複雑・ファジー小説

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【二十節で凜を終了させるつもりが……】聖剣少女【二十節】
日時: 2012/04/15 21:48
名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: ZUkStBmr)

※この小説にはグロ要素が含まれます。
※この小説には極軽い百合が入っております。
こんにちは……かは分かりませんが、ひとまずこんにちは。どうも、白波です。
 最近Fate/Zeroにハマって武器とかを調べていく内に、あれ、これで話創れるじゃん。という安易な発想に至り、Fate風に剣の名前を付けて今回の小説に至りました。
 まあ、前置きとか要らないと思うので、早速プロローグを。

プロローグ
 さて、いきなりだが、古代の神話や中世には様々な聖剣、魔剣があった。
 そして、その聖剣達は、例外なく最高レベルの功績を歴史に刻みつけていた。
 仮にその剣達が一つの時代に集まって、その優劣を競いあったなら? そんなことをとある聖剣が思いつき「ねぇねぇ、アンタ達! ずっとエリサが最強の剣って言うのも変だとは思わない? だからさぁ皆で誰が一番強いのか競ってみない?」と、かの聖剣エクスカリバーの人の姿、エリサ・カリバーンが言い、それに他十二本の剣が賛同し、今回の『聖剣闘争“ラグナロク”』が始まった。
 そして、三年の持ち主探しの後に再びこの『名を持つ神剣の墓“コロッセオ”』にてラグナロクが開催されることとなる。

プロローグ
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零章〜剣は持ち主を選ぶ〜
第一節>>1第二節>>4第三節>>7第四節>>11第五節>>12第六節>>15第七節>>19第八節>>20第九節>>21第十節>>25第十一節>>27第十二節>>34第十三節>>37第十四節>>40第十五節>>46第十六節>>47十七節>>51十八節>>54十九節>>55二十節>>62

短々々々々編
バレンタイン編>>43

来てくださったお客様
陽さん…姫と魔物の方です。
いちご牛乳さん…#魔法学園戦記!の方です。
秋桜さん…とある十二姉妹的なあれの方です。
風猫さん…陰陽呪黎キリカの方です。
リオン(雫音)さん…萩宮学園戦乱白書の方です。
如々さん…この星の名前は、地球というのですの方です。
桜坂さん…終焉の魔女に告ぐの方です。
檜原武甲さん…罪とDesert Eagleの方です。
柚子さん…殺戮は快楽での方です。
ステ虎さん…AFの方です。
弥琴さん…鑑定士さんです。
白月さん…黒ウサギ×銀色蝶々の方です。
緋賀アリスさん…妄想腐女子とボッチ女子の方です。
狒牙さん…Invincible abilityの方です。

Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【コメントを下さい】〜第十四節〜 ( No.43 )
日時: 2012/02/14 22:49
名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: 7mGgpC5l)

小ネタ集、短々々々々編バレンタイン編

こんばんは白波です。今回はバレンタインってことでセリフのみの超短編。短々々々々編をメインキャラのペア五組で書かせてもらいます。
いつもの描写ばっかの長文ではないので、息抜きにでも見てくださいな。
※百萌の未出パートナーが出たりします。ご了承を。本編で出るまで見たくないならブラウザバックで。

カーラ、渚の場合。
「あの、渚さん。このチョコってなんなんですの?」
「ん? ああ、カーラはバレンタインの習慣知らないんだっけ?」
「はい。私はその手の知識には疎くて……」
「まあ、簡単に言えば好きな人にチョコをあげる日だな。でも最近は……」
「えっ? えぇっ!? 渚さん、私のことが!?」
「違う! 人の話しを最後まで聴け!」
「でっ、でも、女の子同士でそんなことは……」
「だーかーらー……人の話しを聴けー!」

澪、霊歌の場合。
「霊歌お姉ちゃん! 霊歌お姉ちゃん!」
「ん?」
「私、霊歌お姉ちゃんにチョコ作ってみたんだー!」
「随分赤いね。イチゴ?」
「えっ? 血だよ?」
「へぇ。ありがと」
(澪も段々分かってきたな……)

ロイズ、京子の場合。
「京子、今日はバレンタインというものらしいな」
「ん? そうだけど、それが何よ?」
「ほら、ウチに渡すものがあるんじゃないか?」
「ああ、生徒会と凛の分しか作ってないのよ。ごめんね?」
「えっ」

