二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- CLAYMORE 運命の道筋
- 日時: 2012/08/14 21:07
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
  
- プロローグ 
 「いつの世も戦士とは、多くのものを背負っている 」
 そう、その男は静かにゆっくりと語った……
 一体、どれ程の修羅場を潜り抜けてきたのか、
 どれ程の屍の山を乗り越えてきたのか。
 彼の纏う気迫と眼差しには、
 それは、本当の地獄と悲しみを知る者だけが持つ……
 凄みというものが有った。
 とうに過ぎ去った時間の中で、
 焼き付いて離れず逆光する記憶と痛みは、
 とてつもなく深く、悲しく、忌まわしく
 そして、懐かしい思い出でもあった。
 全てを失った男は大剣を取った。
 それが例え、血で血を洗う呪われたものあったとしても、
 醜態を晒してでも、そうしたかったのだ。
 己が生き長らえるが為に……
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- Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.4 )
- 日時: 2012/08/18 00:45
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
  
- やはり、この容姿は人々を畏怖させるようで、 
 俺を見るなり町長は引きつった表情を浮かべながら、
 吃る(どもる)声で組織の戦士か、どうかと尋ねて来た。
 まあ、俺にとって別にどうでも良い事だけどな……
 さて、町の外から感じた妖気は8つ……
 いずれも、並みの妖魔だな。
 Scene2 銀眼の殺戮者2
 町を照らす夕日は、いつもよりも一段と鮮やかに町中を染め、
 まるで、血のように赤く酷く恐ろしげに見える。
 モネの町中央商店街 ーー
 「なあ、ペペ。
 “例の”あの事件、奴らに依頼したって本当らしいな 」
 「あぁ。 さっき、その戦士とやらを見たけれど……
 あんな、ひょろっちい優男で大丈夫なのかね?
 ワシの弟を喰い殺した化け物は、人間ではどうする事も出来ないと訊くが……? 」
 噂では、ある程度の姿は人間に似ているものの、
 皮膚はうす気味悪い灰褐色で、瞳は獣のように縱に割れた金色。
 鋭い牙と爪、人間より二まわりは大きい体躯の化け物に、
 生きたまま内臓を貪られ、食べらるるなど。
 人々にしてみれば想像を絶するものだ。
 そんな化け物を葬る輩など、
 普通、骨太の筋肉隆々としたいかつい戦士を予想するのだが。
 実際、ペペが目にした戦士の姿はソレとたがえた。
 「さあな。
 これで、そいつが死んだら依頼は無かった事になるらしいが……? 」
 その時だった。
 音も無く、その戦士がエバンズパン店の屋根に現れて、
 そして、消えたかと思ったその瞬間。
 目の前にいた石工のドバノンが突然、縱に割れて青紫の血潮を吹き出し倒れる。
 まるで、絹を裂くような女性の悲鳴。
 いきなり“人間”が真っ二つになり混乱する人々をよそに、
 白い影は人混みを縫うかのようによぎってゆく。
 「な、なんだ?
 いきなり、人が真っ二つに!? 」
 そして、次の瞬間。
 煤まみれの顔で帰途につく壮年の炭坑夫の首が飛び、
 また、次の瞬間には馬を引く若者、
 夕飯の材料を買い物をしていた女性や酒場の見習いと。
 怪奇現象のように次々に両断されて、石畳を青紫の血で染めてゆく。
 「……3匹…4匹… 」
 なにやら、男の声でナニカを数える声がする、と
 たまたま外に出て来た酒場の女給が、騒ぎの元を見やった。
 そして…………
 「……6匹……7匹……。
 …そして……お前で終わりだ 」
 女給と白い影もとい、
 極めて薄いブロンドの、青年の銀と目が合う。
 「えっ……? 」
 自分の身に何が起こったのかを理解する間もなく、
 女給は左肩から右下斜めの真っ二つに切断される。
 「な…によ……あ…ん…たは…? 」
 血のりが付いた大剣を携えた青年の後ろで、
 女給はゆっくりと地面に倒れ、その目から光が失われてゆく。
 それに答えるかのように、
 青年戦士が口を開くのを別の誰かが大声で遮り。
 その声の主である中年男性は、青年戦士の胸ぐらを掴み激を飛ばした。
 「あ、悪魔か お前は!!
 よくも、町のに…ん…げんを。
 !!? 」
 青年戦士の後ろに見えたのは、
 美人と評判だった女給の、変わり果てた死体ではなく、
 灰褐色の肌と金色の瞳をした異形。
 “妖魔”の死体であった……
 「なっ!? 」
 よくよく見ると別の死体全てが“妖魔”で、
 どれも、苦痛や恐怖で顔がよがむどころか。
 自身に何が起きたのかさえ、理解する間もなく死んでいる。
 「……それが妖魔の力だ。
 奴等は人間の脳を喰らう事で姿と記憶を写しとり、
 その人物になりすまして騙すという技を使う…… 」
 フォン!
 大剣に付いた青紫の血を
 一振りで地面へと払い落とし、背に戻す。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 その日の夜。
 モネの町からやや離れた薄暗い森で戦士は、
 大剣を背もたれに5日ぶりの食事をしつつ、もう一人の人物の言葉に耳を傾ける。
 「ほぅ……。
 妖魔8匹を一瞬で葬ったのか……?
 流石はナンバーに恥じない実力を持つだけはあるな。
 「……勿体無い言葉だ。
 実力やナンバーに無頓着な俺には…な… 」
 ウィルフレドと呼ばれた青年戦士は、
 本気で、どうでも良さそうに表情を浮かべながら山鳥の肉をほおばる。
 「そう思うのは、お前だけだ。
 普通は、それを誇りに思うのだが……? 」
 「…………普通は、な 」
 (正直、どうでも良いのだがな……。
 いつの間にか、ナンバー7に昇格したんだ?? )
 続く
- Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.5 )
- 日時: 2012/08/19 04:44
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
  
