二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去
日時: 2012/12/02 09:59
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=past&no=24538

【読者の皆様へ レッドからの挨拶】

初めまして、レッドです!
ダンボール戦機Wシリーズの小説を描いております。
本来ならば、【バン×ヒロと怨炎の幻想】の番外編を執筆する予定でした。
スレが1000になり、過去ログに入ってしまいました。というわけで、新シリーズとしてリニューアルさせることにいたしました。
上記の参照に【バン×ヒロと怨炎の幻想】の小説のアドレスを載せておきましたので、興味のある方はクリックして読んでくださいね♪


新シリーズはバンハルを中心にして取り巻く展開になります。
ハルはオリジナルキャラクターとして考えたのですが、ヒロインとして演じていただくことになります。

第2部として記念すべき第1作は!!
【バン×ハルと失われた過去】です。

前作の番外編で登場させることができなかったキャラクターとのコラボもこちらで登場させる予定です。
番外編では登場させることができず、申し訳ありませんでした。

そこで、番外編を描く代わりに新シリーズとしてスタートさせることにいたしました。
ダンボール戦機Wの主人公・山野バン、幼馴染の人見晴香を中心にして取り巻くオリジナルストーリーを展開させていけたらと思います。もちろん、ヒロたちも登場させる予定です!!

前作の本編で登場した山野健太&直太の兄弟も出演予定です。
今作では初登場となる山野リンという姉が物語の重要なキャラになるかと思われます。

【本編:ストーリー原案・構成】

第1章〜第5章:LBXバトル編
第6章〜第9章:廃墟ビル探検編
第10章〜第16章:謎かけ編
第17章〜第30章:オリキャラ登場編
第31章〜    :謎解き編

ストーリーの進行具合によっては変更する可能性がありますので、ご了承ください。

【短編:バンハル編】

第1編:帰ってきた酔っ払い >>106 >>111 >>130
第2編:幼馴染の恋心 >>220 >>221 >>235
第3編:中2になって成長した幼馴染 >>328 >>341 >>344 >>346 >>347 >>348 >>354
第4編:大人になってからのハロウィン >>409 >>410
第5編:バンが見た悪夢とは? >>493 >>495 >>504 >>508
第6編:もう1人の兄 >>747 >>759 >>773 >>775

山野バンと人見晴香(通称ハル)の幼馴染を中心にして繰り広げられる、短編オリジナルストーリーを展開していきます。
幼馴染同士で描かれるエピソードを読みながら、楽しんでいってもらえたら嬉しいです♪

【短編:ヒロナオ編】

第1編:幼馴染の背中 >>152 >>154
第2編:ヒロに対する恋心 >>315 >>318
第3編:ハロウィン・パーティー >>387 >>390 >>408
第4編:ナオが見た悪夢とは? >>598 >>603

大空ヒロと小野奈緒美(通称ナオ)の幼馴染を中心にして繰り広げられる、短編オリジナルストーリーを展開していきます。
ヒロナオに隠されたエピソードも描いていきたいと思っています。

【原作:完結した作品】

第1作:バン×ヒロと黒影の亡霊

本編は全20章で完結、番外編は全16章で完結しているぞ!
ダンボール戦機Wの小説を描くにあたり、記念すべき第1作はホラー×ミステリーを交えた本格的な謎解きアクションアドベンチャー!!

第2作:バン×ヒロと過去の追憶

前作の【黒影の亡霊】の続編となった待望の第2作!
本編は全30章で完結、番外編は第25章で完結しました。
全30章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。

ポイント:ナオが記憶喪失していることだけではなく、ハルの過去に隠されたエピソードも収録している。
番外編では初登場した聴覚障害を持つ少年・船津直紀を取り巻く展開を中心にストーリーを進めていく。
これまでにないオリジナルストーリーを展開させることで前にも増して、文章力を上げることでクオリティをパワーアップさせた。

第3作:バン×ヒロと怨炎の幻想(ミラージュ)

前作の【過去の追憶】の続編となった待望の新作!
本編は第40章で完結しました。番外編は第4章まで進んだが、完結できませんでした。
なので、番外編は新シリーズの小説でリニューアルに伴い、執筆させることにいたしました。
全40章にわたる大長編オリジナルストーリーを展開させることで感動あり、迫力ありの描写を表現しながら、展開が読めないようなオリジナルストーリーを手掛ける。

ポイント:バンの弟・山野健太&直太の兄弟が初登場していることだけではなく、2人の過去に共通点を持つところがある。
バンが兄としての役割を担うことで、2人の弟をどうやってサポートしていくかというところも見逃せない!!
バンを支える仲間たちとの絆を深めながら、友情と感動を送るという感じになるストーリーも手掛ける。
健太と直太に対するバンの強い思いにも注目してください!!

【お客様】

シグレ:この小説に初コメしてくれた人です。友達だけど、ダン戦好きな人で気が合う! 2次(映像)でポケモン小説を描いておりますぜ♪ キョウヘイ君とヒュウさん、カッコイイ!! そして、メイちゃんもかわいい!!