ラディア、凛の場合。
「ラディアちゃん! チョコ頂戴!」
「芽上、汝は昨日も死ぬほど食べておったではないか」
「昨日は昨日! 今日は今日だし!」
「まあ、そう言うと思って作っておったわ。ほれ。住まわせてもらっているせめてもの礼じゃ」
「ありがとー。てか、ラディアちゃんチョコ作れたの!?」
「言うな!」

レイン(未出)、百萌の場合。
「レインー。チョコあげるよ」
「火崎、もしかしてだけど何か混ぜちゃいないだろうね?」
「大丈夫! 本命ってだけだもん!」
「…………ハァ……。オレはそれはそれでたち悪いと思うよ……」
「で、返事は?」
「オレは君のパートナーとして君を守るけど、それだけでそれ以上では無いと言わせてもらおうかな」
「むー……。じゃあ、今の気持ちは?」
「まあ、パートナーの火崎からこんなに好意をもらってることは嬉しいかな」
「レイン……やっぱり好きだー!」
「ちょっと火崎! 抱き付いたどさくさでオレの胸触んないでくれ!」

以上全五編でした。

バレンタイン企画で人気投票的なものをやろうかと。
まあ、バレンタインらしくチョコをもらいたい人と、あげたい人No.1を決定します。
未出キャラレインを記入しても構いませんよ(笑)
期間は二月二十日までということで。誰か投票してください。お願いします。
以下コピペ用
————————————
チョコをもらいたい人「」
チョコをあげたい人「」
————————————

Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【バレンタインの短々々々々編】 ( No.44 )
日時: 2012/02/15 13:07
名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: g2Ez2oFh)
参照: コメント下さった方々少し待ってください! 必ず返すです!

僕と契約して魔法少女になってよ?からの「その幻想をぶっ壊す!」でごきげんよう風猫です^^
頭が可笑しい文章で反応しがたいでしょうがご挨拶です♪

あぁ、深夜に暗い中でいつも書いてるから私は誤字脱字が多いのか★ 成程、何だか参考にorz
自分の事ばかり申し訳ない。
龍之介の名言ですね!
へぇ、ウェーバー君自身賢そうなイメージがあるのでそれは楽しみですな。
え? 何だか私が恥かいたみたいじゃないか(汗

いえいえ、第三回も今やっているので(しかもかいて下さった方が少ない!)是非是非!
父の剣砥さんが何気に格好良いですね。公平な判断を出来る男は好きです!

短編、良い感じにキャラ立てれてますね^^
バレンタインかぁ……

Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【バレンタインの短々々々々編】 ( No.45 )
日時: 2012/02/15 21:08
名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: lD2cco6.)

コメントありがとうございます。
ミスは誰にでもありますよ! と正当化しました。
お前が言うなですよね。霊歌ペアも言えません。
着ている服がアドミラル大戦略のあれです。
漫画知識とウィキからイメージを忠実に作りました。

空でネタを作るのが難しくて……。

剣砥は重要な脇役です。
短編は息抜きですし、キャラ崩壊させまくる手もあるんですが。個人的には百萌ペアと霊歌ペアの短編が好きです。
ではでは。今からグロ御礼第十五節ですので、良かったら見てくださいな。

Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【バレンタインの短々々々々編】 ( No.46 )
日時: 2012/02/15 21:11
名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: 7mGgpC5l)
参照: グロ注意

零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第十五節

 今回はとある二人の時間軸を一週間前まで進めさせてもらおうかと思う。

 八日前、山梨。

 彼女達、真罪澪と黒木霊歌は“いつも通り”適当な人間を誘拐し人気のない場所に連れ込んでは彼女達が“芸術”と称する殺人を行っていた。

「霊歌お姉ちゃん、霊歌お姉ちゃん。今回はどうするの?」
 計画の構想中なのか、それぞれ木に縛り付けた中学生ぐらいの男と女を見ながら真罪澪は言う。
 一年半前に黒木霊歌と出会った彼女は今ではすっかり霊歌お姉ちゃんと呼んで懐いている。よほど二人は相性がいいのだろう。
 むしろこの異常者達には、これ以外のパートナーが居ないようにも思えるが。
「今回は……うん。私は“耳無し芳一”をやろうかな」
 黒木霊歌は少し考えた後に独自の殺害方法“耳無し芳一”を決行することにした。
「あっ、あれ面白いよね! 私、お食事する前に見てたいなー。良い?」
 黒木霊歌が提示した殺害方法は真罪澪の結構気に入っているモノだったらしく、にぱっと口角を上げて喜んでいる。

