二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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怪談レストラン  裏物語  オリジナル怪談募集
日時: 2010/03/17 15:14
名前: 【涼太】 (ID: wetqViQy)

どうも私支配人のお化けギャルソンです


今回私が恐怖の世界に誘ってあげましょう

【実は最近怪談レストランがつまらないと思って作りました】

また他のお客様の怪談を募集しております
【題名】
【怪談の内容】
だけでオーケーです

皆様のご来店を心よりお待ち申し上げます
>>1第1話滅亡した国 >>2第二話2つの車
>>3第3話襲撃とアクシデント
>>5殺戮・戦い・救世主
それ以降は順々に進みます
>>6>>7>>8>>9>>10>>11>>12>>13>>14>>15>>16
投稿してくれた人たち
愛羅s  ヒロトs 邪狼sです!!!

オリジナル小説「俺たちの学校デイズ!!!」
>>33>>34>>35>>38

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Re: 怪談レストラン  裏物語  オリジナル怪談募集 ( No.28 )
日時: 2010/03/12 16:06
名前: 涼太 (ID: wetqViQy)

今起こったことを、ようやく騒ぎを沈静化した先生に言おうとしていた苺ちゃんは、かがみちゃんの言ったことを理解して、目をぱちくりしました。
かがみちゃんは苺ちゃんの正面に回り、だから、と言って、
「わたしといっしょにえをかこうよ。」
笑顔で言いました。
先生に愛情あふれる指導を受けた子供たちの中で、かがみちゃんを誘おうと思って席を立った男の子数人は、それを見て聞いて、夢破れてかたまりました。
苺ちゃんはまた、え?と言いました。
「イヤなの?」
「え?えっと・・・・・・」
「イヤじゃないの?」
「ええ?その・・・・・・」
「いいんだね?」
「え、えと・・・・・・あの」
にこにこと笑顔のまま、ずい・・・ずずい・・・と顔を近づけるかがみちゃんに、苺ちゃんはただおろおろと、しどろもどろになってしまいました。
「んーじゃーけってい!」
ぽん、と苺ちゃんの肩に手をのせて、
「よろしくね!」
にっこりと笑顔で、かがみちゃんは言いました。
苺ちゃんはおろおろとしていましたが、そんなかがみちゃんを見ているうちに、じょじょに笑顔になって、大きな目を輝かせ、
「う・・・・・・うん、よろしく!」
そう答えました。
「わたし、かがみきょうこ。かがみってよんで。」
かがみちゃんはそう言って、手を差し出しました。
「えと、わたしは・・・・・・ののはらいちご・・・・・・、あ・・・の・・・いちごってよんでくれれば・・・・・・うれしいかな、なんて・・・・・・」
もじもじと言いました。そして、かがみちゃんの手を握りました。
その手を両手で握って、かがみちゃんは言います。
「じゃあ、よろしくね!これでおともだちだだね、のいちごちゃん!」
「お・・・・・・おともだち・・・・・・!って、あれ?」
ぶんぶん、と握手した手をふられながら、のいちごちゃんは言いました。
「かがみちゃん、わたしのいちごじゃなく、ぁの・・・いちご」
「ん?だから、のいちごでしょ?」
「え?だから・・・・・・」
「あ?それじゃ、せんせいにいってくるね!わたしはのいちごちゃんといっしょにえをかきますって。せーんせーい!」
と、先生のところへ行ってしまいました。
「・・・・・・おねがい、はなしをきいて・・・・・・」
もう今度からは言葉を選ぶぞ・・・・・・と、違う意味で反省した先生に、嬉しそうにのいちごちゃんを指さして説明しているかがみちゃんを見ながら、のいちごちゃんは暗い顔でつぶやきました。
でも、それもつかの間で、すぐに顔をほころばせると、初めてのおともだちを眺めて、にこにことしているのでした。
「ただいまー!それじゃ、いっしょにえをかこっか、のいちごちゃん!」
のいちごちゃんの席に戻ってきたかがみちゃんは、そう言いました。
「あ、あのね、かがみちゃん。」
「なぁに、のいちごちゃん。」
自分の目をまっすぐに見て、それはそれはくもりなくはっきりとくっきりとしっかりと「のいちご」と言うかがみちゃんに、のいちごちゃんはなんだか、自分の名前は本当は「苺」じゃなくて「のいちご」なんじゃないかと思っちゃいました。
(・・・・・・・のいちご、でもいっかぁ・・・・・・)
「ううん、なんでもないよ。・・・・・・あ、かがみちゃん、あの・・・・・・」
「ん?なに?」
「その・・・・・・ほんとうに・・・・・・わたしなんかでいいの?」
のいちごちゃんは少しうつむくと、言いました。
かがみちゃんは正面でしゃがむと、のいちごちゃんの顔を見て微笑んで、
「いまさらなにいってんの?おともだちでしょ?」
と言いました。
「自分のかおはかわいすぎて、わたしみたいなヤツにはかかせたくない?それともわたしみたいなぶっさいくはかきたくないっての?」
「そ・・・・・・そんなこと・・・・・・」
「だったら!」
かがみちゃんはがしっ、と右手でのいちごちゃんの頭をつかむとがらごろと回して、
「ごちゃごちゃいわないで、すなおになりなさーい。」
ふぁぅふぃぅと目を回して机に突っ伏したのいちごちゃんに言いました。
うぇ〜と起きて、のいちごちゃんはごめんなさ〜いと言って、
「でも・・・・・・そんな、わたしはその、かがみちゃんはすごくかわいいとおもってるよ・・・・・・。」
小さな声で言いました。少し顔を赤くして。
「ん?なんていったの?」
「・・・・・・!なんでもないよ!」
「そう?じゃ、はじめましょうか!」
そう言って、かがみちゃんは机を向かい合わせにして、準備を始めました。
「うん!」
そう言ったのいちごちゃんも、笑顔で準備を始めました。
その笑顔を見たかがみちゃんは、
(うわ、やっぱわらうとすっげーかわいいなこのこ。)
と思いました。



