複雑・ファジー小説
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- QUIZ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係
- 日時: 2015/08/04 17:28
- 名前: ゆぅ (ID: cdCu00PP)
はじめましてー。
クリック誠に感謝致します。
ゆぅと申します@
@2012夏の小説大会で金賞(?)を獲らせて頂きしました!!
@そして遂に参照1000越えをしましたっ!!!(2012.8.2)
@参照2000越えをしましたっ!!!(2012.12.24)
@参照2500越えをしましたっ!!!(2013.3.25)
@参照3000越えをしましたっ!!!(2013.9.24)
↑詠んでくれている方、クリックして下さった方、本当にありがとうございます#
これからも応援宜しくお願い致します*。
【注意書き】
@ミステリーものですので、流血等の描写はあります。しかし、そんなエグい感じじゃないのでご安心を。
@卑猥な発言はときどきありますが、これもそんな騒ぐ程の量ではないのでご安心を。
@コレどっかで聞いて事あるぞとか言うのがあるかも知れませんがそこゎ私素人なので見逃して下さい。
@1話が結構長いです。読むのだるい疲れた面倒臭いと言う方は最後の方を読んで頂ければ犯人が書いてあります。
@誤字、脱字は絶対あると思います。その時はどうか指摘して頂けると嬉しいです。
@読んでも訳がわからない場合は個人的におっしゃって下さい。できる限りの説明はさせて頂きます。
そして警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係と言うのは架空の部署です。
この物語は完全フィクションであり、実際の警察階級や対応の仕方、捜査する事件内容などとは異なりますのであくまでも物語としてお楽しみ頂けると幸いです。
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主な登場人物↓
@木元 純 キモト ジュン 24歳
第四係の巡査部長。
科捜研から飛ばされてきた。この物語の主人公みたいな人。朝に弱い。
甘党でとにかく甘いもの好き。金には目がない。また非常識で時折上司にもタメ口を使ったりする。
いつも斜めがけのカバンを身につけており、その中からパソコンやお菓子類などが出てくる。貧乏。
理屈っぽい真山とコンビという形になり、言い争いを繰り返す。
@真山 計 マヤマ ケイ 36歳
警部補。木元の上司みたいな人。生活安全課から飛ばされてきた。
拳銃を手にすると震え、引き金が引けない欠点を持つ。
頭はいいが単純な事は考えられない堅物で理屈男で、冷徹な話し方をする。
筋トレが趣味。かなりビビりですぐ白目を向いたりする。
また、高級マンションに独り暮らしをしている結構な金持ち。
木元と性格が合わないせいか、何度も対立をする。
@陣内廉造 ジンナイ レンゾウ 42歳
四係、陣内班の主任。
真山と木元のまとめ役みたいな人。
だが真山には敬語を使う。交通課から飛ばされてきた。
そのくせ三人の中では一番バカで頭は悪いが妙な所で回転が早い。
バツイチ。見た目は柄シャツやサングラスなどチンピラのように見える。関西弁で話す。
@コメントを下さい!!!
@コメントを下さった方の作品をご紹介させて頂きます。
@↑また、作品の所にコメントを書きに行かせて頂きます。
@質問・リクエスト、、、などがあれば言って下さい。
経過↓
Mystery1【パーティをはじめる前でも落ち着いて】 1〜113 完結済
Mystery2【血祭りバカ騒ぎ】 114〜161 完結済
Mystery3【逆だったら】 162〜 進行中
Mystery4【たった1分】 未
Mystery5【病院って微妙に臭い所とそうじゃない所があるけど臭い所ってのは大体外観が汚かったりする】 未
Mystery6【見合いで使うレストランって値段が高いよね】 未
Mystery7【謎の裏の裏の裏は謎】 未
Mystery8【隣にいる人が部屋の中で帽子をかぶっていたらハゲるよって教えてあげよう】 未
Mystery9【月が満ちる時】 未
Mystery10【傍観者】 未
