二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: 320章 瞑想 ( No.379 )
日時: 2011/10/24 21:17
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

イリス対フォレスのバトル。
イリスはソンブラのコモラゴンとのバトルで消耗しているズルズキンをボールに戻し、次のボールを構える。
「相手はコクジャク、だったらこのポケモンだ。出て来い、メタゲラス!」
イリスが繰り出すのは、鋼と地面タイプを持つメタゲラス。
フォレスのコクジャクは電磁波を使うのでその対策と、鋼タイプで飛行、エスパー技を半減できる。さらにメタゲラスは岩と悪タイプの技を覚えているので、攻防ともにかなり有利だ。
「行くぞメタゲラス、ストーンエッジ!」
メタゲラスは鋭く尖った岩を無数に浮かべ、コクジャクに向けて一斉に飛ばす。
「コクジャク、吹き飛ばせ!サイコバーン!」
コクジャクは翼を大きく振り、念動力の爆発を起こして襲い掛かる尖った岩を全て粉砕する。
「エアスラッシュ!」
さらにもう一度翼を振り、今度は空気の刃を飛ばしてメタゲラスを切り裂く。
だが効果いまひとつなので、ダメージはあまりない。
「メタゲラス、グラビティコア!」
メタゲラスは頭上に超重力の黒い球体を作り出し、それをコクジャクに振り落とすようにして放つ。
「でかいな……これはかわせないか。コクジャク、瞑想!」
フォレスは球体の大きさを見てかわせないと判断すると、コクジャクに瞑想を指示する。
瞑想は名前通り精神を統一し、気持ちを落ち着かせて特殊能力を高める技だ。それによって上がった特防で、コクジャクはグラビティコアを耐え切った。
「エアスラッシュだ!」
そしてすぐさま空気の刃を飛ばし、反撃に出る。
「ストーンエッジ!」
「サイコバーンで吹き飛ばせ!」
メタゲラスも負けじと鋭き岩を発射するが、コクジャクが放つ念動力の爆発による衝撃波でその岩を粉砕していく。
「ストーンエッジは通らないか……空中にいたんじゃアイアンヘッドも届かないし、大地の怒りも効果がない。だったらメタゲラス、グラビティコア!」
メタゲラスは超重力の球体を頭上に浮かべ、コクジャクを押し潰すように放つ。
「瞑想!」
だがコクジャクは精神を統一し、その圧倒的な重力を耐え切る。
「エアスラッシュ!」
そしてそこから空気の刃を飛ばし、メタゲラスを切り裂いて反撃。その威力は、初回よりも大きくなっている。
「瞑想で上がるのは特防だけじゃない、特攻もだ。だからお前は攻撃するたびにその攻撃で与えるダメージは減り、俺のコクジャクがお前のポケモンに与えるダメージは増えていく。コクジャク、エアスラッシュ!」
コクジャクは再度空気の刃を飛ばし、メタゲラスを切り裂く。
タイプ相性がいいと読んで出したメタゲラスだが、イリスはポケモン自体の相性をちゃんと考えていなかった。
なにはともあれ、このバトル、イリスは苦戦する事だろう。



