二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
- 日時: 2013/04/14 15:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394
今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。
参照をクリックすれば前作に飛びます。
では、英雄達の新しい冒険が始まります……
皆様にお知らせです。
以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
となっています。
皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。
登場人物紹介等
味方side>>28
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624
目次
プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695
第十六幕 錯綜
一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756
第十七幕 決戦
零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕
>>774 >>812 >>818
最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851
2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825
あとがき
>>852
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171
- Re: 330章 滑空 ( No.399 )
- 日時: 2011/10/27 21:42
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「出て来い、エルレイド!」
イリスは戦闘不能となったディザソルをボールに戻すと、次に格闘タイプを持つエルレイドを繰り出した。
「エルレイド、リーフブレード!」
エルレイドは草木の力を刃に宿し、コーシャンに斬り掛かる。
「コーシャン、かわして辻斬りだ!」
コーシャンはエルレイドの一閃を跳躍してかわすと、鋭い爪を構え、エルレイドに襲い掛かる。
だが
「エルレイド、ドレインパンチ!」
エルレイドはコーシャンに切り裂かれながらも、淡い光を纏った拳でコーシャンを殴り飛ばす。
「コーシャン!」
吹っ飛ばされたコーシャンは、効果抜群の攻撃にディザソルから受けた傷もあって、戦闘不能となった。
「戻れ、コーシャン」
オーバはコーシャンをボールに戻す。
「さあて、次はこのポケモン、散らすぜ火の粉、ヒササビ!」
オーバが繰り出したのは、火ネズミポケモンのヒササビ。燃える炎のような体色を持つ、モモンガのようなポケモンだ。
「ヒササビ、滑空!」
ヒササビは大きく跳躍すると、足と手の間にある膜を広げ、文字通り大空を滑空する。
空中を滑るように動くヒササビは、エルレイドに横から突撃して攻撃する。
「くっ、エルレイド、アイスブレード!」
エルレイドは両肘の刃を氷結させ、ヒササビに斬り掛かる。しかしヒササビには当たらない。
「無闇に振り回しても当たんないぜ、アイアンテール!」
ヒササビは滑空しながらエルレイドに接近し、硬化させた尻尾を叩きつける。
「アイスブレード!」
エルレイドはカウンターに氷結した刃を振るが、ヒササビの尻尾を少し掠めただけに終わった。
「ヒササビ、ドラゴンダイブだ!」
ヒササビはエルレイドから距離を取り、全身に凄まじい殺気を纏って龍の如き勢いでエルレイドに突っ込む。
エルレイドはその突撃を真正面から喰らってしまい、吹っ飛ばされる。
「エルレイド、立ち直せ!サイコカッター!」
エルレイドは素早く立ち上がると、刃に念動力を纏わせ、一閃して飛ばす。
だがその斬撃も、ヒササビには当たらない。
「あの滑空が厄介だな……!」
ヒササビは空中を滑るように移動している。この移動は独特なもので、イリスは今までに見たことがなく、だからこそどう対応すればいいのかが分からない。
