二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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BLEACH 零を背負う者
日時: 2009/12/19 01:31
名前: 湯山 アヤカ (ID: .DDflOWn)

 あの、色々あって、もう一回はじめることにしました。

 よろしくお願いします


  目次
   1 プロローグ              10 るかと舞奈
       >>1                   >>17 >>18
   2 零番隊の秘密           11 それぞれの覚悟
       >>2 >>3 >>4 >>5        >>19
   3 双子の隊長             12 るかの陰謀
       >>6                   >>20
   4 始まりの人物            13 空白の一日
       >>7                   >>21
   5 藤原家と朽木家          14 るかの誘惑
       >>8 >>9                >>22
   6 訪問客                15 昔の舞奈と今の珠
       >>10                   >>23
   7 開戦の合図             16 終わりの始まり
       >>11                   >>24
   8 塗りつぶされた真実         17 輝く紅き月
       >>12 >>13 >>14 >>15      >>25 >>26 >>27
   9 十一番隊にて             18 零番隊出動
       >>16                    >>28


   19 落ちなかった落ち葉
       >>29 >>30 >>31 >>32 >>33
   20 応え
       >>34 >>35 >>42



 イラスト 泉 珠  >>36

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Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.30 )
日時: 2009/12/05 20:39
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

 30 落ちなかった落ち葉2
  楓 視点

 瀞霊廷に入ってすぐに、舞奈に大きな屋敷に連れて行かれた。そして、何ヶ月振りだろう?おなかいっぱいご飯を食べて、温かい布団でぐっすり寝た。

 ん…もう朝? 太陽の光が眩しい……昨日、ちゃんとふすまを閉めればよかったなぁ……

 もう一度寝ようとも思ったが、もうすっかり目が覚めてしまっていたため、仕方なく起きる事にした。

 隣で寝ている紅葉を起こさないように、起き上がる。

 ひまだから、この広い屋敷を探検してみるか…


 少し歩くと、中庭は目の前に広がった。

 それにしても、広いなぁ〜 俺の家の二倍はあるよ

 そんな事を考えながら、さらに前に進んだ。縁側の曲がり角を曲がろうとすると、人影が二つ見えた。とっさに隠れて、顔だけ出して、様子を伺う。

 人影は二つの女の子のモノだった。

 俺に背中を向けているのが、おかっぱ頭の女の子。もう一人は、舞奈だ。

 「宮輝の者を零番隊に入れるなんて、四十六室が承諾してくれるわけないだろう」

 ん?宮輝?なんの話をしているんだ、俺の家の名前が出てくるなんて。

 「でも、宮輝家の事は、四十六室のミスだったんでしょう?だったら、あたしが責任を取らなきゃ!」

 「なぜ、貴様が責任を取る」

 「だって、砕蜂。楓や紅葉の親を奪ったのは、零番隊なんだよ?!」

 「しかし、それは前任のせいではないか」

 「でも、前任はもういないの。だから、あたしが、やるしかないの」

 話の筋がイマイチ読めない。

 「お前、それ以上背負い込むと、身が持たな——」

 「という事で、砕蜂。上の方にこの件、報告しといて」

 「なぜ、私なんだ!!」

 それを無視して、舞奈は笑いながらくるっとこちらに、背中を向けた。

 「なっ……!!」

 思わず、声が漏れる。

 舞奈の白い羽織の背中には、大きく、零と書かれていたのだ。

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.31 )
日時: 2009/12/05 20:42
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

 31 落ちなかった落ち葉3
  楓 視点

 舞奈の白い羽織の背中には、大きく、零と書かれていたのだ。つまり、母上と父上を殺したのは……

 俺は何も考えずに飛び出して、舞奈につかみかかった。

 「楓!!」

 その時、俺の体を支配していた感情。それは、怒りだ。俺がそんなに怒ったのが、生まれて初めてだった。

 「父上と母上はお前が殺したんだな!! なんで俺らを助けたんだ!!! 罪滅ぼしか? それとも、俺らを騙して殺す気か?」

 「ち、違う!! あたしは——」

 「なんで俺らを裏切ったんだよ!!」

 「あ、ちょっと待って! 楓!!」

 舞奈が呼び止めるにもかかわらず、俺は走り出した。

 あいつなら、信じられると思ったのに…信じていたのに……!