「行きなさい、ヴォーナ(Вона)」
サーシャが繰り出したのは、ヴォーナこと沼魚ポケモンのラグラージだ。
ヴォーナはシルラと、そのポケモンであるデンチュラを睨み付ける。
「水に地面かぁ……草タイプの技があればよかったんだけどね」
シルラは表情そのままで、そう呟く。
「ま、でも、そんなこと言っても始まらないし……デンチュラ、アクアボルト!」
デンチュラは口から電気を帯びた水を放つ。
「ヴォーナ、波乗り!」
だがヴォーナはその水に対し、より大きな大波を引き起こしてアクアボルトもろともデンチュラを押し流す。
ちなみに部屋は相当広いので、レイへの被害はゼロだ。まあ、意図的にそうしているのかもしれないが。
「やるねぇ……デンチュラ、虫のさざめき!」
デンチュラは体を小刻みに震わせ、振動を起こす。その振動は次第に大きく増幅されていき、ヴォーナに届く頃には相当な破壊力を持っていた。
「くっ、ですがこの程度では私のヴォーナは倒れませんよ。冷凍ビーム!」
ヴォーナはすぐさま体勢を立て直し、口から凍てつく氷の光線を発射する。
「かわしてアクアボルト!」
デンチュラは直線で襲ってくる氷の光線を回避し、ヴォーナに電気を帯びた水を振り掛ける。
「逃がしませんよ、波乗り!」
ヴォーナは再度大きな波を起こし、デンチュラを押し流そうとするが
「デンチュラ、雷!」
デンチュラは超高電圧の落雷を大波にぶつけ、波を四散させる。
「ヴォーナ、もう一度波乗り!」
だが一度相殺されたくらいでは、ヴォーナは諦めない。ヴォーナはまたも大波を起こし、デンチュラを押し流す。
「あの波乗りは厄介だなぁ……よし、ならこれだ。デンチュラ、金縛り!」
デンチュラはヴォーナをジッと見据える。するとヴォーナは大波を起こした後の残心の姿勢で固まってしまい、数秒間体が動かなくなる。
だがそれも、数秒だ。しかもその間、デンチュラはヴォーナを見据えていただけ。
だが
「今のは……!」
「うん、今のは金縛り。あなたなら分かるよね? 金縛りは相手が直前に出した技を封じる技。これでそのラグラージは、もう波乗りが使えない」
そして、デンチュラは動いた。
「デンチュラ、アクアボルト!」
「くっ、ヴォーナ、かわして怪力!」
ヴォーナは降り掛かる電気を帯びた水をかわすと、拳を握り、デンチュラを殴り飛ばす。
力任せの攻撃だ。
「さらに瓦割り!」
そしてヴォーナはそのままデンチュラに接近し、手刀を振り下ろす。効果はいまひとつだが、追撃には十分だ。
しかしそれは、攻撃としては成功でも、行為としては失敗だった。

「デンチュラ、虫のさざめき!」

デンチュラは手刀を叩き込まれた状態で、体を小刻みに振動させ、増幅される。
それは瞬く間の事で、ヴォーナは吹っ飛ばされた。
「っ、ヴォーナ!」
壁に叩きつけられたヴォーナを見ると、戦闘不能。
虫のさざめきは振動を増幅させ、空気を伝って相手に攻撃する技だ。しかしこの場合、ヴォーナとデンチュラは触れ合っていて、振動が、増幅された衝撃がダイレクトにヴォーナに伝わったため、その威力はかなり増大された。
「……うん。なんか、感覚が戻ってきた気がするな……」
ふと、シルラはそう呟いた。



今回は前半にイリス対フォレスです。イリスはまさかのポケモンのチョイスミスで、フォレスのコクジャクに苦しめられます。後半はずっと先延ばしにしていたシルラとサーシャのバトルです。イリスもシルラと同じくデンチュラを所持してはいますが、戦い方は異なります。まあ、そのうち出るでしょう。では次回はムント対ドラン、ザキ対レイのバトルとする予定です。まあ、変更は十分にありえますが。というわけで、次回もお楽しみに。

Re: 321章 土遁 ( No.380 )
日時: 2011/10/24 22:47
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