「当然でしょ? 芸術は見られるためにあるんだから」
 そう言いながら黒木霊歌は刃渡り10cm程のナイフを取り出し中学男子の手へと月の明かりに照らされて怪しく光るそれを近付けていく。
 そして、軽く刃先を手の甲に触れさせ、筆で字を書くようにナイフの先端を少年の手から腕に適当な文字を書きながら書き進めていく。
「んっ——! っ!?」
 痛み自体は比較的無いものの、継続的に満遍なく腕に痛みが広がっていき、自分の視界に入る腕から流れて文字を消すように下へと流れては永遠と流れ落ちる自分の赤い血が痛みを増強して少年はそれを我慢するためにくわえさせられている猿轡を一層強く噛み締め、苦しそうな顔を浮かべる。
 実際の痛みがそこまでではなく脳が痛覚の遮断をなかなか行わないために少年は四肢全てに文字を刻み込まれても痛覚を完全に遮断することは出来ず、苦痛に満ちた表情をあからさまに浮かべている。

 そして、疲れたのか多少休憩といった風に休んでいる黒木霊歌は少年の苦痛に満ちた表情にしっかりとピントを合わせ、携帯に内蔵されているカメラで顔をアップで撮った。
 隣に縛り付けている女が『外道』とか『鬼』とか『異常者』とか言ったように聞こえるが、猿轡を噛まされているためそんなことをちゃんと聞き取れるわけもなく、ただ五月蝿いとしか思わなかった。
 だから「澪、口封じ」これだけ真罪澪に言って少女を喋れないように歯を全て抜かせておいた。
 当然叫び声が少し行った先の民家に届くこともなく、その叫び声は黒木霊歌の携帯のボイスレコーダーにとられるだけで終わり、その後は猿轡を噛まされている、噛まされていない関係なく声を発することすら出来なくなった。

 そして、再び視線を少年へと移し上半身の服を破いて脱がした。
 当然いかがわしい行為に及ぶとかそういうことではなく、上半身にも文字をナイフで刻み込むためである。
 そして、上半身が終われば下半身も同様に。

 もうお分かりだろうが、耳無し芳一とはその話しの通りに耳を除いた全身に呪文のように文字をナイフで刻み込み、仕上げに両耳をナイフで切り落とすという殺害方法である。
 これをされた死体は全身から血を流し、それで自身の身体を真っ赤に染め上げ、苦痛に満ちた表情をしながら失血死していくという極めて残酷で手間のかかる殺し方だ。
『そりゃあ、手間がかかるからこそ更に芸術性は増し、作品は美しくなるからよ』
 これはかつて彼女が真罪澪と出会った後に初めてこれを行い『なんでこんなにめんどくさいやり方するの?』と聴かれた時に彼女が当然のように言った回答であり、終わった後の真っ赤な死体を見た真罪澪は更に彼女の狂った芸術性に魅せられ自分の“食事”に少なからず影響をもたらした。

 下半身が終わった彼女は最後の仕上げ“顔”に取り掛かる。
 目や口のデリケートな部分。そして耳に当たらないように身長に頬に、額に、顔全体にナイフを這わせて特に意味もない文字を羅列させていく。
 彼は痛みで最早気絶も出来ないらしく、眼前にナイフがあるという光景から目を逸らそうと目をつぶり、痛みをなるべく気にしないようにしている。
 しかし、そうすればするほど痛みを意識したり、ナイフをイメージしてしまうのが人間なため、彼の痛みは更に増していった。

 これで完成でも人間の所業とは思えない酷い有り様なのだが、黒木霊歌は更なる手を少年に加える。
 唯一傷つかず残っていた両耳にナイフを当て、耳無し芳一の話しを再現するように赤い文字がかかれていないその耳だけを勢いよく身体から分離させる。
 そして、痛みに一瞬悲鳴のような声をあげ、大量出血による失血死で少年は死んでいった。