「でも、とりあえずは攻撃するしかないよな。エルレイド、もう一度サイコカッター!」
エルレイドは刃に纏わせた念動力を、一閃、いや何度も二閃三閃して無数に飛ばす。
すると下手な鉄砲もなんとやら、無数に飛ばした刃のうち数発が、ヒササビを切り裂いた。
「よし、そのまま行くぞ!アイスブレード!」
エルレイドは切り裂かれて怯んだヒササビに急接近し、氷結させた刃で切り裂く。
「ヒササビ、アイアンテール!」
ヒササビは鋼鉄の如く硬化させた尻尾を振り、エルレイドを攻撃。
「オーバーヒートだ!」
さらに過剰な熱量により発生した激しい火炎を放出し、エルレイドの体を焼いていく。
「くぅ、エルレイド、退け!」
エルレイドは指示通り、激しい炎に焼き尽くされる前に、炎から脱する。
「逃がさないぜ、ドラゴンダイブ!」
ヒササビは自分で発生させた炎を突っ切り、凄まじい殺気を発しながらエルレイドへと突進。
「エルレイド、迎え撃て!ドレインパンチ!」
エルレイドは拳を淡く発光させ、突っ込んでくるヒササビにタイミングを合わせて突き出す。
だが結果、ヒササビの方がパワーは上だった。元々の攻撃力はエルレイドの方が上だろうが、技の威力や相性も合わせるとエルレイドはヒササビに負けてしまう。
「どんどん行くぜ、オーバーヒート!」
ヒササビはさっきよりも威力が大分減衰しているが、強大な炎を放つ。
「エルレイド、突っ切ってサイコカッター!」
ヒササビは最後の一撃や、能力増加での連発などは狙っていないらしく、二発目のオーバーヒートはエルレイドでも突っ切れるほどだった。
エルレイドは炎の壁を突き破ると、念動力を纏った刃でヒササビを切り裂く。
「追加だ、アイスブレード!」
「弾き返せ、アイアンテール!」
エルレイドは追撃にと氷結させた刃でヒササビにと斬り掛かるが、ヒササビは鋼鉄のように硬化させた尻尾を振るい、エルレイドの刃を弾く。
「オーバーヒート!」
そして最初よりも大分威力が弱まった火炎を放つ。しかしそこ腐っても炎タイプの大技、威力が四分の一になったもののエルレイド一体を包み込むことくらいはできた。
そしてその隙に、ヒササビはエルレイドから距離を取る。
「くっ、逃がしませんよ。エルレイド、サイコカッター!」
「ヒササビ、かわしてオーバーヒート!」
ヒササビはエルレイドが飛ばした念動力の刃を滑空でかわし、もはや火の粉のような炎を口から発射して攻撃する。
「もう一発、オーバーヒート!」
「エルレイド、リーフブレード!」
ヒササビが放つ火の粉にもならないような炎(いやもう火だ)を、エルレイドは草木の力を宿した刃で斬る。
「エルレイド、サイコカッター!」
「ヒササビ、ドラゴンダイブ!」
エルレイドは刃に念動力を纏わせて斬り掛かり、ヒササビは凄まじい殺気を発しながら勢いよくエルレイドへと突っ込む。
両者が激突し、互いにせめぎ合う。
しばらく膠着状態が続くと、次第に体力のあるエルレイドが押し始めた。
ヒササビは必死で抵抗するが、エルレイドには敵わない。
最終的に、エルレイドは右の刃でヒササビの突撃の威力を打ち消し、左の刃を一閃して切り裂き、ヒササビを地面に落とす。
戦闘不能だ。
「よくやったヒササビ、戻れ」
オーバはヒササビを戻し、最後のボールを手に取る。
「こいつで最後か……さあ、最高に燃えるぜ、ベタデーム!」
オーバの最後のポケモンは、統御ポケモンのベタデーム。
直方体に近い体つき、上部は黒で他は赤色という体色、そして水・炎というこれまた珍しい混合タイプを持つポケモンだ。
「エルレイド、たぶんあのポケモンは強敵だ、気合入れていくぞ……サイコカッター!」
エルレイドは念動力を刃に纏わせ、一閃してその刃を飛ばす。
そして
「ベタデーム、ダイヤブラスト!」
ベタデームは宝石のように輝く光線を発射し、サイコカッターを粉砕、エルレイドを吹き飛ばした。
「っ、エルレイド!」
吹っ飛ばされたエルレイドは、完全に目を回していて戦闘不能だ。
「先に言っておくと、このベタデームを甘く見てると火傷するぜ」
オーバは言う。
「こいつは俺の手持ちの中で、最も攻撃能力が高いからな」
