二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 東方書古録
- 日時: 2011/01/18 22:17
- 名前: 変態と狼と猫と騎士 (ID: DTrz5f5c)
どうも皆様、クリックありがとうございます。
この小説は【東方Project】の二次創作作品【幻想入り】です。
その為以下の要素が含まれます。
・キャラ崩壊
・オリキャラ要素
・原作独自解釈
・ネタ成分
これらに耐性が無かったり、抵抗がある場合は【気をつけて】この作品をお読みください。
尚この作品はリレー小説の為、作者・主人公が複数人います。
以下が作者一覧となります
・トレモロ
・agu
・Nekopanchi
・とある騎士
それでは以上を以て作品紹介を終わりにさせて頂きます。
できれば楽しんで読んで頂けると幸いです。
- Re: 東方書古録 ( No.2 )
- 日時: 2011/01/19 21:20
- 名前: Nekopanchi (ID: 8keOW9sU)
東方髭青年 第一章
『……これは夢だ。』
微睡ろんでいる頭で、俺はボンヤリとそんな事を思った。
ほら、たまにあるだろ? 夢を見てる時に『あ、これ夢だ』ってわかるような事が……。俺は今がそうだ。だって体と頭が妙にフワフワしている感覚だし、一番に、今俺がいる場所が『紫色の空間に何の生物の物かわからない目玉が上にも下にも左右にも、無規則に張り付いている』というのが最大の証拠だ。だっておかしいじゃないか、現実にこんな場所がある訳がない。すなわち、これは夢という認識で間違ってないだろう。
「なんかおかしな夢だよなあ」
『あら、夢じゃないわよ?』
ただ、独り言を言っただけのつもりだったのに、どこからか女の声が響いてきた。
「え……?」
予想だにしてなかったので間抜けな声が自然と出てしまう。
「……はは、本当におかしな夢だな。疲れてんのかな俺……」
誤魔化す様に自嘲する様な苦笑を浮かべ、ただ、早く目が覚める様にと祈った。いくら察しが悪い俺でもこれから良くない事が起こるのは察しがついた。……そもそも、これは本当に夢なのか不安になってきた。先程から頬をつねってみているが、普通に痛い。
「……夢だ……これは夢……」
声で、自分に言い聞かせる様に呟いた。俺は今、どんな顔をしているか自分ではわからないが、きっと恐怖で凍り付いた顔をしているんだろう。そんな俺に、先程聴こえた女性の声が、子供をからかう様な残酷そうな声でまた喋りかける。
『まあ、確かに貴方にとっては悪夢かもしれないわね。でも貴方がそう望んだんじゃない。それに、そんなに怯えなくても大丈夫よ。『幻想郷』はどんな者でも受け入れるから』
「は!? 俺が望んだ!? それに幻想郷って…ッ…うお!?」
俺の言葉が言い終わるより先に、俺の真下の『空間』に切れ目が現れ、そこが開き、俺はそこに吸い込まれた。
そうだ……これは夢さ……きっとそうさ…きっと…。
- Re: 東方書古録 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/24 00:16
- 名前: Agu (ID: gWH3Y7K0)
——青年は言った【BBAが現れた! コマンド?】——
嫌なものだ。過去の記憶ってのは。
お呼びじゃないのにやってきて、散々人を困らせた挙句にまた去っていく。
人それぞれなんだろうが……少なくとも俺、雨城 智にとっては厄介なものでしかない。
俺は高校3年生のごく普通の男子生徒だ——幼少の頃に誰かさんに自宅を放火されて俺以外の家族が逃げ遅れて死ぬなんて経歴を除けば。
——そう、誰かに抱えられたまま、家が燃え盛るのを見つめていたという経験は年を取るにつれ、トラウマになっていった。
気にしなかったさ。ガキの頃はな。どうして家族がまだ生きていて中で苦しんでいるのに、それを外から冷静に見ていられるのかなんて。
涙一つも流さなかった。ただただ爬虫類の如く感情の無い瞳で業火を凝視する自らの様を想像して……ああ、クソッ。嫌になる。
俺は思わず舌を噛むと、ガタンガタンと揺れる電車内を見渡した。
男、女、十代、二十代、三十代、サラリーマン、学生。
