二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 東方書古録
- 日時: 2011/01/18 22:17
- 名前: 変態と狼と猫と騎士 (ID: DTrz5f5c)
どうも皆様、クリックありがとうございます。
この小説は【東方Project】の二次創作作品【幻想入り】です。
その為以下の要素が含まれます。
・キャラ崩壊
・オリキャラ要素
・原作独自解釈
・ネタ成分
これらに耐性が無かったり、抵抗がある場合は【気をつけて】この作品をお読みください。
尚この作品はリレー小説の為、作者・主人公が複数人います。
以下が作者一覧となります
・トレモロ
・agu
・Nekopanchi
・とある騎士
それでは以上を以て作品紹介を終わりにさせて頂きます。
できれば楽しんで読んで頂けると幸いです。
- Re: 東方書古録 ( No.12 )
- 日時: 2011/02/17 23:11
- 名前: Agu (ID: gWH3Y7K0)
* *
「どうかしら? 美味しい?」
……作為的に、いや確実にそうだろうが、八雲 紫に遭遇した俺。
現在は部屋の中に入れて貰い、差し向かいで茶を飲んでいる。
何か納得いかないな。どうしてだろうか。
「あ……ああ。うん。美味しいよ」
——藍さんみたいに事務的に、ビジネスライクに話しかけてくる女性には普通の応対が出来る。
しかしこういう大人の余裕オーラを醸し出した、魅惑的な物腰の女性となると俺はてんで弱いのだ。
こうなったのも最初の出鼻を挫かれたのが問題だった。
敬語で上手く通そうとしていたのに、この少女はいきなりこう言い放ったのだ。
「敬語なんていらないわ。私と貴方の仲じゃないの♪」
それと同時にうふふなんて茶目っ気たっぷりに微笑まれてみろ。
まず俺みたいなタイプの人間は動揺して、ペースを崩す。
……仲ってのも大概に怪しいものだが。
母親って何だ。その年で。もっと他にも上手い理由付けはあるんじゃないのか。
八雲 紫という名前が妙に懐かしいのは否定しないがな。
「ふふ、また難しいことを考えてるわね?」
いきなりずぶりと指摘されて身体が震える。
必死に表情を変えないでいいえと首を横に振ってみるが。
「嘘は駄目よぉ。貴方には頑とそれを教え付けたはず」
と、ふふんと微笑されてまったく取り合わない。
くそ、苦手だ。苦手なタイプだ。
……こういうのとはさっさと話を付けてしまわないとまずいな。少々無粋だが仕方が無い。
俺はコホンと一回咳払いすると、紫に質問を投げかける。
「……本題に入らせてくれ。まず俺から質問があるんだが、いいかな?」
彼女はふうと溜息を付くと余裕の表情で答えた。
「まったく性急すぎるわよ。せっかくの再会なのに……まぁ、いいわ。言ってみなさい」
「ありがとう、それでは質問だ。君——八雲 紫は、俺をこの幻想郷とやらに“落とした”訳だが……その目的を知りたい。何故だ?」
一瞬、瞳孔がキラリと光る。紫は目線をしっかりと俺に合わせると、言った。
「……貴方は信じてないみたいだけど。私は貴方の『母親』。母親が『子供』と会いたいと思うのは不思議なことなのかしらね?」
そう、彼女ははぐらかした。確かに俺は信じてない。
信じる理由も無いし、証拠も無いからだ。こんな若い子が俺の母親なんて馬鹿げてる。
「馬鹿げてる……そう思ったわね、今」
ッ!……どうして分かるんだ!? 彼女には。
「くすくす。どうしてでしょうね? さて、あの時言ったはずよ。私は妖怪だって」
- Re: 東方書古録 ( No.13 )
- 日時: 2011/02/17 23:11
- 名前: Agu (ID: gWH3Y7K0)
紫は座っていた座布団から、俺の方へずるずると近づいてくる。
「……ねぇ、貴方はやっぱり理解してないわぁ」
雰囲気が、変わる。今までのモノとは違う、捕食者特有のあのざわめきと緊張感。
……距離がもう無い。俺は後ろに下がろうとするが、駄目だ。下がれない。
足が動かない。
俺が移動しないのをいい事に彼女はもう眼前まで迫ってきている。
——くっきりと見える。その非現実的に整った、秀麗で優美なそして何処か相手を不安にさせるその顔立ち。
俺は素直に、そして初めて彼女に対して思う——恐ろしい。
恐怖が胃を捻じ曲げて、理性と本能がこの怪物から逃げろと煩い警告を鳴らす。
内面に荒れ狂う畏怖の感情。生きた心地がしない、まるで薄氷を踏む様な。
——八雲 紫は、身に纏う色香に混じって……その両手を俺の顔に伸ばしてきた。
「智ゥ……よ〜く聞きなさい」
甘い、溶けそうなほどに甘い匂いが漂ってくる。
絶望と快楽を含んだその香り。吐きそうだ。これは人間が嗅いでいい種類のモノじゃない!