ムント対ドランのバトル。
ドランは手っ取り早く、一対一のバトルを提案。そしてそれにムントも乗り、二人は一対一のシングルバトルを行っている。
「ワラガシラ、炎のパンチ!」
「ネクロシア、かわして辻斬り!」
ワラガシラは拳に炎を灯してネクロシアに殴り掛かるが、ネクロシアはその拳を難なくかわし、下半身の鋭き鎌でワラガシラを切り裂く。
「おっと? その鎌、随分と鋭いねぇ」
ドランは解放して子供のような口調で言う。
「でも残念。ドランのワラガシラは防御を重点的に育ててるから、いくら効果抜群で、急所を切り裂いたとしても、そう簡単にはやられないよ」
ドランの言う通り、ワラガシラは悪技である辻斬りを喰らっても平然としており、反撃の構えを取っていた。
「ワラガシラ、シャドークロー!」
ワラガシラは掌にある三つの黄色い点からそれぞれ棘のような影の爪を生やし、ネクロシアに襲い掛かる。
「ネクロシア、シャドークローで受け止めろ!」
ネクロシアは突くようなシャドークローを、同じく両手に影の爪を作り出し、絡め取る。
「アイスブレード!」
そしてその状態で下半身の鎌を氷結させ、一回転するようにしてワラガシラを切り裂く。
「さっすが歪な隙間ポケモン、動きも歪だねぇ……ワラガシラ、炎のパンチ!」
ドランは焦った様子は微塵も感じられない軽い口調でそう言い、ワラガシラは拳に炎を灯してネクロシアを殴り飛ばす。
「ギガスパーク!」
そこに、ワラガシラは巨大な電撃の球を作り出し、ネクロシアに向けて放つ。
「ぐぅ……!」
ネクロシアはその球体の直撃を喰らい、大ダメージだ。
「ネクロシア、反撃だ!シャドークロー!」
ネクロシアはすぐさま両手に影の爪を作り、ワラガシラに接近して藁のような体を引き裂く。
「ワラガシラ、ニードルアーム!」
ワラガシラは両腕に無数の棘を生やして、ネクロシアに叩きつけようとするが
「クロスチョップ!」
ネクロシアは手刀を交差させ、素早く振り下ろしてワラガシラの両腕を弾く。
「辻斬りだ!」
そして先のアイスブレードと同じようにその場で宙返り、もしくは側転のように一回転し、ワラガシラを切り裂く。
「うーん……流石にそろそろきついかな……それにしてもあのネクロシア、半端ないなぁ……」
ドランは愚痴るように言う。
「まあでも、なかなか楽しめるし、ドラン的にはいいかな。……っと、ワラガシラ、ニードルアーム!」
ドランはやや慌ててバトルを再開。ワラガシラは棘をびっしりと生やした腕でネクロシアに襲い掛かるが、やはり弾かれてしまった。
「……龍の香りがするなぁ……」
ボソリと、誰にも聞こえないような声で、ドランは呟いた。



「……使用ポケモンは三体。一対一を三セットマッチで、先に二勝した方が総合的に勝利、というのはどうでしょうか?」
レイはザキとバトルをする際に、そうバトル方式を提案してきた。
「いいぜ、なんでも。俺は今世紀最大にイラついてるんだ。それが紛れるなら、なんでもいい」
そう言いながら、二人はボールを構える。
「お出でなさい、テッカニン!」
「行ってこい、ヘルガー!」
レイが繰り出すのは、蝉のような姿の忍ポケモン、テッカニン。
ザキが繰り出すのは、狼のような姿のダークポケモン、ヘルガー。
「ヘルガー、ダークロアー!」
先に動いたのは、ヘルガーだ。
ヘルガーは雄叫びをあげ、闇の咆哮を放つ。
「テッカニン、影分身」
しかしヘルガーの咆哮は、テッカニンには届かない。テッカニンは無数の分身を作り出すことで、咆哮を回避した。
「燕返し!」
そして無数のテッカニンは一斉にヘルガーへと突っ込み、薄い翅で黒い体を切り裂く。
「連続斬り!」
さらに両手の爪を構え、文字通り連続でヘルガーを切り裂く。いや、分身の攻撃はノーダメージだが。
「ちっ、ヘルガー、アイアンテールだ!」
ヘルガーは鋼鉄のように硬化させた尻尾を振り回し、時間差をつけて突っ込んでくるテッカニン(とその分身)を攻撃しようとするが、これが当たらない。
「特性、加速でテッカニンの素早さはじきに光速を超えます。そうなれば、あなた程度では絶対に捉ええられませんよ」
「うるせえ。ヘルガー、煉獄!」
ヘルガーは燃え滾る地獄の業火を放つが、命中率が低い技だ、テッカニンには当たらない。
「だったらこれでどうだ!ヘルガー、飛び上がって煉獄!」
ヘルガーは一息で天井付近まで跳躍すると、地面(床)に向けて地獄の業火を放つ。
床や家具が燃えるのと同じく、テッカニンの分身も炎で焼かれ、消えていく。これだけ広範囲の攻撃だ、きっと本物も焼け焦げているだろう。
と、ザキは思っていたが、しかし

床から本物のテッカニンが飛び出し、ヘルガーを攻撃する。

「!? ヘルガー!」
ヘルガーはその予想だにしない一撃で大きく吹っ飛ばされるが、ギリギリ戦闘不能ではない。
「今のは穴を掘る……いや、違う」
穴を掘るにしては、地中にいる時間が短かった。だからこの技は
「テッカニン、潜る!」
テッカニンは素早く床に穴を開けながら潜り、ヘルガーの視界から姿を消す。
「やっぱり潜るか……ヘルガー、攻撃が来たら雷の牙だ」
ザキはヘルガーに指示を出し、牙に電流を流して構えさせる。そして
「今だ、ヘルガー!」
ヘルガーは素早く振り向き、背後から現れたテッカニンを雷の牙で噛み付く。テッカニンは防御力が低いので、この攻撃で戦闘不能なってもおかしくない。