- 幕間 隻眼の使者 
 私が担当する戦士の一人……
 ナンバー7 “悲壮の”ウィルフレドは、
 いつもの如く自身の評価や成果に無関心で、
 本気で自分の実力や順位の優劣など興味が無い、と言葉と表情で自らの考えを示す。
 「そう思うのは、お前だけだ。
 普通は、それを誇りに思うのだが……? 」
 「普通は、な………… 」
 実に素っ気ない返答だ。
 他の連中……
 ナンバー1 白銀の王イースレイ
 ナンバー2 獅子王リカルド
 ナンバー3 ダフ
 ナンバー4 クロノス
 ナンバー6 ラーズの。
 この五人は特に固執し、争いが絶えんというのにな……?
 「組織のナンバー5
 殲滅のレーヴァントに次いで面白みの無い奴だな。
 お前は……? 」
 「レーヴァント? 訓練生の時に何度か見た。
 あの無愛想、無口、無表情の奴か? 」
 的を獲ているな。
 奴は感情の起伏は極めて少ない……
 唯一、感情を表に出したのは。
 あと一歩の所で勝てそうなところで、あの三人に負けた際の、屈辱感のみだからな。
 「ああ、そいつだ。
 だが、お前は別の意味で考えがわかんのだよ 」
 「……それ、俺も人間味が無いという事か? 」
 「さあな……。
 …………次の指令だ。
 ここから南…始まりの街ピエタだ 」
- Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.6 )
- 日時: 2012/08/19 16:02
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
  
- Scene3 逆光の追憶 
 組織のナンバー24
 それが印を受ける際、俺に与えられた最初のナンバーだった ーーー
 かつて、西の地に在った故郷の村が盗賊団によって滅び、
 運良く生き延びた親友達三人以外の、全てを失った。
 その後、四人はスタフに連れていかれ、
 有無を言わせられない運命を突きつけられたのだが、
 どの道、他に選択肢が無かった俺は生き延びるが為に大剣を取り。
 厳しい訓練を、実践式のあの試験を潜り抜けて幾日も経たない頃に与えられた……
 「俺が組織のナンバー24だと、レオナル……? 」
 「そうだが……
 何だ、不服なのか? 」
 「別に……俺はそんなものに興味は無い 」
 組織の連絡員レオナル。
 村が滅びた三日後に現れて、俺達をスタフに連れて行った黒服で、
 昔、病で左眼球が腐り落ちた隻眼の狐に似ている。
 「ほう、ナンバーに興味が無いと……? 」
 ただ、純粋に生き延びるだけの力さえあれば、
 あとの組織や他人がつけた評価は興味はなく
 それは、この先も変わらないだろう……。
 いや、変える気は微塵も無い。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 そうして、正式に戦士になって暫くして……
 俺のナンバーは24から17へ引き上げられ。
 いつの間にか、“悲壮”という異名で呼ばれていた……
 「おい、うぃるふれど。
 おまえ、しょうかくしたんだってな? 」
 「相変わらず舌足らずだな ダフ?
 そう言えば……
 まだ、イースレイやリカルドと揉めているのか? 」
 イースレイらや俺と同期である組織のナンバー3 ダフ。
 上位ナンバーの中で最も膂力が突出している戦士だが、
 あいつは頭の中は些か残念で動きも遅いうえ、
 舌足らずのろくに口がきけない奴だがな……
 「おれよりずっとあたまがいい、おまえはきらいだ。
 だが、いーすれいとりかるどはもっときらいだ。
 あいつらのかお、いいかげんみあきた 」
 「そうか…… 」
 本人曰わく、
 あの二人の妖力を感じただけでも、憎悪と殺意が芽生えるらしい。
 まあ、こいつらの事はほうっておくか……
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 あれから更に時間が経ち。
 俺はナンバー17から12へと引き上げられ、
 さらに引き上げられた今の俺は、
 組織のナンバー7。 いつの間にか一桁に達している。
 続く
- Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.7 )
- 日時: 2012/08/22 21:15
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
  
