二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- BLEACH 零を背負う者
- 日時: 2009/12/19 01:31
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: .DDflOWn)
あの、色々あって、もう一回はじめることにしました。
よろしくお願いします
目次
1 プロローグ 10 るかと舞奈
>>1 >>17 >>18
2 零番隊の秘密 11 それぞれの覚悟
>>2 >>3 >>4 >>5 >>19
3 双子の隊長 12 るかの陰謀
>>6 >>20
4 始まりの人物 13 空白の一日
>>7 >>21
5 藤原家と朽木家 14 るかの誘惑
>>8 >>9 >>22
6 訪問客 15 昔の舞奈と今の珠
>>10 >>23
7 開戦の合図 16 終わりの始まり
>>11 >>24
8 塗りつぶされた真実 17 輝く紅き月
>>12 >>13 >>14 >>15 >>25 >>26 >>27
9 十一番隊にて 18 零番隊出動
>>16 >>28
19 落ちなかった落ち葉
>>29 >>30 >>31 >>32 >>33
20 応え
>>34 >>35 >>42
イラスト 泉 珠 >>36
- Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.25 )
- 日時: 2009/12/05 20:28
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
25 輝く紅き月
舞奈 視点
今は真夜中。あたしは朽木家に来ていた。
白は暗闇じゃ目立つから、隊首羽織は着けていない。
もし、変わっていないのなら、兄様の部屋はここのはず。
ふすまを開けると、兄様が部屋の奥の方に立っていて、あたしを静かに睨み付けていた。
そんな…寝てると思ったのに……
「散れ 千本桜」
兄様は斬魄刀を抜き、始解した。
刀の刃の部分が花びらのよう散ってゆく。その次の瞬間、あたしの肩から血しぶきが上がり、激痛が走った。
「やはり、るかの言っていた事は、本当だったらしいな」
やっぱり、藤原のせい……でも、一つだけ分からない。なぜ、奴はあたしにこんな事をするのか……
「泉隊長!!」
今度は、後ろから声がした。振り返ると、ふすまの所にルキア姉様がいた。
「ルキアさん…」
「私には、やはり泉隊長がこんな事をされる方だとは思えません!!これは、なにかの誤解です、兄様!!!」
ありがとうございます、ルキア姉様…あたしを信じてくれて……
「すみません、ルキアさん…俺は本当に朽木家を……」
でも、これはあたしの意志じゃない。そう言いたかったが、言えなかった。言ったところで、状況は何も変わらないのだ。
ルキア姉様はショックを受けたような顔をしている。
「本当にすみません……」
もう一度そう言った。
そして、あたしは刀を抜き、兄様を斬り付ける。
ふいうちで、さすがに兄様もよけ切れなかったみたい。卑怯だけど、これが暗殺なのだ。
肉が切り裂かれていく感覚。もう何度も感じたはずなのに、もう慣れたはずなのに、自分のしている事に吐き気がした。なんでだろう……
兄様は胸の辺りを辺りを押さえ、2、3歩よろめついた。急所ははずれたか…
「白哉兄様!!」
ルキア姉様は、兄様のそばに駆け寄る。
任務は朽木家全滅。つまり、白哉兄様だけではなく、姉様も、使用人も、全部殺せってこと。
あたしは、ゆっくりと二人に近付いた。ルキア姉様は自分の斬魄刀をあたし向けた。
ルキア姉様が、自分にかなうはずがないと分かっていた。姉様も分かっているはずだ。
これは、仕事だから…
あたしは、そう自分に言い聞かせた。
ルキア姉様に向かって、刀を振り下ろそうとしたが、上げた手を誰かに掴まれた。振り返ると、こそには、藤原 るかがいた。
「やだなぁ〜 そんなに怖い顔をしたいでよ、珠君」
藤原は、普段と変わらない笑顔で、そこに立っている。
「離せ。邪魔だ」
「いやよ。でも、どうしてもと言うのなら——」
藤原は斬魄刀を抜いた。
「私に勝ってからにしなさい」
あたしも、斬魄刀を藤原に向ける。あの一角に余裕で勝ったから、油断は出来ない……
