二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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モンスターハンター・バロル—根源との争い— 一時休止
日時: 2012/03/13 20:49
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=10906

↑の続編です。以前は別サイトで書いてたんですが、
何らかの理由で入れなくなってしまったので、こちらで新しく投稿する事に決めました。



その他掲載小説
・モンスターハンター・バロル・・・完結!
・フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜
・フェアリーテイル〜無の滅竜魔導士〜
・テイルズオブザワールド
・怪談百記物語(複雑・ファジー)


★人物紹介★
レイン 22歳 男・・  備考>>7

身体的特徴・・・177cm・60キロ・鮮明な青髪(ショート)・ナチュラルストレート

通り名・・・死を狩る者(デスサイズ)

ソニックとミルナの子。ガンブレードというガンランスの太刀版と
ナノブレードと呼ばれる、厚さ数ミクロン以下の太刀を扱う。

自由奔放の性格で明朗快活。

暇な時間が嫌いで、待ち時間などにはいつも持ち歩いてるオカリナを鳴らす。
腕前は中々のもの。よく小動物相手に聴かせている。

狩猟では『閃華』と呼ばれる初速が最高速度に達する移動術を用いて戦う。
そしてもう一つ、両親にしか知らない秘密が彼にあるのだが、それは本人自身も知らない。



スノウ 21歳 女・・  備考>>8

身体的特徴・・・165cm・55キロ・紅色の髪(ミディアム)・ニュアンスストレート

通り名・・・預言者(スコアラー)

スタークとサラの子。グローブに仕込んだ毒を使って相手を蝕む。

美を絵に描いたような体型、顔立ちだが、胸が小さいことが本人にとってコンプレックス。
物腰が柔らかいが言いたいことははっきりと言うタイプ。

趣味はショッピング。狩猟する時以外はいろんな服を着て楽しむ女の子っぽいところもある。
可愛い物にも目がなく、そういうものには金を惜しまず買ってしまい、後で困ることもしばしば。

狩猟では『流舞』と呼ばれる川の流れのような動きで相手を翻弄する移動術を用いて戦う。
母親譲りの予知眼を使え、精度は母親以上。



ファン 17歳 女・・

身体的特徴・・・160cm・49キロ・金髪(ロング)・ベーシックアップスタイル(+アホ毛1本)

通り名・・・爆砕(クラッシュ・ビート)

爆弾大好き少女で武器は持たず、爆弾だけで狩りをする爆弾使い。

明るく元気活発で何をするにもはしゃぐ御転婆少女。好物はトマトジュース。
レインやスノウのことを慕っており、『レイ兄』『スゥ姉』と呼ぶ。クラウドのことは『とっつぁん』

狩猟では相手の肉質を観察し、一番効果的な部分に爆弾をぶつける戦い方を取る。



クラウド 32歳 男・・

身体的特徴・・・200cm・140キロ・茶髪(ショート)・ムーヴィングショート

通り名・・・魔人(サタン)

レインたちのピンチに突如現れた獣人族。山のような体が特徴で、見る者を圧巻させる威圧感を持つ。
彼は研究者の無謀な研究が原因で体に複数のモンスターの遺伝子を持つ唯一の獣人族で、
表情はあまり顔に出ないが、根は優しく意味のない殺しは極端に嫌う。
狩猟では己の体の一部をモンスターの体の一部に変え、体一つでモンスターと立ち向かう。




————————————————————あらすじ——————————————————
時はあの戦いから数十年。ソニックたち4人は今や『四大英雄』と呼ばれている。
しかしモンスターの力は以前と変わらず・・・いやあの頃に比べると随分と様変わりしていた。