イリス対オーバ、第四バトルです。エルレイドはコーシャンを速攻で下し、相性で劣るヒササビをも倒しました。ヒササビはたぶん、オーバの手持ちの中で一番多くオーバーヒートを使っています。ちなみに、オーバは炎技のオーバーヒートが自分の名前と似ているから炎タイプ使いになったそうです。僕がオーバーヒートに固執するのもそのためですね。さて、次回は熱血アフロことオーバとのバトル、決着になると思います。では、お楽しみに。
- Re: 331章 燃焼 ( No.400 )
- 日時: 2011/10/27 22:51
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「出て来い、デンリュウ!」
イリスは倒れたエルレイドをボールに戻し、最後のポケモン、デンリュウを繰り出す。
「デンリュウ、メガショック!」
デンリュウはバチバチと弾ける電撃を放つ。
「ベタデーム、熱湯!」
だがベタデームはその電撃を、あろうことか熱湯をぶつけるだけで相殺してしまった。
エルレイドの攻撃を簡単に打ち破ったことといい、これといい、どうやら攻撃能力が最も高いというのはハッタリではないようだ。
「もう一度行くぜ、熱湯!」
ベタデームは再度煮えたぎる熱湯を発射する。デンリュウは横に跳んでその攻撃をかわし、ベタデームに接近。
「デンリュウ、炎のパンチだ!」
デンリュウは拳に炎を灯し、渾身の力で殴りつける。
だがベタデームは水と炎タイプ。炎技の威力は四分の一になってしまい、効果は薄い。
「アイアンテール!」
さらに体を回転させ、鋼鉄の尻尾も叩き込む。だがこれも、効果は薄い。
「そんなんでベタデームが倒れるかよ、ダイヤブラスト!」
ベタデームは宝石のように輝く白色の光線を発射。デンリュウは寸での所でそれを回避し、掠り傷程度で済んだ。
「やっぱり接近戦はダメだな……デンリュウ、一旦下がってメガショック!」
デンリュウは後ろに飛び退き、弾ける電撃を放ってベタデームを攻撃。
しかしベタデームはほとんど動じない。どうやらこのベタデーム、特攻だけでなく特防もそこそこ高いようだ。
「だったら次は、パワージェム!」
デンリュウは続け様に煌く宝石を無数発射し、ベタデームに打ち付ける。この技も効果抜群だが、ダメージはメガショックとほぼ同じ。
「さて、今度はこっちの番だ。ベタデーム、シャドーボール!」
ベタデームは顔の正面に黒い影の球を作り出し、デンリュウへと放つ。
「デンリュウ、弾き返せ!アイアンテール!」
デンリュウは鋼鉄の如く硬化させた尻尾を鞭のように振るい、影の球を弾いてベタデームにぶつける。無論、メガショックでも動じなかったベタデームだ、そんな攻撃には何の反応も示さない。
「ベタデーム、熱湯!」
ベタデームは熱く煮え滾る熱湯を放ち、デンリュウを攻撃。デンリュウも回避が少し遅れてしまい、直撃ではないがその攻撃を喰らってしまった。
「デンリュウ、大丈夫か!?」
思いの外その熱湯の威力は高く、デンリュウは火傷し、結構なダメージも受けた。
だが、ベタデームの攻撃は止まらない。
「どんどん行くぞ、シャドーボール!」
ベタデームは影の球を発射する。
「くっ、炎のパンチで弾き返せ!」
デンリュウはアイアンテールの時のように、炎を灯した拳で弾き返そうとするが、火傷で攻撃力が下がったためか、弾けずにデンリュウはその球を喰らう。
「ダイヤブラスト!」
そこにベタデームは、宝石のように輝く光線を発射。光線は矢のようにデンリュウに向かってまっすぐ飛び、デンリュウを貫く。
「デンリュウ!」
デンリュウは倒れそうになるが、なんとか持ち堪え、体を起こす。
「へぇ、頑張るじゃねえか、そのデンリュウ。でも、もうすぐお終いだ。決めるぞ、ベタデーム!」
オーバもベタデームも、燃え上がったように気迫が増す。
「ベタデーム、オーバーヒート!」
ベタデームは全身から強大で膨大な火炎を放出し、デンリュウへと襲い掛かる。
その攻撃範囲はデンリュウが避けられるものでもないし、その破壊力もデンリュウが耐えられるものではない。
「くっ、デンリュウ、メガショックだ!」
イリスは無駄な足掻きだと分かりつつも、デンリュウにそう指示を出す。
せめて威力が多少なりとも緩和されればいいと、そのくらいの気持ちで指示をした。
しかし
デンリュウは天空から激しく轟く稲妻を落とし、ベタデームが放つ炎を吹き飛ばした。
「なんだとっ!?」
「い、今のは……!?」
オーバとイリス、両者ともに驚く。
イリスは慌てて図鑑を開くと、デンリュウは新しい技を覚えていた。