そう、それが本物だったなら。

「残念でしたね。テッカニン!」
ヘルガーが攻撃したのは、影分身で作り出した偽者。
本物のテッカニンは振り向いたヘルガーの背後から現れ、ヘルガーに爪の一撃を叩き込む。
「ヘルガー!」
そしてヘルガーは、戦闘不能となった。



今回は前半にムントとドランのバトル。いやあ、解放したドランって、書きやすいですね。まあそれは置いてといて、今のところは若干ドランが苦戦中、ですがそれでも一進一退、ほぼ互角ですね。後半はザキとレイのバトル。一応、この章の山場はこの二人のバトルです。ちなみにテッカニンが使用している技、潜るは、地面タイプ技で、穴を掘るとは違います。1ターン待ったりはせず攻撃し、素早さを下げたりする効果があります。では、次回はイリスとフォレス、シルラとサーシャのバトルを予定しております。次回もお楽しみに。

Re: 322章 鬣 ( No.381 )
日時: 2011/10/24 23:55
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

イリス対フォレス。
イリスはメタゲラスを使い、フォレスのコクジャクに苦戦していた。
「メタゲラス、グラビティコア!」
「コクジャク、瞑想!」
メタゲラスは超重力の黒い球体を放ち、コクジャクを押し潰す。
だがコクジャクは直前に瞑想をし、精神力を高めてその攻撃を耐え切る。
「コクジャク、エアスラッシュ!」
コクジャクは反撃にと、空気の刃を飛ばしてメタゲラスを切り裂く。瞑想を三回掛けしているので、効果いまひとつでもその威力は相当だ。
「接近だコクジャク!サイコバーン!」
コクジャクは勝負を決めに来たのか、メタゲラスに一気に接近し、念動力の爆発を起こして衝撃波を放つ。
「メタゲラス!」
メタゲラスは部屋が吹き飛ぶんじゃないかと思うような爆発に吹っ飛ばされ、転がりながら壁に激突。完全に目を回しており、戦闘不能だ。
「メタゲラス、戻ってくれ」
イリスはメタゲラスをボールに戻す。
メタゲラスはイリスのチョイスミスでやられたが、次はこうは行かない。イリスは新たなボールを取り出し、構える。
「さあ次はお前だ。出て来い、デンチュラ!」
イリスが繰り出すのは、黄色い蜘蛛のようなポケモン、デンチュラ。
一年前イリスとイッシュを旅した仲間の一体だ。
「デンチュラ、まずは雷だ!」
まずはとか言っておきながら、初っ端から大技。デンチュラは超高電圧の落雷をコクジャクに落とす。
しかしコクジャクは瞑想で特防がかなり上昇している。効果抜群の攻撃程度では、戦闘不能になったりはしない。
「その程度の攻撃じゃ、俺を倒すことはできないぜ。コクジャク、エアスラッシュ!」
コクジャクは翼を振り、空気の刃を飛ばす。
「デンチュラ、かわしてエナジーボール!」
デンチュラは素早い動きで空気の刃をかわすと、自然の力を凝縮した緑の球を無数に放つ。
「無駄だぜ。サイコバーン!」
コクジャクは念動力を爆発させ、それによって生じた衝撃波でその球を破壊するが
「デンチュラ、シグナルビーム!」
エナジーボールは目晦ましで、デンチュラの本命はこれだった。デンチュラはカラフルな光線を発射し、コクジャクを攻撃。
「雷だ!」
さらにそこに激しい雷も落とし、追撃する。如何に特防が上がったコクジャクでも、これだけ攻撃を撃ち込まれれば結構なダメージだ。
「ちっ、電磁波を使いたい所だが、今更な感じもするしな……コクジャク、エアスラッシュ!」
とりあえずコクジャクは空気の刃を飛ばすも、デンチュラは跳躍してその刃をかわす。
「デンチュラ、辻斬り!」
そしてコクジャクの翼を、鋭い爪で切り裂き、地面に落とす。
「っ!しまった……コクジャク!」
コクジャクは地面を這うように動くが、いきなり翼を攻撃されて上手く動けないでいる。
「止めだデンチュラ、雷!」
そしてデンチュラは地面を這うコクジャクに、激しく轟く雷を落とす。



