二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
- 日時: 2013/04/14 15:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394
今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。
参照をクリックすれば前作に飛びます。
では、英雄達の新しい冒険が始まります……
皆様にお知らせです。
以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
となっています。
皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。
登場人物紹介等
味方side>>28
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624
目次
プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695
第十六幕 錯綜
一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756
第十七幕 決戦
零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕
>>774 >>812 >>818
最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851
2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825
あとがき
>>852
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——お知らせです—— ( No.615 )
- 日時: 2013/01/09 21:58
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: omqSuZTj)
相変わらずエレクトロの実力は恐ろしいですね。
もうエレクトロが7P最強でもおかしくない気がします(笑)。
それにしてもザキ、何だか性格変わりましたね。
これもやはりアシドのいうところの英雄の影響なのでしょうか?
そしてムント対ドランもですね。
ドランのドラドーンを考えると正直、ドラピオン戦でダメージのあるオノノクスとアーボスクではかなり厳しそうですが、ムントにも何とか、同じドラゴン使いとして頑張ってもらいたいです。
ドランがドラゴン使いなのかは微妙ですが。
僕的には7Pの中ではフレイとエレクトロが好きですね。
あとはフォレスも好きな方です。
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——お知らせです—— ( No.616 )
- 日時: 2013/01/09 23:03
- 名前: プツ男 (ID: DN0pvQeX)
不遇ポケモントロピウスを使いこなすエレクトロSUGEEEE!!まぁ不遇ポケモンだとは言え、対戦だとヤチェの実を持たせればまあまあやって行けるとは思うんですけどね....氷と種族値が難点ですよね....デザインは好きなのに....新作での進化に期待ですね。
レイの壮絶な人生にまた一つ新たな記録が刻まれましたね...ヤミクラゲが戦闘不能だったらどうするつもりだったんでしょうかね?諦めてオーバーの仲間入りでしょうか?
7Pの人気ですか...僕は一位フォレス、二位フレイ、三位エレクトロ、ビリはお察しの通りガイアですかね。
そういえば、7P率いる隊の強さってどうなっているんでしょうかね?やはり7Pの序列=隊の強さでしょうか?
- Re: ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——お知らせです—— ( No.617 )
- 日時: 2013/01/11 03:08
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
パーセンターさん