沢山の、そして様々な人間たちがいる。どれもこれも表情だって違うし、性格だって同じじゃない。
そんな現実を再確認すると、とある女学生とたまたま視線が合ってしまった。
彼女は慌てて俺から視線を逸らす——まぁ、少しショックだが、慣れてることには慣れている。
どうも雨城 智の顔立ちは世間から見て、冷たい、冷徹な、そんな風に見えるらしい。
……そんな顔の所為で小学校、中学校と友人はとても少なかった。高校も同じだ。
別に虐められてるとか、そんな問題ではない。
ただ、そう近づきづらいだけなのだそうだ——ああ、このクソッタレな顔立ちでな。
よって彼女なんかいないし——はは、よせよ。お節介なツンデレ幼馴染もいないさ——女子の友人なんかは一名ほどいるだけだ。
……孤独ほど耐え難いものもない。教室の傍らで戯れるクラスメイトたちを横目に見ながら、俺は読書や勉強に励むしかないわけである。
そのお陰か、俺は成績が良いのもまた事実ではあるけれども。
ただ、もうちょっとぐらい。アニメやゲームの主人公とまではいかなくても、普通の一般人並みぐらいの生活を送りたかったな。
はぁ……しかし、今日も嫌な登校風景だ。
* *
授業を受けて下校する。十五分ぐらい歩いて駅に着き、チャージしたICカードを使って改札を通る。
時刻表どおりに来た電車に乗り、自宅の最寄駅で降りる。
ここまでは普通の、そう日常通りの下校だった。
なのに、家の近くにある昔馴染みの公園で出会ってしまった。酷く懐かしい響きの名前を持つ人に……
* *
「くすっ。待ちくたびれたわよ? 智?」
えー……突然ですが、わたくしこと、雨城 智は現在とても困惑しています。
何故かって? そりゃ、公園の前を歩いてたら、いきなりブランコに乗っていた見目秀麗、ナイスバディな金髪ロングの少女に親しげに話しかけられたからですよ。
いやぁ……ビックリですね。
——落ち着け、落ち着くんだ。良く見てみろ。少なくとも、ただでさえ友達が少ない俺に、こんな外人の美少女が知り合いにいる訳ないだろ。
「ああ、何を待ちくたびれたかは存じませんが、たぶん人違いです」
そう返答した俺に彼女はまたくすりと笑うと、紫色のフリルが付いたドレスを揺らしながらこちらに近づいてきた。
「やっぱり。記憶、失ってるみたいね……少し期待してみたんだけど……」
そんな期待されても困ります……というか、どうして俺の幼少時の記憶が一部以外無いことを知ってるんだ?
少女はその美しい鮮やかなブロンドの髪を——毛先をいくつか束にしてリボンで結んでいる——に人差し指を絡ませながら、うーんと云った調子で数秒考える様な振りをすると、パッと思いついた様に顔を挙げた。
「そうね、しょうがないわ。じゃ、もう一回自己紹介しましょう。幻想郷に連れて行けば、おのずと思い出すでしょうしね」
……とりあえず、お互いの認識が噛み合っていない気がするので一回話し合いたいのですが。
と心の中でぼやくがそんなこともお構いなしに彼女は話を続ける。
「私は八雲 紫——貴方の“母親”よ」
え? 今、何言った? この少女。
「凄い顔してるわねぇ……ま、予想はしてたけど」
少女——紫は俺の混乱を物ともせず、更に続ける。
「ついでに私は“妖怪”でね。様々な境界を操れるのよ」
紫がパチンと指を鳴らすと、俺の上空のが“切れた”……いや、何を言ってるかは分からないと思うが、普通にジャケットのジッパーが開いたりするみたいにジッーと。
切れた先にはバックベアード様みたいな目玉がうにょろうにょろしていて、「このロリコンめ!」と怒られそうな雰囲気だった。
もう、頭がパンクしそうである。常識的に考えて。
紫は言った。
「ふふ、また親子水入らずで暮らしましょう……幻想郷へ一名ご案内〜♪」
やけに陽気な声が聞こえたと同時に、俺の意識は暗転した。
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- Re: 東方書古録 ( No.4 )
- 日時: 2011/01/26 15:38
- 名前: とある騎士。 (ID: 0Jvj0iRK)
幻想郷・『不思議な森の奥にあるお屋敷』
・・・・・ドンッ
俺は勢いよく地面に転んだ。いや、落ちた といったほうがいいだろうか?
