複雑・ファジー小説
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- 脇役謳歌〜できそこないヒーロー【一話完結】
- 日時: 2014/04/02 03:14
- 名前: uda (ID: T3U4YQT3)
はじめまして、初投稿ということで右も左もわからないまま現状です。
一応長編を書いていきたいのですが。このような投降でよかったのかと不安です。
完結はさせるつもりですのでよろしくお願いします。
(はじめに)
・脇役が主役なれないのかという矛盾な事を考えて、気が付けば執筆していました。てにおはや誤字脱字などが酷いですが完結し次第修正を加えさせてもらいます。
・登場人物ですが主人公は結構中二病全開の痛い子ですが、隠された特別な力はありません。ましてやハーレムになることもありません。
脇役みたいなヤツなので仕方がないと暖かい目で見てください。
・タイトルはご覧の通りですが各章のサブタイトルも今書いている話が終りましたのでそのシーンが修正され次第、書かせて頂きます。
<一言メモ>
前タイトルはできそこないヒーロー(仮題)ですが、一応完結した為、脇役謳歌(できそこないヒーロー)にしています。ご迷惑かけるかもしれませんがよろしくお願いします。
只今、添削や誤字脱字を修正中です。何かありましたら,よろしければコメント等、ご指導してもらえるとたすかります。
オープニング >>001
・騎士とメイドの物語。
1 告白か果たし状か? >>002-003
2 泉の前で >>004-007
3 騎士は正々堂々と決闘をする >>008-010 >>011-012
4 これが憧れの同棲生活 >>013-016
4.5 喫茶店で打ち合わせ >>017
5 鍋最高 >>018-020 >>022-024
6 魔女の踊り場 >>025-028
6.5 レギオン >>029-030
7 どうすっかなぁ >>031-34 >>037
8 無駄な抵抗 >>038-040
9 脇役の後悔 >>041-045
10 そして彼は舞い降りる >>046-049
11 覚醒できたらいいよね >>050-056
12 ヒーローは登場する >>057-058
エピローグ >>059>>061>>062>>063>>064
- Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー (仮題) ( No.14 )
- 日時: 2014/04/02 02:14
- 名前: uda (ID: T3U4YQT3)
——また、才能ですか。
聞きたくない言葉を聞き、テンションが一気に落ちて行くのを感じる。
——はいはい、またですか、そうですか。
才能が無い。その言葉に内心少し六原は落ち込んだ。まるで、才能が無いやつは努力しても無駄と言われているその言葉は、凡人なくせにヒーローになろうとしている六原にとって唯一の気にしていることであったからだ。
「あ、」
空気が重くなるように感じた。このままではいけない。才能と言う言葉は嫌であるが、その言葉に嫉妬しているなどと悟られるのはもっと嫌だった。
目の前の月島の表情が少しずつ曇っている。自分がいきなり黙ったせいだという事は既に六原は知っていた。
——何とかしないとなぁ。
「え、いや、」
動揺しながらも口を開く。六原は自分の表情に気を使いながら、
「そいつは残念だなぁー」
何でもないようにヘラヘラと笑って答えた。
「是非、日常では味わえない治療を受けてみたかったのに、資格がないんじゃ仕方ないよね」
「どうかしたの?」
「いやぁ、何でもないですよ。ハハハ」
「・・・・・・」
乾いた笑いが虚しく部屋に響く。
「まぁ、いいさ」
何がいいのかは深く聞かないことにした。
「それよりさ」
話題を変え、そろそろこの状況を理解しようと六原は思った。
「そろそろ現状に対していくつか聞きたいことがあるけど、いいかな」
「なんだい」
「まず、オレが気を失ってから一体どうなった」
「転移魔法でこのままココに帰ってきたのさ」
「ココって、そういえばどこなんだ?月島さんの家か」
月島はすこし唇の端で笑みを浮かべた。
「ふっふっふ」
「いや、何ですかその含みのある笑い方」
「知りたいのかね?」
「いや、別にそこまで」
六原のセリフを華麗にスルーして月島は向かって堂々と言った。
「家じゃないよ。ここは『魔女の隠れ家』さ」
——隠れ家!?