単純に力を強大にしたもの、姿形を変え力を手に入れたもの、
知性を身につけ組織を造るものまで現れていた。

しかし人間もただ生きていたわけじゃない。時の流れは技術の進歩。
ギルド本部ではモンスターの鎮静化を図り、人より強靭な人間を作る技術が提案された。

それがモンスターのDNAを人間に注入し竜の力を持つ人間を生み出すこと、
通称『キメラ計画』

実験は成功・・・だがそのせいで見た目が変貌し醜いと称され、付いたあだ名が『獣人』。
獣人となってしまった人たちは惨い迫害を受けながら、人を嫉み生きている。

そんな人族、竜人族、獣人族の三つの人種に分かれたこの世界に
前回よりもさらに大きなが事件が今動き出す。
————————————————————あらすじ————————————————————


プロローグ>>1-6
一章>>9-24
二章>>27-56

番外編1>>59-62

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Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.60 )
日時: 2011/09/01 22:56
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

——————————霊峰——————————

「ふ〜〜〜。ここまで来る途中は雨と風が凄まじかったが、
ここは幾分かマシだな」

ソニックは自分の濡れた服を乾かしながら言った。
あの嵐でまともな移動手段が足しかなかったため、
二人は何度も飛ばされそうになりながらもここまでやってこれた。

「けどその分、何か嫌な気配は強まってるよ」

「ああ。ピリピリと肌に来るな。この感じ、久しぶりだな」

ソニックが嬉しそうににやける。それを見てミルナはため息を漏らす。

「本当・・・狩りをするの大好きだよね」

「ああ。世界で二番目に好きだ」

「二番目?・・・・・一番は?」

ミルナのその問いにソニックはミルナに視線を移して口を開いた。

「ミルナ」

ソニックのあまりにも真っすぐで純粋な言葉を受けたミルナは、顔を赤らめソニックから顔を逸らした。

「あ・・・・・そう」

ミルナは素っ気無く言ったが、自分の頬が緩んでいることに気が付き、それを締め直す。
それを見てソニックも気を引き締め、大剣を手に取る。

霊峰の奥に進んでいくと、そこには一面大きく開けた場所があった。
そして、そこにやつがいた。嵐龍・アマツマガツチ。


—また・・・・・・人間か—

—ズシャアアア!!—

「!!!!!」

嵐龍は二人が視界に入った瞬間、水流ブレスを吐いてきた。
それを二人は交わすが、その威力に冷や汗を流す。水が通った箇所が地割れの如く割れている。

「いきなり何しやがんだ!!」

—貴様らもどうせ、我を討伐しに来たのだろう?—

ソニックの怒鳴りにも嵐龍は落ち着いた様子で語りかけてくる。
と言うより、モンスターと会話出来る人間など殆どいないだろうに、
嵐龍はソニックと普通に会話出来ていることにすら、不思議に思っていない。

「まあな。こっちはお前が起こした嵐で困ってんだよ。
嵐を止めてくれるなら、わざわざ倒す意味も無くなるんだけどな」

—・・・・・無理だな。万物が呼吸をするのが自然であるように、
我が雨を降らせ、風を起こすのは自然なこと。そこに我の意思はない—

人間が呼吸をするのと、嵐龍が嵐を起こすのは同じ次元の話ということ。
それがよく伝わってきた。つまり、この嵐を止めるには嵐龍を倒すしかないということだ。

「そうかよ」

「ソニック?」

嵐龍の言葉が聞き取れないミルナにはソニックの言葉の意味が分からない。
それを感じ取ったソニックは簡潔にミルナに述べた。

「簡単な話だ。お互いに引くことが出来ないってだけだ」

「・・・・・・そう」

ミルナは無表情に、そしてどこか悲しげな目をして呟いた。

—人間如きで我に勝てると思うな!!—

嵐龍はそう叫ぶと二人に向かって猛スピードで突進した。

「っく!!」

嵐龍が二人の脇を過ぎる。その勢いで吹き飛ばされる二人。
ソニックは体勢を立て直し、嵐龍に向かって突き進んだ。
それに対し嵐龍が水流ブレスをソニックに向かって真っすぐ飛ばした。
まるで弾丸のようなスピード。ソニックは大剣でガードする。

