二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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学園アリス —記憶の在処—
日時: 2010/11/24 17:20
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

はじめまして。
時計屋と言う者です。

学園アリスの小説をちょこちょこ読んでいて、書きたくなりました。

よろしくお願いします。






オリキャラ

 木錠李麻(きじょうりお)
  年齢 11歳
  性格 人見知り
  アリス 言霊のアリス
  備考 五歳の時、親にZに売られ、それ以来レオの元で育つ。人間自体が好きでなく、近しい人としか関わらない。レオと蜜柑と彼方に懐いている。
 
 彼方(かなた)
  年齢 12歳 
  性格 冷静沈着
  アリス 創造のアリス
  備考 生まれて直ぐ捨てられ、ボスに拾われる。
その為、似たような境遇の李麻と共にいる。レオのことは、好きではないが信頼している。

 国元日下(くにもとくさか)
  年齢 15歳
  性格 お気楽
  アリス 光のアリス
  備考 李麻・彼方・蜜柑の兄役であり、リーダー。面倒見もよく信頼されている。


(その他色々増えるかもしれません。)

それでは、スタートです。

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Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.38 )
日時: 2010/12/09 21:23
名前: あやのん ◆u4eXEPqmlc (ID: 3s//keBI)

毎日チェックが日課になった

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.39 )
日時: 2010/12/10 21:58
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

ごめんなさいごめんなさい!!!
土下座して謝ります!!!ごめんなさい!!!
毎日書こうとはして居るんだけど、どうもPCが言うこと聞いてくれん日が続いて・・・・。
けど、今日は調子がいいみたいです。毎日来てくださって、本当に感謝感激です。頑張ります。

第十二話 —決定事項—

空は晴れ渡り、心地のいい風が横を通り過ぎる。
絶好のスポーツ日よりの中、中等部A組メンバーは各々これから行うドッチボールのため入念な準備体操に勤しんでいた。
棗達三人はその光景を少し外れたところで眺めている。

「久しぶりねドッチボールなんて。初等部の頃はよくみんなでやってたけど、まさか中等部になってまでやるとは思わなかったわ。しかもこんな時に・・・。」
「ナルにも何か考えがあると思うけど・・・。」

皮肉を飛ばす蛍に、流架は説得力の抜けたフォローをする。そうかしら と蛍はどことなく諦めの交ざった声と呆れた目を生徒達と楽しそうに話している鳴海に向けた。

「ともかくあの零那って子達の目的を明らかにしないと・・・・」
「目的って?」

蛍の背後から響いた零那の声に、三人の顔は驚きの色へと変わる。振り向いた三人に零那はいつもの笑顔を作り、無邪気な少女を装った。

「私達の事を話していたの?えっと・・・・」
「・・・今井蛍よ。こっちは乃木流架、それと日向棗。」
「そう。今井さん。アリスを持つ子供はここに入る事になって居るんでしょう?私達も同じよ。学園に入学するよう命令されたの。」
「・・・・信用できないわ。」
「勘ぐり深いのね。そうゆう人は好きよ。でもそれが真実なの。私は平穏無事に過ごしたいと思っているのよ。」

尚も疑いを向ける蛍に零那は笑顔を崩さない。

「棗君達ー始めるよー。」

鳴海の声で二人の間に張られていた緊迫した空気は一気に緩み、零那は頭の端に感じた痺れに顔を顰めた。

「行きましょう。」
「ごめんなさい。呼び出しが掛かったみたい。」

困り顔で零那が謝ると、三人は訝しげな表情を浮かべながらも、鳴海達の元へと戻っていった。


「お呼びって、日下?」
「そうみたい。一瞬のテレパスだったから詳しい場所までは分からなかったけど・・・・。」
「・・・・あれ・・・。」

李麻の指の先に、人と仲良く話しながら向かってくる日下の姿があった。それはまるで、親しい友人同士の語り合いに見える。

「何やってんの?あの馬鹿は。」
「さぁ。でも楽しそうね。」
「楽しむために来たんじゃないでしょ。」

くすくすと笑う零那に彼方が不機嫌そうに反論する。その声で気づいたのか、日下が手を挙げ足の速度を少し速めた。

「よう、我が弟よ。」
「ようじゃない、馬鹿兄。何してんのさ。」
「何って探索だよ。クラスメイトと。なぁ翼。」
「なぁ、じゃねぇよ。いきなり走るな。」
「悪い悪い。」