「戻ってください、ヴォーナ」
「戻って、デンチュラ」
サーシャは戦闘不能のヴォーナ(ラグラージ)を、シルラはかなり消耗したデンチュラを、それぞれボールに戻す。
「それでは、次はこのポケモンで参ります。グルック(Gluck)!」
サーシャの二番手は、グルックことサーナイトだ。
「サーナイトか……勘だけど、耐久型と見た。だったら、出て来て、コマレオン!」
シルラが繰り出すのは、鬣ポケモンのコマレオン。大きなライオンのような姿で、褐色の鬣も大きく勇ましい。
「コマレオン、まずは剣の舞!」
先に動いたのは、コマレオン。コマレオンは剣のように鋭く舞い、攻撃力を高める。
「グルック、毒々」
意気揚々としているコマレオンに、グルックは毒液を放つ。毒液はすぐにコマレオンの体に染み込み、その体を蝕んでいく。
「やっぱり耐久型か……コマレオン、フレアドライブ!」
コマレオンは全身に燃え盛る火炎を纏うと、物凄い勢いでグルックに突っ込んでいく。
「グルック、願い事」
対するグルックは冷静で、天に何かを乞うように願うと、突っ込んでくるコマレオンをひらりとかわす。
「マジカルリーフ」
そして念力でコーティングされた葉っぱを無数に飛ばし、コマレオンを切り刻む。
「コマレオン、地震!」
コマレオンは襲い来る葉っぱなど気にせず、大地を揺るがす地震を引き起こし、その衝撃でグルックを攻撃。
しかし決まりが浅く、戦闘不能には至らない。
「グルック、もう一度マジカルリーフ!」
グルックは再度、念力でコーティングされた葉っぱを飛ばしてコマレオンを切り刻む。
「コマレオン、そんなの気にしないで!喰らいつく!」
コマレオンは鋭い牙を構え、文字通り喰らいつくようにグルックに飛び掛かるが
「サイコキネシス」
グルックは強力な念動力でコマレオンの動きを止め、そのまま床に叩きつける。
「もう一度です、グルック」
グルックは床に伏したコマレオンを持ち上げると、今度は壁に叩きつけた。
さらに
「おや、願い事が届きましたか」
グルックの体が淡い光に包まれ、その傷を癒していく。これはグルックが序盤に使った、願い事の効果だ。
「グルック、サイコキネシス」
グルックはまたもコマレオンを念動力で持ち上げ、床に叩きつける。
コマレオンは元々、あまり打たれ強くない。そろそろ体力の限界だろう。
だが、それがシルラの狙いでもある。
「コマレオン、フレアドライブ!」
コマレオンはグルックに向かって突進する。

膨大で強大な、灼熱の業火をその身に纏って。

「これは……!」
サーシャが目を見開く。コマレオンの炎の大きさに、気圧されたのだろう。
「コマレオンの特性、猛火だよ」
シルラは言う。
猛火とは、説明するほどでもないだろうが、ピンチになると炎技の威力が上がる特性だ。
そしてこのコマレオンは、剣の舞で攻撃力をかなり増大させている。それに猛火が加わったフレアドライブの威力は、相当なものだろう。
コマレオンの突撃が、グルックを捉えた。
グルックはあえなく吹っ飛ばされ、壁に激突。その場で戦闘不能。
毒、マジカルリーフ、サイコキネシスで消耗した上に、フレアドライブの反動を受けたコマレオンも、崩れ落ちて戦闘不能。
「……これは」
「引き分けだね」
サーシャとシルラは、それぞれのポケモンをボールに戻す。



今回は本編が長いので、あとがきは短く。えーイリスのデンチュラが久々登場しました、新しい技も覚えております。後半はシルラとサーシャのバトルです。シルラのエース、コマレオンの登場です。引き分けと書いてはいますが、今の所はシルラが既に一勝しているので、シルラが勝っているのですが。さて次回はムントとドラン、ザキとレイのバトルです、お楽しみに。