俺はどうしてこんな所にいるのだろうか?そしてここは何処なんだ?
俺は記憶をたどって思い出した。
『そっか、俺…いきなり出てきた切れ目……みたいのに』
あれはいったい何だったのだろうか、そして見ず知らずの女の子に
「『私は貴女の母親よ——』」
なんて言われてたっけ……。
彼女は誰なのだろうか。そして俺の母親とは何なんだろうか。
そんなことを考えていると何処かで。
……リーン…リーン。
と、鈴のような音が聞こえるのだった。
俺は無意識のうちに薄暗い、いかにも幽霊でも出てきそうな森を駆け抜けて、俺はその鈴が鳴っている場へ走った。
そこへ行くと、俺は息を飲んだ。
「『…………………』」
そこには月に照らされ、青白く見える肌と、優雅に、いや美しく白薔薇と黒薔薇を摘んでいる少女がいたからだ。
俺は思った、美しい、でも何故こんな少女がこんな時間に?そして何故こんな場所に?
そんな俺に気づいたのだろうか、少女はこっちを数秒見つめ、薔薇を摘んでいた籠を抱え、俺の事を睨み
『また、来てしまったのですね……………。』
と言い残し、走り去ってしまった。
『な、なんだ?また来てしまったって、俺ここに来るのは初めてだぞ……?』
俺はこんな事を言っている場合じゃねぇ!と叫びさっきの少女を追いかけた。
すると彼女は逃げてなどいなかった。逆に俺は彼女に
『貴女………いや、雨城 智様、貴方様は先ほど此処、【幻想郷】に入らしたばかりでございます………。』
『幻・・・想・・郷・・・・・?』
『はい、そして私、『「白夜 十流」』も幻想郷に招かれた1人でございます………。』
俺がきょとんとしている顔を見合わせたのか、彼女「白夜 十流」という少女は
『私の推定では………後もう2人様ほど【幻想郷】に招かれるかと……。』
そして彼女は笑った、それはそれは不気味に。
次トレモロ様。
あと、今回はaguさまのキャラクターと出会う・・・・みたいな展開にしました。
ご不満があれば何なりと申し下さいませ。
- Re: 東方書古録 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/01 23:28
- 名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)
『壱話・一人酒と面倒事』
「いい夜ねぇ〜」
どこか幸せそうな少女の声が辺りに静かに響く。
その音の発信源を辿ると、白を基調とした、和装の寝間着に身を包みながら、これまた和式の屋敷の縁側に腰かけている少女にたどり着く。
何故幸せそうな声なのかというと、理由は簡単。
【酒】だ。
別段酒を飲もうが飲むまいが本人の自由なのだが、彼女の場合はそれを良しとしない人間もいるかもしれない。
なぜなら彼女は、
【神社の巫女】なのだから……。
「はぁ〜、萃香のくれたこのお酒。いい味ねぇ〜」
幸運にも、時刻はとっくに十二時を回っているので、とりあえず今は少女の周りに誰かの影はないようだ。
神聖であるはずの神社の巫女が、夜に一人で自らの住む屋敷で酒を飲んでいるなど、一部の若者には受けそうだが、老人たちの受けはよくないだろう。
その点少女は幸運である筈だ。
もっとも、この【屋敷】———いや【神社】は。道中に妖怪が出るという、危険極まりない道筋の果てにあるので、夜中でなくとも参拝客が極端に少ない。
それは、ここの巫女である少女。『博霊霊夢』も重々承知している事だった。
参拝客が少ないのは神社にとっては致命的であり、実際生活は逼迫しているのだが、如何せん夜中に酒などという風流人みたいな事をしているのでは、その逼迫さ加減は全く伝わらない。