姫佳:この小説の展開が読めなくて、ハラハラドキドキしていると言った人・・・この子もイナゴの小説を書いてて、結構面白い! ティアラ&ラティア、ここちゃん、輝姫の主役4人・・・かわいいぜ!!

茅:楓が描いている黒子のバスケ小説で知り合って仲良くなった人です。友達だけど、サトミちゃんに関する小説を描いておりますぜ♪ 凛太君カッコイイ!

yumi:シエルが描いているポケモン小説で知り合って仲良くなった人です。友達だけど、この小説に初めて来た人で仲良くさせていただいています♪

凛々:凛と呼ばせてもらってるぜ・・・この子はイナイレの小説を書いておりまする! 亜夢たん可愛いぜ!♪

赤獅子エンザ:この人はイナイレの小説を描いてますぜ♪ 友達だけど、イナイレ&ダン戦が好きで仲良くさせていただいてます♪

タク:私の小説に初コメしてくれた人です。ダン戦シリーズの小説を読んでいて、凄く面白いと言ってくれました。本当にありがたいです♪ デュエマの小説を描いておりますぜ♪

冬ノ華 神ノ音:この小説に初コメしてくれた人。姫佳のスレで知り合って仲良くなった友達ですが、仲良くさせていただいています♪ 2次(映像)でイナイレの小説をかいておりますぜ!!

優騎那:イナイレ、ワンピースの小説を書いてる人です! 私の友達で仲良くさせてもらってるぜ!!
ゴトリック&フォークスの凸凹コンビ、オリビア&シュリの姉妹コンビをオリキャラとして出させてもらってるぜ!!!

伊莉寿:姫佳の小説で知り合って仲良くなった人。友達だけど、ダン戦好きで気が合って話しやすい! この人もイナイレの小説を描いてますぜ♪ 美咲ちゃん、可愛いぜ!!

ゆりかん:姫佳の小説で知り合って仲良くなった人。友達だけど、仲良くさせていただいてます。この人もイナイレの小説を描いていますぜ♪ 複雑・ファジー小説で推理小説を描いていて、ストーリーが気になるぜ!

聖:第1作【黒影の亡霊】の番外編で出会った友達。ダン戦が大好きで気が合い、最高の親友! イナイレの小説を書き始めた人だけど、桃香ちゃんが可愛い!!

希歌 絆:シグレの小説で知り合って仲良くなった人です。読みやすいと言ってくれたので、本当にありがたいです! 友達だけど、2次(映像)でサマーウォーズの小説を描いておりますぜ♪











【本編:キャラクター原案・構成】

本編の登場人物設定 >>1
バンたちの登場人物が設定されているぞ!
この小説に初めて来た人は読む前に目を通しておいてください。
健太&直太、姉のリン、イナイレの登場人物設定も収録されているので、それも含めて確認しておいてください。

青峰太陽の登場人物設定 >>11
茅が描いている黒子のバスケ小説で出ている青峰大輝の兄・太陽の登場人物設定が載っているぞ!
太陽と大輝のコンビに注目してください。

登場予定:第18章で登場しました。

キョウヘイの登場人物設定 >>12
シグレが出してくれたオリキャラです。今作では本編に登場させることにしました。
キョウヘイの運動神経、バンたちとの共演に注目してくだされば幸いです。
ポケモンBW2主人公・キョウヘイの活躍に期待してください。

登場予定;第21章で登場しました。

ヒュウ&メイの登場人物設定 >>13
シグレが出してくれたオリキャラです。バンたちと共演したいという理由でキャラ応募してくれました。
キョウヘイとのコンビネーションを披露するので、大迫力のLBXバトルにも注目してください!

登場予定:第21章で登場しました。

優騎那のオリキャラについての登場人物設定 >>14
オリビア&シュリの姉妹コンビが前作の【過去の追憶】に続き、本編で再登場決定!!
急遽、2人を起用することにしました。

登場予定:第24章で登場しました。

無類シント&星目テツヤ&武闘フジ、3つのLBXについての登場人物設定 >>15
タクが出してくれたオリキャラです。番外編でバンたちと共演させたいという理由でキャラ応募してくれました。
シントたちの活躍に期待してください。タクのイメージに近づけるよう頑張って描いていきたいと思います。
3つのLBXについても一緒に載せてありますので、ゆっくりご覧下さい。

登場予定:第25章で登場しました!

