二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 東方書古録
- 日時: 2011/01/18 22:17
- 名前: 変態と狼と猫と騎士 (ID: DTrz5f5c)
どうも皆様、クリックありがとうございます。
この小説は【東方Project】の二次創作作品【幻想入り】です。
その為以下の要素が含まれます。
・キャラ崩壊
・オリキャラ要素
・原作独自解釈
・ネタ成分
これらに耐性が無かったり、抵抗がある場合は【気をつけて】この作品をお読みください。
尚この作品はリレー小説の為、作者・主人公が複数人います。
以下が作者一覧となります
・トレモロ
・agu
・Nekopanchi
・とある騎士
それでは以上を以て作品紹介を終わりにさせて頂きます。
できれば楽しんで読んで頂けると幸いです。
- Re: 東方書古録 ( No.27 )
- 日時: 2011/05/14 16:07
- 名前: Nekopanchi (ID: jSrGYrPF)
- 参照: スランプ……
四話のあらすじ
①緑の少女は妖精だった。
②森の妖♂精が出てきた。
③だいようせい は ヒゲ に きょうみしんしん だ!
④空気が重苦しく、そして真剣なものになった
⑤髭の事だった。
⑥大妖精を張り倒してしまいそうになった。(※押し倒しではない)
⑦誰でもいいからヘルプミー
東方髭青年 第五話 『もう作者自身学くんの事がオッサンなのか高校生なのかわからなくなってきました』
……結局、俺はあれから大妖精が疲れてやめるまで延々と肩を掴まれてガクガク揺らされ続け、その結果……
「あぁ……アムロ…刻が見える……」
……その場に四つん這いの状態で必死に吐くのを堪えてます……正直また気絶するかと思いました……あぁ気持ちわる……。
そしてそんな俺のすぐとなりで額に薄く汗を滲ませて胸に手を当てながら肩でゆっくりと息をしているのは緑の少女こと大妖精。
「はぁ……はぁ……まったく、どれだけ口が硬いんですかマナブさん…疲れちゃいましたよ私…」
「……いや俺は疲れるどころじゃ済まなくて刻という名の我慢の限界見えて来ちゃってんだけど……」
「……まぁいいです。今回は諦めますよ。マナブさんがそんなにオッサンみたいな理由。」
四つん這いの体制のまま、必死に辛さをアピールしてみるが、大妖精は胸に手を当てたまま華麗にスルー。コイツなかなかのスルースキル持ってやがる……! ……つーかお前はなんでそんな事が気になっちゃったのさ。それに俺だってわからんよそんな事……多分アレだよ染色体が大変な事になってしまったんだ……きっとたまたま減数分裂しなくて通常より染色体が二本多くなって、チンパンジーと同じ染色体数になっちゃったがために毛深くなって、シワ増えて、その結果老け顔に……。……いや、そんな事より……
「な、なあ大妖精。俺に二度も氷ぶつけたあの変な青いバカはなんなんだ……?」
四つん這いの体勢で地面を見詰めて吐き気を堪え半ば呻く様にそう言うと、大妖精の声は返って来ず、変わりに頭に衝撃が走って身体視界が揺れる。
「あっがぁああああ!?」
そしてその刹那、頭に鈍い痛みが走って、その突然の苦痛に耐えきれずに四つん這いのまま悲鳴を上げてしまった。
「……い、痛ってぇ……!」
「だ、大丈夫ですかマナブさん!?」
大妖精の心配そうな声が聞こえてくるが、当の俺には返事を返す余裕も無く、一体何が起きたか訳がわからない状況の中、痛みのせいで目の端に涙すら溜めていると、先程までは無かった握り拳大の透明な氷の結晶が地面に転がっていた。……どうやらこれが俺の頭にぶつけられたようだ……。そして、氷の発見とほぼ同時に聞いた事のある声が響く。
「バカって言う方がバカだオッサン! 土偶のカドにアロマぶつけて死んじゃえ!!」
……うん、声の主わかったよ、氷ぶつけてきた奴もな……。このアホ丸出しの台詞聞いたらすぐわかるっての……。だって『土偶』じゃなくて『豆腐』だし、仮に土偶が正解だったとしてもカドねぇし、『アロマ』じゃなくて『アタマ』だし……、それにたとえ土偶のカドにアロマがぶつかっても俺にゃなんの関係もないし……精々いい香りがつくくらいなんじゃないの……?