手持ちポケモンが総合的に強いのである意味エレクトロも7P最強なんですが、ガイアとドランはそれぞれ切り札が頭一つ抜けているので、僅差でこちらが格上になっています。
といっても、登場回数や勝率を加味すれば、エレクトロが一番強いかもしれませんが。
ザキは初期と比べて一番性格が変わったキャラ……のはずです。まあ、そのうち彼の過去も明かしていこうと思うので、気長にお待ちください。
ドランのドラドーンはイリスですら手も足も出なかった強敵ですからね。アーボスクは鋼タイプ持ち、オノノクスは弱点を突けるので、ある程度は有利ですが、どうなるでしょうか。
しつこいですが、この章が様々なキャラクターの転機となります。ので、勝敗もそれなりにはっきりつけるつもりです。
プツ男さん
氷四倍はドダイトスもいるので目を瞑るとしても、種族値の配分が微妙ですよね……僕もあのデザインはかなり好きなので、是非とも進化してほしいのですが、どうなるんでしょうね。
レイは妙にザキから被害を受けています。彼女からすればなんともないことなのかもしれませんが。
ヘルガー相手にヤミクラゲを出したのですから、レイも勝算があったのでしょう。といっても、放電持ってて悪巧みを三回積まれたので、あのまま続いたとしてもヤミクラゲが勝てるかどうかは微妙ですが。
いざとなればレジュリアのアイスバーンで……
部隊の強さというか、特色は裏設定が合ったりするのですが、そのうちまとめてみましょうかね? 氷霧隊については少し触れていることですし。
ちなみに7Pの序列がイコールで部隊の強さには繋がりません。各部隊に役割と特色があり、最も規模が大きいのがエレクトロ率いる聖電、という設定です。
それにしても、まだ二人とはいえ、7Pの人気順は結構意外でしたね。エレクトロやフレイは鉄板だとして、フォレス人気が驚きです。正直、某最弱とか某最強(笑)と同じくらいだと思ってました。奴らよりはマシだとも思ってましたが。
ちなみに人気順が今後の展開に反映される……かもしれません。まあでも、そのうち7Pサイドに焦点をおいた話を書こうとおもっているので、その時の参考にさせていただきます。
- Re: 442章 白煙 ( No.618 )
- 日時: 2013/01/13 00:18
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
ミキとフレイのバトルは、もう中盤まで差し掛かっていた。
ミキが二番手に繰り出したハンタマがニートンを速攻で下し、現在、ノコウテイと激しい戦いを繰り広げている。
「ノコウテイ、ドラゴンダイブ!」
「ハンタマ、サイコバレット!」
ノコウテイが龍の力を纏って突撃するが、ハンタマは柔軟な動きでそれをかわし、念動力を固めた銃弾を連射する。
「怒りの炎だよ!」
銃弾を受けながらも、ノコウテイは怒り狂ったような火炎を放つ。次々と襲い来る銃弾を燃やしていき、炎はハンタマへと迫るが、
「かわしてマッハパンチ!」
大きく迂回するように炎をかわすと、ハンタマは高速の拳をノコウテイに叩き込む。効果は抜群だが、技そのものの威力が足らず、大きいダメージにはならない。
「もう一度マッハパンチ!」
「させないよー。ノコウテイ、潜る!」
ハンタマはもう一度拳を振るうが、ノコウテイが地面に潜ってしまい、空振りに終わる。そして次の瞬間、地中から這い出てきたノコウテイの攻撃を受け、空中に吹っ飛ばされた。
「今だよノコウテイ、怒りの炎」
ノコウテイは怒ったように燃え盛る炎を放つ。炎は容赦なくハンタマを包み込んで、その身体を燃やしていく。
「ハンタマ!」
地面に着地したハンタマは、怒りの炎の直撃で大ダメージを受けていた。だが、眼にはまだ投資が宿っている。バトルを続けるのは十分可能だ。
「よし、ハンタマ、ここはスピード重視でいくよ。マッハパンチ!」
刹那、ハンタマの高速の拳がノコウテイを捉えた。威力が低くても効果抜群には変わりない。何度も叩き込めば、体力の多いノコウテイでもいずれ力尽きる。
「一旦退いて! サイコバレット!」
ハンタマは深追いせず、一度身を退いた。しかし攻撃の手を緩めることはせず、念動力の銃弾を乱射してノコウテイを撃ち抜いていく。
「やるねー。ノコウテイ、スピンテール。叩きつけて—」
ノコウテイは跳ねるようにジャンプすると、尻尾を回転させながら落下してくる。
しかしノーマルタイプの技であるスピンテールは、ゴーストタイプを持つハンタマには効果はない。普通なら意味のない攻撃になる。が、しかし、
