複雑・ファジー小説
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- 僕が贈る愛を【完結!】
- 日時: 2018/09/06 21:01
- 名前: モンブラン博士 (ID: mrjOiZFR)
構想期間半年以上を費やし、ようやく執筆する事ができました。
本作のテーマは「自己犠牲による愛の形」です。
更新もゆっくりですが、それでも読んでいただけますと幸いです。
タイトルはゆづさんのアイディアです!ゆづさんありがとうございます。
- Re: 僕が贈る愛を ( No.36 )
- 日時: 2015/06/02 05:55
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
「剛力くん、大丈夫かな……?」
弥生は肩で息をしながらも、身を挺してまで自らを逃がしてくれた剛力が心配でたまらなかった。彼はボクシング部のキャプテンを務めているほどの実力を誇るが、敵である不動はそれ以上の強さを誇るのだ。とても無事では済まない事は彼女にも理解できた。
踵を返して戻ろうかとも考えたものの、それでは折角の彼の犠牲が無意味になってしまう。それだけはできないため、ハニーはぐっと涙を堪えて前を向いて歩き続ける。疲れで少し目が虚ろになりながらも、一歩一歩足を進める。
彼女は、とある喫茶店を通り過ぎた。
その刹那、何かに気づいて少し後退して喫茶店の窓を覗くと、そこにはアップルとヨハネスの姿があった。彼女はヨハネスの事は知らないがアップルの事は知っているため、助けを求めるのと体力の限界で、最後の力を振り絞って喫茶店の自動ドアを潜りぬけ、彼らの席に向かう。
「ハニー、どうしたの!?凄く疲れているみたいだけど……」
彼女はヨハネスの座っている椅子の隣に腰かけ、息も絶え絶えに言った。
「お願い……剛力くんを、剛力くんを助けて……!」
公園に駆け付けたアップルとヨハネスが目の当たりにした光景、それはボロボロになり倒れ伏している剛力の姿だった。愛する人を袋叩きにされたアップルは、哀しみのあまり息を飲む。ショックで動けない彼とは裏腹にヨハネスはすぐさま彼の元へと駆け寄り、反転させて胸元に耳を当て、続いて首筋に人差し指と中指を当てて脈を確かめる。
「剛力は、大丈夫?」
「心臓の鼓動と脈は正常だよ。ただ、骨がどうなっているかはわからないからむやみに動かさない方がいいね」
負傷してはいるものの、剛力が生きていると知ったアップルはほっとした。だが、その安堵も次の瞬間には、戦慄に変わった。普段は物事を達観し動じない彼がなぜ恐怖を感じたのか。それは、不動仁王が鋭い目つきでふたりの前に現れたからである。
けれどヨハネスは怯えるどころか笑みを浮かべて言った。
「君が不動仁王だね」
「そうだ。だが、それがどうした? そこに倒れている男の敵打ちにでも来たのか」
その問いかけに、ヨハネスは高い笑い声を上げる。
バカにされたと受け取った鬼神は、吠え声を出してヨハネスに拳を見舞うが、驚くべき事に彼はそれを受け止め、倍はあろうかと思われる不動の巨体を柔道の一本背負いで放り投げたのである。
敵は慌てて間合いを取るが、我が身に起きた出来事に呆然としていたが、剛力と対峙した時とは違い、やや落ち着いた声で言った。
「お前は何者だ?」
「君の胸に聞いてみればわかるよ」
- Re: 僕が贈る愛を ( No.37 )
- 日時: 2015/06/02 16:31
- 名前: リュー (ID: GTJkb1BT)
来ました!リューです!
やっぱり、最高に面白くて、語り手の表現がしっくりしていてすごかったです!
- Re: 僕が贈る愛を ( No.38 )
- 日時: 2015/06/02 16:41
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
リューさんへ
しっかりしているとは驚きです!最高に面白いとは、嬉しい言葉をどうもありがとうございます!
- Re: 僕が贈る愛を ( No.39 )
- 日時: 2015/06/02 16:47
- 名前: リュー (ID: GTJkb1BT)
そんな、まんまいったんです!
これからも読みます!
- Re: 僕が贈る愛を ( No.40 )
- 日時: 2015/06/02 17:32
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
リューさんへ
ありがとうございます。