「聞いてんのオッサン!! なんとか言いなさいよ!」
……そしてその土偶は『アロマ ザ 土☆偶』というもの凄い希少価値の高いものに進化してゆくゆくはツタンカーメンのマスクとタメを張るくらいの価値になって……
「……いつまでそんな格好であたいを無視するつもりよ! あたいはサイキョーなのよ!?」
そして日本では『西の土☆偶、東のカーメン』と揶揄されるほどの存在になって休日ともなればあっちでも土偶、こっちでも土偶、酒の肴に土偶、今日も明日も土偶というような状態で……
「オッサン!! どこまであたいを無視するのよ! いい加減にしないとあたい本当に怒るよ!?」
「ち、チルノちゃん落ち着いて……」
……挙げ句の果てにはあの国民的アイドルのスマップから『恋の土☆偶パラダイス』(作詞作曲 土☆偶とカーメン) とかいうどこかの宗教の洗脳曲のようなものすらでてしまう始末。
歌い始めは
『僕も土☆偶で君も土☆偶。……え、君はカーメンなの? でもそんなの関係ないのさ☆ いや、関係ないの いや本当に関係ないんだって! だから関係無いって言ってんだろ! お前を土偶にしてやろうか?』
とかいう病気的な歌詞にも関わらず大ヒットしてメンバー全員が改名して一人残らず名前が『土偶』になって……草薙くんのあだ名は『つよぽん』じゃなく……
「もう怒った! 死ねこのヒゲオヤジ!!」
「どぐぽん!?」
周りの音を全てシャットアウトして意味不明な土偶予想と言う名の現実逃避をしていると、また先程と似たような衝撃が頭に来て、間も無く鈍い痛みが走った。で、さっきの変な叫び声もまた俺。でも俺も流石に頭に来たよ。一度ならず二度までも攻撃加えてきやがって…………それに何より……アイツ『オッサン』から『オヤジ』にジョブチェンジしやがった……! もう容赦しねえぞ……! え、いや無視した訳じゃないのよアレは。物思いに耽ってただけナノヨ。
「痛ってーなこのコノヤロ……!!」
痛む頭をさすりながら顔を上げると、十五メートルほど前方に、やはり例の青いバカがいた。……いや……でも……
「あたいを何回も無視するなんて……かくごはできてるよねぇ……!?」
……スイカバーみたいなでかい大剣持ってるのは予想外ですぜ……
「あ……あわわヒエェ……」
こっ、怖い! あれは殺る奴の目だ! マダボク死ニタクナイヨ!
さっきの勢いはどこに行ったのか、俺は逃げる事も出来ずに、四つん這いから顔を上げたままの体勢でただ震えていた。仕方ないじゃん!! だって恐いんだもの! ワタシチキンボーイナノヨ!
「お、落ち着いてチルノちゃん!」
その青いバカの後ろから声が聞こえたと思ってよく見てみたら、大妖精が青いバカを後ろから羽交い締めにしていた。さっきからどうりで進んでこないと思ったらそういう事か! ナイス大妖精!
