複雑・ファジー小説

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【重要な】Это убивает【お知らせ】
日時: 2014/09/08 15:28
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: CymMgkXO)
参照: http://privet.jp/ko.html

題名の読み方判明
『エータ ウビヴァーチ』
Это→エータ(これ)
убивает→ウビヴァーチ又はウビーチ(殺す)

どうやらエキサイト翻訳は余計なものを入れていた模様。
まあカッコイイからいいか!!(オイ
情報提供は愛深覚羅様ですありがとうございます!!
ロシア語に関するホムペを教えて下さいました(参照)



メインテーマ
MELL—【Red fraction】
>>31



The murderous fiend who kills a murderous fiend -- it is not an ordinary murderous fiend.
The murderous fiend who always kills only a murderous fiend.
If it is lost in darkness and appears gallantly, a murderous fiend's life is mown.
This is such two murderous fiends' tale.
the gear of fate turns -- it turns.

(日本語訳>>21




character
##name1##
凪(ナギ)

『殺人鬼を殺す殺人鬼』の一人。
物静かで無表情。
どこか性格が変。


##name2##
嵜(サキ)

『殺人鬼を殺す殺人鬼』の一人。
凪と同じ雰囲気。
こちらはヘビーゲーマー。


##name3##
廻間(ハザマ)
不明
情報屋。
素顔を紙で隠している。
飄々として掴み所がない。
どうやら何か真実を隠しているらしい。


##name4##
一ノ宮鬨(イチノミヤトキ)

広報部部長
凪や嵜が通う高校と同じ生徒。
一般的な学生。
『殺人鬼を殺す殺人鬼』について、日々その謎に迫っている。


##name5##
???
不明
突如として凪たちの目の前に現れた殺人鬼。
廻間とは何かかかわりがあるらしい。
凪や嵜達の過去をすべて知っているらしいが……?



outlook on the world
【桜庭高校(オウテイコウコウ)】
凪や嵜たちが通う県立高校。
偏差値はそこそこ高いことで有名。
『そこそこの』高校。

【殺人鬼を殺す殺人鬼】
名前な通り、殺人鬼を殺す殺人鬼たちのこと。
警察は未だに気付いておらず、指名手配されていない。
凪と嵜のことを指す。

【桜庭市(オウテイシ)】
凪や嵜たちがくらす街。
都会の中の都会で有名。
現在の市長は『倉宮玄冬(クラミヤゲントウ)』氏。

【広報部(コウホウブ)】
桜庭高校で最も盛んな部活。
今の目標は『殺人鬼を殺す殺人鬼を見つけること』。



attention
・流血描写アリ
・15歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい
・「死」などの言動アリ
・荒らしチェンメ禁止
・暴言も禁止
・もしかしたらR−18の話があるかも


originalcharacter
【Public relationsclub(広報部)】
1年 矢車 御言『Mikoto yaguruma』(純金リップ様)>>6
初登場→第5話
重体→章間2

【collaborator(協力者)】
村雲 夏蓮『Karen Murakumo』(蜻蛉様)>>7
初登場→第11話

【enemies(敵)】
斗澤 永楽『Eiraku Tozawa』(愛深覚羅様)>>51
初登場→第16話

【rival(ライバル)】
>dead< 大形 愛 『Ai Ogata』(モンブラン博士様)>>56
初登場→第十七話
死亡→第二十七話


that's all!!