@プロフィール紹介①→>>154
@登場人物整理→>>169
詠んで下さった方の作品↓
・空竜爾 様 【青空に雨が降る】
・龍ノ 様 【—とある学者が作ったモノ。—】
・ナル姫 様 【奥州の森】
・日曜日 様 【僕の隣にいるのは美男子くんと美少女ちゃんです】
・桜坂 様 【うそつきマリオネット】
・向日葵 様 【薔薇色の夜とキミ】
・楓夏@ 様 【幽体離脱】
・湧希 様 【魔獣ハンター】
・SEVENエイト 様 【TREASURE HUNTER】
・狒牙 様 【Invincible ability】
・藤田光規 様 【人間纏鎖〜俺と嘘と鎖と霊と〜】
・しゅーくりぃむ 様 【ライトロードオブダークロード】
・ミルクチョコレート 様 【感情なんてイラナイ】
・風春 様 【わたしの姉が名探偵らしいのだが】
・黒 様 【本の中に入れる本】
・シェランティラルバート 様 【あの時交わした約束】
・陽炎 様 【—日輪草--ニチリンソウ— 】
・池野 刃 様 【輪廻の果てに】
・茜崎あんず 様 【聖使徒サイモンの巡礼】
・六花 様 【かみさま世界】
・クロ羽 様 【変人さんと私】
・藍永智子 様 【桔梗ちゃんの不思議な日常。】
・白銀 巫子 様 【紅色の物語】
・クリスタル 様 【鏡の国の君を捜して……】
・冷凍みかん 様 【【捕まったら】恐怖の鬼ごっこ【__だからな】】
・蒼 様 【僕らの旅〜FROM SPECIAL SCHOOL〜】
・春嵐◇arashi 様 【世界を救う1人の少女の物語】
・汽水 様 【.。○天魔の鎖●.. 】
・霧雨〜BARNA〜 様 【雨の唄】
・柊 様 【鬼孤—キコ—】
・電式 様 【マジで俺を巻き込むな!!】
・34・・・5 様 【雨のち雨】
・しーちゃん 様 【罠】
・rooding roorder rine 様 【真夜中探偵の報告書】
・ベルクシュアテン 様 【スティール・バード】
・ハク 様 【殺人ゲーム〜暗黒の学園〜 】
・螺慈 様 【バイトくん以上、恋人未満。】
・結城紗枝 様
・参謀 様 【Scarlet Infection】
・ゆりかん 様 【あなたの事件、解決しますよ?】
・阿厳 様 【俺の妹はサイコキラー】
・ミム 様 【腐れ時代】
・グランシャリオ 様 【【第一章】GREAT HEVEN】
以上43名の方々です@
- Re: QUIZ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係 ( No.180 )
- 日時: 2013/03/19 00:41
- 名前: ゆぅ (ID: hAtlip/J)
木元が警察署に戻ると、陣内が一人パソコンをいじっていた。
「お、木元ォ。いいところに来た」
陣内はそう言って木元を見た。
「何ですか。テンション高いな」
木元はそう言いながら陣内の見ているパソコンのディスプレイを見た。
「何やっ!お前臭いで。んで、何でジャージ?」
陣内はそう言って鼻をつまみ、木元を見た。
木元は舌打ちをする。
「うるさい!」
お風呂入ってきたのに。銭湯。
濡れてしまったスーツはあとで洗うとして、今はとりあえずグリーンのジャージを着ている。
「・・・んで、何か見つかりましたか」
木元が話題をずらすと、陣内は首をかしげてから言う。
「あぁ、せや。・・・どーも荒れてたらしいで、あの三人」
陣内はマウスをコロコロとしながら言った。
「あの三人って?」
木元は陣内の隣の真山の席の椅子を手で寄せ、腰をおろしながら言う。
「西田、渡部、植原の三人やないかァ。三人とも、ストーカーがいてもおかしないわ」
陣内の見ているディスプレイには掲示板がうつっていた。
『やっぱり一番可愛いのはあさみだろ』『亜美ちゃんに決まってるだろーが』『なっちゃんだろ』などなど・・・。
ファンの間で紛争が起こっていた。
「うーわ。みんな暇ですねぇー」
木元はそう言いながら画面を見つめる。
クロールしてもずっと同じような事しか書かれていない。
「せやなあ。んなんユリに決まっとるやないかい」と陣内。
「・・・・」
「・・・・」
しばしの沈黙のあと、木元は陣内を見て言った。
「すいませんユリって誰ですか。別れた奥さんですか」
「ちゃうわ!何で今別れた嫁の話せなアカンねん。そんでしつこいわ」
陣内も木元を見て言った。
「じゃあ誰ですか、ユリって」
