BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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【完結】百合(GL) 短編(?)集
日時: 2025/05/09 21:38
名前: 有夏 (ID: KskuKnLt)

初めまして、有夏ありかと申します!
このスレは私がふと思い付いた内容の百合(GL)をさーっと書いていく物です
何かが突然始まって突然終わるかもしれないです

・一応百合(GL)のつもりでも、どっちかの一人称が「ボク」だったりする場合があります
・キャラクター紹介はプロローグの後に決めました
・一つ目の作品と次の作品の物に基本的、繋がりはありません
・続編やアナザーストーリー、サイドストーリーの場合は明記します
・【短編(?)集】なので、色々な物が詰まってます
こんなので良かったらパラッと見ていってくださーい!

気付いたら結構な閲覧数に……感謝感謝です!
これからもどうぞよろしくお願いします!


お知らせ>>76 >>77


《目次》
1『私はキミの』>>1 >>3-21(終) キャラクター>>2
シリアス?
※↑この小説は大人小説カキコのとある雑談スレに私が別名で投稿した歌詞が元になっています。

2『真実の愛とは?』>>22 >>24-42(終) キャラクター>>23
シリアス?

3『真実の愛とは? スピンオフ』>>43 >>45-52(終) キャラクター>>44
シリアス?最後ちょっと甘い

4『銀竜草-ギンリョウソウ-』>>53 >>55-68(終) キャラクター>>54
シリアス?ミステリー?ファンタジー?※一部流血有

5『ほのぼのしそうな話-アリムラ荘の日常-』>>69 >>71-75(終) キャラクター>>70
ほのぼの?

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.28 )
日時: 2017/03/05 16:05
名前: 有夏 (ID: U9CqFAX7)

『真実の愛とは?』
Episode.3:久し振りの-Side:有沙-


咲楽先輩と東根先生のやり取りを見聞きして、胸がじーんってした。
そしたら、泣いちゃって先輩を困らせてしまった。
何回か謝ったけど、先輩は「いいよ、謝らなくたって」と優しい言葉を掛けてくれる。
だから、余計に嬉しくて泣いてしまった。
いつ振りだろう、あんなに泣いたのは。
いつ振りだろう、あんなに優しい言葉を掛けられたのは。
もうずっと、家でも一人の時間が多くて、寂しかった。

…………そっか、アリサは寂しかったんだ。
ずっと、一人だったから。

先輩は取り敢えずアリサが落ち着くまで側に居てくれて、その後アリサを教室まで送ってくれた。
「あんまり無理しないようにね」
最後にそう言って先輩はどこかへ消えた。
「篠田さん、浜岡先輩と知り合いなの?!」
教室に戻るとクラスメイトの女の子達が声をかけてきた。
アリサが編入生って事もあって色々なことを教えてくれる子も居たけど、あまり話したこともない子も居た。
「え、いや……その……咲楽先輩とは、今日会ったばかりだけど……」
知り合いと言うか、何と言うか。
迷ってたアリサを助けてくれたと言うか……
「紹介してほしい……!」
アリサの許へ集まってきた子達は口々にそう言った。
紹介って……
先輩人気者だなぁ……
「連絡先とか知らないし……これから会う機会があるかどうかも判らないから……紹介は出来ないの……ごめんなさい……」
ああ、また頭が痛い。
くらくらする。
……咲楽先輩……
「有沙」
心の中で先輩の名前を呼んだら、後ろから先輩に似た声で名前を呼ばれた。
そしたら何故か皆が黙って息を飲んだ。
「————?」
その反応が異様で、アリサは恐る恐る振り返る。
「あ、先輩……」
そこには、アリサが心の中で名前を呼んだ咲楽先輩だった。
「これ、有沙のでしょ?」
そう言って先輩は綺麗に四つ織りにされたクローバー柄のハンカチを差し出した。
確かに、そのハンカチはアリサのだ。
「あ……ありがとうございます」
いつの間に落としたんだろう?
「またね」
先輩は最後にアリサにだけ聞こえるような小さな声でそう言ってくれた。

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.29 )
日時: 2020/01/30 14:52
名前: 有夏 (ID: so77plvG)