table of contents
【MAINSTORY】
prologue>>1
Between chapter—The murderous fiend who kills a murderous fiend—>>2
firststory—Is a murderous fiend a person?—>>4
secondstory—A murderous fiend's rest—>>9
thirdstory—Informer—>>10
forcestory—One day of a public relations section—>>12
fivestory—A newcomer member's hard struggle—>>14(MikotoYaguruma first appearance)
sixstory—A murderous fiend's night—>>17
sevenstory—A murderous fiend's idea—>>22
eightstory—Its head is danced off under a full moon—>>28
ninestory—It is to rest in rare cases—>>31
tenstory—The school in which a murderous fiend is not present—>>32
elevenstory—Low blood pressure to gain—>>34(Karen Murakumo first appearance)
twelvestory—Those who are addicted to a game—>>43
thirteenstory—Old tale—>>48
Fourteenstory—toothed wheel—>>60
Fifteenstory—Fate which was out of order—>>62
sixteenstory—Each expectation—>>66(Eiraku Tozawa first appearance)
seventeenstory—Love, the police, and an informer—>>72(Ai Ogata first appearance)
eighteenstory—Want of sleep—>>78
nineteenstory—Its love—>>84
Between chapters—Raw or death—>>90
twentystory—The beging of a nightmare—>>95
twentyonestory—Fresh blood—>>99
twentytwostory—The reviving atrocious event—>>101
twentythreestory—Truth revealed—>>103
twentyfourstory—Complicated blood relationship—>>107
twentyfivestory—Fear of hypnotism—>>111
twentysixstory—It does not killing each other.—>>113
その頃の嵜>>114
Betweenchapter—The toy named blood—(グロ注意)>>118
twentysevenstory—The dead are a fool and endless—>>119
twentyeighthstory—A murderous fiend smiles at a full moon and goes mad—>>125
twentyninestory—bloom of youth—>>132
thirtystory—The good sister who do it—>>133



【SUBSTORY】
—An informer's dress—>>23
零堵様から「アンソロ」>>26
—The day preceding a white day—>>35
—The white day is after school—>>36
—本当にあった残虐殺人—(閲覧注意)>>55

【OTHERS】
Between chapterの日本語訳>>3
今までの題名翻訳>>5
凪と嵜の大まかな設定>>13
An informer's dressの補足>>24
アンケート>>74
いともたやすく行われるえげつない行為>>130

【童話パロ】
あかずきん1>>80
あかずきん2>>87

【─━╋まーだーらずぃお─━╋】
第一回>>20


【過去編】

第1回想>>49(廻間と出会うまで)
第2回想>>50(廻間が2人を預かるまで)
第3回想>>53(3人が隠れ家に行くまで)

The volume on past—Hypnotism—>>97

廻間編
もう一人の『廻間』>>105
廻間の秘密>>106
腐りきった安齋>>116

嵜編
日常になりつつあるいじめ>>112
作戦名『復讐』>>122
危機>>124

凪編
重荷の「天才」>>115


visitor
純金リップ様
蜻蛉様
彌夜様
愛深覚羅様
モンブラン博士様
末端ライター様

Re: Это убивает【5/31本編更新】 ( No.111 )
日時: 2014/06/04 22:59
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: CymMgkXO)

twentyfivestory—Fear of hypnotism—



「(渚グループ専属の…………警官だと?)」

斗澤は聞こえてくる声や言葉に疑問を浮かべる。
それにしても流れてくる映像は一体なんなんだ。
少なくとも斗澤の覚えている限り、『ない出来事』だったと思われる。
しかし、鮮明に映るものや声から、忘れていた、いや『封じられていた』記憶であることが、それとなく解せた。

『渚総帥から直々に指名だそうだ。光栄なことじゃないか

『確かに、光栄なことですが、何故自分を?』

『さあな。だが渚グループ総帥の指名となっちゃ、断れん。まあ、くれぐれも粗相のないようにな。そうそう、先日、御子様を無事に出産されたそうだな』

『そりゃめでたい話で。それでその話はさておいて。行き先とかはどうなってるので?』

『ここに記してある。そのとおりにいけ。ついたら氏名を門前で言うようにな』

『了解しました』

———————プツッ。

そこで記憶は途切れた。
気が付けば息が荒くなっていたようで、凪に顔を覗き込まれる。
斗澤の顔には明らかに疲労の色が滲みでている。

「大丈夫かお前」

凪が不思議そうに斗澤に言う。
斗澤は、返事こそしないものの、大丈夫だというかぶりを見せた。
そして、くっと真正面を見ると、大形とハザマの戦いが目に写った。
大形には少し焦りの表情が混じっていた。
一方ハザマはハザマで、疲れるどころか、ますます楽しんでいるように思えた。