でも…………
……でもこれから俺にどうしろって言うの……
つづく
- Re: 東方書古録 ( No.28 )
- 日時: 2011/05/28 22:56
- 名前: あぐ (ID: gWH3Y7K0)
【狐色の奴……】
「ねえねえ? やっぱり外へ出たかったりするの。サトくんは?」
膝に乗せている猫少女が不意にそう呟く。
暖かな日差しが俺と彼女に降り注いで、少し瞼が重くなってきた時のことだった。
俺は猫少女——橙の頭を静かに撫でながらも、その問いに答える。
「……いや、別にさほどでもない。紫が反対してるしな」
そう答えた俺の顔を、膝から眺める橙。やがて彼女はポツリと言った。
「嘘ダナ」
「何故にエイラ?……いや、嘘じゃないよ、本当だ」
本当は違う。外へ出てみたいという気持ちは勿論ある。
何せ、現在の状況を正しく把握する為にも、自分の眼でこの世界を良く見ておかなくてはならないし。
それに……それに彼女たちが嘘を言っていないという確かな証拠にもなるからだ。
「——顔に書いてあるんだもん。俺は外へ出て行くんだ。海賊王になるんだって」
「海賊王のくだりにはちょっと賛同しかねる——ただ、そういう気持ちが無いと言ったら嘘だ」
「貴様ッ! 嘘をついたなッ!」
「嘘じゃない。嘘なんかお兄さんはついてない。だって『さほど』だもん。全く無い訳じゃないもん」
ビシッと膝に寝転がりながら人を指差して来たので、それを窘めてやりながらそう返答する。
「……むー……まぁ、いいけど」
ムスッと頬を膨らませた橙の頬を突きながら、俺自身も考える。
何にしろ、もうそろそろ白黒付ける時だろう。いつまでもなーなー状態じゃいられない。
「……ね サトくん。あそこの角になんかいるんだけど」
だが、今後からどういう行動が取れるだろう。まず紫や藍さんに話を通して……
実際に尻尾だのスキマだの凄まじいものを見せられてはいるが。どうしてもトリックか何かだと俺の疑り深い部分が……
「おーい。サトくん。丸いのが近づいてくるんよ〜」
いや、あそこまで自らが体験して尚、そう言うのか。少し疑り深すぎるぞ。いくら慎重になりすぎてもなりすぎることはないとは言え……
まったくもってうっとおしい。何かの病気じゃないか? どうしてこういう性分なのか。ああ、歪んでる。
「あ、ぶつかった」
「ああ?」
どうやらまた悪い癖が出たようだ。何かと俺は考え込みすぎるのだ。
さて、橙が放った言葉と背中に感じた柔らかな感触を同時に分析し、首を後ろに捻る。
「……け、毛玉?」
——そうとしか俺の眼には見えない。鮮やかな狐色をした、高さ一メートルほどのもふもふとした毛玉。
それが俺の背中にぴったりとくっ付いていた。
「さ、サトくん……何だか妙なプレッシャーを感じるよ」
「橙。俺もそうだ。だが見るな。こういうのはやり過ごせ。やり過ごすんだ」
小声でやりとりをする俺と橙。何故かは知らんが、この毛玉からは威圧感を感じる……
と、毛玉が俺の背中に沿う様にして左隣に転がってくる。
「ちぇ〜ん……」
「さ、サト君! この毛玉、私の名前呼んでるよぉ〜……」
「くっ。だ、大丈夫だ。俺が守るからな」
毛玉の中から如何にもなおどろおどろしい声が響いてくる。何だこれは。紫や藍さんが言っていた妖怪という奴か?
ともかくも橙をしっかりと抱き締めると、出来るだけ静かにこそりこそりと腰を動かし、その場から離れようとする。
「ちぇん!」
「うおっ!?」
逃げようとしたのを感知したのか、いきなり俺の腰に突撃してきた。
痛いとかそういうのじゃないが、突然奇声を発せられたので驚く。
「お、追いかけてくる……うう」
「……糞ッ。俺が引き付ける。その間に——」
言うが早いや、俺は毛玉をガシッと掴んでその場へ固定。
「紫か藍さんを呼んで来い! 早く!」
橙は数秒ほど逡巡したが、すぐに廊下の奥へ走り始めた。聡い子だ。
さて、俺は彼女を追われない様にこの毛玉をここに縛り付けておく必要が——
「ぐっ!」
途端、毛玉は凄まじい力で暴れだした。両腕で抱き抱える様に押さえ込むが、まったく効果が無い。
おまけにこの毛玉、肌触りが凄く良いうえ、石鹸の良い匂いまでしている。本当に何なんだ。この毛玉。
と、考えている内に毛玉を俺の身体から離れ……
「ちぇーん!!」
橙の方向へと、まるでロケットか何かの様なスピードで回転していく。奇妙な奇声を挙げながら。