「内から弾けよ 紅月」
- Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.26 )
- 日時: 2009/12/05 20:31
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
26 輝く紅き月
舞奈 視点
「内から弾けよ 紅月」
藤原が静かに解号を唱える。
すると、斬魄刀から紅い光が弾けるように、眩しく輝いた。光がなくなると、藤原の手には、鉄扇が握られていた。
「燃え盛れ 炎帝」
あたしは、解号を兄様に聞かれないように、小さい声で言った。
斬魄刀の名は教えたが、始解した所は兄様に見せた事はなかったはず……
藤原は扇子を口元に当て、あたしの方をじっと見ている。そっちから攻撃して来ないのなら、こっちから行かせてもらうわ。
炎帝を振り上げ、藤原を斬ろうとしたが、軽く受け流されてしまった。何度やっても、刀身が藤原に触れる事はなかった。
息が上がってくる。ハァハァ言いながら藤原を睨んでいると、藤原はあたしを見て、おもしろそうに笑った。
「弱いね、珠君。これが、護廷隊最強と言われている、零番隊の隊長の実力なのかしら?」
言い返したかったが、頭がうまく働かなくて、言葉が出て来なかった。兄様に斬られた肩の出血がまだ止まっていなく、意識が朦朧としてきたのだ。
「なんで…なんでこんな事をするの?」
思わず、聞いてしまった。ずっと、思っていた事だ。
「なんで、あたしを苦しめるの?」
すると、藤原は顔を悲しそうに歪めた。勝ち誇った笑顔以外の表情を浮かべる藤原を、あたしは初めて見た。
「……私は、おたくがうらやましかった。いつも幸せそうに笑っているおたくが、ねたましかった。私だって、私だって…普通に生きていたかったのよ…!」
その言葉を聞いた瞬間、あたしの頭の中に何かが流れてきた。
『舞奈ちゃんは将来、何がしたいの?」
『あたしは死神になって、それで、今まで通りにみんなや兄様と一緒にいれたら、いいのかな?』
これ…夢に見たのと同じだ……
『るかちゃんは?』
夢の中では、聞こえなかった相手の名前を、今度ははっきり聞き取る事が出来た。
るか?藤原 るかの事?……そうか!るかちゃんか!!空白の一日…全部思い出した。
『私は…いつか藤原家を出て、普通に暮らしたいの。茶州専属の死神になるための、ものすごく難しくて、厳しい教育も、はっきり言っていや。舞奈ちゃんや他の死神みたいに、普通の勉強をして、護廷隊に入りたいの』
昔のるかちゃんはこう言っていた。そして、あの後、るかちゃんはあたしに、自分の家が何をしようとしているのか、教えてくれた。
『でも、私は瀞霊廷を潰したくない…だから、お願い舞奈ちゃん…!私をここから、連れ出して!!』
その時、後ろから二人の死神が現れた。一人はるかちゃんを押さえ、もう一人があたしに近付いてきた。
『今日聞いた事は、次にお前が目覚める前に全て忘れるだろう』
その死神はそう言うと、あたしに霊圧を当て、気を失わさせたんだ……
これが空白の一日の真実……
あたしは藤原を…るかちゃんを静かにみつめた。
- Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.27 )
- 日時: 2009/12/05 20:32
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
27 輝く紅き月3
舞奈 視点
「るか…ちゃん?」
目の前にいるのが、るかちゃんだとは確信があった。だが、それでも確かめずには、いられなかった。だって…目の前いるるかちゃんは、あたしの知っているるかちゃんとは、あまりにも、変わりすぎていたから……
るかちゃんは軽く頷くと、口を開いた。
「そうよ。私が、あたくが60年前の四大貴族の集会で会った藤原 るかよ」
「でも、なんでこんな事をするの…?」
「……私は、あの後死神になって、ある計画を立てた。おたくを零番隊隊長にする計画よ」
「零番隊の…隊長にする計…画……?」
信じられない…そんな事、出来るはずないよ……
だが、るかちゃんはあたしの心を読んだかのように、こう言った。
「信じられないと思うけど、藤原家に代々伝わる方法を使えば、斬魄刀の実体化など、容易い事よ」