「少女時代や」
「・・・キモ」
木元がそう呟くと。
陣内は立ちあがった。
椅子がコロコローと少し転がって行く。
「誰が『キモ』じゃ!やんのか木元ォ!」
木元はそんな陣内を見上げて言う。
「あぁん、やんのか」
「やったろやないかい!」
「まじですか。内臓的なアレが零れても知りませんよ」
「やらへんわ」
「やらへんのかい。・・・で、この書きこみの人物特定したんですか」
「してへんわ」
「ディスプレイ見てヘラヘラしてただけですか」
「誰がヘラヘラしてたんや!特定するにも、掲示板はここだけならまだしも、ネット上には他にも掲示板はあって、ここだけやないんや。そんで人物特定するなったらお前、どんだけ莫大な時間と手間がかかる思てんねん。それとも何や、一分や二分で全員特定する事ができる言うんか?え?」
陣内がそう言うと、木元は表情を変える事なく言ってきた。
「できますよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「まあ確かに、一分や二分じゃ無理かもですけど。ただ、掲示板をすべて特定して、同一人物から特定していけばパソコンのIDとメールアドレスくらいなら。十分あれば」
そう言って木元はパソコンの前に座り、何やらキーボードをカチカチいじると画面にたくさんの文字を打ち込み始めた。
すべて英語だ。
「・・・お前、すごいな」
陣内は画面を見つめながら呟く。
「あたし頭よいですから」
わざと『イイ』を『ヨイ』と言う感じが鼻につくが気にせず。
「あぁ、そーいえばお前、伊達さんが言っとったわ。お前が髪の毛がどうとか言ってた言う話」
陣内は隣でカチカチと文字を打ち込む木元に言う。
木元はひたすら文字を打ち込んでいる。
「それはあれやな。遺体を醜くするやめやな。殴られてたみたいやし」
陣内がそう言うと、木元は手を止めて陣内を見た。
「どういう事ですか?」
「どういうってお前・・・、そのままやないかい」
木元の食いつきに、驚きながら陣内は答えた。
「どうして遺体を醜くする必要があったんです?ストーカーなら、自分の大好きなモデルを醜くする必要がどこにありますか。そもそも、犯人はストーカーなんですか?どうして殺さなきゃいけなかったんでしょ」
「んなん・・・・。知らんわ!振り向いてくれへんとかそんなんちゃうか」
「・・・・そうなんですか?」
「何でワシにきくねん」
「少女時代」
「・・・殺したりせえへんわ!」
そんな会話をしていると、木元の携帯が鳴った。
- Re: QUIZ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係 ( No.181 )
- 日時: 2013/03/18 21:11
- 名前: ゆぅ (ID: hAtlip/J)
一方、真山と伊達はまだ男を追っていた。
「・・・どっち行った」
交差点で立ち止まり、息を切らしながら伊達が背中を合わせている真山に言った。
真山も辺りを見回しながら答える。
「・・・左はこの先真っ直ぐの道と途中で繋がります。右は一本道。どこかで必ず見つけられるはずです。俺は左に行きます。伊達さんは右に行ってください」
「・・・わかった」
そう言うと、二人とも同時に走り出す。
左へまがった真山はフードの男を探すため辺りを見回す。
みたところ、それらしき人物はいない。
この間から走り過ぎて何か疲れてきたような、そうじゃないような。
と、その時。
後ろでゴトッと物音がした。
真山が振り返るとフードの男が焦って走り去っていく姿見え、真山は男の後を追った。
かなり速いスピードはこの間と変わっていない。
五十メートル走六秒前後で走れんじゃね?ぐらいのスピードだ。
真山もスピードを出していく。
男は大通りを外れ、真山の予想外のところへ逃げる。
伊達と合流するはずだったが男は潰れたビルの窓を蹴り、破片が飛び散るのと同時に窓の中へとジャンプして入って行った。
「えっ!?」
真山はそう言いながらも男と同じルートをたどり、ビルの中へ。
中は薄暗く、よく見えない。
真山は着地したあと恐る恐る前へと足を進める。
歩く度に何らかの破片を踏む音がパチパチッときこえるのが気味悪い。
その時、後ろに気配を感じた。
真山が振り返ると、男が鉄パイプを今にも振りおろしそうな態勢で立っていた。