「さ、サト君!? け、毛玉がこ、こ、こっちきたああああ!」
「走れ! 走るんだ橙ッッ!!」
俺は精一杯そう叫び、橙は俺の言葉に押される様に全速力で逃走したが、しかし。
「ちぇん!」
毛玉の怪物的なスピードからは逃れられず、毛玉の先が幾つかに分かれ。
恐怖に震える橙の身体を……その中に飲み込んだ。
「橙ィ!! この毛玉がああああ!」
俺は怒りと悲しみに震える拳を振り上げながらも、立ち上がり、橙を飲み込んだ毛玉へ突撃していくが。
「ちぇん!」
毛玉——奴はそれを嘲笑うかの様に一蹴にふすと、俺の横を通り抜けて逃げていった。
「くっ、まてやああああああ!」
俺は追撃する。何としてでもあのクソッタレ毛玉の中から橙を救い出さなければならない。
奴が曲がった廊下の端目指してダッシュ。そして急ターンを掛けてその先の廊下へ。
すると。
「どうしました?」
曲がり角でばったりと遭遇したのは藍さんだった。どうするか。今ここで説明したら時間が足りなくなる。
その間に毛玉に逃げられてしまうかも知れない。
「ッ……申し訳ない」
一度謝罪して通り過ぎることにした。藍さんには後で説明しよう。今は緊急事態なのだ。
廊下の奥へと走り出す。足のバネを使い、飛び出す様に。そして交互に両足を前へと動かしていく。
と、そんな時にチラリと見た一つの部屋に。
「橙!」
なんと橙が畳の上で仰向けに倒れていた。俺は少しだけ開いていた襖を乱暴に開けると、中へ入り込む。
——胸に耳を当てる。橙は息をしていた。他に怪我は無いか身体を確認するが、どうやら大丈夫な様だ。
「よ、良かった……」
* *
後日、今回のことを紫と藍さんに相談した。二人ともたぶん重く受け止めてくれたと思う。
紫は何か身体を震わせながら……例えるなら笑いを堪えている様だったが。
藍さんは妙に機嫌が良かった。どうしてだろうか。最愛の橙が訳も分からぬ毛玉に拉致されたそうになったというのに。
橙にも話を聞いてみたが、取り込まれる最中に毛玉の中に人影を見たというぐらいで。後は意識が落ちてしまったそうだ。
ともかくも今後から警戒しなければならないが……。
毛玉——俺は個人的にあの毛玉に『ストライク・ボール』というコードネームを付けることにした——ストライク・ボールは空恐ろしい機動力と突進力を持っている。
まず俺一人では抑え切れないだろう。発見したらすぐさま撤退。紫か藍さんに通達しなければ。
- Re: 東方書古録 ( No.29 )
- 日時: 2011/06/15 11:50
- 名前: とある騎士。 (ID: 0Jvj0iRK)
『死への途中』
「……ねぇ、あれでいいの?」
フランドールは姉のことを目線だけでみて
静かに言った
「良いんじゃないんですかぁ?あたしには関係ないですし」
「・・・・・」
妹の素っ気ない返事に嫌な予感がした。
それにしても旅といってもどこに行こうか……
考えてみれば私には何もない
家族もない、家もない、
いっそ死んでしまおうか?そう考えることもたびたびあった
でも決めたんだ強くなるって
「それにしても……」
そとはもの凄い熱気である
歩き続けるのはとてもじゃないが無理そうだ。
今日は此処を出るのをやめよう
そうだ、そうだ、明日でもいいじゃないか。
しかし……フランドールお嬢様から頼まれた仕事。
何もやっていない……今回はそれもかねて旅をしよう
『幻想郷に招かれるに相応しい人間』
私はまだ他に見つけなければならない……
智様は八雲様の所へ——
彼女は微笑した
「フフ……早くお会いしたい」
- Re: 東方書古録 ( No.30 )
- 日時: 2011/07/10 00:47
- 名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
『陸話・現代変わって過去の向日葵』
とある、向日葵が咲き誇る場所。
「殺しの依頼ねェー」
「殺しではありません、消滅の依頼です」
「どっちも同じよ」
「ニュアンスが微妙に違うんですよ」
「やる事はおんなじでしょう?」
「心持がおんなじでは困ります」
どこか妖艶な雰囲気を持つ女に、堅い雰囲気を持つ女が答える。
物騒な。
とても物騒な会話を続ける二人。
「まあ、なんというか、一つ聞きたいんだけども」
「はい、伺いましょう」
艶めかしい声色の女性、風見幽香の質問に、堅く真っ直ぐな迷いのない声色の持ち主、四季映姫・ヤマザナドゥが応える。
