複雑・ファジー小説

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脇役謳歌〜できそこないヒーロー【一話完結】
日時: 2014/04/02 03:14
名前: uda (ID: T3U4YQT3)

 はじめまして、初投稿ということで右も左もわからないまま現状です。
 一応長編を書いていきたいのですが。このような投降でよかったのかと不安です。
 完結はさせるつもりですのでよろしくお願いします。




(はじめに)

・脇役が主役なれないのかという矛盾な事を考えて、気が付けば執筆していました。てにおはや誤字脱字などが酷いですが完結し次第修正を加えさせてもらいます。

・登場人物ですが主人公は結構中二病全開の痛い子ですが、隠された特別な力はありません。ましてやハーレムになることもありません。
 脇役みたいなヤツなので仕方がないと暖かい目で見てください。

 
・タイトルはご覧の通りですが各章のサブタイトルも今書いている話が終りましたのでそのシーンが修正され次第、書かせて頂きます。


 
<一言メモ>

 前タイトルはできそこないヒーロー(仮題)ですが、一応完結した為、脇役謳歌(できそこないヒーロー)にしています。ご迷惑かけるかもしれませんがよろしくお願いします。

 只今、添削や誤字脱字を修正中です。何かありましたら,よろしければコメント等、ご指導してもらえるとたすかります。


オープニング >>001

・騎士とメイドの物語。
1 告白か果たし状か? >>002-003
2 泉の前で >>004-007
3 騎士は正々堂々と決闘をする >>008-010 >>011-012
4 これが憧れの同棲生活 >>013-016
4.5 喫茶店で打ち合わせ >>017
5 鍋最高 >>018-020 >>022-024
6 魔女の踊り場 >>025-028
6.5 レギオン >>029-030
7 どうすっかなぁ >>031-34 >>037
8 無駄な抵抗 >>038-040
9 脇役の後悔 >>041-045
10 そして彼は舞い降りる >>046-049
11 覚醒できたらいいよね >>050-056
12 ヒーローは登場する >>057-058
エピローグ >>059>>061>>062>>063>>064




Re: できそこないヒーロー (仮題) ( No.35 )
日時: 2014/02/12 20:20
名前: Cathy ◆1oDpaQGRrs (ID: .Dr7fIW0)

 初めまして!Cathyと申します。
 私もこちらで執筆させてもらっている身です。
 題名に惹かれ、気がつけばクリックしていました笑

 実はまだ最後まで読み終わっていないのですが、今すぐにでもコメントをしたい!という衝動に負けてしまいました笑
 なんというか、文章がなめらかですね。
 うーん、私には書けない文体です。
 心情描写がさらさらと自分の中に入ってくる感じがします。それに、情景描写もお上手で想像しやすくて、読み手としてはすごく読みやすいです。
 情景描写が苦手で読み返すと自分もその状況が把握できず、固まった文章になってしまう私としては羨ましい限りです笑
 そして読みごたえがすごいです!もうほんとすごいです!当たり前のように口にしていた読みごたえという言葉を、前言撤回して回りたいぐらいです笑 私の文章なんかほんとぺらぺらで、悔しいぐらいです。笑 精進します!!!笑

 また、設定に圧巻されました笑
 脇役ヒーローなんてヒーローなのか?そんなのあり?って感じでこれからの展開にわくわくしっぱなしです笑
 その発想力もとても羨ましいです!!!笑
 私もいつかヒーロー物とか、躍動感溢れるお話を書いてみたいです。

 それと、誤字を何個か発見したのですけど、完結してからの方がいいですかね??

 さて、六原君は月島ちゃんを救えるのかとても、気になりますね!笑
 途中までしか読んでいないので、救い終わっていたら、何とも言えないです。。。笑
 また、途中なのにも関わらず感想など、本当にすいませんm(__)m

 これからもまた、覗きにこようと思います!
 執筆がんばってください!応援していますっ。

 それでは、失礼いたしました!

