二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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TOWRM 光り輝く少女の物語
日時: 2011/02/27 11:12
名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)






どうもはじめまして。クリックして下さった方、ありがとうございます。作者の黒鳩です。

本作は、ナムコが発売しているテイルズオブザワールドというゲームに、オリジナルを追加して作成した小説です。

読まれる前に、下のご注意をお読みください。

まず、この小説はゲームの2を参考にして作ってあります。3もやりましたが、ストーリー的に2のほうがボクは好みだったので、そちらを採用しています。

次に、ゲーム内での専門用語はやってなくても分かるように解説を取り入れてやります。説明が足りねえ!と言う方は感想とかでいってください。返信致します。

キャラについてですが、基本は2のキャラが多いです。ですが、3に登場したキャラも一部登場します。ついでに設定もオリジナルです。(原作を壊さないで程度に)

何か追加でテイルズキャラを出せ!と言う方はお書きください。出せたら出します。

初心者ゆえに、感想とかめちゃめちゃ嬉しいです。酷評とかはお手柔らかに…。

最後に、更新が遅くなることが多いですが、途中で投げ出すつもりは現在ありません(多分ですけど……)


と長くなりましたが、それでもよろしければ読んで下さると嬉しいです。

それでは。









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Re: TOWRM 光り輝く少女の物語 ( No.32 )
日時: 2011/04/26 14:47
名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)





20話 食べ物じゃない




「う…生臭いし、焦げ臭い…」

「……それは食べない方がいいわよ。魚の切り身だもの」

結局、アリアとグレイシアは一緒にお茶の時間を楽しむことにした。

グレイシアの焼いた大量のクッキーを見て、アリアは顔を顰める。

「何でこんなの作ってるの?」

「それはクー用。一応武器でも食べられるし、あの子は猫だから。喜ぶかなって」

「これは?」

ひょいと、ひとつ適当につまむ。

「それは……生姜クッキー。大丈夫よ、辛いだけだから」

「そか。じゃ、いただきまーす」

アリアはまともだと分かった途端、一口でクッキーを食べた。

そして悲鳴を上げた。

「からぁぁぁぁ!!」

「……アリア、一気に食べたら辛いに決まってるでしょ?お馬鹿」

「ふえっ」

グレイシアの入れた紅茶を飲み、辛さを中和してようやく落ち着いた。

「中に実験がてらの何だかヤバい物が入ってるから気をつけてね」

「う、うん…」

グレイシアは赤いタバスコクッキーに手を伸ばし、口に入れる。

辛い。しかも入れた量が少し多かったようだ。

「……」

少し眉を寄せるが、黙って食す。

「…うん。匂いは大丈夫」

白いクッキーを食べる。

「……甘ぃ」

歯が溶けるレベルの甘さだ。しかも口の中に残る、しつこい甘さ。

「お姉ちゃん、何これ……?」

甘い物が好きなアリアでも嫌そうな顔をする。

「……色んな砂糖を適当に混ぜた奴。甘いでしょ?」

「甘すぎだよ!」

「……そのための紅茶よ。無糖だから口直ししときなさいな」

「うぅ…」

アリアもグレイシアも、絶対に青と黒のクッキーには手を伸ばさない。

一番ヤバいシロモノだから。

ふたりは、会話をぼちぼちしながらクッキーを食していく。

そして、黒と青のクッキーと、魚の切り身のクッキーが残った。

「…それはクーに食わせるから、大丈夫」

「そうなの?」

「…自業自得ね。あいつには、あたしをからかう=己の死亡ってことを学習させないと」

「お姉ちゃん鬼だね」

「…別に」

アリアが苦笑する。

「でも、お姉ちゃん。あのクッキーは美味しかったよ」

「どれ?」

「白いクッキー」

「…砂糖のね。甘いもの食べ過ぎると血糖値上がるわよ?」

「けっとうち?」

キョトンとするアリア。

ああ、そうだ。この言葉はこの世界には、専門用語だった。

「ようするに体に悪いって言ってんの」

「そかな?うん、気をつける」

笑顔で答える。

「……そう。じゃあ気が向いたらまた焼いてあげるわ」

「本当!?」

「……。今度はちゃんとあんた好みの味付けにしてあげるわ」

「約束だよお姉ちゃん!」

アリアが目をキラキラさせて言う。

「…分かってる」

「うん!それじゃ!」

アリアは元気よく部屋を出て行った。

「……」

グレイシアも、黙って後片付けをしはじめるのであった。



Re: TOWRM 光り輝く少女の物語 ( No.33 )
日時: 2011/04/27 14:38
名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)





21話 厄介な依頼




グレイシアは悩んでいた。

(さて…)

依頼なら、まあやるのが妥当だろう。ここはギルドだ。やるのが当たり前。

しかし、それはあくまで常識の範囲内。

依頼内容、そしてそれが犯罪紛いならどうだ?