こうして、かがみちゃんとのいちごちゃんはおともだちになりました。それから・・・・・・



「はぁー、おわったねぇ。かえろっか、のいちごちゃん。」
「うん、かえろう。かがみちゃん。」
「かえったらなにしてあそぼっか?」
「う〜んそうだねぇ・・・・・・。・・・・・・あ、そういえば。」
「ん?どうしたの?」
「ねぇかがみちゃん?かがみちゃんがわたしのおともだちになってくれたひのこと、おぼえてる?」
「うん、もちろんおぼえてるよ。」
「あのとき、わたしのくちをふさいで・・・なにをしたの?」
「・・・・・・え?それは・・・・・・」



(さわがれるとめんどうだから、ガラスのナイフでおどしてだまらせたんだよ。)



「ほら、おともだちがいないとか、しつれいなこといっちゃって、ないちゃいそうだったでしょ?それで、クラスのみんなにみられたら、のいちごちゃんがはずかしいことになっちゃうとおもったの。」
「そうだったんだぁ。ありがとう。」
「いやいや・・・・・・。ふぅ。」
いまでは、ふたりはしんゆうです。



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Re: 怪談レストラン  裏物語  オリジナル怪談募集 ( No.29 )
日時: 2010/03/12 16:07
名前: 涼太 (ID: wetqViQy)

「鑑さんちのかがみちゃん」
かがみちゃんは、桜ヶ丘にあるお米屋さんの一人娘です。光にとけこむようなしっとりまったりしたうっとりするような黒い髪で、りりしくもあり、かわいらしくもあり、ちょっとたりないけど女の子らしくもありな目をした、それはそれは元気で活発な女の子でした。
 かがみちゃんの家族は、かがみちゃん、おとうさん、母上、じーちゃん、ばーちゃんと、それからお兄ちゃんがいます。お兄ちゃんと言っても、かがみちゃんの本当のお兄ちゃんではなく、よそのお兄ちゃんです。