Re: できそこないヒーロー (仮題) ( No.36 )
日時: 2014/02/13 08:00
名前: uda (ID: T3U4YQT3)

 Cathyさんレビューありがとうございます。長文の感想に久しぶりに照れてしまいました。

 誤字脱字についてですが出来るだけ気をつけていますが、一度きりのいいところで直していきますので・・・・・・

 それではお互い気楽に執筆していきましょう。

Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー ( No.37 )
日時: 2014/04/22 01:38
名前: uda (ID: T3U4YQT3)

 そこから先の出来事は六原の頭にはあまり残っていない。
 六原は辰野との話し合いの結果を月島にすぐに伝えることなく気が付いたら教室に戻っていた。先に戻っていた辰野は何事も無かった様子で放課後残っているクラスメイトと会話をしていた。
 そして、六原はいつも通りには程遠い状態で荷物をまとめ、重たい足取りを引きずりふらふらと教室を出て行った。六原のおかしな様子に何人かが気付き心配してくれたがその声は耳には入らず、代わりに背後で談笑する辰野の低い声が何故か良く聞こえた。
 あまり、何かを考えたくなかった。
 そんな空っぽの頭の中では一つの疑問しか浮かばない。
 このまま、救うのを手伝うか。諦めるか。
 だが、いい答えが浮かばない。
 彼女を救う理由が無くなった。というより彼女を救うことが正しいことか分からなくなっていた。
——オレはヒーローになりたいんだ。悪役なんかではなく。
 誰もが、本人でさえも救ってもらおうと思っていないかもしれないのに救うことはヒーローとして間違っていると六原は思った。
 けど、道徳的には彼女を救ってやりたい自分がいる。
 しかし、彼女を救う方法もなければ、やる気もおきない自分がいた。
——どうすればいいんだよ。
 自分自身に叱咤しながら。六原は自宅に帰ることにした。何もする気が起きない。今日はゆっくり休もう。
 靴を履き替え玄関に出る。
「やぁ、六原さん」
 声を掛けられ振り返る。正面玄関の先にある大きな門の壁に寄りかかるようにして、一人の少女が手を振っていた。
——おいおい、なんでいるんですかね。
 今日、連絡を取った際は放課後はワーさんと買い物に行くのでその後家に来てくれとのことだったのだが。
 何故か疲れ果てたように少し顔色が悪い彼女に六原はぎこちない手つきで手を振り返す。
 体調でも悪かったのだろうか。しかし、今の自分は目の前にいる少女に何を言えばいいのか分らない。辰野との話し合いを聞かれるのが怖かった。
 何と答えたらいいのか。何度も頭の中で問い直しているのに答えが出ない。
 月島はゆっくりとした足取りでこちらに近づく。
——嗚呼。駄目だなぁ。
 言うしかないのかと未だ悩む六原に月島は声を掛けた。
「今日は箒をとりにいく約束だったじゃないか」
「え・・・・・・ほうき」
 予想外の質問。そういえばそんなことあったな。と思いだした。
「嗚呼、そうだったな」
 辰野との話し合いの事ではなく。ホッとしたが、どの道、遅かれ早かれ結果は言わないといけないのだ。そう思い。半ば無理矢理腹を括る。
——よし、覚悟完了。
 そして、目の前の月島を見て、話す覚悟を決めた六原は諦めたように力なく言った。
「じゃあ、行こうか。あまり時間も無いことだしね。」
 まずは、月島の家に着いてから今回駄目だったということを正直に言おう。その後のことは少し、色々時間がかかるかもしれないが何とかしよう。けど、彼女を助けることは悪なのじゃないか。という疑問が頭の中を駆け巡り、混ざり合いながら六原の頭は一つの結論を出す。
——彼女の本心について聞こう。
 我ながら名案だと六原は思った。
——思えばオレは自分の事ばかりしか見ていない。月島がこれからどうしたのか、どうすれば救われたと思うのかまずは、それを聞き出すことから始めようじゃないか。
「ほら、置いていくよ」
「お、おい」
 これからの事を無理やり前向きに考えつつ六原は先を歩く月島の後を急いで追いかけた。

Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー ( No.38 )
日時: 2014/04/24 02:37
名前: uda (ID: T3U4YQT3)

「結果だけ言うと、無理だった。すまない」
 デスクチェアに座ったまま六原は頭を下げる。視線の先には月島の部屋に敷いてある灰色のカーペットが広がった。
 校門で月島と会ってから、前回いきなり襲われたこともあったので、すぐさま人気の無い裏庭まで歩くと月島の転移魔法を使い魔女の隠れ家に行くになった。
 マンションの一室であるこの部屋は今、無人である。ワーさんは買出しに言ってくるとの書き置きがあったそうで、まぁ、お茶でも飲みながら話し合おうじゃないか。という月島の発言の元こうして、湯飲みに入った温茶をお互い啜っていた。一息ついた所でようやく六原はつい先ほどあった辰野との出来事、自分が知ったレギオンについての情報を簡潔にまとめ月島に説明し始めたのであった。
——こいつなりに気を使ったつもりなのかなぁ。
 月島の部屋に行くまでのやる気の無いテンションの六原を見ればどう考えても辰野との交渉は決裂したと言っているようにしか思えなかった。
 だからなのか、お茶を出すなりじゃあ本題にうつろうかと月島が急かしてきたのも、いやな事はさっさと言った方がいいからと身を案じたのではないかと六原は思っていた。
 ちなみに本日譲り受ける魔法の箒はまだ、貰っておらず。昨夜と同じようにデスクの壁にかけられている。
 ある程度辰野との会話内容を説明し最後に再び、すまない。と頭を下げる六原にベッドの上に腰掛ける月島は淡々と語る。
「顔を上げてくれないか、六原さん。別に私は怒っていないのだからね」
 言われ頭を上げる月島はゆっくりとお茶をすすっていた。何故か薄く汚れた制服を着替えることなく彼女は落ち着いた様子で語る。
「しかし、そこまで分かってしまったのか。凄い情報収集だね」
「いや、そんなんじゃないよ」
——嗚呼、気分が盛り上がらない。
 月島の顔を見るたびに、お前の行動はヒーローじゃない。という辰野の言葉が蘇り、いまいち、気分が盛り上がらない。
 いつもなら、こんな女の子の部屋で二人っきりという今まで彼女のいなかった六原にとって変態的なイベントなら、ワーさんがいないという状況なだけで少しやっべぇ、ラブコメみたいだ!!と気分を上げ、一人で勝手に騒いでいるはずであった。
「どうしたの。もしかして気分でも優れないのかい」
 あまりにも大人しいのか心配してくる月島になんでもないと答え、六原はこれからのことについて相談しようと考えた。
「それでこれからのことなんだが、」
「何か案があるのかい」
 正直に首を横に振りながら言った。
「スマナイ。思いつかない」
 どうして、何も思いつかないのか。自分が嫌になりそうである。
 このままだと何もできないまま彼女は魔法の国か、レギオンに捕まってしまうのに。
——嗚呼、今度こそ、呆れられるよねぇ。
 月島が捉えられることが嫌だと思う自分がいるが、同時に彼女が辰野側とレギオン側のどちらかに付くことが「正しいことじゃないか」と思う自分もいた。
 まず、どうすれば正しい事に繋がるのか分からなくなった混乱の中、六原は目の前の問題の解決を考えることが上手くできないでいた。
 未だ何の役にも立たず自分にイラつきながら、六原は月島を見る。
——おいおい。
 彼女の表情に思わずたまっている感情が爆発しそうになり、奥歯を噛みしめる。
 そこには予想に反して、薄く微笑んだ月島がいた。
——なんで、そんな表情をしているんだよ。
 疑問を口にするよりも早く、月島がゆっくりとした口調で話す。
「まぁ、仕方ないよ。・・・いや、私みたいな戦いの象徴とされた悪役には過ぎた願いだったのかもしれないね。」
 自虐的なセリフの後、
「だからね、六原さん」
 駄々をこねる赤子を諭すような優しい口調で月島は言葉を繋げた。六原は何も言えず、彼女の言葉を否定できる訳も無く聞くしかない。