「雷……!」
雷、電気タイプ技で、トップクラスの威力を誇る技だ。
「デンリュウ、雷を覚えたのか……!」
イリスは感動とともに、これならベタデームを倒せるかもしれないと、希望も湧いてきた。
「よし、行くぞデンリュウ!雷だ!」
デンリュウは天に電撃を放ち、すぐさま雷鳴を轟かせながらベタデームに稲妻を落とす。
ベタデームには、効果覿面だった。
「いいぞ、これなら行ける……!」
イリスには、勝機が見えてきた。
「さあ、止めを稲妻だ!デンリュウ、雷!」
「そう簡単にやられてたまるかよ!ベタデーム、オーバーヒート!」
デンリュウの稲妻と、ベタデームの火炎がほぼ同時に放たれる。
だが勝負は行うまでもなく決していた。
雷は最初の初撃、べたデームのオーバーヒートを一発で吹き飛ばした。それだけで雷の威力は証明され、しかもベタデームは既に一発オーバーヒートを使用しているため、二発目は威力が下がる。
なのでデンリュウの雷はベタデームの火炎を吹き飛ばし、その黒と赤の体に稲妻を突き刺す。
「ベタデーム!」
全身を痺れさせたベタデームは、ほどなくして力なく倒れた。
「……戻れ、ベタデーム」
オーバは戦闘不能となったベタデームを、力なくボールに戻す。そして
「……フゥ、燃え尽きちまったぜぃ……」
それこそ力なく、本当に燃え尽きたように、そう呟いた。
なにはともあれ、イリス対オーバのバトルは、イリスの勝利である。
イリス対オーバのバトル、今回は決着でした。オーバのこのバトルでの切り札級のポケモン、ベタデームですが、終わってみると他のポケモンよりも地味だったような気がしなくもないです。まあそんなことはどうでもよいのです、今回はデンリュウが新技、雷を習得です。今までやけに敗北率の高かったデンリュウですが、これからはそんなことも減る(だろうと信じたい)でしょう。さて次回からは十二幕。そろそろあの救世主の三匹を出してやろうと思います。というわけで、次回もお楽しみに。
- Re: 332章 大穴 ( No.401 )
- 日時: 2011/10/28 00:05
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「父さん、お願いがある」
ある日、某所のポケモンセンターにて、イリスは父イリゼと向かい合い、単刀直入にそう言った。
「何だ?」
イリスはいつも通り、軽い感じではあるが、どこかどっしりとした声でそう返す。
そして
「僕とバトルをして欲しいんだ!」
「断る」
ズバッと
イリスのお願いは一刀両断にされた。
「な、何でだよ!」
流石のイリスも、怒鳴らずにはいられない。まさかこんな即答で断られるとは微塵も思っていなかった。
「お前が俺と戦うなんざ、百万光年早いわ」
古典的な間違いをするイリゼ。
だがイリスはツッコまない。今、話の腰を折ってはいけないからだ。
「で、でも、僕だって相当強くなってるはずだ。だから勝てるかどうかは置いておくにしても、いい勝負にはなるんじゃないかな?」
「……はっ」
鼻で笑われた。
「お前が強くなったのは認めるが、俺だって今も成長してんだぜ?」
「身長は全く伸びてないけどね」
見事な幼児体型。いやまあ、男なのだが。
「お前は強い、だが俺はもっと強い。同じペースで強くなってたら、絶対に俺が勝つ。そんなのも分からずに勝負を挑むなんて、笑止千万だぜ」
イリゼはいつになく厳しい口調で言う。だからか、イリスは声も出ない。
「……まあでも、それで挑戦権を完全に剥奪することもないな」
イリゼは仕方ない、と言わんばかりに言う。
「イッシュのジムリーダー十人。四天王四人。チャンピオン一人」
イリゼは唐突に、そんなことを言い出す。
「こいつら全員倒せ」
「……へ?」
イリスは間抜けな声を出してしまう。
「全員倒せって……四天王やチャンピオンはともかく、ジムリーダーは全員倒して——」
「バーカ」
イリゼはイリスの言葉を遮り、罵倒する。
「ジムリーダーだって日々強くなってんだ。お前が戦った頃より、今は断然強い。だからこそ再戦すんだろうが」
イリゼの言っていることはもっともで、イリスも成程と頷く。
「……うん、つまり、今父さんが言った人達を全員倒せばいいんだね?」
「そういうこった」
かくして、イリスはイリゼと戦う権利を得るため、再度ジムリーダーと戦う事となった。
しゃりん!