富士本 優実の登場人物設定 >>42
yumiが出してくれたオリキャラです。バンたちと共演したいとのことでキャラ応募してくださいました。
今作では初登場となりますが、ユウミがどのようにして演じていくのかというところに注目してくだされば幸いです。

登場予定:第26章に登場します。

恵珠の登場人物設定 >>186
冬(冬ノ華 神ノ音)が出してくれたオリキャラです。
バンたちと共演したいという理由で応募してくださいました。
しかもメカニックという設定をつけていただき、私としても上手く描けるか分かりません。
やるからには頑張って描いていきたいと思いますので、彼の登場に期待してくだされば幸いです。

登場予定:第26章で優実と一緒に登場させる予定でしたが、恵寿はバンたちと合流した後に出させることになりました。

長月レオンの登場人物設定 >>256
シグレが出してくれたオリキャラです。バンたちと共演させたい理由で応募してくれました。
イカロス・ライトというLBXに関する設定も載っております。アスペルガー症候群を患っておりますが、LBXの腕は果たして?
これからもレオンの活躍に期待してください。登場予定は第26章で出します。

橘 美咲の登場人物設定 >>380
伊莉寿が出してくれたオリキャラです。バンたちと共演させたいという理由で応募してくださいました。
短編を描く前に美咲ちゃんのイメージを見た上で本編に登場させたいと思っています。
美咲ちゃんが輝姫や太陽たちと共演するのかも注目してくだされば幸いです♪

美咲ちゃんが登場する予定は早ければ、第27章あたりになります。
また、バンたちと共演させるのも楽しみにしてください!!

イナイレGO(天馬・太陽・マサキ・信助)の登場人物設定 >>415
天馬たち4人の登場人物設定が載っています。今作の本編でやっと登場することになりました。
4人の化身や必殺技も載せているので、それも含めてご覧ください。
第18章で登場しました。そこでサッカーバトルが展開されることになりそうです(笑)
サッカーバトルもできるだけ表現して描いていきたいので、よろしくお願いします!!

輝姫&ティアラ、一ノ瀬心愛(いちのせ ここな)の登場人物設定 >>429
白炎輝姫&ティアラ・クルーガー&一ノ瀬心愛(通称ここ)の登場人物設定です。
輝姫とティアラは前作の【怨炎の幻想】では本編で登場いたしました。今作も引き続き、本編で登場させる予定です。
輝姫&ティアラの従姉妹コンビによる追いかけっこシーンにも注目してください♪
ここちゃんの活躍にも期待してくだされば幸いです。

登場予定:まだ未定です。めどが立ったら載せます。
輝姫&ティアラ、ここちゃんの活躍に期待してください!!

一ノ瀬心愛(通称ここ)が働いているカフェの設定 >>432
ここちゃんが働いているカフェのイメージです。私自身、上手く描けるかどうか分かりません。
でも、やるからには頑張って描きますぜ!!



【本編:目次(ストーリー進行具合)】

第1部:LBXバトル編(第1章〜第6章)

第1章 1人の少女・リンとの出会い >>3 >>4
第2章 居酒屋で行われるLBXバトル大会とは? >>5 >>6 >>7
第3章 LBXバトル大会Ⅰ ついに開幕!! >>8 >>9 >>10
第4章 LBXバトル大会Ⅱ 決勝戦での決着! >>34 >>39
第5章 LBXバトル大会Ⅲ 優勝は誰の手に? >>43 >>53 >>57
第6章 由美が語る、25年前におきた惨劇とは? >>58 >>61 >>62

第2部:廃墟ビル探検編(第7章〜第9章)

第7章 廃墟ビル探検Ⅰ リン&優の空手部コンビが見たものとは? >>67 >>69 >>82
第8章 廃墟ビル探検Ⅱ 秒殺の皇帝・海道ジン登場! >>83 >>88 >>95 >>103 >>141 >>150
第9章 リンの様子に違和感を感じたバン・・・その複雑な心境とは? >>183 >>194 >>196 >>203 >>207

第3部:謎かけ編(第10章〜第16章)

第10章 リンに忍び寄る影、その正体は? >>243
第11章 リンの幼馴染・早間綺羅、登場! >>251
第12章 ハルが河川敷で見つけたものとは? >>269 >>285 >>304 >>307
第13章 バンの幼馴染・樋田優雅、登場! 彼がついに発見したものとは? >>324 >>325
第14章 キラード団という謎の組織の者だと名乗る男から託された謎のメッセージとたった1つだけ残されたヒントとは? >>357

第15章 ますます深まりつつある最大の謎・・・ヒントを元にして調査するバン、そこで掴んだ重要なキーワードによる手掛かりとは? >>362 >>363 >>366

第16章 囚われの身になったリンたちの安否は? >>379

第4部:オリキャラ登場編(第17章〜第30章)

第17章 立向居勇気&月島楓の幼馴染コンビ登場! >>414 >>433
第18章 西園信助・松風天馬・雨宮太陽・狩屋マサキの4人組、ただいま参上! >>436
第19章 立向居チームVS信助チームのサッカーバトル(前編)・・・青峰兄弟&黄瀬、登場! >>450 >>457
第20章 立向居チームVS信助チームのサッカーバトル(後編)・・・決着! >>463
第21章 キョウヘイ&メイ&ヒュウの3人組、登場!(前編)・・・彼らが見たものとは? >>467 >>482
第22章 キョウヘイ&メイ&ヒュウの3人組、登場!(中編)・・・LBXバトルで待ち受ける罠とは? >>484
第23章 キョウヘイ&メイ&ヒュウの3人組、登場!(後編)・・・バン、ただいま参上!! >>487
第24章 オリビア&シュリの姉妹、ついに登場! 4年ぶりの再会 >>488
第25章 無類シント&星目テツヤ&武闘フジの小5コンビ、登場! >>509
第26章 富士本優実&長月レオン、登場! >>516
第27章 橘美咲、登場!(前編)・・・初の幽霊屋敷探検! >>542
第28章 橘美咲、登場!(中編)・・・地下室で見たものとは? >>554
第29章 橘美咲、登場!(後編)・・・ヒロ&レオン、ただいま参上! >>561
第30章 輝姫&ティアラ&一ノ瀬心愛の3人組、登場! >>571 >>575