ノコウテイの全体重が乗った重い一撃が炸裂し、地面を陥没させると同時に大量の砂煙を舞い上げた。
「目くらまし……!」
呻くようにミキが呟く。視界を遮られてしまえば、ハンタマの持ち味であるスピードも生かせない。
対してノコウテイは地中で暮らすポケモンだ。目はとうに退化してしまい、音や地面の振動などで敵の位置を探ることが出来る。砂煙の舞った状況でも、ハンタマの位置を正確に把握しているだろう。
「怒りの炎!」
砂煙を切り裂き、燃え盛る業火がハンタマを襲う。炎は、砂煙のせいで反応が遅れたハンタマを包み込み、容赦なく燃やしていく。
「ぶっ飛べ—。ドラゴンダイブ!」
そしてそこに、龍の力を纏ったノコウテイが突撃。炎もろともハンタマを吹き飛ばした。
「ハンタマ、サイコバレットで反撃だよ!」
まだ辛うじて戦闘不能ではないハンタマは、念動力を固めた銃弾をマシンガンのように連射するが、
「ざーんねーん。ノコウテイ、潜る」
瞬く間にノコウテイは地面に潜ってしまい、サイコバレットを回避。そして着地したハンタマのすぐ下から這い出て来て、ハンタマを打ち上げる。
ドサッと落下してきたハンタマは、ノコウテイの猛撃に耐え切れず、戦闘不能となった。
「ハンタマ……ありがとう、戻って」
ミキはハンタマをボールに戻す。感覚的には、初手のニートンよりもこのノコウテイの方が強い。
イリスや他の仲間から聞いた話では、フレイはノコウテイを移動手段に利用することが多いらしい。自分のポケモンなので当然と言えば当然だが、ポケモンに乗って移動するということは、そのポケモンを信用しているということ。そしてその信用は、バトルにおいても同じだ。
「あたしはどっちかっていうと、ガイアやドランに近いんだよねー。ノコウテイはあたしの手持ちのナンバー2だけど、そんでもストータスには敵わない。あたしのエースは、他三体よりも遥かに強いよー」
何を察したのか、フレイはそんなことを言う。
「そんなことよりもさー、ミキちゃん。君のポケモンはあと一体だよー? 大丈夫なのかなー?」
仰向けになりながら、してもいない心配の声をかけるフレイ。無論、ミキは強気だった。少なくとも、表面上は。
「心配は無用だよ。一体でも残っていれば、勝つ可能性は消えない。師匠だって、最後の一匹まで、あなたたちのボスと戦ったんだから。それなら、私だって……」
ボールを握り締め、ミキは最後のポケモンを繰り出す。
「頼んだよ、フィニクス!」
不死鳥ポケモン、フィニクス。紫色の体に、めらめらと燃える炎の翼。神秘的な雰囲気を醸し出す鳥型ポケモンだ。
「フィニクスかー、かっこいーねー。あたしも好きだよー」
フレイは気の抜けた声でフィニクスを称賛する。
「でも、まだまだって感じだねー。もうちょっと強ければ、ストータスといい勝負もできたかもしれないけど……ノコウテイ、スピンテール!」
ノコウテイは跳び上がり、回転させた尻尾をフィニクスへと振るう。
「フィニクス、ハリケーン!」
しかしノコウテイの攻撃はフィニクスには届かない。フィニクスの放った突風によって、ノコウテイは吹っ飛ばされた。ノコウテイの巨体は木々をへし折りながら、仰向けに地面へと落ちる。
「フレアバースト!」
翼を羽ばたかせ、銃弾のような小さくも鋭い炎を連射するフィニクス。炎の弾丸はまっすぐにノコウテイへと向かっていき、その腹を容赦なく撃ち抜く。
仰向けになって動けないノコウテイに何発もの炎が撃ち込まれ、やがてノコウテイは戦闘不能となった。
「んー、お疲れノコウテイ。戻っててねー」
少し満足しないような声を出すフレイだったが、すぐにノコウテイをボールに戻す。フィニクスにダメージを与えられなかったのが不満だったのだろうか。
「……うん、いい感じに木も倒れてるね。これなら大丈夫かな」
フレイはゴロゴロ転がりながら周囲を見渡す。
サンギ牧場奥の雑木林は、二人の戦闘によって木々が薙ぎ倒された状態となっている。よってバトルフィールドは、ちょっとした広場のようで、フィニクスの炎による引火も、そう起きないだろう。
「さーて、そんじゃあとくとごろうじろってねー。ストータス、出番だよー」
フレイが最後に繰り出したのは、石炭ポケモン、ストータス。
2m近い体躯の陸亀のようなポケモン。背中の黒い甲羅の中身は熱く燃えており、白い煙を上げている。
