二次創作小説(紙ほか)
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- 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界
- 日時: 2014/02/05 19:47
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
初めましてBaniraともうします。
進撃の巨人が好きで自分もあの様に書いてみたいと思い小説を書きたいと思います。
小説書いたことなんてあまりないのでつたないですが温かく見守って下さい。
——その日、人類は思い出した。
奴らに支配されていた恐怖を。鳥籠に囚われていた屈辱を……。
この世界は・・・・残酷なんだ・・・。
今までのお話
第一話>>1 私の回顧録1 〜過去編①〜
第二話>>2 私の回顧録2 〜過去編②〜
第三話>>3 私の回顧録3 〜過去編③〜
第四話>>4 私の回顧録4 〜過去編④〜
第五話>>7 戦闘開始〜第五十六回壁外調査編①〜
第六話>>12 新たなる敵〜第五十六回壁外調査編②〜
第七話>>14 未来の指揮官〜第五十六回壁外調査編③〜
第八話>>15 負けられぬ戦い〜第五十六回壁外調査編④〜
第九話>>18 真の指揮官とは〜第五十六回壁外調査編⑤〜
第十話>>19 次世代の英雄達〜第五十六回壁外調査編⑥〜
第十一話>>21 私の総括〜第五十六回壁外調査編⑦〜
第十二話>>22 絶望の始まり〜トロスト区崩壊編①〜
第十三話>>24 部下達の思いやり〜トロスト区崩壊編②〜
第十四話>>26 調査兵団たる宿命〜トロスト区崩壊編③〜
第十五話>>27 前半:主人公視点 助けるべき標的。
後半:訓練兵視点 究極の選択〜トロスト区崩壊編④〜
第十六話>>30 淡緑の閃光(訓練兵視点)〜トロスト区崩壊編⑤〜
第十七話>>33 同じ境遇の身として〜トロスト区崩壊編⑥〜
第十八話>>37 ペトラの憂さ晴らし(閑話)
第十九話>>38 不穏を呼び寄せた爆音〜トロスト区崩壊編⑦〜
第二十話>>39 目の前に映ったモノ〜トロスト区崩壊編⑧〜
第二十一話>>41 新人訓練兵の弁明〜トロスト区崩壊編⑨〜
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.35 )
- 日時: 2013/11/25 17:29
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
皆さん、こんにちは。作者のBaniraです。
またもや、途中で放棄しておりました・・・。
本当にすいません;
ですが、この度は皆さんにお礼をいいたくて書き込みました。
それは、参照が1000突破したことです。
最初、書いた時は、こんな駄小説読む人なんていないと思っていたの
ですが、まさかの事態に大変驚いています。
こんな、つたない小説なのに読んでくれている方がこんなにもいたとは
感無量です。
これからも、亀更新ではありますが、応援よろしくお願いします。
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.36 )
- 日時: 2013/11/26 20:22
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
〜小説登場キャラまとめ〜
ここでは、この小説に出てきた登場人物を兵団別にまとめ、そして
その人物に対する説明を書き加えて読者様が読みやすくなるようにに作りました。
※注意
この物語が、進行していく上で出てきた人物を少しずつ載せていきますので、原作では主要なキャラがここではまだ載ってないことがありますがそこは、ご了承くださいませ。(名前が一回でも出たキャラは含みません)
No.1 〜調査兵団〜 ・・・壁の外の探索活動が主な目的だが、
ウォール・マリア陥落以前と以降では活動内容が異なる。
陥落以降の活動は、来るウォール・マリア奪還作戦2回目の為の
布石を打つ作業である。
壁を破壊されたシガンシナ区へ大部隊が向かえるよう、途中に点在する
廃墟と化した町や村に、あらかじめ補給物資を設置し、大部隊が
移動する順路を作成する。
主な調査兵団の登場人物の一覧