第5部:謎解き編(第31章〜)

第31章 再会Ⅰ ハルに忍び寄る魔の手、その正体は? >>615
第32章 再会Ⅱ カレン・キャベルン登場、その目的とは? >>621
第33章 再会Ⅲ バンVSカレンの因縁対決 >>629 >>641 >>643 >>644
第34章 バンの様子に異変を感じた直紀、その違和感とは? >>651 >>653
第35章 バン&ハルの幼馴染・鶴見ナナミ、登場! >>664 >>678
第36章 リン&キラの幼馴染・宇津野志穂、登場!(前編)・・・【Detective bar】に隠された秘密とは? >>683
第37章 リン&キラの幼馴染・宇津野志穂、登場!(後編)・・・知り合った経緯とは? >>688 >>692 >>693
第38章 バンの様子に異変を察したハル・・・その真意とは? >>703 >>711
第39章 リン、望月兄弟&優雅の4人が誘拐されたことを知ったハル・・・バンの複雑な心境とは? >>712
第40章 ついに明かされる、リンの本当の過去・・・壮絶な出来事とは? >>721 >>735 >>737
第41章 キラード団のアジトに関する場所の謎を解明せよ! >>804 >>805 >>819 >>835
第42章






これからも応援よろしくお願いします!!

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Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.150 )
日時: 2012/10/14 11:44
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第8章の続き

(ストーリーモード:バン)

そして、現在に至る。
帰り道を歩きながら、リンと一緒に肩を並べている。

「・・・・・・というわけだ。まあ、こんな時間に探検するなんてダメだぞ〜?」
「だって、優が言い出したんだからさぁ・・・・・・」
「それはしょうがないって言ってんだろォ・・・・・・」

リンのふてくされた顔を見ながら、溜息をつく。
女の子が出歩いて良い時間ではないことを分かっていて、そのリスクを犯すって言うのはどうだろう。
それでも、リンが無事でいてくれたのが何よりだった。

「ったく、こんな夜中にほっつき歩いてると変なヤツに絡まれちまうぞ」
「ごめんなさい・・・・・・」

リンは素直に謝りながら、流石に反省したらしい。
そんなことも気にせず、リンを見やりながら考える。

(こいつが夜中に歩き回ってんのは、何か理由があったわけじゃないよな)

そういえば、リンが優と一緒に居た時にコソコソ話していたって言ってたな。
ハルとジンが目撃したのは、そういう内容だったらしいが・・・・・・・俺は酒を飲んで寝ていたから、彼女とジンから話を聞いただけだった。

「まあ、おまえが無事で良かったよ」

ポンと頭を撫でながら笑って話しかける。
俺を見たリンもそれにつられて、笑みを浮かべた。

「うん、そうだね」
「もう2度とあそこに行くんじゃないぞ」

廃墟は危険な場所でもあるし、探検しに行きたいというところだろう。
好奇心旺盛になっている優のことを考えれば納得すことができる。
リンは優に誘われていただけらしいが、好奇心に駆られて探検した気分になっているようだ。

「初めての探検は楽しかったか?」
「うん、楽しかった!」

リンは満足そうに頷きながら、俺を見て応える。
その様子だと満足したらしく、ジンと出会えたことも貴重な経験になったかもしれない。

「ジンのこと知ってるか?」
「ううん、知らないけど・・・・・・そんなに凄い人だったの?」

首を振りながら応えるリン。
ジンのことを知らなかったらしく、廃墟ビルの地下室に居た時に優から話を聞いて知ったそうだ。

「ああ、中1のときに行われたアルテミスという大会の決勝戦で戦ったことがあるんだ。その時、俺はアキレスを使って戦ったけど、結構楽しめたぜ!」

ジンとの戦いはまさに壮絶なものだったと言えよう。
当時はイノベーターの元で操られていた灰原ユウヤとも戦った。
その時のユウヤを思い出すと、精神的に追い詰められた状態になって暴走したことがあったのだ。
ジンと俺は力を合わせて、ユウヤのLBXだったというジャッジを撃破した。

「そんなことがあったんだね! 決勝戦で戦ったのかぁー」
「そういうことだ。ジンと俺は優勝の座をかけて真っ向勝負で挑み、激闘の末に制したのは--------------」

ジンとの戦いに挑み、死闘を演じながら戦うしかなかった。
アキレスの必殺ファンクション・超プラズマバーストでジンのLBXを撃破した。

「俺だよ・・・・・・まあ、あの時はチャンピオンになれるとは思ってなかったな」
「おおー! 凄い、バン兄さんはチャンピオンになったんだね、そういうことだったのかぁー!!」

リンは俺の話を聞きながら、納得できる部分もあったのだろう。
そういえば、Lマガを読んだことがあるのかな?