「こんないい夜に良いお酒を飲まないなんて、自然に対する冒涜よねぇ〜」
そんな豪気なんだか、のんびり屋なのか判別しがたい事を言いながら、少女は右隣に置いてある盆の上にある酒の瓶から、手酌で盃に注ぎ口に運ぶ。
「ん〜!」
酒を喉に流し込みながら、目を瞑ってうっとりした顔をしながら、再度幸せそうな声を出す霊夢。
「おいしぃ!」
一人で軽く叫びながらバタバタ足を動かす。
どうやら多少酔ってテンションが上がっているようだ。
巫女が酔っ払う。
そんな最悪な状況が出来上がるのも、そう遅い話ではなさそうだ。
事実彼女は偶に深酒をしてしまい、そのまま縁側で眠りこけて風邪をひいた事もある。
なので、あながちそんな【醜態】も冗談ではないのだ。
だが、今日はそんなことにはならなかった。
理由はとても簡単かつ明快。
そして、彼女にとってどうしようもなく、
【面倒】な事だった。
「お〜い!博霊の巫女〜!」
声。
透き通った少女の声。
聞く者にどこか安らぎを与えるような、そんな声。
霊夢はその【声】を聞いて、大体の相手の目星を付けつつ、その予想が外れることを祈りながら、声の方に顔と目を向けた。
そして、彼女の願いに反して目に飛び込んできたのは。
「夜中に酒煽るなんて、いい御身分だな貧乏巫女さん」
彼女が倒すべき存在。
【妖怪】だった……。
- Re: 東方書古録 ( No.6 )
- 日時: 2011/02/01 23:18
- 名前: Nekopanchi (ID: 271PzwQK)
東方髭青年 第一話 『だから俺はオッサンじゃねえ!少し髭が生えてるだk(ry』
……今、俺は凄く眠い。と言うかほとんど頭が寝てる。今の寝惚けた頭じゃ『今、俺はうつ伏せに寝転んで目蓋を閉じてる』事しか理解できない。
「うぅ……ん……」
眠い……目蓋が重い……。……いいや、今日は遅刻しても……。
と、そこでようやく思考がハッキリしてきた。……同時にあの恐ろしい事も想起。だが慌てる必要はない。だって今、俺は眠いんだから! 眠いって事はさっきまで寝てた、イコールさっき見たのは夢って事になるんだぜヒャッホーーイ!
「イーーヤッホォー!」
さっき起きた恐ろしい出来事が夢だと思うとどうしても心の底から喜びが忍び寄り、それが腹の底で弾けて愉快な衝動へと変わって自然と声が出た。
そして目蓋を開けるのも忘れたままそのテンションでうつ伏せの状態から勢い良く飛び上がって深呼吸。
ほぉら、さっきのは全部夢さ。その証拠にほら、今、目蓋を上げたらそこに広がるのはいつもと変わらぬ俺の部屋………
「ビバ俺の部屋ぁ!」
奇声と共に目を開けるとそこにひろがっていたのはいつもと変わらぬ俺の部屋だ。だってほら、目の前には霧がうっすらかかった湖、そしてその湖を囲むようにある森、そして湖の水際に立っている俺。うん、完璧に俺の部屋。イッツア パーフェクト マイルーム。完璧過ぎて普段見えない湖や森まで見えおるわ、ははは。
「……はあ……」
ひとしきり現実から逃避行を試みるがすぐに現実という鬼にタッチアウト。こんにちは、辛い現実 。
「ここ俺の部屋じゃねえ……」
俺がぽつりと呟いてからすぐに沈黙が訪れる。
「ここ俺の部屋じゃ、ねええええええええ!!!!」
そしてその沈黙を破ったのも俺。大事な事だから二回言ってみたんだ。……って、そんな事はどうでもいい。何はともあれここは俺の部屋じゃない。そもそも、俺の部屋に湖なんてない。……当たり前だろ! 部屋に湖あるとか俺どんなブルジョアだよ!?
