社会問題小説・評論板
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- 私は反旗を翻す【若干実話 完結しました】
- 日時: 2011/01/23 19:37
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=pYNwlv-AkBQ
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初めましての方は初めまして。そうで無い方はこんにちは。涼原夏目です。
更新は不定期になるかと思われますが、なるべくそうならないよう努力します……(苦笑)
あ、後誤字脱字報告やコメントなど絶賛大歓迎中です←
〜完結しました!〜
ようやく完結させる事が出来ました♪
長いような短いような執筆でしたが、様々なコメントを頂けて感激です!
コメントして下さった皆様、オリキャラを下さった皆様、見ていて下さった皆様……。
本当に、本当にありがとうございました!
お客様
なな様 澄森 椿様(リア友です) ぬー様 ショゾ様
マリモ様 くうちゃん〜様 ヴィオラ様 あゆ様
蘭様 れれれ様 沙菜様 白狐様
ポアロン様 葵様 神凪和乃様 臨様
グレーテル様(ご注意、ありがとうございました) 咲乃上 葉月様(リア友ですw) rara様
目次
登場人物>>01 >>27 >>33
プロローグ>>02
〜被害編〜
第一話「美術部の顧問」>>03 第二話「自己中」>>04
第三話「突然のピンチヒッター」>>05 第四話「好きな色」>>06
第五話「ようやく出た涙」>>07 第六話「枯れ始める花」>>10
第七話「どうして?」>>13 第八話「枯れていく涙」>>14
第九話「水の泡」>>19 第十話「澄森 椿」>>20
第十一話「夏休み明け」>>25 第十二話「原因」>>28
第十三話「動機」>>32 第十四話「理不尽な怒り」>>34
第十五話「溢れ出す、感情」>>35 第十六話「外れた迷いの枷」>>36
〜復讐編〜
第十七話「 始 動 前 編 」>>48 第十八話「 始 動 後 編 」>>49
第十九話「作戦」>>53 第二十話「最低」>>56
第二十二話「幕開け」>>61 第二十三話「笑いの余興」>>79
第二十四話「昨日の友は今日の敵」>>97 第二十五話「復讐の真意」>>120
第二十六話「第二戦・幕開け」>>131 第二十七話「あの時の私のように」>>138
第二十八話「違和感」>>143 第二十九話「脅迫」>>159
第三十話「連携」>>174 第三十一話「配役」>>175
三十二話「最終始動」>>176 三十三話「新展開」>>177
三十四話「決着」>>178 第三十五話「謝罪」>>179
第三十六話「自分を否定されることの哀しさ」>>180
〜番外編(スルー可です)〜
詳細プロフィール
第一弾・雪上真白&澄森椿>>137
第二弾・桜瀬由梨&峰原燐>>142
第三弾・咲乃上葉月>>150
イメージ歌詞 〜月光様が作詞して下さいました!〜
>>145
閑話休題「在りし日の佐久間斎」>>144
イメージソング
(URL参照)
恋は戦争KAITOver 『愛は戦争』
サビのところが主人公の心情に似てたりする曲です♪
聞いてて何処かスッキリする曲で、涼原の作業用BGMです(笑)
オリキャラ 〜募集締め切りました><;〜
風月春(ヴィオラ様オリキャラ)>>42 疾永彩華(あゆ様オリキャラ)>>46
歯牙夏弥生(蘭様オリキャラ)>>54 東街翼(蘭様オリキャラ)>>68
雨縦院ゆりあ(蘭様オリキャラ)>>68 罪木耶麻(ヴィオラ様オリキャラ)>>70
椎名紫(れれれ様オリキャラ)>>72 羽柴光(白狐様オリキャラ)>>77
黒崎望(ポアロン様オリキャラ)>>85 九条アリス(葵様オリキャラ)>>87
黒山闇(葵様オリキャラ)>>87 佐久間斎(神凪和乃様オリキャラ)>>90
鳳咲良(臨様オリキャラ)>>92
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話】 ( No.3 )
- 日時: 2010/12/13 16:46
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第一話「美術部の顧問」
「こんにちはー」
時は7月のある日。私、雪上真白は美術部前で先輩に挨拶をしていた。
先輩方はとても優しくて笑顔で手を振って「こんにちは」と返してくれる。
煩い蝉の鳴き声も、うだるような暑さも先輩が手を振ってくれた嬉しさで吹き飛んでいく気がした。
(って何で恋愛漫画みたいな事になってるんだろ……)
自分で自分にツッコミを入れてから頭を右手でコツッ、と軽く叩いてから美術室へと入る。
中は案の定暑いけれどこれから作品を作れると考えればどうでも良いくらいだった。
今私がやっているのは水彩画。モチーフは“心”で色々な手が一つのハートを持っている絵。
自分でもなかなか良いなーと思っている作品で、先輩方や友達も「凄いね」と言ってくれている。
期待に応えるためにも、完璧に仕上げよう!