 胸から何か、熱いモノが込み上げてくる。

 あ〜 クソッ…なんでこんな気持ちになってんだ、俺は……あんな、出会ってまだ一日も経っていない人に、なんでこんなに絶望してるんだよ!!

 部屋に入ると、紅葉がすでに起きていて、入ってくるなりに、ふすまをバンと閉めた俺に驚いて、顔を上げた。

 「楓兄ちゃん…?」

 紅葉が近付いてくる。

 「どうしなの? 何で泣いてるの?」

 「なんでもねぇ…悪い、らしくねぇよな……」

 そうは言ったが、次々と込み上げてくるそれを、止める事は出来なかった。

 その間、紅葉は何も言わずに、俺のそばにいてくれた。


 少し落ち着いてから、俺は紅葉にさっき見た事を話した。紅葉はたまにあいづちを打つ位で、最後まで表情一つ変えずに、聞いていた。

 そして、最後にこう言ったのだ。

 「楓兄ちゃんは、直接、朽木さんと話をした?」

 「えっ…?」

 「楓兄ちゃんは、朽木さんの所から、直接それを聞いたのじゃないでしょう? だったら、勝手に判断しちゃダメ!」

 初めて見た。紅葉もこんな目をするんだ……

 「だから、後で朽木さんの所に行こ?」

 俺は小さく頷いた。

 あの短い時間で、俺はたくさんの『初めて』を体験した。俺があんなに怒ったのも、あんなに泣いたのも『初めて』だ。紅葉があんなに強気になったのも『初めて』見た。

 宮輝家の中の閉じた空間では、決して体験出来なかっただろう。

 今は全然だけど、いつかこの事で、舞奈に感謝する日は来るのかな……

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.32 )
日時: 2009/12/05 20:43
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

32 落ちなかった落ち葉4
  楓 視点

 あの後、舞奈を探しに行ったが、出かけていたらしく、見付ける事が出来なかった。

 夕方になり、俺達が縁側に座って、夕日を眺めていると、すぐ近くで、足音がした。

 「誰?!」

 振り返ると、舞奈がそこにいた。

 「舞奈!! よかった、ずっと探してたんだ。俺、お前に聞きたい事が——」

 「待って」

 突然、舞奈が強い口調で、俺の言葉を遮る。それには、誰も逆らえないようなオーラが、かもし出されていた。

 「あなた達が聞きたい事は、大体予想がつく。でも、それは今、答える事が出来ない」

 そこで一旦、舞奈は言葉を切ると、少しだけ視線を落とした。やがて、舞奈はゆっくりと顔を上げ、きっと俺達を見すえる。

 「零番隊隊長として、あなた達に命じる。今日から二週間以内に斬魄刀に名を聞き、実体化させなさい」

 いきなり言われたその言葉の内容を、半分も理解できなかった。

 零番隊? 斬魄刀? なんなんだ、それは。

 「もし、これを達成しなければ、あなた達を待っているのは、死よ」

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.33 )
日時: 2009/12/05 20:47
名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)

33 落ちなかった落ち葉5
  楓 視点

 それから一週間、まるで地獄のようだった。

 俺らは同意した覚えはないのに、勝手に瀞霊廷の歴史やらホロウの事やら、死神のための基本知識を叩き込まれた。

 でも、これはまだ地獄の、よう、だったのだ。まさか、これから本物の地獄を体験するとは、思いもよらなかった。


 「じゃあ、ここで一週間、生き抜いてね」

 俺らの目の前にあるモノ。それは、暗く深い森だ。

 「へ?」

 思わず、声がもれる。

 「ど、どういうこと? 朽木さん…」

 「これは、あくまでもあたしの予想だけど、人は極限状態でこそ、何かが発揮されると思うんだ」

 舞奈は俺達に二本の刀を渡す。

 「この森には、ダミーのホロウを仕込ませてある。本物よりずっと弱いけど、気を付けなきゃ、ひとたまりもないからね。一週間後に迎えに来るけど、もしその時、斬魄刀の実体化が出来ていなければ、あたしはあなた達を殺さなきゃいけない」