『真実の愛とは?』
Episode.4:つい、心配で-Side:咲楽-


有沙を教室まで送り、来た道を引き返すと有沙の教室が騒がしくなったのが聞こえた。
多分、ボクのせいだ。
前にも、こんな事があったし。
「———あ」
有沙が心配で引き返すか迷い、俯いたらハンカチがポケットに入っていることに気がついた。
そのハンカチを取り出し確認すると、入ってたのはクローバーの描かれたものだった。
これは保健室で見たのと同じだ。
有沙が涙を拭ってたハンカチ。
…………ああ、そうだ。有沙が泣いた後ティッシュ渡したときに預かったんだっけ。
よし、口実見付けた。
くるりと180度体を回転させて有沙の居る教室の方へ戻る。
変なこと言われてなければいいけど……

「有沙」
ボクが教室に着いて有沙の名前を呼んだとたん、生徒達が閉口して息を飲んだのが伝わった。
ボクは恐れ多いものでも、恐怖するものでもないのに。
「————?」
不安そうな顔で有沙は振り返り、ボクの顔を見て安心したような顔をした。
「あ、先輩……」
少し泣きそうな顔をしてる。やっぱり、何か言われたんだ。
有沙と関わらない方がやっぱり、有沙の為かな?
「これ、有沙のでしょ?」
そう言って有沙にハンカチを返しながら周りの反応を探る。
ボクが有沙を下の名前で呼んだことによって敵意を向けてくる人物がいないことを願う。
「あ……ありがとうございます」
……………………どうやら、敵意はないらしい。
ただ有沙は詰め寄られて困ってたんだ。
ボクと知り合いかどうか、ってとこかな。
「またね」
有沙だけに聞こえるよう声をかけ、今度こそボクは教室を後にした。

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.30 )
日時: 2017/03/07 22:06
名前: 有夏 (ID: fCO9WxRD)

『真実の愛とは?』
Episode.5:日曜日-Side:有沙-


今日は、日曜日。
今日一日慌ただしい。
基本日曜でさえ仕事で居ないアリサの両親と今、車に乗っている。
運転席に父がいて、助手席には母がいる。
見慣れない光景にアリサは後部座席から二人の後ろ姿をじっと見続けている。
「有沙、どうかした?」
母がそんなアリサに気づいて声をかけてきた。
どうかしたって、聞かれても……
「ううん。楽しみだなぁって思ってただけだよ?」
そう答えるしかない。本音を言ったら空気を悪くしちゃうし。
折角の、良い日だもんね。
家族にさえも愛想笑い。
どうしてかな。こんなはずじゃなかったのに。

車が走り出してから十五分。
到着したのは藤代総合病院。
何故病院なのか、それは————
「お姉ちゃん!!」
此処に、アリサの妹である小学校5年生の有朱ありすが入院してたから。
過去形な理由は、今日退院するから。
「有朱〜」
走ってアリサに抱き付いて来た有朱を抱き止め、ぎゅーってしてあげる。
「走っちゃダメでしょ……!」
行儀が悪い、と有朱が母に叱られた。
まあ、有朱は気にしないけど。
「久し振りに帰れるー!」
ポンポンと有朱の頭を撫でてあげると満足そうな顔をした。

有朱はあんまり体が丈夫じゃなくて、風邪を引いただけで重篤化しやすくて、今回もそれだった。
一週間前に風邪を引いて、インフルエンザでもないのに40℃近い高熱で、熱がギリギリ40℃行かない微妙なラインでいた。3日で熱は少し下がったものの、38℃台で、2日。あと2日で熱が下がり、体調が安定して、今日で退院。
風邪を引くと2、3回に1回はこうなる。辛いのは有朱だからいつも心配する。
それでも勉強に付いていけてる有朱は凄い。
「お姉ちゃん、最近何か良いことあったでしょ」
有朱は鋭い。誤魔化しが効かない。だから気づかれると観念する他ない。
でも、
「そう? 気のせいじゃない?」
今回はこう答えた。
アリサがご機嫌に見えるのはきっと、咲楽先輩と出会ったからだろうなぁ。
おっと、顔が緩んじゃう。
「あ、今顔緩んだ。え、まさか好きな人でもできた?」
え、うそ。顔緩んだ?
いやいや……好きって……確かにかっこいけど、同性だし。
「違うよ、そんなんじゃなーい」
あ、しまった。
「へえ、じゃあ良いことはあったんだ」
く、口が上手いなこの妹……!
まあ、今に始まったに事じゃないけど。

