二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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図書館戦争〜未来編〜
日時: 2012/09/29 16:01
名前: メガネ& (ID: /2F25v/O)

こんにちわ!メガネ&と申します!

注意!
これは、別冊2終了から数年後のお話です!ネタバレの可能性があるので、閲覧時は気を付けてください!
オリキャラとして、堂上班の子供たちが登場します!
戦闘シーンもあるので、ややグロい表現があるかもしれません!

それでよろしければ、ぜひ読んでください!

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Re: 図書館戦争〜未来編〜 ( No.13 )
日時: 2012/12/12 14:28
名前: メガネ& (ID: /2F25v/O)

第四話 初めての恐怖


「くっそ、良化のやつらめ…!規定違反だぞ!!」

手塚からの報告を聞いた玄田が吐き捨てる。
遥と希が生まれる何年も前に火器規制は制定されている。良化特務機関は、その規定を破って発砲してきたのだ。そしてその弾が、母を貫いた…。

「お母さん……ッ!」

遥が泣きそうな声で母を呼び、祈るように手を組む。
さっき窓から見た、戦闘服を真っ黒に染め上げるほど重傷を負った母の姿が目から離れない。

お願いお母さん、死なないで…!!!



それから柴崎が迎えに来てくれて、遥と希は良化隊員に見つからないように裏口から図書基地を出た。
図書隊御用達の病院に到着し、走って外科病棟に向かう。

「「お父さん!」」

手術室の前のソファーに、父が座っていた。身にまとっている戦闘服には血が付いていて、それが母の血だとわかった。

「お父さん、お母さんは大丈夫なの!?」

希が駆け寄って尋ねると、父は表情を曇らせて説明してくれる。

一番初めに聞こえた銃声は、母を撃ったものだった。当麻事件で最後まで当麻を護衛した母を逆恨みした隊員が犯人だ。
笠原郁———堂上郁さえいなければ、良化法に風穴が開くことはなかった。あの女が死ねばいい。そんな馬鹿げた考えのせいで、母は撃たれたのだ。

「胸は貫通してて、あと少し左にずれてたら心臓に当たってた。右肩は、弾がとまってるから取り除かなきゃいけない」

淡々と説明している父だが、その内心はどれほど不安に襲われているのだろうか。

「ねえ、お父さん…。お母さん、大丈夫だよね?」

遥は震える声でそう言った。その言葉は、希の内心も代弁している。

「……ああ、大丈夫だ。郁が、お前らを置いて死ぬはずがないから。だから、大丈夫だ」

一瞬間があったのは、父も不安だからだろう。最愛の妻を失うのではないかと、恐怖を感じているのだ。
三人の心の中を、不安と恐怖が占めていた。

————死ぬな、郁。遥と希を、俺を、置いていくな…!
————お母さんお願い、私たちのそばにずっといて!
————死んじゃ嫌だよ、お母さん…!死んだら許さないから!

Re: 図書館戦争〜未来編〜 ( No.14 )
日時: 2013/01/06 15:51
名前: kokoa (ID: TimtCppP)

どーも〜 kokoaデス これからもチョクチョク出入りするんで                                    以後お見知りおきをwww                                                    とても 面白いデス                                                       出来れば 双子の両親に対しての呼び方が 「郁ぅ」「篤さ〜ん」                                  の方が面白いと思いマスデス。                                                                                     個人的な見解でゴメンなさいデス 参考程度にお考え下さい                    from kokoa

Re: 図書館戦争〜未来編〜 ( No.15 )
日時: 2013/01/13 21:49
名前: メガネ& (ID: /2F25v/O)

第五話 願い


手術は無事成功したが、予断を許さない状態が続いていた。
遥と希は学校が終わるとすぐに病院に向かい、母のそばで過ごす日々を送っていた。


「遥ちゃん、希ちゃん!」

学校を出た時、聞きなれた声がして二人は振り向く。
駆けてきたのは、小牧と毬江の間に生まれた女の子・汐織と男の子・悠斗だ。現在、汐織は三年生で悠斗は一年生。

「これから病院?」
「そうだよ。二人はどこ行くの?」

遥が言うと、汐織が毬江によく似た笑顔で笑った。

「保育園。剣斗のお迎え行かなきゃだから」

剣斗とは、小牧夫妻の三人目の子供で、汐織と悠斗の弟だ。現在年長さん、来年小学校に入学する。

「汐織ちゃんは偉いね、私だったら絶対行かないよ」

希が笑いながら言う。「そんなのダメでしょ」と突っ込むのは遥だ。
ふいに、悠斗が心配そうな表情で二人を見上げた。

「郁さんきっと元気になるよ!」
「「えっ?」」

驚く二人に、悠斗が笑う。

「だから、悲しい顔しちゃだめだよ!ぼく、遥ちゃんと希ちゃんの笑った顔大好きだから!」
「悠斗…」

きっと幼い子にはわかるのだろう。遥と希が、母が元気になることを信じ切れていないことを。
小さい子にそう思われてはたまったものではない。信じなくては。もう一度、母のあの笑顔を見れることを。家族四人で笑えることを。