躊躇うのは当たり前。

そして、高確率で大規模な一般人との戦闘が予想される。

(あたしは別に構わないけど…)

だから、皆は引き受けようとしない。

グレイシアは、そんなことはどうでもいい。

仕事の邪魔なら殺さない程度に一般人だってブッ飛ばす。

それが彼女のやり方だから。

そもそも、どうしてこうなったか?

それは少し時間を遡る。





「…げふぅ」

アリアが帰った後、くたくたになって帰ってきたクーに。

先程のお詫びとして、クッキーを焼いたから和解しよう。

と差し出した毒入りクッキーを何の疑いもせずにクーは食し。

若干苦しそうだが大方満足そうにげっぷをしていた。

毒入りなのに何で平気なんだろう?

グレイシアの思惑は見事に外れてしまったのだ。

「…クー、あんた何とも無いの?」

「ん〜?何ともないし…いや最高だぜ〜…。シア、マジで今回は俺も調子に乗りすぎた〜。だから満腹で俺を殺さないでくれ〜…。しばらく動けねえし、動きたくもねえ。ふぁぁ〜…」

能天気にあくびをしながら、ソファーの上で丸くなった。

まあ詫びも聞けたし、グレイシアもこれで満足した。

「…じゃあ今度も魚の切り身で作ってあげるわ」

「今度は秋刀魚でよろしくな〜…」

しっぽを満足そうにふりふりしながら、クーは寝息を立てて寝てしまった。

「シア様。私の分は…」

ヤタが珍しく恨めしそうな目でグレイシアに言う。

「あるわよ。はい、野菜入りね。甘くないから安心して」

「おお!」

ヤタは嬉しそうな声を上げてクッキーをついばみ始めた。

カラスというか鳥類なので、何となく野菜にしてみたのだが、どうやら正解だったらしい。

「美味しい?」

「はい!私、シア様に仕えて本当に幸せです!」

「大げさね…」

それからがつがつと見事とも言える食べっぷりを見届けてから、ヤタを連れてホールに向かった。

何だか依頼があると、アンジュに呼ばれたのだ。

ホールに行くと、アンジュと小さな女の子が何やら熱心に話しこんでいる。

アンジュが珍しく苦い顔をしているあたり、何か曰く付きの依頼なのだろうか?

「……アンジュ、着たわ」

「あ、グレイシア。お疲れ様。早速で悪いけど、依頼をお願いできる?」

「何?」

「んー…。ちょっと事情が複雑で、わたしもよく分かんないから、本人から直接聞いてくれる?」

困った顔のアンジュは、依頼主と思われる少女に話す。

グレイシアはホールにあるイスに腰掛ける。

「あ、あの…」

対面するイスに、ちょこんと少女が座る。

「わ、わ、私の依頼聞いてもらえるんですか…?」

「内容によっては断ることもあるけど、あたしは引き受けた以上、完全に遂行するわ」

「え、えと…」

その少女はオドオドしていて挙動不審になっている。

「……少しは落ち着いたら?」

「はわわっ!?」

少女は驚いたように飛び上がる。

そして。

「きゃあ!」

イスから落ちた。

「……」

呆れたグレイシアが立ち上がり、少女の起き上がるのを助ける。

「……何をそんなに怖がってるの?」

「……ここは、いませんよね?」

「何が?」

少女は、周りを警戒しながらとある街の名を告げる。

どうやら、彼女は自分の街から逃げてきたらしい。

その理由が。

「私の街は、『魔族』を排除する風習があるんです…」

「魔族?」

「そうです。魔族というのは…」

彼女の言う『魔族』とは、特殊な力を持つ人間や、見た目が人間ではないものを一括りにそう呼ぶらしい。

(珍しいもんね…)

この世界では、そういった人種差別は、争いの火種になる。

更に今の時代、和解して暮らす種族が多い中、そのような風習が残っているとは。

「……周りには、知られていませんから」

少女は、悲しそうに言った。

「……なるほど。あんたが逃げてきた理由は理解したわ。それで?依頼内容は?」

「えっと」

少女は少し躊躇してから言った。

「私のお母さんを…助けてください!!」

と。


Re: TOWRM 光り輝く少女の物語 ( No.34 )
日時: 2011/04/27 15:05
名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)

