社会問題小説・評論板
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- 嘘吐き造花が枯れるとき。
- 日時: 2015/07/08 20:38
- 名前: 桜 ◆7gBpJ8SNck (ID: tL2iei10)
初めまして、もしくはお久しぶりです。
未熟ですが、よろしくお願いします。
私の体験も若干入っていたりしますが、多くはフィクションです。
前回に引き続き、御注意を。
・私の文章はまだまだ未熟です。
・誤字脱字があるかもしれません。(指摘して頂けると助かります)
・更新は不定期です。
・社会派小説から外れてしまうかもしれません。
・自己満足の小説で私の偏見で書いている所もあります。
そんな小説でも大丈夫でしたら、そのまま下へお願いします。
無理でしたら、小説一覧へお戻り下さい。
荒らし等はお止め下さい。アドバイスは大歓迎です。
コメントを頂けると嬉しいです。
それでは、始めます。
——————これが、私にとっての幸せなのでしょうか。
- Re: 嘘吐き造花が枯れるとき。 ( No.16 )
- 日時: 2015/01/04 14:42
- 名前: 桜 ◆k7.5lqH5Sc (ID: tL2iei10)
一緒に居たい。ただそれだけなのに。
話して、笑って、愛して、悲しそうにしないで。ただ、それだけを願ってきたのに。
許してくれるなら謝るから。何でもするから。
だから笑顔を見せて。夢の中と同じように。
学校からの帰り道。梅雨の時期だからか少し蒸し暑い。額に汗がにじむ。
Yシャツの袖を肘まで捲った。
———————大好き
そんな言葉が聞こえた。汚れを知らない純粋な声。言葉。
……幼い頃の私の言葉。今思うと馬鹿だなって。
傷ついて傷ついて。返されるのはナイフだけ。私を切り刻んで、治らない傷をつけて。
それでも近づこうとして。それが相手を傷つけることだと知らなくて。
幼い私は分かっていなかったんだ。いや、今でも分かっていないかな。
傷痕を抉ることは簡単だって。
ナイフをかざしてるのは私だ。私の我儘だ。
家を見上げる。5階建ての普通のマンション。今日も何事もなく家へ帰れた。
家の中は誰もいない。親は仕事で姉は多分部活。それかバイト。
毎日毎日大変だな。無理に笑ってて。
……辛いでしょ?
なんて、そんなこと言えないよね。
これが姉との唯一の共通点なんだから。繋がりなんだから。
お姉ちゃんの傷は体だけじゃない。そんなの知っている。ずっと前から、最初から。
治したい。只、そう思っただけなのに。
離れていっちゃうんだ、お姉ちゃんもお母さんも。はっきりと見えるのに、手を伸ばしても届かなくて。
マジックミラーの様に、私には見えても二人には私の姿は見えていなくて。存在を消されていて。
何がいけないのか。分かっているのに反対のことをしてしまう。
近づいてはいけないのに、話しかけてしまう。楽しそうに笑う、愛し合っている“家族”を演じてしまう。
こんなの家族じゃないのに。血なんて繋がっていないのに。
ねえ、お姉ちゃん。私は知ってるよ。
だけど、知らない振りをして笑っているよ。
言葉にしたら、もっと傷つけてしまうでしょ?離れていってしまうでしょ?
だから、笑うんだよ。“愛して”と叫びながら。
真実を捻じ曲げて、嘘を吐くんだよ。
お姉ちゃんが“虐待”されてたなんて。
……知らないよ?
ねえ、綺麗に笑えてる?
お姉ちゃんみたいに笑えてる?
