社会問題小説・評論板
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- 教室=世界?
- 日時: 2012/01/11 21:18
- 名前: 劣音レツ (ID: A4fkHVpn)
『生きている意味が分からない』
『そんなもんねーだろ。人は意味不明に生きて理不尽に死んでいくだけさ』
はじめまして、劣音(おとりね)です。
気軽にレツって呼んで下さるとうれしいです。
題名やら最初の会話文からして、何じゃああこいつはって感じですが、そこはスルーしてください、マジでorz
注意
※劣音え? どこの馬の骨だあ? な人
※いじめ小説? ばっかじゃねえの? な人
※荒らしにきたよん、ぶいぶい。な人
※本場インドのカレーより辛口な人
※ちぇんめはっつけちゃうぞな人
※荒らしは撃退! と荒らしに反応しちゃう人
は、今すぐお逃げくださいさあ早く。
それでは、始まり始まり。
>>1
- Re: このろくでもない世界へ ( No.13 )
- 日時: 2011/10/10 08:39
- 名前: 劣音レツ (ID: J1W6A8bP)
『人間は素晴らしい』
『けれど、人間でなければもっと素晴らしい』
壱『教室という世界で』
学生にとって、教室は世界も同然である。
そして、その世界の中で。
当たり前のように。
日常のように、その光景は広がっている。
「邪魔なんだよ、お前!」
「日向、さっさとどけや」
周りからの嘲笑混じりの声に、少女——日向ひなたは、微動だにしない。
まるで、そんなもの聞こえないというように。
そして、イラついた一人——菱野ルカがひなたを突き飛ばす。
いじめの考案者というか、主犯格だ。
「さっさと消えなさいよ!」
ルカの声を筆頭に、クラスメイトが、
「そーだそーだ、消えろー」
「消ーえーろー、消ーえーろー!」
と、消えろコールを始める。
そんな様子に動じることなく、ひなたは、やけにはっきりとした、凛とした声で、
「嫌」
と、言い返した。
そこで、クラスメイトが気圧されたように、口を閉ざす。
あまりにも意志強いひなたの瞳に、威圧されているのだ。
ルカは、まるで自分が見下されているような感覚に陥った。
ひなたは、倒れているのに。
物理的に、ルカがひなたを見下しているのに。
どうしようもない気分になり、ルカは、ストレスをぶつけるように、ひなたを踏みつける。
しつこく、何度も何度も。
繰り返す。
しかし、ひなたは顔色一つ変えない。
黙って、暴力に耐える。
「……ッ、こいつ、」
クラスメイトにも殴るように命令しようとしたとき、
「——かはは、虚しいなあ」
と、笑い混じりの声が、教室に響いた。
「こんなちっせえ『教室(せかい)』ですら、そんな具合かよ。支配も統制もできてねーじゃん。虚しすぎるぜ」
その人物は、ゆっくりと踏み込んだ。
教室という、ひどく狭い世界の中へ。
- Re: 教室=世界? ( No.14 )
- 日時: 2012/04/28 19:54
- 名前: 劣音レツ (ID: fMHQuj5n)
『世界は広いね』
『人間の心は狭いけれどね』
弐『旅人の登場』
踏み入ってきた人物は、異様な雰囲気を持った少年だった。
漆黒の学ランを身にまとい。
なぜか顔に、狐のお面をつけ。
まるでそれが当たり前のように、存在していた。
ルカは、あからさまに動揺していたが、
『あ……あんた、何なのよ?』
と、たずねた。少年は、
「誰かと訊いてほしかったけどな。まあ、俺は人間であってそうじゃないみたいな矛盾した奴だから、そこはスルーしてやるよ」
スルーするってお前、もうつっかかってんじゃんよ、とは誰も突っ込まない。否、突っ込めない。
なんというか、少年の纏う空気は、違う。
常人——街ですれ違うような人間とは、オーラが違うのだ。
「何なのよ……み、みんな、こいつをぼこぼこにして!」
「お、おう!」
「ああ、うん……」
戸惑った様子のクラスメイトに指令、否、命令するルカ。
クラスメイト(特に男子)が向かっていく。
正体不明の存在に、向かっていく。
「おらあああっ!」
なんて声をあげつつ、少年に殴りかかる男子たち。
それを首の動きだけで軽く避け、そのまま男子たちは、前のめりに倒れる。あるいは足払いをくらわされたり、肘鉄で目を回したり。
滑稽というか、なんというか——返り討ちにあった男子たち。
ぼろぼろの男子を踏み越えるようにして、少年はルカの方へと近づいてきた。
恐怖が、ルカの心を支配する。