「しぶといですね…………ッ」

大形は弓を構えるが、その腕は既に疲労こんばいと言ったところで、僅かながら震えていた。
なんとか矢を放つが、ひょろひょろと飛んでいったので、すぐにハザマのナイフで折られてしまう。
矢筒にある矢をとろうとすると、もう残り一本しか残っていなかった。
途端に絶望の色に染まる大形。
しかし躊躇いなく、大形は最後の一本を抜き取り、矢を構える。
ハザマは気にすることなく、逆に呑気に髪の毛をいじっている。

「(当たれっ!!)」

大形は今までより集中を高め、これ程までもないスピードの矢を放つ。
当たるか、と思ったその矢先だった。



「こんのアホんだらああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



何かの足が飛んで来るなり、ハザマを蹴り飛ばした。

「どぅふっ!?」

蹴り飛ばされたあまり、変な声を出すハザマ。
そして、その最後の矢は飛んできた足の主の手によって、見事キャッチされた。す砂埃が少したった後、晴れると、そこには予想だになしない人物がいた。
先程の叫び声で目が覚めたのか、嵜はその相手を見るなり駆け寄った。

「あ、華蓮!」

そう、引きこもりの少年、『村雲華蓮』である。

「外出て大丈夫?」

「ちょっと悪い夢を見てね。嫌な予感がして来たんだ」

村雲が至極普通のように話す。

「それにしても良かった。もしあの夢が本当だったらお前死んでたからなあ」

ぽつりと村雲が呟く。
その言葉に妙な引っ掛かりを感じる凪と嵜。
村雲はその沈黙した空気を壊すように、話始めた。

「十数年前から指名手配されている殺人鬼は、アンタだな。『安齋ハザマ』。渚グループ総帥の公の長男であり、PSYCHOPATH。そして、渚グループ夫妻殺人事件の犯人もアンタだろ。多方、殺人衝動のターゲットを探してて、丁度いい人材だったんだろうな。殺せば、渚グループの内部のゴタゴタも顕になる、って点も踏んでな。しかし顕になるどころか、うまい具合に隠されたっつーわけか。」

ハザマはその話を聞きパチパチと拍手した。

「ん、殆ど当たり。まあ内部のゴタゴタってのは、他ならぬ廻間の事なんだけどサ。うまい具合に隠すもんだから腹たってきちゃった★」

「しかも渚グループ専属の警官である斗澤に、その腹いせとして殺人衝動を向けた。だが、死なずに済んでしまったって訳か」

その事を聞き、どういう事だと言うように体をそちらに向ける。
するとハザマがその回答をした。

「『廻間』が、これ以上過去を引っ掻き回さず、そしてずるずる引き摺らないように全て、『催眠術』で記憶を封じたのサ。色々と面倒な話だしね。多分渚グループに関わる記憶は全て封じたんだろうね」

その返答に斗澤は唖然とした。
催眠術で記憶を封じるってできんのかよ。
いや、それ以前に隠す必要なんてあったのか?
斗澤はただ呆然とするしかなかった。
ハザマは大形をちらりとみやり、

「まあ一概に、『封じてない人はいない』とも言えないけどサ」

と、誰にも聞こえないように呟いた。
かと思ったらハザマはその場でくるりと回り、

「それじゃ、僕はおさらばさせてもらうねー。じゃあ、また『下弦の月』の日に会おうよ」

と消えるように去っていった。
当然大形は、すぐに立ち上がり追いかけていった。
まちなさい!という声と共に。
残されたメンバーは、それぞれ自分なりの解釈をして家路に着いた。


しかし、斗澤はただ一人、蕭然と立ち尽くしているだけであった。
何のための捜査だったのだろうと、らしくない言葉を繰り返しながら。

Re: Это убивает【6/4本編更新】 ( No.112 )
日時: 2014/06/11 22:06
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: CymMgkXO)

嵜の過去編

(凪目線)

「今日は椅子だけとかまだ優しい方だよねーっ!」

「あははは!!」

小学生、中学年の頃。
嵜はいわゆる「いじめ」に巻き込まれた。
いじめる理由などくそくらえだが、とにかくいじめられていた。
俺も、この状況には気付いていたんだが………
教師は見ぬ振りをしてるし、学校側も目を瞑っていたので、いくら弁論しようが『子供の戯言』というようにしか捉えてもらえなかった。
いじめてた奴らは多分、『やりやすそうだったから』やったんであろうと、今思う。
なんせ、『影薄い・物静か・他者との関わりがあまりない』の三拍子と来たもんだ。
下らないと思って止めようとしても、学校側が全否定するので、手の出しようがなかった。