「なんで私がそんな事しなきゃならないのかしらね?」
当然の疑問。
幽香には彼女の依頼を受ける理由も義理も人情も存在しない。
勝手気ままに生きて来て、勝手気ままな生き方を好む。
人助けなどもってのほか。
そういう人種。いや、妖怪が風見幽香だ。
そんな事は四季映姫。
幻想郷の閻魔様である彼女も理解している筈。
だからこその、幽香の質問だった。
そんな彼女の言葉に、四季は短くこう答える。
「義務です」
端的に。一切の躊躇なく。
「意味が解らないわ。義務? この私に? 片腹痛いわ閻魔様」
四季の前で笑いながら、幽香は言う。
だが、そんな彼女を見ても、四季は何ら顔の表情を変えず言い放った。
「あなたに拒否権は有りません。これは依頼であると同時に命令です。依頼が遂行されなければ命令になる。唯のそれだけです。オーケーですか花の妖怪?」
あくまで堂々と言い放つ閻魔。
それに対し、幽香は笑みを凍りつかせる。
空気が変わる。
この流れは、殺意の空気。
花の妖怪の目に、スイッチが入った。
バチンと。
バチンバチンと。
バチッ、バチッ、バチッ。
バチバチバチバチバチバチバチバチバチッ。
バチバチバチバチバチバチバチバチバチッバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ。
バチバチバチバチバチバチバチバチバチッバチバチバチバチバチバチバチバチバチッバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ。
「あなた死にたいのかしら? えぇ、幼女閻魔さん?」
ブチッ。
「あ、あなた、わ、わわわ、私にその様な事を言って唯で済むと思っているんですか?」
先程までの冷静な態度が吹っ飛び、四季は顔を真っ赤にしながら幽香に詰め寄る。
威厳も糞もないですよ。と言った状況だ。
「あらあら、幼女閻魔さん如きがすごんでも、全く怖くないわよ?」
「むきゃー!」
威厳何それ美味しいの? 状態になった四季が幽香に飛びかかる。
だが、すんでの所で避けた幽香には当たらず、勢い余って四季は地面にダイビング……。
はしなかった。
「大丈夫ですか大将?」
「こ、小町!」
四季が倒れる瞬間、物凄い早さで駆け寄ってきた女が見事に彼女をキャッチしたからだ。
「た、助かりました。ありがとうございます」
「いえいえ。これも部下たるものの務めです」
笑いながら小町は四季を支え立たせる。
そして、幽香の方を真っ直ぐ見ながら言った。
「やあ、ハジメマシテだねあんたとは」
「あら、ハジメマシテそちらさまはなんてお方かしら?」
「ああ、私の名前は小野塚小町ッて云うんだ」
「そうよろしく、私は風見幽香よ」
お互いにこやかな笑顔であいさつする。
だが次の瞬間、小町は笑顔のままで右手にどこからともなく鎌が握られていた。
「ハイよろしく、そしてさようなら幽香。あんたは家の上司を幼女扱いした。おまえさん、これから生きていけると思うなよ、ぶち殺すぞ妖怪ッ!」
「おお、恐ろしい恐ろしい。こんなにも恐ろしい部下がいたんじゃ話にならない。ではこうしよう、弾幕勝負を仕掛けよう!」
そう言いながら、幽香もどことからともなくピンク色の傘を具現化させ、切っ先を相手に向ける。
そのまま、弾幕勝負、レディ—ファイッ!
となりそうだったのだが。
「やめなさい二人とも! 小町! あなたまた何かの漫画に影響されましたね!! いっつもサボってばかりで無駄な知識ばかり付けて! そんなカッコいい事言う様な人格してないでしょう!」
「い、いえね、四季様。ちょっとカッコつけたい時ってあるじゃないですか! ちょうど今サーチ&デストロイ出来そうだったんですから、やらせてくださいよ!」
「馬鹿ですかあなたは! やらせません! 風見幽香!!」
「あによ」
無粋な言葉に邪魔され、若干不機嫌ムード漂う花の女王。
そんな彼女に向かって、四季はまた冷静な顔を創り上げ、こう告げた。
「あなたに排除していただきたいモノは、唯のモノじゃない。————なんですよ」
「ッ!?」
四季の言葉に愕然とする風見。
そして、その驚きの顔から一転。
引き裂くような狂喜の笑みになる。
「ハハハッ! それは凄い! 凄いわね四季映姫!! 最高だわ、最高。最高すぎるわ、ハハハっ!!」
笑う笑う笑う。
狂った笑いが彼女の顔面を支配する。
