複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 学園マーシャルアーティスト
- 日時: 2017/12/12 17:46
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
どーも皆さん。青銅→白樫→大関です。
現在書いてる『気まぐれストリートファイト』が少々アイディアに詰まってしまい、リハビリ感覚で新しい小説を作りました。
下らない内容ですが頑張っていきたいと思います。
=ご警告
・荒らし、中傷はやめてください。
・パロディ等があります。
・かなり汗臭い感じになります。
・亀どころかナマケモノ以上に遅い更新です。
・やってる事は『気まぐれストリートファイト』と同じです。
・少々リメイクしました。
=登場人物(※注意:ネタバレ多々有り)
黒野 卓志 >>4
白石 泪 >>4
春風 弥生 >>4
佐久間 菊丸 >>11
愛染 翼 >>16
大道寺 重蔵 >>17
立花 誠 >>25
=バックナンバー
+日常編
第1話 武闘派学園生活開始 >>2 >>3
第2話 カチコミ退治も楽ではない >>5 >>6
第3話 番長見参 >>7 >>8 >>9 >>10
第4話 決死のタイマン >>12 >>13 >>14 >>15
第5話 "消える左"の天才ボクサー >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24
第6話 黒野と弥生と空手部と >>26 >>27 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34
第7話 電光石火の一撃 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>42
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.23 )
- 日時: 2016/08/02 22:13
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
その戦況は一方的であった。
黒野が掴みに掛かろうとすれば、見えない左で弾かれる。突きで強引に攻めようとすればスウェーバックで回避され、見えない左が襲い掛かる。
たかがジャブといえ、侮ることは出来ない。そのスピードは拳銃に匹敵、あるいはそれ以上のスピードで飛んでくるそれは、路傍の石くらいなら簡単に砕くことが出来るであろう破壊力を秘めている。
「遅い遅い。先輩おそーい。」
「くそがっ!ちょこまかしやがって!」
「へっへ〜ん。おいらについていけない先輩が悪いのさ。」
尤もなことである。怪力と頑丈な体を売りとしており、代償として素早さを失った黒野に対し、立花はスピードを持って相手を制するスタイルを持つ。
如何なる強力な攻撃も当たらなければ意味を成さない。同じように小さな攻撃でも集中すれば戦艦大和も沈む。正しく黒野にとって立花は相性が最悪であった。
「(駄目だ・・・ダンナの戦い方じゃ立花君を捕らえられない・・・どうすれば・・・)」
白石も黒野にアドバイスを送るべく考えるが、如何せん相性が悪すぎる。さらに黒野の性格を熟知しているため、思いついたとしてもその戦い方によっては素直に聞き入れないだろう。
「野郎が!」
「へへっ。」
破れかぶれの突っ張りを立花は見逃さない。それを上半身の動きのみで回避し、その上で黒野の鼻柱に強烈な右ストレートを繰り出す。その一撃に黒野は仰け反り、さらに立花は先ほどのカエルアッパーを放つ。さしもの黒野もこれには遂にダウンを喫した。
「あれれ?先輩もうお終い?」
「ちっ……!」
攻撃が命中せず、逆にダウンを喫した黒野の頭は冷静でいられない。怒りに燃えた眼で立花を見据え、立ち上がり、ぶちかましの構えを取った。
「ダンナ!幾らなんでも無茶だよ!」
「うるせぇ!もう如何にでもなっちまえ!」
白石の忠告も聞かずに黒野はぶちかましを決行した。
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.24 )
- 日時: 2016/05/27 21:18
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
「ふぅん。ダメだね。」
如何にぶちかましが早いとはいえ、それ以上に素早い打撃を見続け、鍛え抜かれた動体視力を持つ立花に命中するはずが無かった。軽やかなフットワークで瞬く間に黒野のサイドに回り込む。
「これで終わりにしてあげる。はい。」
