二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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オリバト1
日時: 2010/06/24 18:05
名前: sasa (ID: cLFhTSrh)

これからオリバトを書きます。
内容はとても残酷なので注意してください。

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Re: オリバト1 ( No.11 )
日時: 2010/06/25 18:46
名前: sasa (ID: cLFhTSrh)


園崎葵(男子13番)は、歩いていた。

辺りを見ると緑が多かった。多分此処は森みたいなものだろう。

未だにショックが隠せない。足立梢(女子13番)のことで。
人を信じてないのは、雰囲気からして分かってたが、これほどとは思わなかった。


だけど、やっぱり探さないと。
しつこいって怒られるかもしれないが、それでもいい。一人は危ない。だから守らなければ。
女の子一人でどうにかできるほど、このプログラムは甘くないはず。

…って考えすぎか。考えすぎだよなあ…。
ホント、昔からそういう考え方を持ってるせいか、
よく弟達に「兄貴は考えすぎ」とか「そんなんだからバカにされるんじゃない?」とか言われるんだよ。いや、俺が悪いんだけど…。


どうでもいいことだけど、今は。
それにしてもこんだけ歩いているのに、人が現れない。

普段、腕につけている腕時計を見た。午前四時だった。

あと、2時間で一回の放送がある。
誰も、死ななければいい。
そう思わずにはいられなかった。

ふっとあるモノを見つけた。家、の入り口の前に丸くて赤いモノが、点々とついていることに気付いた。


まさか。


慌てて家に入り、目を泳がせた。
その目は驚きに変わる。

「…鈴木…!」

うつ伏せで倒れている死体は鈴木悠斗(男子12番)のモノだった。
頭は変形していてそこから血が流れて床を血まみれにさせている。


死んで、いる。


「…誰、が…こんなこと…」


このゲームに乗る人がいるなんて思ってもみなかった。

兎に角今は此処から離れなきゃ。
血が固まってないし、もしかしたら中瀬を殺した人がまだ近くにいるかもしれない。

畜生、どうすれば?どうすればいい?

ギィ、とドアを開ける音がした。思わず美織は振り返る。
その人物は自分よりちょっと背が高くて、他のクラスでは人気がある…


葵が最も苦手なタイプに入る、井山健太(男子2番)。


「……あ…」
「…園崎…?」


ウソだ。

こんな所で、こいつに会うなんて!


葵は根から健太が苦手だ。いつだったか、小学校の頃、2年間同じクラスで、ずっと健太に話題のネタにされて困ったことがあった。

あとは運動会の特別借り物競争で健太に「あ、よかったよかったーお前走れっ」

と言われて引きずられながらゴールして札に書いてあったのが何だと訊くと「クラスで1番存在感ない人」と言われて呆然とその場で立ち尽くしているしかなかった。

今年、同じクラスになって「あ、あん時かー。いやー冗談でやってたからさー」

と言われて唖然。冗談で、俺はショック受けたのか?としばらく落ち込んでて
今も、苦手だ。嫌いじゃないけど。


こいつが、鈴木を殺したのか?


「お前が、鈴木を…?」

葵は強張った表情で訊く。相手が葵だと分かった健太は安心したのか笑みを浮かべていたが、悠斗のことを訊かれて一瞬不愉快な顔を見せた。

「いや…俺が此処に入った時は誰もいなかった。んでトイレで用足そうと思って入ってたら誰かの話し声がした。多分、悠斗はその時に殺されたと思う。棒か何かで 殴るような音がしたから。んー…ずっとトイレの中にいるのが辛くて我慢してたらまた誰か入ってきて。それがお前だよ」

ほう…詳しい説明ありがとう。
でも俺は井山を信用はしていない。


「さてはお前、俺を信じてない…だろ?」
「……………」
「分かる分かる。誰も信じたくないんだよなあ。そだ、お前の武器は?」
「ぶ、き……?」


そういえばまだ見てなかった。
ディパックの中を探ると何かペンのようなモノに触れた。
葵に支給されたモノは催眠スプレー。
使えるか分からないが、ある意味外れだろう。

