二次創作小説(紙ほか)
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- 泉君のカノジョ
- 日時: 2017/10/21 14:11
- 名前: 奈狐 (ID: w4lZuq26)
初投稿です!奈狐と言います。ご存知でしょうか「おおきく振りかぶって」。野球が大好きで、この漫画がお気に入りです。推しキャラは泉孝介なのですが、彼に可愛いカノジョがいたらどうなるんだろうと思い、二次創作ということで書くことにしました。拙い文章ですが、もし宜しければ見ていって下さい。
因みに、これは西浦高校が一年の夏の県予選で負けた後のお話です。夏休み中なので、毎日練習が有ります。
物語は泉視点で展開するので、言葉が所々悪いです。すみません。
紹介だけになってしまいましたが、近いうちに本編をアップしたいと思います。宜しくお願いします。
- Re: 泉君のカノジョ ( No.7 )
- 日時: 2017/10/29 16:29
- 名前: 奈狐 (ID: 7xKe7JJD)
1時から2時まで勉強したら、午後練だ。シートノックとか、ケースノックとか。守備が中心だ。そして、6時になったら道具を片付ける。それから篠岡と柚梨が作ってくれたおにぎり(具入り)を食べて、あとは夜練。9時に全部終わって帰宅になる。これが夏休みのサイクルだ。
「帰ろうか、柚梨。」
すっかり暗くなった自転車置き場に、自分の声が谺響する。
「うん…。帰る。」
柚梨は眠そうに目をこすりながら俺のチャリの後ろに乗って、ぎゅっとアンダーシャツを掴んできた。
「なるべく揺れないようにするからな。ガタンってなったらスマン。」
と言いつつ俺は飛ばした。疲れてるだろうし、とっとと家に送り届けてやりたかった。
内緒にしてる訳じゃないが、まだ皆に言ってないことがある。それは、俺と柚梨の家が隣だと言うこと。つまり、幼馴染。ま、俺の方がずっとゾッコンだったのかもな。今もだけど。
「柚梨、着いたぞーい……って寝てるし。よくこの運転で寝れるな。つーかまだ9時半なんだけど…。昼寝したじゃん。」
あれ?こんな1人で喋ってたら俺、変人か?…まあいいや。こいつ家に届けてからにしよ。
「ヨイショっと。」
ゆっくりおんぶしたら、柚梨の髪がふわっと首に当たった。
なんか、ずっと前にもこんな事あったな。
ふふっと笑い、柚梨の家のインターホンを押す。
「おばさーん。柚梨を届けに来ましたー。」
数日後。
7月28日から、6日間だか5日間だかの合宿がある。そう、明日から。
いつものように柚梨を送り届けて、俺は風呂に入った。
「あーー、腹減ったぁぁぁーー!!」
と、電話がかかってきた。ヴーーーッと鳴るケータイを取り、電話に出る。
「うーい。あ、柚梨。え?うん。風呂上がり。…………は?!何言ってんのお前?!」
『うん、でも行きたいの。西浦の野球部の合宿。
』
「いや、だって………。親は?」
『いいって言ってた。』
マジかよ。柚梨、俺らの合宿に付いてくる気だ。何が起こるか分かったもんじゃないんだから、何としてでも止めさせなければ。
- Re: 泉君のカノジョ ( No.8 )
- 日時: 2017/11/03 15:34
- 名前: 奈狐 (ID: 7xKe7JJD)
「こーすけ、どうしてもダメ?」
柚梨が上目遣いでこちらを見てくる。
「ダメったらダメ!だいたい、合宿はチョーハードスケジュールなんだぞ?柚梨絶対バテるって!」
俺は心を鬼にして、ツンとそっぽを向く。なんて言ったってダメなもんはダメだからな。断る。
「だってこーすけに6日も会えないなんて、嫌だよー。それに、うちの部活、部亭食らってるもん。こーすけの野球やってるとこ見てたいし。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ。」
いつも通りの荒運転でグラウンドに向かう。
「♪♪〜〜〜〜♪♪♪♪〜〜〜〜♪〜♪♪〜」
後ろにご機嫌な柚梨を乗せて。俺はゲンナリ。自分の甘さが辛い。どうやってアレを無視しろってんだよ。断れないだろ!あんなん。
「ずるいだろー!アレはー!」
俺がヒステリック気味に叫ぶと、柚梨は
「だって結果的に連れてきたのはこーすけだもん!」
と言いやがった。まぁそうなんだけど。そうなんだけどさぁ?!
