BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 神様、それはあまりにも不公平です。
- 日時: 2014/01/02 20:30
- 名前: 夜藍 (ID: RATzCEO3)
神様は不公平に世界を作った。
そして神様もまた________
初めまして、またはこんにちは!
夜藍(やあい)と言います。
基本は二次創作メインで活動しています!こちらは更新頻度低めのオリジナル作品になります。
文才は相変わらずありません!
ネットマナーは必ず守ってくださいね(`・ω・´)
登場人物紹介>>8 用語解説>>76
目次。
第一話>>2 第二話>>4 第三話>>7 第四話>>11 第五話>>18 第六話>>24 第七話>>26 第八話>>29
第九話>>30 第十話>>33 第十一話>>34 第十二話>>37 第十三話>>38 第十四話>>39 第十五話>>40
第十六話>>41 第十七話>>42 第十八話>>43 第十九話>>44 第二十話>>50 第二十一話>>58
第二十二話>>59 第二十三話>>65第二十四話>>81第二十五話>>86 第二十六話>>89
第二十七話>>90 第二十八話>>93 第二十九話>>97 第三十話>>98 第三十一話>>99
第三十二話>>100 第三十三話>>101第三十四話>>103 第三十五話>>104 第三十六話>>105
第三十七話>>106 第三十八話>>107 第三十九話>>110 第四十話>>111 第四十一話>>112
第四十二話>>113 第四十三話>>114
【番外編】
夏休みはそれぞれの思いを乗せて、回る、廻る。
二つともNLです。
「あともう1cmの勇気」春海と先輩>>60 >>61 >>62 >>63
「夏祭りと私と」佐久真と雨月 >>66 >>67 >>70 >>71 >>72
…皆の距離が近くなる、かも?
【お知らせ】
更新停滞なう!あとぷちぷち切りながら投稿することが多くなると思います。受験生とか信じない!
【参照とかレスとかの】
5月14日 参照100突破!皆様ありがとうございます!!
6月6日 参照200突破!更新停滞してる中でも、見てくれる方がいて嬉しいです!
7月7日 参照300突破!七夕に嬉しいお知らせをありがとうございます!
8月10日 参照400突破!これで宿題頑張れそうです!皆さんありがとう!!
10月1日 参照500突破!体育大会とテストでぐぅってなってる時にありがとうございます!頑張ります!
12月15日 参照600突破!寒い冬も乗り切りますぞい!頑張ります!
5月3日 参照700突破!&一周年!これからもよろしくお願いします(*´ω`)
8月13日 参照800突破!!そしていつの間にかレスも100突破!ほとんど私だけど!ありがとうございます!!
1月2日 参照1000突破!!900見逃してた…今年もよろしくお願いします!
