- 日時: 2017/10/13 22:44
- 名前: 夢精大好きちんぽ丸 (ID: 3p1tWxjm)
やぁ、またかとか思った?
僕だよ、ちんぽ丸だよ。
夢精が大好きだけど、不能だから勃たないで日々苦悶の日々を送っているよ。
割とマジの真正童貞だよ、誰か名医でも紹介してよ。
これはファジー版に投稿してる短編集と違って、長編だよ。
前ここに書いてたやつの焼き直しだよ、なるべく更新停滞はしたくないよね。夢精に二言は無いよ、頑張るよ。
感想とか評価とか批判とか絶賛歓迎してるよ、だけどPNを変えろっていうお言葉には絶対負けないよ、戦うよ、僕は夢精大好きちんぽ丸として世の中に抗い続けるよ。
それじゃあ少しでも楽しんでいってね。割と胸糞悪いお話を書いていくんだけどね。
最後に一言。
「捻りの無い下ネタは害悪。捻っていても害悪」
- Re: 初芝君は気色が悪い ( No.14 )
- 日時: 2015/10/27 22:05
- 名前: 夢精大好きちんぽ丸 (ID: 3p1tWxjm)
- 参照: https://twitter.com/Toremoro1467
『九話・神の父』①
心音に初めて会った時の話だ。
彼女と出会ったのは、確か高校一年のころ。丁度、自分が異常だと悟った時だ。
誰かを愛するその姿を、気色が悪いと認識してしまった。あの日、あの時から、数週間後だ。
僕は神父にその事を話した。
神父の事を信じ切っていたから、だから彼に話した。自分が異常だという事を認めたくなくて、彼がいつもみたいに暢気に、そして優しく『そんなのは思春期にならよくある事だよ〜、君は年齢に相応な感情を抱いただけだと思うよ?』と。そう返してくれることを願って。
そして、その願いは見事に砕かれる。
彼は僕の心中の吐露を聞き終えて、酷く真剣な顔を作った。
今まで見たことのない様な、そんな顔を作って、今まで見たことのない様な、重苦しい声で言った。
「やはり、君はそういう人間だったか」
そう言った。
ショックだった。悲しくなった、喚きたくなった、死にたくなった。
自分を意味もなく全肯定してくれると思っていた人は、僕を確かに肯定した。
だが、それは、負の肯定だった。僕の負性の肯定だった。
その後、僕は彼女と出会う。打ちひしがれた心を抱えて歩く僕の前に、心音は現れた。
彼女は、あの暗い瞳で僕の事を見つめていた。
僕はその姿を、気持ち悪く感じて。
彼女の頭を蹴り飛ばした。
僕と彼女は、そういう出会い方だった。
- Re: 初芝君は気色が悪い ( No.15 )
- 日時: 2015/10/28 19:07
- 名前: 夢精大好きちんぽ丸 (ID: 3p1tWxjm)
- 参照: https://twitter.com/Toremoro1467
『九話・神の父』②
「いやぁ、大事にならなくてよかったよぉ〜。僕はてっきり死んでしまったのかと気が気じゃなかったさ!」
「そんな簡単に人は死なないよ」
部屋に入ってきた神父は、僕のベットの傍に折り畳み椅子を設置して、そこに座りながら、今の僕の状況について説明をしてきた。
人と会って喫茶店で話していた神父の元に、携帯を通じて連絡が入り、僕が何者かに刺されたことを知ったそうだ。
そこで彼は自分と日頃付き合いのあるこの病院の院長に話をつけ、親切な何処かの誰かが呼んでくれた救急車の行先をそこに向かうわせるように頼み、急遽僕には分不相応な個室をあてがったと、そういうわけらしい。
ちなみに、手術を行ったのもこの病院一の名医らしく、益々僕の身には余り過ぎる待遇である。
どうにも神父は過保護だ……。
「いやしかし、君はなんかすぐ死にそうな顔してるからな〜心配し過ぎてもまだ足りないさ。ちゃんとご飯とか食べてる?」
「食べてるよ……って、あなたは僕のお母さんですか?」
「あっはっは〜、どっちかというと、お父さんだね!」
「……そうだね」
思わず苦笑してしまう。彼が自分のことをお父さんと例えた、その事に。
端的に言えば、それは事実であるから。
神父は僕の養父である。戸籍上は他人であるが、後見人として僕を育ててくれた、父親だ。そう、僕には血の繋がった両親がいないのだ。