「おー俺こういうの初めて見たー。」
「……そういう井山はどうなんだよ」
「俺?俺は探知機だった。ほーら」

健太の手に四角いモノがあった。赤い丸が三つ。
少し大きいのが健太、そして小さい二つは、自分と…悠斗だろう。

「探知機と催眠スプレーがあればちょこっとは楽かもなー。」
「……楽、じゃないだろ。」
「ったく、園崎は俺に対してムスっとしすぎなんだよ、もうちょっと笑え!」
「無理。」

無理だっつうの。

苦手な相手に笑えるか。
よりによって、お前なんだぞ。

昔俺が苦笑したら「にゃーにその顔、こーしてやるー!」とか言ってほっぺ掴んで伸ばしたり上下に動かしたり…あれは痛かったんだぞ、本気で。
ま、今のお前は覚えてないかもしれないけど、俺は痛かった。痛かったんだってば。

お前のそういう所、苦手なんだよ。


「じゃーどっか行きましょうか、此処じゃ気分悪いし」
「はあ?」
「俺とお前でダブルス!」
「ダブルス?何だそれ。…まさか、組むってこと?」
「ピンポピンポン大正解〜♪」
「はああ?待て、俺は嫌…」
「さあ、行こう、園崎副隊長!」
「人の話を最後まで聞け!なんだよ、副隊長って!待て!」


健太はご機嫌にディパックを鼻歌まじりに歌いながら歩き、とっとと出た。
それにつられて文句を言いながらもついていく葵であった。



…やっぱり、こいつ、苦手。


【残り:28人】

Re: オリバト1 ( No.12 )
日時: 2010/06/26 00:47
名前: sasa (ID: cLFhTSrh)

いつも遊んでいた弟がプログラムで、死んだ。

信じられなかったんだ。
だって、あいつは、いつも笑ってて…友達のことよく話してた。
昔時々、わざわざ泣きそうな顔で遠い俺のとこに来て…言いたいこと言って泣いて…悩んでたんだ。
お父さんとお母さんは妹に構ってて俺はいつも一人だって。

よくいじめられるんだって。

兄ちゃんは、俺のこと嫌い?って訊いてきて。
でも小学校に入ってきてからは友達の話も、楽しい話も聞かせてくれた。

あいつを必要とする仲間に会えたんだって安心してた。


アイツ…俊人は、死んだんだ。


沖田俊介(男子5番)は、公園の小さい子供が遊ぶようなブランコに乗って考えていた。


プログラム…か。
よく考えたらそうだよな。
いつかは俺も巻き込まれるんだなって簡単に思ってたけど。
まさか本当に参加するなんてな。
申し訳なくて涙が出てきそうだな。


フッと空を見上げた。午前四時だったからか、空が明るくなり始めた。

そろそろか。

ディパックに入っていた、時計を見た。

午前四時三十五分。


あともう少し。
もう少しで、来る。
俺が勝手に待っている人が。
それまでもう少しの辛抱。


幸い、支給武器はナイフみたいなものだし、少しは生きていられる。

少し…ぐらいは。

正直言うとアイツが死んだ日から生きた気がしなかった。

あの日…葬式。自分の息子が死んだってのに、アイツの両親は、アイツの妹ばかり構っている。

名前は確か葉瑠彌ちゃんだったっけ。

アイツは小学5年生だったから…葉瑠彌ちゃんは、小学3年生だな。


ああいう酷い大人は見たことがなかったからショックだった。

なるだけ、人とはあまり関わりたくなかった。
でも、俺の中の何かが叫んでいた。
この気持ち、誰かに叫びたいと。

だからもう少し。
もう少しだけ。
信じよう、とした…。


その時人が歩く足音がした。
もしかして、来たのか?
でも俺は声かけるほど、強くない。
声をかけられるほど、信頼される人間じゃないと分かってるから。


分かっていたんだ?