と、そんな音が鳴り響いた。
場所はサンヨウシティ。イリスはまずこの街のジムリーダーと戦おうとしたのだが、なんだか懐かしい街なので、なんとなく夢の跡地の方へ向かっていたら、辻斬りされた。
イリスは、なんだか前にもこんなことがあったなぁ、とか思いながら反射的に身を退く。
「……ああ、またやっちゃった……」
イリスは以前にもそんな台詞を聞いた気がすると思いつつ、刀の先、刀の持ち主へと視線を動かす。
そこには、イリスよりも少し背の低い少女。
「……アカリさん?」
「……イリスさん、ですか?」
そこにいたのは、一年前も辻斬りを受け知り合ったトレーナー、アカリだった。
「お久しぶりです。えーっと、一年くらいでしょうか」
辻斬りを通じて再会したイリスとアカリは、夢の跡地にて適当に雑談していた。
「イリスさんはお変わりないようで」
「それを言ったらあなたもです……まあ僕は、ここ最近の生活が様変わりしましたけどね」
「……プラズマ団、ですか?」
アカリはズバリ言った。
「そうですね。奴ら、最近めきめきと力をつけてきて、正直、かなり苦しい状況です」
プラズマ団は現在、キュレムを復活、操作することが出来るアイテム、境界の水晶を所持している。さらにミキのポケモンも一体奪われ、さらには古生代ポケモンとやらも製造している。
「……私も、下っ端くらいならこここ最近戦ったりしていましたが、どうやら話を聞く限り、敵は幹部が基本的に動いているようですね」
「そのようです。僕も行く先々で幹部とばかり戦っています……ああでも、まだ二人ほど戦っていない奴がいましたね」
会った事、見た事はあったが、戦ってはいない。
アシド、フレイ、フォレス、レイ、エレクトロ。この五人、序列七位から三位までの下位五人の幹部と、イリスは戦った。
「でもまだ二人、奇怪な言葉を話す人外っぽいのと、もう一人——」
バゴォン!
と、その時、破砕音が轟く。
「っ!何事ですか!」
アカリはサッと立ち上がり、腰の刀に手を伸ばす。臨戦態勢に入っているようだ。
破砕音は轟音だけでなく地響きも生み、地面が揺れる。イリス達は立っているだけで精一杯だ。
「……収まった……か?」
イリスはゆっくりと立ち上がる。どうやら地響きは収まったようだ。
「一体、何が——」
イリスは辺りを見回すと、とんでもないものを見てしまった。
「こ、これは……!」
「なんて事……」
夢のエネルギーが眠る場所、夢の跡地。
その地面には巨大な穴が開けられ、中には荒廃した研究施設が覗いていた。
「まさか、ここの地下にこんな場所が——」
バシュバシュッ!
ギギンッ!
最初の音は、放たれる音。小さな鉄の塊が飛び出す音。
次の音は、小さな鉄の塊が、他の鉄に高速でぶつかって弾かれる音。
まどろっこしい描写など抜きにすれば、その音は、拳銃による発砲音と、その飛来する弾丸を刀で弾き飛ばした音だ。
さらにそれに人物も付加させれば、何者かが拳銃を発砲し、その弾丸をアカリが居合い抜きの要領で弾き飛ばした。
「……まさか、弾くなんて思いもしませんでしたね」
近くの草薮から、一人の人間が現れる。
軍服に自動式揮拳銃を携えているその者は、プラズマ団のサーシャだ。
「お前は——」
「まあですが、私の役目はこれで終わりです」
サーシャはイリスの言葉を遮り、拳銃をホルスターに収める。
「さようなら」
『っ!?』
次の瞬間、イリスとアカリは目に見えない力に、突き飛ばされた。
そしてその先は、深き穴。
二人は夢の跡地に眠っていた地下へと、落ちていく。
「……よくやりましたよ、サーシャ」
草薮からもう一人の人物と、ポケモンが出て来る。
それは7Pのレイと、そのポケモンヨノワール。さっきイリス達を突き飛ばしたのは、サイコキネシスだ。
「いえ、私は任務を遂行しただけです」
サーシャは事務的に、しかし少々嬉しそうに言う。
「……偶然とはいえ、ここに英雄さんが来たのは彼らにとっては幸運でしたね」
レイは冷たい氷柱のような声で言う。
「監視の私達の務めはこれで終了。あとはフレイちゃんと、ガイアさんに任せるとしましょうか……」