「ぐっ!!」

ブレスの勢いで押し戻される。

—ほう。人間の分際で我の攻撃を防いだか・・・・・—

嵐龍は自信たっぷりだ。おそらく人間では自分に傷一つ付けられないと思っているのだろう。

—キンッ!—

—・・・・・ん?—

嵐龍は背びれの部分に何かが当たった感覚がした。そちらの方を見るとミルナが弓を構えていた。

—ほう・・・・。我に纏う風を読み、当ててきたか。大したものだな。だが・・・・!!—

今度はミルナの方にブレスを吐く。ミルナはそれを交わし、再び弓を放つ。
それと同時にソニックも嵐龍に突っ込む。

—二方面からの同時攻撃。考えているようだが・・・・・・—

嵐龍はそこで言葉を切ると、体を高速で回転させ始めた。
するとそこかた竜巻が現れた。一つは飛んできた矢を粉々にし、一つはソニックに向かっていった。

「ちっ!」

横にジャンプして交わす。だが、直ぐにそれが過ちだと気付く。
ジャンプした方向に更にもう一つ、三つ目の竜巻がソニックを待ち受けていた。

「がはっ!」

「ソニック!」

竜巻の中に突っ込んでしまい、空中に吹き飛ばされ、地面に激突する。

—足りないのは我と人間との圧倒的力。惜しいな人間。
貴様が人間で無かったら、良い勝負が出来たと思うのだがな—

嵐龍に表情は見えないが、勝ち誇ったような口振りで言った。

「うるせーーよ。キクラゲ星人」

ソニックは立ち上がると口から出た血を拭い、笑みを浮かべてそう言った。

「勝ち誇るのははえーし、人間を舐めんのもちげーし、力の差も全然ねーよ」

—ほう・・・・・その自信どっから来る?—

「・・・・・お前がキクラゲってところだ」

大真面目な顔で答えるソニック。それに対し、嵐龍の顔に血管が浮き出た・・・・・ように見えた。

—貴様・・・・・命乞いするなら今のうちだぞ。
今なら十分の九殺しで済ましてやる—

「何だ。気にしてたのか。それは悪かったな。
もうそのキクラゲで和え物が食いたいなんて言わねーよ」

—ブチン!—

嵐龍の血管が切れたような音が聞こえたのはおそらく空耳ではないだろう。
そして嵐龍はふふふ、と不気味に笑いだした。

—初めてだぞ。我が人間としてではなく個人の存在として貴様を葬りたいと思ったのは—

そう言った嵐龍からは、怒りや憎悪等に満ちていた。
・・・・・・・だがそれとは別に、特別な感情も抱いていたのは
嵐龍本人も気づいていなかった。

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.61 )
日時: 2011/09/03 12:10
名前: 雷電 (ID: J0PYpSvm)

やっぱり名前戻しましたww
ご無沙汰しています・・・
最近、クラスでもモンハンが流行りだしました。
今後の更新も楽しみにしています!

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.62 )
日時: 2011/10/20 23:09
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

忙しくて、更新速度がどんどん落ちてきています。
・・・・・・頑張らなきゃ!



嵐龍は口から水流ブレスを吐く。それに対しソニックは落ち着いた
様子で地面を靴でトントンと叩くと、脚を真上に振り上げた。
そしてそのまま地面に向かって踵落としをする。

—ボカァァァァン!!!—

すると突然地面が爆発を起こした。辺りを砂煙が包み込み、ソニックの姿を見失う嵐龍。

—・・・・・・・そこか!—

僅かに捉えた砂煙の動きを捉え、そこにブレスを放つ嵐龍。だが、

「残念外れ」

そこにいたのはソニックではなくミルナだった。
ミルナはブレスを交わした後、意地悪そうに舌を出しべ〜〜とする。
ソニックはというと嵐龍がミルナに気を取られている隙に、死角に潜り込んでいた。
嵐龍もそれを感じ顔を向けるが、それよりもソニックの攻撃が先に動いた。

