二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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学園アリス —記憶の在処—
日時: 2010/11/24 17:20
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

はじめまして。
時計屋と言う者です。

学園アリスの小説をちょこちょこ読んでいて、書きたくなりました。

よろしくお願いします。






オリキャラ

 木錠李麻(きじょうりお)
  年齢 11歳
  性格 人見知り
  アリス 言霊のアリス
  備考 五歳の時、親にZに売られ、それ以来レオの元で育つ。人間自体が好きでなく、近しい人としか関わらない。レオと蜜柑と彼方に懐いている。
 
 彼方(かなた)
  年齢 12歳 
  性格 冷静沈着
  アリス 創造のアリス
  備考 生まれて直ぐ捨てられ、ボスに拾われる。
その為、似たような境遇の李麻と共にいる。レオのことは、好きではないが信頼している。

 国元日下(くにもとくさか)
  年齢 15歳
  性格 お気楽
  アリス 光のアリス
  備考 李麻・彼方・蜜柑の兄役であり、リーダー。面倒見もよく信頼されている。


(その他色々増えるかもしれません。)

それでは、スタートです。

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Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.48 )
日時: 2010/12/13 19:17
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

リラ様
コメントありがとうございました。
なかなか思うように進まず、悪戦苦闘中です。
これからは、動きのある描写が増えてくるので、悩みは尽きません・・・・。
今後も応援よろしくお願いします。

今回は本編でなく番外編を書きたいと思います。
李麻と彼方の出会いです。進行役は彼方君です。
では、スタート。

番外編 幼き日の出会い —初めまして—

玲生に呼ばれるのは至って珍しくない。
あいつは俺たちのリーダーであり、不本意ながら俺の育ての親だから。けど・・・・

「一時間も待たせるとかありえないでしょ。」

そう、ありえない。人としてどうかしている。親しき仲にも礼儀ありと教えたのは確かあいつの方だった。なのに、この仕打ち。帰って良いかな?
馬鹿馬鹿しくなり帰ろうとしたところ、タイミング良くドアが開いた。

「なんなの。」
「悪いな。」

少しも悪いなんて思ってないでしょ。
笑いながら謝る玲生に内心で毒づくも、相手には伝わらない。こうゆう時、自分のアリスがテレパスだったらなんて、どうしようもない事を考える。
そもそも、テレパスだったらここに捨てられてはいないよな。

「・・・謝るより、用件を言いなよ。呼び出しとかして、面倒この上ないね。」
「そう言うなって。用事はこいつだよ。」

玲生の後ろから現れたのは、自分と同い年位の女の子だった。怯えきって見上げる目は、幼い頃の自分と重なる。
初めての任務で初めて人を傷つけた日、鏡に映った自分は怯えていた。
分かっていたつもりだった。任務がどうゆう物か。人を傷つける事がどうゆう事か。聞かされていたし、納得もしていた。今だって後悔はしていない。
それなのに、何だってこの子はあの時の自分と重なるんだよ。

「何この子?まさかあんたついに幼児趣味に走・・・・」
「んな訳ないだろ!!!!!」
「冗談。本気にしないでよ。それで?俺が呼ばれた理由は?」
「この子の世話をお前に任せる。」

はい?

「聞こえたか?この子をお前が世話しろ。」

あんたの声は嫌でも聞こえるよ。いや、突っ込むべき所はそこじゃない。世話ししろって言ったのか。俺に?

「はっ!それこそ冗談。子供の世話なんて俺に出来るわけ無いでしょ?」

俺だって暇な訳じゃないしね。

「仕方がねぇだろ。適任者が居ねぇえんだから。」
「日下に頼めばいいじゃん。如何にも子供好きって顔してるし。」
「生憎日下は任務中で居ねぇんだ。お前が面倒見るしかねぇだろ。」
「嫌だね。あんたがやれば?」
「命令。」

うわ、卑怯だ。命令なら聞くしか選択肢無くなんのに。

「それに、俺なんかよりお前の方がこいつの事理解できんだろ。」

似合わずシリアスな雰囲気出しやがって。やっぱムカつく。

「じゃな。」

玲生は厄介な置き土産を残して、帰って行った。
仕方ねぇよな・・・。

「・・・俺彼方。あんたは?」
「・・・・木城・・・・李麻・・・・。」
「そ。まっ、よろしく。」
「・・・・・。」

なんだ?こいつ。ま、為るようになんだろ。

これが、俺と李麻の出会いだったんだ。
仕組まれたと言えばそうなんだろうけど、この時は未だ知らなかったんだ。
自分の非力も、あいつの思惑も、そして李麻自身の事も。なんにも知らなかった・・・。