頭の中で誰かが呟いた。


ああ、分かっている。

俺は、心の何処かで死にたかったかもしれないから。


「あ、そうなの。」
「……っ?!」


驚いて振り返ると阿久津雪奈(女子8番)が立っていた。
その手には日本刀が握られている。

「……あ…くつ…」
「だったら、死ねば。死んで償えればそれでいいだろ」
「はあ?」

何を、言っているんだ?こいつは。

「アンタ、死んで足立に謝りなよ。」

…まさか、こいつ…!

「ち、ちが…俺は何もやってない!いじめなんてしてない!」
「見て見ぬフリはいじめと一緒じゃないか!何で助けてあげなかった?!」
「な、何訳分かんないこと言ってんだよ…」
「女子の問題だからって、甘く見んなよ。足立のために死ね!」


日本刀が、俊介の心臓を狙う時、思った。

ああ、会えなかった。

何も出来なかったんだ、俺は。




----もう、いいよ、兄ちゃん。

……?

----もう、充分やったよ。


俊介の目の向こうは真っ白になり、ほうっと暖かいヒカリがその声の主を包んでいた。

……あれは、まさか、アイツ?何で…?


----兄ちゃん。頑張ったな。今度は俺が兄ちゃんの悩み聞くよ。


ああ、もういいのか。生きているだけで頑張ったって言えるのか。

よくわかんないけど、ありがとう。


そこから真っ白だった世界が、赤く染まり、あとは何も見えなかった。



雪奈は、心臓を突き刺していた日本刀を抜いた。

血が飛び散ったが、どうでもよかった。
気に食わないのは、俊介が安らかな顔して死んでいるということ。

逃げた。罪から、逃げた。

沖田って案外弱い人間だね。それにブッシュナイフを持って何もしないなんて…相当頭可笑しいんじゃないかい。

このクラスは、可笑しい。足立をすぐ傷つける。

足立は何も言わない。だからあたしが、罰を与えるんだ。
人を傷つけるってことがどんなにバカなことか、教えてやるよ。

その時は、死を持って償うべき。


【残り:27人】
男子5番沖田俊介 死亡。


序盤戦終了。

Re: オリバト1 ( No.13 )
日時: 2010/06/26 00:50
名前: sasa (ID: cLFhTSrh)

序盤戦終了時点でのネタばれ名簿
男子
01番安藤学
02番井山健太
03番内田洋介
04番遠藤俊夫
05番 死亡
06番香山猛
07番木本俊太
08番久住幸助
09番近藤大輔
10番佐藤幹雄
11番清水大吾
12番 死亡
13番園崎葵
14番立花浩二
15番津田高貴
女子
01番愛野由唯
02番藍原聡音
03番 死亡
04番青井千沙
05番青木里香
06番赤井雅子
07番明石加奈
08番阿久津雪奈
09番浅井幸子
10番朝倉さくら
11番朝露霞
12番麻生真理子
13番足立梢
14番穴山琴音
15番姉崎美穂

【残り:27人】

Re: オリバト1 ( No.14 )
日時: 2010/06/26 15:07
名前: sasa (ID: cLFhTSrh)

私は、貴方を愛しています。

あの時からでした。好きになったのは。

絶望していた私を救ってくれたのは貴方。

感謝しています。

だから。


私は、貴方が好きと伝えたい。


明石加奈(女子7番)は、プログラムだと伝えられた時からがたがたと震えていた。
誰かが、一瞬でも加奈に目を向けたこと、そしてそれが何かのメッセージであっても、加奈は震えていた。

クラスメイトの目をきちんと見れなかった。

自分の名前が呼ばれたとき、相変わらずガタガタと震えながら、でも、立ち上がって、ちゃんとディパッグを受け取って
あの学校から出た。それだけでも加奈はホッとした。


痛い視線はごめんだったから。


加奈は首からぶら下げている地図を広げた。
地図に穴を一つ開けて普段持って来ているヒモを通して結び、首にかける。

何だか小さい子供が首から人気キャラクターの財布をぶら下げて、おつかい頼まれて道をとっことっこと歩いているようなものだ。


…なんか、笑えるなあ。


自分が此処にいるのは公園みたいな場所の近く。
放送はまだ流れないので禁止エリアの心配はない。
これでしばらくは首輪のこと悩まずに済みそうだ。と加奈は溜息を漏らした。
同時に、想いを抱いている人物を思い浮かべた。