真山は驚きながらも振り下ろされる鉄パイプを交わし、よろけた男の足をひっかけて転ばせた。
男はすぐさま立ちあがり鉄パイプを強く握りしめると再び真山に振りおろそうとする。
真山はそれを上手く交しながらも男に蹴りを繰り返す。
そしてその蹴りが男の左手にヒットし、男は鉄パイプを落とした。
その隙に男の腕を掴んで取り押さえる。
「・・・・お前か・・・、二人を殺したのは」
真山は息を切らし、男のとりおさえたまま壁に押しつけながら呟いた。
不意に男のフードがとれる。
「いててて・・・・!痛ェーよ!待て!・・・何の事だよ!殺したって何だよ!」
男はそう言いながら必死に抵抗する。
真山はその言葉をきいて少し力を弱める。
「お前じゃないのか」
「違っェーよ!殺した?・・・何の事だよ!」
「じゃあ何で逃げた、何で俺を殺そうとしたんだ」
真山は男に問いかける。
息の切れもそろそろ落ち着いてきた。
「お前が追っかけてくるからだろ!・・・頼まれたんだよ!」
男は不機嫌な顔をする。
「頼まれた?誰に」
「知らねェーよ!ネットで急にメールが来て・・・。黒いフード被って街をウロウロするだけで金やるって言われたから・・・・だから離せよ!」
「何でそんな事した」
「金に困ってただけだよ!」
「何の目的で」
「知るかよ!俺が知る訳ねーだろ!?顔も知らねー奴の事なんか知るかよ・・・」
そう言われ、真山は腕を放してやった。
男は相当痛かったのか、その場で腕をさする。
「じゃあどーやって金を受け取るつもりだったんだ」と真山。
しばしの沈黙のあと、男は「・・・あ」と呟く。
どうやら騙されたらしい。
「まあ事情はどうあれ、ちゃんと話してもらおうか」
真山がそう言うと、男は腕をおさえながらも言う。
「冗談じゃねーよ!話す事なんて何もねーよタコ野郎!」
これまた随分暴言を吐く男だ。
だが嘘を言っているようには見えない。
大体、足は速いがあの時のフード男に腹部を蹴られた時はかなり痛かった。
それなのにこんなにすぐに捕まる訳がない。
「本当に知らないのか」
真山は男の顔を覗き込む。
男はまた掴まれると思ったのか、一歩引いてから答える。
「知らねーって言ってんだろ!・・・あ、そうだ。なあお前!俺逮捕されんの!?罪になんの!?」
「参考までに署に来てもらう」
「えっ!?ふざけんなよ!普通に考えてみろよ!俺ただ普通の黒い服来てフード被って走り回っただけだぜ!?これって罪になんねーだろ!」
まあ、言われてみればそうなのだが。
- Re: QUIZ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係 ( No.182 )
- 日時: 2013/03/19 11:47
- 名前: ゆぅ (ID: hAtlip/J)
「鉄パイプで俺を殺そうとしたろ」
そうだ、こいつにはこの弱みがある。
こっちだって口喧嘩(?)どころで負けてはいられない。
「そ・・・それは・・・!あれだろ、さっきも言ったけどオメーが追っかけてくるからだろ!?正当・・・・ぼ、ぼうえき・・・じゃなくてそんなんニュアンスのアレだろ!」
そうか、こいつはバカのようだ。
とはいえ、確かに普通に考えてみればただ黒い服を着た男を勝手に追っていったこっちも悪い感じになるのだが。
正当防衛にはならんだろう。
こっちは何もしちゃいないんだから。
「ったく・・・・。痛ェーんだよお前!俺の腕の皮全部剥ぎ取る気かっての・・・」
男はそう言いながら赤くなった腕をさすり続けている。
大体、皮なんて剥ぎ取らない。
逆に剥ぎ取った皮をどうしろと言うんだ。
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PM:23:00——。
「もしもし?」
木元が電話に出る。
隣では陣内が木元の携帯に耳を澄ましている。
なぜかと言うと、木元が電話に出る前に画面に表示されたのは『西田あさみ』だったからだ。
『・・・・も、もしもし・・・・木元さん・・・・』
西田はか細い声でそう言った。
「・・・・どーかしたんですか」
木元は少し不審に思う。
『・・・・どうしよう、あたし・・・・殺されるかも・・・・・』
瞬間、木元と陣内が顔を見合わせる。
木元はすぐ携帯に耳をあてる。
「西田さん、何があったんですか?今どこですか?」