「別に諦めてもいいんだよ。」

——・・・・・・・ァ
 目の前がぐらりと揺れる。頭を思いっきりに殴られたような衝撃が六原を襲う。辰野や、実の姉にも同じような事を言われたが、それとは比較にならないほどのショックを受けている自分がいた。
——じゃあ、何でオレに助けてくれなんてお前は言ったんだよ!!
 頭に血が上り声を荒げそうになる。
——そんなあきらめの言葉を聞きたくなかった。それならばまだ呆れられ、蔑まれるほうがよかった。なんで、どうして。嗚呼……
 落ち着け、そうじゃない。六原は息を短く吐き、自身を落ち着かせる。月島にそんな八つ当たりのようなことを言いたいのではない。
——だが、他に何が言えるのか。未だ何もできない自分に。
 それでも、月島の発言を取り消したく六原は口を開くが、何を言っていいか分からずに口をパクパクするだけであった。
 何も言えず、情けなさだけが積もる六原の周囲を静寂が包み始めた。
 側では無機質な時計の音が聞こえ始める中で、
「それにね。六原さん」
 不意に月島は湯飲みをベッドの棚に置き、部屋の入り口の反対方向にあるベランダへと繋がる大きな窓を見る。
——何か、何か言わないと。どうしてこんな時にいい言葉が見つからない。
 悩みながらも釣られて見ると無機質な白いカーテンが夕日を隠すように閉められていた。
 その窓をじっと見つめながら月島は目を伏せる。
「どうやら、時間切れのようだ」
 何の事だと理解するよりも早く、
 何の脈絡もなくガシャンと窓ガラスが弾けとんだ。

Re: 脇役謳歌〜できそこないヒーロー ( No.39 )
日時: 2014/04/26 03:54
名前: uda (ID: T3U4YQT3)

 耳障りな音が響いた。その音が、窓が割れた音だと判断する前に既に六原は反射的に動いていた。
手元の机にかけてある銀色の箒を握りすぐさま窓のほうを見る。
 先程までのショックや混乱を一端置き、すぐさま頭を切り替え目の前の状況に対応できるように意識を集中した。
 長年の経験からこの後の展開は想像はついていた。
 だから、六原は慌てずに素早く行動することができている。
——まぁ、活躍した事はないけどね。
 割れた窓に向かい合うように六原は立つ。
 視界に広がる光景、散らばるガラス片を見るに窓ガラスが粉々に割れたと分かると同時にガラス片と一緒に二つの黒い塊が現れる。
——敵、だよね。
 足元まであるかのような黒いローブに身を包み顔も性別も分からない二人が突如として窓から侵入する。二人の右手には六原の持つ箒より一回り小さな杖を握っていた。
 突然現れた二人に、どうしよう。等と六原は悩む暇も無かった。
考える前に目の前に現れた黒ローブの二人は六原に跳ねる様に無言で迫ってきたからだ。だが、二人とも視線は六原には向いておらず、背後の少女を見据えているようであった。
——やっぱり狙いは月島だよねぇ。
 月島の前に行く手を阻むように立つ。だが、左右から迫った相手は既に杖を振りかぶっていた。
 距離にして二畳ほどの距離はあっという間に詰り左右から来る内の右の黒マントが先に右手で振り上げた杖を横に薙ぐ。
 棍棒のように振るわれた杖を六原は箒を右側に地面と垂直になるように構えることで防ぐ体勢をとった。
——フフフフ、コレぐらいの事はオレにだって出来るんですよ。さぁ、見せてやろう。オレの真骨頂。
だが、六原は振るわれた杖の先端に小さな正六角形の魔法陣が描かれていたことに気が付かなかった。
 水色の魔法陣は箒と衝突する瞬間にガラスのように割れ、発動した。
「げぇ」
 六原が異変に気付いたのは箒から冷気を感じた時である。その魔法陣は冷気を生み出し氷を生成していた。それはもちろん付近にある杖を箒も凍らせ、氷によって杖と箒を結合させる事など容易くできるほどであった。
——ヤバい。コレ罠だった。
 ワザと目の前の黒マントは六原の動きを塞ぐ為に杖を振るったのだと気が付いたときには敵の思惑通りの展開となっていた
 箒が相手の杖とつながり、動かせなくなった隙を見逃すはずもなく左の黒マントが杖を握り締め、襲い掛かってくる。
 上段から振り下ろされる杖の先端には茶色の魔法陣が展開されていた。
「ちょ、いや、うわぁ……」
——あ、これマズイ、マズイ、マズイって。いやぁぁぁああ。スイマセン調子こいてましたんでその振りかぶった太くて大きい棒を僕の体めがけて振り下ろすのはやめてくれませんか。壊れちゃうよ、やっべーわぁ。ミスったはオレ。
 迫りくる杖にパニックになり、少し泣きそうになった六原は避けられないと想い激しい悔差の中、目を瞑る。
「駄目だよ」