「何それ。カッコいい」
だろ。と月島は得意げに返す。
「だけど、ここはアパートの一室だからあまり、勝手なことは出来ないから理解してくれ。近隣に迷惑が掛かれば私の生活に支障が出るからね」
「分っかりました」
それはただアパートの一室を借りて生活しているとの事であったが六原としては「魔女の隠れ家」とノリノリで言う月島をカッコ良く、そして、羨ましいと思っているのであまり気にしなかった。
——いいなぁ、隠れ家。
そういえば、姉もいくつか隠れ家を持っているとか言っていたことを思い出した。
今度奪いに行くかなぁ。などと物騒な事を考えが始めた六原に月島は言葉を選ぶように話し出した。
「さて、キミの現状だけどね」
月島はカーテンからこぼれる夕日の光を見ながら説明する。
「騎士との決闘。アレから丁度一日立っているんだよ」
——丸一日かぁ。それだけ長く眠っていたのか。道理で体がだるい訳だ。
そこまで気を失っていた事に対しては少し慣れているので六原はあまり気にせずに月島の話を聞く。
「転移魔法で『魔女の隠れ家』に無事辰野たちから逃げることが出来た私は自分と君の治療をしようと思った。だが、キミには適応能力がなかったのでナイフを抜いて適切な治療をしたと言うわけだ」
六原は問いかける。
「適切な治療?つまり普通に消毒して接合したって事ですか」
「まぁね」
「けど、普通に治療したにしては体が、凄く痺れているんですけど・・・」
「それは、治療の際の麻酔と・・・・・・後、ナイフの毒かな」
「毒!!」
——何それ怖い。ナイフの毒ってあのメイドは何を塗ってくれているの!!怖ぇ!!怖ぇ、メイド。まぁ、好きだけど・・・
毒という言葉に六原が引きつった笑みを浮かべる。
「毒と言っても神経毒という只単に感覚を麻痺させるものだから、後遺症も残らない。そんなに心配はしなくていいよ」
「それなら良かった」
安心した六原だが次の言葉に絶句した。
「・・・・・・後、少し呪いが掛かっているからしばらくこの隠れ家から出れないから」
「呪いですか!!」
少し、言いにくそうに頬を掻いたが月島は説明した。
「一応、この家に呪いを防ぐ魔法陣を敷いているから大丈夫だけどね。だから、しばらく絶対にこの家から出ないでくれないか」
——サラッと言っているけど、毒とか呪いとか色々物騒な事をサラッと言うよね。
「ちなみに、家を出たらどうなる」
「まぁ、キミの一生を棒に振るよ」
——わぉ。
「分りました。この家から出ないようにします」
「うん、理解が早いのは良いことだよ。それに・・・」
そう言うといつもの様に淡々と言葉を続けた。
「私の為に怪我をしたんだ。しばらく面倒を見させてもらってくれないか」
「・・・え、それって。」
目の前の少女の言ったことの意味をしばらく理解できず。六原は震える声でもう一度聞き返した。
「しばらくこの家にいろって事ですか」
「そうだよ」
——うっひょぉぉぉ、介護イベントきましたよ。
脳内がお祭り騒ぎになっているがバレればドン引きなので、軽い笑みを浮かべながら六原は月島の申し出を受けた。
「はい、喜んで」
——いやぁ、生まれて初めて異性に対してそんな風に親切にしてもうなんて嬉しすぎじゃないですかぁ。
「即答だね」
当たり前だと六原は答える。異性関係でパッとしなかったこの人生。もちろん今まで彼女がいたことは無い。
だから、正直、嬉しすぎて踊りたい気分の六原であったがココで小躍りすれば間違いなく変態扱いされる事と、この喜びを体で表現できるほど呪いと毒で動かないので諦めざるしかなかった。
——そんな自分にもやっとチャンスが来ましたよ。二人っきりの同棲生活。フフフフ、絶対にミスらないぜぃ。
嬉しさのあまりニヤニヤと口元をゆがめる六原の表情を見て、月島は呆れたように溜息をつく。
「・・・また、キミは変な笑みを浮かべているね」
「あまり気にするな」
しかし、要約するに回復するまで月島の家で同棲しようゼ。と言っているようなものだ。出会って間もない少女ではあるが六原にとっては面白くドキドキなイベントであることに違いなかった。
——いやっふー。同棲だ。しかも、オレの介護だろ。きっとなんつーの ラブコメ並みのイベントがめちゃくちゃあるにちがいないっすよー。
つーか、もしかして、この傷を治療してくれたのかな。じゃあ、俺の裸見られちゃっているじゃないですかー、やだぁー。
等と、頭の中がお花畑になっていた六原は部屋が扉のドアが叩かれ事に気が付かなかった。
そして、ノックに気が付いた月島は丁度よかったと言った後、妄想で忙しい六原の内情を気にせず言った。
「それじゃあ、紹介しよう私の使い魔だ」
「へ、使い魔?」
「失礼しますよ」
どこかで聞いたようなしわがれた声と共にドアが開き、現れたそれに 六原の笑みは固まる。
絶句した。
ドアをくぐって現れたのは身の丈2メートルもあり、人のものと思えない銀糸の体毛と、獣を思い出させる耳と牙、顔つきはファンタジーで出てくるものアル物を連想させた、
——人狼。
狼男と呼ぶほうが正しいのか。だが、目の前の人狼の声は年老いた女性の声をしていたので男と呼ぶのはふさわしくないような気が六原はした。
人狼は金色の瞳を六原に向け挨拶をする。
「初めましてというべきかね」
老婆の声に六原は聞き覚えがあった。それは屋上に呼び出され月島に初めて会うきっかけとなった電話越しの声であった。
——めちゃくちゃ怖い同居人いましたよ。
「私の名前はワーだ。ワーさんと呼びな、小僧」
「うぃ・・」
既に先ほどのような高揚感は風船のように萎みきった六原は呆けた顔で頷いた。
人狼はニヤリと笑い、大きな口元から人を噛み砕けるような鋭い牙をあらわにする。
——食われる!?