 今日は、そんなかがみちゃんの家族の紹介です。
 「ただいま—。」
 あ、かがみちゃんがおうちに帰ってきましたよ。
 かがみちゃん。本名は鑑 鏡子ちゃんです。このお話を作者が原稿用紙で書いていたときに、鑑 鏡子って画数多くていやだなぁ、じゃあ、かがみちゃんでいっかぁ、うん、かわいいし。というふうにつけられちゃったんですけど、それじゃああまりにもあまりにもなので、みんなが(特に両親が)かわいさを込めて呼んでいることになってます。でも、かわいいでしょ? 今日は赤いスカートに花柄のピンク色のシャツを着ています。まっかなランドセルは小学生の証です。中にはあんな(シロ)モノやこんな夢がギッシリ詰まっているわけです。
かがみちゃんのおうちはお米屋さんです。お店とおうちはくっついているので、おうちの中にはお店から入ります。おうちには裏口と、おうちの玄関もあるんですが、かがみちゃんはいっつもお店から入ります。家族の誰も文句を言いませんし、かがみちゃんも別に迷惑かけるようなことをするようなろくでもないガキじゃあありませんので、お店側から帰ってきます。今日はいませんでしたけど、お客さんがいた時には、百万ヘルツの笑顔で、いらっしゃいませー、なんて言うわけです。若いうちから看板娘のなんたるかをわきまえてるんです。
 「あ、かがみちゃん。お帰りなさい。」
 「ただいま! おとうさん。」
 お店では、お父さんがなんかしていました。なんかというのは、つまりなんかしてたわけです。それは、お父さんが床に片ひざをついて帳面片手に商品をチェックみたいなことでしたが、かがみちゃんがそこまで詳しく仕事の内容を知っているわけでは無いのです。
 お父さんは、かがみちゃんのお父さんです。本名は鑑 恭一といいます。お米屋さん、鑑米店の店長さんです。お米にお餅、お酒なんかも売っています。あ、ジュースも売ってます。桜ヶ丘では一番のお米屋さんです。愛娘のかがみちゃんが大好きです。
「あれ? 今日はお友達は一緒じゃないのかい? その、なんていったかな・・・・・・。あぁ、きいちごちゃん。」
 お父さんはえんぴつで帳面にレ点をつけると、立ち上がっていいました。
 「ちがうよおとうさん。きいちごちゃんじゃなくてのいちごちゃんだよ。」
 かがみちゃんは言いました。きいちごちゃん、もといのいちごちゃんは、かがみちゃんの親友です。かがみちゃんの通っている桜ヶ丘小学校の、1年2組のクラスに2人はいます。席も隣どうしです。
 「このあとこうえんにあそびにいくんだ。」
 「そうなのか。ランドセルはちゃんと置いていくんだよ。」
 「わかってるよー。」
 と言って、かがみちゃんは店の奥へ行きました。お店は広くて、入り口から入って右手左手両側の壁に様々なお米の袋が山積みです。サイズや品種などで分けてあります。その奥にはお酒とジュースの冷蔵棚があって、隣端にレジがあります。その横から入って奥に、かがみちゃんのおうちへの廊下があるんです。
 「ただいまー!」
 かがみちゃんはそこそこきれいに靴を脱ぎ散らかすと、廊下に入りました。廊下の扉を開けると、おうちの中な感じです。お茶の間のドアを開けると、
 「あら、お帰りなさい。かがみちゃん。」
 そう、やわらかくて暖かい女の人の声がかがみちゃんを迎えました。
 「ただいまかえりました。母上。」
 母上です。母上は、まぁわかるとおもいますが、かがみちゃんの母上です。本名は鑑 京子といいます。かがみちゃんのお父さんの恭一さんと結婚して、かがみちゃんを産みました。そういうことです。母上はお店の手伝いをするかたわら、合気道と書道と華道の先生もしています。いつも微笑みを絶やさない美人さんです。はっきり言って何とかキラーです。でも、そんな笑顔でこちらが全く刃向かえなくなるような圧力をかけてきます。怖いです。でも、ホントはとっても優しいです。
 母上は今日も和服姿で、 お茶の間で優雅にお茶をすすっていました。まず、湯飲みの持ち方一つとっても絵になります。
 「きょうはおけいこは?」
 かがみちゃんが母上にたずねます。たずねながら、ちゃぶだいの上のおせんべいを取ろうとして、ぺちんとたたかれました。
 「今日はお休みの日ですよ。明日はお華です。ちゃんとお手洗いとうがいをしてからですよ。」
 にっこりとしかってくれました。かがみちゃんはうっかりしちゃった、てへ。っというような、イマイチ反省していないようでいて、実は猛烈に反省したスマイルで、洗面所へ行ってお手洗いとうがいを済ませました。
 すると、洗面所にばーちゃんが入ってきました。
 「おや、お帰りなさい。かがみちゃん。」
 ばーちゃんは、とても優しくそう言いました。
 ばーちゃんはかがみちゃんのばーちゃんで、お父さんのお父さんの奥さんです。で、母上の姑です。でも、母上とばーちゃんはすこぶる良好で円滑な関係にあるので、どろっどろの嫁姑関係をみたいひとは、昼ドラでもみるといいです。ばーちゃんの名前は鑑 杏子っていって、昔はとっても美人の女豹だったらしく、男に貢がせてポイ! だったそうです。でも、じーちゃんの鑑 響介に憧れて告白しておっけーもらって押しかけ女房だったよって百回くらい聞かされました。