Re: 323章 失策 ( No.382 )
日時: 2011/10/25 16:15
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「では、第二戦に移りましょうか」
レイは先ほどまで戦っていたテッカニンをボールに戻し、言う。
「そうだな」
ザキも倒れたヘルガーをボールに戻しつつ返す。
そして両者、次のボールを構えた。
「お出でなさい、ヨノワール!」
「行ってこい、エレキブル!」
レイが繰り出したのは、頭に黄色いアンテナ、腹には大きな口がある手掴みポケモン、ヨノワール。
ザキが繰り出すのは、黄色と黒の体躯、背部から二本の触手が伸びる雷電ポケモン、エレキブル。
「エレキブル、グランボールダ!」
またも先に動いたのは、ザキのエレキブル。エレキブルは無数の岩石を浮かべ、ヨノワールを包囲するように放つ。
「ヨノワール、サイコキネシス」
だがヨノワールはその襲い来る岩石を、強力な念動力で止めた。
「このような物はいりませんので、お返しします」
そしてそのまま無数の岩石を、エレキブルに向けて飛ばす。
「ちっ、エレキブル、アイアンテールで打ち落とせ!」
エレキブルは硬化させた二本の触手を鞭のように振るって飛来する岩石を砕いていくが、何発かは喰らってしまう。
「ヨノワール、鬼火です」
ヨノワールは青白い不気味な火の玉を無数に浮かべ、エレキブルへと放つ。
「エレキブル、まとめてぶっ飛ばすぞ!ギガスパーク!」
エレキブルは巨大な電撃の球体を作り出し、それを放って鬼火を次々と打ち消していき、最後にはヨノワールをも巻き込む。
「今だ、ウッドハンマー!」
エレキブルは電撃がスパークする中、ヨノワールに接近。樹木の力を込めた拳を鉄槌のように振りかぶり、ヨノワールに叩き込むが
「ヨノワール、喰らいつく!」
ヨノワールはその一撃では怯まず、腹の口でエレキブルに齧り付いた。
「くっ、ウッドハンマー!」
エレキブルは引き剥がそうとしたのだろう、樹木の力を込めた鉄槌を振り下ろすが、堅いヨノワールはその程度では拘束を解いたりはしない。
「鬼火!」
ヨノワールは腹の口から鬼火を放ち、喰らいついているエレキブルの腹を、間近で焼く。
エレキブルもこの攻撃には堪えるのか、苦しそうに呻く。
「ヨノワール、雷パンチ!」
レイとヨノワールは調子付いてきたのだろう、拳に電撃を纏わせてエレキブルを殴る。
だがそれは、レイにしてはつまらない失策だった。
「エレキブル、アイアンテール!」
エレキブルの硬化された二本の触手がヨノワールに叩き込まれる。すると遂にヨノワールは拘束を解き、エレキブルは解放された。
そして
「ウッドハンマー!」

エレキブルは、レイの視界から消えた。

「え……?」
レイが困惑する中、エレキブルはいつの間にかヨノワールの背後に回っており、樹木の鉄槌を振り下ろす。
「い、今のは……」
「特性、電気エンジンだ」
ザキは、困惑するレイに言う。
「電気エンジンは、電気技を受けると素早さが上がる特性……ったく、まさかそんなことも知らねえとはな……呆れたもんだ」
ザキが言うと、エレキブルはいつの間にかヨノワールから距離を取っていた。これも電気エンジンの効果だろう。
「……まさかの失策でしたね。わたしが、こんな初歩的なミスをするとは」
レイはさほど悔しがらず、かと言って落胆もせず、淡々と答える。
「今日は調子が良いですから、もう少し付き合ってあげましょうか」
レイは、余裕の笑みを浮かべて言った。