 暗闇の中、月島の声が響く。

 ジャラリという金属の重々しい音が響いた。
 
 続いて耳にするのは六原が殴られた打撃音ではなく、低い男性の声であった。
「な、がぁ・・・」
 低くうめいた声が聞こえ、六原は瞑っていた目を開ける。
 視界に飛び込んでくる物体、それは銀色のマネキンのように六原は見えた。
 だが、実際は目の前にいた杖を振り下ろそうとした黒マントが一瞬で銀色の鎖に染められていたからであった。
 ジャラリという音が再び目の前からする。その音の正体は、瞬く間に黒マントの全身に巻かれた銀色の鎖。
 まるでミイラのように鎖のオブジェにされた黒マントは少しも動くことができないまま、前に倒れた。
箒を凍らせた黒マントも六原も一瞬の出来事に驚く。
 そして、その間を月島が逃すわけも無い。
「遅いね」
「しまっ!!」
 気がついた時には遅かった、抵抗する間もなく黒マントも蛇のような動きで襲いかかる鎖に絡まれ、身動きを封じられもう一人と同じように倒れた。その為氷で繋がれた箒も引き寄せらたので、慌てて六原は箒を手放した。
——すげぇな。
 なすすべも無く倒された黒マントの二人を見下ろすと六原は一息吐き緊張をほぐす。
——杖が折れても強いじゃないか。
 とりあえず、助かったのでお礼を言おうと振り返る。
 視線の先には少し六原の後ろにあった本棚に移動し、昨夜見た魔道書のような本を開いて立っていた。
 だが、お礼を言う前に、ジャラリという鎖の音がした
「ちょ、え、何故に!?」
 強く縛られる感触がした時には簀巻きのように上半身に鎖が巻かれていた。
——あれーおかしいなー。オレ味方だし、そんな変な趣味は無いのだけどなぁ。つーか、これはなんだ。
 右わき腹と右腕付近、鎖でぐるぐる巻きにされ鎖帷子のようにされた辺りに紅い光りが洩れていた。
「六原さん、前!!」
「はい?」
「歯を食いしばって」
 疑問より先に言われたとおりに歯を食いしばる。何かが目につく。よく凝らせば黒マント達が現れた窓の外、住宅街の屋上から同じような赤い光が見えた。
 何だろうという疑問はすぐにどうでもよくなった。
 瞬く間もなく光は線のようにこちらに迫り、それが赤い光の弾丸だと認識する暇もなくズドンと轟音が外から響きわたる。
「ぐぁ!!」
 六原の右側に衝撃が起きた。と同時に視界がぶれた。六原の体は一瞬の浮遊感の後、壁にぶつかった衝撃で目の前が大きく乱れる。
「ガッ、あ、あ・・・・・・」
 突然吹き飛ばされすぐさま全身を駆け巡る鈍い痛みに歯を食いしばる。腹を衝撃が襲い上手く息が出来ない。
——嗚呼、何となく分かった。
 何となく憶測と経験から何が起きたか分かった。痛みに耐えながら六原は月島に訪ねる。
「・・・・・・ッ、魔法。遠距離魔法か」
「嗚呼、キミは今狙われているよ」


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