Re: 怪談レストラン  裏物語  オリジナル怪談募集 ( No.30 )
日時: 2010/03/12 16:08
名前: 涼太 (ID: wetqViQy)

「ただいま! ばーちゃん。じーちゃんは?」
 「おじいちゃんなら、今はちょっと用事があって……」
 と、話していると、
 「戻ったぞー!」
 とお店の方から大きな声が聞こえました。
 「あら、丁度帰ってきたみたい。」
 「おー、じーちゃんおかえりなさーい!」
 まっかなランドセルをぴょんぴょんさせて、かがみちゃんは洗面所から飛び出すと、店までダッシュしました。
 「あらあら、もうかばんくらい置いていったらいいのに。」
 ばーちゃんの声はもう聞こえてませんでした。
 「じーちゃんおかえりー!」
 「おお、かがみちゃん帰ってたのかい。ただいま。」
 ごましお頭のこの人が、じーちゃんです。じーちゃんは軽トラックから、お父さんと一緒に次々に荷物を店に入れていました。
 「今は危ないから、入ってなさい。」
 じーちゃんは笑顔でいいました。お米屋さん鑑米店はもともとじーちゃんが作ったものです。だけど、じーちゃんの息子のお父さんが、でらべっぴんの器量良しの母上をめっけて結婚してかがみちゃんが生まれてからは、自分は店長を引っ込んでお父さんにまかせながら、今でもお米屋さんをいろいろやってるんです。複雑で、かがみちゃんにもその辺はよくわかりません。昔はかなり無茶をやってたらしく、渋い人だったみたいで、そこに憧れたばーちゃんが手伝って、今の鑑米店があるそうです。
 「うん。わかったよ。」
 よいこのかがみちゃんはそう言って、また中へと引っ込みました。
 そうして、自分の部屋へと向かう途中、家族とは違うけど一緒に住んでいる人と会いました。
 「あ! おにいちゃんだ。」
 「その珍獣をみつけたような言い方はよしてくれ。あと指差さないでくれるかな。」
 おにいちゃんです。と、言ってもかがみちゃんの本当のおにいちゃんじゃなくって、よそのおにいちゃんです。鑑米店は、広くて空き部屋があるので、そこを下宿にしています。そこに住んでいるのが、専門学校生のおにいちゃんでした。
 「帰ってたんだね、お帰り。」
 「ただいま、おにいちゃん。」
 眠そうなおにいちゃんに、かがみちゃんは笑顔です。
 「またてつやでギャルゲーやってたの?」
 「……違うよ。ていうかそういうこと言わない。誤解されるから、特に京子さんのまえでは絶対に言わないように。ちなみに徹夜はしてたけどギャルゲーじゃなくて純粋にレポートが……ってそうだ。かがみちゃんに聞きたいことがあったんだ。」