名前:ハーブ・ヴィルナス(主人公)
年齢:19(850年時点) 830年生まれ
性別;女
身長:164cm
体重:57kg
出身:ウォール・ローゼ南区 ロゼッダ村
所属:調査兵団 分隊長
概要:この小説の主人公。現時点で調査兵団に所属し
分隊長を務めている。その実力は、遠くリヴァイには
及ばないとも兵団史上、最年少で分隊長にまで昇り
つめたほど。討伐よりも討伐補佐に長けており、冷静な判断力と精錬された立体起動で巨人を惑わし、急所をつくのが得意。最初は、楽するために憲兵団入団
目的で兵士を志願したのだが紆余曲折あって調査兵団
に入団になるために…。
性格は、感情に支配されやすく、まわりが見えなくなって一人で突っ走ってしまうタイプ。よく、その性格で何でも考え込んでしまうためによくリヴァイやエルヴィンから怒られているが、周りへの思いやりは人一倍強く、信頼も厚い。
しかし、そんなハーブに845年に自身を襲った悲劇を
ふまえ絶え間ない葛藤と波乱な過去があった。
名前:エルヴィン・スミス
年齢:不明
性別:男
身長:188cm
体重:92kg
所属:調査兵団 団長
出身:不明
概要:調査兵団第13代団長。調査兵団きっての切れ者であり
時には、ただでさえ死亡率の高い調査兵団においても
犠牲をかえりみない冷酷ともとれる作戦を平気で遂行するが決して作戦内容にぬかりはない。
その一方で、それまで芳しくなかった壁外調査での生存率を飛躍的にあげる長距離索敵陣形を考案するなど、ちゃんと部下の兵士たち思いなところもある。
なかなか、壁外調査において成果を挙げられず世間からの評価は良くないが、リヴァイをはじめ、団員達からは尊敬され信頼されている。ちなみに、リヴァイとハーブを調査兵団に引き入れた張本人である。
名前:リヴァイ
年齢:不明
性別:男
身長:160cm
体重:65kg
所属 調査兵団 兵長 特別作戦班班長
出身:不明
ハーブの同期でありながらも、今やハーブの上を行く
兵長でありならびに上司。その実力は人類最強と
いわれるほどであり、リヴァイがいなければ人類は
巨人には勝てないとまでささやかれるほど。
しかし、性格はイメージ像とかけ離れているものらしく、実際は神経質で横暴な人柄、友好的とはほど遠い。潔癖症でお掃除はしっかりとする。
彼は調査兵団に入る前は都の地下街でも有名なゴロツキだったそうだが、調査兵団団長エルヴィン・スミスと出会い、調査兵団に入隊した。
しかし、周りからはよくその身長の低さをネタに
されるのだとか・・・。
名前:オルオ・ボザド
年齢:19歳
性別:男
身長:173cm
体重:61kg
所属 調査兵団 先遣班副班長 特別作戦班班員
出身:不明
一見、ムカつく奴だが憎めない皮肉屋。リヴァイ班のメンバーの一人である。
悪い奴ではないのだが・・・いくつか残念なところがある。リヴァイをリスペクトしており、彼の影響を受けてか、リヴァイの口調や雰囲気などを真似ている。
そのせいか、同じ班のペトラにガチできもがられているが、本人はこれをかっこいいと思っている。
だが、その実力は特別作戦班(リヴァイ班)に選ばれる
だけあって討伐39体討伐補佐9体を記録している。
この数は、現兵団の中ではリヴァイに次ぐ記録であり
腕は一級品であるが、やはり周りからはその性格で
うざがられてしまう。
名前:ぺトラ・ラル
年齢:不明
性別:女
身長:158cm
体重:55kg
所属 調査兵団 先遣班班員 特別作戦班班員
出身:不明
リヴァイ班、唯一の女性。オルオがリヴァイの物真似をする前から知っているところから、オルオとは古い付き合いらしい。でも、リヴァイの真似が本当にうざいと思っている。
常日頃から、上司であり同じ女性として分隊長まで
上り詰めたハーブのことを尊敬しており、性格面で
難が多いハーブを献身的に裏からサポートする副分隊長的な役割も担っている。そして、その実力は
討伐10体、討伐補佐48体と討伐補佐数が圧倒的なところから、連携・援護的な戦いが得意なところが伺える
そのため、同じ援護的な戦いが得意であるハーブとの
連携はピカ一であり女性同士でありながらその連携度
の高さは熟練されており兵団内からも高く評価されて
いる。
名前:セダ・グラッドレイ(オリキャラ)
性別:男
年齢:17歳(850年) 833年生まれ
身長:175cm
体重:68kg