ヒュン、と言う音と共に黒野の顎が一瞬歪んだ。その瞬間、黒野は両膝を付き、そして倒れ付した。立花の"消える左"が的確に顎を捉えた証拠である。如何に黒野といえども脳を揺さぶられた状態で立てるはずは無い。
あえなく倒れ付した黒野を見て拳を高々と上げ、自身の勝利を誇示する立花。
「へっへ〜ん。おいらの勝ちだ!」
「ダンナ……。」
「それじゃ、ボクシング部の看板返してね。」
相撲部の看板の横に下げられたボクシング部の看板を取り外すため、黒野を跨いでいこうとする。
しかし、その時だった。立花は足首に圧痛を感じ取った。倒れたはずの黒野が立花の足首を力を籠めて握っているのだ。
「えっ?えっ?」
「一年坊……まだだ……まだ終わっちゃいねぇよ……。」
立花は黒野を引き離そうとするが、怪力黒野の握力からそう簡単に逃れられることは出来ない。黒野はまるでゾンビの如く、立花の腰布を掴むとすがり付く様に立ち上がり、右四つの体勢になった。
「へっ……いくらお前でも捕まれちまったらな……。」
「え、えいっ!」
密着されたとはいえ、ボクシングにも脱出の手がないわけではない。クリンチと呼ばれる状態から黒野の顎目掛けて連続でアッパーやフックで執拗に顎を狙う。実際、黒野とて聞いていないわけではない。しかし、黒野の『絶対に離さない』と言う根性が手を離すことを許さない。黒野は一気に部室棟の壁に立花を叩きつけるように寄り切り、決して脱出させないように壁に身を押し付ける。
そして黒野は首を引き、立花の額に己の額を叩きつける何度も何度も全力で。ボクサー、しかもストロー級故に打たれる事に慣れていない立花にはこれ以上無い一撃である。
数発打ち、立花の顔を見る。立花は意識があるかどうかもわからない。それを確認すると黒野は息を深く吸い、その後一気に引き寄せて立花の股に膝をいれ、太ももに体を乗せて吊り上げ、豪快に地面に投げ落とした。
相撲48手『櫓投げ』が豪快に決まり、立花の意識は完全に吹き飛んでしまった。
「ぜぇ……ぜぇ……俺の……俺様の勝ちだぁぁ!!」
黒野は天を仰ぎ、高らかに叫びを上げた。しかし、黒野とて脳震盪を何度も引き起こした体である。叫びを上げた後、黒野もまた意識が飛び、倒れ付した。
「んおっ……。」
「あっ、ダンナ。」
黒野が意識を取り戻すと、そこは保健室のベッドの上だった。目の前には白石、そして隣のベッドには立花が丁度目を覚ましたところである。
「おぉ、相棒……間違いなく勝ったよな?」
「……全く、本当にダンナには驚かされてばかりだよ。」
苦笑交じりに白石は黒野に言い放つ。黒野は返答を聞き、笑顔でベッドに大文字に倒れ伏せる。
それとは対照的に頬を膨らませて不機嫌な様子で立花は黒野を見つめていた。
「ちぇーっ……先に倒れたのそっちなのにー。」
「悪いな一年坊……いや、立花。こちとら転校早々負けるわけにはいかないんでね。何せ最強の座と部員確保がかかってるからな。」
「もっともな事言ってるけど、本心じゃ部員確保が第一なんじゃない?」
「うるせぇ。」
「ぷっ、ははは。」
2人の掛け合いを見て、膨れっ面だった立花は無邪気な笑みを浮かべる。
「それならさ、ボクシング部の看板……一旦貸しとくよ。」
「なに?ホントか!?」
「おいら、嘘はつかない。それにね。」
そう言うと神速のジャブ……消える左を黒野に寸止めで放つ。
「今度はおいら、負けないからさ。ね?」
「言ってくれるぜ。こりゃ当分ボクシング部の看板は預かっとかないとな。」
「へへっ。」
「さーて、明日からまた勧誘だ。相棒。」
「OK。任せて。」
黒野は起き上がり、ベッドから降りると保健室を後にした。
=第5話 完=
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.25 )
- 日時: 2016/05/22 21:31
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
・立花 誠(タチバナ マコト)
使用武術:ボクシング
年齢:16
性別:男
性格:高校生と言う身分に似合わず、人懐っこくやんちゃで無邪気な腕白小僧。
容姿:17階級中最軽量のストロー級だけあって148cm、46kgと非常に小柄。クセッ毛のついた黒い短髪にパッチリとした目。
概要
学浜1年でボクシング部の超大型新人。
幼少の頃からボクシングをやっており、既に日本を3度制覇している正真正銘ボクシングの猛者。学浜ボクシング部でも彼の右に出る人物はおらず、他の格闘部にも名が知られ渡っているボクシング部の顔役。高校生にしては非常に体重が軽いが少食ではなく、単純に体重が増えない体質であるらしい。
戦法
ボクサーだけあって優れたパンチングの技術とフットワークによって打たせずに打つ戦いを得意とする。