後から追いついてきた安藤翼は、予定外の日下の行動に疲れた様子で答えた。詫びる気のない日下に翼は頭を押さえる。

「たく、朝から付き合わされる身にも慣れっての。」
「こんな馬鹿によく付き合うよね。」
「まぁ、一応仲間だからな・・って、こいつら誰?」

今零那達に気付いたというように翼は、紹介を日下に求めた。

「あぁ、俺の弟とその彼女と彼女の姉。」
「その説明はないんじゃないの?馬鹿兄。」
「事実だろ?」

火花を散らす二人をよそに翼は零那と握手を交わした。

「俺は安藤翼。高等部のA組で、日下の世話係。君が日下の弟の彼女?」
「いえ。私はその姉の木城零那です。彼方の彼女は妹の方ですよ。」

翼が目を零那から李麻へと向け、軽く笑う。

「・・・・・李麻・・・・・。」
「李麻ちゃんって言うのか。よろしくな。」

差し出された翼の手から李麻は逃げるように零那に隠れた。

「・・・嫌われたか。」
「気になさらないでください。人見知りなんです。」
「そっか。仕方ないな。・・・おい日下。」

零那の言葉に苦笑を見せる翼は、彼方と睨み合っている日下に声を掛けた。睨み合いを中断し、日下は翼に顔を向ける。

「ん?」
「お前弟に用事があったんだろ?俺高等部に戻るから用事終わったらお前も戻って来いよ。道分かるだろ。」
「心配すんな。」

豪語する日下に心配そうな目を向けるが、何も言わず翼は戻っていった。


「で何?」
「何ってことはないだろ。愚弟を心配して様子を見に来てやったのによ。」
「その設定うざいから止めてくんない?」
「ひでーなぁー・・・。」
「彼方。苛めるのはその辺で。本題に入りましょう日下。」

切り出した彼方の毒舌に傷ついていく日下を見かね、零那が話を切り替えた。

「・・・・昨日、玲生から連絡があった。二日後予定を切り上げて決行するだと。」

促された日下は未だ涙目になりつつも、玲生から言い渡された任務を告げる。

「二日後・・・・それは決定事項?早過ぎませんか?」
「組織内でも混乱してるみたいだな。この作戦自体も玲生とボス、それに一部幹部にしか話してなかったみたいだ。」
「ボスが許可したんだよね?」
「あぁ。」
「なら迷う必要ないじゃん。俺は命令に従うよ。」

彼方は質問に日下が頷くと、当たり前だと賛同した。

「仕方がありませんか。」

李麻も頷き、零那も渋々納得する。

「じゃ、準備しといてくれ。」

日下は、満足顔で元来た道を帰っていき、零那達もグランドへと足を向けた。


零那達が抜けたグランドの影に翼と棗達三人が隠れるように集まっている。

「確かに怪しいな。日下と彼方って奴。兄弟って感じじゃなかったぞ。」

翼は苦々しく告げる。
昨晩三人に呼び出され棗の部屋で聞かされた時は、考えすぎだと笑っていたものの、実際に彼方の雰囲気を間近で感じてみると、棗達の予想が笑えなくなってきた。彼方や日下の纏っているのは、間違いなく自分たちと同種のものであった。

「その日下ってのは会って見なきゃ分かんないけど、注意しといた方がいいわね。」

蛍の重々しい声に棗達は頷いた。


つづく

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.40 )
日時: 2010/12/11 08:43
名前: あやのん ◆u4eXEPqmlc (ID: 3s//keBI)

なっ、何を決行するんだ!

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.41 )
日時: 2010/12/11 17:25
名前: あやのん ◆u4eXEPqmlc (ID: 3s//keBI)

安芸

Re: 学園アリス —記憶の在処— ( No.42 )
日時: 2010/12/11 21:25
名前: 時計屋 (ID: klLmhm9D)

時間が飛びます。
前回から一日経って、夜です。


第十三話 —決戦前夜—

そこには暗闇の中にモニターの光で男の影が映し出されていた。椅子に座り、画面を見つめている。

「ボス。」

呼ばれた声に『彼』は憂鬱そうに顔だけを部屋に入ってきたレオに向ける。その表情は逆行により判別できず、玲生は眉をひそめた。

「どうした。玲生。」
「何故、零那を学園向かわせたんですか。」
「理由が知りたいと?」

『彼』の声が部屋に響く。それは、楽しんでいるようにも試しているようにも聞こえる。気圧されながらも、玲生は『彼』を真っ直ぐに見据える。

「知っているでしょう。零那_いえ、佐倉蜜柑は学園に強い想いがある。前にも日向棗に接触した事で記憶が戻りかけた。幸いその時はレイズが間に合い事なきを得ましたが、学園となればレイズでも簡単には処理できません。」
「あいつを学園に侵入させるべきでなかった、と?」
「もしまた記憶が戻るような事態になりでもしたら、作戦全てに支障が出るかもしれません。それなのに何故です。この大事な時に不確定要素である佐倉蜜柑を関わらせるんですか。」
「・・・分からないのか?この時だからだよ玲生。」
「この時だから・・・・?どう言う意味ですか。」
「すぐ、分かるさ。」