私は自分にそう言い聞かせて作品を描いていた。
ふと気付けば部活が始まって先輩方も真剣に作品に取り組んでいる。
実は私の学校は美術部がそこそこ盛んで、毎年絵画コンクールなどに応募しているくらいのレベルらしい。
何故“らしい”なのかと言うと、友達に聞いた噂なので良くは知らないから。
すると、真剣にやっている部員の間に入り込むかのようにとある声が部室内に響く。
「この学校ホント暑いねー……皆暑くないの?」
正体は小島由香里先生。今年来たばっかりの美術の先生で美術部の熱血顧問。
明るくハキハキしてるけれど、唯一難点を挙げると先輩方と良く衝突している事だろうか。
何でも去年居た先生はとても穏やかでどんな作品でも褒めてくれる先生だったらしい。
そして何故、小島先生に不満があるかと言うと……
「ちょっとちょっと! こんなんじゃ汚いだけじゃん!! もっと綺麗な色にしなさいよ」
小島先生は生徒の作品を平気で、しかも叱るかのように批判するのだ。
先輩方はそれがあって小島先生が大嫌いらしく、しょっちゅう愚痴を零している。
案の定、作品を批判された二年の先輩に三年の先輩が先生が居なくなった時に近づき、慰めている。
……確かに作品をどうこう言われる権利は誰にだって無いと思う。
「はぁ……」
先生が来たせいで一気に研ぎ澄まされ鋭くなる先輩の気配に、私は誰にも聞こえないように溜息を着いた。
そして私はパレットに水色と青。今の絵に沢山使う寒色系の絵の具を出して鋭い気配から逃げようとする風に絵を夢中で描いていた。
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話】 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/25 10:27
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第二話「自己中」
その後も先輩方の雰囲気はは相変わらずで、私を含め一年生達は黙って作品作りをしていた。
先輩方は優しいので八つ当たりなどはしないけれど、この状況の先輩はやはり怖くないと言えば嘘になる。
まるでさっきの雰囲気が嘘みたいに冷たくなっていた。
(何であんなに人の作品批判するかなぁ……)
私は先生をちらりと横目で見つつ、溜息を着いた。ハッキリと言ってしまえば小島先生が少し苦手だった。
一年生の最初の頃は明るい先生かと思って期待していたけれど段々こう言う面が見えてきて失望している。
……いや、別に其処まで期待はしていなかったか。
さっき批判されていた例の二年男子の先輩はがっくりと肩を落としながら小島先生に色を弄られたらしい作品の続きを描いていた。
慰めていた三年の先輩は私の背筋が凍るほど鋭い瞳で小島先生を睨みつけていた。
しかし当の小島先生はそんな様子の先輩方に気付かないで他の人の作品を見ている。
他の先輩方も小島先生を睨んだり舌打ちすらしていた。
すると、そんな冷たい雰囲気の先輩方(と私達)を嗜めるかのように突然先生が手を叩いて話し始める。
「ねー皆、もうちょっと明るくしない? 黙ってやってるだけじゃつまんないじゃん!!」
……いや、その雰囲気作った元凶貴方です。
私はそう思いつつ適当に頷いて苦笑しておいた。こう返事をしておかないと怒られるのだ。
すると遂にキレたらしい三年女子の先輩が色彩筆を机に置いて立ち上がった。
その表情は怒りに満ちていた。
「先生。真面目に作品作りをするのは別に悪くないと思いますけど」
それに先生のせいじゃないですか。と言う言葉は敢えて言わずに先輩は口を閉じた。
皆目が輝いていて頷きも否定もしなかったけれど心の中では賛成している事が良く分かる。
やっぱり……流石、先輩。
私はそんな事を思っていると小島先生は至ってけろりとした口調で言った。
「へ? 別に悪いなんて言ってないじゃん。ただ皆楽しく無さそうだなーって」
……はい? と思わず聞き返したくなる。
確かに悪いとは言ってないけど楽しくなさそうって何で決めるの?