「ありがと、悠斗!何か、早くお母さんの顔見たくなっちゃった。行くよ、希!」
「りょーかいっ!」

二人はまばゆいばかりの笑顔を汐織と悠斗に向け、駆け出して行った。

「悠斗、すごいいいこと言ったね。偉いよー」
「ほんと?汐織お姉ちゃん」
「ほんとよ」

汐織と悠斗はそう話し、ともに母親に似た笑顔を浮かべた。

Re: 図書館戦争〜未来編〜 ( No.16 )
日時: 2013/02/06 16:14
名前: メガネ& (ID: /2F25v/O)

第六話 涙の雫


無機質な機械音が響く、白一色の病室。
郁はこの病室で、今も生死の境を彷徨い続けている。夫である堂上は仕事の傍ら、毎日病院に通って郁のそばで過ごしていた。


「郁………」

今にも折れてしまいそうなほど細い郁の腕には、たくさんの点滴が繋がれている。堂上はそんな郁の手をそっと握っていた。

「郁」

もう一度、柔らかい声で呼びかける。しかし、郁の瞼が開くことはない。今までなら、無邪気な笑顔で「なぁに?篤さん!」と答えてくれていたのに、だ。

いつになったら、郁は元気になってくれるのだろう。

「なあ、郁。もうすぐ結婚記念日だな。何がほしい?」

そう問いかけるが、相変わらず郁の反応はない。無機質な機械音だけが病室に響く。

「————頼む、郁…目を覚ましてくれ」

声が震えた。

郁の存在が、自分にとってどれほど大事なものだったか。それは前から分かっていたが、今回さらに郁の大事さを感じた。
人間が酸素なしでは生きられないように、堂上は郁がいなかったら生きていけないのだ。それほどまでに、郁は大事な女性だ。
そして、遥や希にとっても。郁が意識不明になってから、二人がさびしがっているのは堂上も分かっていた。仕事と家事、郁の見舞いを両立していると、子供たちとの時間もとれないのだ。

「郁……っ」

涙がこぼれ、堂上は歯を食いしばった。

「愛してる…郁。もう一度俺を見てくれ…俺を見て、笑ってくれ…」

いったん涙腺がほどけると、涙は止まらなかった。
——————————その時。


         郁の手が、ぴくりと震えた。

Re: 図書館戦争〜未来編〜 ( No.17 )
日時: 2013/03/04 13:59
名前: メガネ& (ID: /2F25v/O)

第七話 喜び


「郁っ!?」

堂上はあわてて身を乗り出し、郁の顔を見る。
郁の瞳は開き、まだ少し焦点が合っていない中で不安げにあたりを見渡していた。

「よかった…」

目覚めてくれたおかげで、ほっと安堵の息が漏れる。
すると、郁がゆっくりと手を伸ばして堂上の頬に指を滑らせた。

「篤さん…どうして、泣いてるの…?」

自分に何が起こったのか、郁は分かっていないらしい。撃たれて一瞬で気を失ったのだ、無理もない。


「「お母さん!?」」

遥と希の声がして、堂上は振り返る。
二人は唖然として病室の前に立ち尽くしていたが、やがてその眼に涙を浮かべて駆け寄ってきた。

「お母さん!お母さん、よかった…!」
「よかったよぉ…生きててくれてよかった…」

堂上を突き飛ばす勢いで郁に抱きつき、二人は声をあげて泣いていた。ずっと意識を失っていた母親が目を覚ましてくれて、純粋にうれしいのだろう。

娘たちの行動にぽかんとしていた郁だったが、やがて二人の様子からいろいろと察したらしい。

「心配掛けてごめんね…篤さん、遥、希…」

そう言って、郁は優しく微笑んだ。


その後、郁は順調に回復。職場復帰もあっという間に成し遂げ、また元気に図書隊を駆け回るようになった。
郁を狙撃した良化隊員は免職されたらしい。もう堂上家に危害を加えることはないだろう。

そして、このときから遥と希が誓ったことがある。

     私は、お父さんとお母さんみたいになる。
     私は、私たちにいろいろなことを教えてくれる本を守りたい。
     
       図書隊に—————————入りたい。
       図書隊のような、正義の味方に。

図書隊こそが正義だと、このころの二人は疑っていなかった。


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