BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【完結】百合(GL) 短編(?)集
- 日時: 2025/05/09 21:38
- 名前: 有夏 (ID: KskuKnLt)
初めまして、有夏と申します!
このスレは私がふと思い付いた内容の百合(GL)をさーっと書いていく物です
何かが突然始まって突然終わるかもしれないです
・一応百合(GL)のつもりでも、どっちかの一人称が「ボク」だったりする場合があります
・キャラクター紹介はプロローグの後に決めました
・一つ目の作品と次の作品の物に基本的、繋がりはありません
・続編やアナザーストーリー、サイドストーリーの場合は明記します
・【短編(?)集】なので、色々な物が詰まってます
こんなので良かったらパラッと見ていってくださーい!
気付いたら結構な閲覧数に……感謝感謝です!
これからもどうぞよろしくお願いします!
お知らせ>>76 >>77
《目次》
1『私はキミの』>>1 >>3-21(終) キャラクター>>2
シリアス?
※↑この小説は大人小説カキコのとある雑談スレに私が別名で投稿した歌詞が元になっています。
2『真実の愛とは?』>>22 >>24-42(終) キャラクター>>23
シリアス?
3『真実の愛とは? スピンオフ』>>43 >>45-52(終) キャラクター>>44
シリアス?最後ちょっと甘い
4『銀竜草-ギンリョウソウ-』>>53 >>55-68(終) キャラクター>>54
シリアス?ミステリー?ファンタジー?※一部流血有
5『ほのぼのしそうな話-アリムラ荘の日常-』>>69 >>71-75(終) キャラクター>>70
ほのぼの?
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.3 )
- 日時: 2021/01/20 22:07
- 名前: 有夏 (ID: 0rBrxZqP)
『私はキミの』
Episode.1:初めての場所、初めてまして-Side:ユカ-
いつもと変わらないはずの、金曜日。
今日は何となく、いつもよりジメジメしてる感じがした。
確かに今は梅雨だけど、何か憂鬱な気分。
「由香〜、お昼一緒に食べよ〜!」
厚い雲の浮かぶ空を窓越しに見上げていたら、聞き慣れた声が私を呼んだ。
反射的にいつもの笑顔を張り付けて声のした方を振り替える。
そこには一緒に行動することの多い西脇 愛(にしわき あい)が立っていた。
いつもの笑顔は崩れないけど、今は憂鬱な気分で人前にいたら暗くしてしまいそう。
「あー……ごめん、今日は約束してる子がいて……その子、人見知りだし……」
嘘だった。
別に、約束なんてしていない。
今はただ一人になりたくて、嘘を吐いた。
「そう? じゃあ、また今度一緒に食べよー」
呆気なく引いてくれて、安心した。
でも、申し訳なさそうに表情を保って一言「ごめんね」と付け加えると「気にしないでー」っと応えて愛は教室を後にした。
私は誰にも気付かれないように小さく溜め息を吐いてから母の作ってくれたお弁当を持って一人になれる場所を探しに、教室を出た。
いつもはこんなに憂鬱な気分にならないのに、何故今日はこんなにも。
「あ……そういえば……」
前に、屋上開放されていると先生から聞いたことがあった。
何故か人は中々来ないらしいし、あそこなら、きっと。
そう思って、私は迷いなく一度も行った事の無い屋上へ向かう。
階段を見つけ、ひとりで上っていく。
踊り場にも人影はない。
教室よりもジメジメしてて、首や額にうっすらと汗が滲む。
この時期は、屋上は人が少ない。
直射日光だし、日陰少ないし、ジメジメしてるから、らしい。
最後の一段を上り、目の前にある白に近い灰色のドアを見付ける。
(本当に、開放されてるのかな?)