「ひ——」
嫌だ。
殴られるのは痛い。
蹴られるのは辛い。
そして、ルカと男子の間が、最短となる。
- Re: 教室=世界? ( No.15 )
- 日時: 2011/10/09 11:31
- 名前: 劣音レツ (ID: J1W6A8bP)
『権力ってのは、よく分からない力だな』
『どんな罪を犯しても、許される力だろう?』
『許されても忘れられても、罪は消えないさ』
交『素顔』
しかし——あっさりと、ルカの横を、少年は通り過ぎた。
まるで、ルカなんて、眼中にないと言わんばかりに。
少年の瞳には、ルカじゃなく、ひなたが映っている。
少年は、ひなたの前に立ち、そしてしゃがんだ。
ひなたと、少年の顔(と言っても狐面だ)が同じ高さになる。
「よー、立てるか? ……えっと」
「日向ひなた」
「そうそう、ひなたちゃんか」
この状況でファーストネームにちゃん付けは、緊張感がないように思える。どうやら、少年は空気が読めないタイプらしい。
そんなことお構いなしに、少年は、ひなたに手を差し出す。
ひなたは、鋭い眼で、少年とその手を交互に睨む。
「……何のつもり?」
「いや、分かるだろ。つかまれ」
「嫌よ」
ぶっきらぼうというか、つっけんどんというか。
自分を救ってくれた(?)少年に対する態度ではなかった。
ひなたは、制服のホコリを払い、さっさと立ち上がる。
それに対して怒りもせず、少年も「あっそ」と、かがんでいた姿勢から立ち上がった。
ひなたは席について外を眺め始め、少年は廊下へ出ていく。
二人の自由奔放さというか、変人っぷりに、ルカは「ちょっと!」と、怒鳴った。
意外と素直に、少年は、廊下からルカの近くへと戻ってくる。
そして、面倒くさそうに訊く。
「何?」
「な、何じゃないでしょ? あんた、何なのよ! 正義の味方気取り!?」
「……正義の味方、ねえ。若干、ニュアンスに違いがある」
「……?」
少年は、一瞬の間をおいて、言った。
「悪の敵さ」
「……ッ!」
こんなに、自分を前にしてふざけた態度が取れた奴なんて、どこにもいなかった。
馬鹿にしやがって……!
ルカは、少年の頬を叩いた。
しかし、少年は「おっと」と後ろに身体をずらし、それを避ける。
かすった手が、狐面を払う形となった。
狐面が、ことんと床に落ちる。
狐面がはずれ、少年の顔があらわになった。
- Re: 教室=世界? ( No.16 )
- 日時: 2011/10/09 17:13
- 名前: 劣音レツ (ID: J1W6A8bP)
コメントなかなか来ませんねー。
誰か読んでくれてるんでしょうか……
まあ、まだそんなに書いてないですし、前向きに頑張ろう!
……以上、レツの独り言でした\(^o^)/
- Re: 教室=世界? ( No.17 )
- 日時: 2011/10/09 17:40
- 名前: 劣音レツ (ID: J1W6A8bP)
『笑顔って最高の無表情だね』
『無表情なこと自体は最低なんだけどな』
恐『リバーシ・フェイス』
「ひ……ッ?」
ルカは、転がり落ちた狐面から顔を上げた瞬間、短い悲鳴をあげた。
目の前には、綺麗な美少年の顔がある。
少年の素顔だ。
少年は、凄惨な笑顔を、浮かべている。
凄惨、そう表す他ない。
世の中に、こんな笑顔があるのか、否。
世の中に、こんな笑顔があっていいのか。
そんな疑問を、抱かされる表情だった。
瞳だけが、闇みたいに深く。
にやにや笑いと、まるでちぐはぐな様子。
気持ち悪い。
これ以上、この顔を見ていたくない……!
「……ん? どうしたよ?」
「え、あ——?」
意識を失っていたわけではないのに、現実に引き戻されたような気分だった。改めて、少年の顔を見る。
え?
驚いたのは、その次。
少年は、にやにやしていたけれど、さっきのような笑顔ではなかった。
普通の、ごく普通の、年相応の笑顔。
入れ替わるリバーシのように、全く違う笑顔。
あまりの苛々のために、幻覚でも見たのだろうか?
「用がないならいくぜ? 職員室いかなきゃいけねーし」
「あ、ああ……」
そして、少年は立ち去っていく。
クラスメイトは、
「あいつ、何なんだ?」
「なんか、気味悪いやつだったな」
「生意気だったしよー」
と、噂している。
ルカは、何をしたわけでもないのに、強い疲労を感じていた。
少年の落とした狐面だけが、彼女をあざけるように笑っていた。
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