「そういや、Lマガ読んだことあるの?」
「うん、あるよ! 中学の時にバン兄さんが載ってたの見たことあったんだ」

俺が載ってた特集に関するLマガを読んだことがあったらしく、その時にチャンピオンだったことを知ったらしい。

「まあ、でも凄いよね!」
「ああ、そうだな・・・・・・」

まあ、あの時はチャンピオンになれて良かったと思う。
大学3年生になった今もチャンピオンとして有名人になっていたのだ。

「バン兄さん・・・・・・」
「んー?」

リンがいきなり歩くのを止めたので、俺は首を傾げながら振り返る。
すると、リンが嬉しそうな顔をして抱きついてきた。

「バン兄さん!」
「うわっ! どうしたんだよ、リン?」

いきなり抱きしめられたかと思えば、人懐っこい笑顔で甘えてくる。
そんなリンの様子を見ていて、微笑ましそうに見つめた。

「リン、これからは夜に遊びに行くんじゃないぞ?」

優しく諭しながら、リンの頭を撫でる。
大人しそうなリンのことだから分かってくれるだろう。
そう思いながら、ゆっくり撫でていたその時だった。

(・・・ん?)

よく見たら、リンの首に何か傷痕がついていた。
もしかして虐待されたのだろうか・・・そういえば、話を聞いてなかったのを思い出す。

(リンのヤツ、大人しそうな子だなって思ったけど・・・・・・これは何かありそうだな)

その傷痕を見る限り、親戚の家で何かあったのかと思いながら考える。
リンのことだから、流石に言いたくない理由でもあるんじゃないだろうか。

「どうしたの、バン兄さん?」
「いや、何でもないよ」

リンに悟られないようにするため、落ち着いて答えた。
訝しそうに見つめていたが、リンは先に歩き始める。

(虐待されたことが原因ならば、俺たちに預かったということになるんじゃないのか?)

そう考えていれば、リンは心を開かないはずだ。
どうりで、リンが俺に心を開こうとしない理由が分かってきそうな気がする。

「おい、リン・・・・・・」
「何、兄さん?」

リンは俺を見て、首を傾げながら歩み寄った。
彼女を見ながら、肩を並べて歩きつつも試しに質問した。

「おまえ、もしかして虐待されたことがあるのか?」
「・・・っ!」

リンはビクッと怯えながら、顔を強張らせた。
ブルブルッと怯えているリンの様子を見て驚く。

「リン?」

いきなり、顔を青ざめて・・・どうしたんだ?
急に様子がおかしくなったので、リンに何があったのか問い質そうと思っていたその時。

「おい、リン?」
「バッ・・・・・・」

リンは俺を見て、顔を上げて動揺を隠せないような苛立ちを募っていた。
これは何かある。絶対に何かありそうだと確信したその時、リンは俺を見て言い放った。

「バン兄さんに分かるはずがないもんっ!」
「あっ、ちょっ・・・・・・」

リンは怯えきった顔を強張らせたまま号泣しながら、先に走り出した。
呆然と立ち去りながら走るリンを見つめた。まるで何が起きたのか分からないという状況だ。

「リン・・・」

この時、俺はリンの複雑な心境に気付いていなかった。
しかし、この日を境に悩む日々を送ってしまうことになる。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.151 )
日時: 2012/10/14 12:36
名前: yumi (ID: kS1s3PtF)
参照: http://www.kaki-kaki/bbs_m/index.html

ええ!?リンちゃんまで虐待されてたの!?

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.152 )
日時: 2012/10/14 12:52
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

150越えになったということで、姫佳のリク短編を描いていきたいと思います!
レッドの短編小説、記念すべき第2弾はヒロナオです!!

短編1(ヒロナオ編)
タイトル;幼馴染の背中(ナオ視点)

大学2年生になった春、大学生活に慣れてきた頃は空手部の練習に打ち込みながら頑張っていた。
幼馴染の大空ヒロはいつも優しいから、私の話を聞いてくれることが多い。
それでも、今の私が居るのはヒロのおかげだと言っていいだろう。

「ハァッ!」

得意の回し蹴りを繰り出しながら、一気に詰め寄る。
その練習相手のハルこと人見晴香さんが相手をしながら、ガードして受け止めていた。

「ナオ、何か気合が入ってるね!」
「そうですか? 試合が近いから鍛えまくりたいんです!」
「鍛えるのは良いけど、あまり無理しない方が良いと思うよ」

ハルさんに突っ込まれながら、何も言えない状態になった。
確かに気合を入れすぎているのは、いかがなものか。
言われてみると、ハルさんの言うとおりだ。

「そうですね、すみません・・・・・・」
「ナオ、もしかして悩み事でもあった?」

こういうときのハルさんは勘が鋭い。いつも優しく接してくれるから、話しやすい人だと思っている。
それに空手部の先輩でもあり、チームメイトとして尊敬できるからだ。

「いえ、別に大したことじゃないですから」
「ははあ、さてはヒロに恋心を抱いてたりする?」
「なっ・・・・・・!?」

頬を赤らめながら、ハルさんを見て驚きを隠せずにいた。
ヒロはイケメンだし、かっこいいけど・・・・・・私のことをどう思っているかも知らない。
最近になって、ヒロに会えていないこともある。その影響を受けていたので、話しづらいこともその1つだ。