「あと、先程あまり好ましくない笑みを浮かべていたようだけど、どういうことかね」
「す、すいません。調子乗っていました」
不思議そうな顔をする月島を置いて六原はワーに頭を下げた。
——やべぇ、超怖い。つーか、ワーさん、会うのは初対面ですけど、凄く不機嫌じゃありませんか。
「後、ワーさんはこの隠れ家の番人なのだよ。そして、これからキミのお世話としてもらうことになっているから、よろしく頼むよ」
「えっ?」
「あたしじゃ、不満なのか?」
頭を上げた瞬間に六原の顔をギロリとワーは睨みつけた。
「いえ、よろしくお願いします」
反射的に深々と六原は頭をもう一度下げた。既にどちらが上かは明白であった。
——スイマセン、自分調子乗ってたっす。つーか、オレこんな人狼と一緒に暮らしたら喰われるんじゃないのか。
いきなり、現れた人狼に睨みつけられる六原は何故か赤頭巾のおばあさんを思い出し、これからの生活に不安を覚えた。
- Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー (仮題) ( No.15 )
- 日時: 2014/04/02 02:52
- 名前: uda (ID: T3U4YQT3)
少し見慣れた天井が六原は目を覚ました視界に写り込んだ。
——嗚呼、そういえばまだ安静中だったけ。
寝起きのおぼろげな頭がゆっくりと覚醒し、昨日までの出来事が少しずつ思い出していく。
人狼であるワーと会った後、この一室の案内と食事を食べさて貰った六原はすぐに寝てしまった。どうやら、ワー曰く治療の副作用で少し眠くなるらしかった。
——しかし、昨日は残念だったぁ。
記憶に蘇る思い出したくも無いモノが頭を過ぎり六原は短いため息をついた。
——気を失っている間、てっきり月島さんがオレの看病をしてくれていたのかと思っていたが、ワーさんだったとは。しかも、寝ている間下着ごと着替えさせられているので健全な男子としては色々と複雑な気分だ。まぁ、月島さんも怪我人でもあるから自分のことを優先するだろうしねぇ。
けど、看病されたかったなぁ等という妄想を浮かべ、朝のまどろみに身を任せてぼんやりとしているとノックと同時に老婆の声がした。
「起きな。ほら、朝飯ができたよ」
ドアノブが回され現れたのは白髪の老婆であった。細身であるが背筋はピンと伸び、どこか優雅さを出している。ここがレストランなら優秀なウェイターと勘違いしただろう。
老婆は左手で扉を閉めると振り返る、その右腕には黒い布の塊を持っていた。
「・・・誰?」
「ワーさんだよ。小僧、忘れたのかい」
ああ、確かそんなことも言っていたよな。六原は昨夜の会話を思い出した。
——そういえば人間になれるんだったけなぁ。
「おや、この姿で会うのは初めてだったね」
「そうですねぇ」
昨日、色々あったが人狼はどうやら本人の意思で人に化けられるらしいとの話であった。
では何故、昨日は人狼の姿であったのかと聞くと初対面なのでなめられたらいけないと思ったからとの事であり、六原は、自分は協力者であるがこの家での立場は下なんだなと改めて実感した。
ちなみに、月島はワーがこの部屋から少しの間いなくなった時に現れ、自分の頼んだお願いにについてワーには言わないでおいてくれと言われている。
理由は教えてもらえず、考えても分らなかったが、こうしてわざわざ治療してもらっているので素直に従うことにした。代わりに、オレの事はこちらの世界で出来たレギオンのメンバーの一人という事になっていた。
「リビングに用意している、動けるか」
「・・・一応」
体を起こす。未だ右腕には痛みが奔るが包帯の間に仕込んだ治療促進の魔法が少しは効いるのかそこまで痛くは無く、昨夜、麻酔が切れたと気に襲われた眩暈や体の痺れはある程度は薄れていた。
「手伝おうかい」
「いえ、大丈夫ですよ」
とはいえ未だ体を起こすことも一苦労である。
痛みを堪えながらベッドから降り、立ち上がる六原の姿をワーは傍で観察した。
「意外と元気じゃないか」