「じ、じゃあ、あの日の虚」
「私が用意したモノよ。おたくの覚醒を促進するためにね」
そこで一旦言葉を切り、るかちゃんはあたしを見て、鼻で笑った。
「所詮おたくの人生は、私に操られていたのよ」
体をどうしようない絶望感が襲った。
「な、なんで…そんな……」
すると、るかちゃんは、あたしを睨んで、こう言った。
「おたくが、ムカつくからに決まっているじゃない」
そして、鉄扇をバチンと閉じる。すると、すぐさばにあった岩が、バラバラに弾けて、飛び散った。
「なっ…?!」
「私の斬魄刀の、紅月の能力。それは、全てのものを破壊する程度の能力。つまり——」
るかちゃんの顔から、笑みが消える。
「私がその気になれば、おたくは一瞬でドッカンよ」
- Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.28 )
- 日時: 2009/12/05 20:34
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
28 零番隊出動
楓 視点
「楓ぇー」
副隊長が俺に声をかけた。
「なんスかぁー?」
適当に返事をすると、副隊長は少し声を低くした。
「隊長がどこにいるか、知らないか?」
はぁ〜 本当に副隊長は心配性だなぁ〜 隊長も、ガキじゃあるまいし……
「気にする事はねぇと思うぜ、副隊長。瀞霊廷内で隊長を襲う奴なんか、いねぇよ」
「う〜ん、まぁ、そうかも知れないけど……」
それでも心配そうな副隊長を見て、ずっと黙っていた紅葉が、口を開いた。
「仮に隊長さんを襲う人がいても、返り討ちにされちゃうよ」
紅葉が言い終わった瞬間、執務室のドアが大きな音と共に開き、砕蜂が息を切らして立っていた。
「あっ、こんばんは、砕蜂隊長。どうしたんですか、そんなに慌てて。まぁ、とりあえず座って下さい。今、お茶を入れますから」
副隊長が、茶を入れようと立ち上がったのと、ほぼ同時に、少し息を整えた砕蜂が大声で怒鳴った。
「茶などいらん。それより貴様ら、一体ここで何をしているのだ!!」
「なんどよ…うるせぇーな:
砕蜂が聞こえるように、わざと言ってやると、副隊長に睨まれた。
「こら、楓! 失礼だぞ。すみません、砕蜂隊長。そうですよね、執務室はおしゃべりする所じゃないですよね。今すぐ、部屋に戻ります」
「違う、私はそう言う事を言っているのではない!! まさか…貴様ら知らぬのか?舞奈の事……」
隊長の事…? どういう事だ……
「どう言う事ですか?!」
副隊長が、俺の考えをそのまま映したような言葉を言う。すると、砕蜂は少し眉をひそめた。
「本当に知らぬのか…?今日、零番隊に仕事が出された。暗殺の仕事だ」
仕事、だと? しかも暗殺……今まで、仕事があるのに、教えてくれなかった事は、一度もない。なのに、なぜ今回は……
「実行は今晩。ターゲットは……朽木 白哉及びその一族だ」
俺は一瞬、自分の耳を疑った。
「なぜ、四十六室は朽木を殺るんだ…」
「藤原家は数十年前から、瀞霊廷を潰そうとしていたのだ。四十六室はそこに、朽木家も加わっていると考えたのだ」
「だが」と砕蜂は続けた。
「それは間違いだ。朽木はこの事には関わっていない。私が直々に調べたのだ、間違いはない」
なんだ、それなら話は簡単じゃないか。
「朽木家の家に行くぞ、紅葉、副隊長」
俺は斬魄刀を掴むと、立ち上がった。
「楓…!!」
「何をそんなに慌ててるんだ? 副隊長。俺は朽木を殺しに行くとは、一言も言ってないじゃん。俺は隊長を止めに行くんだ」
「だが宮輝、それは四十六室の命令だぞ!」
四十六室の命令? はっ、そんなに知るか、俺は隊長の命令しか聞かねぇよ。
「砕蜂、はっきり言うと、俺は四十六室も、瀞霊廷も大っ嫌いだ。もちろん、死神も例外じゃねぇ。だけど、隊長と零番隊のみんなだけは違う。ここは俺の大切な場所で、隊長は俺の大切な人だ。俺は自分の大切なモノを守る!」
あの日から、俺はそう誓ったんだ……
「砕蜂隊長は知ってるよね? 零番隊は隊長が変わる度に、隊員も一新する。隊長は自ら隊員を探し出す。それは絶対な忠誠を創るため。探すのはもちろん、条件に合った者だよ」