「じゃあ、部活終わったことだし・・・・・・部室に戻ろうか」
「はい!」

ハルさんはキャプテンということもあり、バンさんの幼馴染で相談しやすかった。
でも、その悩みを話すわけにはいかなかった。

(どうしよう、ヒロに会えていないから気になる)

その複雑な思いはどこから来るものなんだろうか。
ヒロのことは特別な存在として見ているつもりでいたのだ。



部室で胴着から私服に着替えた。そのズボンのポケットの中に入っている1つの鍵を取り出す。

「ヒロ・・・・・・・」

大学生になってすぐに言われたことを思い出す。
ヒロはいつも優しい眼差しで私に鍵を渡してくれた。

【これ、僕の家の合鍵だよ。僕が居ない時に鍵を開けて入ってくれても良いからね】

その時に私の話を聞いてくれるっていうから悩んだのを覚えている。
ヒロはいつも優しいし、素直なところもある。バンさんに宥められてしまうことも何度かあった。

「ナオ、その鍵は?」
「あ、いや・・・・・・その、ちょっと」

ハルさんに見られてしまい、鍵を入れて隠そうとした。
だが、その時はもう既に遅し。ハルさんが指差しながら話しかけた。

「これ、ヒロの家の鍵?」
「あ、はい・・・・・・」
「やっぱりね、ヒロのことで悩んでるんじゃないの?」

ハルさんに咎められてしまうことになろうとは思わなかった。
でも、ヒロのことだから・・・・・・・酒を飲んで帰ってくるかもしれないし、ヒロの家で待つしかないのだろうか。

「いや、別に大したことじゃないです」
「本当に?」

ハルさんに咎められ、問いかけられてしまう。
その場に居た月島楓さんとチームメイトで親友の直井夏来(なおい なつき)が止めに入った。

「ちょっと、ハル・・・・・・ナオに突っ込んじゃダメよ」
「そうですよ、ハル先輩。ナオのことは私に任せてください」

夏来が私の背中を押しながら、荷物をしょっていた。
ナツに助けられることが多かった。周りに親友として相談できる人がいなかったので、ナツに悩みを打ち明けることにした。

「ナツ・・・・・・私の話を聞いてくれるかな?」
「うん、良いよ! 私でよければ聞くよ」

ナツは笑顔を見せながら、私を見つめた。
私はヒロのことで悩んでいると打ち明ける。

「ヒロのことで悩んでるんだ」
「大空くんのことか、やっぱりそうだと思ってた」

ナツもある程度は事情を察していたらしく、どうりで練習に打ち込みやすいと納得したのだろう。
まあ、それが原因で打ち込めるようになったのは確かだ。

「でも、大空君はナオのことが気になってたんじゃないかな」
「・・・・・・え?」
「大空君、ナオのこと心配してたからね」

ナツが言うには、昼休みに会って話したそうだ。
その時にヒロがナオに避けられているような気がするって言って呟いていたのを聞いたという。

「ヒロが悩んでいるのも分かったし、ナオも同じように悩んでるんじゃないかってね」
「ナツ・・・・・・でも、ヒロんちに行ってもいいのか分からないよ」
「ここは、ひとつ・・・・・・勇気を振り絞って行ってみたらどう?」

ナツに諭され、ヒロの家に行く決心をする。
幼馴染だからこそ、言いたいことがたくさんあるのだ。
私の話を聞いてくれたナツには本当に感謝の気持ちでいっぱいだった。

「ナツ、ヒロんちに行くね! 私の話を聞いてくれてありがとね」
「うん、頑張れ! 仲直りしてきなさいよ!!」

ナツは私に向かって励ましながら、手を振った。
彼女と別れた私はスポーツバッグをしょって、ヒロの家に向かった。


数分後、ヒロの住むアパートに到着した。
ヒロの住んでいるところは確か、3階だったはずだ。

「よし、行きますか!」

エレベーターに乗って、3階に向かった。
ヒロの家は確か、304だったような気がする。

「あっ、ここか」

確かによく見ると、『大空』という苗字があったので、ここで間違いない。
大学生になってからは、1人暮らしするようになっていた。
料理ができないというわけではないが、ヒロは少しくらいならできると言っていたのを思い出す。