「ほら、もう着くからカーブするぞ。掴まっとけ。」
ザザっといつものように勢いよく曲がり、グラウンドの敷地へ入る。
「はよーっす泉!ってカノジョ連れてきたんか?」
いつも早いのは栄口。
「ウィーっす栄口。そーなんだよー。どうしようかなー。」
20分後、みんなが集まり、バスに乗り込む時間になった。
「じゃぁ柚梨、俺のチャリ使っていいから、帰れよな。電話してやるから。」
むぅーっとふくれている柚梨の頭をクシャッとして、俺はバスに乗ろうとした。…んだが。
「え、泉、ソイツ連れてかないのか?」
田島が心から不思議といった表情で質問してくる。
「え?」
他の奴らまで、
「え、連れてくんじゃねーの?」
「連れてかねーの?」
「連れてけばー?」
遂にはモモカンまで、
「いいんじゃないの?連れてって。千代ちゃんと同じ部屋にすれば問題ないもの。それに、チーム的に凄い助かる!」
とか言い始めた。
「え?連れてくの?」
「え?連れてかないの?」
「え?」
「??」
………………………………………。ちらっと柚梨の方を見る。
「ついていっていいの?」
目がキラキラしてやがる。クッ。仕方ねぇなぁ、もう。
「あーもう、着いてきたいなら来れば?」
ツンと横を向いたまま頭に手をあてる。
「やった!ありがとこーすけ!」
満面の笑みで、柚梨はいきなり抱きついてきた。
「わっ!ちょっ!おまっ!!」
柚梨はそのまま頭をスリスリとしてくる。お前は猫かっ!!
「あついー。センセー、冷房つけて下さーい!」
「センセー、クーラーお願いしますー。」
っっつお前らぁぁぁぁぁぁあ!!
そんなこんなで、柚梨は今、すこぶる上機嫌なのだ。………。凄く先が思いやられる。
- Re: 泉君のカノジョ ( No.9 )
- 日時: 2017/11/12 16:29
- 名前: 奈狐 (ID: 7xKe7JJD)
「あ、柚梨ちゃん!そっちの方運のお願いできる?」
「はい!任せてください!千代先輩!」
合宿一日目の練習から、マネジたちは妙に気合が入っている。篠岡は柚梨がいて嬉しいんだろうし、柚梨も篠岡がいて嬉しいんだろうな。お互い普段は紅一点だしな。つーか柚梨のヤツ、合宿行くつもりしか無かっただろ。荷物持ってきてやがったからな。親の許可とか、ハッキリ言って関係ないんだろうな。あいつの親共働きで、帰ってくんの遅いし。この前送り届けた時も、親はいなかったからな。
「おい泉!ボール行った!」
「は?」
ぼーっとしてたら、頭に花井の打球が当たった。
「いってぇーーーーーーーー!!」
「余所見してんな泉ぃ!」
クソッ。確かに今のは俺に非がある。
「泉君、大丈夫?」
「こーすけー、頭大丈夫ー?」
「あぁ、平気。柚梨のはなんか違う意味に聞こえるからやめろ。俺の頭が悪いみたいだろ。そういうのは田島とかに言うんだ。」
ほんと、言い方を考えろ。田島と同類にされたくないからな。
「あー、泉!お前ひでーなっ!変態=バカじゃないだr……」
「黙れ成績底辺者。」
「なっ!お前だって英語できねークセに!西広を見習え!」
「お前こそじゃねぇ?!」
くだらない。ま、こういうのも嫌いじゃ無いけど。
あーーー、ミーティング眠かった。あの場で先生の質問に挙手できた俺冴えてる。10時すぎに頭動かしたくない。栄養素の話とかわかんねーし。先生は俺らを将来栄養士にでもしてーのか?!柚梨とか半分寝てたぞ?