特に『消える左』と称されるジャブはスローカメラにさえも写らない程のスピードを誇り、見切ることは不可能。
ハードパンチャーとしての素質も高く、自身の階級は最も軽いストロー級でありながらライト級に匹敵する威力のパンチを繰り出せる。
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.26 )
- 日時: 2016/08/09 18:54
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
第6話 黒野と弥生と空手部と
「おらよっ……とっとと出す者出せやオラ……。」
天下の格闘学科と世界一の格闘部の多さで有名な学浜だが、そこは弱肉強食の世界。故に落ちこぼれとも呼べる部活が複数存在する。中でも有名なのは柔道部。主将の権藤 猛を筆頭とした柔道部は格闘部や応援団から追い払われたクズ達が集っており、過去8年間公式戦出場などまともに活動した形跡もない、それでいて何をやっても教師さえも止めることができない程性質が悪い。正に柔道部とは名ばかりの無法集団である。今日も今日とて男子生徒を一人攫い、カツアゲである。
「テメェいっちょ前に抵抗とかしてんじゃねぇぞゴミがぁ!」
「さっさと払えコラ!」
権藤の舎弟と思われし2人は罵倒と共に男子生徒に暴行を喰らわせる。恐怖に慄き、男子生徒は涙を浮かべた。
「ん……っ!」
「テメェよ……俺らは天下の柔道部だぞ?俺らに奉仕できるんだぜ?寧ろ喜ぶべきだろ?なぁ?なぁ?」
権藤は男子生徒の顎を掴み、引き寄せて質問を投げかける。返答など求めていない。只、相手を困らせるのが目的なだけの嫌がらせである。もし拒絶する素振りを見せれば今度は拳骨が飛ぶ為、何も答えることはできない。
「だろ?さーてと……これ以上手間掛けさせる前に出す物出せって。じゃねぇと」
「さもないと……どうなるんかのぉ?」
権藤は突如発せられたその声に振り向く。そこに立っていたのは学浜応援団長である大道寺重蔵。その右腕には見張りを行っていたであろう、ボロボロの男が一人掴まれていた。
「何だ、重蔵じゃねぇか……何か用か?こっちは込み合った用事なんだけどよ。」
「込み合った用か……おぅ、そこの。」
重蔵は権藤に目をくれることも無く、被害にあっていた男子生徒に声をかける。後は何も言わず、首を縦に振った。それを見た男子生徒は重蔵が伝えたいことを察し、体育倉庫から駆け出した。
「だぁっ!テメェら!追え!」
「「押忍!」」
権藤の舎弟2人は男子生徒を追うために同じく駆け出した。しかし、体育倉庫から出たと同時に片やその首筋に電流が走り、片や顔面に蹴りが放たれ、瞬く間に倒されてしまった。入り口で待ち構えていたのは、重蔵の舎弟 菊丸と翼の2人であった。
「やれやれ、カツアゲはダメだぜ。」
「そう言う行為は黙って見過ごすわけには行きませんからね。」
「あんた、ちゃっちゃと逃げなよ。此処は俺っちに任せてさ。」
菊丸の言葉を聴いた男子生徒は深く頭を下げると、再び駆け足で逃げ出した。
「後は大将が始末するだけか。全くもって簡単な仕事だぜ。行こうぜ、翼。」
「はい。」
菊丸と翼は男子生徒を見送った後、体育館で今にも始まりそうな喧嘩を見物しようと、体育倉庫の中へ向かおうとした。
その時であった。
「ちょっといいか。」
「んっ?どちらさん?」
菊丸は突如としてかけられた声に振り向く。
一方、体育倉庫から舎弟2人を倒されたのを目撃した権藤は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。
「ちぃっ、せっかくの銀行が……。」
「人間を銀行扱いか……随分と腐った根性しとるのぉ。」
そう言うと重蔵はサングラスを外して権藤に近づき、睨みを利かせる。権藤も怒りの形相で重蔵に睨み付ける。
「オドレがやっとる事がアカンと言うことがまだ解からんのかクズが……。」
「なんだテメェ?自分が神様にでもなったつもりか?」
「やっぱりオドレは叩き潰さんとアカンようじゃのぉ!」
その空気、正しく一触即発。もうこれ以上言葉は意味を成さない。
「ほなのぉ……!」
「死にさらせぇ!」
そしてお互い拳を振り上げ遂に喧嘩を開始……しようとしたその時だった。
「待てっ!!」
「あぁ?」
「なんじゃい?」
突如として響いたその声に2人は拳を止めた。
- Re: 学園マーシャルアーティスト ( No.27 )
- 日時: 2016/07/26 16:20
- 名前: 大関 ◆fd.I9FACIE (ID: 9ihy0/Vy)
その声の先を二人が振り向くと、そこには菊丸と翼の二人の他に、角刈りに剃られた髪型に道着を着用した男が一人佇んでいた。
