二次創作小説(紙ほか)

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泉君のカノジョ
日時: 2017/10/21 14:11
名前: 奈狐 (ID: w4lZuq26)

初投稿です!奈狐と言います。ご存知でしょうか「おおきく振りかぶって」。野球が大好きで、この漫画がお気に入りです。推しキャラは泉孝介なのですが、彼に可愛いカノジョがいたらどうなるんだろうと思い、二次創作ということで書くことにしました。拙い文章ですが、もし宜しければ見ていって下さい。

因みに、これは西浦高校が一年の夏の県予選で負けた後のお話です。夏休み中なので、毎日練習が有ります。



物語は泉視点で展開するので、言葉が所々悪いです。すみません。







紹介だけになってしまいましたが、近いうちに本編をアップしたいと思います。宜しくお願いします。

Re: 泉君のカノジョ ( No.17 )
日時: 2017/12/16 08:19
名前: 奈狐 (ID: KZRMSYLd)

帰りのバスでは、柚梨はずっと窓の外を見て、物憂げな表情をしていた。

「おい、柚梨お前どうしたんだよ?」

ホントにずっと動かねぇから、心配になって声をかけても、

「ううん、何でもない。ちょっと疲れただけ。」

と、パタパタ手を振った。

「そうか。」

あんまり問い詰めすぎるのも良くないし、と思った俺は、寝ることにした。だって眠いし。疲れたし。

「寝る。肩貸して。」

隣の柚梨にそう言って、俺はズルズルと柚梨の肩に寄りかかった。

「えっ?わっ!!」

たまには年下の柚梨に甘えてみるのも良いよな。照れてるとこ可愛いしな。



って、寝てたら見れねーじゃん!俺って、実はすげぇバカなのかも知れねーな。








栄口は、また不安そうに柚梨を見ていた。












「こーすけ、起きて。もう着くんだけど。」

柚梨の焦った様な声で目を覚ますと、

「お、おはよー……………。」

困ったと言うような柚梨が、俺が起きたのを見届けるや、

「ヘルプ。」

と言って抱きついてきた。

「おまっ!!ちょっ?!」

驚いて辺りを見渡すと、

「あー…………………。」

席を立った部員達が、こちらを覗き込んでいた。

「お前ら……。そりゃ怖ぇーよ。」

「んあ?すまんすまん、つい、な?」

田島がニシシと笑う。

ざけんなてめーら。柚梨が可哀想なことになってんじゃねーか。


















「ねぇ、ちょっと良い?」

寝る前に、栄口が柚梨と篠岡の部屋を訪ねたのを、俺は知らなかった。


















Re: 泉君のカノジョ ( No.18 )
日時: 2017/12/21 07:12
名前: 奈狐 (ID: MHTXF2/b)



—今回は柚梨視点です—



「どうしたの?栄口君。」

千代先輩が、部屋にやって来た栄口先輩に話し掛けている。

「えーっとねぇ、篠岡と柚梨ちゃんに聞きたいことがあるんだけど。」

「うん、いいよ。明日の事とか?明日はまた練習試合だから早く寝なって皆に言っといてくれると嬉しいかな。」

「ああ、うん。それもあるんだけど、それじゃなくて………………。」

「ん?」

栄口先輩が、私の方を見て、言った。

「あのさ、柚梨ちゃん。君の部活、ホントに部停なの?泉に隠してること、あるんじゃない?」

私は、弾かれたように顔を上げた。

「えっ………………。」

「何で、私も、なのかな?」

千代先輩も焦りを隠しきれない声で言う。

「同じ女子だし、篠岡にはしゃべってんじゃないかなって思っただけだよ。」

私も千代先輩も、思わず黙り込んでしまった。

「無理に泉に話せって訳じゃないよ。だけど、実のところどうなのかなって思うんだよね。自分の部活の話をしたがらないし、度々ボーッとしてるしね。」

「っ?!」

何でこの人、こんなに観察眼が鋭いんだろう。

「私は、柚梨ちゃんに言わないでって言われたことは言わない。」

千代先輩が、珍しく低いトーンでしゃべっている。

「うん。だから、無理にとは言わないって。」

ちらっと篠岡を見てから、栄口先輩はこちらを見据えた。

「話せることだけ。誰にも言わないって約束するよ。もちろん、泉にも。」













…………………………………………………。そう。ほんとは、私の部活は部停なんかになってない。

Re: 泉君のカノジョ ( No.19 )
日時: 2018/09/04 16:55
名前: 奈狐 (ID: SypwfE3m)




—柚梨視点、少し前のお話しです—




「宮里ー。これ片付けといて。」

またかぁ、めんどくさいなぁ、もう。

「うん、いいよ。」

そう思いつつも頷いてしまう私は、弱いんだろうと思う。

「センキュー!!さっすが俺らのマネージャー♪」

…………はっきり言うと、このふざけた調子が凄くムカつく。中二に上がってからだろうか、同級生のこんな感じが増えている。何て言うか、そのー、めんどくさいことを全部私に押し付けてくる、みたいな?