玲生から李麻を預けられて一週間たった今。大きな任務はなかったし平穏な日々を送ってるんだろうけどさ、一つ言いたいんだけど。

「・・・・あんた、口あんの?」
「・・・・・・。」

こくんと頷くだけの会話なんて有る?
この一週間、李麻は言葉を知らないんじゃないかって思うほど、全く喋らない。何かしたければ指さして教えるし、こっちが何か言えばさっきみたいに頷くか首を振る。あまり、自己主張をしないから支障はないけど、やっぱり少し気になる。

「・・・李麻。なんで、喋ん無いの?」

何度もした質問をすると、悲しそうに首を振る。それが、拒絶の意味だと分かったのは玲生に言われたからだ。
アリスのせいで親に売られたとは聞いた。そのアリスが言霊というのも。李麻のアリスは自身の発した言葉の力で物に何かしらの作用をもたらすものだという。実際に見た事無いけど、玲生が言うには、言葉の意味を正確に理解し、込められた想いと願いを感じ初めて使えるらしい。逆を言えば、それすら理解してしまえば、人を傷つける事も可能で、それ故言葉を出す事に対して、怯えがあるのだという事だった。
正直下らないと思う。力を恐れればそれで終わってしまう。向き合い受け入れていかなければならないのに。否定したからと言って、無くなる訳じゃない。

『李麻、彼方。会議室まで来てくれ。』

スピーカーから聞こえた玲生の声に訳も分からず、不安になった。


つづく

長いので前後編に分けました。

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.49 )
日時: 2010/12/13 19:14
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

続きです

番外編 幼き日の出会い —約束するよ—



玲生から言い渡されたのは、敵対勢力の排除。少数だから今回は李麻も連れて行けって無茶だよね。ま、実際は俺が戦って李麻が援護。初日の様子見ってとこでしょ。

「李麻。余計なことしなくていいから。」

こうゆう時李麻の性格は楽で良い。勝手にやられると邪魔になるしね。
そんなこと考え目の前の敵を一掃しようと武器を振り上げた時、後方から衝撃が来た。幸い直撃は免れたけど、ノーマークの背後からだったため防御が間に合わず、足を痛めてしまった。まずったかも。
敵は、獲物を捕った気になっているのかにやにやしながらゆっくりと近づいてくる。

「李麻。俺の事置いて逃げろ。」

俺の失態で李麻を殺すわけにはいかない。命令し、逃げるまでの時間稼ぎをと思い、起きようと足を引きずる俺の前に李麻が庇うように立ちふさがる。その行動に敵も驚いていたが、何より俺が一番驚いた。
いつもなら命令には従うのに、何で・・・?

「李麻!!!逃げろ!!!!」
「・・・嫌!!!!」

聞こえなかったのかと思い、もう一度声を張り上げると、今度は明確な拒否の言葉が返ってきた。
聞いた事がなかった李麻の大声と、強い言葉に何も言えなくなる。
止まっていた敵も、李麻の声で我に返ったのか、今度は李麻に向かってアリスで攻撃してくる。

「避けろ!!!」
「平気・・・。」

俺の声に振り向かず、李麻は声だけで返す。
すぅと息を吸い込むのが聞こえた。

『消』

李麻の声は何処までも澄み切っていて、鈴の音のように小さく波紋する。すると、今まで存在していたアリスが音もなく消えた。敵は何が起こったのか分からないと言うように目を見開き、焦りながら何度もアリスを放つが、すべて形になる前に消える。

『失』

また李麻の声が波紋すると、目の前に立っていた敵が一人残らず、倒れた。


「あれが、あんたのアリス?」
「・・・うん・・・。」

倒れた敵を迎えに来た黒服に渡し、帰還した部屋の中で、李麻にあの時の事を聞く。悲しそうに俯きながらも声を出し答えてくれた事に、嬉しくなった。

「言葉だけで何でもできんだ。」
「・・・全部じゃないよ・・・。私が・・・本質を理解して・・・願いを感じ取れた言葉だけ・・・・。」
「あれも?」
「・・・負の言葉は・・・本質も願いも分かりやすいの・・・・。誰にでも在るから・・・。」
「へぇ〜。」
「・・・私のアリスは・・・傷つける事しか・・・・出来ないの・・・。お母さんの時も・・・・傷つけるだけで・・・怖くて・・・こんな私・・・嫌だよ・・・・。」