所属 調査兵団 ハーブ班 班員
出身:ウォール・ローゼ東 カラネス区
概要:ハーブが最も信頼のおいている部下であり、従順で頭の回転が早くすぐに冷静な判断が出来る。
訓練兵団を総合3位で卒業したエリートであるが、過去にウォール・マリア奪還作戦において、両親を亡くしているために巨人に対する憎悪があり、そして正義感が人一倍強いために憲兵団を選ばず最初から、はじめから調査兵団を志望していた。だが、その反面自分に自信がもてない節があり、第56回壁外調査においてハーブから普通種の討伐隊長に任命された際、自分の実力を卑下し固辞しようとしたが、結果は、持ち前の能力で死者を一人も出さず討伐をやってのけリヴァイからも賞賛され、未来を担う貴重な存在とみなされて
いる。
名前:グラクス・アインザッツ(オリキャラ)
年齢:16歳(850年) 834年生まれ
性別:男
身長:167cm
体重:65kg
所属:調査兵団 ハーブ班班員
出身:ウォール・マリア南 シガンシナ区
概要:まだ入団1年目の新兵であり、第56回壁外調査が
自身初めての壁外調査であった。その出身地で起こった5年前の悪夢を知っている数少ない一人であり、そのためか巨人に対する恐怖がまったくなくむしろ物怖じすることなく立ち向かえるほどの勇気を持っており、初陣となった56回壁外調査では、その持ち前をいかんなく発揮して討伐も記録している。反面、きかん坊でもあり、目上に対して生意気な態度をとってしまうところがあり、ハーブやリヴァイを困らせている問題児。だが、根は仲間の思いやりが強く討伐をサポートしてくれたセダやハーブ。そして、リヴァイを尊敬している。
名前:エバンス・フォルカー(オリキャラ)
年齢:16歳(850年) 834年生まれ
性別:男
所属 調査兵団 ハーブ班班員
概要:ハーブの部下の一人であり、後ろから追ってくる巨人を見ても、まったく動揺せず逆に挑発する余裕さえ見せた。その性格はグラクスと酷似しており同年代の彼とは常日頃からことあるごとに対立している。
名前:ヘンリー・タイナー(オリキャラ)
性別:男
所属:調査兵団 伝達班
概要:特殊奇行種の出現をいち早く、ハーブ達に知らせた伝達班の兵士。的確に奇行種の特性を伝え討伐に多いに貢献したが、恐怖のあまり顔はひきつり恐怖におののいていた。
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.37 )
- 日時: 2013/12/25 11:41
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
「あの子達…大丈夫ですかね?」
「大丈夫。あの子達はみんな怖気ない勇気を持っているから。心配しなくても自分たちで切り開いていけるわよ。」
「そうですよね。あの子達ならきっと…。」
「うん。」
今、私とぺトラは夕日を背に向け撤退時の集合拠点であり、補給拠点
である本部へと向かっている。
その道中で、さっき私たちが危機一髪に瀕していたところを助けた
3人の訓練兵について話していた。
「でも、別れ際で3人の名前聞いた時びっくりしたのは、あの子達3人
全員、今年兵団を卒業した中で上位10位以内の成績で卒業してるって
ことなんですよね。」
「ええっ!そうなの?」
「分隊長、知らなかったんですか?」
「全然、知らなかった…。」
「こっちの方が驚きですよ!まさか、分隊長が知らなかったなんて…。
てっきり、仕官以上は全員知っているもんだと思ってました。団長から
教えてもらってなかったんですか?」
「教えられて…というか、毎時の報告書の欠点で怒られに行った時
以外は、話しかけてすら貰ってないから…。」
肩をすぼませて赤面して言うハーブを見て、ぺトラは勝ち誇った様に
笑っていう。
「分隊長。もしかして団長と最近何かあったんですか?」
ハーブはその顔を見て余計に顔を赤くしてムキになって言い返すが
その場の立場はもう現実世界の上司と部下の関係ではなく完全に
逆転していた。
「ったくもぅ…。ぺトラったら…。分隊長になってみないと
分からないだろうけどね、私達だって色々忙しいのよ…。
っで…ところで、ぺトラあなたは誰から教えてもらったの?」
「ハハハッ。あ…ああ、すいません。実はリヴァイ班の集まりで
兵長からお前らこれ見とけって言われて渡されたんです。」