「はぁ………………。」

頼まれた用具を片付けながら、小さくため息をついた。

「キャッチャー防具、重………………………………。」

私はマネジだから、雑用をすることに異議は無いし、嫌いじゃない。だけど、自分達がやるべき事まで私に押し付けてくるのは納得いかない。例えばほら、今だって、用具の片付けを私一人でやってるなんて、おかしくない?自分達でやりなよね、って思う。だけど、断ったら、何をされるか分かったもんじゃないから、断れない。

「やんなるなぁ、もう。」

思わず愚痴がこぼれる。先輩たちは、もう引退してしまったから、頼ることも出来ないし、守ってくれる人もいない。三年の先輩たちは、こんな嫌な同級生から、私を守ってくれたりしてたんだけど。いい人ばっかりで、真面目な先輩方だったからね。だけど、それが逆に気に障ったみたいで、先輩達が引退してからは、かなり酷く扱われるようになった。

「宮里先輩、手伝いますよ♪」

音符マークなどが語尾に見えるような軽やかな調子でやって来たのは、後輩だった。

「ありがとね、結城君。」

後輩には、絶対「君」をつけるようにしている。何か失礼じゃん、呼び捨てって。

「いえいえ、僕、丁度グラ整終わったんで〜♪」

結城君は、いい子、だ。こんなメンバーのなかで、唯一私を気にかけてくれる、優しい後輩。

「また先輩、仕事やらされてるんだろうなって思ったんだけど……………。量が半端ないッスね。」

「あはは………………。どうもうまく断れないからさ。」

二年の様子を見てたからか知らないけど、私は何故か後輩からも雑な扱いをうけている。それなのに、結城君だけは、私の後ろを付いて回って、何かと助けてくれる。

「結城君、同級生やうちの学年から、いじめられたりしてない?」

背伸びをしてコールドスプレーを棚に置こうとしながら、私はさりげなく聞いてみた。

「何言ってるんだい、先輩?僕は何もされてないし、されても平気だもの。僕の事なんか気にしてないで、宮里先輩こそあんま無理しないでよね♪」

「う、うん。それならいいんだ。ありがとう。」

後輩に心配掛けちゃいけないな。自分が情けなく思えてくる。

「先輩、全部一人でやろうとするから。優しいから引き受けちゃうんだろ?でもさ、僕らの大切なたった一人のマネージャーなんだからね♪無理しちゃ、め!ですよ〜♪」

結城君は、敬語とタメ語が混ざったしゃべり方をする。でもそれは私に対してだけで、他の奴らにはただひたすら敬語だ。親しいとも言えるが、ある意味なめられてるのかも知れないね。

「ちょっと、先輩!!先輩ドジなのにぃ、そんな背伸びしたら、コケるぞ〜♪」

「バカにしないで、私でもこのくらい届くから!!」

「もー、先輩!!それが駄目なのにー。そんくらい、僕がやるからさ〜?」

しまおうとした三本目のコールドスプレーを、結城君にひょいととられた。

「僕は先輩よりは背ぇ高いんだから、高いところはお任せあれ♪」

「ハイハイ、ありがとう。」

「ちょ、先輩?!怒ってんの?!ごめんって!!」













こんな、平和な日常が続いて欲しかったなぁ。でも、現実は、そう甘くはなかったんだ。

Re: 泉君のカノジョ ( No.20 )
日時: 2018/09/04 17:00
名前: 奈狐 (ID: SypwfE3m)