さて、色々書きたいことはありますが、本編が長いので伝えることだけを言います。まずは黒影さん、アカリを登場させて頂きました。キャラ崩壊などの不備があればお申し付けください。さて次回は夢の跡地の地下です。ゲームクリア後に行けるあそこですね。まあそんなに長くはならないでしょう。次回もお楽しみに。
- Re: 333章 棚上げ ( No.402 )
- 日時: 2011/10/28 00:48
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「いつつ……アカリさん、無事ですか?」
「はい、なんとか……」
イリスとアカリは夢の跡地地下へと続く大穴に向かって突き飛ばされ、盛大に転がって全身を強く打ち付けていた。
「ここは、夢の跡地の地下……研究所っぽいですね」
「噂には聞いていましたけど、本当にあったとは……」
イリス達は辺りを見回すが、しかし見学の時間はなかったようだ。
「レイから連絡を受けて来たが、本当に英雄が来るとはな」
「すっげーグッドタイミングだもんねー。ま、あたし達としてはバッドタイミングだけどー」
二人の前に現れたのは、7Pのガイアと、同じく7Pのフレイ。
「さて、貴様らは偶然居合わせただけなのだろうが、我らは今、重大な任務中だ。正直邪魔されたくはない」
ガイアは率直に言う。
「だが貴様らは我らの敵、その逆もまた然り。だから貴様らは、何が何でも我らの任務を邪魔するだろうが——」
「ガイアって回りくどいなー。つまり今は重要な任務中で、邪魔されたくないから君らの相手はあたし達がするって言いたいんだよねー」
ガイアの言葉を遮って言うフレイ。
だが確かにガイアは回りくどい。
「……まあそういうわけだ。覚悟してもらうぞ英雄。出撃、ハサーガ!」
「ノコウテイ、出番だよー」
ガイアが繰り出すのは黄土色の蛇のような体に五つの頭を持つナーガポケモン、ハサーガ。
フレイが繰り出すのは巨大な黄色と水色のツチノコのような土蛇ポケモン、ノコウテイ。
「……ここは、やるしかないな」
「ですね」
イリスとアカリは視線を合わせ、それぞれボールを取り出す。
「出て来い、リーテイル!」
「お願いします、フー!」
イリスが繰り出すのは、エース、リーテイル。
アカリが繰り出すのは、オコジョのような姿の武術ポケモン、フーことコジョンドだ。
「アカリさん、あの五首は僕がやります」
「では私は、あの巨大なツチノコですね」
イリスはガイアに、アカリはフレイに、それぞれ向き合う。
まずはアカリとフレイ。
「へぇ、そっちも随分とキャラが豊富だねー」
フレイはバトルが始まるなり、そんな事を言い出す。
「この前の妹ちゃんもなかなか良かったけど、今度はロリで来たかー」
アカリはその言葉に反応したが、しかしバトル中なので何も言わない。
というか、フレイは自分のことを棚上げしている気がしてならない。
「フー、ヨガのポーズ」
フー(コジョンド)は瞑想に似たポーズを取り、攻撃力を高める。
「ノコウテイ、スピンテールだよー」
ノコウテイは飛び上がり、体を捻って尻尾に回転を掛け、フーに叩きつけるが
「フー、見切りです」
フーはノコウテイの攻撃の軌道を見切り、最小限の動きでその尻尾をかわす。
「ドレインパンチ!」
そしてすぐさま拳に淡い光を纏い、ノコウテイの巨体に叩き込む。
「ノコウテイ、潜るだよー」
だがノコウテイは効果抜群の技にも動じず、地面に潜り、すぐさま地上に出て来てはフーを吹っ飛ばす。
「まだまだ行くよー。ドラゴンダイブだー」
ノコウテイは凄まじい気迫を発しながら、龍の如き勢いでフーに突撃する。
「フー、見切りで回避。ドレインパンチです」
フーはノコウテイの攻撃を見切りでかわし、脇腹にドレインパンチを叩き込む。
「むむぅ、これまた強敵っぽいなー……よーし、ノコウテイ、怒りの炎だよー」
ノコウテイは口から、怒り狂ったように炎を吹き出す。
フーは燃え盛る炎をかわし切れず、体毛は徐々に焼かれていく。
「ドラゴンダイブだー」
そこに凄まじい殺気を放ちながらノコウテイが突っ込む。ノコウテイは炎を消し飛ばしながら、フーをも吹っ飛ばす。
「くっ、フー、大丈夫ですか?」
フーは結構なダメージを受けたようだが、まだ戦闘不能ではない。
「ここは一旦戻すのが賢明ですね……フー、とんぼ返り!」