「じゃあねーキャハハハハ!」

「明日休まないでよぉー?あっはは!!」

そういって、教室を去っていったらしい。
その日やられたいじめは、『椅子を窓から投げ捨てられる』という類のものだった。

「………………」

嵜は何も言わず、そして表情を変えず、椅子を拾ってきて元の位置に戻したらしい。
して、いいつも通り帰る準備をして、帰宅した。


「ただいま」

嵜が帰ってきたのはその日は大体午後四時半。
普通の小学生の帰宅時間としては、少し遅い。
至る所には擦り傷や切り傷といったものが、絶えなかった。

「おか——————ってどうしたのさその傷!」

出迎えた廻間が、嵜をみて驚愕する。

「どうしたんだって、うわあ」

俺も廻間の声に驚いて玄関口に行く。
そこで嵜の生傷の多さにまた驚く。
嵜はそんな俺達に小首をかしげ

「別に。何もない」

と言い放ち、自室に戻った。
俺達はその様子にただただ驚くだけであった。
すると途端に廻間が俺に聞いてきた。

「ねえ………嵜なんかあるよね、絶対」

「お前も気付いてたのか」

「まあ、そりゃあ。薄々、ね」

ふう、と息を漏らす廻間。
そしてさらにぐいっと俺に問いかけた。

「いじめ、だよね。アレ」

そうぐいぐい顔を俺に近づける。
それを払い除けながら

「いじめ以外に何があるってんだ」

と返してやった。その言葉を聞き、廻間は腕を組みながらリビング—————といってもホールだが——————へと戻っていった。
もちろん俺だって戻った。
こういう時の廻間の推理は——————怖いんだ。
外れて怖いのかって?いやいや

『当たりすぎて』、『怖い』のさ

眠いのでここで切ります。

Re: Это убивает【6/11嵜過去編更新】 ( No.113 )
日時: 2014/06/14 14:04
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: wECdwwEx)

twentysixstory—It does not finish killing each other.—


朝。
いつもと何ら変わりない、普通の朝。
であったはずだった。
彼女—————一ノ宮にとっては、普通ではなかった。
あの日みたニュースを見て以来、彼女にとって、それは日常から非日常へと変貌してしまったのだ。
後輩が、襲われた。
出血多量で助かる見込みは薄い。
死んでしまうのだろうか。
たくさんの生徒達が通る道でわいわいと話しながら歩く生徒の中で、一人だけ表情が沈む。
ふらふらと足取りが危なっかしい。
そんな調子で、目の前の電柱に気付かず、ぶつかるその時。

「おい、危ねぇっての」

ぐいっと肩を捕まれ、いきなり後ろへ引っ張られた。
はっとした一ノ宮は目の前の電柱に恐れた。
そして引っ張った本人に振り向く。
すると一ノ宮の顔が急に火照った。
何を隠そう、呆れた顔で凪が一ノ宮の肩を掴んでいたからである。

「な、凪!?」

「なんだよ急に驚いて。つか顔赤いぞ。熱でもあるのか?」

「そんなことないわよ!元気よ!」

「じゃあなんでふらついてたんだ」

「あ…………それは」

その話をふられて急に俯く。
それだけで、凪は察した。

「…………深くは詮索しないが、お前引き摺ってんだろ。出血多量でも輸血が行き届いてりゃ大抵は助かる。大丈夫だ、後輩が入院してんのは、全国でもなのしれた大病院だ。医療ミスなんてしねぇよ。俺も前にかかったからな」