 なんなんだよ…それは……なんで、俺らの事を全部、お前に決められなきゃ、いけねぇんだよ。

 「俺達はやらねぇ!」

 「それなら今すぐ、あなた達を殺る」

 「なんでだよ…なんであの時、俺達をここに連れて来たんだよ!」

 全部…全部…お前のせいなんだ……

 「俺達はただ、生きていたかっただけなのにっ!!」

 すると、舞奈は少し目を細めた。

 「だから、助けたんでしょう?」

 舞奈は、手の平を強く握り締める。

 「あなた達は、あのままじゃ餓死してたよ。それは、あなた達も分かってたんじゃないの? だから、あたしに着いて来たんでしょう? 生きたかったから、あたしに着いて来たんでしょう? その気持ちがもし、今でも変わらないのなら、あたしの言うとおりにして!!」

 自分勝手な言葉に変わりはないのに、なぜか、それは俺の心に染み込んでいくようだった。

 「返事はっ?!」

 「はっ、はい!」

 「はい……!」

 突然怒鳴られた勢いで返事した俺らを見て、舞奈はニヤッと笑う。

 はっ! しまった!! 今の返事はイコール……

 「二人とも同意したことだし、がんばってね」

 俺と紅葉の地獄は、こうやって始まったのだ。

Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.34 )
日時: 2009/12/19 01:05
名前: 湯山 アヤカ (ID: .DDflOWn)

34 応え1
  楓 視点

 森の中には、本当にホロウがウジャウジャいた。

 本当にダミーなのかと疑う程、強かった。舞奈の言うとおり、油断なんかしたら、ひとたまりもない。

 宮輝家が武道派の家で、俺も紅葉も小さいときから、その教育を受けていた事に、本当に感謝した。

 だが、斬魄刀に名を聞く事だけは出来ずにいた。そして、そのまま時だけが刻々と過ぎていた。


 「ねぇ、楓兄ちゃん…」

 夜、たき火を起こしていると、紅葉が深刻な顔で、俺に声をかけた。

 「どうした?」

 「あのね…最近、よく夢を見るんだ……」

 「夢?」

 すると、紅葉は小さく、コクッと頷く。

 「夢の中で、深緑の大きな鳥が私に話しかけるの。聞け、俺の名は……」

 そこで、紅葉は黙り込んだ。俺はその続きが気になり、たならずに紅葉を促した。

 「分からない……」

 そう紅葉は俺に告げる。

 「いつも、そこで目が覚めちゃうの。だから、分からない……」

 なにかの予兆だとは思うけど、どっちにしろもう遅い。明日で一週間だ。でも、斬魄刀はどんなに問いかけても、返事をしてくれる事はなかった。

 「もう、ダメかもしれないな……」

 思わずそう零すと、俺らの間に沈黙が流れた。

 闇の静けさは、本当に気味が悪かった。それに包まれると、なんだか絶望感に押し潰されそうになってしまう。だから、俺はそれを破ろうと、口を開いたが、声を発する前に、別のモノがその静けさを破った。

 甲高くて、背筋が凍りそうな位恐ろしい叫び声。

 「ホロウだ…!」

 紅葉の言葉とほぼ同時に、ホロウが4、5体現れた。

 ホロウは巨大な手で、近くにいる紅葉を掴もうとした。紅葉はそれを見計らい、刀を頭上に構える。そして、手がギリギリに近付いてきた所で、斬り付けた。

 いつもなら、これで大きな切り傷が付けられるはずだ。だが、今日は違っていた。

 「無傷…?!なんで!!」

 紅葉が驚きの声を上げた。

 そのまま、紅葉はホロウに掴まれ、その手でギュッと小さな体を締められる。

 「うっ…あぁ!」

 紅葉を助けようと、俺も斬りかかるが、やはり傷一つ付けられない。

 おかしい……いつもはもっと簡単に倒せていたのに。だが、一つだけ辻褄の合う考えがある。

 こいつらは……

 「本物のホロウだ…!!」


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