「おらぁ!!」

嵐龍の頭に蹴りを入れるソニック。そしてまたも起きる爆発。

—ぐっ・・・・!!—

嵐龍も今のは効いたのか、僅かによろめく。

—その脚の装備。何か仕掛けがあるな—

「まあな。っても、そうじゃなきゃ爆発なんて起こせねぇけどな。
靴にちょっと特殊な粉末が仕込んであってな。強い衝撃を与えると爆発を起こすんだ。
少量でも大樽爆弾並の火力が出るぜ。だから・・・・・」

ソニックは地面を強く靴底で踏む。と、爆発を起こし嵐龍に急接近した。

「こんな風に推進力に使えることも可能だぜ」

—ズパァァン!!—

頭に斬撃を加え、さらに蹴りの攻撃を重ね、起きた爆風で嵐龍から離れるソニック。

「へっ!人間なめんなよ!・・・・・・ん?」

—・・・・・・・・・—

嵐龍が黙り、雰囲気が変わったことに気づくソニック。

「チャンス!」

だが、それに気がつかなかったミルナが動かない嵐龍に矢を放つ。
しかしその矢は嵐龍に届く前に上空へと流されて行ってしまった。

—確かに我は貴様たちを舐めていたようだ—

嵐龍が言葉を発した時、荒れていた天気が更に荒れ、空は混沌とした雲が広がり始めた。

—それに詫び、我の最高の力で相手しよう—

嵐龍はそういうと、体を髑髏状に巻き始めた。すると、

「・・・・つっ!何だ?」

ソニックは突然自分の体が嵐龍へと吸い寄せられる感覚を受け始めた。
しかもそれは少しずつだが、強くなっていっている。
嵐龍はというと、強い風を纏い力を溜めている様子でじっとしている。

—ビュオオオォオォォ!!!!—

「くっ!!」

風が一層強くなり、踏ん張りを効かなくなってきた。その時、

「きゃあ!」

ミルナが耐えきれず嵐龍の方へと吸い込まれていってしまった。

「ミルナ!!」

その姿を見て、ソニックは何も考えずに自ら嵐龍の元へと飛び込んだ。

—終わりだ!!—

それに合わせるように嵐龍は体を回転させ大きな竜巻を作り上げる。
それは先ほどの3つの竜巻とは比べ物にならないものだった。
あれに飛び込んでは幾ら二人でも致命傷は確実だ。だがもう体は完全に宙に浮き、自由には動けない。
だからソニックたちのやることは一つだった。

「肉を切らせて骨を切る・・・・・・か」

ソニックは静かに目を閉じ、右手に力を込め始める。巨大竜巻がどんどん目の前に近づいてくる。そして、

—ブオオオォォォォン!!—

空中へと吹き飛ばされるソニック。体中に走る激しい痛みに耐え、目を開けると
傍には同じように吹き飛ばされたミルナの姿があった。

「おい、生きてるか?」

「な・・・・なんとかね」

「・・・・・じゃあ、まだいけるな」

「勿論!」

————————————————————

地上では全てを吹き飛ばした元凶、嵐龍が一人佇んでいた。

—ふう・・・・—

久しぶりに出した全力で少々気が緩む。・・・・・その緩みが仇となった。

—ドスッ!—

—ぐあ!—

様々な偶然が重なったのか、それともハンターの持つ運なのか。
ミルナが上空で放った一本の矢が嵐龍の右目に突き刺さった。
そして上空から舞い降りたハンター、ソニックが大剣を掲げ、思いっきり振り下ろした。