そんな様子を見て、小町は若干身を引くが。
四季はしっかりと彼女を見据えて続きを口にした。
「では、お願いできますね? フラワーマスター?」
その言葉に、幽香は一度鼻で笑ってから。
恭しく閻魔に頭を下げ、言った。
「認識したわ、閻魔様」
「なんだ、そのセリフ。あんたもあの漫画見てたんかい」
「初版は幻想郷に流れて来てたのよ。アレね、忘れ去られてたのね」
「こら、やめなさいそういう俗物的な話は」
妖怪は案外世俗的なモノである。
- Re: 東方書古録 ( No.31 )
- 日時: 2011/07/12 18:10
- 名前: Nekopanchi (ID: B6N9vk9k)
五話のあらすじ
①刻が見えた気がした。
②冷静に考えたらただの吐き気だった。
③勿論あの場にアムロは居なかった。
④何か適当に減数分裂とか言ったけどアレ適当。
⑤頭に鈍い痛みが走った。
⑥アロマ ザ 土☆偶。
⑦どぐぽん
⑧大剣(スイカバー味)
東方髭青年 第六話
『東方漫画日和ぃー!』
……えーと……皆様、如何お過ごしですか……。
俺の眼前では大剣(スイカバー味)装備の青いバカが大妖精に羽交い締めにされてバタバタ暴れております……。その間に大妖精が必死に説得を試みている様だが……
「だ、だからひとまず落ち着いてってばチルノちゃん!」
「はーなーしーてーよー!!」
……いかんせん青いバカはあれからもずっとこんな調子でまともな返答もしなければジタバタしたままで落ち着く様子もなくて全く変化無しだ。
その代わりと言えるかわからねえが、大妖精の方はやっぱ言う事聞かないバカに腹が立つのか、ほんの少し眉間にシワが寄ってたり、段々イラついてきてる様に見える……。
そして俺はと言うと、吐き気もすっかり治り、頭の痛みも大分和いで、今は四つん這いじゃなくて普通に直立だ。でもこれからどうすりゃいいかわかりゃしねえ。大妖精を援護したいのは山々だけど、羽交い締めで事足りてるんだから俺が行っても邪魔なだけでやる事無いだろうし、あのバカは俺を狙ってる訳だし……。
……というか何で俺は正午の陽で煌々と照らされている下、こんなエンドレスとさえ思えるジタバタ劇を見なきゃいけないんだ…………あ、いや助けてもらってこう言うのも失礼だけどさ……大妖精が羽交い締めをやめたらたちまち青いバカがあの大剣で斬りかかってくるんだろうし…………でも申し訳ないがそれくらい暇なんだ……最初の方は、
『そのうち羽交い締めを抜けて斬りかかって来るんじゃないか』
ってビクビクしてたけど、一進一退どころか一進すらしてこないもんだからそんな心配もどっか行っちまった……。
「………………」
暇さを少しでも紛らそうとなんとなしに空を仰いでみる。雲ひとつない晴天で、当たり前だが大陽が眩しい。今思ってみたら汗ばむくらいの陽気だ。……それにしても……
「……ありゃまだ当分進展ないな……」
と、退屈に耐えかねてか、完璧に他人事の様な台詞が自然と漏れてしまい、大妖精への申し訳なさが胸の底辺りから込み上げると同時に、同じく助けて貰っている大妖精に聞こえなかったかという気持ちも込み上げて、半ば慌てて彼女の方に視線を戻したその時…………俺は前言撤回せざるをえない光景を目の当たりにした。
「もう! チルノちゃんのわからず屋!!」
大妖精がシビレを切らした様に怒鳴ると、ほぼ同時に羽交い締めを解いて、流れるような動きで素早く青いバカの正面に回りこんで、そのまま覆い被さるような形で半ば強引にバカを押し倒す。その際に大剣(スイカバー味)が宙を舞ってから鈍い金属音を辺りに響かせて俺のすぐ前に落ちた。……ていうか金属だったのかアレ。
「ぎゃっ!」
……モロに、しかも自分も含め二人分の体重を乗せられて背中を地面に打ち付けられたもんだから青いバカの叫び声が凄い悲痛! こっから見ても凄い痛そうに顔が歪んでるかわいそう!!
ごめんとりあえずさっき言っちゃった台詞撤回、すぐ進展あった!
そして内心で俺が凄い叫んでいるのを他所に大妖精は神妙な面持ちで半ば転って移動し、仰向けに倒れているバカの横に着くと両足をバカの胸の上に乗せ、さらに背中の痛みで顔を歪めているバカの、自分に近い方の腕を足と足の間に挟んだ上で自分の胸に引き付けて…………。
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