BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【完結】百合(GL) 短編(?)集
日時: 2025/05/09 21:38
名前: 有夏 (ID: KskuKnLt)

初めまして、有夏ありかと申します!
このスレは私がふと思い付いた内容の百合(GL)をさーっと書いていく物です
何かが突然始まって突然終わるかもしれないです

・一応百合(GL)のつもりでも、どっちかの一人称が「ボク」だったりする場合があります
・キャラクター紹介はプロローグの後に決めました
・一つ目の作品と次の作品の物に基本的、繋がりはありません
・続編やアナザーストーリー、サイドストーリーの場合は明記します
・【短編(?)集】なので、色々な物が詰まってます
こんなので良かったらパラッと見ていってくださーい!

気付いたら結構な閲覧数に……感謝感謝です!
これからもどうぞよろしくお願いします!


お知らせ>>76 >>77


《目次》
1『私はキミの』>>1 >>3-21(終) キャラクター>>2
シリアス?
※↑この小説は大人小説カキコのとある雑談スレに私が別名で投稿した歌詞が元になっています。

2『真実の愛とは?』>>22 >>24-42(終) キャラクター>>23
シリアス?

3『真実の愛とは? スピンオフ』>>43 >>45-52(終) キャラクター>>44
シリアス?最後ちょっと甘い

4『銀竜草-ギンリョウソウ-』>>53 >>55-68(終) キャラクター>>54
シリアス?ミステリー?ファンタジー?※一部流血有

5『ほのぼのしそうな話-アリムラ荘の日常-』>>69 >>71-75(終) キャラクター>>70
ほのぼの?

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.63 )
日時: 2017/04/16 19:44
名前: 有夏 (ID: qTwvrcL4)

『銀竜草-ギンリョウソウ-』
Episode.6:貴方の正体-Side:彩羽-


目の前に、不安や緊張で顔を強張らせながら立ち竦む緋菜に現実を突き付ける覚悟をする。
この後どうなるか、想像はつく。
解ってる。覚悟もしてる。
一度普通より少し多く息を吸う。
そして。

「貴方は、もうずっと前に肉体を失ってる」
私は静かにそう告げた。

「……あ、ははは……彩羽……なに、言ってるの?」
彼女は乾いた笑いを溢しながら私の言葉を受け入れられない、と答えた。
気付いてなかった筈がない。気付いてない、何も知らないと自分に言い聞かせてただけだ。
「今までの不思議な事は貴方が起こした"現象"と"怨念"が生んだもの」
ちゃんと認めさせなければならない。
本当は、貴方は小学生で止まっていた筈なのに、毎年ちゃんと成長してしまっていた。
これは、本当はあってはならないのに。しかも貴方は、自分の力を理解しきっていないから。
だから、貴方を祓わなければならないの。
これを決めたのは生きてる人間。私も生きてる人間だから、そのルールに従わなければならない。
「違う! あれは全部偶然だよ!!」

————ビュゥゥゥウウウウ!!

彼女が叫ぶのと同時に突風が吹き、砂ぼこりが舞う。
「い、っ……」
左目に砂が入り、チクリとした痛みが走った。
左目を軽く押さえると手が生理的に出た涙で濡れる。
「っ……」
さっきよりも顔が強張り、怯えるような目でこちらを見ている緋菜が右目から見る事が出来た。
「今日は、っ……もう帰って……」
「緋菜————」
そう言って私に背を向けて"寂れた空き家"に向かう緋菜を呼び止める。
今、貴方を離す訳にはいかない。
だから、私は更に辛辣な言葉を緋菜に向ける。
「————そんな空き家に、貴方の帰る場所はない」

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.64 )
日時: 2020/01/30 15:03
名前: 有夏 (ID: so77plvG)

『銀竜草-ギンリョウソウ-』
Episode.7:崩れていく-Side:緋菜-


彩羽が、変な事を言い出した。
「貴方は、もうずっと前に肉体を失ってる」とか、
「今までの不思議な事は貴方が起こした"現象"は"怨念"が生んだもの」とか。
そんなのおかしいよ。私にそんな不思議な力は無いもん。
あれは全部偶然だよ。
全部、彩羽の勘違いだよ。

「今日は、っ……もう帰って……」
そう言って家のドアに手をかける。
今日はもう疲れた。家でゆっくり休みたい。
「緋菜————」
これ以上、何も聞きたくないのに彩羽が私を呼び止める。
耳を塞ぎたい聞きたくない。
あぁ、そうだ。耳が塞げないのなら、聞きたくないのなら、
「————そんな空き家に貴方の帰る場所はない」
彩羽が、黙ってしまえば————しゃべれなくなれば良いんだ。
「ッ————?!」
悲鳴を飲み込んだのは、彩羽————、
「う、そ……」
ではなく、私だった。
目の前にあったはずの"私の家"は壁に蔦が這い、窓が割れ、敷地に草が生い茂った空き家に変わっていた。
「一体、何をしたのッ!」
私の家に、私の帰る場所に、親が帰ってくる場所なのに!!
振り返って彩羽を睨む。
彩羽は相変わらずの無表情で私を見返す。
「貴方の帰る場所はない。貴方の家はもう無い。貴方の親ももう居ない」
「そんなの嘘だって判ってるんだから!!!」
そんな事は有り得ない。だって私は此処に存在してるんだから。

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.65 )
日時: 2017/04/17 07:41
名前: 有夏 (ID: tqRRDXqi)