■オリジナル登場キャラクターその3■

 名前/読み ココナ・ルムアルス

基本性格 大人しく、とても穏やか。争いごとを好まない。一方で差別や他の種族に対して敵意を持つ者を嫌い、そういった者達に怒りを感じる。親しい者に危害を加えられると、怒りが暴走して内に秘める感情が表に出る、らしい。丁寧な口調も特徴。

性別 女

容姿 緑色の髪色。グレイシアと同じくらいの髪の長さ。魔術師のローブのような黒い服を着ている。普段もローブ系の服を好む。年齢は14歳。

備考 グレイシアに母の救出を依頼した少女。内にもう一つの人格を秘めているらしく、よく会話して、それを報告する。

武器/戦術 ココナは魔術の素質が強く、杖や魔道書無しで魔法を行使できる。しかも古代魔術と呼ばれるギルドにいるものとは違う系譜の魔法を使う。 

サンプルボイス 

「えと、ココナ。ココナ・ルムアルスと言います」

「後方支援なら、私がやります」

「お母さん!」

「……許さない、許さない!よくも!よくもぉ!!」




 名前/読み ???

基本性格 ココナと違い、ちょっとした事でキレやすい短気。自分に敵意を向ける者に、容赦など持たない冷酷でもある。種族差別をする者には、事情など聞かずにすぐに暴力で解決しようとするなど、怒りの感情が強い。一方、味方にはぶっきら棒ながら、優しい一面も見せる。

性別 女

容姿 ココナとまったく同じ。見分けは口調のみ。

備考 ココナの内に秘めるもう一つの人格。彼女に色々助言したり余計な一言を教えた張本人。とある一件で表に出られるようになったが出ている時間はそんなに長く出来ない。

武器/戦術 古代魔術を使うココナとは違い、こちらは素手の格闘戦を得意とする。素手でアリアを圧倒したり、一時的とはいえグレイシアに一撃をお見舞いするなど、戦闘能力は計り知れない。

サンプルボイス 

「母さん!……お前等、死ぬ覚悟は出来てるんでしょうね!?」

「うるさい!ココナは黙ってて!」

「…はい。アリア、それはあたしがやっとく」

「グレイシア、覚悟!」


今回の依頼より追加された新キャラです。

またややこしくなりますが、よろしくお願いします。




Re: TOWRM 光り輝く少女の物語 ( No.35 )
日時: 2011/04/27 15:34
名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)