その言葉を聞き、えっ、と顔を上げる一ノ宮。

「本当………?」

「お前なあ、名前くらい聞いたことあるだろ。国立大付属の」

それを聞いて一ノ宮は力が抜けたように安堵した。

「そう、だよね…………大丈夫だよね。あはは、安心したらお腹減っちゃったよ!」

そういうと、その場を足早に去っていった。
まるで、今まで落ち込んでいたのが嘘のように。

それとは対照に、凪は思いつめていた。
あの時帰ったあと—————


「廻間!起きてるか!」

廻間を無理やり起こして話を吐かせたのだが。
それがどうにも聞いてはいけなかったような気がしてならなかった。

「何さ今寝てたのn」

「どうもこうもねぇよ!なんだよあのハザマって!俺らを兄弟呼ばわりとか何なんだよ!!お前何か知ってんだろ!!吐け!!!」

胸ぐらをつかみ激しく揺すりそう怒鳴りつけると、廻間はその言葉で目が覚めたようだった。

「ハザマ…………アイツ、居場所もう突き止めたのか!?ってそれより!アイツに会ったの!?ねぇ、怪我とかない!?アイツのことだからそのうち『僕』らを殺しかねない!!ねえ!ねえってば!!アイツ、なんで居るの!?死んでないの!?ねえ!!!言えよ!!!」

そういって、廻間は凪を逆に首根っこを掴み、今にも殺しかねんとその首を絞めた。
凪は精一杯の力で、腕を動かし、廻間の顔にあった紙を引っペがした。
そして何とか動かせる足を上げて腹に一撃を入れた。
手が緩み、廻間はその衝撃で吹っ飛ばされた。
解放された凪は息を切らす。
そして、手に紙が掴まれていることを確認し、廻間を見る。
その時凪は目の前の光景に目を張った。

公園であったハザマと瓜二つの顔がそこにあったからだ。

「いっつ……………ゲホッ」

廻間は息を漏らし出した。
れにか構わず、凪は廻間の首をつかみ、思いっきり睨みつけた。

「どういう事だ、廻間。吐け」

廻間は息を整えながら、語り始めた。

「……………後悔しても知らないよ。僕とアイツ————ハザマは双子だったんだ。だけどいろいろあってね、僕は無きものにされ、孤児院に引き取られた。そしてその後で君ら………凪と嵜が生まれたんだ。そういうこと」

「じゃあ兄さんってのは………」

「僕のことじゃない?わかった?分かったら手を離して欲しいんだけど」

凪は舌打ちをし、廻間を振り落とした。
そして、何か苦い虫をかんだような表情をし、部屋に戻った。
その姿を、廻間は渋い顔で見送っていた。


「(あの野郎…………じゃあなんであの夜のこと知ってんだよ………)」

凪はチッと大きく舌打ちをし、学校へと向かった。

Re: Это убивает【6/14本編更新】 ( No.114 )
日時: 2014/06/18 19:58
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: 6MRlB86t)

その頃

【村雲宅】


「夏蓮、悪い夢って?」

「ん?」

「ほら、昨晩の」

「……………ああ。あれか」

ここは村雲宅。
いつものように嵜が遊びに来ていた。
ちなみに学校はいつもの理由で休んだ。
夏蓮は嵜の方を向く。

「気付いたら真っ暗闇の中にいてね。何処からともなく声が聞こえたのさ。『君の友人の命はないと思いなよ』ってな。どういうことだっていったら、『その言葉のまんまさ』って響いた。そんで、今度はいきなり公園の映像見てて。そしたらハザマがその場にいた全員殺してた。無惨にな。んでその中にお前もいたって訳。それで俺はそれが予知夢だってことに気付いて。目が覚めて我に帰ったときはもう走り出してた。それだけ」

「それだけって程じゃないと思う」

そう返すと村雲は別にいーだろと零し、背伸びした。

「それにしても」

村雲は椅子から立ち上がると、嵜の隣に座った。

「面倒なことに巻き込まれたのな、俺ら」

ふう、と息を漏らし天井を仰ぐ。
嵜は表情を変えないまま、ベッドに寝転がった。
そして、手近にあったペンを弄ぶ。

「面倒なこと、じゃなくて、私と凪が、悪い星のもとに産まれたってだけ。そう夏蓮が嘆く物じゃないでしょ。ふぁ………ねっむ」

「そうは言うけどよ、どのみちこの事件も、ましてや生きていくことだって、『面倒なこと』には変わりねぇんだぜ。ま、それもまた一興ってか?」

「随分と風流ね」

「や、そこは詩人って言おうぜ」

「どっちも同じ事には変わりないでしょ」

先程村雲が言ったことをそのまま返す嵜。
その様子に、負けたと言わんばかりに落ち込む村雲。
そして、無防備な体制に、村雲は何かが切れそうになる。
が、それがいざ嵜に手をだそうものなら、凪の鉄山靠が待っている事だろう。
それを想像し、村雲は顔が真っ青になる。