「まだ体中が痛いですけど」
「そうかね?」
ワーは不思議そうに首をかしげる。
「私の見立てじゃあ、明日になれば普通に生活できる程度に治るはずだ」
「エッ、そんなに早く治るのか」
ワーの言葉を六原はすぐに飲み込むことが出来なかった。
——早すぎでしょ。
少なくとも体を数箇所もナイフで刺されている。回復魔法のような効果を持つシップを張られて入る為、常人の回復と比べれば驚くほど痛みが引いているのは分っていだが、それでも、明日になれば治るなんて事は想像できなかった。
「本当に?」
「ああ、たぶんね」
——って、おい。じゃあ、ドキドキな同居生活はどうなるんだよ。こちとらわざわざ家に連絡したときにしばらくちょっと同棲してくるぜぃ。って言ったのですけど。
「いやいや、ご迷惑じゃなかったらもう少し治るまで御厄介できないですか、ね?」
冗談のように軽い笑みを浮かべ言ってみると、ワーは目を少し細めた。
「面白いことを言うじゃないかい、そんなに私と同棲ごっこをしたかったのかい」
想像するだけで寒気がする。
——これは、もしかして昨日の電話聞かれた?・・・って、アンタと同棲するつもりは無いですがね。
「・・・いいかい。よく聞きな、ボウズ。何が起ころうと明日には出て行かせるからね」
言葉遣いこそは平常にワーは話す。だが、目は完全に「お前を狩るゾ」という意思が六原に伝えていた。
「了解です。全力で体を休ませて頂きます」
——こえぇぇ。
獰猛な肉食獣を連想させる気迫に押され、頷く以外六原に道は残されていなかった。
「・・・よろしい。サッサと着替えて、リビングに来な」
右腕に抱えたものをこちらに投げて寄越した。
疑問に思いながら黒い布のようなものを受け取り、広げて見るとそれは綺麗にたたまれたジャージであった。サイズを確認すると六原と同じサイズである。
「質問ですけど、このジャージは誰のものなんですか」
ワーは頬を指で掻き照れながら答えた。
「あたしのものに決まっているじゃないか」
——色々、複雑な気分だなぁ。
「なんだい着替えられないのか」
嫌な表情が顔に出たのか、ワーは右腕の指先をイソギンチャクのように器用に動かしなが、口端を大きく広げた。
ゾクリ、悪寒が襲ってくる。
「また、私に着替えさせてもらいたいのかい」
「す、すぐ着替えますので、先にリビングにいってください!!」
早くしなよ。と言う言葉を最後に扉は閉じ、足音が遠ざかっていくのが聞こえた。
着替えようと思った六原は体を動かしながら、呟いた。
「本当に明日で治るのかよ、コレ?」
昨夜月島からの話では傷口にシップのような御札に治療術という、回復速度を極端に上げる少し胡散臭い術がかけられているとは聞かされていたが。まさか明日に治るとは思えなかった。
——やはり、動かすたびに傷口が刺激され痛む。だけど、治らなくてもワーさんなら無理矢理にでもオレを追い出すよなぁ。
「嗚呼、せっかくの同棲イベントがぁ」
嘆く六原であったが溜息をつくと、朝食を食べる為ワーに言われたとおりに痛む体を動かして着替え始めた。
- Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー (仮題) ( No.16 )
- 日時: 2014/04/02 04:00
- 名前: uda (ID: T3U4YQT3)
少し見慣れた白い天井が六原は目を覚ました視界に写り込んだ。
——あれ、デジャブ。
等と案外この状況でふざけれることに意外と自分は余裕があるのだと考えながら、六原は上体を起こした。
——最近、眠ってばっかりだなぁ。
簡単な朝食を頂き。食後に飲んだ月島が調合したという痛み止め薬のせいか、再び眠りについた六原が目覚めたのは昼過ぎであった。
月島にこれからのことについて話し合おうと思ったのだが、ワー曰く、朝早くから用事で出かけているそうであった。何でも折れた杖の修復を行っていると言っていた。バラバラになり破片も泉の前に置いていった筈だが、それをどう治すのか非常に興味があったが教えてもらえなかった。