フーは物凄い勢いでノコウテイに突っ込むと、突撃の反動を利用して後ろに大きく後退——かと思えば、アカリのモンスターボールへと戻っていく。
「とんぼ返りは使用したポケモンをボールに戻し、次のポケモンを出す技。では、お願いします、イーグル!」
アカリが交代で繰り出すのは、勇猛ポケモン、イーグルことウォーグルだ。
「イーグル、爪とぎです」
イーグル(ウォーグル)は地面に降り立つと、硬い地面で爪を研ぎ、攻撃力と命中率を増していく。
「まずは能力アップかー……ノコウテイ、スピンテールだよー」
ノコウテイは飛び上がり、体を大きく捻って回転力をつけた尻尾を振るう。
「イーグル、燕返し!」
ノコウテイの一撃はイーグルにあっさりとかわされ、またズバッとその巨体を切り裂かれる。
「切り裂く攻撃!」
さらにもう一撃。今度は爪を使い、文字通りノコウテイは切り裂かれた。
「うーん、思ったより強いなー……解放するべきだったかなー? まーいいやー、ノコウテイ、怒りの炎だー」
ノコウテイは怒り狂ったように口から炎を吹き出す。炎は上空にいるイーグルに向かっていく。
「イーグル、突っ込みなさい!」
イーグルはその炎をあえて回避せず、むしろ自ら突っ込む。
するとイーグルは最終的には怒りの炎を突っ切り、ノコウテイの真正面へと到達する。
「今です、燕返し!」
そこでイーグルは翼を鋭く振るい、ノコウテイの巨体を切り裂く。
そしてノコウテイは崩れ去った。
「あー、ノコウテイやられちゃったかー」
フレイは特に悔しがることもなく、ノコウテイをボールに戻す。
「さーて、第二戦はガイアの戦況次第かなー」
間延びした口調でそう言いつつ、フレイはイリスとガイアの方を見遣る。
今回はイリスとガイアのバトルフラグ、そしてアカリとフレイのバトルです。二人のバトルは結構早めに終わらせました。フレイとノコウテイって、結構出番がある割にはバトル回数が少ないんですよねー。というわけで、今回はそんな移動にばかり使われるノコウテイをバトルに出しましたが、見事やられてしまいました。では次回はイリスとガイアのバトル。ちなみにハサーガはガイアの切り札です。お楽しみに。
- Re: 334章 五首 ( No.403 )
- 日時: 2011/10/28 20:40
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「こうして貴様と戦うのは、これが初めてだな、英雄」
「そうだね。でもま、お前は話を聞く限り、7Pでは一番弱いみたいだから、さほど苦労もないか」
「それは解放しない場合の話、だ」
話もそこそこに、イリスとガイアはバトルに入る。
「リーテイル、リーフブレード!」
最初に動いたのはリーテイル。リーテイルは素早くハサーガに接近すると、五つある首のうち、腹っぽい位置にある首を切り裂く。
「ハサーガ、ドラゴンバイト!」
ハサーガは両手の位置にある二つの首の牙に龍の力を込め、リーテイルに齧り付く。
「悪の波動!」
そして残る三つの頭から悪意に満ちた黒い波動を放ち、リーテイルに追撃。
「くっ、リーテイル、ロイヤルバーン!」
リーテイルは自然の力を爆発させ、自然の衝撃波を放ってハサーガの牙の拘束を解く。
「一旦退いてエアスラッシュ!」
リーテイルはハサーガが怯んでいるうちにバックステップで距離を取り、背中の葉っぱを羽ばたかせて無数の空気の刃を飛ばし、ハサーガを切り裂く。
「ダイヤブラスト!」
さらに手中に宝石のような光るエネルギーを溜め込み、一気に解き放って白色の光線を発射。
だがリーテイルの三連撃を喰らったハサーガは、結構余裕のある顔をしている。
「その程度では、我がハサーガは倒れんぞ。ハサーガ、トライアタック!」
ハサーガは一番上にある頭と両腕の頭からそれぞれ赤、青、黄色の光線を発射。さらに
「悪の波動だ!」
残った二つの頭から悪意に満ちた波動を放つ。波動はカーブを描く軌道で、リーテイルの側面を攻撃してくる。
「退いたらトライアタック、横に飛べば悪の波動か……!」
逃げ道がないリーテイル。だが、そのくらいで諦めるイリスではない。
「避けられないなら、相殺するのみ!リーテイル、ロイヤルバーン!」
リーテイルは自分の周囲に自然の爆発を起こし、自然の衝撃波で光線と波動を相殺する。
「ダイヤブラスト!」