『今、仕事の帰りで・・・・変な奴が・・・後ろにいるんです・・・。怖くて・・・・今路地に隠れてるんですけど・・・・』
「西田さん、どうして真山さんがいないんですか?帰りは一緒のはずですよね?」
『約束の時間に真山さん来なくて・・・。三十分くらい待っても来なかったから・・・・』
何をやっているんだアホ真山。
『最近、何もなかったし・・・・大丈夫だと思って一人で帰ってたら・・・・・どうしましょう・・・・』
「西田さん落ち着いて下さい。今、どこにいるんですか?」
木元がそう言うと、西田は息を吸ってから答えた。
『今、事務所の近くの———きゃあ!』
「っ西田さん!?」
木元は焦った声を出す。
『・・・・やめて!来ないで!』と奥で小さくきこえる。
恐らく携帯は地面にあり、西田の手には握られていないだろう。
しばらく色んな音がきこえたあとプツン、ときこえ、プープーとしかきこえなくなった。
木元はすぐ携帯を切り、乱暴にカバンを取ると走り去って行った。
「木元!一体何があった!?どーしたんや!」
陣内もそう言って遅れをとってはいるが木元の後を追った。
- Re: QUIZ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係 ( No.183 )
- 日時: 2013/03/21 19:43
- 名前: ゆぅ (ID: hAtlip/J)
========================================================================================================
真山は西田の警護の事などすっかり忘れ、男を署に連行してきた。
取調室を傍観する。
きけば、男の名前は竹田信二。二十四歳だそうだ。
「真山」
扉を開けて入ってきたのは伊達だった。
「伊達さん、どうしたんですか」
真山がそう言うと、伊達は疲れきり、怒ったように言った。
「お前、捕まえたんなら連絡ぐらい入れろバカ・・・・」
伊達はそう言って近くにあってパイプ椅子に崩れるように座った。
怒っているとはいえ、疲れているのであまり怖くない。
そして忘れていた伊達への連絡。
「あぁ、すみません」
真山は座り込んだ伊達に一言。
「すみませんじゃねぇよ・・・。人の時間裂いておきながらこんなオチか・・・お前」
「すいません、つい。でも、男は無事捕まえました」
「俺は無事じゃない・・・!無駄に走って損しただろ・・・」
伊達はそう言って真山を睨むが、これもまた疲れているので怖くない。
「まあ、すみませんでした」
「まあってお前———」
伊達が文句を言おうとしたところで取調室から竹田の声がきこえた。
「だから知らねーって言ってんだろ!物解り悪いなあ、オッサン」
竹田はそう言って頭を掻いた。
ちなみにオッサン呼ばわりされている取り調べしている男は村上だ。
「誰がオッサンだよ!・・・君ね、そんな態度とってたらずっと取調室から出れないよ?いいの?家に帰れないんだよ?」
村上はそう言って竹田に葉っぱをかける。
「いいよ別に。大家に追い出されてさ、帰る場所なんてねーから丁度いいわ!」
竹田は態度を改めない。
「えっ・・・・そ、そんなの知らないよ!こっちだってもう夜だから帰りたいんだよ」
村上は適当な事を言い返す。
「どーせ結婚とかしてねー寂しい五十代だろ?テメーが帰っても誰も喜ばねーんだよ」
「『どーせ』って何どーせって!一応僕結婚してるからね!」
村上がそう言って指にはめてある指輪を見せる。
「それに僕まだ四十代だから!老けて見えるけども!」
「えっオッサンで四十代なの!?俺四十代になったらオッサンみたいになっちゃうの?うわ〜・・・・」
男はあからさまに嫌そうな顔をする。
「うわ〜って何!明らかに嫌がってるよね?やめてくんない、僕の嫁も可哀想だから!二重被害だよコレェ・・・?」
そして真山は呆れた顔をしてから取調室に入る。
「村上さん、代わります」
真山がそう言うと村上は「あ、そう?」と言って椅子から立ち上がり、取調室から出て行った。
「・・・あっ、てめっ!さっき俺の腕折ろうとした野郎じゃねーか!」
おいおい。人聞きが悪い。
んで、さっきと言ってる事違うだろ。
「誰が折ろうとした野郎だ。・・・で、本当に二人を殺したのはお前じゃないんだな?」
真山はそう言って竹田を見る。