「えっ兵長から!?兵長とならいつも一緒にいるのになんで私には
教えてくれなかったんだろう。」
「もしかして、団長だけでなく兵長からもハーブ分隊長、嫌われて
いるんじゃないですか?」
ここぞとばかりに調子がいいのかぺトラはさらにハーブにちょっかいを出す。
「うるさい!ぺトラまで…。まったく今日は何なのよ!変な奇行種には
出くわすし、帰ってきたらかえってきたでこの有様になってるし…」
と、ハーブは挙句の果ていつも信頼をおいているぺトラからもいじられて自分の不運を呪うほかなかった。
そして、その隣には鬱憤を晴らすかのようにあざ笑うぺトラの姿が
あったのだった。
新兵達にとっては、言葉を吐き出すことすら困難な戦場で明らかに
場違いな二人の夫婦漫才のような笑い声と呆れ声がこだまするのであった。
そんなこんななぐだぐだの雰囲気のまま進んでいるともう二人の目の前には集合拠点の
巨人に攻撃され半崩壊状態で廃墟同然の本部が見えて
きていた。
見ると、既に先に撤退していたハーブの組織した班の
面々がちらほらと帰ってきており、さすが調査兵団
屈指の精鋭と言うべきかみな怪我も泣く一仕事終えて
自分の立体起動装置のガスの入れ替えをしていた。
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.38 )
- 日時: 2013/12/27 21:25
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
「なんだ、みんな先に戻ってたのね。」
「あぁ、ハーブ分隊長でしたか、お疲れ様です。」
調査兵団の兵士達は、ガス交換をしていた手を止め戻ってきたハーブを
出迎えた。
一様に、こちらに向けてきた顔を見てハーブは、今ここにいる部下は一人も欠員がいない事を確かめるとハーブは心の奥底で、少し安心した。
「この様子を見ると、みんな無事なようね。あれ?でも、まだ、マチルダ達の班が帰ってきてないようね。誰か知ってる?」
「あぁ、そういえば、俺たちが任務を終えてここに戻ってくるときに
負傷した新兵を抱えて内地に護送してるのを見ましたよ。」
と、すぐ様に答えたのは一班の班長をしていたエルド・ジンであった。
彼もまた、リヴァイに選ばれた特別作戦班、通称《リヴァイ班》の
一員であり、この中では群を抜く実力者の一人でもある。
「そう、分かったわ。内地に行ったのなら安全だし、もうすぐ帰ってくるわね。これで、再編する必要なく行動できるわ。みんな、手間とらせてごめん。各々補給作業に戻っていつでもまた、すぐ出撃できるように準備しといてください。これから、先まだ長いからね!」
「ハイ!」
そういうと、部下たちはまた、それぞれの作業へと戻っていった。
「じゃあ、私たちもすばやく、ガスを補給しちゃいましょう。」
「そうですね。」
その様子を見届けるとハーブとペトラも二人も、ガスの補給をするために補給タンクへと足早に行く。
見ると、建物の損壊こそ著しいもののそれに比べ兵士達の生命線とも
言えるガスの満載しているタンクは、一部を除き傷一つなく健在で
あった。
そのことから、補給兵が恐怖のあまり閉じこもってしまい、補給ライン
が断たれながらも意地でも守り通そうとした駐屯兵や新兵達の頑張りが
現れている証拠でもあった。それは、ちゃんと調査兵団にも受け継がれていることを示すことにもなる。
そして、これからの長期戦を考えると、その数は十分でありガスに限ってはこの場所が更に、巨人たちに襲われて使用不能にならない限りは
大丈夫そうである。
ペトラは、立体起動装置からカートリッジ式であるガスボンベを
取り外すと手を拳にして、そのガスボンベを叩いた。
コンコン・・・
すると、ハーブとペトラ二人の間に以下にもガスボンベ内にあった
ガスが少なくなっていたかを現すかのように鈍く乾いた音がこだまする
のであった。
「いやぁ、正直心配してはいたんですが、ギリギリでしたね。
危なかったです。」
ペトラが、ほっとした声でいうとつられるように同時にハーブも自分のガスボンベを取り外し叩くと同様に同じ音がした。
「確かに、よく持ってくれたと思う。だって、私たち壁外調査から
そのままだったからね。特に、私の場合、新型奇行種が現れてその討伐をするのにガスの噴射全開にしちゃって、壁内に入ったときはもう