そっと、ドアノブに手を掛けて捻ってみた。
————ガチャッ
「あ……本当に開いた」
意外と軽いドアを押し開け、誰もいないであろう屋上へと一歩を踏み出した。
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.4 )
- 日時: 2017/03/01 00:14
- 名前: 有夏 (ID: VNRRceKz)
『私はキミの』
Episode.1:初めての場所、初めまして-Side:ユカ-(続き)
ドアを開けると、室内よりも空気がジメジメしてて少し不快に感じる。
四方を2メートル半ほどのフェンスが囲んでて、ちゃんと安全面での対策が出来ていた。
「……誰も、居ないよね……?」
辺りを見回して、呟いてみるが返事はなさそうで安心した。
ドアノブから手を離すと静かに閉まり、屋上には私独りだけの空間になった。
私はいつも誰かといる。
でも、今は自ら選んで独りになった。
誰かと居ないと、やっぱり寂しい。
でも、私の所為でその場の空気を暗くしてしまったら嫌だから……。
「ねえ」
不意に声がして顔を上げると、いつの間にか少女がいた。格好——当然と言えば当然だがこの学校の制服——からして、この学校の生徒。しかもリボンの色からして同級生。
考え事に集中し過ぎて人が来た事に気付かなかったらしい。
「どうして無理に笑うの?」
その問いは、唐突だった。
声を掛けられた直後に私が返事を出来なかった事を全く気にせず、その人は躊躇い無く訊いてきた。
「えっ」
どうして気付いたんだろう、私ただ考え事してただけなのに。
「どっ、どうして気付いたの?」
言ってから、失敗したと思った。
だって、これじゃあ『無理に笑ってます』って肯定してるのと同じ。
「ふふふっ」
必死に笑いを堪えていたらしい彼女は失笑していた。
それに私は更に戸惑う。
そんな私を見て彼女はふぅ、と息を吐いてから悪戯な笑みを浮かべて答えた。
「どうしてだろうね?」
とても楽しそうだった。私はからかわれてるのかな?
でも、楽しそうに答えた彼女は一瞬だけ子供を見守る親の様な目をしていた。
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.5 )
- 日時: 2017/03/01 00:15
- 名前: 有夏 (ID: VNRRceKz)
『私はキミの』
Episode.2:気付かないキミ、気付いて欲しくない私-Side:マオ-
あれからあの子はよく、この場所へ来るようになっていた。
晴れた日は特に元気で。
「おはよう……!」
今日も、楽しそう。
初めて言葉を交わしてから2週間。
先日、夏休みに入ったら学校の屋上で顔を会わせることがなくなるね、と言ったら泣きそうな顔をされた。そしたら夏休みまで毎日ここへ来る言われてしまった。私だって毎日は来ないのに。
因みに、夏休みまではあと1週間。
「おはよう。飽きないの?」
そんなに毎日同じ人の顔を見て、同じ声を聴いて、飽きないのが不思議でたまらない。
でも、きっとキミは私の言葉の意味をちゃんとは理解できない。
「え? 飽きないって、何が?」
キミは寂しがりだから。私とは、正反対。
「ううん、何でもない」
説明も面倒臭い。
たった2週間で、キミは大分感情を露にするようになっていた。
多分、その事にまだ気付いてない。
どうして、私なんだろうか。
"私"に理解されたのがそんなに嬉しいの?
「そう? ならいいや。あのね、マオ————!」
いつもこうやって、私はキミの話を聞く。
別に、苦痛ではいけど、特に楽しい訳でもない。
ただ話を聴いて、相槌をうって「そっか」とか「良かったね」とか「寂しかったんだ」とかって言うだけでキミは喜ぶ。
よく言えば素直で、悪く言えば単純だと、私は感じる。
それが、キミの良い所なのかな。
キミの笑顔は、キラキラしてるね。
「ねえ、ユカ」
キミと言葉を交わして、キミが変わっていくのを見てて、一つ疑問に思ったことがあった。
「うん?」
私から話をするのがあまり無い為、珍しいと言うような顔をして先を促される。
キミは、どんな顔をするのかな。
「もし、私が消えたらどうする?」
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.6 )
- 日時: 2017/02/25 17:47
- 名前: 有夏 (ID: jbrtekHj)
『私はキミの』
Episode.3:変わる私、変わる世界-Side:ユカ-
晴れた日は、いつも気分が高揚する。
屋上へ向かう足取りがいつもでさえ軽いのに、更に軽くなる。
マオと出会って、世界が変わった。
前より、友達といることも楽しくなった。
ただ寂しいから友達と居るんじゃなくて、楽しいから友達と居たいって思えるようになった。
それはきっと、マオが掛けてくれた言葉のおかげ。
「無理に笑わなくたっていいよ」って、
「泣いてもいいんだよ」って、
嬉しくて、泣きそうになった。
最後に泣いたのがいつかも覚えてない私は、その時久し振りに泣いたんだ。
マオに抱き締められながら、ただただ泣いてた。
いつも世界は灰色な気がしてた。
色が無くて、無機質だって。
でも、マオと出会って世界は変わった。
世界は色鮮やかで無機質なんかじゃなくて。
私のつまらない世界を、マオが変えてくれたんだ。
それからだった。
それに、気付いた頃から皆に対して自然に笑えるようになっていた。
愛想笑いなんかじゃなくて。作った笑顔なんかじゃなくて。
なのに、ねえ……どうして?