「溜め切り・閃紅断!!!!」

重力を味方に付けた強力な一撃。それにより、嵐龍の大きな体を真っ二つに切り裂いた。

—ぐ・・・・・!まさか我が人間にやられるとはな・・・・・・—

「驚いたな。まだ息があんのか」

体を真っ二つにされても簡単に死なないのは、さすがモンスターといったところだろうか。
ソニックの関心したような言葉に、嵐龍は鼻で笑った後続けた。

—それはこちらの台詞だ。あの攻撃を喰らい、あの高さから落ちて、
よくも立っていられるものだ—

嵐龍はそこで初めてソニックに関心した様子で呟いた。

「経験豊富なんだよ。死にかけるほどの毒に感染したころもあるし、
あれ以上の高さから落ちたこともある」

—そうか・・・・・—

嵐龍は最後にそう呟くと、静かに目を閉じた。そしてもう目を開けることはなかった。

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.63 )
日時: 2011/12/17 15:31
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「はぁ〜〜〜〜。、あだ頭がガンガンする」

船の手摺りに手を乗せ、頭を抑えるレイン。
4人は今、船で竜人族の里の最寄りの港まで進んでいる。

「本当、情けないですね。レイン」

その隣にスノウがやってきて、そう言うとレインに液体の入ったコップを渡す。

「これは?」

「二日酔いに聞く特別なドリンクです。遅くても舟が港に着くまでには直しておいてください」

スノウはそう笑みを溢して言う。

「スノウ・・・・・・・。サンキュ」

スノウの気配りに感謝するレイン。コップを手に取り、それを口に含む。

「う・・・・・・苦っ」

「良薬は口に苦しです。私が配合したものですから、直ぐに良くなりますよ」

スノウはそう言うと去って行った。その背中を眺めながらレインはまた一口飲み込む。
スノウは仕込みグローブの特性から薬の調合なんかは得意中の得意なのだ。
一般の回復薬なんかよりも良質のものを作るのは朝飯前だ。

「・・・・・・クラウドさん」

「む?」

スノウが重たい雰囲気で名前を呼ばれ、少し不思議そうに応えるクラウド。

「少し聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「なんだ?」

「クラウドさんはキメラですよね?キメラ計画はその体にモンスターのDNAを
埋め込む事で、超人的な力を発揮できるようにする計画。
その際DNAは一種類しか埋め込む事が出来ないと聞きました」

「・・・・・その通りだ」

「ですがクラウドさんは金獅子、迅竜、岩竜の3つの遺伝子を持っています。
一体どうしてですか?」

スノウの言葉にクラウドは僅かに顔を曇らせ黙り込んでしまった。それを見てスノウも
少し申し訳なさそうな顔をする。スノウもあまり聞いては欲しくない所だと言うことは分かっているのだ。

「・・・・・・キメラ計画の」

半ば答えを諦めたスノウだが、クラウドが口を開き始めた。

「キメラ計画の進行には二つの道があった。一つは姿が変貌してしまう副作用を
抑えつつキメラとしての力を発揮できるようにする道。
そしてもう一つは姿が変貌しようが、強大な力を操れるようにする道。
俺は前者の方の実験体として研究所に送られていた。
どちらの研究も困難で多くの犠牲者が出たが、それでもどちらも最終的に形にはなった」

クラウドはそう言うと、服を上半身を脱ぎ捨てた。

「「・・・・・・・!!」」

三人はクラウドの上半身を見て目を丸くする。体にはまるで切り開かれたような傷があった。
もしこれが本当の怪我なら即死は免れない程の傷。

「前者は体の『外側』ではなく、『内側』を変貌させ、見た目には変わらないキメラを作り上げた。
この手術には一切の麻酔は使えないため、大半は激痛と大量出血でこの時に死ぬ。例え生きたとしても
それから四六時中襲う拒絶反応で大半死ぬ。千人の実験体で生き残ったのは俺だけだ」

