二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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明日【日和】〜完結しました!!〜
日時: 2010/05/11 22:16
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: jQHjVWGa)

 はじめまして!
思いつきで進めるので、更新は遅いかと・・・(学校もあるしね!)
 
 ギャグマンガ日和の二次小説です。
太子、妹子 芭蕉、曽良 の2組しか出てきません。
死ネタです・・・・・死にます・・・・
(補足・曽良くんがキャラ崩壊してます。ゴメンナサイ!)

うわぉ、マジかよ!?むりだぜ!
 って方は戻ることをオススメします。
 大丈夫だぜ!どす恋!
 ってな方のみどうぞ!
 では、レッツゴー!

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Re: 明日【日和】  ( No.27 )
日時: 2010/05/10 21:52
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: jQHjVWGa)

 14.祈り

 僕は、必死で走っていた。
ただひたすらに、芭蕉さんのところへ。


 昨日、芭蕉さんの部屋から去った僕は、医者の所へ行き、診察を頼んだ。
 それから江戸へもどって、腕のいいといわれる医者にも診察を頼みにいった。
 とにかく、たくさんの医者に片っ端から診察を頼んだ。
 そしてそのまま、日が暮れてしまったから近くの宿で一晩過ごしたのだ。
 
 朝、まわりが騒がしくて目が覚めた。
「どうかしたんですか」
不思議そうにしている僕に、親切な宿主が教えてくれた。
「実は、芭蕉さんが____」

その言葉を聞いた瞬間、僕は走り出した。


『芭蕉さんが、すごく危ない状態だそうだ___』

あのクソジジィが!!
何で・・・何でいつもいつも勝手なんだよ!!
 頼む、間に合ってくれ____。

この時だけは、神も仏も信じない僕が、神に祈った。
どうか、助かってくれと。

Re: 明日【日和】  ( No.28 )
日時: 2010/05/09 22:29
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: jQHjVWGa)

 15.夢の続き

「おーい、妹子!」
遠くで、太子が手を振っている。
 これは、あの夢___?
僕は、ふとそんな事をおもった。
「太子?」
僕は、太子の方へ歩いていく。
「太子!」
その足を、どんどん進めていく。
そして僕は、気がつけば走っていた。
その瞬間、太子は口を動かした。
あの夢と同じ。
 でも、僕には聞こえたんだ。あの夢では聞こえなかった声が。
「今までありがとう」
「太子、行かないで!」
必死に叫んでも、僕の声なんか聞こえてないんじゃないかって感じで、太子は続ける。
「妹子、私は笑ってるぞ」
「えっ?」
「だから、お前も笑え!」
太子は、優しく笑った。
 久しぶりに見た、本当に楽しそうな笑顔だった。
「笑って、笑って、笑いまくれ!」
「太・・・子・・・・」
僕は、太子がいなくなってから、はじめて涙を流した。
太子の声があまりにも温かくて、優しかったから。
「もう泣くな!悲しむな!だって、私がいなくなっても、私と妹子が出会えたって事実に変わりは無いんだからな!」
「太子・・・!」
その言葉に、僕は涙をぬぐった。
ずずって音を立てて鼻をすすって、涙を必死にこらえた。
「妹子、お前は生きてるんだ。ちゃんと、小野妹子という人間として生きてるんだぞ!だから、後ろなんて振り返っちゃダメだ。前を向いて、笑って生きていけ!」
「太子ぃ・・・」
「そんで、幸せになれ!」
太子は、あの怖いVサインをして、どんどん遠くへと言ってしまう。
「行かないでください!待って!」
「お前は、生きて幸せになれ〜!」
そういい残し、太子は僕の目の前から消えた。


 やっぱり、その出来事は夢だった。
目が覚めたら、僕は泣いてて・・・でも、不思議とスカッとした気分だった。

「太子、ありがとう____。」

Re: 明日【日和】  ( No.29 )
日時: 2010/05/10 22:25
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: jQHjVWGa)

 16.存在

「芭蕉さんっ!!!」
大声を上げ、力任せにドアをこじ開けた。
ガシャン!
と音がして、ドアは全開になった。

 息を切らしながら部屋に視線をやると、たくさんの人たちが何事かと僕の方を見ていた。
その人たちに囲まれて、白い布を顔の上に被せた芭蕉さんがいた。
 とても綺麗に布団が被せてあった。
「____ッ!!」
僕は、ただ視線を足元に落とした。
何もいえなかった。何も出来なかった。
 僕は、その場に座り込んで、静かに涙を流した。