- Scene4 逆光の追憶2 
 だが、俺はナンバーの昇格には一切興味無い。
 ただ、生き抜くだけの実力さえ有ればな……
 「まあ、程々にな……。
 あまり問題ばかりを起こすと粛清されるぞ? 」
 「んあ?
 なんばーが17にあがったからって、ちょうしぶっこくな 」
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 それから、また暫くしていつの間にか上のの実力だった。
 攻撃型であるナンバー13 トマーゾを超えて間もなく、
 俺のナンバーは12へ引き上げられた。
 当のトマーゾは自分がナンバー16に降格された事で、
 相当、ごねて長に抗議したものの。
 昇格降格の件でスタフに戻っていた
 陽炎のジェイク、千里眼のゲオルギウス、神速剣のキース
 そして、粉砕のヨハンの四人の説得によって、事なきをえたらしい。
 「やれやれ、トマーゾの奴には困ったものだ…… 」
 「流石は廃されはしても元貴族だ。
 プライドだけは、ナンバー1を超えているな…… 」
 奴の自慢である家柄や血統の云々は、実力主義の組織では無価値にもかかわらず。
 何かと平民出身や下位ナンバーを見下す為、依頼人や他の戦士との揉め事は絶えず。
 組織にとっても単なる厄介者でしかない。
 「そうだな…… 」
 それから暫くして、俺がナンバー7に昇格する少し前。
 トマーゾは、好奇心で大剣に触れた依頼人の子供を……
 「無礼をはたらいた」と、手加減無しで殴り。
 その結果、子供は翌日に脳の損傷で死亡した。
 それは言うまでもなく“人を殺してはならない”という組織の掟に反する行為。
 そうしてトマーゾはパブロ山にて、
 俺の他、6名の戦士によって粛清される事になった。
 「……言い残す事は無いか? 」
 「何故…何故、男爵の子息である此の僕が……。
 平民の奴らに殺されなくちゃいけないんだ!? 」
 「……お前が何も判っていないからだ
 貴族の家柄と血統? 笑わせるな。
 もはや、廃されて没落した者に何の権限がある?
 阿呆か、すでに権力も何も無い者の戯れ言に誰が耳を貸すものか。
 他人を見下し、有りもしない権力にしがみついているだけで、
 他人を見下して、現実を直視事はなかった 」
 今となっては、知る事は出来ないが……
 奴はナンバーが平民出身者より下にある事や降格された事への
 あてつけだったのではないかと俺は思う。
 その行為が自分の首を絞めてしまうとは思いもせずの……。
 「うるさい!!
 ただの傭兵の息子が何をほざく!? 」
 「だから、お前は馬鹿なのだよ。
 ……トマーゾ? 」
 最後の最後まで、愚かだったトマーゾは皆よって斬られ。
 遠い世界へと旅立って逝った。
 続く
- Re: CLAYMORE 運命の道筋 ( No.8 )
- 日時: 2012/08/23 22:49
- 名前: カササギ ◆QNO.naEbTg (ID: ???)
  
- Scene4にて誤文を発見いたしました。 
 >>他人を見下して、現実を直視事なかった(誤)
 >>お前は自らの運命を、現実を直視する事はしなかった(正)
 >>皆よって(誤)
 >>皆によって(正)
 ……以上です。
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