 それを見た少女は吐き気を催し『ニュースでもみてたけど、やっぱりこの人たちは人間じゃない』と思い、縄をどうにかして解いて逃げようと暴れ回っていたが、か細いが、小さな人間とは思えないどころか成人男性とすら思えない程強い幼女の腕がそれを阻止する。
「ねぇ、霊歌お姉ちゃん。この子は私が食べても良いんだよね? お姉ちゃんが作品を作ってる姿を見たら興奮しちゃって腹ペコだよー」
「良いよ」
 少年が真っ赤になった姿を携帯のカメラで撮りながら二つ返事で答える。
「えへへっ。じゃあ、ちゃんと見ててね?」
 そう言うが速いか、動くが速いか幼女は少女の口にその細い腕を差し込み、腕が自由に動く程度に自分の腕を剣にして心臓まで差し込み、幼女はそのまま自分の腕を微動だにせず固定した。
(もう殺しちゃったのか……)
 そんなことを黒木霊歌は思っていたが、そうではなった。
 なぜなら、心臓を貫かれたはずの今も少女は必死に抵抗を続け、真罪澪の腕をはきかえそうと頑張っているからだ。
 当然少女の力で剣である真罪澪が動くはずもなく抵抗は無駄に終わった。

 真罪澪が少女の口に手を入れて心臓に届かせてから少し時間がたったが二人の体制に変化はない。しかし、見た目の変化は明確で、少女の顔から血の気がどんどんと引いている。
 これを見て黒木霊歌は「あぁ」と納得したように言って、わざとらしくポンと手を叩いた。
 真罪澪は少女の心臓を自身に備わる魔力を使い強制的に動かしながら少女に流れている新鮮な血を余すことなく直飲みしているのだ。これだけの鮮度の血が手には入れば使った魔力などは些細なことでしかなく、普通に食事するよりも魔力を創ることができるぐらいでさえあった。
 事実、食事中は恍惚の表情を浮かべる彼女はいつにもまして、黒木霊歌が今まで見たこともないようなとろけた顔を浮かべて少女の血を飲み続けている。

 数分が経つと少女の中にあった血液は全て真罪澪の魔力へと変換され、少女は血液分しぼんだ状態で真罪澪の腕に力無くぶら下がり、腕を抜かれると支えをなくしたために地面へと重力に従い落ちた。

「どうだった? どうだった?」
 真罪澪は自分の方法の評価が気になったらしく黒木霊歌に元気三割り増しで尋ねる。
「ちょっと地味だけど、魔剣らしさが充分出てたし、死体のの姿も良いね。私はいいと思うな」
 肯定されたことが嬉しいのか「でしょ? でしょ! じゃあ、あと一週間しか無いし東京行こっ!」そう言って彼女の服の袖を掴んで走っていった。
「ちょっと、服伸びるじゃん」
 そうは言うものの笑顔で二つの死体を背に殺人鬼は東京へと向かっていった。

Re: 【グロ注意!】聖剣少女【アンケとコメを】第十五節更新 ( No.47 )
日時: 2012/02/24 21:12
名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: GyOijjIz)

零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第十六節

 相席した女性の突然の発言があり、芽上凛はバスが停車するまでの数秒間固まっていたが、なんとか我を取り戻して定期券を使ってバスから降車して、先程の発言について問い質すことにした。

「あのー……初対面の私の家に泊まりたいって、なに? 新手の告白? 冗談? ドッキリ?」
「それらのどれでもなく、本気である場合我はどうすればいい?」
 そういう彼女の目と口調が本気だったために芽上凜はもはや多少の諦めから「笑えば良いと思うよ(私が)」そう言って苦笑いを浮かべた。
「ん? こうか?」
 彼女は芽上凜が言葉の最後に心の中で『私が』付け足したことになど当然気付かず、芽上凜の言葉に反応してぎこちない作り笑いを顔に浮かべる。
「笑うなら笑うでもうちょっと自然に浮かべようよ……」
 彼女のぎこちない作り笑いを見た芽上凜の顔からは、もはや苦笑いさえも消え、ただただ溜め息を吐くばかりだった。

「で、汝は我を泊めてくれるのか? くれないのか?」
「えーっとねー……」
 次に出す言葉を考えているのか、多少の間を作り、いつもよりも低い彼女の中の出来る限り男っぽい声で「うち、今日さ、親居ないんだ」彼氏彼女でないにも関わらず、ある種の定番とも言える言葉を口にする。
 要するに良いと言いたいのだが、このセリフを使う機会はあまりなく、今がチャンスと思ったので『親居ないんだ』を使ったらしい。
 実際に親がいないのは本当だったりする。