別に、親に捨てられ橋の下に段ボールの中に入れられて捨てられていたところを、敬虔なる神の僕たる【神父】が、憐憫の感情から拾って育ててくれたとか、そういうのではない。
僕の母は、僕を産んだすぐ後に亡くなったらしい。病死だったそうな。
そして、父の方は母が僕を生む前に既に死んでいたという事である。
その二人の、特に母の【友人】だったらしい神父が、彼女に頼まれ僕の事を引き取り、ここまで育ててくれたと、そういう事情だ。
正直、色々問いただしたい疑問は複数ある。
両親の亡くなり方について。何処かに存在するであろう親戚筋の存在。本当に沢山疑問がある。
だけど、神父はそのどれにも『君が大人になったら話す』と言って、誤魔化してくるので、いつしか僕もその事について聞かなくなっていった。
ただ、神父は珍しくお酒などに酔ってたりする時、普段でさえ優しさを映しているその瞳を、さらに優しくしながら、楽しそうに僕の母の事について語る。
君の母親は綺麗な人だった。
君の母親は優しい人だった。
君の母親は純粋な人だった。
君の母親はいつも笑顔だった。
君の母親は、君の母親は。
そうやって、嬉しそうに語る神父を見ていると。ああ、確かに僕の母は素敵な人だったのだろうと、そう思える。
反対に父親のことは一切喋らないのが気に掛かる所であるが、最近はそれさえもどうでもよくなっていた。
僕には両親はいない。でも神父がいる。
だから、僕にとって神父は親なのだ。
今は親の脛を齧るだけのダメな息子であるが、何時か自分を育ててくれた恩返しはしたい。
僕は恋情に嫌悪があるか、誰かを慕う念は普通に抱くことができる。だから、僕はおそらく、神父に信の情をしっかり抱いていると、そう思う……。
- Re: 初芝君は気色が悪い ( No.16 )
- 日時: 2015/10/29 18:42
- 名前: 夢精大好きちんぽ丸 (ID: 3p1tWxjm)
- 参照: https://twitter.com/Toremoro1467
『九話・神の父』3
「それにしても、那奈詐君を刺した人間はいったい誰だったんだろうね……心当たりは本当にないのかい?」
「ああ、無いよ。これでも人に恨まれるような事はしてないと、そう思ってるんだけどね」
一通り話すべき事を話し終わった後、話題は加害者であるあの女性の話に移った。
現在警察に通報はしてはあるとの事らしいが、ここら辺の警察は、大変優秀……の反対なので、恐らく彼女が捕まるのにはまだまだ時間がかかりそうであるらしい。
「うーん。商店街を歩いていたら突然刺されるなんて。多分、日頃恨んでた相手が、突然目の前に現れたから激情に駆られての怨恨の殺人衝動とかだろうし」
「まあ確かに、凄い顔で僕の事を見てたけどね」
「……知らず知らずの内に恨みを買っていたとか、そういう事は?」
神父の言葉を受けて、少し自分の記憶を精査してみる。
だが、矢張り僕を恨むような相手は思い浮かばないし、間接的にでも恨まれるような事をした覚えもない。
僕は他人に深く干渉しないから、他人から深く感情を抱かれることもないはずだ。
交友関係は確かに広いが、それは広く浅くの精神での付き合いだから、本当に深く付き合っている【友人】は少ない。
精々が、心音に萩原、仲野に浅木、後は汀位のものか……。まあ、この中で僕を刺しそうな奴は心音と汀位のものだ。
心音は何か適当な理由で刺してきそうだし、汀は単純に喧嘩とかしたら刺してきそう。
……こんな奴等を本当に友人と呼んでいいのだろうか? 何かあったら刺してきそうな友人とか怖すぎだろ。
「まあ、那奈詐君は忘れっぽいところあるから、何か酷い事しても忘れてそうだよね〜」
「失礼な。僕は記憶力はいいぞ? 成績だっていつも一番でしょう?」
「まあ確かに良好に過ぎる成績だけど……。じゃあ、あれだ。女の子とかに失礼なこと言ってない? 女性ってのは、無遠慮な男のちょっとした言葉に、凄く敏感に怒るものだからねぇ〜」
「大丈夫だよ、そんなヘマはしな——」
ん?
いや、ちょっと待て?
女性? 失礼? 無遠慮?
……。
あった。
心当たり。あった。
いやいや、待て待て、そんな馬鹿な理由で人を刺すか?
人を殺そうなんて、そう思うか?