右手を、目を隠すように顔にあてた。
 僕は、芭蕉さんの前で2回も泣いてしまったな・・・。
 昔の事を思い出して、そんな事をかんがえたりした。

「立派な方だったのに・・・」
「こんなに早く・・・」
「何も旅の途中でなくてもよかったでしょうにねぇ」

みんなが、何か言っている。
僕には、その声が遠くでぼそぼそ言っているみたいにしか聞こえなかった。
 
 普段冷静な僕がこれほど動揺するなんて、芭蕉さんの存在は、僕の中でこんなにも大きかったのか。

 僕は、しゃがみこんだまま、ずっと顔に手を当ててじっとしていた。
 何もできなくて______。


 でも、集まっていた人たちも次第にいなくなり、僕だけになった部屋で、僕は叫んでいた。
「どうしてですか!?」
「約束・・・したじゃないですか。また、一緒にあの丘の景色を見ようって!!芭蕉さん!」
「あの花束は・・・・こういう意味だったんですか?!」
自分でも、おかしくなってしまったんじゃないだろうかってくらい涙が出た。
 だんだんきつくなっていく口調に、僕は気づいていた。
「馬鹿が!!・・・んで、何でいつも勝手なんだよ!!」
僕は、最後にそう言って部屋を出た。
 溢れる涙が止まらなくて、どうしたらいいか分からなくなってしまったから。

 でも本当は違った。
ただ、『何も出来ない』から____。

Re: 明日【日和】  ( No.30 )
日時: 2010/05/10 21:50
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: jQHjVWGa)

 17.風

 あの日から、もう10日が過ぎた。
「太子___」
僕は、大きな花束を両手に抱え、太子のお墓へと走っていた。
 なぜ走ったのかは分からなかった。けど多分、太子がそこに居るような気がしたから。


 『聖徳太子のお墓』は、さすがに立派だった。

 僕は、花束を墓前に置くと、目を閉じて両手を合わせた。
「ありがとう」
毎日、そう呟く。
 太子はきっと、僕を見守っててくれてる。
確信は無いけど、そう思った。
 私は笑ってるぞ って、あの時の言葉が、『側にいるぞ』って意味に思えた。
 全然言葉は違うけれど、そう感じたんだ。

「太子・・・・」
 僕は、お墓を後にして川原へ向かった。
太子と出会った、あの場所へ。
 
 ここにくると、いつも思い出すんだ。
太子の笑顔。
 初めて会ったときも、笑ってた。
 最後の最後まで、笑ってた。

心から、精一杯笑ってた____!
 
 思い出しちゃうと、涙が止まらなくなる。
やさしい風が僕の頬をかすめ、涙に触れた。
「太子___?」
 そうか、太子は本当に側にいるんですね。
風になって、また僕の隣にいてくれるんですね。
 ありがとう。

 溢れる涙を手でぬぐって、空を見上げた。


 それは、どこまでも続いていくような、青く、綺麗で、透明な空だった。


                
                     END

Re: 明日【日和】  ( No.31 )
日時: 2010/05/10 22:16
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: jQHjVWGa)

 18.

 少し肌寒い風がふく、葬儀の日。
もうすぐ10時になる。僕は、葬儀を抜け出していた。
 本当は、僕が一番行かなくちゃいけないのだろうけれど、どうも行く気にはなれなかった。

「もう、秋だ__」
僕は1人、風と一緒に舞っている紅葉の葉をみていた。
 僕の周りはオレンジや黄色、赤などの色で囲まれていた。
 その光景は、誰がみても『綺麗』としか言いようが無い。

 そういえば、と僕はいろいろなことを考えていた。
芭蕉さんの前では、どんな時でも素直になれなかったな。
 いつも殴って、蹴って・・・。
 でもそれが、僕らなんだって思えたとき、少し嬉しかった。

 とうとう言えなかった。
 最後まで言えなかった。
 そんな言葉がある。
それは、
「ありがとう___」
僕は、今日こそ言おうと決めた。
 ひらひらと舞い散る紅葉の葉を1枚手に取ると、芭蕉さんのもとへ、僕は走り出した。

 
 葬儀の行われている部屋に戻ると、みんなが僕を寂しそうな瞳で見てきた。
 芭蕉さんの存在が大きかった人たちは、こんなにもいたのだと改めて思った。

 僕は、ゆっくりと芭蕉さんの眠っている布団に近づく。
 その光景を見ても、誰も何も言わなかった。

僕は、さっき拾った紅葉の葉を、芭蕉さんの手のひらにそっと乗せた。
「ありがとう」
その言葉と共に。

 これが、僕からあなたへの、最初で最後の言葉です。
 
 その日の帰り道、ひらりと舞い散る紅葉の葉が、どこか寂しそうに見えたのは僕だけだったのだろうか________?



                     END


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