「おーい。柚梨さーん。部屋行くぞー。」
船を漕いでいる柚梨を立たせ、篠岡の方へ行く。
「しのーかー。コイツ頼むー。」
と、篠岡は
「いや、泉君が連れていってあげたらどうかな?私が引きずるわけにもいかないし。」
………。コイツ嘘つかねーから、素直さが逆に凶器なんだが。
「ったく。しゃーねーな。」
イマドキの中学生って11時とかで眠くなるモンなのか?
疑問に思いながら柚梨をおぶる。
「部屋はココだよ。ありがとね、泉君。」
手前の布団に寝かせ、掛布団を掛けてやる。
「おやすみ、柚梨。」
小さくつぶやくと、篠岡はふふっと笑った。
「泉君は本当に柚梨ちゃんを大切に思ってるんだねぇ。」
そりゃあ大切にも思うさ。小さい時から知ってる妹みたいな存在で、たいして優しくもない兄しかいない俺にとって、一人っ子で甘えん坊の柚梨は唯一の癒し。………って、俺ってもしかしてすげーシスコン?!
そう言えば、柚梨はなんであんなに付いて行きたがったんだろう。……………。駄目だ、眠い。寝よう。
部屋の外の木が、風に静かにざわめいた。
- Re: 泉君のカノジョ ( No.10 )
- 日時: 2017/11/18 19:18
- 名前: 奈狐 (ID: 7xKe7JJD)
合宿二日目。眠い。朝から辛いぜ。
「こーすけ、おはよー。」
柚梨が眠そうに体育着でやって来た。…………。うん。俺は今日も頑張れる!
山の中は、夏でも涼しくていいな。いつもここがいいと思う。
「はい、センター行くよーっ!」
夏のグラウンドに、モモカンの声が響く。
「シャーっす!!」
ノックは好きだ。センターは外野の中で一番守備範囲が広いから、足の速い俺には最適、だよな!
「……………………………。いいなぁ、楽しそうで。」
練習中、柚梨がポツリと呟いた。
「何が?」
不思議に思って聞き返すと、柚梨は
「ううん、何でもないの。気にしないで。」
と顔の前で手を左右に振った。何がいいんだろうか?自分も野球をやりたいとか?
俺の隣で栄口が眉を潜めたのを、俺は見ていなかった。
今日も今日とてミーティング。いい加減、あのハードな練習の後だとキツイぜ。あー、早く布団行きたい。
寝る前、栄口が俺の服の裾をちょいちょいと引っ張って、手招きをした。
「なんだよ?」
怪訝な表情で聞くと、栄口は
「や、あのさ。気になったんだけど…。」
と俺の目を見、言った。
「お前、柚梨ちゃんがあんなにお前に付いて行きたがってた理由、聞いたのか?」
「…………………………………。え?」
- Re: 泉君のカノジョ ( No.11 )
- 日時: 2017/12/08 07:14
- 名前: 奈狐 (ID: RnkmdEze)
2日目はなかなか眠れなかった。栄口が妙なこと言い出すから。
でも、確かにそうだ。どんなにダメって言っても聞かなかったし、ひたすらについてきたがってた。何でだ?そんなことを考えているうちに、昼間の練習と夜のミーティングのせいで眠くなってきた。明日、柚梨に聞いてみよう。
「おはよ、こーすけ。」
今朝も、柚梨は眠そうに目をこすりながら起きてきた。
「おはよう。」
思わず笑顔になってしまう。柚梨のリラックスした感じは意外に貴重だ。いつも、家でも割りときちんと服を合わせているから、だらっとしたジャージ姿はあまり見たことがない。ただ、俺は癒されるけど他の奴らに見られるのは大変よろしくない。
「着替えてきなよ、柚梨。」
柚梨はこくりと頷いて、長いジャージの裾を引き摺りながら歩いていった。
あー、聞き忘れたな。あとで聞くか。
最近、俺は布団が好きだ。どうしようもなく眠い。
「で?聞けたの?」
栄口が不安そうに聞いてくる。
「あ!!聞き忘れた‼」
「お前、ふざけんな!!」
栄口の声がとがる。
いつもよりも不穏な空気が、部屋に流れた。