うともあとも言葉にならない言葉を口から漏らす俺に、紫は残酷に無慈悲にくすりと笑うと。
その両手をゆっくりと緩慢に、俺の頬に刻み付ける。
最初の柔らかいタッチ、しかしその後にギュッと力を込められる。
完全に視線を顔を固定された。
彼女の顔が段々と段々と、大きくなっていく。それは彼女自身が近づいているという証だ。
残酷な笑みを口元に浮かべたまま、鷹の様に鋭くなっていた目付きが変容する。
そう、表情全体が狂気の笑みを写す。
「ここは貴方のいた『現実』とは違う。ここは『幻想郷』。忘れられた者が最後に行き着く永久の地……」
「ぬ、ぐ……」
「くすくすくす。いい? 浮世の常識は通用しない。全て捨て去りなさい。そして適応するの。この場所に」
「う、あ……」
「そうしないといけない、貴方は。そう、特に貴方は」
唐突に、頬に込められた力が一層強くなり、暴力的になる。
爪は頬に突き刺さり、血が流れ落ちていく。
「私の眼を見なさい」
冷徹に、絶対の支配者として紫はそう俺に命令する。
「いい? 幻想郷は人間のお役所なんかじゃない。常識に惑わされていたら……貴方、死ぬわよ」
浮かべていた笑みが、真剣な表情に変わる。
「表面上で見れば、ここは調和の整った、規範に満ちた場所に感じられるでしょう。それもまた真実——ただ本質は違う」
絶望をその瞳に宿して、震え始めた唇が言葉を紡ぐ。
「外界人と幻想郷は交わらないわ。いえ、違う。本来交わってはいけなかったのね」
その言葉と共に少しの間が空き、彼女の相貌が少しずつ無表情となっていく。
「……この世界にせよ、妖怪にせよ、遊び半分で足を突っ込むことだけは止めなさい————もし、もし深くへ踏み込もうとするならば、命を賭けて挑むのよ」
半ば懇願する様な口調でそう言う紫。
語調に何処か、母親の面影が見えた気がして……まさかと自らを諫める。
だが俺は無意識に口から、搾り出す様に言葉を漏らしていた。
「……わ、分かったよ。『母さん』」
自らの発言に混乱しながら、必死に震える身体を押さえようとする。
何故だろうか。俺は、俺は郷愁の念を感じていた。紫にも、この家にも、あの庭にも。
このやり取りにも。
どうして?
唐突に、胃が押し潰されそうな感触が襲ってきた。
それだけではなく頭もグラグラ揺れて、ゆれて、ユレテ……
上手く表現できない。今すぐにもその場で叫びたい気分に陥ってしまう。
バン。バン。バン。
……眼前にはセピア色の風景。
それが写真みたいに何枚も何枚も通り過ぎていって。
そこ、そこに写っていたのはラベンダー色のドレスを着こなした美少女……あの八雲 紫と。
そのすぐ真横で無邪気に彼女の手を握りながら笑っているのは——俺?