「(殺されるっ、あの人友人だろうが何だろうが容赦しねぇからな、絶対殺される……………!!)」

その様子に気づいたのか、嵜はこう言う。

「夏蓮、凪に何かされるとか思ってるの?」

その言葉が村雲の胸にグサリと突き刺さる。
そして顔がもっと青くなる。

「大丈夫だよ、そういうの気にしない人間だし」

そう言うと、嵜はニヤリと笑う。
その妖艷な笑に、村雲はぞくりとくる。
これは誘ってるのか!?誘ってるのか!!
己の良心と必死の攻防が、村雲の脳内で繰り広げられる。
すると

「って、本気にした?っくく、夏蓮って意外な弱点あるんだねっ。ぷくくく…………」

と、嵜が笑いをこらえながら呟く。
その真実に、村雲はショックを受ける。
部屋の隅に行き、三角座りまでする始末。
その様子を見て、嵜はもっと吹き出した。


—五分後(パポッ)—


なんとか機嫌が直った村雲は、嵜にこう聞いた。

「なあ、たしかハザマは『今度の下弦の月』っつってたよなあ?」

「……………そうだけど」

「となるとあと十五日、か?昨日がちょうど満月だったから………」

「計算があってりゃね」

二人はカレンダーを見やる。
ちょうど昨日の日付に、バツ印がついている。
満月から数え始めたのだろう。
そして、予定だが、十五日後の日付に丸がついてあった。
その日が下弦の月だろう、という見解だった。

「なあ、その日のうちにあいつを『殺す』のか?」

「そうでもしなきゃ、すっきりしない。でも、その前に過去に何があったのかを聞きたい」

至極当然と言ったように頭を縦に振る。



約束の日まで、あと十五日。

Re: Это убивает【6/18本編更新】 ( No.115 )
日時: 2014/06/25 17:37
名前: サニ。 ◆6owQRz8NsM (ID: ktFX/uOB)

凪過去編

(凪視点)



俺は、少なくとも嵜よりは恵まれていた生活を送った。
入学当初は、そりゃ表情が全く変わらないから、「鉄仮面」とかよばれていた。
だが、教師が俺の事情やらをわかりやすく説明してくれたおかげで、クラスメイトが積極的に話しかけてきた。
それで、俺は打ち解けることができた。
それどころか、幅広い交友関係も持つことができた。

「凪ー!勉強おしえてくれー!」

自習の時間になったとき、俺はテストでいつも満点だったからといって、よく勉強を教えていた。
それが、卒業まで続いた。
当時の俺はそんなのは気にしなかったが、今からしてみると、それはそれですごいことなのだろう。
スポーツもできるし、勉強も完璧。
そんな俺は、学校の人気者とよばれていた。
自分の学年の1つ2つ上の勉強でも構わないほどだった。
だがそれはすべて、渚にいた時に施された英才教育のせいだっただけなのだが。

廻間は俺のテスト結果をいつも楽しみにしていた。
嵜も俺が帰ってくると、遊び相手として、よく構ってくれた。
だが俺はふと思うこともあった。

このまま俺はいい子として育たないといけないのか。

「いい子」というのは、本人にとっては重い荷物になりうる。
それがどんなに、プレッシャーをかけていないと思っていても。
本人にとっては、それは重荷にしかならない。
教師は必ず俺が満点をとると思っているし、まわりの友人は何もかも知らないことはないと思っている。
俺はそれが嫌だった。
そのせいで、学校が窮屈な場所に思えてきたのが、4年の頃だった。


The boy gifted by nature became a popular person in school.
However, instead, the "ordinary life" of which the boy dreamed passed through the boy's hand, and gave the boy only the load "the surrounding expectation."


続く


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