Re: 怪談レストラン  裏物語  オリジナル怪談募集 ( No.31 )
日時: 2010/03/12 16:08
名前: 涼太 (ID: wetqViQy)

おにいちゃんは慌てて否定しつつ、かがみちゃんに言いました。
 「なあに? おにいちゃん。」
 かがみちゃんは無邪気です。例え相手がヤヴァイ趣味のお兄さんでも、変わらずその笑顔を振りまくのでしょう。手を出し次第変貌しますが。
 「うん、聞きたいことってのはね、僕が必死こいてバイトして、ちょっと言えないルートで手に入れた硬質ガラスのナイフが無くなっちゃったんだけど、知らない?」
 おにいちゃんは、かがみちゃんの目を真っ直ぐに見ながら言いました。
 かがみちゃんはそれを見つめ返して、
 「うん。しってるよ? これでしょ?」
 と、ぺらりと赤いスカートをめくりました。うおっと! かがみちゃん、いけませんよ!男は狼なのよ、とかの有名な桃色女の二人組も言ってました……とおや? 何故か見えない。見えそうで見えない! これが噂の絶対領域……。
 「はあ、やっぱり……」
 おにいちゃん溜息です。そうか、真正面にいた彼にも見えなかったみたいです。いや、ふしぎですね。こう、なんだか大人の事情では片付かない、宇宙の神秘すら感ぜずにはいられない……
 「かがみちゃんが持ってたのか。」
 ってあれ? 彼の目線はそのそれではなく、かがみちゃんの太もも辺りに釘付けでした。ヤロウ、そっちか! いたいけな小学生におにいちゃんって呼ばれて、スカートまでめくらせるとはふらちせんばん……と思ったら、その太ももには、ベルト。そして、透明な何かが収まっていました。
 「へへー。ごめんなさい。」
 ぺろりと舌を出しながら、そんな上目遣いで謝られたらおにいちゃん許しちゃうよ。
 「……全然反省してないな。」
 何ィ! このおにいちゃんは、おにいちゃんなんて呼ばれてるくせしやがって、どうやら許してはくれないようです。なんだ、割とそういうことには厳しいんですね。
 「だって、カッコよかったんだもん。」
 かがみちゃんはベルトに備え付けられた鞘からガラスのナイフを抜くと、某沈黙の人みたいに逆手で構えました。おおう、なかなか様になってます。
 「うん、かっこいいね。似合ってるよ。」
 おにいちゃんも褒めてくれました。
 「えへへ。」
 「でもね、コレクターズナイフって言っても、それは特別なんだ。もう有害玩具をすっ飛ばして、Z指定でも済まないくらい。マジで人を殺せるくらいヤバイものだから、返して?」
 言ってることはこの上なく物騒ですが、どうやら子供に悪影響を与えるようなことはしない良心の持ち主のようです。
 「むー。じゃあちょうだいっていわないから、かして?」
 かがみちゃんひきさがりません。よっぽどガラスのナイフが気に入ったようです。
 「許可できないなー。前に僕の硬質ゴムスペツナズナイフを黙って持って行った時だって、僕のものって京子さんと杏子さんにばれてもう恐ろしい目にあったからね。だーめ。」
 結構苦労してたんですね、おにいちゃん。
 「むむー。わかったよ。……はい。」
 かちゃかちゃとベルトを外すと、かがみちゃんはおにいちゃんに渡しました。
 「うん。聞き分けのいいかがみちゃんは大好きだよ。」
 おにいちゃんは笑顔で言いました。
 かがみちゃんはそれには答えず、とぼとぼと自分の部屋に入っていきました。
 「ま、どーせまた勝手に持ち出すんだろうけどね。しかし、うん……似合ってたな。」
 おにいちゃんはそう呟きました。