—柚梨視点が続きます—






「おい、宮里。ちょっと来いよ。」

ほら、同級生が呼んでいる。

「これ片付けといて。つーか、やっとけよ。」

まただ。わざわざ自分達でぶちまけた道具やらゴミやら、私に押し付けてくる。いちいちぶちまけるのも、なかなかに面倒じゃないかい?小学生かよ、くだらないなぁ。

「分かったよ。片付けとくから、あっちやっといて。」

それでも笑顔で答える。あぁ、私も大概バカだなと思う。こうやってかわせないから、何でも任されるんだよねぇ。

「センキュー!!俺らのマネージャーは有能だなー!!」

「ハイハイ、どうも。やっとくから、はやくあっち行って。」


疲れる。嫌いじゃないけど、嫌にはなるよね。もう、最近こんなのばっか。何が楽しいんだろ。

「宮里先輩♪またですか〜?」

結城君登場。

「うん?これくらいなら苦労無いから、一人でも平気だよ?」

無表情で答える。まぁ、基本笑ったりなんかしないんだけど。

「可愛くないなぁ、もう。先輩、女の子はこーゆー時は頼る方が可愛いんだぞ〜?」

「いや、可愛いとか思ってもらわなくていいし。」

思ってくれるのは、孝介だけでいいんだ。

「えー、先輩笑えば可愛いと思うのにな〜。勿体ないよー♪」










そんな、他愛のない会話が、出来れば。それだけで良かったんだ。







でも、ある日の、試合の帰り。道具持ちを拒否したら。











「おい。お前、ほんとウザイ。もう俺らに顔見せんなよ。」

「………………………………………………。」

ちょっと何言ってんのか分かんないな。頭大丈夫か、コイツら。まぁ、ホントに居なくなったら自分達が大変なんだろうに、分かんない時点で大分終わってるよね。何なの。

「先輩方、宮里先輩は女子なんだし、いつもマネジとして僕らに尽くしてくれてます。だから、その荷物は僕が持ちます。宮里先輩には持たせないでください。」

「………………………………はぁ?結城、お前生意気だな?」

バカじゃないの、結城君。キミまで苛められるよ。

「結城君、いいよ。やっぱ私が持つy………」

「オーオー、お前が持つのか。いいよ、やるよ。」

同級生は、 結城君にメディカルバックを投げつけた。

「あっ!?」

思わず叫んでしまった。あれ重いのに!!けど、結城君は片手でがっちり受け取っていた。

「じゃあ、僕が持って帰りますから。」

氷のような鋭い目付きで、結城君が言い放った。あんな表情、見たことないや。


ミーティングの後、一年生は先に帰らせて、私は同級生に呼び止められた。

「おい、宮里。」

「…………………………………………………何?」

7人にいきなり取り囲まれ、私は顔を強ばらせた。嫌な予感がする。と、次の瞬間、空気の唸る音がして、私は咄嗟に身を屈めた。

「危ないなぁ、もう。殴ってどうするつもり?憂さ晴らし?何それ頭悪そう。」

いつもの無表情で、毒を吐く。これが嫌われる要因かもね。

「お前のそーゆーところがウゼェんだよ。」

あー、怒らせちゃったかな。我ながらアホなことをした。さっさと逃げれば良かったな………。

「ふざけんなよっ!」

立ち上がった刹那、お腹に強い衝撃が来た。蹴られたんだ。

「っ?!」

有り得ない。暴力、しかも手加減無しとか、頭おかしいにも程があるだr………

「かはっ………………………………………」

もっかい蹴られたようだ。

痛い。苦しい。憎い。痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!

「はっ!!」

ふいに高い声が聞こえた。同級生の一人が後ずさる。

「結城?!お前、どこから………?!」

「あんたたちこそ、宮里先輩に何してんの。」

結城君はそう言って、私の手をひいて立ち上がらせ、おぶると、さっさと走り出した。

「だから、先輩は目を離しちゃいけないんだよね。全く、気を付けて。」

「ありがとう。」

そう言うことしか出来なかった。


















家に帰って、何食わぬ顔でご飯を用意する。今日も母親はまだ帰っていない。

「はぁ。」

ため息をついた。

「何で、私だけ…………?」

呟いた途端、何故か涙がボロボロ溢れてきて止まらなくなった。

私は皆のために頑張ってきたのに。いつも我慢してきたのに。言いなりになってやってたのに。私なりに色々工夫して、皆が野球に集中出来るようにって、してきたのに。大会の時は、皆が勝てますようにって心から祈ってたし、仕事もちゃんとやってたのに。


何で、私なの?何で、私だけ?誰よりも皆の事を考えてきた私が、何でこんな事になってるの?何で私が一人、惨めな思いをしなくちゃいけないの?分からない、分からないよ…………………!!

私がマネージャーやってた意味って、何だったの?私は初めから必要なかったんだ。あんな部活、辞めてやる。

……………吹っ切ったはずなのに、何で涙が止まらないんだろう?

Re: 泉君のカノジョ ( No.21 )
日時: 2017/12/31 21:53
名前: 芯 (ID: aU2V5DNl)

なんかドキドキする…続きが気になるなあ。
柚梨ちゃん頑張れ!!!

もうすぐ年明けだね(*・▽・*)


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