バンバンバン。
何枚も何枚も何枚も。
見せ付けるように、根付かせる様にフラッシュバックが襲ってくる。
勘弁してくれ!!
そう思ったのと、意識がブラックアウトしたのは同時だった。
そして耳に入る女性の悲鳴——紫か?
あんな事しといてそりゃないぜ。乙女みたく叫ぶなんてな。
その内、聴覚もプツンと途絶えた。
- Re: 東方書古録 ( No.14 )
- 日時: 2011/03/02 17:24
- 名前: とある騎士。 (ID: 0Jvj0iRK)
幻想郷『お食事会』
私はカチャカチャと出来たての料理がのった皿を両手に合計6枚持ちながら大きくため息をついた。
「はぁ・・・・まったく、フランドールお嬢様ったらこんなに食べれもしないのに・・・・」
だが、まあお嬢様方とお食事を共にする、何て事は久しぶりだ。
こんなに胸がはずむのは久しぶり・・・・かな・・・?
そんなことを考えている内に大ホールの方の食卓についた。
「お嬢様、お料理が出来ましたよー・・・・て・・・あれ?」
辺りを見渡すとそこには残骸、残骸、残骸、残骸、残骸だらけ。
・・・・何やったんでしょう。あの人・・・。
「あら、十流。お料理が出来たの?」
『・・・はぁ、しかしお嬢様・・・何ですかこの有様は・・・」
フランドールは「?」と、何が?というふうに首を傾げている。
はあ・・・・まったく困った物だ。
するとそこに
「うふふっこらぁフランドール。身分下のメイドに叱られるなんてみっともなくてよ?」
「くっ・・・・何よお姉様・・・・・」
『レミニアお嬢様』
当然レミニアお嬢様の隣にはもちろん『十六夜 咲夜』がいる・・・
てゆーか俺の嫌いな奴勢揃い(^p^)
というか、コレは喧嘩てきなふいんきがします・・・・
『・・・・私はコレで失礼させて頂きます・・・』
シュッ・・・と私は闇に消えたそして今度は紅い月に照らされた蒼い海に来ていた。
そして、私は歌うのだ。
『「悲しみという海に沈んだ私、段々深くまで堕ちていき私は誰にも見つけられないのだろう。
ある日、誰かが言っていた【君は一人じゃ無いよ】あれは誰に言ってたの?とても寂しくて悲しい——
夢を見る少女はいつも思う、【あれは私に言って欲しい】でもそれは叶わないの——?
《どうしてなの?私には聞こえない…彼はどうして?》
信じる少女、目を閉じてあの頃の、彼を思い描く
泣き叫ぶのは、やっと見つけた彼がもういないとわかったから————。
胸が傷付いて、涙が止まらない………。声にならない気持ちがあふれて苦しい。
出来るのならもう一度彼に会いたい———。
【やっと、君に会えた………】
笑う少女、でも何故だかな、段々と薄れて消えていく
彼を思い続けた少女、君は誰よりも美しい
そこでは彼と出会いそして幸せな日々を過ごしていて下さい———。」』
これは今は亡き『白夜 十威』私の実の姉から教えてもらった歌だ
姉が死んで今年でもう6年も経つのか…………
あの人は優しくてみんなから信頼を受ける。そんな人だった
だけどある日何者かに【殺された形跡もなく殺された】
私は目を閉じ、そしてまた姉が好きだったこの歌を歌うのだった。
- Re: 東方書古録 ( No.15 )
- 日時: 2011/03/03 23:11
- 名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
『参話・青年と幻想理解』1/2
【過去】
「はぁ? クラスメイトに死ねって言われただぁ?」
ああ、そうなんだよ!
吃驚仰天ってやつだよね!
「いやいやいや、有り得ないだろ。なんかしたのかお前? そいつに嫌われてるとか?」
いやぁ〜、そういう事じゃなくてね。
なんか、俺の命で色々やりたい事があるらしいよ?
「……アホらし。当然断ったんだろうな?」
……。
「おい。なんでそこで黙るんだ!」
い、いやぁ〜。
……快諾してきちゃった!