「今までの零番隊隊長は、なるべく条件に近い者を選んでいました。でも、泉隊長は違いました。隊長は条件ところが、死神になるための教育すら受けた事のない者を、選んだのです」
俺達の言葉に、砕蜂は怪訝そうな表情をした。
「貴様ら零番隊に入る条件は、一体なんなのだ…?」
「それは多分、今夜分かると思いますよ」
副隊長は斬魄刀を手に取った。紅葉も同じ行動をとる。
「隊舎を出たら、僕らはもう掟破りだ。二人とも、覚悟はいいよな?」
「もちろんだよ、副隊長」
「うん!」
「よしっ! それじゃあ、朽木隊長の屋敷に行くぞ!!」
- Re: BLEACH 零を背負う者 ( No.29 )
- 日時: 2009/12/05 20:36
- 名前: 湯山 アヤカ (ID: VTrHJ6VV)
29 落ちなかった落ち葉
楓 視点
俺はあの時、全てをあきらめかけていた。
だが、隊長のあの言葉で、俺も紅葉も救われたんだ。
真っ赤に燃え上がる炎。崩れていく屋敷。そして、夜空にはためく白い、『零』と書かれた羽織。
幼かった俺達には、何が起きたのか、よく分からなかった。でも、一つだけ、理解した事があった。
自分達に帰る家はもうないんだと。
俺は紅葉を見た。紅葉も涙でぬれた顔で俺を見る。
「行こう、紅葉。ここから離れるんだ」
そして、俺は紅葉を連れて山奥へと、身を隠した。
俺はあの時、なぜ隠れようとしたのかは、今でもよく分からない。いわゆる本能ってやつかな?いや…たぶん俺は怖かったんだ。あの白い羽織を着た奴が、また自分達を殺しに来るんじゃないかと……
俺の家、宮輝家は四大貴族には入らないが、それでも、なかなかの権力と財力、そして名誉を誇っていた。
そして、父上はいつも、俺と紅葉に言い聞かせていた事がある。
「私たちは瀞霊廷に、死神に守られているかた、今の私たちがあるんだ。だから、決して瀞霊廷を裏切ってはいけないよ」
俺と紅葉は山の中で、どれ位隠れたのだろう? 夏が終わり、秋がやって来て、山の木々は葉を全て落とした。
俺はその時思った。
俺達はの運命は自分達の名前と同じだ。楓も紅葉も、最初の頃は色んな人に観賞されて、ほめられる。だが、それは一瞬のことで、すぐに地面に落ちて、人々に忘れ去られる。
もうすぐ冬が来て、食べ物の見付からなくなる。その時、俺達はどうすればいいんだ……
「楓兄ちゃん…山を……降りよ?」
「…そう、だな……」
山を降りて、自分達の家に戻った。焼け跡はそのままだ。
「そこで何してるの?」
後ろかた声がした。振り返ると、黒い袴を着た女の子がいた。俺達よりは年上だが、まだ子供である事に変わりはない。
「ここは俺達の家だ。自分の家にいちゃ悪いのかよ!!」
すると、女の子は少し眉をひそめた。
「もしかして…あなた達、宮輝家の者?」
「なっ、なんで知ってるんだよ!!!」
「そうなんだね。あなた達、うわさで聞いていた宮輝の双子さんね。名前は?」
「俺は楓…」
「…紅葉……」
「そっかぁ! よろしくね、楓、紅葉。あたしは朽木 舞奈だよ」
「く、朽木って、あの四大貴族の?」
と紅葉。
「う〜ん、昔はそうだったけど、今はもう違うかな?」
笑いながら「あっ、でもそんな昔でもないっか」と付け足したその人を見て、俺は気付いた。
こいつも、俺らと同じで帰る家がないんだ。
「じゃ、行こっか!」
そう言いながら、朽木 舞奈は俺達に手を差し出す。
「へっ…? ど、どこに?」
「瀞霊廷だよ」
舞奈はそう言って、俺らの顔を見るって…瀞霊廷ぇーー!!! ななな、なんで?!
「なな、なんでだ?」
「だって、宮輝家は瀞霊廷に忠実で有名でしょう? だから、信用してもいいかなって」
「だから、それだけじゃ全然分かんねぇーよ!!」
「つまり、死神にしてあげるって事。そうしたら、隊舎にも住めるし、食べる物にも困らないでしょう?」
「ね?」と付け足すと、舞奈は先に行ってしまった。
「どうする…? 楓兄ちゃん……」
「ん〜 そうだなぁ…」
確かに、あいつに言うとおりだ。死神になれば、生活には困らない。
「とりあえず、着いていくか!」
その時、俺は気付かなかった。舞奈が小さな声で何かを言った事、そして、こっそりと手の甲で目をこすったのを。
「ゴメンね…楓、紅葉。全部、あたし達のせいなんだ……」
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