二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

東方書古録
日時: 2011/01/18 22:17
名前: 変態と狼と猫と騎士 (ID: DTrz5f5c)

どうも皆様、クリックありがとうございます。
この小説は【東方Project】の二次創作作品【幻想入り】です。
その為以下の要素が含まれます。

・キャラ崩壊
・オリキャラ要素
・原作独自解釈
・ネタ成分

これらに耐性が無かったり、抵抗がある場合は【気をつけて】この作品をお読みください。
尚この作品はリレー小説の為、作者・主人公が複数人います。
以下が作者一覧となります

・トレモロ
・agu
・Nekopanchi
・とある騎士

それでは以上を以て作品紹介を終わりにさせて頂きます。
できれば楽しんで読んで頂けると幸いです。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8



Re: 東方書古録 ( No.1 )
日時: 2011/03/01 23:27
名前: トレモロ (ID: vQ/ewclL)

『青年・幻想の始まり』

近づいてくる。
ぐんぐん、グングン。
近づいてくるのは地面。
周囲の風景が【落ちていく】。
思考がまばらになっていき、視界が暗くなっていき。
俺はそこで、意識を失って。
心がバラバラになって、何を考えていたのかも忘れて。
だけど、きっと【恐怖】は無かった。
ただ、人の役に立ったという【歓喜】だけがあった。
嬉しかった。
そして、自分の命が役に立ったという【満足感】もあった。
その感情が歪んでいるという事は、自分でもわかっている。
だがどうしようもなく。【自分】という人間は、自らの起こした行動に絶対の【正統性】があると信じて疑わなかった。
そんな思いを抱きながら、二十年あまりの俺の人生は。
突発性な【事故】などではなく、明確な【意思】と共に、

終わる事となった……。









薄ボンヤリとした光が、群生する木々により出来た暗がりの中に輝く。
その光の原因はひとつの屋台。
年季の入った雰囲気を感じさせるが、不思議と【古臭い】というイメージは無く。
どこか質素で優しいオーラに包まれている。
「ふふ〜ん、ふふふふ〜ん、ふふ〜んっ♪」
そんな屋台から、軽やかなリズムの鼻歌が辺りに響き渡る。
周りはすでに暗くなっており。そこに、【歌が聞こえる】なんて状況は、どこか不気味な感じを相手に与え、店の雰囲気と対照的に近寄り難い状況だった。
もっとも今現在【相手】というのは、周りに一切いないのだが……。
そんな不気味な鼻歌を響かせる声の主は、周囲の状況などお構いなしに、適当なリズムで適当な歌を歌い続ける。
意外なことにその歌声は、【美声】と評価される程のものであった。
場所が場所なら歌姫にでもなれそうなレベルの、透き通った声が心にしみわたる様な歌声。
だが残念なことに、その【舞台】は暗がりにある【屋台】だ。【歌姫】には程遠いだろう。
「さぁ〜て、今日はおしまいにしようかなぁ〜」
そんな【残念な歌姫】は、鼻歌を中断して明るく呟く。
「もう、お客さんも来ないよね。帰って寝よっと」
そういっててきぱきと後片づけを始めた。
どうやら【屋台】での売り物は色々あるようで、調理台の上には様々な調味料やら材料やらが散乱している。
お客の座るテーブルには食べ終わった食器などがあり、先程まで誰かここで夜の時間を過ごしていたことが伺える。
もっとも、椅子が四人掛けなのに対し、食事の痕跡があるのが一人分なので、繁盛してるとは言い難いようだが。
「さてと。終わりっ! 帰る〜、家に帰る〜♪」
独り言さえも歌にしながら、家路に就くために【歌姫】は【屋台】を移動させる。
【屋台】は移動しやすいように荷車と合体してあり。前方に付いてある取っ手を引きながら動くことができる機構になっていた。
【歌姫】はそんな便利な【屋台】を引き歩きながら、歌い続ける。
どうやらこの人物は歌を歌うのを無意識に行っているようだ。
「に、に、人間の味は〜、すき焼き味〜♪」
……曲選択はかなり悪趣味なようだが。