「とりあえず、インターホンを押してみるか」

試しにインターホンを押す。

『ピンポーン』

シーンと静まり返る。インターホンを押しても反応がないということはどこかに出かけている可能性が高い。

「合鍵をかけなきゃね」

ズボンのポケットから取り出し、合鍵をかける。
すると、ガチャリと扉が開く音がした。

「お邪魔しまーす・・・・・・」

玄関のドアを開けると真っ暗闇になっていた。手探りで玄関のスイッチを押す。
すると、フッと電気がついた。

「へぇ・・・・・・」

家の中を見回しながら、感嘆したように漏らす。
ヒロのヤツ、こんなところに住んでいたのか。

「ん?」

ふと、ヒロの机の上に1枚の写真立てが置かれていることに気付いた。
ヒロの母親・大空遥と一緒に撮ったときの写真だった。当時は小学校に入った頃だと考えられる。

「ヒロ、かわいいな」

懐かしく思えたのは、いつ頃だったろうか。
幼馴染として、気軽に話せる存在・・・・・・それがヒロだった。

(ヒロがいたから、ここまで生きてこれたんだ)

そんなヒロの優しさに染みてきたのか、涙が流れそうになる。
寂しさを紛らわすかのように、ヒロの帰りを待つしかなかった。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.153 )
日時: 2012/10/14 12:53
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

>>151 yumi
そうです!!
親戚の家で何があったのかは、第9章のストーリーで明らかになる予定です!!

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.154 )
日時: 2012/10/14 14:22
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

短編1の続き(ナオ視点)

夜11時になった頃、Lマガを読みながら待っていた。
その時、玄関のインターホンが鳴った。

『ピンポーン』

ヒロが帰ってきたようだと悟った瞬間、玄関に向かった。
玄関のドアを開けると、目の前に山野バンがいた。

「こんばんは、バンさん・・・・・・ヒロは?」
「・・・ああ。ヒロのヤツ、酔い潰れちまったんだ」

顎をしゃくりながら、玄関の傍を見てみろというようなしぐさを見せて促す。
それに促され、チラリと見ると壁に背中を預けて寝ているヒロだった。
口から放たれる酒臭さが漂う。その様子を見る限り、酔い潰れていたのだろう。

「なんで、こんなになるまで飲んだんだろ?」
「偶然、居酒屋で会ってさ。その時に話したんだけど、かなり酔っ払ってたからさ」
「え、そうなんですか!? あいつ、自暴自棄に飲んだんじゃないのかな?」
「うーん、それなりに飲みまくってたからなぁ・・・・・・試しに起こしたけど、爆睡してるから連れて帰るかってなったんだ」

バンさんが言うには、愚痴まくってたから飲み過ぎたかもしれない。
それでも、酔い潰れるまでには時間がかからなかったらしい。

「・・・・・・というわけなんだよ」
「なるほどねぇ・・・・・・とりあえず、ヒロを起こしましょうか」
「そうだね、そろそろ起こすかぁー」

ヒロの視点にあわせるようにしてしゃがみこむ。
酔い潰れているのか、涎をたらしているヒロの様子を見て思わず苦笑する。

「ヒロ、ちょっと起きて」

肩を揺らしながら、優しく叩いて起こす。
ヒロは寝息を立てているのか、気持ち良さそうに爆睡している。

「ダメだ、こりゃ・・・・・・」

バンさんは頭を抱えながら、溜息をつく。
見事な酔っ払いになってしまっているようで、目覚める気配はない。
仕方なく、バンさんはヒロの上半身を起こして介抱する。

「とりあえず、中に入れてもらっていい?」
「は、はい・・・・・・」

家の中に入れ、玄関のドアを閉めた。
床にヒロを寝かせた後、どうやって連れ出そうかと相談する。

「バンさん、ヒロをどうやって連れ出すか・・・・・・そこですね」
「ああ、そうだな・・・・・・」

気持ち良さそうに寝ているヒロを見て溜息をついた。
こんなになるまで飲んだのが悪いと思いながら、目覚めてくれればと思っていたのだ。

「靴を脱いでおかなきゃ」

ヒロの靴を脱いだ。仕方がないので、酔っ払いを解放するなんてことはできない。
バンさんがヒロの頬を叩いて起こしてくれた。

「ヒロ、起きろ。家だぞ」
「んー・・・・・・・寝かしてくだひゃい・・・・・・・」

そう言った後に寝返りを打ったかと思えば、ヒロはまた寝息を立て始めた。
なかなか起きないのを良いことにして爆睡中。

「じゃあ、こいつをベッドまで運ぶからさ。部屋のドアを開けておいてくれる?」
「は、はいっ!」

ヒロの部屋のドアを開けておいた。
バンさんがヒロを背負いながら、部屋の中に入った。
2人かがりでベッドにヒロを寝かせ、毛布をかけてあげた。

「やっと終わったな」
「すみません、今日は助かりました」
「別に良いって・・・・・・じゃあ、俺はこれで」

玄関前までバンさんとゆっくり話しながら歩く。

「すいませんでした」
「大丈夫だよ、ヒロによろしく言っといてくれ」

玄関前で靴を履いたバンさんは苦笑しながらも、手を振って去った。
バンさんを見送った後、中に入って玄関のドアを閉める。

「さて・・・・・・」

どうして、こうなったのかを聞かなきゃいけない。
再び、ヒロの部屋に入ると・・・・・・中は真っ暗だった。
懐中電灯をつけて探してみると・・・・・・ヒロは床で寝ていた。

(ベットじゃなくて、床で寝てる?)