『彼』の言っている意味が分からず聞き返した玲生に『彼』は楽しそうに笑い、モニターに映し出されている零那へと目を戻した。


玲生からの連絡を受け、零那達は各自準備を進めている。と言っても学園内での行動は限られており、目立たないよう最低限の準備しかできない状況に、零那は少なからず焦りを覚えていた。

「大丈夫・・・・?」
「心配しないで。私は大丈夫よ。」

ぎこちなく微笑む零那を心配そうに見つめる李麻。その二人を彼方は、窓に寄りかかりながら見つめていた。
ノックの音が聞こえ、三人は素早く部屋を整えた。

「誰?」
「今井よ。開けてくれるかしら?」

緊張が向こうに伝わらないように注意しながら聞こえるように声を出すと、予想外の人物の声がした。警戒しながらも、ここで追い返すのは為にならならいと判断し、零那は蛍を招き入れた。

「何か用?」
「話をしに来たの。」
「一人で?一緒にいた彼らは?」
「女の部屋に男を連れてくるわけ無いでしょ。」
「一度、疑いをかけた人物なのに?」

意外にも落ち着いている蛍に、零那は驚く。もちろん悟られないように内心でだが。

「勘違いしないで。今も信用していないから。」
「残念。」
「・・・馬鹿に付き合う気はないの。間接に答えてくれる?あなた達はZの人間?」

挑発とも取れる蛍の言葉に零那は一瞬考える。

「・・・だとしたら、どうするの?」
「もしあなた達がZなら、聞きたい事があるの。」
「何?」
「・・・・・佐倉蜜柑という少女を知らない?若しくは毛利零那でもいいわ。」

零那達の反応を伺うように蛍は三人を見つめる。
零那の手が少し震えているのを李麻は感じた。蛍が『蜜柑』と口にした途端に懐かしく切ない気持ちに駆られる。何かを口走ってしまうのを押し殺した。

「わ・・・」
「知らないよ。例え知っていても、あんたに話す理由がない。」

零那が答えようとした時彼方が割り込み、蛍を睨む。李麻が後ろで悲しそうに俯くのを、蛍は見逃さなかった。

「・・・・そう。ならいいわ。邪魔して悪かったわね。」

蛍は簡単に引き下がった。扉の奥に消えていく蛍に対し、零那は不思議な気持ちで見送る。
ドアが完全に閉まり蛍の気配が消えると、力が向けたように零那が座り込む。体が震え、蛍を追いかけたい衝動を全身全霊で押さえ込む。それでも涙が溢れてきた。止めどなく流れる涙を不思議に思いながらも、止める術を零那は持っていない。李麻と彼方もただ流しきるのを待つしかない。

「ごめ・・・・ね・・・。わか・・・・な・・・くて。ご・・・め・・・・ん。」

途切れ途切れに紡がれる謝罪は、痛々しいほど切なく響く。背中をさすりながら李麻は何度も首を振り、悪くないと訴える。

「どう・・・・して・・・こんな・・・切ないの・・・・。」

零那の呟きに似たか細い声が届いた李麻の顔は、悲しそうに歪んでいた。


「どうだった?」
「繋がっている可能性は大きいわ。Zって見た方が良さそうね。蜜柑の事も聞き出せたらよかったけど、流石にガードが堅いわ。」

いつものように棗の部屋に集まった流架達に、蛍は悔しそうに報告する。

「こっちもだ。それとなく聞いてみたんだが、なかなかしっぽを出さない。」
「お手上げってこと?」

流架が翼に聞くと、翼は肩をすくめる。

「情報が足りないからな。鎌かけるにしても、相手の出方が分からないんじゃしょうがねぇ。」
「・・・零那って子。蜜柑の名前を出したら動揺してたわ。何か関係してるのかしら。」
「そう言えば、棗が佐倉にあった時零那って名乗ってたんだろ?同一人物の可能性は?」
「低いわね。連中が易々と学園に蜜柑を連れて来るとは考えにくいわ。暗示を掛けているなら尚更解きやすくする場所に連れて来る?」
「可能性はある。Zの奴らが学園で何か事を起こすなら蜜柑を連れてきても不思議じゃない。」

棗の言い分に蛍は納得できないと首を振る。

「だけど、奴らは蜜柑の暗示が解けるのを嫌がって居るんでしょ?なら・・・・。」
「レイズは『まだ』と言っていた。もしかしたら・・・。」
「木城零那が蜜柑って事?」
「分からない・・・?」

疑問は増えるばかりで、解決しない。そのことが棗達は悔しかった。



つづく

やっとここまで来ました。
次回は、作戦決行です。


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