涙を必死に堪える姿は儚くて、消えてしまいそうで、とても愛しかった。

「・・・俺は、守られた。」
「・・・彼・・・方・・・?」
「俺は、李麻のアリスで守って貰えたよ。」
「・・・・・。」

それでも、涙を流さない李麻を優しく抱きしめる。
消えてしまわないように。壊れてしまわないように。

「俺は、好きだよ李麻の事。李麻のアリスも李麻も大好きだ。」
「・・・でも・・・いつか傷つける・・・。そしたら・・・彼方も・・・・離れ・・・・て・・・・」

悲痛なほどか細く消え入りそうに、自分を責める李麻に、抱きしめる腕を少し強くする。

「離れないよ。俺は李麻から離れない。ずっと一緒にいる。死ぬまで抱きしめてる。」
「・・・でも・・・・」
「俺を信じて。李麻に、李麻のアリスに守って貰った。だから、今度は俺が李麻を守る。ずっと側にいて、李麻を守るから。」
「・・・・彼・・・・方・・・・。」
「消えたりしない。離れもしない。ずっと大好きだから、側にいて?李麻。」

堪えきれなくなった李麻の涙が溢れだす。
どれだけ隠していたのか。どれだけ堪えてきたのか。
声を張り上げ泣きじゃくる李麻の背をさすりながら、李麻を守りたいって強く思ったんだ。



「やっぱり正解でしたね。」
「そうだな。」

玲生の言葉に『彼』満足そうに頷き、モニターを見つめる。

「貴方が買ってきた時はどうなるかと思いましたよ。ホント子供の世話は苦手ですから。」
「彼方の時は楽しそうだったぞ。」
「勘弁してください。ちっとも言う事聞かなくて大変でした。」
「そのおかげで彼方が使い物になっただろう。」
「・・・俺は疲れただけですけどね!!!」

玲生の反論も『彼』に取っては、意味など無い。
誰であろうと『彼』を変える事など出来はしないのだから。

「それで?李麻も使い物になりそうですか?」
「あぁ・・・・とてもな。」
「それは良かった。」

『彼』モニターの中で、仲良く寄り添って眠る彼方と李麻をほくそ笑んで見ていた。


おわり


終わりました。
この話は彼方君サイドだったので李麻の方も書ければと思います。

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.50 )
日時: 2010/12/13 19:17
名前: あやのん ◆u4eXEPqmlc (ID: 3s//keBI)

李麻、彼方の出会い!!おぉ〜すごいよ〜

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.51 )
日時: 2010/12/13 22:38
名前: あやのん ◆u4eXEPqmlc (ID: 3s//keBI)

1日に2話なんて!すごい!ちょっと才能分けてくれ〜

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.52 )
日時: 2010/12/15 16:34
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

こんばんは?かな。
前回は李麻と彼方の話を書きましたが、本編と深く関わりがあると言うわけではなく、お気に入りになりつつある二人の、初々しい出会いを書いてみたいかなぁと思い書いた物です。設定は作品を書き始めた頃から有ったのですが、文章にする作業に戸惑ってしまい後半になってしまった次第です。
さてさて今回は、やっとこさ本格的に作戦が動き出します。それにつきまして、自分は動きを書くのがものすっごく苦手です。想像力をフル活動して、書きますが伝わらない部分も有るかもしれません。なにとぞ、ご容赦ください。
注意!!
今回は、場面の関係上暴力的表現を使用するかもしれません。


第十五話 —必然の出会い—

必然だったのかな?
私がここに来る事も。貴方に出会う事も。
全て仕組まれた事だったんだよ。
頬を濡らす涙も、胸を突き刺す痛みも。
きっと神様が仕組んだ 滑稽な舞台だったんだ・・・・・・。


学園内では既にZと学園の攻防が繰り広げられていた。至る所から爆発音やアリスの光、人の叫び声が響き渡り異様な雰囲気を演出していた。
その中を零那達は指定された北の森まで駆け抜けている。日下に連絡が出来ない以上、落ち合う場所まで急がねばならなかった。

「零那・・・・良いの・・・・?」
「何が?」

李麻は隣を走る零那を見上げ、確認をする。それは、零那を気遣うものであり、踏みとどませようとしているのかもしれない。しかし零那には李麻の真意が伝わらず、本気で何を言いたいのか分からないと言った声色で聞き返してきた。彼方が李麻をちらっと見たが、気にせず李麻は続ける。

「・・・・・・学園と戦っても・・・・・良いの・・・・・?」
「当たり前。この二年間この日を待ち望んできたんだもの。」
「でも・・・・・・あの時の零那・・・・・・・悲しそうだった・・・・・よ?」
「あの時?」

目的の場所に着き、零那は足を止め李麻が示した時間帯を探すが思い当たらない。

「・・・・・・教室から出る時・・・・・日向棗に・・・『蜜柑』って呼ばれた・・・・・。」
「・・・・・悲しかった訳じゃないわ。本当よ。」

否定しても李麻は未だ納得出来ない目で零那を見上げる。その視線に耐えきれず零那はため息を吐いて、少し俯いた。

「ただ・・・・・・懐かしい気がしただけよ。何処かでそう呼ばれていたのかもって思ったの。」
「・・・・零那・・・・・・」
「心配しないで。私は平気。今は学園に復讐する事が私の目的だから。」