そしてそこから、宝石のように輝く白色の光線を発射。
「ハサーガ、大地の怒りで止めろ!」
ハサーガは地面から土砂を噴射する事で壁を作り、光線を防ぐ。
「リーテイル、接近だ!リーフブレード!」
リーテイルは一気にハサーガに接近し、尻尾の葉っぱを振るってハサーガを切り裂く。
「ドラゴンバイト!」
「かわせリーテイル!」
ハサーガは五つの頭を総動員してリーテイルに噛み付きに掛かり、リーテイルはその間を縫うように回避していく。
しかしハサーガの動きは巧みで、ほどなくしてリーテイルの体には、ハサーガの牙が突き立つ。
「喰らうがいい、トライアタック!」
そしてハサーガは捕らえたリーテイルに三方向から赤、青、黄色の光線を発射し、リーテイルを攻撃。
「リーテイル、脱出だ!ロイヤルバーン!」
リーテイルは自然の力を爆発させるが、トライアタックの相殺分で威力が落ちてしまい、拘束は解けない。
「まだだ、ドラゴンバイト!」
むしろ、さらに三つの頭がリーテイルの体の各所に噛み付き、より自由を奪う。
「くっ、なんて強さだ……!」
イリスはガイアの予想外の強さに、歯噛みする。
「貴様はどうも、勘違いをしているようだな」
不意に、ガイアはそう言う。
「我は確かに、解放しなければ7P最弱だ。しかしそれは総合的に見た時の話、言わば我がポケモン四体を総動員させた時の話だ」
ガイアは残る三つのボールをイリスに見せつける。
「我がポケモン、この三体のポケモンは、正直弱い。だから我は7Pで最弱という称号を得ている。だがことハサーガにだけ関しては違う。こやつは我の切り札、我が側近、我が力だ。故に、このハサーガは我の手持ちの最も、ずば抜けて強い。……そうだな、解放したフレイの、ストータスの相打つくらいなら、不可能ではない」
「っ……!」
イリスは言葉が出なかった。フレイのストータスは以前、解放したフレイとのバトルで手合わせたが、あの防御力は尋常じゃなかった。そのストータスと相打つという事は、このハサーガはガイアの言う通り、相当強いのだろう。
「まあ、全てのポケモンを使われれば流石のハサーガも力尽きるがな。……さて、そろそろ再開しようぞ。ハサーガ、悪の波動!」
ハサーガはリーテイルに噛み付いていない一番下の頭から、悪意に満ちた波動を放つ。
「くっ、リーテイル!」
リーテイルは四肢を封じられ、怒涛の攻撃を受け、疲労困憊、満身創痍という状態だ。
ただ体力が減っているのではなく、動きを封じられているのがまた厄介な話で、これでは深緑のロイヤルバーンを放てない。
「だったら……リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは尻尾の葉っぱを器用に振るい、両脚に噛み付く頭を切り裂く。
「よしっ、そのまま両腕も切り落とせ!」
物騒なことを言うイリスだが勿論比喩で、リーテイルは鉄棒のように体を回し、両腕に噛み付くハサーガの頭を切り裂く。
これでとりあえず、拘束は解除だ。
「リーテイル、ロイヤルバーン!」
そしてリーテイルはハサーガの頭上——一番高い位置にある頭——に素早く移動し、自然の力を爆発させる。
爆発した力は自然の衝撃波を生み、ハサーガの頂頭部に直撃、ハサーガは断末魔の叫びを上げ、崩れ落ちる。
「ハサーガ!」
ハサーガは全ての頭が目を回しており、戦闘不能だった。
今回はイリスとガイアのバトルです。ガイアは7P最弱ですが、ハサーガだけは別格なのです。他が弱いだけなんです。そしてさらに、今回は新技も何気に出ました。まあ、ドラゴンタイプの牙技、程度の認識で構いません。それにしても、ハサーガって結構書いてて楽しいです。首が五つあるでの、牙技や光線技も複数発射できて、いや楽しい。まあ、その分リーテイルが苦戦していましたが、勝ったのでいいでしょう。さて次回はプラズマ団も撤収します。え?早すぎ?いやまあ今回はアカリの登場、ガイアとのバトルがやりたかったわけですから、このくらいでいいのです、はい。それから、ついでに三つ子の彼らも登場させたいと思います。では、今回は長いあとがきでした。次回もお楽しみに。
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