人狼、ワーも買い出しとちょっと偵察があるとかで朝食を食べ終えるとすぐに片付け、出て行くと言っていた。
なので、今この魔女の隠れ家と云うこのアパートの一室には六原一人しかいない。六原としては特にやることも無いのでもう一度寝るかと思ったが、甲高い電子音が耳に届いた。
聞きなれた音楽。六原が持っているケータイの着信音であった。
ベッドの上、無造作に置かれたケータイにはワーから借りた充電器が取り付けられている。家族に連絡する際に一応隠れ家との事なので携帯等で無断に使っても大丈夫なのだろうか。と朝食の際にワーに確認したときに貰ったものだ。
元々、ケータイは受電が切れていた為、財布と一緒にワ—が預かっていた。ワーはあの子が連れてきたんだ、大丈夫だろう。と言って朝食を食べ終えた六原に充電器と一緒に携帯を投げて寄越した。
——コレでも信頼はされているのかなぁ。
六原は眠たげな目蓋を押さえながらケータイの画面を見る。そして、表示されている名前を見る。よく知った名前であった。
——面倒な人がぁ。
少し億劫な気持ちになりつつも電話を取った。
「久しぶりね」
聞きなれた女性の短い挨拶。
「元気にしていた。母から連絡があったが体、いえ、頭は大丈夫かしら?」
「何のことですかね、姉さん」
——畜生、母さん姉に連絡したのかぁ。
高校から両親の元を離れ姉の住んでいるアパートに住まわしてもらっているのだが、家主の姉は家にいることが珍しく、基本連絡も取ることが難しいので何か連絡があれば実家に連絡をしているようにしている。
「母さん、あんたが同棲なんてとうとう妄想壁になったかって嘆いていたわぁ」
「失礼な」
道理で電話越しの母の声が苦笑いに聞こえたのだと六原は納得した。
「こちとら、異性に至れり尽くせり面倒を見てもらってドキドキだよ」
ただし、それは月島ではなく人狼の老婆であり、そのドキドキは下手をしたら殺られるんじゃないか。と云う恐怖によるものだという都合の悪い所は省いているのはわざとでは無い。
どうか誤解するようにと六原は電話の向こうの相手、実の姉である六原メイに思っていた。
姉は別段気にすることなく、あらそうなの。どうでもいいような返事をした。
「それで聞いた所、全く持って恭介君は使い物にならなかったそうじゃない」
「……じゃかーし」
——やっぱりばれていますかぁ。
どうやら、六原の身に何があったかはある程度バレているようだ。何故知っているかなんて今更驚く事でなかった。
——なら、中途半端に隠し事をするのはやめよう。どうせ隠していても無駄だし、一応電話の相手も家族なんだ。少しは本当のことを話しておこう。
六原は今まであったことを姉に話す。老婆からの屋上の呼び出し、自分を救って欲しいという自暴自棄気味の少女。次の日に起きたクラスメイトとメイドの襲撃、そして、何本ものナイフを体に受けたと言うこと。
姉は六原の突拍子も無い会話を疑うことと無く信じた。六原メイ本人も弟同様に非日常に巻き込まれることには慣れていたからである。
この他者からは英雄と囃し立てられる実の姉なら、何かアドバイスぐらいしてもらえるのじゃないかと少し期待しながら六原は語り終えた。
だが、六原メイは弟の話を聞き終えると、
「へぇ、それは恭介君らしい、本当に脇役みたい」
感想だけ言うと逆に問い返した。
「それで、どうする」
「まだ、やるよ」
何も疑問や考え等持たずに即答する六原。その答えに受話器越しに溜息が聞こえた。
「まったく全然懲りてないようね」
今まで失敗に失敗を重ねている六原にとってはこの程度のことでへこたれていない事は当然であった。なので、頭の中では諦めると言う選択肢は無く、これからどうやって活躍しようかとしか考えていない。
「そう、なら朗報を一つ」
電話からは弾んだような嬉しそうな声ではなく、言葉に重みを乗せ六原メイは言う。
「いい事を教えてやろう。君の魔女のいた世界で私は今ヒーローをしているよ」
——・・・・・・マジかよ!?