「つまりそれは……この後我は、汝と一夜を明かすということか? それが汝の家に泊まる条件だというのなら…………仕方ない。受けようではないか」
 途端に彼女は意味もなく、本当に意味もなく神妙な顔つきになり、芽上凛の言葉に応える。
 正直な話し自分でも『なぜこんな顔をして相手の言葉に応えているのだろう』とか『この条件だったら野宿の方が良いのではないか?』といった考えが浮かんだが『そういえば我はこやつに剣として使ってもらうために来たのだった』という本来の目的を思い出したため、あるこれは意味結果オーライとも言える発言だった。

 芽上凜からすればこれは完全にネタとしての発言だったために、再び一瞬固まったが、返しの言葉が思い付いたというように首を二回右人差し指で軽く叩き先程とは違い可愛らしい声でその言葉を口にする。
「今夜は寝かさないぞっ……じゃないし! ネタだよネタ! なんで初対面の私と君がいきなり百合展開なんだよー!」
 ここまでが自分で考えていたノリツッコミなのだが、彼女はここで思わず口が滑ってしまう。
「どうせ百合百合するなら幼なじみの京子とが良いもん! …………あ」
 完全に言い切ってしまってから初対面の人にした大胆カミングアウトに気づき今度は家に向かい歩くことすら停止してその場にへたり込むことすら出来ずに、電柱のように固まって立っていた。

 その発言を冷やかすように「ほうほう、その京子とやらと汝はアツアツなのか」そう言いながらクツクツと笑う。

「いやいや、これは違うし! 例えばの話しで……って、私はなに言ってんだよー……」
 自らの発言に顔を火が出るように真っ赤にして、明らかに動揺している。
 その発言にさらに初対面の彼女はニヤニヤとしていたので「うー……もう行くよ! これ以上この話し続けるなら私の家連れてってあげないもん! そもそも君は名前ぐらい名乗るべきじゃないかな?」半分捨て台詞のような言葉を言って芽上凛はスタスタと歩き始め、少し行ってから先程の発言を思い出したのか再び顔を赤くして走って家へと向かっていった。

 そして自宅へ。
 芽上凛の自宅は塵一つ無いとまでは言えないが小綺麗にされており、オール電化のキッチンを完備した五LDKの一般的な家だった。
 使われていない部屋まで充分に手が行き届いており、全ての部屋からその家特有の生活臭がする。

「で、結局君の名前は?」
 私服に着替えた芽上凛は、エプロン姿で二人分の夕食を作りながらテレビを観ている彼女に尋ねる。
 十人がいれば九人がドジッ娘と評される芽上凛なのでその動作に危なっかしいところこそあったが、ギリギリのところで決定的なミスをせずにここまで料理をしていた。
「我はラディア・カリバーンという。汝は?」
「私は芽上凛だよー。……おっと」
 野菜炒めをフライパンの上でひっくり返そうとフライパンを回し、強すぎたために野菜が落ちそうになるがなんとかキャッチする。
 それを見ていたラディア・カリバーンは見るに耐えなくなったのか「それを貸せ。我がやろう」そう言って立ち上がりキッチンへと入ってきてゴスロリの上からエプロンを着けた。
 芽上凛の不器用さに溜め息を吐きつつフライパンを取った彼女だったが料理自体は物凄く上手く『良いお嫁さんになりそうだね』と芽上凛に称される技術を持っていた。

 結局はラディア・カリバーンが七割近くの料理を一人で作り、先程の野菜炒めを始めとし、今が旬のマダイを一匹丸ごと塩焼きにしたもの、白味噌で作った豚汁、ほしのゆめを使った普通の白米と完全に和食を作り上げた。
 元々芽上凛は、このメニューのみの予定だったが「デザートが無い」と言ったラディア・カリバーンが偶然見つけた小豆を使って、お汁粉をメニューに追加した。
 彼女がデザートにかける執着は半端なモノではなく、小豆も十分以上に渡り芽上家のキッチンを探してようやく見つけたものなので、偶然というよりは努力の賜物と言った方が正しいような気もする。

「じゃあ、いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
 黙々と食べ続ける両者だったが、沈黙が苦手な芽上凜は塩焼きに大根おろしを少し着けて口に運びながらラディア・カリバーンに尋ねる。
「ラディアちゃんって、どして私の家に来たし?」
「ん、それはだなぁ……」
 彼女は少しの間言い渋っていたが『結局は話すことになるし、丁度良いか』と思って「我は汝に一本の剣として使ってもらえるよう頼みに汝に話し掛けた」と言う。
 この言葉に芽上凜は何も言うことが出来ずに箸を床に落としてしまい、カランという音が静まった芽上家に響いた。


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