 「いってきまーす!」
 「車に気をつけるんだよ。」
 お父さんに手を振りながら、かがみちゃんは小さなハンドバッグを手に家を出ました。
 のいちごちゃんと待ち合わせた桜ヶ丘公園は、かがみちゃんのお家のある桜ヶ丘商店街からは、桜ヶ丘通りを通ってまっすぐです。
 かがみちゃん、はなうたなんか歌いながら歩いています。すると……
 「ひったくりよー!」
 と、後ろから女の人の凄い悲鳴。振り返ると、猛スピードでこちらに向かってくる原付き。おのれ、犯罪者許すまじ!
 かがみちゃんはすばやくハンドバッグのチャックを開けずに手提げ部分と縫い目の隙間に手を入れると、小さな石ころのようなものを取り出しました。そして、それを原付きの犯人のフルフェイスヘルメットに向かって思い切り投げつけると、
 ッパ——ン!
 ものすごい音がして破裂しました。その犯人も驚いたのでしょう。いや、そりゃ驚くでしょうね、いきなり爆発物投げられりゃ。その犯人はえらく体勢を崩しつつも、何とか転ばずに止まりました。電柱まで残り数センチ! みごとです。
 かがみちゃんはとててーっと近寄ると、まだビビッてる犯人の原付きの鍵を抜くと、ポーイっと投げ捨てるふりをして、さりげなくスカートのポケットに入れました。
 犯人がそれに気が付いてフルフェイスをとって振り向くと、そこには何か小型のペンライトのようなものを犯人に向けて立っているかがみちゃんがいました。
 「テメェガキィ! 危ね」
 カッ——!
 犯人の言葉はそこで止まりました。かがみっちゃんが目をぎゅっと瞑って、持っていたペンライトのようなものをぐっと捻ると、昼間にも関わらずカメラのフラッシュなんて比にならないくらいの光が犯人を突き刺しました。
 「うあっああ——! 目が、目が—ー……」
 某大佐のように目を押さえて喘ぐ犯人。
 「目が——! あー!」
 やがて、道の向こうから二十代後半くらいの女の人が走ってきました。きっとひったくられた人に違いありません。
 かがみちゃんはまだ目を押さえて涙を流している犯人に、華麗な足払いをお見舞いしてすっころばせると、女の人に向かって原付きの鍵を放りなげ、公園へと走りました。




 「あ! のいちごちゃーん! ごめんね、おそくなって!」
 「ううん。いまきたところだから。」
 「ということはのいちごちゃんはじかんにルーズなひとってことだね。ああいやだいやだ。」
 「そんなー。ひどいよー。ほんとは15ふんくらいまったよー。」
 「うそつきー。ははは、ごめんねほんとに。」
 「ふふ。いいよ、それよりどうしておくれたの?」
 「ちょっとおにいちゃんとはなしてて。たからものとられちゃって。」
 「おにいちゃんて、まえにいってた?」
 「そう。あーあ、ついひとにやつあたりしちゃった。」
 「あー、わかるよ。わたしもだいすきなくまのチャーリーをひっぱったりたたいたりする!」
 そうして二人は今日も仲良く遊びました。



 「またかがみちゃんか……」
 引き出しからペン型ライトが無くなっているのを見て、おにいちゃんは呟きました。
 「ま、あれで人を殺したーとか、さすがに一生に関わるようなことは出来ないだろ。失明したとかは困るけど、一瞬しか光らないし。」
 どうやら、今日も平和ということで。



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Re: 怪談レストラン  裏物語  オリジナル怪談募集 ( No.32 )
日時: 2010/03/13 14:16
名前: 涼太 (ID: wetqViQy)
参照: http://www27.atwiki.jp/kakinoki/pages/159.html

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ぜひごらんください!!!


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