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.31 )
日時: 2017/03/07 22:18
名前: 有夏 (ID: fCO9WxRD)

『真実の愛とは?』
Episode.5:日曜日-Side:有沙-(続き)


あのあと、有朱の行きたいところに行って買い物とか色々して、家に帰ったのは日が暮れてからだった。

家に帰ってからも有朱はあのテンションで、饒舌だった。
そして質問攻め。
「何処で出会ったの?」
「どんな人?」
「優しいの?」
あしらおうとすると噛み付いてくるし……
噛み付いて離れてくれない……
「ねえ、お姉ちゃんってば!」
「あ、はい……」
結局萎縮して全部の質問に答えることになってしまった。

「……へー……女の先輩ねぇ……」
有朱が考え込む仕草をして、会話が一度途切れる。
次は何を言われるか、何となく想像つく。
想像はあまりしたくないけど……
「会ってみたい!」
あー……やっぱり。
こうなるよねー。
前にも似たようなことあったし。
「無理だよ。先輩忙しいし!」
先輩と有朱は会わせたくない。
会わせたら先輩にアリサの色々を暴露されてしまいそうだし。
「えーっ」
不満そうな顔をされてもねぇ。
アリサの色々を先輩に暴露されたら恥ずか死ぬ自信がある。
「取り敢えずさ、会いたいって言ってるのだけ言っといてよ!」
う……先輩優しいからオッケーされたら困るんだけど……
「有朱ー、ちょっと来てー」
不意に母が2階から有朱を呼ぶ。
「はーい! 明日、絶対言ってね!!」
有朱はそれに応えてから私に念を押して、2階へ消えていった。

困ったなぁ……

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.32 )
日時: 2020/02/21 00:14
名前: 有夏 (ID: kEC/cLVA)

『真実の愛とは?』
Episode.6:弟であり妹の-Side:咲楽-


火曜日。
退屈な日。
教室で授業中に本を読む。
「この間の続きから。織豊政権とは————」
今の授業は日本史。特に興味はわかない。
取り敢えず居るだけでもどうにかなるし。

ボクの父親が此処の理事長だから優遇されてるだけだけど。
どうにか誤魔化してるけど、定期テストではまあ、自力でどうにかしてるし。
こんなボクを好く人達に驚く。
ボクはただの親のスネかじりなのに。

ふと顔を上げて外を見ると一年生らしき集団がサッカーをしていた。
体育か。
疲れるから嫌いだな。
バスケは好きだけど、シュートしかしないし。
ボクは小さく溜め息を吐き、もう一度手元の本に視線を落とす。

『空が存在する限り、僕は夢を見続ける。
 盲目的にその空を、夢を追い続ける。

 もうすぐ夜明けだ。また、新たな今日が始まる。
 僕の、僕達の夢追い物語。翼なんてなくたって、きっと僕は空を飛べる。

 君がいなくても、絶対にこの空を飛んでみせるから。だから、見守っていてくれよ。

 もう隣には誰もいない。あったはずの温もりは消え、そこには冷たい床しか残らなかった。』

ファンタジー系の小説だった。
ノンフィクションは終わりが綺麗過ぎてあまり読まない。
ボクは敢えてバッドエンドのものを手に取る。
終わりが綺麗にならないから。
そういうのを敢えて選んでる。
だって全部が綺麗に終わるのが人生じゃないでしょ?

「……あ、そうだ」
この間東根の本棚から拝借した本を戻してなかった。
…………行くか、保健室。
東根と話せば退屈凌ぎにはなるし。

で、いつもの如くノックはするものの返答はなくてサッと開ける。
「本返しに来た————」
「————ざけんなああああああ!!!!」
急に聞こえた叫び声と目の前が一瞬で真っ白になったのに驚く。
いや、ボク何もしてないよ?
ハラハラとボクの顔から何かが離れていきパサッと床に落ちた。
それはどうやらメイド服らしい。
でも何故メイド服がボクに投げられた訳?
その前に何故メイド服が此処に?
「え、着ないの?」
「意外そうな顔してんじゃねーよ! 着る訳ねーだろ!!」
そこには真顔でメイド服を着ろと迫る東根と、それを全力で拒絶する見知った顔がいた。


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