- Re: 嘘吐き造花が枯れるとき。 ( No.17 )
- 日時: 2013/12/15 12:12
- 名前: runasy (ID: 17jRVk42)
初めてコメントさせて頂きます…。久し振りの更新ですね。
実は、この「嘘吐き造花が枯れるとき。」と、「貴方が笑って、私は。」の二作を以前から秘かに読ませて頂いていました。桜さんの小説はいつも何処か不思議な、綺麗な雰囲気を纏っていて、とても素敵です。応援しています。
- Re: 嘘吐き造花が枯れるとき。 ( No.18 )
- 日時: 2015/01/06 16:20
- 名前: 桜 ◆k7.5lqH5Sc (ID: tL2iei10)
>runasyさん
コメントありがとうございます。
更新、約2ヶ月ぶりですね。不定期な更新で申し訳ないです。
“夢と現実を書きたい”がこの小説の元でした。自分の伝えたい雰囲気を感じて貰えてとても嬉しいです。
忙しくなるのでもっと更新が遅くなりますが、これからもよろしくお願いします。
- Re: 嘘吐き造花が枯れるとき。 ( No.19 )
- 日時: 2015/01/05 19:15
- 名前: 桜 ◆k7.5lqH5Sc (ID: tL2iei10)
私の自慢の姉。綺麗で頭も良くて優しくて。
私の大好きな姉は7年前、“家族”になった。そして、消えた。
前触れもなく私の前から。それでも、一緒に居たいんだ。
……この想いが嘘だとしても。家族でいたいんだ。
家のドアが開いた音がした。姉が帰ってきたのだろう。
明るい声と笑顔で出迎えることもなく、私は勉強を続けた。
隣の部屋のドアが開いた。話し声が聞こえる。姉の楽しそうな笑い声。
途切れ途切れに会話が聞こえる。本当に楽しそうで、私の知っている姉ではないみたいで。
———————煩い。消えて。私の前から消え失せて。
そんな言葉が私の頭に響く。
———————嘘だよ。消えないで。一緒に居て。
反対の言葉。嘘の言葉。
……私は、お姉ちゃんが大好きだよ?
姉の声を聞いていると体が震える。恐怖に襲われる。
昔の私は姉が大好きだった。だから怖かった。私自身が怖かった。
傷つけられても大好きと思える、私の心が、私の想いが自分自身で理解できなかった。
笑っていられる自分が怖かった。
————————アンタなんか死んじゃえ。
私は泣きながら笑っていた。嬉しかったんだ、姉と一緒に居れて。
姉の苦しみを分かっているのは自分だけだと思えて。私だけが姉を救えると思えて。
姉が幸せでいてくれるなら、死んでもいいと思った。
私は姉が大好きだったから。
本当は、姉の苦しみなんて分からない。一粒も理解できない。
それを私は認めなかった。私が姉に一番近いと思いたいから。
心の底では、私の状況は姉と同じだと理解していた。それでも姉の気持ちを理解したら、私はもう戻れないと思った。
劣等感が私を嘘吐きにした。罪悪感が私を姉に縛り付けた。
いつか振り返ってくれると。また抱きしめてくれると。ありもしない希望を抱き、手を伸ばし続ける。
それでもいいと思った。これは永遠ではないのだから。
- Re: 嘘吐き造花が枯れるとき。 ( No.20 )
- 日時: 2014/10/25 21:41
- 名前: 桜 ◆k7.5lqH5Sc (ID: tL2iei10)
“私の大好きな人はお姉ちゃんです”
小学生の時に書いた作文の一文。今書こうとしたら腕が振るえちゃうかな。もしくは涙で視界が歪んで字が書けないかな。
それほど姉が大好き“だった”んだ。
私の両親は私が幼い頃に離婚したらしい。離婚した当時は離婚の意味も知らないほど幼かったし、今は離婚した理由に興味も無いので何故離婚したかは知らない。知りたくもない。もう知ってるから。私の所為だから。
そして再婚。この間に多くのことがあったのだろうけれど、私は何一つ知らない。知らないことが多過ぎて、逆に幸せだと思う。真実を知ってどうする?
真実ほど苦しい物はないもんね。もう遅いけど。
私は知りたくなかったのに。もう許してよ、お父さん。忘れさせてよ。
私はいつ許されるの?
新しい母と姉が私と一緒に住み始めたのが今から7年前。私が7歳で姉が9歳だった。私は難しいことは理解できなかったけれど、ただ家族が増えたことだけ分かった。
私は姉に近づいた。仲良くなろうと一生懸命だった。
姉は私に優しかった。一緒に遊んでくれたり、ときには喧嘩をしたりした。
本当の家族みたいで、血の繋がりがあるのではないかと思ってしまうくらい楽しくて。愛情に満たされていて。
けれど、姉は消えた。私の前から真っ白に、透明になったんだ。あの綺麗な笑顔を残して。
別れの挨拶はなくて、突然いなくなった。
私の“優しい姉”が。私の希望が。