複雑・ファジー小説
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- 僕が贈る愛を【完結!】
- 日時: 2018/09/06 21:01
- 名前: モンブラン博士 (ID: mrjOiZFR)
構想期間半年以上を費やし、ようやく執筆する事ができました。
本作のテーマは「自己犠牲による愛の形」です。
更新もゆっくりですが、それでも読んでいただけますと幸いです。
タイトルはゆづさんのアイディアです!ゆづさんありがとうございます。
- Re: 僕が贈る愛を ( No.24 )
- 日時: 2016/08/12 21:48
- 名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)
結局、ヨハネスはその発言通りに注文した品をたったひとりで完食してしまった。それもただ食べきったのではなく、実に美味しそうに笑顔で平らげたのである。その食べっぷりにはアップルだけでなく、他の客や従業員達も皆仰天している。
しかし彼は周りの様子などどこ吹く風でマイペースにナプキンで口の周りを拭うと手を合わせて、「ご馳走様」を口にする。彼がこの喫茶店で食べたのは、サンドイッチ三人前、フライドポテト六人前、チキンのから揚げを五皿にワッフルを八皿、ロールパンを三十個、ぜんざいとカキ氷とパフェを合わせて十杯、コーヒーのお替りを十五回に加え最後にドーナツを四十五個であった。
これほどたくさんの料理(しかも高カロリー)を食べたのだからさぞかし腹はパンパンに膨らんでいるのだろうと彼の腹を見てみると、全く膨らんでいる気配はないのである。
もしかすると食べるふりをして下に落としているのではないかとも考え、彼の足元を覗いてみたが、食べ物はロールパンの一かけらでさえこぼれてはいない。
つまりそれは、彼が本当に料理を胃袋の中に収納した事を意味する。
あの華奢な体のどこにそんなに大量の食糧が入るのか彼は考えてみたが、どうなっているのかは本人に訊かない限りわからない。けれどそれを今聞くのはよくないと思い直し、今は本題である剛力に失恋した話を聞いて貰おうと考えた。
ヨハネスは無言で穏やかな笑みを浮かべて、胸の前で腕を組んで話し出すのを待っている。彼の全身から漂う安心感のようなオーラに、彼は重い心が軽くなったような気がした。
「ヨハネス、あのね、実はさっき——」
アップルは涙をぽろぽろ流しながらも、事の一部始終を話した。
彼は黙ってそれを聞いていたが、彼が話終わるのを確認すると、開口一番こう言った。
「まだ、可能性はあるよ。だって、本人から面と向かって振られていないもの」
アップルは大好きな剛力と仲良くしているハニーを見て、彼が彼女と幸せにいるのならばそれが一番いいと悟り、早々に身を引こうと考えていた。けれどもヨハネスはまだ直接本人に振られていないのだから、自分で勝手に決めつけて諦めるのは早計だと言うのだ。
「アップル君、思い切って君の好きな男の子に告白してみたらどうかな?」
「でも、僕男だからきっと振られるに違いないよ……」
「告白する前に失敗するかもって思っていたら、恋は実らないよ」
ヨハネスの優しい言葉に、彼は小さくコクリと頷き、
「……そうだね。僕、剛力に告白してみるよ」
フッと顔を上げてそう宣言する彼の瞳には、先ほどまでには感じられなかった自信がみなぎっていた。
「よし、そうと決まれば早速実行に移そう。何事もすると決めたらその日にした方がいいからね」
「うんっ」
こうしてふたりは喫茶店を出て、剛力のいるアップルの家へともと来た道を歩き始めた。
- Re: 僕が贈る愛を ( No.25 )
- 日時: 2016/08/12 21:49
- 名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)
「このケーキ、美味しいなぁ」
ハニーはガブリエルのケーキ屋自慢の苺のショートケーキをフォークで一口ずつ切り取り、口へと運ぶ。彼女はケーキの頂上に乗っている苺は最後に食べる主義であるため手はつけていない。そしてその苺を万が一の確率とは言え剛力が奪わないかと、先ほどから子猫が威嚇しているような目つきで、彼を見つけている。
だが、彼はそんな彼女に顔色ひとつ変えない。
「ハニーお嬢さん、安心してください。お嬢さんの苺は食べませんよ」
「本当に?」
「俺が今まで嘘をついた事ありますかね」
「ないけど……でも、本当に取らない?」
「大丈夫です。それともお嬢さんは、俺を信用できませんか」
「うーっ、分かったよぉ。信用してあげる!」
「そう言っていただけて光栄ですよ」
剛力は自分が注文した——以前彼がアップルに一度食べてみたいと話していた——アップルパイを手に取り、一口かじってみた。口の中いっぱいに甘く優しいりんごの香りと甘さが広がり、アップルが大好物になる理由が分かったように、瞼を閉じ、パイを深く味わった。
「ねぇ、剛力くん」
彼がアップルパイを食べきった頃、ハニーが眉を八の字にした心配そうな顔で彼の名を呼んだ。普段は天真爛漫で明るい彼女がこのような表情をするのは珍しいため、何か困った事が起きたのだと彼はすぐに悟り、返事をした。
「どうかしましたか」
「うん、たった今、私のケータイの着信履歴を見てみたんだケド……」
彼女は自分の着信履歴を彼に見せる。そこには、同一の人物からの着信が幾度も来ていた。
ハニーは剛力とのデートを優先するため、ケータイは予めマナーモードにしてあったため気づかなかったのであるが、上から順に十回も電話をかけている人物の名を見て困惑した。
その人物の名は——
「不動仁王(ふどうにおう)……」
- Re: 僕が贈る愛を ( No.27 )
- 日時: 2015/05/26 18:20
- 名前: アッコ (ID: HU9qn.Bn)
よみやすくてっほんとに読み応えのある小説でしたっ^^
アドバイスは・・・駄作って言わなくていいと思いますって事ですっ
なにせ・・・神作ですからっ^^
また・・・来ていいでしょうか?
- Re: 僕が贈る愛を ( No.29 )
- 日時: 2015/05/30 22:15
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
更新再開します!今まで以上に美しい展開にしていきますのでお楽しみに!
- Re: 僕が贈る愛を ( No.30 )
- 日時: 2015/06/01 20:33
- 名前: ヒカリ ◆d4B6CdtQ4Q (ID: dYnSNeny)
面白い小説を書いてますね。
頑張って
ゴメン もう 来れ無くなちゃった
さようなら