メーターが半分切ってたから少し焦ったよ・・・」
そして、二人とも補給タンクから伸びているホースの先端を自分の
ガスボンベの挿入口に接続して、ストッパーを解除するとみるみる内に
下がり続けることしかなかったガス残量を表すメーターが、上昇していくのであった。
その事を、無意識に確認すると二人はまた、話を続けた。
「そのことなら、オルオから聞きましたよ。何も、ジャンプする巨人が現れたとか・・・。」
「そうそう。初めて伝令からジャンプする巨人が現れたって聞いた時は
驚いたわ。さすがに、私の屈強そうな部下たちもすぐ形相を変えちゃって怖気づいちゃって・・・。まぁ、でもすべてにおいていつも達観してるおられる兵長様は鉄仮面のように表情ひとつも変えなくて、ただ
淡々と次から次に入ってくる情報を聞いている姿を見て別の意味で
改めてこの人には、逆らえない・・・って認識させられたのよ。」
「さすが兵長ですね。私も、笑ってるところなんて見たことないし・・」
「兵長って、私と違って本当に性格が真逆な人間だから・・・」
そして、その後は、ハーブがその奇行種との戦闘でドジってしまった
ことや、実際にジャンプしてみせた奇行種に対して見せた兵長の芸当。
発掘した新しい逸材、「セダ」のことについてなど、与えられた数少ない時間の中でハーブは兵長に対する愚痴も少々いれたり、尊敬の念も
いれながら手短に起こった出来事、ありのままを述べてペトラもそれに
食い入るように聞き入って《戦場のガールズトーク》がしばしの間
展開されるのであった。
「まーた、やってるよあの二人・・・」
「本当に、女性っていうのは、すぐ話に没頭して周りが見えなくなるん
だから困ったもんだよなぁ」
「うん、まったくだ。あの状況じゃ、次の伝令がくるまで終わらねぇなよ。」
「あぁ・・・。俺たちは今は蚊帳の外ってわけだ。まぁ、仕方ない
分隊長も日々、いろんな事でストレスを感じてるんだ今はそっとして
俺たちはブレードの手入れでもしようぜ。」
「そうだな・・・」
もちろん、他の男性の部下は男子禁制のごとくただ黙ってその様子を
見ていることしか、許されなかったことはいわなくてもわかっていた。
※ ※ ※
ガールズトークも終わり各々、補給を終えていつでもすぐに出撃できる
準備を終えた時、あとは到着の遅れているマチルダ率いる3班を
待つだけであった。
それにしても、遅い・・。ハーブは腕を組みながら沈みゆく夕日を
見ながら外を眺めながら思っていた。
私達が、ここについたとほぼ同じ時に、先に到着していたエルドから
内地に向かったという報告を聞いてから、もうおそらく20分は経っている。
安全な内地に負傷兵を抱え向かったという情報から、途中で巨人に襲われたという心配は無いものと考えていいので、トロスト区からウォール・ローゼ内地にいく間に何か起こったというよりは、ウォール・ローゼを超えて内地に入ったあとに何か問題が起こったと考える方が予測できうる事であった。
「それにしても、マチルダ達遅いですね。何かあったんでしょうか?」
さすがに、しびれを切らしたのかエルドがハーブに問いかける。
「うーん。少なくとも巨人に襲われたっていうことはなさそうだし、内地に入ってから何かに巻き込まれた
って考えるのが一番よさそうね。」
「確かに、ただでさえ内地はトロスト区からの避難民
そして負傷兵で溢れかえって混乱していますから、
そこで混乱に巻き込まれたと考えてもおかしくない
ですね。しかし、日没もせまっていますし、我々の
活動できる時間も限られています。なんなら、
私がすぐに様子をみてきますが・・?」
エルドは、右足を手前に一歩歩み寄って言う。
それに対しハーブは
「いや、その必要はないわ。今、ここであなたを
送り出してあなたまであの内地の群衆の中に巻き込まれてしまっては、それこそ、私達、調査兵団の活動に
支障がでてしまう。あと10分、10分待って帰って
こなかったら、ただちに再編して新たに行動を起こした方が得策だと思う。」
「ですが、分隊長。残されたマチルダ達は、どうしますか?きっとあいつらのガス残量ももう余裕はない
と思いますが。」
「その事なら、マチルダ達を発見して合流した次第に
ここの本部での補給と待機命令を出して、見張りをやらせるから大丈夫よ。」
「了解しまし_____!?」
エルドが、納得しそう言いかけた時であった。
ドォォォォン!