「はぁ!? なにやってんだお前! 死にたいのかよ!!」
全然。
死にたいわけ無いじゃないか。
「じゃあなんで!」
君には理由を言う必要はないだろ?
その位の理解力は持ちわせる仲だと思うけど?
「……。くっそ。またいつもの【病気】か。だが、今回は異常過ぎるだろ! なんだってそんなクラスメイト如きに!!」
そりゃ、決まってるじゃないか!
「あぁ?」
その子に幸せになってほしいからだよ!!
【現在】
「大体こんな感じよ。どう? 理解した?」
「まあ、大体は……」
霊夢の言葉に青年は軽く頷きながら返事をする。
「しっかし、幻想郷ね……。ずいぶんとファンタジーな世界に来たもんだ」
「私たちにとっちゃ、あんたらの世界の方がファンタジーなんだけど?」
青年のどこか疲れた呟きに、彼の隣で、緑色の湯飲み茶碗に注がれたお茶を啜っている【鳥妖怪】こと、ミスティア・ローレライが答える。
今、青年はこの世界についての説明を、この【神社】に住む【巫女】。
【博霊霊夢】に受けていたところだった。
曰く、この世界は青年の住む世界とは境界を隔てた、全く違う異世界といっても過言ではないという事。
曰く、この世界には妖怪や神などが共に暮らす、異質な世界であるという事。
曰く、この世界には独自のルールや摂理があり、必ずしも青年が住んでいた世界と同質の理があるわけではないという事。
そして、最大の【特質】は、この【幻想郷】という場所は——
——忘れられた【モノ】が集まる、最後の【場所】であるという事……。
- Re: 東方書古録 ( No.16 )
- 日時: 2011/03/03 23:18
- 名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
『参話・青年と幻想理解』2/2
青年は霊夢に朝食を食べながら、ざっと話して貰った内容を思い出しつつ整理する。
横でミスティアもあれこれ、補足してくれ、大分この【幻想郷】についてぼんやりしたイメージを青年は把握することができた。
そんな彼に、霊夢はちゃぶ台の上に置いてある食後の食器を、纏めて運びやすくしながら。
向かい側に座る青年に淡々と語る。
「ま、あんたにとっちゃ夢みたいな世界でも、立派に生きてる人間も妖怪もいるって事よ。だから直ぐとは言わないけど、さっさとこの環境に慣れることね」
「随分な無茶を仰るね」
ため息をつきながら、苦笑いを霊夢に向ける。
すると、霊夢はそんな青年の仕草に全く頓着せず、面倒臭そうに口を動かす。
「本当はさっさと元の世界に返したいんだけど。一様、あんたもここに来た理由は知りたいでしょ?」
「ん? ああ、まあね。てことはもしかして協力してくれ——」
「ちなみに、神社には泊めないからね」
青年の言葉を遮り、霊夢は冷たく言い放ちながら、食器を居間から台所に運んでいく。
青年が、そんな霊夢の背中をため息をつきながらぼんやりと眺めていると。彼の隣でお茶を飲み続けていたミスティアが、霊夢に聞こえないような小声で話しかけてくる。
「ねえ人間。あんたこれからどうすんの? 霊夢はあれで厳しい所もあるからホントにあんたを追い出すと思うよ?」
「そうだなぁ〜。どうしようコスプレ少女。俺は大変困っているかもしれん」
「コスプレじゃないってば!」
ギロリと睨んでくる少女の視線を無視しながら、青年は思考する。
どうやらこの【幻想郷】という場所は、妖怪やら何やらがわんさか居るらしい。
ならば、どこか安全な場所を見つけた上で、自分がここに来た【理由】を探すのが一番だ。
だが、どうやらこの【博霊神社】には居候と洒落込むことはできそうにない。
という事は、自分はここ以外にどこか安全な、【人間】がある程度生活出来る環境を見つける必要がある。
そこまで、青年は考え。そんな、都合のいい場所が無いか、隣に座る妖怪少女に聞いてみることにした。