姉の言葉の意味をすぐさま理解し、驚きの声を漏らしかけたが、六原は一度息をゆっくりと吐き、落ち着きをとる。動揺は相手には悟られたくなかった。
「・・・・・・へぇ。そ、そうなんだ。ちなみに具体的には。」
落ち着いて自分は答えたと思いたい六原であった。しかし、頭の中は自分でも驚くほど焦っていた。
姉の言っている事は六原にとっては最悪のことである。言葉通りなら、姉がヒーローをしている事はこちらの味方にではないという意味。
そして、六原の事情を今しがた聞いたはずであるヒーローと呼ばれる姉は躊躇せずにきっぱりと言った。
「もちろん魔女狩りさ」
——これは詳しい事は言わないほうがよかったのかもしれないよね。いや、確実に言わないほうが良かった。
身内とはいえ敵にやすやすと情報を渡してしまったのだ。自分のいつも通りの浅はかさに嫌気が刺す。
——幸いなのは自分がいる場所を教えなかったことかぁ。
それは自分が今いる場所を教えなかったというより、外に出ていない為、ここがどこだかいまいち分らないので教えることが出来なかったのだが、場所を特定されなかったと言うだけが少し救いであった。
「い、いやいや、いきなり関わってくるって話的におかしいでしょう。もう少し何かオレにもアンタが来るって言うヒントや伏線あってから来てくださいよ」
「また、おかしなことを」
「だって、いつもそうじゃないか。いきなり現われて全てを解決して颯爽と去っていく。もっと、修行や苦悩なんて場面があってもいいでしょうが」
今まで溜まっていた言葉をぶちまける六原の言葉を姉は鼻で笑い一蹴した。
「・・・・・・フン、何を今さら。それでつまり何が問題なの」
「あんたが強すぎるって事だよ」
「当たり前だ。それがヒーローよ」
「・・・・・・」
——畜生。少しカッコいいって思ってしまった。
「なぁ、恭介君。今回は諦めなさい。この件はチョット今の立ち位置じゃ難しいわ」
「・・・・・・」
畳み掛けるように、しかし、諭すように言う姉に何も言えない。
言っていることは間違っていないのだ、絶対に倒せるはずが無いと思っている姉が敵になったのだ。
——嗚呼、一体どうすればいいのだろうか。
何も答えることが出来なかった。
長い時間が経ったような気がした、沈黙が重くのしかかる。
やがて、六原メイは答えの出さない弟に言葉を掛けた。
「それでも諦めないの」
——その問いは答えられる。
六原は乾いた唇を一度舐めると答えた。
「ごめん、諦められない」
「んじゃ、頑張りなさい。健闘祈るわ」
何ともあっさりと突き放したような返答の後、電話は一方的に切られた。
しかし、敵になったといっても相手が身内だとあまくなりそうで困るわぁ。と最後の一言にどこか姉らしい優しさを感じた。
といっても姉が敵になった事実は変わらない。ケータイをベッドの脇に置くと体の傷を痛まないようにゆっくりと再び寝転がった。
家族と会話したことにより少し安心したわけではなく、どちらかと言うと家族と話して疲れたという、少し親不孝な感じもする変な感覚に襲われる。
体が、特に目蓋が重い。
——もう少し、寝るか。
意識がおぼろげになっていく中、姉のことを思い出し呟く。
「・・・しかし、お互い本当に変な事に巻き込まれすぎだよねぇ」
そういえば、姉が敵になるなんて初めてだと思いながら六原は再び眠りに落ちた。
- Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー ( No.17 )
- 日時: 2014/04/08 02:39
- 名前: uda (ID: T3U4YQT3)
*騎士とメイドの物語 04.5*
彼女は携帯を閉じながら、思いを馳せる。
——そういえば、弟が敵になることは生まれて初めてね。
ポケットに携帯を押し込むと、彼女は木製のドアを開け、再び店内に戻った。
彼女が入った店は駅前から少し離れた人通りの少ない道にある喫茶店。入り口が分かりづらく、小さな洋館のように見える煌びやかな白い壁と数箇所のステンドグラスが印象的な外装。店内には木製の壁に天井から吊るされたランプがぼんやりとした明かりを各席で放ち、カフェスペースにあるアンティークな小物達も相まって少し幻想的で落ち着いた雰囲気を出していた。
お客は店内にはいない。来るはずがない。
彼女、六原 メイの為に本日休業と掲げられた看板が入り口の前に置かれているからである。
「待たせたわね。レイ君」
カウンター席に腰掛けると六原メイは奥でグラスを磨いていたエプロンドレスの少女に声を掛けた。
「イエ、それで、結果はいかがでしたカ」
どこか詰まるような言葉遣いで答えながら、レイと呼ばれたメイド姿の少女はカップにコーヒーを注ぎ、カウンターに座った六原メイの目の前に置く。
先ほど席を立つ前に頼んだおかわりのコーヒーである。六原メイは話を始める前に少しだけ口に含み喉を潤した。
苦味のある独特なまろやかさと香ばしいコーヒー豆の臭いが気分を落ち着かせてくれる。一息つき、コーヒーソーサーの上にゆっくりとカップを置くと六原メイは話し始めた。