「どっちも炎タイプだけど、岩タイプ持ってるストータスの方が有利っぽいねー。この複合タイプって四倍弱点になることが多くて、結構使いどころ選ぶから、活躍の機会って少ないんだー」
そんなことを言うフレイだが、このストータスはイリスのポケモンが傷一つ負わせられなかった相手。あの時はすぐにバトルが終わったので、ダイケンキなどのポケモンを使えば勝負は分からなかったとイリスは言っていたが、しかしそれでも半端ない耐久力があることは確かだ。攻撃力も決して低くはない。相性的には、フィニクスが圧倒的に不利だ。しかし、
「タイプの相性が、勝負を投げ出す理由にはならないよ。フィニクス、ドラゴンビート!」
彼女と、そのポケモンは戦う。臆さず、勇猛果敢に、敵に立ち向かうことを決意している。
フィニクスは龍の鼓動のような激しい音波を放ち、ストータスを攻撃。ストータスは避けようとせず、防御行動すら起こさず、その直撃を喰らった。
しかしダメージは、絶望的なほどない。ほとんどノーダメージである。
「もしかしたら特殊技なら効くかも、とか思っちゃったりしてたー? 残念だけど、あたしのストータスは防御、特防、体力、どれをとっても高数値、総合的な耐久力と硬さにおいては、7P随一なんだよー。等倍攻撃くらいじゃ、ぜーんぜんなんともないねー」
得意げにフレイ。だが実際、ストータスへのダメージは薄い。
「さーて、この子はあたしの光になってくれるのかなー……」
歯噛みするミキをよそに、フレイはいつもの笑みとは違う、何かに期待するような笑みを浮かべるのだった。
ふぅ、やっと更新できた。ちょっと諸事情あって、更新が滞り気味でしたが、やっと再開です。今回はミキ対フレイですが、かなり短くまとめました。そういえばポケモンの新作が発表されましたね。色、宝石、また色と戻って、次はまさかのアルファベット。XとYって、どういう基準で選んだんですかね?巷では3D構成におけるX軸Y軸とか言われてますけど。それと御三家ですが、まあRSEではラグラージ、BWではミジュマルとかポカブとかも散々言われてましたが、今回の御三家、炎タイプのデザインだけがやたら優遇されているような気がします。シャンデラ、ウルガモス、ヒヒダルマと続いて、炎タイプの革命ですかね? ちなみに白黒は、現状では炎タイプを選ぶつもりです。さて本編が短めだったのであとがきが長くなりました。次回は各バトルの決着に入ろうと思っています。それで次回もお楽しみに。
- Re: 443章 雨 ( No.619 )
- 日時: 2013/01/14 16:14
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「マニューラ、泥爆弾!」
「ホムロソク、マインブラスト!」
十九番道路でのアキラとマオのバトルは、相当長引いていた。
「もう一度マインブラストだ!」
「かわして嫌な音!」
とはいえ、戦況は現時点で圧倒的にマオが優勢。というのも、ホムロソクはマニューラのぶち壊すをかわし切れず、かなりの重傷を負っているからだ。それでもアキラはめげずにホムロソクで戦っているが、トレーナーもポケモンも、既に心身ともにかなり疲弊している。そう長くはもたないだろう。
「スターフリーズよ!」
「フラッシュだ!」
マニューラが巨大な星型の氷塊を投げる寸前に、ホムロソクは眩い閃光を発し、スターフリーズの軌道をずらす。
「往生際が悪いというか何というか、必死過ぎてもはや滑稽ね。貴方とのバトルなんてさっさと済ませて戻りたいんだけど、いい加減諦めてくれない?」
有利な立場だからこその余裕だろう。マオの声は、焦燥や苛立ちより、嘲笑、蔑みを含んでいた。
ポケモンともども疲弊しきっているアキラは、しかし気丈に言葉を返す。
「悪ぃけど、俺は頼まれてはいそうですかと退けるほど、素直に育っちゃいないんでね。それに、今あんたをリオのとこに行かせるわけにも、いかないしな……」
アキラは記憶から引き出す。。リオの相手、7P序列三位、エレクトロの姿を。そして初めて見た時に感じた、ただならぬ圧迫感を。
(そんでも、どれだけ敵が強かろうが、あのリオが負けるとは思えない。が、それでも片手間に戦えるような相手じゃないのは俺でも分かる。それに、ホムロソクには悪いがこの状況じゃあもう勝ち目はない。だったらせめて、リオのバトルが終わるまで、この人を足止めしておくのが、今の俺にできる唯一のことだろ……!)