「なあ、コスプレ少女」
「……ミスティアよ。次それ言ったら喉仏噛みちぎるわよ?」
不気味に笑いながら、口を大きく開けるミスティア。
それを見て、青年は肩を竦めながら、やれやれ、と呟きながら改めて彼女に質問する。
「じゃあ、ミスティア。この近くで俺みたいな存在に優しい奴等が居る場所はどこだ?」
「う〜ん。あんたみたいなのに優しい奴ねぇ〜。外来人に理解がある所なんて、【人里】とか位かな……」
人差し指を自分の頬に当てながら、頭をめぐらし答えるミスティア。
その回答を聞いて、青年は【人里】という単語を頭に叩き込んだ。
「そこはどういう所なんだ?」
「人間が一杯居るところよ。でも、妖怪はそこじゃあ暴れないの。おっかない【先生】が居るからね」
その【先生】と何かあったのか、どこか遠い目をして青年に語る鳥妖怪。
と、そんな少女の表情など気にも留めず、青年は再び思考する。
人間がたくさんおり、ある程度自分のような人間。ここでは【外来人】というらしいものに理解があり。
さらに、妖怪から身を守ってくれる【先生】が居るという場所。
青年にとっては申し分ない【居候先】だった。
「成程。ありがとう、ミスティア」
ミスティアに軽く礼を言いながら、青年は台所で洗い物をしている霊夢に近づいていく。
「なあ、博霊霊夢。俺、人里ってところに行きたいんだけどさ」
「ふ〜ん。ま、確かに賢明な判断ね」
「だろ? だから、悪いんだけど道案内してくれないか?」
いくら神社に泊めてくれないといっても、道案内位はしてくれるだろうという思い。霊夢に頼む青年。
だが、帰ってきたのは青年にとってだけ意外な一言だった。
「いやよ」
青年の頼みを食器を洗い続けながら、速攻で否定する霊夢。
その言葉を受けて、青年は洗剤を使用しない食器洗いをし続ける霊夢の背中に、喰ってかかる。
「……え? なんで? いいじゃないかそれ位! 礼はするぞ?」
「どんな?」
「……今度一晩一緒に過ごしてや——」
「殺すわよ」
今度の霊夢の否定には殺意が若干こめられていた。
その迫力に気負されながら、助けを求めるようにミスティアの方を見る。
すると、ミスティアは青年の方を見ながらにやにやと笑っていた。
「だから、霊夢は厳しい所があるって言ったじゃない。あんたを縄で縛ったのもそいつなのよ?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、衝撃的事実をミスティアは言う。
その言葉を聞いて、青年は今の今までその事をすっかり忘却していたことを思い出すと同時。霊夢を強く睨みつけた。
と、青年の視線を感じたのか、霊夢は初めて食器洗いの手を休め後ろを振り返り、青年の方を見る。
「だって、もし逃げ出したりして妖怪に喰われちゃ目覚め悪いでしょ? あと、一度亀甲縛りってやってみたかったのよ」
「どっちが本音だこの野郎」
怒りが沸々と沸いてくるが、何気においしい和食もいただいてしまった手前、強く反論できない青年。
ご飯に味噌汁に焼き魚のコンボは、しばらく手料理を味わっていなかった青年には、大分大きな恩を感じるものだったらしい。
「まあ、確かに道案内くらいならしてやってもいいんだけど。ちょっと、今日は結界の見回りをしなきゃいけないからね。悪いけど断らせていただくわ」
全く悪びれた表情もせず、再び食器洗いに戻る霊夢。
その態度を受けて、尚も喰い下がろうとし、また言葉を発しようとした青年に、霊夢はその言葉を聞く前にまた口を開いた。
「だから、私以外の道案内を紹介してあげるわ」
「え? マジ?」
霊夢の思わぬ言動に、笑顔を浮かべる青年。
だが、彼女の次の言葉に固まることになる。
「もっとも、その道案内は妖怪だけどね」
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