「だから違ェーって言ってんだろ!ってかお前には捕まった所でも言ったろ?大体その二人って誰なんだよ」
竹田は不思議そうに真山を見た。
一応関係者だ。写真ぐらい見せておくか。
真山はそう思いデスクから写真を二枚取って竹田に見せた。
「右が渡部亜美、左が植原奈津子。先日遺体発見されて、殺人事件として捜査してる」
真山がそう言うと、竹田は写真を凝視しながら言う。
「・・・あれ、これって」
竹田はそう言って真山を見た。
「一度は見た事あるだろ、芸能人だから」
真山がそう言うと竹田は頷いてもう一度写真を見た。
どうやらニュースも見ていないらしい、この男。
まあアパート追い出されたくらいだからテレビなんか見てる暇もなかったんだろうが。
「いや、そうじゃなくて・・・・」
竹田はそう言って写真を見ている。
- Re: QUIZ 警視庁刑事部捜査一課第二強行犯捜査第四係 ( No.184 )
- 日時: 2013/03/26 23:27
- 名前: ゆぅ (ID: hAtlip/J)
「・・・え?」
真山はそう言って竹田を見た。
竹田は顔を上げ、渡部亜美の写真を指さして言った。
「この女・・・俺確かこの間会った」
「友達か?」
真山がそう言うと、竹田はかぶりを振ってから言う。
「違う。知らない、知らないんだけど・・・・。家追い出されてからその辺ブラブラほっつき歩いてたんだよ。そしたら、急に話しかけられて」
「それで、何言われたんだ」と真山。
竹田は続ける。
「確か、金の入った封筒と一緒に写真見せられて、『この女殺してくれないか』って持ちかけられたんだよ」
「・・・渡部亜美がか?」
「いや、知らないけどさ・・・・。でも、本当だぜ?ホクロの位置とか一緒だし・・・間違いないと思う」
竹田はそう言って真山を見た。
=====================================================================================================
取り調べが終わったあと、伊達が真山に話しかけてきた。
「真山」
そう言われ、真山は振り返ると伊達は廊下を歩きながら「ちょっといいか」と言って鑑識に入って行った。
真山は首を傾げながらも立ち上がり、伊達の後を追う。
鑑識に入ると、伊達が袋に入った携帯を見せてきた。
「・・・何ですか、これ」
真山はそう言いながら袋を手に取る。
伊達は近くにある椅子に腰をおろして言った。
「メール、送信ボックス見てみろ」
伊達がそう言い、真山は「・・・はい」と言って袋から携帯を出し、電源を入れてメールボックスを開く。
そこから送信ボックスを開いた。
最後に送ったのは『相沢恵』になっている。
メールの内容は『わたさころさへタスねつ』。
さっぱり意味がわからない。
「・・・これが何か?」
メールを見た真山がそう言うと、伊達が顔を上げて言う。
「渡部が最後にメールを送ったのは相沢恵。送った時間は二十時二分。このメールに、相沢恵は返信をしているがそれから返信はなく、そのまま——。・・・この意味不明なメールの意味、わかるか」
伊達がそう言い、真山はもう一度メールを見る。
伊達の言う通り、送信した時間は二十時二分。
受信ボックスは相沢恵の『どうしたの?』と言うメール。
彼女からメールが届いたのは二十時五分。
「・・いや、何も」
真山は首を傾げる。
「そうか。ちなみに、相沢恵の話だと、渡部亜美はいつも返信はすぐする方だし、絵文字が多かったらしい。だがそのメールには絵文字どころか『、』や『。』もない」と伊達。
「・・・つまり、絵文字どころか文字も満足に打てない状況にあった、って事ですか?」
真山はそう言って伊達を見る。
この回答は新藤もしていた。
ここからだ、重要なのは。
「・・・俺はそう思っている」
伊達は静かにそう言う。
真山はさらに疑問を深める。
「けど、そんな状況って一体・・・?渡部亜美が殺された時間は二十二時から二十三時の間。メールを送信した時間から二時間もあります。まさか、この二時間から三時間の間犯人から逃げてたとは思えませんし。それに、場所だって——」
真山がそこまで言うと伊達が遮る。
「そこだ、重要なのは」
真山は首を傾げた。
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