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.102 )
- 日時: 2013/05/03 13:01
- 名前: 夜藍 (ID: JuyJRz6j)
こちらではお久しぶりです…!!放置してましたすみません…
なんだかんだでこちらも一周年ですね。
これからもフィリアーと光、佐久真ちゃん雨月くん、その他もよろしくお願いします。
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.103 )
- 日時: 2013/05/04 13:04
- 名前: 夜藍 (ID: JuyJRz6j)
第三十四話。
「あの子は北の国で育った、極々平凡な少年だったよ。ある事を除いてはね。」
彼は北の国にある小さな山間の村で育ったらしい。
そう裕福ではない暮らしだったが別に苦しくはなかったと彼も言っていた。
きっとそれは両親が懸命に働き、私にできるだけ不自由ないようにしてくれていたのでしょう、と。
だが戦乱の世、盗賊、海賊などが小さな村々を襲い金品や食料を奪っていく事件が多発してな。彼の村も例外ではなかった。
しかも悲惨なことに村人は抵抗し、武装したため盗賊達から反撃を受けたのだ。
結果、村人は惨殺され、村は壊滅状態。
生き残ったのは彼と彼の母親だけだった。父親も盗賊に殺されてしまったらしい。
逃げ延びた二人は国境を越え、遥か遠くまで旅をした。
だが皮肉なことに________母親は旅の途中で会った海賊に殺されてしまったのだ。
しかも彼の目の前で、な。
彼は元々女顔で女子に間違われることが多かったようで、この時も例外ではなく海賊団に捕えられ売り飛ばされかけたらしい。
だが海賊団が母親にすがり泣いている彼を引き剥がし捕えようとしたとき、彼は平凡な少年ではなくなったのだ。
彼のブロンドの髪は黒く染まり、海のように深くて美しい蒼の双眼は深紅に変わった。
そして手に持っていた短剣でそこらにいた海賊を切り刻み、殺し、殲滅させた…。
そうして力を使い果たしたかのようにそこで彼は倒れ、死んだ。齢十六のことだった。
その様子を私は空から眺めていてな。あまりにも哀れで可哀想だと思った私は彼を助けた。
光…お前と同じように、大神様に頼み込んで生き返らせてもらおうと思ったんだ。
でも昔から大神様は頭の固いお方で、そうそう許してはくれなかった。
このままでは彼は地獄へ落ち、終わることのない拷問の数々を受け続ける。
それだけは何としてでも避けたいと思った私は大神様にもう一度交渉してみた。
すると条件付きでもよいのならばとお許しが出たのだ。
そして彼を大神様の前へ呼び出し誓わせた。
死神として天界の助けをする事。
覚醒した彼の戦闘力は凄まじいものだった。それに目を付けた大神様は人手が不足していた死神に彼を任命したのだ。
何か一つ、代償として支払う事。
いくら哀れな境遇であれ、彼は人を殺めた罪人だ。血に濡れた穢れた手を天界の老人どもは忌み嫌う。
そこで彼が差別の対象にならぬようにとその事実を消し去ったのだ。大神様と私、そして彼しか知らぬように。
その代償として何かを差し出せと大神様は命令された。
すると彼は少し悩んだ後に「だったら僕の表情を差し出します」と笑った。
それが彼の最後の笑顔だった。
「そうして彼は今、死神として働いているというわけだ。彼が表情一つ変えない理由や素性がこれでハッキリしただろう?」
人差し指を立てて言うフィリアーに俺は目を瞬かせた。いや、話もそれはそれは壮絶だったさ。十六歳にしてえらく過酷な運命を背負ったもんだ。とても耐えられるものではない。
だがな、僕が突っ込みたいのはそこじゃない、そこじゃないんだ…
「なあ、フィリアー。」
「なんだ?」
「あいつって…男だったのかよ…。」
「そうだぞ。やはり気づいてなかったか。ああも極端に女顔であれば気づく者のほうが少ないだろうがな。」
いやまあそうだけども!女顔とかあれはそういうレベルじゃねえよ!端正な顔立ちプラス女物の服(しかもゴスロリ)だったら誰だって気づかねえよ!そこいらの男は皆コロッと恋に落ちるわ!