本当なら、ここでマオを倒して一刻でも早くリオのところへと向かいたいのだが、それは恐らく無理だ。だったら、せめて今の自分にできる最大限のことだけでもしておきたい。それが、今のアキラの意地だった。
だが、その意地も、そう長くは続かない。
ピチャッ
「……? 水?」
アキラは自身の額に、冷ややかなものを感じる。それが液体、水であることに気付くのに一瞬、その水が次々とやって来るのに気付くのにもう一瞬、そしてそれが、空から降り注いでいるのに気づくころには、一秒が経過していた。
即ちそれは、雨だ。雨脚は次第に強まっていき、やがて豪雨となる。
「やだ、貴方がだらだら引き伸ばしてるから降ってきちゃったじゃない。最悪」
突然の雨に、マオは一転して不機嫌になる。
対してアキラは、絶望したように、眼を見開いていた。
「ホムロソク……」
雨とは、つまるところ空から水が降ってくる現象だ。水は何に対してつかわれるか、何に対して、強い力を発揮するのか。それはもう明白なことである。
ホムロソクの炎が、弱まっているのだ。
当然のことながら、炎タイプは水に弱い。雨が降りだせば、その力は半減されてしまう。それに則って、ホムロソクの力も衰弱してしまったのだ。
「あーもう、いいわ。これ以上濡れたくないというか、これ以上なく濡れちゃったし、決めちゃいましょう。マニューラ、ぶち壊す!」
マニューラは目にも止まらぬ速度でホムロソクへと駆けて行き、鋭い鉤爪を思い切り突き出す。
「っ! かわせ、ホムロソク!」
ホムロソクも自慢の身のこなしでその攻撃をかわそうとする。実際、いつも通りのホムロソクなら問題なくかわせただろうが、今のホムロソクは満身創痍の上に雨天状態と、これこそこれ以上なくバッドステータスだ。そんなコンディションで、マニューラの攻撃がかわせるはずもない。
マニューラの爪は、ホムロソクに深く食い込み、そのまま地面へとねじ伏せてしまった。
倒れるホムロソクをよそに、マオはすぐさまマニューラをボールに戻し、かわりにララミンゴを出した。
「流石にそろそろ目的の物っていうのも見つかったでしょうし、そろそろ撤収かしら。それにして、この鬱憤は晴らすべきなのか……またエレクトロで発散でもするべきかしら。でもあいつ、妙にすかした態度で逆にムカつくのよね」
などとぼやきながら、ララミンゴに腕を掴ませ、飛び立ってしまうマオ。
そして、一人残されたアキラ。
「……戻れ、ホムロソク」
地面に倒れたままのホムロソクをボールに戻す。
足止めをすると意気込んだ矢先にこれである。運が悪かったと言えばそれまでだが、それでも負けは負けだ。
降り注ぐ雨が、容赦なくアキラをずぶ濡れにする。けれど彼には、そんなことを気にしている余裕はなかった。
「炎タイプは雨に弱い。素直にサンダースを出しておけば良かったんかな……あの人がドレディアを出さなかったから、無駄な意地張っちまったな」
いつもはボールから出しているサンダースだが、今は何が起こるか分からないので、半ば無理やりボールに入れている。そのボールを眺めるように手に取り、立ち尽くす。
(それに、ホムロソクにも悪いことしたな……あんなに疲れてボロボロになって、その上雨まで降って負けさせちまうなんて。リオだったらどうすんのかね、こういう時。あいつとシャンデラなら——)
ふと、アキラの中で何かが繋がった。
炎、水、雨、ホムロソク、敗北、リオ、シャンデラ、エレクトロ、ドルマイン——
「……! まずいっ!」
脳裏に浮かんだ最悪のケース。それが現実にならないことを祈りながら、アキラは焦燥感に駆られて走り出した。
「テペトラー!」
ザキvsレイ。この二人のバトルも、いよいよ大詰め。