「やっぱり、あのバカは向こう側についてしまったみたいね」
「・・・そうですカ。何か情報は漏らしたのですカ」
「いや、そういう情報の管理は意外としっかりしているんだよなぁ。アノの弟は・・・・・・」
もっとも、何か情報をくれたとしても大体が嘘である事は黙っておいた。姉が弟にあまり好かれていないと言うのは何だか気恥ずかしかったからであった。
「ところで、辰野君はどうしたの」
——わざわざ、店を閉めているのに、何をやっているのかな。
喫茶店シロガネ堂。堅苦しいようなネーミングの喫茶店であるが、その裏では辰野とレイ達、魔法の国に仕えている者達のこちら側の拠点であった。
今回はついに魔女を追い詰めたので最後の対策をするべく緊急の打ち合わせをしたいとの事で、以前一緒に戦った仲間であった六原メイが呼ばれていた。
「遅くないかしら?」
店内の壁に置かれた柱のような古時計の指す時刻はもう約束の時刻を過ぎていたにもかかわらず辰野は姿を表していなかった。
「ソレでしたら、先ほど辰野様カラ、連絡がありましタ」
もともと、以前の「レギオン」討伐の際に同じ異世界から召還された身として知り合った六原メイと辰野の交流は続いており、時折このように彼の仕事の手伝いを頼まれている。
「何て?」
一度手を洗い、側に掛けたタオルで手を拭きながらレイは言う。
「レギオンの残党と出くわしテ交戦しているようデス」
実にあっさりと、まるで忘れ物でも取りに戻っているようにレイは辰野が敵と出会い、戦っていること何でもないように言った。
——まったく、あの子はなぁ。
時折表れる彼の一人で突っ走る行動に呆れすぎてため息が出る。
「ですノデ、もし遅くなる場合、これからの打ち合わせは私が伝エテおきます」
「冷たいじゃない。レイ君は助けに行かなくてもいいのかしら?」
「今の残党程度なら一人で片付けてもらわなければ困りますノデ」
特に心配したそぶりも見せずにレイは奥の棚においてあった書類を抱え、カウンターから出る為に一旦、店内の奥にある厨房前まで離れていった。
——なるほど信頼しているってことかしらね。
と予想はついた六原メイだったがあえて答えず違う予想を口にする。
「言うことが厳しいわね。さすが元王の護衛隊だけあって弟子にはスパルタ教育を施しているといったところかしら」
何気ない風に六原メイは言うと一定リズムだったメイドの歩調が僅かにぶれた気がした。
「今デモ護衛でス。辰野様が約束を果たすまで・・・」
店内の奥から聞こえる声。最後の言葉は良く聞き取れなかったが、彼女たちにもまだ、色々と問題があるようだと六原メイは察した。
「大変だね、救ってあげようか」
「いえ、そういうノは。一人で十分ですノデ・・・」
傍にやって来たレイは迷うことなく六原メイの申し出を断ると封筒を渡した。
「つれないね。困ったらオネーさんに言ってよねぇ」
お礼をいいながら封筒の中身を確認するとレギオンの詳細なメンバーをまとめた書類や魔女の使う魔法の種類、辰野やメイドの持つスキルまで書かれていた。
「詳しいことはソチラに書いてありマス」
「あら、そう。じゃあ、帰ってからよく目を通しておくわ。後は魔女のいる場所をこちらでも探してみるから、分かりしだい連絡するわね」
「ありがとうございます」
——お礼は普通に詰まらずに言えるのね。
「とりあえず、現状、残党は大体狩ったみたいね。まだ少しぐらい残っていると思うかもしれないけど、先に魔女を見つけないと。向こうも必死なようだから……」
「このまま、ちょっかいヲ出さないならいいのデスけど。弟さんも、レギオンも……」
「そうねぇ。まぁ、けどあのバカはある意味どう足掻いても活躍はしないから大丈夫よ」
「え・・・?」
六原メイの言っている言葉の意味を理解できずレイは首を捻り不思議そうな顔をした。
——言っても信じてもらえないから詳しくは言わないけどね。
運や才能もない。自分の弟は何も出来ない。それは今までの彼の行動を見るだけで明らかであったからだ。
しかし、電話での弟の反応を思い出しながら、六原メイは話す。
「それでも弟は何と、まだ諦めないだとさ。いやぁ、素晴らしいことね。・・・・・・しかし、私も容赦しないけど」
——忠告はしたからね。
母からの連絡を聞くに、どうやら、命の別状は無いものの療養中である弟の身を少しは案じてはいた。
「体ノ具合は大丈夫でしたカ」
「ん?ああ、大丈夫。後、別に気にする必要は無いわよ。あのバカが突っ込んで来たのが悪いのだからね」
レイのナイフが数本も刺さったと聞いたときは少し驚いたが、話を聞く限り明らかに身を投げ出した弟が悪いのだ。メイドを責める訳にもいかない。
——まぁ、それもこれもあれもどれも全てお姉ちゃんが何とかしてみせましょうか。
具体案は浮かんでいないがきっと上手くいくと信じている六原メイは受け取った封筒を傍に置いたカバンに詰め込んだ後、コーヒーにもう一度口をつける。
「今はタツノが帰ってくるまで少し待つとしようか」
「ソウですか。では、よろしければお相手しマス」