22話 お母さんの正体



「いいわ。あんたの依頼、あたしが確かに引き受けた」

「いいんですか!?」

「……任せて。あんたの母親は、助け出すから」

グレイシアは少し考えて、その依頼を引き受けた。

「私、すぐにでも助けに行きたいんです!お願いします!」

「……了解。でも、あたしからも幾つか条件があるわ。守れる?」

「何ですか?」

キョトンとする少女に、グレイシアは告げる。

「……一つはこれから起こる一切の出来事に関して、あたしに尋ねない。何があってもここの場所で起きた現象に関しては、誰にも言わない。それだけよ」

「?」

不思議そうに首を傾げる少女に、続ける。

「…あたしも、そいつらからすれば立派な魔族よ。色々特殊だから」

自嘲的にグレイシアは笑う。

「……分かりました」

少女はしっかり頷く。

「……一応名乗っておくわ。あたしは、グレイシア。名前だけでいいわ」

「えと、ココナ。ココナ・ルムアルスと言います」

お互いに名乗り、依頼は開始された。

「……必要だから聞くけど、答えたくなければいいわ」

「何でしょう?」

今度はグレイシアが躊躇う番だった。

「……ココナの母親って……レイモーンの民?」

「!!」

ココナの顔が一瞬で驚愕に変わる。

それはどんどん訝しげな顔になった。

「……どうして、それを?」

「……あんたの服、微かだけど獣の匂いがする。ガジュマとは違う獣の匂いが。このギルドに、一人いるの。レイモーンの民が」

「!?」

また、驚愕するココナ。

そして、彼女は自分のローブの腕に鼻を当て、クンクンと匂いを嗅ぐ。

「?」

何だか納得できないような顔をした。

「…。驚くのはそっちなのね…」

グレイシアはてっきり、もう一人のレイモーンの民のことで驚いたかと思ってたのだが。

呆れて溜め息をついた。

「…まあいいわ。あたしについてきて。手続きしたら、さっさと行くわよ」

「え…?あ、はい」

立ち上がり、アンジュにこの依頼を引き受けて、すぐに発つ事を伝えた。

グレイシアは、単体で好きな場所にいける故のことである。

更にグレイシアはアンジュに伝える。

「……アンジュ。今回、同行者はあたしが決める。いい?」

「え?グレイシアが?」

「今回は特殊だから。なるべく、あたしの足手まといにならない奴にしたいの」

グレイシアはこんなことを言うのは初めて。

故にアンジュも困惑する。

「え、ええ…。それは構わないけど…」

「じゃあ、今から言う人を呼んで」

それから、グレイシアは名を告げようとして。

ココナに止められる。

「あの。私も戦えるので、お手伝いさせて下さい!」

「……」

グレイシアはココナを見て、少し考える。

「いいわ」

「あ、ありがとうございます」

「……その代わり、死ぬ覚悟くらいしておきなさい。最悪、防衛とは言え、街の人間に手を出すかもしれないから」

「…はい」

ココナはしっかりと答えた。

「…ごめんなさいアンジュ。それじゃ、呼んで」

グレイシアは、ある少年と少女の名を言う。

その名前に、アンジュは驚きの声を上げた。


Re: TOWRM 光り輝く少女の物語 ( No.36 )
日時: 2011/04/27 16:08
名前: 黒鳩 ◆k3Y7e.TYRs (ID: Y8BZzrzX)





23話 これは本当に正しい?間違い?



「なあ…グレイシア」

「……何?」

夜、その日の内に依頼は実行された。

雪深い街道を、4人は歩く。

メンバーは、グレイシア、ココナ、アリア、カイウス。

「何で俺なんだ?」

カイウスは防寒着をしっかり巻きながら聞いた。

「……カイウスが相応しいと思ったから。あたしは、人選は間違ってはいないつもりよ」

はぁ、と白い息を吐きながらグレイシアは言う。

カイウスは納得いかないように続けた。

「正直、俺は今回の依頼はよく分かんないんだ。ココナのお母さんを助け出す、のは分かるんだけど」

「わたしも…」

アリアも不満そうにグレイシアに文句を言う。

「お姉ちゃん、言ったよね?最悪、無害な街の人達に手を出すかもしれないって。そんなのよくないと思うよ!」

「……本当にそうかしら?」

「え?」

アリアは言い返されるとは思ってなかったのか、呆ける。

「…あたしには、今時隠れてこそこそと他の種族を排除——それも殺すようなことを平然とする連中を、人間とは思ってないわ」

「お姉ちゃん?」

何時しか、グレイシアは歩きながら感情的に言っていた。

「自分たちの身を守る、こんな下らない建て前で殺しを正当化するような連中が、無害には思えないわ。そんな連中、死んでしまえばいい。この世界に、必要ないわ」

「グレイシアさん、それは…」

ココナも困惑しているのに、彼女は気付かない。

「アンジュにはああ言ったけど、邪魔するようなら。あたしは殺すわ。死んで当然。自分たちが今までやってきた事を何で自分たちにされて何が悪いの?アリア、あんたの言ってることはこういうことよ」

過去の自分の記憶に触れ、怒った様にアリアに言い返す。

「それは…でも、でも…」

「これはあたしの考え方。だから、アリアの考え方を否定する気はないけど。いい?カイウスも聞いて。人間ていうのは、こういう生き物なの。自分より優れているのもは排除。自分達が一番優れているようにしたがる生物なのよ。でもね、人間はそういうことも含めて、進める奴と、進めない奴がいる。進める奴は、世界を動かす。進めない奴は、世界を殺す。これは何度も繰り返して来たからあたしには分かるの。そんな奴が、これから向かう場所は溢れている。あたしは、そんな連中を——」

「お姉ちゃん!!!」

アリアが突然叫んだ。

「お姉ちゃんさっきからおかしいよ!?殺すとか、殺さないとか!そんなのお姉ちゃんらしくない!お姉ちゃん、少し落ち着いて!何でそんなに感情的になってるの!?」

アリアに言われ、グレイシアは頭を冷やした。

「…………ごめんなさい。少し、感情的になってたわ」

「……なあ、グレイシア。お前、もしかして」

「……ごめん、カイウス。お願い、それ以上は聞かないで。思い出したくないの」

グレイシアは悲しそうに言い、俯く。

「あ…ごめん。何か、気にしてること聞いて…」

カイウスもばつの悪そうに謝った。

「……グレイシアさん。あそこです」

ココナの指差す方向。

雪に塗れた街の入り口が見えた。

「…さて。行くわよ」

「……」

アリアは不満そうな顔をするが、このさい無視した。

そして、戦いの火蓋は落とされた。




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