第一、 しっかりと丁寧に僕は【お断り】した筈だ。恨まれる筋合いなんてない。
「那奈詐君? どうしたの?」
神父が怪訝そうな声を上げるのを聞いて、僕は黙考してた所為で下を向いてしまっていた視線を彼に戻す。
「ああ、いや、別に何でもない」
「そうかい? そうは見えなかったけど」
「ほんとに、何でもないよ」
疑問符を顔に浮かべながら言う神父を取り成しながら、僕は思考を回転させる。
僕は人に恨まれる行為をした事のないという自負がある、だがしかし、それはあくまで僕にとっての常識に当て嵌めてだ。
他人がどんな感情を抱くかなんて、結局永遠にわからない。
あくまで推量出来る程度だ。だが、それでもその推量の方法とは、自分が抱くであろう感情や、持ち合わせている常識と当てはめることで、ある程度の精度をもって予測できるというものである。
僕は平凡であり、頭の良い人間であるから、一般的な奴等にどう対応すれば、どういう反応を得られるのか。そういうのが大体わかる。頭良いから。マジ頭良いから。
だけども、その推量には大きな欠点がある。
平凡な僕には、明らかに異常な部分が一つある。
【愛情に対しての嫌悪感】。
- Re: 初芝君は気色が悪い ( No.17 )
- 日時: 2015/10/30 13:32
- 名前: 夢精大好きちんぽ丸 (ID: 3p1tWxjm)
- 参照: https://twitter.com/Toremoro1467
『九話・神の父』終
これだ。
そして、僕は過去に拒絶してしまった【恋慕】がある。
高校一年生の時、甘酸っぱいく告白してきたあの女の子。
あの娘ならば、僕を恨んでいても仕方がない。
しかしながら確証はない。酷い話なんだろうが、僕には件の彼女の顔が既に思い出せなくなっている。
だから、あの刺してきた女が、告白してきた女の子と同一人物かは判然としない。
言い訳させてもらうのならば、吐き気のする情景だから、意図的にその情報を全て脳内から忘れ去ったと、そういう事なのだろう。
誰だって、自分の嫌なことは何時までも覚えていたくないモノだ。
取りあえず、この事は神父にはまだ黙っておこう。彼には昔、その件で相談したこともあるから、いずれ自分自身で気付くかもしれないが、別段自分から言う事でもない。
気付かなければ気付かれないままでもいい。
僕は彼に、これ以上心配をかけたくなかった。
「うーん、まあ思いつかないなら仕方ないよね〜。何か思い出したら、また言うんだよ?」
「わかった、ありがとう」
心配そうに言ってきてくれる神父に、心の中で謝罪し、感謝の言葉は外に出す。
神父はメガネの奥の瞳を優しくすぼめながら、笑顔で僕の言葉に軽く頷いた。
と、そんな彼の温かい瞳を見ていたら、対照的に冷たさの極地みたいな瞳をした奴を思い出し、その人物の事を聞いてみる。
「そういえば、心音は何処行ったの? あいつ、僕が倒れる時傍にいたんだけど……」
途端、さっきまで暖かい雰囲気を醸し出していた神父が、気まずそうな顔をして、顔を背けてきた。
おい、この反応。まさか、アイツ……。
「えーとね、僕に連絡をしてきたのは心音ちゃんなんだけども……連絡してきたその後に、その……」
少しばかり冷や汗さえも掻きながら、神父はゴニョゴニョと言葉を紡ぐ。
余りにもらしいとはいえ、らし過ぎる、心音の行動について、彼は話してくれた。
「『眠いし遅いし初芝アホみたいにぶっ倒れてウザいから帰る』とか言った後に、こっちが何か言う前に電話切られちゃって。多分、本当に家に帰っちゃったと思うよ……」
よし、あいつ今度会ったらぶん殴ろう。
- Re: 初芝君は気色が悪い ( No.18 )
- 日時: 2015/11/01 12:59
- 名前: 夢精大好きちんぽ丸 (ID: 3p1tWxjm)
- 参照: https://twitter.com/Toremoro1467
『十話・終わりというのは常に簡単』1
人と人の間には高低様々の精神的な壁がある。乗り越えることも壊すことも、大変に難しい壁が。
外側の防壁が簡単に跨ぎ超える事ができる人間でも、最深部近くの壁はやけに高いものだ。逆もまた然り。
僕が思うに、この心の壁というのは、大雑把に大きく適当に分けると二つの種類がある。
第一段階から暫くの壁は、もはや乗り越える必要もない、歩くだけで越えられる程度な癖に。ある一定のラインになると、絶対に超えさせない高さで壁を作るやつ。
初めの段階の壁が厭になるほど高い癖に、それを超えてしまえば、後は楽に奥まで進めてしまい、最深部さえも、そこまで高い壁があるわけじゃない人間。
この二種類だ。
前者は社交的で明るく空気が読める、付き合いもよくて大抵の人間と仲良くなれる様な奴。しかしながら、自分が何か本当の意味で相手を知ろうとしたり、浅くではなく、深い心の内を曝け出そうとすると、十中八九煙に巻く。悲しいかな、最後まで本当の意味の友にはなれない事が多いだろう。
後者は無愛想だったり、無遠慮だったりで話し辛く、一緒にいても少なからず衝突しそうになる事が多いが。恐らく、自分が本気でぶつかっていけば、本気で返してくれる誠実な人間であることが多いだろう。要は真面目で自分との関係に本気でいてくれる。友にするならこういう人間が一番だ。
僕がどちらかなんて、聞くまでもないだろう。
僕は人付き合いが得意だ、社交的ですらある。誰かに心を開くことなんてザラだし、相手のために何かしてあげる事も多い。
だけど、絶対に。誰に対しても。家族と言える神父や、自分にとってとても大切な人間である心音にだって。
僕は完全に心を【見せ切れない】で、ズルズルと気色悪く生きている。