李麻が何かを言いかけたのを遮り、零那は明るく振る舞い安心させるように微笑んだ。悲しそうに俯く李麻の手を彼方が握り、李麻は口を噤んだ。

「みんな、揃ったか?」

いつの間にか日下が木にもたれかかった姿勢で、零那達の目の前に居る。その顔は真剣そのもので、普段の彼からは想像出来ないほどの殺気が、学園に向けられていた。

「遅かったね。何かあったの?」
「いろいろとな・・・。」

彼方の質問に疲れた声で返す日下には余裕が感じられず、強敵に遭遇した事を伝えるには十分すぎるほどの緊迫感を与えられる。森の中に他人の気配はなく、少なくともここは安全だと思いこんでいた零那達の頭と感覚が一瞬で切り替わった。五感を研ぎ澄まし、アリスをいつでも使えるように戦闘態勢に入る。
かさっと木の葉が擦れる音が日下の背後から聞こえ、一斉にその音との間合いを開け敵の存在を確かめる。

「出てこいよ。」

鋭い日下の声に、徐々に気配が近づくのが零那達にも伝わった。木の葉の音が聞こえる度、緊張が体を駆けめぐる。木の葉の音と共に現れた安藤翼は、零那の姿を見つけ目を見開いた。

「蜜柑・・・・・・・・何で・・・・・・?」
「私は毛利零那よ。何度も何度も『蜜柑』なんて名前で呼ばれて、鬱陶しいわ。」
「お前・・・・・。」

零那の口調とその態度から、大体の状況を把握した翼は即座に視線を零那から日下に移す。

「てめぇら蜜柑に何した・・・・!!!」
「さっきから言ってんだろ?こいつは零那だ。」
「ふざけんな!!!!!」

怒声と共に零那達の方へ木が倒れてきた。見れば影が不自然に歪み、その先に翼が立っている。

「なるほど・・・・・影使いって訳ね。」

彼方は倒れてきた木に跳び移ると、思いっきり蹴り飛ばし、その反動を利用して間合いを詰める。

「けど、甘いよ。あんな大きなもの、隙作るだけでしょ。」

アリスでナイフを作りそれを翼の懐へ突き刺そうとしたが、鳥の妨害により叶わなかった。

「邪魔」

彼方は頭上を飛ぶ鳥の群れを見上げ垂直に跳び、群れを成していた鳥の数匹を持っていたナイフで斬り殺した。

「なんなんだよ。いきなり。」

墜ちた鳥を見下ろしながらも気配を探ると、翼以外の気配が森の中に入っていた。その気配の方にナイフを投げると、火の玉が返ってきた。

「居るんだろ?出てきなよ黒猫。」
「棗!!」

彼方の言葉に驚いた翼が振り返ると、息を切らした棗と流架、蛍の三人が彼方を睨みつけていた。

「来るとは思ってたけど、結構速かったじゃん。玲生達まさか手抜いたの?」
「うるせぇ・・・・蜜柑を返しやがれ!!!!」
「だから、こいつは零那。耳付いてんの?」

呆れた口調の彼方を棗が炎で囲む。

「・・・李麻、頼む。」
『消』

李麻の声が波紋すると、棗の炎が跡形もなく消える。

「なっ!!!!」
「何驚いてんの?自己紹介したじゃん。」

驚いた一瞬の隙を彼方は見逃さず、さっきよりもスピードを上げ、棗との距離を0にする。

「俺のアリスも零那が言ってただろ。」

彼方は新しいナイフを創り出し、今度は下から上に振り上げたが、一瞬速く棗が身を引いたため肩をかすめる程度だった。
棗はそのまま重力に逆らわず後ろに倒れる。殺気を感じ、彼方が棗から棗の後ろに移った蛍に視線をずらす。バカン砲を構えた蛍は、棗の奥に彼方が見えた瞬間それを放つが、彼方も持っていたナイフで飛んできた球を切りやり過ごす。

「結構やるじゃん。」
「黙れ。」

余裕の表情を見せる彼方を棗は憎らしげに睨む。
棗の必死さに彼方はふっと息を漏らし、棗に近づいた。

「諦めなよ。蜜柑はもうこっち側の人間だからさ。」
「なっ・・・・・!!!」

棗にしか聞こえないように囁くと、動揺した棗の腹部にナイフを刺した。

「お前の負けだよ。黒猫。」

食い込んだナイフの柄から赤い血が流れる。止まることなく流れ続けるそれを、零那が固まった様に凝視する。ぐらっと棗の体か揺れ、その場に力なく倒れた。

「な・・・・つめ・・・?棗ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

響き渡る零那の声は、森にこだました。


つづく


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