戦況は、レイが有利、というより、ほぼ勝ちが確定しているような状況だ。
ザキの最後のポケモンはテペトラー。レイのレジュリアに対しては、攻撃面ならさしたる問題はないのだが、防御に回ると、テペトラーが不利である。
「くっそ、まだだテペトラー! スプラッシュ!」
テペトラーはその身に水流を纏い、水飛沫を上げながらレジュリアへと突っ込んでいくが、
「レジュリア、サイコバーンです」
レジュリアは払うように手を振って念動力の爆発を起こし、テペトラーを吹き飛ばしてしまう。
「……呆れました」
唐突に、レイが口を開く。そして言葉通り、あまり変化のない顔ではあるが、呆れたような表情だ。
「先ほどから、攻撃は突撃ばかり。それも一直線にです。この際なので言ってしまいますが、わたしのレジュリアは真正面からの攻撃には滅法強い、そういう技を覚えさせていますからね。それはあなたも分かると思うのですが、それでも突撃……エレクトロさんやゲーチスさんはあなたのことをそれなりに買っているようでしたが、わしたからすれば、拍子抜けと言いますか、呆れるばかりですね」
「……うるせぇよ」
あまり覇気のこもらない声で、ザキも言い返す。
「いつもだんまりの癖に喋る時だけベラベラ喋りやがって。そもそも俺のテペトラーのバトルスタイルは、ひたすら力押しなんだよ。覚えさせる技も、そのスタイルに合うよう突撃系に重点を置いてる」
「それでも、攻め方を変えることくらいはできるでしょうに……ああ、もういいです。あなたも、英雄さんやその他大勢の人たちと同じということですね。少々型破りなようですが、ただそれだけでしょう。だったらこの場で、わたしが引導を渡すことにします」
「最初にもそんなこと言ってなかったか、お前?」
揚げ足を取るようにザキの発言に、レイはムッとしたように口をつぐんだ。そして、
「……レジュリア、放電です!」
「サイコパンチだ!」
両手を前に突出し、レジュリアの掌から電撃が放たれる。それと同時にテペトラーも念動力の拳を撃ち出すが、その程度で放電を完全に相殺できるはずもなく、テペトラーは激しい電流を浴びてしまった。
「ぐっ……氷柱落とし!」
辛うじて放電を耐えたテペトラーは、地面に拳を叩き付け、虚空からいくつもの氷柱を落とす。そしてその氷柱はレジュリアを包囲し、動きを封じた。
「今だ、ぶっ飛ばせ! テペトラー、マグナムパンチ!」
拳を固め、大砲の如き勢いで突貫するテペトラー。レジュリアは氷柱に包囲されて身動きが取れない。その隙を突く、テペトラーの拳が放たれる——が、
「サイコバーン!」
刹那、氷柱が弾け飛んだ。粉々に粉砕され、氷の破片が四方八方に散る。
テペトラーの拳はレジュリアに到達することなく、念力によって引き起こされた爆風によって遮られてしまう。
「これでとどめです! レジュリア、アイスバーン!」
完全に動きを止めてしまったテペトラーに、新たなる爆風が襲い掛かる。凍てつく氷のような衝撃波がテペトラーの体を蹂躙し、屈強な肉体を吹き飛ばした。
「テペトラー!」
叩き付けられるようにして地面を転がったテペトラーは、起き上がらない。動きが見られない、指一本すらも動かない。
テペトラーは戦闘不能。即ち、ザキの手持ちは全て失われた。
ザキvsレイの勝負は、ザキの敗北で、終了したのであった。
今回はアキラとマオ、ザキとレイのバトルでした。どちらも破れてしまいましたが、まだこれで終わりではありません。唐突に降り出した雨、そして走り出したアキラ。彼はどこに向かったのでしょうか。さて次も、こんな感じで誰かのバトルの続きにしようと思います。では次回もお楽しみに。
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