突如として、遠くから鳴り響いた大きな爆音がその言葉を割いて、平穏に包まれていたその場の雰囲気を
引き裂いたのである。
あまりのその爆音の大きさに、音源地から発せられた
すさまじい振動により半壊状態の本部は揺れ、その場にいた全員が耳に違和感を覚えた。
「い・・今の爆音は何!?」
ハーブは、耳を塞ぎ声を突然の出来事に動揺しながらも声を挙げる。
見ると、周りの部下たちも同じ姿勢でキョロキョロと
周りを見ているのであった。
そして、その中の一人が動揺して震えた手で外を指しながらその原因を指差して報告した。
「ぶ・・・分隊長見てください!内地から大きな
煙が上がっています!」
慌てて、その声につられて割れた窓に駆け寄り
手が指し示す方向を見れば、まさしくその通りに
大きな黒い煙が壁を隔てた向こう側で黙々となびいていたのであった。
「な・・・なんで内地から?あの中にはまだ、大勢の
人たちが!」
「一体、どうなっているんだ!?」
今日という日は、まったく予想外という出来事に
翻弄されまくりだ。
一体、神は何度、人間に試練を与えれば気をすんでくれるのだろうか。
その中でも、ハーブは感情を押し殺しいたって冷静でいようとするが、こんな次々とおこってはもう精神も
持ちようがなかった。
しかし、そんな中でも分隊長らしくいないとならない
のは必然の理であった。
「ぶ・・・分隊長。もしかして、内地にも・・・」
その先の言葉は言われなくても、その場にいた全員が
わかっていた。こういうひっ迫した時の以心伝心ほど
怖く不思議なものはない。
「そんなこと信じたくないけどまさかね。。だとしたら・・・」
「避難民、負傷兵・・そしてマチルダ達が!」
一番、マチルダ達3班の身を案じていたエルドが
声を荒げる。
こうなった以上、いくら優柔不断でも即決である。
しかし、その事をハーブ自身が言葉で表す必要はなかった。
それを悟ったかのように、兵士達はそれぞれ外していた立体起動装置を装着しに戻っていく。
そしてまた、その時である。伝書鳩のように新たにまた新情報を持った人間が現れた。
その人間は、調査兵団の証である緑のマントを
なびかせてまるで突撃するかのように立体起動で
割れたガラスから飛び込んできた。
その時、蹴破った反動で前の衝撃で割れ残っていた
窓ガラスが新たにあたりに飛び散り、その中を
身体が通り抜け、石でできた床に体勢を斜めにして
着地すると、そのまま身体は地面を滑った。
その近くにいた、ペトラは思わず身をかかげる。
しかし、その人物はすぐに起き上がると開口一番に
「分隊長!分隊長はおられますか!」
ハーブを呼ぶ声を発した。しかし、その声にいち早く
こたえたのはハーブでもない、エルドであった。
「マチルダ!お前、無事だったのか!」
マチルダは、予想外の人物の声に一瞬、肩をぴくりと
させたが、エルドと確認すると安心したように、
自分の健在さをアピールした。
「なんだ、エルドか!俺ならこのとおり全然大丈夫だ!それよりも、今は分隊長に話が!」
「分隊長なら・・・」
エルドが、ハーブの場所を指さそうとすると
ほぼ同時に、奥からハーブが姿を現した。
「ここよ。」
「おお!ハーブ分隊長!遅れて申し訳ありませんでした。」
「マチルダ⁉︎無事だったのね。よかった...。内地に向かった
って聞いたから、てっきりあの爆発に巻き込まれてたら
どうしようと心配してみんなで向かおうとしてたところ
よ。ところで、他の3名は?」
「ハイ..もちろん無事であります!しかし、今は向こうに
おり、避難民の誘導にあたっています。何せ、突然のあの出来事で混乱が更に広がってまして..」
「無事なら.よかったわ。これで、全員一人も欠けることなく次にむかえられる。それが確認できた以上次に気になることは内地で突然起こったあの爆発...。マチルダ、その事を
急いで報告するためにそんなに息を切らしてまで来たんでしょう?」
「その通りでございます。」
「やっぱり...マチルダ。いったい内地で何が起こったの?