服の着直し、クラウドは更に続けた。

「この方法だと今まで一体しか入れられなかった遺伝子を多く体に埋め込める。
だから俺は『四体』この体にモンスターの遺伝子を取り込んでいる」

「・・・・・・そのような事、初めて聞きました」

「だろうな・・・・・。その直後、その研究所は全て破壊されてしまったのだから」

「どういうことです?」

「先ほど話した後者の方、こちらの実験体が暴走したのだ。
その身に宿したミラボレアスによってな」

「ミラボレアス!?あの黒龍のDNAをか!!?」

「そうだ。それによりその者は人格を失い、研究所とその場にいた俺以外の人を皆殺しにして消えた。
俺も瀕死の重傷を負ったが、そこで竜人族の者に助けられたのだ」

「それで竜人の里と交流があるのか」

「そういうことだ。・・・・・知りたいことは知れたかスノウ?」

「・・・・・はい。ありがとうございます」

スノウがお礼を言う。それを見た後、ファンがちらっと海の方を見ると
顔をパァァ、と顔を明らめて叫んだ。

「・・・・と、丁度話終わったと処で、港が見えて来たよ〜〜〜〜!」

「おう、本当か?ようやく船旅も終わりか」

「レイン、頭はもう大丈夫ですか?」

「ああ。もう全然平気だ。そんじゃ、行くか」

————————————————————

港に着いたレインたち。ファンが嬉しそうにはしゃぎながら言った。

「ここから竜人族の里ってどのくらいなの?」

「歩いて一日ってところだ」

「そっか〜〜〜〜。だったら・・・・・・」

—ドンッ!—

「あいたッ!」

「悪いね」

くるくる踊っていたファンが人とぶつかった。その人物はちょっとファンに詫びるとそのまま去って行ってしまった。

「大丈夫ですか?ファンさん」

「う・・・・うん。全然・・・・・・」

と、何か言いかけたところでファンはハッとした顔で腰のあたりを探った。
そしてどんどん顔から血の気が引いていった。

「ないーーーーーー!!私のアイテムポーチがぁ!!」

「何してんだよ・・・・・」

ファンの言葉に呆れるように頭に手を置くレイン。

「さっきぶつかった時だ!!じゃあ、あの子がぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!
ゆるさ〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」

「お・・・・おい!!ファン!!どこ行くんだよ!!」

ファンは一頻叫ぶと一人でどっかに走り去って行ってしまった。

「何であいつはいつも一人で勝手に事を起こしてくんだ?」

「ぶつぶつ言ってないで、早くファンさんを追いかけますよ」

Re: モンスターハンター・バロル—根源との争い— ( No.64 )
日時: 2012/02/05 18:07
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「ったく。どこ行ったんだ?ファンの奴」

「・・・・・・・。いましたよ」

ファンを追いかけて来た三人。するとスノウがようやく人ごみの中、
ある家を覗くファンを発見した。だが駆け寄ってもファンは3人に気が付かない。

「ファンさん」

「うわぁ!」

スノウの呼びかけでようやくその存在に気付くファン。

「何してんだファン。窃盗犯追いかけてたんじゃねぇのか?」

「それがさ〜〜!窃盗犯がこの中に逃げ込んだんだけど、どれがそいつか分かんないんだよ!!」

ほら!と家の中を指差すファン。覗き込むと、沢山の子どもがわいわいと遊んでいた。

「確かにあれじゃあわかんねぇな」

「ぐぬぬ〜〜〜〜〜!!」

何か焦り気味に唸るファンにスノウはため息を吐いてから口を開いた。

「ファンさん。盗られたのは悔しいと思いますが、これ以上は無駄だと思いますよ。
爆弾ならまた作り直せば・・・・・・」

「それだけだったら私もこんなに焦ってないって!!」

ファンの慌てっぷりに首をかしげるレイン。

「・・・・??何を焦ってんだファン」

「あいつが奪った爆弾の中に見た目が生肉そっくりのトラップ爆弾があるんだよ。
まだ試作で衝撃に弱いんだぁ!!もしそいつが食料だと勘違いしてこの家に持って帰ってたりしてたら・・・・・・」

「「「!!!」」」

ファンの言葉に3人とも目を丸くした。もし本当にそんなことになったら死亡者が必ず出るからだ。
ファンが無暗にこの家に突っ込んでいかないのも、妙に騒ぎを起こして爆弾に衝撃を与えないためのようだ。
必死に目を細めて、中を見ていたファンがあっ!と叫んだ。