ああ、私は…私は此処で死んでしまうのかな?
でも死にたくないよ。まだ想い伝えてないのに。
人間は一人ぐらい好きな人がいるだろう、加奈もその一人だった。

きっかけは、中学1年生の時。入学以来早々、上級生の男子三人に狙われ、加奈の髪型が気に入らないらしく、呼び出しをくらって髪を引っ張られた。それだけじゃない。
壁に頭をぶつけられたこともある。加奈は泣いて「ごめんなさい、許して」と頼んでも上級生は聞かず、はさみを持って髪を切ろうとしたのだ。



その時だった。



誰かが、何処から持ってきたのか、サッカーボールをその内の細身の一人に当てた。二人は飛んできた方向を振り返ると加奈と同じ新入生の男子が突っ立っていた。


「てめえ、俺の友達になんてことしてくれると!」
「……べーつに…。それはこっちの台詞なんだけど」
「はあ?」

ぽつりと呟いた言葉を二人は聞き取れず目を顰めた。無論、加奈も首を傾げていて何が起きているのか分からなかった。

ポンポンっとその正義の味方みたいな人物の方に転がったボールはまたその少年によって太った一人に向かって行った。二人も倒れてのびていることにリーダーらしき人は睨みつける。

「そんなに睨みつけなくても…俺が睨みたいよ。先輩のくせに、後輩をいじめるなんて…この中学校も大したことないんだな。んじゃ言い返す。てめえ、か弱い女の子になんてことしてくれるんだ」

キッとその少年は睨みつけた。ひいっと息を詰まらせ、のびている二人を強引に連れて教室の方へ逃げた。


残ったのは加奈と少年だった。加奈は初対面の人をまじまじと見上げた。自分よりちょっと背が高くて、でも大人っぽくて。好印象を持った。

「あの…ありが…」
「お礼なんて言わなくていいよ。俺、たまたま通りかかったら、お前危なかったし」
「……え……」

ズバズバという少年に加奈は戸惑った。それを察したのか少年は笑って言った。


「大丈夫だって。お前の髪、綺麗なんだからさ」


その少年の笑顔がとても印象に残って、そして、これを、一目惚れというのか。好意を抱いていた。

翌日、教室に入ると昨日助けてくれた少年がいた。名前は沖田俊介(男子5番)だった。

それから授業や休み時間の度に加奈は俊介を見ていた。それは日常茶飯事になる。


でもその時の夏頃。俊介は落ち込んでいた。というより表情がなかったって言った方が正しい。噂によると「沖田の弟がプログラムで死んだ」とかそんな感じだった。

それからしばらく経って、俊介は笑ってあまり関わらない友達と話したりしていたけれどあの時の笑顔とは違ったのだ。


そして、今年、また同じクラスになり、関わっていた友達とクラスが違った俊介は、加奈に話し掛けた。「また同じクラスだな。改めて宜しく」と。


加奈は、俊介に会いたいと願いながら座って休む。
少しでも、自分と話して俊介があの時の笑顔を見せるようになれれば嬉しかった。現に見せてくれた。


「……俊介君…」

会いたいよ。今何処にいるの?まさか死んじゃってはないよね?そんなの私が許さないもん。
隠れてないで出てきて。俊介君なら、きっと生きててくれるよね?


きっと、会える。信じているから。
もしも会えたらね、言うの。好きだって。


空に視線を向けて微笑む加奈を遠くから内田洋介(男子3番)が見守っていた。
その目は、殺意を込めている目ではなく穏やかな目。


【残り:27人】

Re: オリバト1 ( No.15 )
日時: 2010/06/26 15:47
名前: sasa (ID: cLFhTSrh)

「………そんな…」

それは、想像できない話だった。
更に許せないと思った。
結局傷つけたんじゃないか。
許されないことをしたんじゃないか。


余計会いたくなった。そして守りたいと強く誓う。


貴方が私を許してくれないのなら、
その罪の償いを、死によって証明するしかないのかな?