「のぉ、菊丸。そいつは誰じゃ。」
「さぁ? 話聞く限りじゃ、そこのクズの関係者らしいけど。」
「ほぅほぅ。」
頷くとともに重蔵は権藤の方へと振り向く。
「と言うとるが、オンドリャあ誰か知っとるか? 」
「へへっ……。」
権藤はその男を見ると、笑みを浮かべると共に重蔵から離れ、その男の下へと歩いていく。
「久しぶりだなぁ……元部長サンよぉ。」
「変わってないようだな……権藤。」
2人は互いににらみ合い、一触即発の状況を作り出す。何一つ事情を知らない重蔵ら応援団はそれをただ見ていたが、重蔵はその沈黙を破り、口を開く。
「ピリピリしとる所スマンがのぉ……そこの角刈り。お前さん一体何者じゃ。」
男は重蔵の言葉に反応し、権藤をにらむのを止め、重蔵に一礼して口を開く。
「……押忍、自分は学館浜隆高校空手部主将を勤めさせていただいています。2年の須藤 茂と申します。」
「空手部か……このクズはワシらがいてもうたる予定じゃが、一体何のようじゃ。」
「番長、これは我々空手部の問題です。無礼なのは承知ですが、自分たちの筋をどうか通させてください。」
「何じゃと? 」
須藤と名乗った男は重蔵にそう言うと、再び権藤に目を向ける。
「こいつは元々空手部部員です。追い出して尚も行われるこの所業、自分たちが責任を持って止めねばなりません。」
「おぅおぅ、説明ご苦労なこったなぁ? 俺としても空手部をボコボコにされて追い出された恨み、忘れちゃいねぇよ……なぁ? 」
「お前が空手を悪事に利用したからだ。それも解からないか。」
権藤は腕を鳴らして既に臨戦態勢に入っていた。須藤も構えを取ろうとするが、その前に重蔵に向けて語りかける。
「番長、不義ではありますが……失礼します。」
須藤は再び重蔵に一礼する。対して重蔵は全てを理解し、頷きつつ口を開く。
「事情は大体解かった……ええじゃろ。菊丸、翼、お前らも手出し無用じゃい。」
「OK。」
「解かりました。」
重蔵はそういうと権藤と須藤の二人から離れ、その戦いを見守ることを決める。須藤は改めて構えを取った。
「ほらほら……ほらよぉっ! 」
先に仕掛けたのは権藤。構えを取らずに近づいていき、須藤の腹部目掛けて前蹴りを放つ。須藤はそれを左腕で受け止め、右手で権藤の鼻っ柱に裏拳打ち(手の甲をぶつける打撃)を叩き込んだ。まともに攻撃を受けた権藤は顔を抑え、須藤ににらみつける。
「くっ、野郎……! 」
今度は一歩踏み込み、こめかみ目掛けて上段回し蹴りを繰り出すが、それも須藤は右の腕刀で受け止め、そのまま間合いをつめて肩口を掴み、額を権藤の顔面に打ち込んだ。権藤はその一撃に怯み、尻餅をつく。
「情けない。鍛錬を怠ったな。その程度では俺には勝てん。」
「くそったれが……! 」
そういうと権藤は徐に引き下がると、跳び箱の一段目を掴み、それを須藤に向けて振り下ろす。
「くたばれ、この野郎! 」
須藤は振り下ろしの軌道を見切り、とっさに後方へ下がって回避する。
「お前は空手家としての信念も忘れたか! 」
「知るかよそんなもんよぉ!! 」
「元とはいえ、空手部部員として最低限情けをかけるつもりだったが……それも無駄なようだな! 」
そういうと須藤は目を瞑り、深く息を吸った。権藤はそれも構わず須藤の脳天に跳び箱を振り下ろす。
「……はっ! 」
振り下ろされる寸前、須藤の左正拳突きが権藤の腹部に突き刺さる。これを耐えるものの怯み、攻撃を中断する権藤。それを見て須藤は今度は右拳を思い切り引き、放った。
「やべっ……。」
「せいやぁっ!!! 」
とっさに顔面に跳び箱を構えて正拳から顔を守ろうとした。しかし、放たれた正拳は盾代わりの跳び箱をいとも簡単に貫通し、その拳は権藤の顔面を正確に捉えた。放たれた右正拳は一発目の左正拳よりも比べ物にならないくらいの威力である。そんなものを顔面に受けて耐えられるはずもない。権藤は後方へバタリと倒れこんだ。
「これに懲りたらもうやらないことだな……次は無いぞ。」
「かっ……はっ……。」
その言葉を聴いた後に権藤は意識を失った。戦いを終えた須藤は権藤に背を向け、歩みだす。重蔵の前を通り過ぎる前に彼はもう一度一礼をする。
「番長……ありがとうございました。」
「何、構わん。お前さんの筋を通させただけじゃけぇ。気にすんな。」
「……失礼します。」
須藤は頭を上げ、そのまま体育倉庫から立ち去った。
「あれが噂の須藤さんですね。流石です。」
「翼、何か知っとんのか。」
「GFC前回王者です……といっても重蔵さんは参加してないから知らないのも無理はありません。少なくとも学校では有名な人です。」
「GFC……そういえばあったのぉ、そんな大会。」
しばしの雑談の後に重蔵たちも体育倉庫から退散した。