やはり...巨人が?」
「内地に巨人が現れたのは確かです..。しかし、それは壁を
破って侵入した巨人ではなく...。人間が...人間が巨人化
したのです!」
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.39 )
- 日時: 2014/01/04 15:24
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
「い..一体何が起こっているの?」
ハーブは目の前に広がる光景を見て思わず呟いた。
「わ..分かりません。私が離れてる間、一体何が・・・」
マチルダも一体全体何がなんだかわからないという顔をして言った。
ハーブはマチルダから有益な情報は得られないと見るともう一度
正面へとずらす。
しかし、眼下に広がったのは相変わらずの黒煙の海でその煙に巻き込まれ必死に新鮮な空気を求めて逃れた駐屯兵が咳き込んでもだえ苦しむ
光景とこのトロスト区攻防戦の指揮を任されているキッツがいつもの
ひどい死相を出した顔でただ呆然とただずむ姿であった。
マチルダに巨人化した人間が現れたと聞いて、その現場を見るべく
内地へとエルドとペトラの優秀な部下2名を連れてウォール・ローゼ
の壁の上へハーブ達は来ていた。
だが、ついた瞬間から今までその様子は変わっていない。ただ、黒煙が
壁下の駐屯兵が大勢集まっているところに異様に煙っているという
光景が壁上に着き咄嗟に見下ろした瞬間から。
と言っても、マチルダが見たのは負傷兵を送り届けたあと壁上へと
上りなんとなく見回した光景の先に突如、向こう側から砲弾が飛んでくるのを見た瞬間、壁下にいた何やらキッツ以下駐屯兵団に取り囲まれていた訓練兵とおぼしき3人の内の一人がこれまた突然巨人化して目の前に巨人が現れ、その砲弾に巨人化した巨人の左手を伸ばし当てた・・というその決定的瞬間だけであり、なぜ駐屯兵団が訓練兵をまるで公開処刑みたく大胆にしかも大勢で包囲していた理由もわからなかった。
だが、一つはっきりとわかったのは、マチルダが見た人間が巨人化
したという全く考えられない出来事は本当であったということだった。
何故なら
「でも、マチルダあの頭部のない死んでいるも同然の大きい巨人が
人間が巨人化したっていう巨人?」
ハーブは、指差したその巨人は、身長は15M級と同等で首から先がぽっきりと折れて頭部がなくなっていて蒸発が激しくしっかりは確認できないものの上半身の部分が覆っているはずの肉が胸のあたり以外まったくなく逆にあばら骨が丸見えとなっており砲弾に当てたというその左腕は既に蒸発しきって肩から先がない状態で右腕も同様であった。
「ええ、たしかにそうです。頭部は蒸発して折れてしまったのでしょうが私が見たときは顔一面が皮膚ではなく骨で覆われていて、その中に
光る目玉が睨みをきかせていた異様な有様でした。」
「なるほどね..。でも、まわりの兵士たちの気が動転して恐れおののいている姿を見てもどうやら人間が巨人化したという事実は受け入れなく
ちゃいけないようね。」
と、ハーブは疑っていた自分の心を消して認めざるをえなかった。
その心境は後ろにいて同じ状況をハーブとともに見ていたエルド、
ペトラの両名も一緒であった。
「マチルダ、ところでその巨人化した人物はともかく、その人物と
ともにいた訓練兵二人はどこにいるんだ?無事なのか?」
「そ...そこまでは俺も知らない。生きているかさえもな。生きていればまだあの煙の中にいるんじゃないか?」
「そうか..。もし仮に死んだとしたら大事な承認がいなくなって大事な
情報源がなくなって団長に報告するのもあやふやになっちゃうな。結局、何も進展なしかぁ・・」
エルドが上面を上げて残念そうに言った。それを見てマチルダは
何かひらめいたように、口調を上げて言った。