実際僕も可愛いと思っていたわけで…うわー…なんだろうかこの敗北感は。
ムカつくとかそういうわけではないが、虚無感?っつーのが心の中に広がっている。
完全に騙されたなこりゃ…いやあっちはその気はないんだろうけど…
沈んでいる僕にフィリアーは笑顔で肩を叩く。
「光、お前には私がいるだろう!」
「うるせぇ…死ねよ…。」
頭を抱えて言った一言は相当殺傷能力があったらしくフィリアーは大きな音を立ててベッドから転落した。
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.104 )
- 日時: 2013/05/04 20:38
- 名前: 夜藍 (ID: JuyJRz6j)
第三十五話。
朝が来ると、無性に起きたくなくなる。
夜はいいんだ。別に起きていたって。母さんや父さんは早寝早起きを心掛けているため深夜帯ゲームをしてようがバレやしないし、咎められることもない。
いやまあ考えてみろ、昼間にゲームをたった小一時間しただけでもうやめろだのなんだのってうるさい母親を。
嫌だろう?実に嫌だろう?だから僕は夜を選び、夜に邪魔されることなくゲームをするのだ。
だがそんな僕でも深夜の十二時頃には就寝する。日付が変わったら「休まなきゃいけない」という気にさせられるからだ。
だがしかし、夏休みとは恐ろしい呪いの結晶である。
「明日だって休みだしまあいっかなー」という気にさせ、就寝時間をもう深夜と言っていいのかわからない午前四時に変え、僕を完全に夜型生活と変えてしまった。
でもな、夜型になったところでその分寝てれば別にさほど問題なんてないんだ。
困るのは始業式の朝くらいだろう。そこらへんでまた前の生活に戻るしなんてことはない。
でも今は最大の敵がいるのだ。
「光!光!早く起きろ!朝だぞー!朝ご飯が冷めちゃうぞ!」
「っるせぇ…」
このオカンぶった誰様神様フィリアー様である。
しかもそこにプラスして…
「光様、あまりお目覚めが悪いようでしたらスタンガンで痺れさせて気分爽快、スッキリというのもありですが。」
「待て待て、おい、人間の常識越えてるよ!それ確実に死ぬだろうが!」
この美少女…じゃなかった美少年(正直僕はまだ信じれていない)死神メルレッティ。
メルレッティは首を傾げたポーズのまま「あら、」と続ける。
「死にやしません。昏倒するだけです。」
「どうせまた眠りに落ちるだろうが…!あーもーいいよ!わかった!起きる!起きるからスタンガンしまえぇぇぇええ!!」
僕の必死の叫びにメルレッティは即座にスタンガンをしまい僕の手を取った。
「さあ参りましょう光様。階段下までお送りします。」
「階段くらい一人で行けるっつの!」
「いいえ、なりません。光様の家の階段はとても暗がりになっております故、お兄様が手を出しても見つからない場所なのですよ。」
なんで知ってるんだよコイツ…と疑いの目を向けると、メルレッティはそれを悟ったように「リサーチ済みですよ。」と言った。
後ろではフィリアーがむくれて拗ねていたが、なに気にすることはない。少しすれば機嫌を直して僕に飛びついてくるのだろう。
とにかく僕としてはあと二時間ほど睡眠時間が欲しいところなんだがな…
眠い目をこすりながらメルレッティに手を引かれ、一階へと僕は降りた。
とりあえずメルレッティがいる間は僕の貞操は守られるであろう。
思ったより優秀みたいだしな。
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.105 )
- 日時: 2013/08/12 17:13
- 名前: 夜藍 (ID: rfy7IlR/)
第三十六話。
夏休みも終盤だというのにまだ暑い。本気で暑い。
朝ご飯を食べ終わった後、まだ少し残っている宿題を片付けなければいけないのだが、何しろ僕の部屋にはクーラーがあっても効かない。
夏祭り前まではガンガンに効いていたのだが、僕とフィリアーの雑な扱いのせいか急に効かなくなってしまった。
というわけで。
「図書館でお勉強ですか?」
「ああ。クーラー効かなくなってきてこの部屋やべぇし、ぶっ倒れたら迷惑かかるし…っつーわけで自転車かっ飛ばして市立図書館に、な。」
「図書館…私行ったことないのです…たくさんの本がある場所だと聞きましたが。」