床で爆睡しながら、気持ち良さそうに寝ているヒロ。
その様子を見て苛立ったのか、私はヒロの体の急所を軽く蹴った。
すると、眠そうに顔をしかめて、うーんと唸り始めた。

「イタイイタイ、何してんのォー?」

ようやく、ヒロが目を覚ました。
ボンヤリと視界に私の姿が映ったのか、眠そうに見つめる。
ヒロに文句を言ってやろうかと思いながら、やっと言葉が出た。

「何してんのって、こっちの台詞なんだけど・・・」
「んー・・・・・・? あれ、僕は何でこんなところで寝てるんかな?」
「バンさんが背負って、この部屋まで連れてきてくれたんだよ」

もーバンさんに感謝しなさいって言いながら呟く。
ヒロはトロンとした目つきでボーッとしながら、私を見る。

「そういえばさぁ、どうしてナオがここにいるの?」
「この家の合鍵を使って、入らせてもらったよ」

ズボンのポケットから家の合鍵を取り出して見せる。
ヒロはその合鍵を見て、すぐに納得してくれた。

「ナオに会うのも久しぶりだな・・・・・・」

ヨロッと立ち上がりながら、千鳥足で歩く。
すると、ベッドにダイブして倒れ込んだ。

「ウイーッ、飲み過ぎたァ・・・・・・」
「飲み過ぎたこと分かってるなら、何であんなになるまで飲んだの?」

あらかじめ用意しておいた水の入ったコップを持って渡す。
ヒロは眠そうに上半身を起こし、右手でコップを受け取った後にゴクゴク飲んだ。
あれだけ飲んだのなら、何で自力で歩いて帰って来れなかったのか。

「しょうがないだろォ・・・・・ナオに会わずにして会ってられるかよ」
「・・・・・・え?」

ヒロの言葉が何気に引っかかった。
会わずにして会ってられるかってどういう意味だ!

「ちょ、どういうこと?」
「ナオに会ってないから、本音を話せないでいたんだよ。それで、バンさんに話を聞いてもらって吹っ切れたんだ」

そしたら、酔い潰れてしまったということになるのか。
酒を飲んで寝るのは良いけど、少しは私の気持ちを分かってほしい。

「まあ、やっと会えたしさぁ・・・・・・」
「ふざけんな、この・・・・・・少しは私の気持ちを分かってよ、心配してたんだから!」

ヒロの頭を殴りながら、怒りの拳骨を放った。
そのダメージを受け、ヒロはあまりの痛さに顔を顰める。

「いってぇ・・・・・・」
「これだから、飲み過ぎるんだよ! ったく、このバカ!!」

涙を流しながら、ヒロの胸に顔を埋めて叩く。
私を受け止めながら、ヒロは流石に反省しているようで優しく抱きしめてくれた。

「ごめん・・・・・・」
「ヒロのバカァ・・・・・・えっぐ・・・・・ひっぐ・・・・・」

幼馴染の背中を見てきた私は心優しいヒロのことが大好きだった。
そんな私の気持ちを理解しているはずがないのか、ヒロはいつも鈍感でいることが多かった。
そう思ったその時、沈黙を破ったのがヒロだった。

「ナオ、僕は何も思ってなかったわけじゃないよ」
「えっ・・・・・ヒロォ?」

埋めていた顔を上げて、ヒロを見る。
彼はヒックと呻きながら、構わずに話を続けた。

「ナオが僕を心配してたことは分かってた。けど、ナオになんて言ったら良いのか分からなかったんだよ」
「ヒロ・・・・・・」
「でも、記憶のないナオよりも・・・・・・僕は記憶が戻っているナオのことが好きだよ」

ヒロは私を優しく抱きしめながら、背中をポンポンと撫でる。
記憶が戻った時はヒロのことを思い出せたから嬉しかったのを覚えていたので、今も思い出すことができる。

「僕の大切な幼馴染・・・・・・それがナオだ」
「ヒロッ・・・・・・・うわぁぁぁ-----------ん!」

ヒロの胸に飛びつき、ベッドにダイブして倒れこんだ。
私がまた泣き出したことに驚いたのか、ヒロは目を丸くしていた。

「うわっ! ど、どうしたの?」
「えっぐ・・・・・・ひっぐ・・・・・・」

泣きながら、嗚咽を上げる私の姿を見ていたヒロは苦笑しながら抱き寄せた。
ヒロの胸に顔を埋めたまま、何も言えないでいた。

「ナオ、泣くなよォ・・・・・・そんな顔を見せたら、こっちが困るじゃないかぁ」
「・・・・・・っ!」

ヒロは優しそうに励ましながら、私の背中をポンポンと叩いて撫でた。
すると、眠気が迫ってきたことに気付いてウトウトし始めた。

「ナオ?」
「眠い・・・・・そろそろ寝ようよ」
「・・・・・ああ、そうだな」

眠気が迫ってくるのと同時に意識がまどろんでくる。
私は背中を見つめたまま、深い眠りに落ちた。

The End-----------------------------


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