でも、もしも許してくれるなら。

もしも、また昔のように笑い合うことができたら。
私はどんなことをしたって構わないから。

貴方が幸せになりますよう。
貴方がもう傷つかないよう。
そっと静かに願っているから。



「話すね…梢が…笑わんようになったの…」



浅井幸子(女子9番)がぽつりぽつりと安藤学(男子1番)に聞こえるように話した。その話は自分が思ってたより、酷かった。そして学は、恨んだ。目の前にいる人のことを。


ある夏の日。中学1年生の時だ。足立梢(女子13番)がまだ笑っていた頃。彼女は友達と会話したり、本を読んだり、漫画、小説等を書いて友達に見せ、感想を貰ったときには「ありがとう」と照れくさそうに笑っていた。それから苦手なテストを返された時。嫌な顔して、ある友達に目を向けぶすっと目を顰め、「あーあ、最悪だ。お母さんに怒られる確率高い。いや確定ね、これは」と文句を言った時。


そして驚くことに幸子は梢と親しくしていた、友達の中の一人である。


体育祭のリレーの時、転んでビリ取った時、落ち込んでいた梢。そして障害走を走るとき、不安だと何であたしがと友達にぽつり愚痴を漏らしたが、そんな素振りは一切、見せず、軽々と障害を越え、1位を取った時、今までにない笑顔を見せて、うれし泣きをした時。

体育祭が終わった次の日、同じクラスの男子から告白され、梢は戸惑い、断るが粘られてしまう。仕方なく、一緒にいるという形だけで了解した。

その男子の苗字は「渡辺」だった。


この時はまだ感情を持っていた。

友達が多く、幸せな学校生活を送っていたのだ。
だが、そんな日々が、ある彼女達の手によって崩されるとは思わずに。


梢は学校の帰り道に襲われるようになった。時には逃げても追いかけられたり、ナイフを振り回され、危ない目に遭ったり、とにかく恐怖感に襲われる毎日を送るようになった。時に泣きながら友達の家に逃げ込んで「最近誰かに狙われていの。今日だけは泊まらせて」と頼んだらしい。幸子は梢からその事情を聞いて相談を聞くようになった。

だが、それも長く続かなかった。


「浅井さん、ちょっと来てえ?」


学校に来た途端、朝倉さくら(女子10番)から呼び出しをくらう。藍原聡音(女子2番)も、朝露霞(女子11番)も隣で笑っていた。幸子は首を傾げて待ち合わせの屋上に来た。が、今思えば間違った行動だった。

三人がいることを確認し、幸子は「どうしたと?」と尋ねた。次の瞬間、次の発言で、幸子の身体は固まった。

「私ら、組まない?いじめる側になるのお。んで、ターゲットは、足立梢。」
「……え…」

さくらがニヤつきながらきっぱりと言う。正直驚きは隠せなかった。

「きゃはは、梢から聞いたでしょ?放課後襲われるようになったってさ。あれ、私達が手回したんだよね?あん時のアイツの反応面白かった!」

代わりに聡音が楽しそうに言った。幸子は頭を殴られたような衝撃を受けた気がしたのだ。この人達は人を玩具のようにしか思っていない。ぞっとする。


「組まなかったらさ、次のターゲットは幸子にするから。どうする?」


霞が冷たく言い放つ。幸子はいまだに笑う三人を目の前にして硬直した。
逃げ出したかった。でも三人が怖かった幸子はぽつりと呟いた。

「……は…い…」

もう後戻りはできなかった。三人がにこっと笑った。幸子は心の底からさくら達が怖いと改めて思った。

「きゃはははっ、ねえねえ、何か提案ある?」

聡音が嬉しそうに幸子を見ながら笑みを浮かべる。さくらも霞も幸子の提案を待つかのようにしゃがんで幸子の顔を見た。


そんな顔でうちを見なんといてよ。アンタら、人間としてどうかとうちは思っとるんやけど。

そうだ。漫画であった普通の人間じゃできないことを提案しちゃろっかな。これなら出来そうにないやろ?恥を知ればいいんよ。


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