『銀竜草-ギンリョウソウ-』
Episode.8:私の役目-Side:彩羽-


さっき、寒気が走った。
でもそれは直ぐに消えていったから、あの寒気は緋菜が私に向けた害意だと判る。
驚いてその害意がなくなったんだって、読み取れる。

左目に入ったゴミが漸く取れ、生理的に出た涙を拭う。
「肉体はもう、存在しないの」
一歩緋菜に歩み寄り、そっと頬に手を伸ばす。
けど、感触は何も無い。ただ、空気に触れているだけ。
違うのは何故か冷や汗が出て、触れているはずの部分だけが少し寒いという事だけだった。
「感触、無いでしょう?」
そう囁くと怯えたような目を私に向ける。
その目は、肯定をしていた。
「貴方は多分、本当にこの家で育ったんだと思う。でも————」
「嫌ッ!!!」
聞きたくない、と緋菜は耳を塞いで蹲ってしまう。
緋菜はやっぱりもう気付いててんだ。
でもこの世界に未練があって、その思いが肉体の無い"自分"を留まらせてた。
「緋菜」
嫌だ、嫌だ、聞きたくないよと幼い子供のように緋菜は首を横に振って涙を流す。
そんな緋菜の側に屈み、優しく声をかける。
触れられないけど、でもそっと緋菜の手に自分の手を重ねるようにしてその怯える目を覗き込む。
「緋菜はただ、寂しかっただけだよ」
だからずっと緋菜は皆と話したがってた。でも、皆に自分の姿は見れなくて聞こえないから悲しくなってそれがあの"現象"を起こしてた。
「このままだと、ずっと寂しいままだよ?」

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.66 )
日時: 2017/04/17 08:17
名前: 有夏 (ID: tqRRDXqi)

『銀竜草-ギンリョウソウ-』
Episode.8:私の役目-Side:彩羽-(続き)


私の言葉にただただポロポロと涙を溢す緋菜の言葉が出るまで静かに待つ。
「…………さ、みしい、の……も、やだ……」
————独りは怖くて、辛くて……無視されるの嫌だ……寂しかったの……ずっとずっと……。
そう、ぽつりぽつりと緋菜は今まで思ってた言葉を吐き出し始める。
「お母さんも、お父さんも……帰って来て、くれなかった……」
————学校にも、行かせてもらえなくて……誰も家に居ないくて……私一人だった……。
私の手は緋菜の涙を拭う事が出来ず、歯痒い思いをする。
こうなった経緯を思い出している緋菜にはただ辛い感情を呼び起こしてるだけと同じ事だ。
「…………緋菜、どうしたい? どうして欲しい?」
そんな緋菜に、私が出来る事は2つ。でも、選択としては実質1つだけ。
緋菜は未だ涙を流しながら徐に顔を上げ、私の言葉をゆっくりと咀嚼して。
「いろ、は……私を、たす……けて……」
この苦しみから、この寂しさから、この孤独から、助けて欲しいと、その目は私に訴えた。
「……解った」
5年間を共に過ごし、私は緋菜を見守っていた。
でも、そんな日常も今日で終わりになる。
「また、いつか……会い、たい」
緋菜は不安そうに呟きのような囁きを溢した。
「大丈夫。見つけてあげるから」
幼いままの緋菜は無理して成長した。
大人になりたくて、学校に行きたくて、友達に会いたくて、頑張ってた。
でも、今私の目の前にいる緋菜はただの幼い————9歳の女の子で。
「————ありがとう————」
そう言って緋菜は最後に微笑んだ。

Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.67 )
日時: 2017/04/17 08:57
名前: 有夏 (ID: tqRRDXqi)

『銀竜草-ギンリョウソウ-』
Episode.9:またいつか、会うために-Side:彩羽-


緋菜を成仏させた後、私は一人まだ緋菜の家の前で立ち尽くしていた。

この家は、確かに緋菜の家族のものだった。
でも、緋菜の家族は10年も前に事故で亡くなって、父方のお祖母さんが所有したまま放置されていた。
何故緋菜は独りで逝ってしまったのか。
それはきっと、緋菜には戸籍がなくて学校に行けなかったのも母方のお祖母さんにストーキング行為を受けて危ないからだと、新聞に記されていた。
緋菜に名前を聞いた時、母に調べてもらっていたから、私は本当は最初から知っていたのに……
言い訳をするならば、あの子は不安定な存在だったから。
少しの言葉で、良い方にも悪い方にも動いてしまう不安定さで。
直ぐに気付かせるにはリスクがあった。
本音を言えば、不安定なら良い方へ導いて安定させれば友達になって一緒に居れると思ってた。
でも、それは無理だとある時気付いたんだ。
『これは私の我儘で、緋菜を成仏させれば緋菜は生まれ変わって自由になれる』
でも、勿論迷った。今まで私が成仏させてきたのは害意のある者だけだったから。
害意の無い、幼い子供を成仏させると言うのは罪悪感がある。
生まれ変わってどれだけ今以上に幸せになれるのか、もしくは今以上に不幸になるのかそれは判らないけれど、曖昧なまま存在して苦しんでいるよりは良いとそう思って。



最初、無償でこの仕事を請け負った。
"居る"のか"居ない"のか視てほしいと言うもので、視たらいた。
害意が有るのか無いのか。それは「今のところは無い」とだけ伝えてその子に近づいた。
祓って欲しいとは依頼されてない。だから、ただ友達に成りたくて。
中学に上がる時、職員に緋菜の話をした。
そしたら有償で、
「基本は見守るだけで良いけど、怪我人が出たら直ぐにでも祓って欲しい」
と言われた。だから、今日直ぐに成仏させた。

「緋菜、幸せにね」
生前、きっと緋菜は緋菜なりに幸せは感じていたと思う。
でも、逝ってしまった後の独りの時間はただ悲しくて寂しくて辛いものだったと思うから、来世では家族で仲良く暮らして欲しい。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16