「ネクロシア、シャドークロー!」
「ワラガシラ、シャドークロー!」
ムント対ドランの一対一のシングルバトル。
ネクロシアの影の爪と、ワラガシラの影の爪がぶつかり合う。
「炎のパンチ!」
ワラガシラの炎の拳がネクロシアを捉えるが
「アイスブレード!」
ネクロシアの氷結した鋭い鎌も、ワラガシラを切り裂く。
両ポケモンとも一歩退き、睨み合う。
「そろそろ、そのネクロシアも体力が尽きてきたんじゃない?」
「それを言うなら、お前のワラガシラもだろう」
「まーそうだねー……そろそろ、決着かな」
ドランはフッと笑った(ような気がした。表情が見えないため不明)。
「ワラガシラ、シャドークロー!」
ワラガシラは掌の黄色い部分から棘のような影の爪を作り出し、突き刺すつもりでネクロシアへと突き出す。
「ネクロシア、シャドークロー!」
ネクロシアもその爪に対し、両手に作り出した影の爪を操って絡め取り、動きを封じた。
「辻斬り!」
そしてその場で一回転し、ワラガシラの急所を切り裂く。効果抜群でもあるので、相当なダメージだろう。
「ワラガシラ、やられっぱなしじゃあダメだよ。ニードルアーム!」
「クロスチョップだ!」
ワラガシラは両腕にびっしりと棘を生やし、ネクロシアに叩きつけようとするが、ネクロシアは交差させた手刀を振り下ろしてワラガシラの両腕を弾き飛ばす。
「アイスブレード!」
そしてその隙に、ワラガシラを氷結した鎌で切り裂く。
「うーん……そろそろワラガシラも限界っぽいなぁ……よし、ならワラガシラ、最後はパーッと、派手に終わらせようか!」
ドランは見た目に反して熱い口調で叫ぶように言い、そして

「ギガスパーク!」

ワラガシラは今までで一番大きな電撃の球体を頭上に作り出す。その大きさは徐々に大きくなっていき、膨張していく。
大きさが臨界点に達すると、ワラガシラは振り上げていた両手を勢いよく振り下ろし、ネクロシアへと放つ。
バチバチバチ!と耳をつんざくような、雷鳴が轟くような轟音を響かせながら、電撃がスパークする。
果たして、ネクロシアは——

「ネクロシア、辻斬り!」

——まだ、生存していた。
ネクロシアは弾ける電撃の中を突っ切り、ワラガシラに急接近。そして下半身の鋭い鎌を振るい、ワラガシラを切り裂いた。
その姿はまるで、魂を狩る死神のよう……



今回は前半にザキ対レイのバトル。レイは調子に乗ってエレキブルに雷パンチを当ててしまいますが、結構余裕です。まあ、一応序列四位ですからね、腕には相当自信があるのでしょう。後半はムントとドランのバトル。ワラガシラは最後には、ネクロシアによって魂を狩られました……比喩ですけどね。さて今回でひとまずムントとドランのバトルは終了。次回はイリスとフォレスのバトルとかをやったりして、そろそろこの第十一幕にも幕を引きましょう。では、次回もお楽しみに。

Re: 324章 機敏 ( No.383 )
日時: 2011/10/26 23:58
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ちっ、いくら俺の手持ちで最も弱いとはいえ、解放状態でのコクジャクがやられるとはな……」
フォレスはコクジャクをボールに戻しながら、愚痴るように言う。
「まーでも、最初のズルズキン、次のメタゲラス、最後のデンチュラで、6タイプ入手できた……おっと、ドランが戦ってる野郎のポケモンを合わせれば、さらに2タイプ。計8タイプか」
そういえば、イリスはそのことを完全に忘れていた。カセットを作るのに足りないタイプは13だと言っていたから、これで残りは5タイプ。
「さーて、どうするかな。このままバトルを継続させるか、それとも——」
とフォレスが思案していると、フォレスの無線機に通信が入った。
「誰からだ……? 何だ」
『フォレス、聞こえるー?』
声の主は、7Pのフレイだった。
「フレイか。どうした?」
『えっと、報告かなー? もし誰かと交戦中なら、そのバトルを早めに切り上げて戻れって、ゲーチスがー』
フォレスはやや怪訝そうに眉を寄せるが、そうか、とだけ返し、通信を切断する。
「さてと、俺達は撤退するが、お前達はどうするよ」
「……追えるものならおいたいところだけど、残念なことに今回、僕らの目的は仲間の救出だ。だからそっちを優先させる」
「あっそ……おーい、ドラン!」
フォレスはイリスに言葉を適当に返すと、今し方バトルを終えたドランを呼ぶ。
「ドラドーンを出せ!撤退だ!」
「りょうかーい」
ドランは子供っぽく言うと、新たなボールを取り出し、天空に向かって投げる。
出て来たのは、見るものを圧倒するほど巨大な神龍ポケモン、ドラドーンだ。
初めにドランが、次にフォレスが、そのポケモンに素早く乗り込む。
「じゃあな英雄ども!俺達はこの辺でお暇するぜ!」
「ばいばーい」
そしてフォレスとドランは、空の彼方へと消えていった。