この暑い中真っ黒で長袖のゴスロリ服を着たメルレッティが唸る。
どうやら着いていきたいらしいが空を飛んで来られても目立つし、なにより僕が困るしな。
するとさっきまで拗ねていたフィリアーが「ではメルレッティを自転車に乗っけていけばいいのではないか?」と提案する。
「メルレッティは多分日本の女子の平均体重より少し軽めだぞ。そんなに苦ではないと思うが。」
「じゃあお前はどうするんだ?」
僕の問いに少し考えてフィリアーは苦笑した。
「今日はいい。外に出たら溶けてしまう。」
というわけで僕とメルレッティの図書館への旅(仮)が始まった。
- Re: 神様、それはあまりにも不公平です。 ( No.106 )
- 日時: 2013/08/13 22:17
- 名前: 夜藍 (ID: rfy7IlR/)
第三十七話。
自転車で十分程度のところに、その市立図書館はある。
東京にしてはここは地方のほうな気もするがこの図書館はそれを感じさせないほどの膨大な量の本が揃っており、利用する人も多い。
そりゃあ国立図書館とかには劣るかもしれないが、そんじょそこらの図書館よりはマニアックな本からメジャーな本まで幅広く扱っているだろう。
図書館に着くとメルレッティはすぐさま自転車から飛び降り、館内へ入ってしまった。
まあ別にメルレッティはあの変態兄貴よりはずっとしっかりしているし何しろこういうところの常識は心得ているはずだ。
心配することはないと思うが、待ち合わせ場所を決めていないから再び合流できるかどうかが問題だ。いざとなったらアナウンスかけるとかなんとかしてもらうからいいのだが…
そう思いながら僕もメルレッティの後を追いかけるように館内へ入った。
館内は目的通りクーラーが効いていて十分に涼しい。正直、自転車を必死でこいできて汗をかきまくっているので寒いくらいだ。
受付のお姉さんに会釈をして、近くのテーブルに腰掛ける。
鞄から課題とペンケースを出したあたりで視界に黒い服がちらりと入った。
「光様。」
「おお、メルレッティこんなとこに…って、すごい本の量だな…」
どこからともなく現れたメルレッティは両手で山積みの本を抱えていた。しかも見たところどれもハードカバーだ。
「ここにはたくさんの本があるのですね。私感激しました…。」
本を机にできるだけ静かに置き、向かいの席に座るメルレッティは少し体を震わせながら本の山を眺めている。
表情こそ変わらないが多分言葉通り感激しているんだろう。
一番上に積み上げられた本を手に取り、少し眺めて表紙を捲る。
「メルレッティ、お前ただでさえその格好で目立ってるのにそんな山積みの本持ってきたら更に目立つだろうが…」
僕は顔を顰めながら言った。こんな目立つ格好の女子…に見えるであろう男子といるところを見られたら何より僕が恥ずかしい。
事実さっきからメルレッティは利用客にチラチラと横目で見られている。完全にこの空間で浮きまくっているのだ。
するとメルレッティは首をカクン、と折って「すみません。」と呟いた。
「光様の迷惑を考えておりませんでした…。ですがこんなに本が揃った場所に来るのは初めてで…その、年甲斐もなくはしゃいでしまって…。」
うつむいたままメルレッティはもごもごと言葉を続ける。くそ、可愛い。許さずにはいられない…確信犯か?確信犯なのか?
「お前、そんなに本が好きなのか?」
不覚にも男に可愛いと思ってしまった赤い顔をメルレッティの方から逸らし、僕が言う。
するとメルレッティは顔をあげ、少しだけ明るい声で「はい。」と言った。
「なにぶん、私はほとんど勉強という勉強をしないで育ち、死んでしまいましたから…こういう文学に触れて少しずつ勉強してきたんです…。」
「そうか…。」
捲られた本の側面を慈しむように撫でるメルレッティを見つめる。
苦しい思いばかりしてきたこいつの手は、腕は、血に塗れて穢れてしまったのだろう。醜い者共の血に。
その手が慈しむような動作をしていることが不思議で、そして美しくて見惚れてしまった。
「どうかしましたか?」
「…いや、なんでも。」
僕は課題に視線を移し、ペンを滑らせる。
メルレッティの本を捲る音がやけに耳にこびりついた。
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