思わずキレてしまいそうになったが、別の三年の先輩が椅子から立ち上がってやや声を大きくして言った。
陶芸をしていて粘土で汚れている手をきつく握り、付け根が白くなっている。
「私、楽しいですよ。先生が勘違いしてるんじゃないんですか?」
その通りですね、と私はまた先輩の意見に賛辞を送っていた。
しかし小島先生は悪びれもせず、しかも少し怒った風に腕を組んで話し始める。
「何でそう言う事言うのかなー……これだから女子は自己中なんだよね〜……ホント」
その言葉に、先輩はもう怒りのあまり何も言えなくなって椅子に乱暴に座り込んだ。
私も皆も何も言えない。強いて言えば自己中と言う言葉を小島先生に教えたくなるほどだった。
意味が分からない。
どうして私達のせいになるんだろう……。
部室の雰囲気がみるみる内に悪くなっていくのが分かった。
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話】 ( No.5 )
- 日時: 2010/12/25 10:30
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第三話「突然のピンチヒッター」
それからお昼の時間となり、皆さっさと雰囲気の悪い美術室から出ようと急いでいる状態だった。
特に先輩方は出て行く前に小島先生に向かって小さく舌打ちしたり睨んだりと色々やっている。
けれど今の私の気持ちはそんな事をしている先輩方に寄れる。
あんな事を言われた後なのだから誰だって怒るに決まっている。
そう、思ったからだった。
「あ、雪上……ちょっと良い?」
すると、色々な意味で不運にも小島先生に呼び止められた。
先輩の可哀想と言う感じの同情っぽい視線にアイコンタクトして頷く私は先生の元へと行く。
小島先生は左手に何かのパンフレットを持ちながらこちらを見ていた。
「あのね、突然だけど三年生達の実力があまりにも無さ過ぎるから、代わりに雪上に絵画コンクールを応募してもらいます」
「え…………?」
あまりに突然すぎて、言葉が出てこなかった。そして次の瞬間出てきたのは——————怒りだった。
先輩達の実力が無さ過ぎるなんて事は絶対に無い。
先輩達の絵は色彩がとても綺麗だし、見ていて心が揺り動かされるような絵ばかりだ。
小島先生の好みで決めたんじゃないのか、私は瞬時にそんな思いが過ぎり、ますます怒りが沸いてくる。
「今日は28日だからー……あと二週間で何とか完成させなさい。良いね?」
しかも返事の有無は聞かれない。あまりの怒りに何故か怒りを通り越して何も言えなかった。
指の付け根が白くなるほど拳を強く握り、奥歯で歯肉を齧りながら、それでも
「はい……」
としか答えられない。そんな自分のふがいなさを感じながら美術室を逃げるようにして出て行った。
友達が「大丈夫だった?」と心配そうに聞いてくれるのにも、曖昧に返事をする。
……しかも期限は後二週間。良い作品を描くにはあまりに時間が無さ過ぎるものだ。
(どうしよう……間に合うかな……)
怒るのと同時にそう言う心配も芽生えてくる。三年の先輩がとにかく不憫でしょうがない。
だから賞を取って小島先生を驚かせてやろうとも思えてきた。けれど期間が短すぎる。
これからの事を考えるとやや胃が痛む思いがした。
そしてはぁ、と溜息を着いて弁当を食べ始める。
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話】 ( No.6 )
- 日時: 2010/12/13 17:00
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第四話「好きな色」
あれから二日後。私は絵画のモチーフを「花」に決めて植物図鑑の花などを参考にしていた。
部活の雰囲気はあの日を境に悪くなる一方で、楽しかった部活の雰囲気は何処へ行ったのかと思う程。
唯一幸いな事と言えば先輩達が私を応援してくれたことだろうか。
だけど、それでもやっぱり時間は無い。
時間がほしい。
せめてもうちょっと描く時間がほしい。
「はぁ……」
重い溜息を着いて、絵の具を出してキャンパスへと向かう。
絵を描く事はとても楽しいけれどこんな事情があって描く絵はあまり楽しくない。
けれど丁寧に仕上げて賞は取りたい。
……そんな感情がぐるぐると回って自然と溜息が出てしまった。
暑かった部室には先生の強い要望で扇風機が設置されて寒いくらいに涼しかった。
寒いのが苦手な私は寒さを堪えるのと絵を描くのを同時進行している為やや辛いものがある。
先輩達はと言うと先生に特別反抗はしなくなったけど睨んだり舌打ちしたりはしていた。