場所は変わり、最終ラウンド。ザキ対レイ。
「エレキブル、ウッドハンマー!」
エレキブルは電気エンジンによる加速も合わせ、ヨノワールに樹木の鉄槌を叩き込む。火傷で攻撃力が下がっているとは思えない威力だ。
「ヨノワール、喰らいつく!」
ヨノワールは接近してきたエレキブルに、腹の口で喰らいつこうとするが
「かわしてグランボールダ!」
エレキブルはそのずんぐりとした体にしては機敏な動きでヨノワールの攻撃を避ける。そして空中に無数の岩石を浮かべ、ヨノワールを包囲するようにして放つ。
「くっ、ヨノワール、サイコキネシスで抜け出しなさい!」
ヨノワールは岩石の塊に閉じ込められてしまい、念動力で砕こうにも力が足りない。ヨノワールは防御能力は高いが、攻撃能力は低いのだ。
「エレキブル、アイアンテール!」
エレキブルは背部から伸びる二本の触手を鋼鉄のように硬化させ、ヨノワールを幽閉した岩石の塊に叩きつけ、砕き散らしてヨノワールを吹っ飛ばす。
「これで終わりだ、ギガスパーク!」
エレキブルは両手と触手を天に向け、全身の電気を一点に集中させる。
電気は一つの球体となり、その大きさは次第に巨大化していく。
「あれは避けられないですね……ヨノワール、防御しますよ!鬼火とサイコキネシス!」
ヨノワールは青白い鬼火を放ち、それをサイコキネシスで操って密集させ、盾のようにする。
これはその昔、イリスのデスカーンが使っていた戦法だ。
「やれ、エレキブル!」
エレキブルは最大まで巨大化した電撃の球を放つ。球は鬼火の壁にぶち当たり、止まる事無く突き進む。
そしてヨノワールを捉えた。ヨノワールは激しい電撃を浴びて全身を痺れさせ、電気が消えると地面に伏した。
「……戻りなさい、ヨノワール」
レイは戦闘不能となったヨノワールをボールに戻す。
「戻れ、エレキブル」
そしてザキも、エレキブルをボールに戻した。
「今のところは互いに一勝一敗。正直わたくしとしては、解放状態でここまで押されるとは思いもしませんでした」
レイは特に驚いた風もなく、淡々と言う。
「ですがそれも、次の一戦で決まりますけどね。さあ、始めましょうか、最後のバトルを」
レイはそう言いながら、ボールを構える。
「……ごちゃごちゃとうるせえなぁ……」
ザキは心底レイのことが鬱陶しいとでも言うように、ボールを構えた。
「お出でなさい、ヤミクラゲ!」
「行ってこい、テペトラー!」
レイが繰り出したのは、目が退化したクラゲポケモン、ヤミクラゲ。
ザキが繰り出すのは、鋭い眼光を持つ河童ポケモン、テペトラー。
どちらも水タイプだが、格闘タイプを持つテペトラーの方が、悪タイプを持つヤミクラゲに有利だ。
「……ここは報告にあった例のブーバーンが来ると読んでいたのですが……外れてしまいましたか」
「当たり前だ。お前如きに、俺の考えが読めるものか」
暴君舐めんな、と最後にザキは付け足すように呟く。
「……まあ、相手が誰であろうと何であろうと、わたくしのポケモンはそう簡単には倒せませんけどね」
「ほざけ。てめえのポケモンなんざ、速攻でぶっ飛ばしてやんよ」
レイとヤミクラゲ、ザキとテペトラーは、それぞれ構えた。
ザキ対レイ。このP2ラボでの戦いの最終楽章が、今始まる。



さて、前回のイリスのとフォレスのバトルを〜とか言いましたが、ごめんなさい、この二人のバトルは終了させる方向にしました。フォレスはドランとともに去っていきます。ちなみに、他の人達(一部除く)も撤退しています。今回は前半が短く後半が長いです。後半はザキとレイのバトルの続きです。結局、ヨノワールはエレキブルにやられてしまいました。まあ、あれはゲームで言うコマンドミスですね。さて、次回は久しぶりに一章丸々使って二人のバトルを書きつつ、この戦いを終結させようと思います。ではでは、次回もお楽しみに。


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