「もし、私が消えたらどうする?」
どうして、そんな意地悪なこと訊くの?
消えないで。側に居て。居なくならないで。
「嫌だよ……マオ……側に居て欲しい……」
ポロポロと涙が溢れてた。次から次へと、涙は止まることを知らない。
マオにぎゅって抱き付いて、震える声で答えた。
何でもするから居なくならないで、って。
「…………何でも、するの?」
ぽそってマオに聞き返された。
何でもするよ、マオが消えないでいてくれるのなら。
「何でもっ、す、るっ……!」
さっきより強く抱き締めると、マオが背中を擦ってくれる。
マオが居なくなったらって考えるだけでこんなに泣いているのに、本当にマオが居なくなったら、私はどうなってしまうの判らない。
「……あっそ」
いつもみたいに、短くて素っ気ない応え。
でも、私の背中は擦り続けてくれる。
居なくなるなんて、ただの冗談だよね?
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.7 )
- 日時: 2021/01/20 22:13
- 名前: 有夏 (ID: 0rBrxZqP)
『私はキミの』
Episode.4:夏休み-Side:マオ-
夏休みの間は、海外にいる父親の許へ行くから会えないとユカには言った。
確かに父親は海外出張で居ない。
でも、夏休みは1週間ぐらい帰って来れる。
私達から会いに行くことはない。
理由としては、父親が"家"に居たいかららしい。
まあ、父が家に居ようが居なかろうが私は自室の天窓をベッドに横になりながら見上げてるだけだけど。
この天窓はシャッターみたいなの閉めること出来るから真夏の太陽の熱を浴びることが無いようにも出来るからとても楽。
————コンコンッ
わりと控え目なノックが二回され、ベッドに横になったままドアの方に顔を向ける。
「……開いてる」
素っ気なく応えると、ゆっくりドアが開く。
ノックは躊躇っても、ドアを開けるのは躊躇わないとは面白い態度をするもんだね、私の姉は。
「真緒、久し振りー!」
満面の笑みで、元気よくそう言われても、あんま嬉しくない。
「……久し振り、何か用?」
まあ、答えは予想がつくけどね。
「えー、用が無きゃ愛しの妹に会いに来ちゃダメなの〜?」
その愛を自分の娘に注いであげなよ。
自分の娘に厳しすぎるんだから。
「あんまり厳しいと、その内 真衣は私みたいになるよ」
体を起こす気力はなくて、ベッドで横になったまま姉の亜衣に言うと、姉は静かに私のベッドに腰かける。
そして少しの沈黙の後、姉は応えた。
「いいのよ、あのぐらいで。ちゃんと甘やかしてくれる人も居るんだし」
例え、それが血の繋がらない人でも、ね。
姉は、20歳で結婚してその年に真衣を産んで、2年後に夫——私の義兄——を事故で失った。
今は小学校1年生の真衣を厳しく育てながら、支えてくれている人も居る。
「それでバランス取れればいいね」
私から振った話だが、興味がわかない。
私には優しさなんてものも、思い遣りなんて物もないから身内の話でさえどうでもいいと思ってしまう。
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