「あっ、でも、巨人化する前に訓練兵3人が駐屯兵団に囲まれていたのを俺は見ていた。そしてキッツ隊長がやけに何かを問い詰めていたのも聞いた。」
「えっマジかよ?ってか、なんでそれ今いうんだよ。早くいってくれよ!」
「ご..ごめんって..。俺も気がどうかしてて頭が回らなかったんだ。
許してくれよ」
マチルダが、手前申し訳なさそうに少し後ろめたく言った。
「ったく、いつもお前はそうなんだからよ・・。」
エルドは、舌打ちをしながら自分の足元をにあった小石を蹴りながら
いった。
そんな調子の二人を尻目に唯一まともなペトラが機転を聞かせて割って入った。
「でっでも事前にその駐屯兵団がその巨人化したっていう一人を含めた3人を取り囲んでたってことは、駐屯兵団はその3人の
中の一人が巨人化するっていう事実を知っていてその事を問い詰める
べくあんな大勢で取り囲んでいたと考えればつじつまがあうんじゃない
?」
「それよ!さすがペトラ!」
前にいてただじっと、前を見てマチルダやエルドの会話も気にとめて
いなかったハーブが微笑を浮かべ言った。
突然の横槍にペトラは「えっ?」という表情をし、マチルダ、エルドは
咄嗟に振り向いた。
「ぶ、、分隊長!?私たちの会話聞いていたんですか?」
「もちろんよ。ただ呆然と眺めていただけかと思ったの?もう・。
実はね、私もずっと考えていたんだけどなかなかいい考えがうかばな
かったのよ。だけど、ペトラの言ったことを聞いて納得したのよ。」
「なんだ..。そうなんですか。で、でも!いうならもっと自然に
入ってくださいよ。そんないきなりオーバーに入ってこられたら
びっくりしますよ!」
「ごめんごめん。悪かったわ。」
はぁ、、とペトラはため息をついて思った。
(分隊長をちょっといじりすぎちゃったのが悪かったかな・・・)
「ともかく、話を戻すと。ペトラの言うとおり駐屯兵団は事前に
巨人化することを知っていてそれを問い詰めるために包囲してたのよ。」
「でも、何もあそこまで大勢の兵士を集めるのはいささか大げさじゃ
ないですか?しかも、わざわざ大砲まで用意するなんて。」
「そこは、キッツの事を思えば合点はつくわ。今までの言動を思い
返してみればわかるでしょ?」
そういって、ペトラ、エルド、マチルダ三人は思い返した。
しかし、その答えは出るまでに3人ともそう時間はかかわらなかった。
「た。。確かに..キッツ隊長を考えたらわかります。」
一番早く意味を察したエルドが言った。それに続きあとの二人も
頷いて同じくわかったようである。
そう、キッツことキッツ・ヴェールマンは体裁こそ駐屯兵団を代表
する幹部であるものの、図体の割には小心者で何かをするのも一人では
何もできずやたら何かを指示する時は、反論を抑えるためか部下を多数
連れあわせ人数による圧力をかけて自分の主張を押し通そうという
ところがあった。
そのためか、駐屯兵団のみならず調査兵団からも嫌われており
とりわけハーブはその代表格であった。
「でしょう?っで次に____」
と、ハーブが3人の顔を確認した上で話を発展させようとした時
「分隊長!う。。後ろ!後ろみてください!」
エルドが急に納得した表情をかえて指差していった。
「何?どうしたの?」
ハーブが後ろに向けていた体を前に戻しもう一度、内地の方を
向いた。
それにつられ、ペトラとマチルダの二人は壁上の端に駆け寄り身を
乗り出すようにして同じ方向をみた。
見ると、さっきまで一面に覆っていた黒い煙が晴れ上がっており
その合間からなんと、黄色い髪をして訓練兵団の紋章をまとった
訓練兵が決意を固めたようなそんな表情をしながら出てきた。
その事対して、咄嗟ににキッツの前で悶えていた駐屯兵がかがみこんで肩にかけていた銃を構える。
当のキッツも怖気づいて何もできないでいた表情から一変させ睨むような目つきで声を絞るように叫んだ。