「あれ!!今ピンク髪の女の人が持ってるの!!あれそう!!」

ファンの言っている人を見る。他の子たちより一際大きい女性が出した肉爆弾に
他の子どもたちが寄ってたかって取ろうとしていた。
それに女性は慌てふためき、バランスを崩し肉爆弾が宙を舞った。

「レイン!!」

「わぁってるよ!!」

レインは窓から家の中に侵入すると、閃華で落ちそうになってた爆弾を拾いあげる。
周りの子どもたちが何事かと固まってる。

「こら、そこのピンク髪の人ぉ!」

「う・・・・・・!!あんたは・・・・・」

ファンの叫びにいかにもバツの悪そうな顔をする女性。
これで犯人が誰だかは完璧に分かった。そしてファンが更に叫んだ。

「あたしのトマトジュース返せーーーーーー!!!」

((そこかよ!!))

————————————————————

「あたいの名はフーエ。あんたたちには悪いと思ったさ。けどいいだろう別に。
あんたたちハンターだろう?爆弾の5個や10個、大した額じゃないだろう!?」

フーエとレインたちは先ほどの家の2階にいた。ここはこの人の部屋らしい。
フーエは一度謝ると開き直ったかのように言った。それにスノウは怒鳴った。

「いいわけありませんよ!人から盗んだもので育てられたと知って、
あの子たちが喜ぶと思いますか!?」

「じゃあ、あいつらに盗みはいけないので野垂れ死ねって言うのかい!?
あいつらは皆、家族をいろんな理由で亡くしちまった子たちだ!!
そんな子たちにあんた、真正面からそんな事言えるのかい!?」

「それは・・・・・・・」

『窃盗』は犯罪だ。だが、それで助かる子たちもいるのも確か。
こっちの被害でいえば、それほどのことでなかったにしても、その子たちにとっては
今日の命を繋ぐお金になる。『小さな子の命を助ける』、はたしてそれは犯罪なのか。

「・・・・・・悪かったね。あたいも出来るだけそう言うのには手を出したくはないんだけどね。
最近、情報屋としての仕事がさっぱりで、中々稼げないんだよ」

まいったよ、とフーエは髪を掻きながら呟く。

「情報屋か。珍しいな」

「・・・・・・何だよ『同士』。あたいに職業に興味があるのかい?」

「??」

情報屋という聞き慣れないものに呟いたクラウド。それにフーエが少しクラウドを観察するような目で
見た後、意味深気な口調でそう言った。何が同士なのか意味が分からないクラウド。
それを見て、フーエは微笑すると何事も無かったかのように話を続けた。

「まあね。・・・・・・なんならあんたたちに情報を一つくれてやるよ。
罪滅ぼしを込めてね。何が良い?新種モンスターの生態?最新の技術?
あたいの情報の中になければ、調べてきてやってもいいよ」

「突然ンなこと言われてもな〜〜〜〜」

「・・・・・なら一つ、教えてほしい情報がある」

そう言い出したのはクラウドだった。

「・・・・・なんだい?」

「・・・・・・今現在のキメラ計画の状況だ」

クラウドの言葉にフーエは掛けてあった帽子を深く被り、大きな笑みを浮かべた。

「・・・・・・・・さっすが同士、いいとこつくねぇ〜〜〜〜〜。
けどさすがにその情報はただじゃやれないね」

「自分でくれるっていっといてそれかよ」

レインの言葉にフーエが帽子のつばをあげて軽く笑った。

「そう言わないでくれよ。大丈夫、金を寄越せなんて言わないよ。
ただ、一つあんたたちにクエストを依頼したいのよ。依頼人としてね」

「・・・その依頼ってのは?」

「町のギルドに行けば貼っておると思うけど、
情報収集の一環でウィルテリアスの体液が欲しいんだ。それを請けてきて欲しいんだよ」

「・・・・・まぁ俺らがハンターである以上、それを断る理由もねぇわな。
じゃ、ちゃっちゃちゃと行ってきますか」

「頼んだよ」


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