……やっぱりこれも当然だと思う。部活は顧問のものではけして無いのだから。
(どうしよ……何か上手く出来ないな……)
私の絵はなかなか綺麗に仕上がらない。と言うより自分の思い通りに描けない。
実はこれはある意味先生のせいでもある。何故かと言うと自分の好きな色で描こうとすると
「その色は駄目」
「こっちの色の方が綺麗」
「こっちの方が見栄えが良い」
……何て言ってきて勝手に色を塗り替えられてしまうのだ。
先輩方がこれに舌打ちをしてくれたのは本当に有り難かった。私でさえも怒りたくなったものだから。
しかも先生が良く使う色は濃い暖色系。嫌いではないが寒色系が好きな私はあまり使いたくない色だった。
その上先生の私服は大抵暖色系なのを考えると、単に自分の好きな色なんじゃないの? とも思う。
やる気がほぼ消えうせている気がした。何で先生にこんなに言われないのかとすら思える。
涙は出て来ないけどやっぱりストレスのような物がたまっているような感じはした。
何しろ先生の好みに合わせないといけないと思うので、趣味の合う友人には相談出来ない。
……一人で抱え込んでいるようなものだった。
まぁ、被害妄想かもしれないけど。
(あ、先生にちょっと部室を使わせてもらうよう言おう……)
憂鬱になる気分を何とか取り払い、面相筆を机において椅子から立ち上がって先生の元へと向かった。
腕を組みながら扇風機の風に当たっている先生に何処か怒る自分の気分を抑えるのに必死になる。
今、先生が嫌いかと言われればはいと答えられると思う、と言うより答えたい。
そんな気がした。
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話】 ( No.7 )
- 日時: 2010/12/13 17:02
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第五話「ようやく出た涙」
「先生」
「んー……どうしたの?」
相変わらず扇風機に当たっている先生は、顔だけちらりとこちらを見ていた。
その態度に私は思わず先生を殴りたい気分にでもなったがそれは流石に出来ないので唇を噛んでおく。
そして淡々と用件だけを伝えておいた。
「作品を作るのに時間が無いので……少しの時間でも良いんですけど美術室を開けていただけませんか?」
そう言い終えてから何故か先生を見たくなくなったので扇風機を見てみる事にした。
涼しいではなく寒い風を猛烈に流してきている扇風機は規則正しく刃を回している。
先生は腕を組みながら体を少しこちらに向けて右手で頭を抱えてから黙り込んだ。
……時間の事で悩んでいるのか。
私はそんな事を考えていると先生は話を始めた。
「作品は出来てないの?」
「イメージは掴めてるんですけど色彩と技法が少し決まってないです」
そう言い終えると、先生は再度頭を抱えるとふぅ、と溜息を着いた。
それ、少し酷い態度じゃない?
心の中でそう言いたい私の本音がぽつりと表れる。
自分で言うのも何だがやる気のある生徒に対しての扱いはもう少し良くたって良い筈だ。
気分が悪くなる。
イライラする。
怒りたい。
負の感情が自分でも分かるほど渦巻いている。しかしそのせいである当の本人はそれに気付いていない。
自分が正しいと思ってるのか、どうでも良いのか。けれど次の発言でそれは全てどうでも良くなった。
「じゃあ良いでしょ。こっちも色々あって時間無いんだから」
…………はい?
思わず目が見開かれ、手が震えてきた。
意味が分からない。理不尽すぎる。色々あって時間が無い? じゃあ何で顧問なんかやってるんですか?
一気に憎しみに溢れた言葉が脳内に発生して怒りを抑えられなくなる気がする。
怒りのあまり手だけだった震えは全身に達している気がした。
けれど、それでも怒る事は許されない。
あまりの理不尽さに怒りをまたも通り越して涙が出てきそうになる。
「と言うかそんな事言ってる暇あったら早く描きなさいよ。ホントそう言う所が駄目なんだよねー」
心が折れるような気分がした。目頭に涙が溜まっている感覚もした。
けれど、泣けない。否、泣く事も許されない。
暇があったら?
——————無いから今言いに来たんじゃないんですか!?
どうしてそう言う事を平気で言えるんですか?
——————人の事何だと思ってるんですか?
そう言う所が駄目?
——————当の貴方はどうなんですか?
どうして?
——————どうしてそんな事を言われないといけないんですか?
そして、頷いて美術室を出る事しか出来ない自分にまたふがいなさを感じて
「っ……」
——————今度こそ涙が出て来た。
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