「ん?」
と、屋台を引いて森林だらけの整理されていない道を歩いていた【歌姫】———ミスティア・ローレライは前に何かが落ちているのに気付いた。
いや、落ちていたのではなく【倒れていた】のを見つけたといった方が良いだろうか。
「生き倒れ?」
疑問に思いながら、【屋台】をその場に置いて、ゆっくり倒れている人に向かうミスティア。
近づいて見てみると、どうやら倒れているのは【人間】のようだ。
うつ伏せに倒れているために顔は見えないが、どうやら体格から男のようだ。
「人間がここらで倒れてるなんて、珍しいなぁ〜。ここはルーミアもよく来るのに……」
知り合いの人食い妖怪の事を思い浮かべながら、疑問に思うミスティア。
だが何時までも思案していても仕方ない。
とりあえず【人間】を起こすため、少女は【人間】の体を揺さぶってみた。
「……ん?」
「お、生きてた」
ちょっと揺さぶっただけで、【人間】は目を開けて、ゆっくりとした動作で上半身を起こす。
そして、自らを起こした人物である少女に視線を向ける。
「……」
数秒の沈黙。
そして、目を見開きながら少女を凝視し。
叫ぶ。
「は、はは、羽ぇえええええええええええええええ!?」
言われてミスティアは気付く。
確かに自分は羽が付いている。それは自分は【人間】ではなく、【妖怪】なのだから当然だ。
そして、この【世界】の人間ならここまで驚かず、『ああ、羽のある妖怪だな』位に思うだろう。
まあ、その後に『食われる!?』という恐怖に襲われるだろうが……。
ということは、彼はこの【世界】の【常識】の無い人間。
【外来人】という事に、彼女は気付いてしまった。

(うわ〜、こんな所で倒れているから、可笑しいとは思ったけど……。面倒だなぁ〜)

今はお腹も空いていないし、面倒事には関わらないで早く帰りたい気分だ。
だというのに、こんな面倒な人種にあってしまうとは、ついていない。
そんな事を思いながら。さて、どうしたものかと今後の状況を考え始めるミスティア。
「なななな、なんだ!? 何故に羽!? 羽って人に生えるもんなの? ホント、凄い! なんつーか凄い!」
「ちょ、興奮するのも分かるけど、落ちついて……」
ぐったりとしていたのはどこへやら、突然飛び起きたかと思ったら、【外来人】の男はミスティアに詰め寄る。
「飛べるの!? 空飛べるの!? つーかこれは夢か? 夢なのか? いや、俺はさっきビルから飛び降りたからここは天国なのか?」
【飛び降りた】という言葉に引っかかりを持ったが、今の状況では聞くことはできないだろう。とりあえず男に落ち着いて貰えるように話しかける。
「あー、なんていうかその、もうちょっと静かに……」
「ていううか、女の子!? 女の子に羽ってことは、コスプレかな? あんまりそういう事は解らないけど、きっとその羽は凄い完成度だとおも」
ブチっ。
「うるさいっ!!」
「ぶはっ!」
余りにコミニケーションの取れない男をとりあえず黙らせるため、鳩尾に拳を叩きこむミスティア。
その拳を受けて、青年は短く呻きながら、再び意識を失って倒れこんでしまう。
「あちゃ〜、やり過ぎたか……」
ちょっと静かにさせたかっただけなのだが、力加減を誤ってしまったようだ。
先程と同じように揺さぶってみても反応がない。
「どうしよう……」
途方に暮れたミスティアは、とりあえず。
「……しょうが無い。【あの人】のところに連れていくか……」
一つの思考に行き着き、荷台の端に男を乗せてまたゆっくりと歩き出した。

「ふ〜ん、ふふ〜ん。外来人は〜焼き肉味〜♪」

相変わらず趣味の悪い歌を、【美声】で歌いながら……。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8



この掲示板は過去ログ化されています。