ぺこりと軽く頭を下げるレイ。
——じゃあ、以前から気になっていたことでも聞こうか。
その以前と言うのが昔、辰野が異世界でレギオンを壊滅させた時のころ。彼の傍でサポートをしていた経験のある六原メイはレイに質問をぶつけた。
「ありがとう。それで、辰野君とはどこまでいったの」
「・・・・・・ハイ?」
眉毛が八の字にしながら表情が崩れたレイに六原メイは質問を続ける。
「どこまでって・・・今敵を追いかけていますカラ正確な場所ハ・・・・・・」
「いやいや、そうじゃないわよ」
レイ以外誰もいない筈なのにまるで秘密の約束でもするように小さな声でレイにささやく。
「チューまではいったんだろ」
「・・・・・・」
答えは無言であった。しかし、その嫌そうな表情から未だにしていないというのは想像するのは簡単であった。
「・・・・・・あちらはヘタレデスノデ」
短い沈黙の後小さな声でレイは愚痴をこぼした。
どうやら色々と不満はあるようだ。
「まぁ、気を落とさないで。何か色々溜まっているようだから聞こうじゃないか」
そうして、辰野についての愚痴を聞くことにした。面白おかしな話が始まって数分後、「誰がヘタレだ!」と怒鳴りながら入ってくる辰野が来て六原メイは「ラブコメすぎだろ、お前ら。」と腹を抱えて笑う羽目になった。
笑いながら、六原メイは考える。これからの事は色々不安もある、しかし、いつものように上手く行くという自信はなくなることが無かった。
——まぁ、まずはさっさと魔女を捕まえようかしら。
- Re:脇役謳歌〜できそこないヒーロー ( No.18 )
- 日時: 2014/04/08 02:40
- 名前: uda (ID: T3U4YQT3)
*騎士とメイドの物語 05*
目の前にはガスコンロが置かれ、その上では土鍋が湯気を吹きだしていた。
ぐつぐつと醤油と脂身が煮え立ち、独特の臭いが鍋蓋から洩れ食欲をそそる。日が完全に暮れたそろそろ外は肌寒くなってくる時間だが、目の前で噴出す土鍋の湯気によってこのLDK型の居間はむしろ熱いぐらいであった。
——要するに今日の夕食は鳥鍋です。
どこにでもあるような四脚型のテーブルには鍋の具材が盛られた大皿があり、それぞれの手元には箸とグラスに取り皿、そして、ワー用に酒ビンが一升置かれていた。
「さてと」
となりの椅子に座る割烹着を着た老婆ワーが鍋のふたを外した。
——しかし、恐ろしいほど割烹着が似合うなぁ。
「いい感じに煮えてきたようだね」
白菜、肉団子、えのき、しいたけ、春菊等の見慣れた鍋具の中に良く煮えたぶつ切りの鶏肉が見えると同時に鍋特有の香ばしい香りが食卓の周囲を漂う。
「小僧どうだい?」
「はい、うまそうです」
昼はワーさんに与えられたカップラーメンだけであったので高校生の六原としては少し物足りなく、蓋を開けた瞬間の臭いが余計空腹感を煽っている。
向かいに座るジーンズに黒いTシャツのラフな格好の少女は小柄のやかんを持つと六原に話しかけた。
「六原さんはお茶でよかったよね」
「ああ、ありがとう」
——しかし六原さんというのも新鮮だなぁ。
肝心な事を調べていなかったが少女、月島が自分の通っている学園の生徒であることは知っていたのだが、
——まさか、学年がオレより一つ下の後輩だとは分らなかった。
知ったのはつい先ほどである。午後になりただボーとベッドで寝ているわけにもいかないので、ある程度月島と辰野についての情報をベッドの上でケータイを使い、よく使っている掲示板や彼女たちについて深く関わっていそうな知り合いに連絡と色々調べた結果に月島が六原の学年の一つ下だという事が分かった。
その時、六原は驚きを隠せなかった。正直、同い年だと思っていたからだ。
それから、帰ってきた月島にこの事実を聞いてみたところ、本人は六原が先輩だと言う事を既に知っていたらしく、対して驚かずに六原の質問を肯定してくれた。
そして、キミや六原君というのはなんか上から目線の気がして腹が立つからと正直に言って見たところ、では呼び方を変えようということになった。
案として普通に先輩等でも良いかと思い、試しに呼んでもらったが、「面と向かって先輩等と話されたがなんか違う。」ということになり迷いに迷って何故か六原さんに落ち着いてしまったわけである。
——まぁ、完全に年上扱いされていなかったみたいですね。
お茶を入れてくれたことに軽く礼を言う。皆のグラスに飲み物が行き渡ると割烹着の上に着ていたふりふりのエプロンを外したワーがグラスを高々と上げた。
「じゃあ、うちの主人と小僧の完治を祝って二人とも、まだ色々と問題はあるけども、今日はそれを忘れてパーとたくさんお食べ」
さすが年の功、良い事を言うね。思ったが六原は消して口に出さないようにした。
「「はーい」」
六原と月島はお互い返事をするとグラスを上げる。
「では、かんぱーい!!」
「「乾杯」」
ワーの一言の後グラスを互いにぶつけ合った。
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