んな事よりどこなんだよここは……! 俺、こんな湖見た事すら無えぞ!? そもそも心当たりすら……
「……あ」
つい、口に出てしまった。いきなり豆鉄砲くらったみたいな感覚に陥ったんでな。
「……もしかして、ここが、あの女の声が言ってた『幻想郷』……?」
……頭の中でその結論が導き出された瞬間、全身から力が抜け、その場に跪いてしまった。
……チクショウ、あったよ心当たり……あっちゃったよ……
「つまりあれは……夢じゃなかったって……!?」
理不尽な理由で全く知らない場所に連れてこられて、挙げ句の果てにほったらかし……こんな馬鹿な事があるかコンチクショウが。
と、悪態をついても何も現状は変わらない。いや、むしろネガティブになるだけだ。ネガティブになったらいい事は何一つ無い。だからこれからはあらゆる事をポジティブに考える事にしよう。レッツゴー ポジティブジンギスカン。
…………あ、違うポジティブシンキング。
前向きに考えようと決意したその瞬間、辺りに漂っていた静寂がまた何者かによって破られた。
「そこのオッサン! あたいの縄張りに無断で入るとはいい度胸ね! あたいと勝負しなさい!」
……最初に言っとく。これは俺の言った事じゃない。もっと高い声の……少女の声だ。大体俺は自分の事を『あたい』なんて言わない。いやキモいだろ!? 男が一人称『あたい』って!
……まあそんな事より、しっかりと少女らしき声は聞こえたのに声の主はどこにも見えない。前後左右をキョロキョロ見回してしてみるがどこにも人影はなかった。……おかしい、幻聴って感じではなかったし、そんな遠くから聞こえた感じでもなかった。でも人影はない……これはどういう……
と、そこでまた少女の声。
「あーっはっはっ! 全然あたいを見付けられないみたいね! さすがあたい! さあ、早くあたいと勝負しなさい!」
……言ってる事が支離滅裂だな……こいつの姿すらまだ見てないが一発でわかった。この声の主は相当のバカだ。
そして、今ので聞こえてきている方向もわかった。だが声をした方向は前でも後ろでも右でも左でもなく……前方斜め上。……お、おいおい…冗談だろ……?
「ほら、早くあたいを見付けなさいよオッサン! さもないとあたいから不意討ちしちゃうからね! ねえ、聞こえてるんでしょオッサン!」
「いちいち五月蝿えよ!? お前五秒に一回単位でオッサン言うな! 俺はこう見えてもまだ高校せ…………!?」
言い返す際につい声のしている方向を見てしまった。……すると、本当に信じられないんだが、羽根みたいな氷を背中に生やし、青と白のツートンカラーのワンピースを着て、青髪のショートカットに青いリボンをつけた少女と、何か鈴虫みたいな羽根を背中に生やし、ブレザーみたいな服を着、それなりに長い緑髪の一部を黄色のリボンでサイドテールに縛っている少女。この二人の少女が『宙に浮いていた』。
目が合うと青髪の方の少女が、偉そうに両腕を腰に当てて、これまた偉そうに宙に浮いたまま仁王立ちする。
「ようやく気付いたみたいね! さあ、早くあたいと勝負……」
と、そこで、緑髪の少女が心配そうな顔で青い方を制止しようとする。
「ち、チルノちゃん……や、やめようよ……まだあの人が悪い人って決まった訳じゃないし……」
「大ちゃんは黙ってて! あんなヒゲオッサンが悪者じゃないわけないじゃん!」
だが、青い方は緑髪の少女の制止を強引に振り切ってまた自信たっぷりの顔で俺を睨む。
……なんだこりゃ、目の錯覚か?
というか、酷え言われようだな。髭の生えてる奴は例外無く悪者か!? あぁん!?
つづく
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